JP4790668B2 - 液体封入式防振支持装置 - Google Patents

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Description

本発明は液体封入式の防振支持装置に関し、特に、ゴム製のダイヤフラムによって区画される平衡室の構造に係る。
従来より、この種の防振支持装置としては自動車用のエンジンマウントが良く知られている。その基本的な構造は、被支持体であるエンジン側の連結金具と車体側の支持金具との間にゴム弾性体を介設し、このゴム弾性体の変形に伴い容積が変化するよう両金具間に液室を形成するとともに、この液室を受圧室及び平衡室に仕切り、さらに、それら受圧室及び平衡室を連通するオリフィス通路を設けたものである。このオリフィス通路を介して液体が流動することで、所定周波数域のエンジン振動を効果的に吸収し、減衰させることができる。
ところで、前記のような防振支持装置の製造工程では、液室の内部を真空引きしてからそこに液体を封入するようにすることがあるが、平衡室を区画する壁の一部は、容積の変化を許容すべく通常、ゴム製のダイヤフラムによって形成されており、このダイヤフラムが平衡室の負圧によって仕切部材に吸い付けられるようになる。こうして吸い付けられるときにダイヤフラムは全体が一様に変形するのではなく、撓みやすい部位が局所的に大きく変形し、その一部が袋状になったりして空気の残留する一因となる。
そうして液室内に空気が残留すると、完成したマウントの性能が低下する虞れがあるので、例えば特許文献1、2に記載されるものでは、平衡室に臨んでダイヤフラムと対向する仕切部材の壁面(仕切り面)に段差や突起、或いは溝を形成して、吸い付けられたダイヤフラムとの間に隙間が形成されるようにし、真空引きの通路に至る空気の流通経路を確保するように努めている。
特開2000−65124号公報 特開2001−241489号公報
しかしながら、前記従来例のように仕切部材の壁面に段差や突起、溝等を形成しても、それだけでは空気の流通経路を安定的に確保することは難しい。これは、前記したようにダイヤフラムが負圧によって仕切部材に吸い付けられるときには、その部位毎に変形の程度がかなり異なったものになり、何処に空気が残留するか予測できないからである。
また、仕切部材とダイヤフラムとの間に空気の流通経路を確保できたとしても、それがあまり狭隘であったり、曲がりくねっていたりすると、通気抵抗が大きくなって真空引きに要する時間が長くなってしまい、生産性が低下するという問題もある。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、防振支持装置の液室、特に平衡室の構造に工夫を凝らして、真空引きの際に空気が残留しないようにするとともに、生産性の低下を招かないようにすることにある。
前記の目的を達成するために本発明では、特にダイヤフラムの構造に着目し、平衡室の負圧によって陥没したときでも、その開口縁付近には周方向に連なる空間が形成されるようにした上で、その空間に連通するよう仕切り面に窪み部等を形成したものである。
すなわち、請求項1の発明は、被支持体側に連結される連結金具と、これをゴム弾性体を介して支持する支持金具と、そのゴム弾性体の変形に伴い容積が変化するように前記両金具間に形成された液室と、この液室の内部を受圧室及び平衡室に仕切る仕切部材と、それら受圧室及び平衡室を連通するオリフィス通路と、を備えた液体封入式の防振支持装置を対象として、前記仕切部材には、平衡室に臨む仕切り面の相対的に内周寄りの所定範囲に、受圧室に至る貫通路が開口する一方、当該仕切り面の外周部には、平衡室を区画する碗状のゴム製ダイヤフラムの開口縁が密着されているものとする。
その場合に、前記ダイヤフラムの開口縁に沿って形成した厚肉部を前記仕切り面に液密に重ね合わせるとともに、その厚肉部の内周側から前記仕切り面に対し所定以上の角度(少なくとも45°以上が好ましく、60°以上がより好ましい)で離れるように延びる筒状の壁部を形成し、一方で仕切り面には、前記ダイヤフラムの厚肉部の内周側に近接して周方向に延びる窪み部を形成するとともに、この窪み部を前記貫通路の開口に連通させるように溝部を形成する。
前記構成の防振支持装置は、例えば被支持体から振動が入力して、連結金具と支持金具とが比較的大きく相対変位するときに、ゴム弾性体の変形に伴い受圧室の容積が変化して平衡室との間のオリフィス通路を液体が流動するようになり、これにより所定周波数域の振動が効果的に吸収、減衰されるようになる。液体の流入、流出に伴い平衡室ではダイヤフラムが変形し、その容積が変化する(体積補償)。
そして、そのような防振支持装置を製造する工程では、空気の残留を防止するために液室内から真空ポンプ等により空気を吸引した後に、液体を封入するのであるが、そうして空気が吸引されて平衡室が負圧になると、その区画壁の一部であるダイヤフラムが陥没するように変形して、対向する仕切部材の仕切り面に吸い付けられるようになる。
ここで、前記仕切り面の外周部に密着するダイヤフラムの開口縁には厚肉部が形成され、その内周側に連続して筒状の壁部が仕切り面から所定以上、大きな角度で離れるように形成されているから、その付近ではダイヤフラムが潰れたり、或いは局所的に大きく変形したとしても、仕切り面との間には周方向に連なる空間が形成されることになる。こうして形成される空間に連通するように仕切り面には、周方向に延びる窪み部とこれに連通する溝部とが形成されており、これらを介して前記の空間は、受圧室に至る貫通路の開口に連通される。
つまり、ダイヤフラムの変形状態をコントロールして、それが大きく陥没するように変形するときにも、開口縁付近には仕切り面との間に周方向に延びる空間が形成されるようにしたので、そこに開口する窪み部等によって空気を貫通路に導く経路を確保することができ、平衡室における空気の残留を防止することができる。
しかも、そうして空気を導く貫通路までの経路の形状が概ね窪み部や溝部によって決まり、あまり狭隘になったり曲がりくねったりすることはないので、真空引きの時間が長くなって生産性の低下を招くこともない。
より具体的に、前記仕切部材の仕切り面には、貫通路の開口する内周寄りの範囲がそれよりも外周寄りの範囲に比べて凹陥するように、環状の段差を形成するとともに、この段差から窪み部にかけて溝部を形成すればよい(請求項2)。こうすれば、当該仕切り面にダイヤフラムが吸い付いたときに、このダイヤフラムと前記環状段差との間に形成される隙間を介して、前記溝部が貫通路の開口に連通されるようになる。
その場合に、窪み部を深くすれば空気の流通する断面積を確保しやすいが、そうすると窪み部の深さが環状段差に比べて大きくなってしまうので、これに対応して溝部の底を傾斜させ、少なくとも窪み部の底には段付きなしに連続させるのが好ましい(請求項3)。こうすれば空気の流通抵抗を減らすことができるからであり、勿論、環状段差においても溝部の底が仕切り面の内周寄りの範囲に段付きなしに連続することが好ましい。
或いは前記のような環状の段差は設けずに、仕切り面を略平坦面としてもよく、その場合には、溝部を窪み部から貫通路の開口まで形成して直接、連通させるようにすればよい(請求項4)。こうすれば、溝部と貫通路の開口とがより確実に連通される。
また、前記窪み部について好ましいのは、それを仕切り面の周方向に間隔を空けて複数、形成することであり(請求項5)、こうすれば、仕切部材に剛性を確保する上で有利になる。周方向に隣り合う窪み部同士の間隔は同じでもよいし、異なっていてもよい。尚、窪み部を周方向に連続するように設けることも可能である。
そうして仕切り面に窪み部を形成する部位に対応して、仕切部材には、反対面から突出するように環状の突部を形成してもよく(請求項6)、こうすることによっても仕切部材の剛性を確保しやすくなる。また、その環状突部に蓋部材を重ね合わせれば、その内周に可動板を収容することもでき、外周側にはオリフィス通路を形成することもできる。
以上、説明したように、本発明に係る液体封入式の防振支持装置によると、平衡室を区画する碗状ダイヤフラムの開口縁付近の構造に工夫をして、それが平衡室の負圧によって陥没しても、開口縁付近には周方向に或る程度以上、連続する空間が形成されるようにするとともに、この空間に連通するように仕切り面に設けた窪み部等によって、平衡室外に吸い出す空気の流通経路を安定的に確保することができる。よって、液室に残留するエアによる防振特性の低下を防止することができる。また、真空引きの時間が長くなって生産性の低下を招くこともない。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
−マウントの全体構成−
図1、2は、本発明に係る液体封入式の防振支持装置の一実施形態である自動車用エンジンマウントAを示し、このエンジンマウントAは、図示しない自動車のエンジン及び変速機(以下、両者をまとめてパワープラントという)と車体との間に介在されて、そのパワープラントの静荷重を支持するとともに、当該パワープラントからの振動を吸収し或いは減衰させて、車体への伝達を抑制する機能を有する。
この実施形態のエンジンマウントAは、図示しないブラケット等を介して被支持体であるパワープラントに取り付けられる概略円柱状の連結金具1と、これをゴム弾性体2を介して下方から支持する円筒状の支持金具3とを備え、この支持金具3の下側外周における自動車の前側及び後側(以下、単に前側、後側という)にそれぞれ溶接された一対の脚部30,30によって、車体フレームに固定されるようになっている。支持金具3は、後述するストッパ金具8とともにマウントAのケースとしても機能する。
図2に示すように、連結金具1は、軸線Z方向の中間部につば部10を有し、その下側には下方に向かってすぼんだテーパ部11が、また上側には軸部12が、それぞれ形成されている。軸部12の上端面にはパワープラント側のブラケットが取り付けられて、図示しないボルトがボルト穴12aに螺入される。図の例では、つば部10は軸線Zを中心とする円環状であり、その上面及び外周面に各々環状のストッパゴム6,7が設けられている。
さらに、連結金具1の内部には、ボルト穴12aの下端から下方に延びてテーパ部11の先端に開口するように通路13が形成されている。この通路13は、ボルト穴12aよりも小径で、上広がりのテーパ部を介してボルト穴12aに連通していて、後述のように液室Fに液体を供給する経路となる。尚、通路13の上端には鋼球等の封止材bが打ち込まれて、液室Fを封止している。
前記ゴム弾性体2は、その上部が連結金具1の下側のテーパ部11を覆って加硫接着され、そこから放射状に拡がりながら斜め下に向かって延びる厚肉の傘状部20と、この傘状部20の下端に連続して下方に延びる円筒部21とからなり、この円筒部21が支持金具3の内周に固定されている。すなわち、支持金具3は、図の例では内筒31と外筒32とからなる二重構造のものであり、その内筒31がゴム弾性体2の円筒部21に埋め込まれて一体化されるとともに、この円筒部21の外周面が外筒32の内周面に接着固定されている。
また、ゴム弾性体2の円筒部21は下側で内径が拡大されて、環状の段部が形成されており、この段部を受け部として下方からオリフィス盤4が嵌挿されるとともに、このオリフィス盤4を下方から覆うようにしてゴム製のダイヤフラム5が配設されている。ダイヤフラム5は、全体としては上方に開口する碗状であり、その開口縁を周回するように厚肉部50が形成されるとともに、補強部材51が埋め込まれている。こうして補強された厚肉部50は、オリフィス盤4の下面に液密に重ね合わされて、支持金具3の内筒31の下端に内向きに形成されたフランジによって下方からかしめられている。
また、ダイヤフラム5は、厚肉部50の内周側に連続して、オリフィス盤4の下面から略直角に離れる円筒状の周壁部52を備えており、その下縁には下凸に湾曲する環状のロール部53が連続している。このロール部53にて折り返されたダイヤフラム5の中央部54は常態で上すぼまりの円錐台状になっている。言い換えると、ダイヤフラム5は、常態では中央部54が上方に折り返されて断面略W字状をなし、その中央部54とそれを囲む環状のロール部53とが上下に反転することによって、容積が大幅に変化するものである。
そのように容積の変化するダイヤフラム5によって円筒部21の下端が閉じられ、ゴム弾性体2の内部には液体の封入される液室Fが形成されている。この液室Fは、オリフィス盤4によって上下に仕切られていて、その上側が受圧室f1になり、下側、即ちオリフィス盤4及びダイヤフラム5によって区画される部分が、平衡室f2になる。パワープラントからの振動が入力してゴム弾性体2が変形すると、主に受圧室f1の容積が変化し、液体がオリフィス通路Pを介して平衡室f2との間を流通する。この液体の流出入に伴い前記のようにダイヤフラム5が変形して、平衡室f2の容積が変化する(体積補償)。
オリフィス盤4は、金属製の本体部材40(仕切部材:以下、オリフィス盤本体40ともいう)と蓋部材41とが組合わされて、全体としては比較的厚肉の円盤状をなし、その内部にはゴム製の可動板42が収容されている。可動板42は、比較的周波数が高く振幅の小さなエンジン振動が入力したときに、この振動に同期して振動することで受圧室f1の液圧変動を吸収する。
すなわち、オリフィス盤本体40は、円形板の上面に円環状の立壁部40a(環状突部)が立設されてなり、その上に重ね合わされた蓋部材41との間に可動板42を収容している。この収容室を受圧室f1に連通させるよう蓋部材41には複数の貫通穴41a,41a,…が形成され、同様に、収容室を平衡室f2に連通させるようオリフィス盤本体40の相対的に内周寄りの範囲にも貫通穴40b,40b,…が形成されている。
また、立壁部40aの外周には、上方を蓋部材41によって囲まれて外周側に開口する溝部が概ね全周に亘って形成され、この溝部が外周側からゴム弾性体2の円筒部21によって囲まれることで、円環状のオリフィス通路Pが形成されている。オリフィス通路Pの一端は蓋部材41上面の開口部41bにて受圧室f1に臨み、他端はオリフィス盤本体40下面に開口する開口部40c(図3(a)にのみ示す)から平衡室f2に臨んでいる。オリフィス通路Pは、比較的低周波で振幅の大きな振動にチューニングされている。
一方、ゴム弾性体2の傘状部20等、マウントAの上側の部分を囲むように、支持金具3の上端にはその外筒32と略同径の円筒形状を有するストッパ金具8が取り付けられている。ストッパ金具8の下端には外側に張り出したフランジが形成され、このフランジがゴム弾性体2の円筒部21の上端に載置されて、その内部の内筒31の上端に外向きに形成されたフランジとともに、外筒32の上端に形成されたコ字状部によってかしめられている。
ストッパ金具8は、つば部10のストッパゴム7と当接することによって連結金具1の前後方向の相対変位を規制する。このストッパ金具8の上端には、連結金具1の軸部12を取り囲むように内周側に向かって延びるフランジが形成されており、このフランジの下面がつば部10上面のストッパゴム6に当接することによって、連結金具1の上方への変位を規制する。また、そのフランジの上面には、図示しないエンジン側のブラケットに当接して上方への移動が規制されるように、換言すれば、連結金具1の下方への相対変位を規制するように、ゴム層80が設けられている。
尚、図2においては、エンジンマウントAにパワープラントの静荷重が作用していない状態を示しており、つば部10上面のストッパゴム6とストッパ金具8上端のフランジとの隙間は小さいが、エンジンマウントAが自動車に取り付けられてパワープラントを支持し、その静荷重が加わる1G状態では、ゴム弾性体2が撓んで連結金具1が下方に変位するので、前記の隙間は大きくなる。
−オリフィス盤の下面の構造−
上述の如き構成のマウントAの製造工程では、まず、連結金具1と、ゴム弾性体2と、支持金具3の内筒31とを加硫一体化成形して、図4のように、支持金具3の外筒32やストッパ金具8の取り付けられていないマウントワークWを構成する。このマウントワークWを図示しない液封入装置にセットして連結金具1の軸部12にノズルを取り付け、真空ポンプによりボルト穴12a及び通路13を介して液室F内の空気を強制的に排気する(真空引き)。そして、同じノズルから液体を供給して液室Fに充填した後に、通路13に封止材bを打ち込んで封止する。
ここで、前記のように液室Fの内部を真空引きすると、図に模式的に示すように、負圧になる平衡室f2内にダイヤフラム5が陥没してオリフィス盤4の下面に吸い付けられるようになる。このときにダイヤフラム5は全体が一様に変形するのではなく、撓みやすい部位が局所的に大きく変形し、膜厚のばらつき等の影響もあって部位毎にかなり異なった変形状態になるため、一部が袋状になったりして、オリフィス盤4との間にエアポケットが形成され、この中の空気がマウントAの液室に残留して防振性能を低下させる虞れがあった。
これに対し、この実施形態のマウントAでは、本発明の特徴部分として、オリフィス盤本体40の外周部に密着するダイヤフラム5の開口縁付近があまり大きく変形しないように構成し、前記のように平衡室f2の負圧を受けて陥没しても、ダイヤフラム5の開口縁付近には周方向に概ね連続する空間が形成されるようにした上で、平衡室f2に臨むオリフィス盤本体40の下面(仕切り面であり、以下、平衡室側面ともいう)には、前記の空間に連通するように窪み部40dを設けて、そこから空気を吸い出すための経路を確保するようにしている。
すなわち、前記図3(a)に上下を反転し且つ拡大して示すように、オリフィス盤本体40の平衡室側面(同図では上面)には、相対的に内周寄りの所定範囲(図の例では半径が概ね半分の長さの範囲)が、それよりも外周寄りの範囲に比べて凹陥するように環状の段差40fが形成されている。この段差40fに囲まれた内周寄りの範囲は、可動板42の収容室の底部に対応しており、そこには、前記したように平衡室f2と可動板42の収容室とを連通させる貫通穴40b,40b,…が開口している。
図の例では貫通穴40b,40b,…は、オリフィス盤本体40の中心部の他、それを囲む同心円上に2列、配列されていて、各列毎に周方向に等間隔に並んでいる。内側列の連通孔40b,40b,…はいずれも断面円形状であり、外側列の連通孔40b,40b,…は、断面円形状のものと長円形状のものとが交互に並んでいる。これらの貫通穴40b,40b,…は、オリフィス盤4の蓋部材41の貫通穴41a,41a,…を介して受圧室f1に連通されており、真空引きの際に空気が吸引される貫通路を構成する。
一方、前記平衡室側面における外周部(図3(a)に斜線を入れて示す)には、図2、4に示されているように、ダイヤフラム5の開口縁の厚肉部50が液密に重ね合わされることになるが、この厚肉部50の内周側に近接するように、即ち、図3(a)においては斜線を入れた範囲とその内周側の環状段差40fとの間に、各々周方向に延びる複数の窪み部40d,40d,…が周方向に並んで形成されている。図の例では7つの窪み部40d,40d,…が形成され、同じ円周上のオリフィス通路開口部40cと共に略等間隔に配置されている。
ここで、前記のようにダイヤフラム5の開口縁付近には厚肉部50の内周側に連続して周壁部52がオリフィス盤本体40の平衡室側面から略直角に離れるように形成されており、その肉厚もロール部53や中央部54に比べて大きめとされて、相対的に剛性が高くなっている。そのため、前記のように真空引きされて負圧になった平衡室f2にダイヤフラム5が陥没し、その一部が大きく変形したり潰れたりしても、図5に示すように、当該ダイヤフラム5の開口縁の付近では平衡室側面との間に或る程度の大きさの空間が周方向に概ね連続して形成されるようになる。
この際、図示の如くダイヤフラム5は、その中央寄りの部分(環状ロール部53の内周側と中央部54)が全体的にオリフィス盤4(平衡室側面)に吸い付けられる一方で、前記のように空間が形成される開口縁付近では部位毎に異なった変形状態になるから、その空間も一部分では袋状になったりして、必ずしも全周に亘って連続しないこともあるが、それでも周方向に或る程度以上の長さに亘って連続する空間となる。
そうして周方向に或る程度以上、連続する空間に臨むように、オリフィス盤本体40の平衡室側面には周方向に延びる窪み部40d,40d,…が開口しているので、これら窪み部40d,40d,…の長さや間隔を適切に設定することで、いずれかの窪み部40d,40d,…が前記の空間に開口するようになる。尚、窪み部40d,40d,…を全周に亘って形成してもよいが、オリフィス盤本体40の剛性を確保するという観点からは、この実施形態のように周方向に不連続に形成する方がよい。
さらに、前記平衡室側面には、窪み部40d,40d,…のそれぞれから環状段差40fまで半径方向に延びるように、スリット状の溝部40e,40e,…が形成されている。そして、前記のようにダイヤフラム5の中央寄りの部位全体が平衡室側面に吸い付けられたときでも、このダイヤフラム5と平衡室側面の環状段差40fとの間には隙間が形成され、この隙間を介して溝部40e,40e,…が貫通穴40b,40b,…に連通されるようになる。
こうして、平衡室f2の負圧を受けたダイヤフラム5が陥没するように大きく変形し、オリフィス盤本体40の平衡室側面に吸い付けられたときでも、そのダイヤフラム5の開口縁付近に形成される周方向の空間から窪み部40d,40d,…及び溝部40e,40e,…を介して貫通穴40b,40b,…まで空気の流通経路が確保されるので、液室Fにおける空気の残留を防止することができる。
しかも、そうして確保される空気の流通経路の形状が、概ね窪み部40d,40d,…や溝部40e,40e,…の形状によって決まり、ダイヤフラム5の変形状態によって狭隘になったり、曲がりくねったりすることはないので、真空引きの時間が無用に長くなることもない。
より具体的には図3(b)に拡大して示すように、この実施形態では、窪み部40d,40d,…や溝部40e,40e,…をできるだけ深く形成しているため、それらの一部分にダイヤフラム5が被さっても、空気の流通する断面積を確保しやすい。特に窪み部40d,40d,…については、反対面に可動板42の収容室を区画する立壁部40aが形成されているので、かなり深くしても剛性の心配をする必要がなく、この実施形態では窪み部40d,40d,…の深さが環状段差40fよりも大きくなっている。
この点、環状段差40fも、或る程度まではそれが大きいほど、前記したように吸い付けられたダイヤフラム5との間の隙間が大きくなり、空気の流通断面が大きくなるが、可動板42の収容スペースとの取り合いもあって、環状段差40fを大きくするとオリフィス盤4全体がぶ厚くなってしまい、マウントAの寸法増大に繋がるので、環状段差40fはあまり大きくはできないのである
そうして窪み部40d,40d,…の深さが環状段差40fよりも大きいことに対応して、両者の間で溝部40e,40e,…の底は、環状段差40fの側で相対的に浅く、窪み部40d,40d,…の側で相対的に深くなるように傾斜している。この各溝部40eの底は窪み部40dの底に段付きなしに連続する一方、環状段差40fにおいてはオリフィス盤本体40の平衡室側面の内周寄りの範囲に段付きなしに連続しており、この溝部40eを流れる空気の流通抵抗を減らす上で有利になる。
したがって、この実施形態に係るエンジンマウントAによると、その製造工程において図4のようなマウントワークWの液室Fから連結金具1内の通路13及びボルト穴12aを介して真空引きするときに、同図及び図5にも示すように、負圧になる平衡室f2内にダイヤフラム5が陥没してオリフィス盤4の下面(平衡室側面)に吸い付けられるようになるが、このダイヤフラム5の構造に工夫をして、その開口縁付近に周方向に延びる空間が形成されるようにし、そこに開口する窪み部40d,40d,…等によって空気を吸い出すための経路を確保するようにしたので、平衡室f2、ひいては液室F内の空気の残留を防止することができ、マウントAの性能低下を阻止することができる。また、真空引きの時間が長くなって生産性の低下を招くこともない。
−他の実施形態−
尚、本発明に係る防振支持装置の構成は、前記した実施形態に限定されることはなく、その以外の種々の構成をも包含する。例えば前記の実施形態では、オリフィス盤本体40の平衡室側面において窪み部40d,40d,…を環状段差40fよりも深く形成し、両者間の溝部40e,40e,…の底は傾斜させて、窪み部40d,40d,…及び環状段差40fの両方に段付きなしに繋ぐようにしているが、これに限ることはなく、溝部40e,40e,…と窪み部40d,40d,…との間に段付きがあっても構わない。
また、前記実施形態のように、ダイヤフラム5が吸い付いたときに環状段差40fとの間の隙間を介して溝部40e,40e,…を貫通穴40b,40b,…に連通させる必要もなく、そのような段差40fは設けずに、例えば図6に示すようにオリフィス盤本体40の平衡室側面を略平坦面とすることもできる。この場合には、図示の如く溝部40e,40e,…を窪み部40d,40d,…から近接する貫通穴40b,40b,…まで形成して直接、連通させればよい。
また、オリフィス盤本体40に設ける貫通穴40b,40b,…の形状や配置も前記の実施形態に限定されず、例えば貫通穴40bは1つだけであっもよい。オリフィス盤本体40や蓋部材41を前記実施形態のように金属製とする必要はなく、それらを例えば樹脂製とすることもできる。
また、ダイヤフラム5の形状も前記の実施形態に限定されず、例えば開口縁の厚肉部50の内周側に連続する周壁部52は、オリフィス盤本体40の平衡室側面から略直角に離れている必要はない。但し、開口縁付近に周方向に延びる空間を形成するためには、周壁部52と平衡室側面との傾斜角度を45°以上とするのが好ましく、60°以上がより好ましい。
さらに、前記実施形態では、本発明の防振支持装置をいわゆる縦置きのエンジンマウントAに適用しているが、これに限らず、横置きのエンジンマウントにも適用することができるし、エンジンマウントに限らずサスペンションブッシュ等にも適用できる。さらに、自動車用途に限定されることもない。
以上、説明したように、本発明の防振支持装置は、製造工程で液室に空気が残留することを防止して、所期の特性を安定的に得ることができ、生産性が低下することもないので、産業上の利用性は高い。
エンジンマウントの外観を示す斜視図である。 同液室等、内部の構造を縦断面で示す斜視図である。 オリフィス盤本体の平衡室側面を示す拡大図(a)であり、さらに拡大して窪み部と溝部を示す説明図(b)である。 製造過程のマウントワークを示す図2相当図である。 負圧になった平衡室内に陥没して変形するダイヤフラムを示す斜視図である。 他の実施形態に係る図3(a)相当図である。
符号の説明
A エンジンマウント(液体封入式防振支持装置)
F 液室
f1 受圧室
f2 平衡室
P オリフィス通路
Z 軸線
1 連結金具
2 ゴム弾性体
3 支持金具
4 オリフィス盤
40 本体部材(オリフィス盤本体:仕切部材)
40a 立壁部(環状突部)
40b 貫通穴(貫通路)
40d 窪み部
40e 溝部
40f 環状段差
41 蓋部材
42 可動板
5 ダイヤフラム
50 厚肉部
52 周壁部(筒状の壁部)

Claims (6)

  1. 被支持体側に連結される連結金具と、これをゴム弾性体を介して支持する支持金具と、そのゴム弾性体の変形に伴い容積が変化するように前記両金具間に形成された液室と、この液室の内部を受圧室及び平衡室に仕切る仕切部材と、それら受圧室及び平衡室を連通するオリフィス通路と、を備えた液体封入式の防振支持装置であって、
    前記仕切部材には、平衡室に臨む仕切り面の相対的に内周寄りの所定範囲に、受圧室に至る貫通路が開口する一方、当該仕切り面の外周部には、平衡室を区画する碗状のゴム製ダイヤフラムの開口縁が密着されており、
    前記ダイヤフラムは、その開口縁に沿って形成された厚肉部が前記仕切り面に液密に重ね合わされるとともに、その厚肉部の内周側から前記仕切り面に対し所定以上の角度で離れるように延びる筒状の壁部を備え、
    前記仕切り面には、前記ダイヤフラムの厚肉部の内周側に近接して周方向に延びる窪み部が形成されるとともに、この窪み部を前記貫通路の開口に連通させるように溝部が形成されている
    ことを特徴とする液体封入式の防振支持装置。
  2. 仕切部材の仕切り面には、貫通路の開口する内周寄りの範囲が、それよりも外周寄りの範囲に比べて凹陥するように、環状の段差が形成され、
    溝部は、窪み部から前記環状段差まで形成されて、前記仕切り面にダイヤフラムが吸い付いたときに、このダイヤフラムと前記環状段差との間に形成される隙間を介して、前記貫通路の開口に連通される、請求項1の防振支持装置。
  3. 窪み部の深さが環状段差に比べて大きく、その窪み部から環状段差までの溝部の底が仕切り面に対し傾斜して、少なくとも窪み部の底に段付きなしに連続している、請求項2の防振支持装置。
  4. 仕切部材の仕切り面は略平坦面とされ、
    溝部は、窪み部から貫通路の開口まで形成されている、請求項1の防振支持装置。
  5. 窪み部は、仕切り面の周方向に間隔を空けて複数、形成されている、請求項1〜4のいずれか1つの防振支持装置。
  6. 仕切部材には、仕切り面に窪み部の形成されている部位に対応して、反対面に突出するように環状突部が形成されている、請求項1〜5のいずれか1つの防振支持装置。
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