本発明による揮散性物質放散用容器を用いた揮散性物質の放散方法の実施形態について説明する。
内部に揮散性物質を入れる揮散性物質放散用容器については、後述する揮散性物質放散用容器の各実施形態おいて詳細に説明するので、今回は概略的なものにする。この揮散性物質放散用容器1は、図1、図2に示すように、例えば前後の厚みが薄い中空状の直方体となり、その内部に揮散性物質2を入れる。この揮散性物質2としては消臭剤や芳香剤、害虫防除剤等である。
この揮散性物質放散用容器1内部への揮散性物質2の入れ方は、例えば、大きな開口部を有する外枠体と、この外枠体の内部に収める通気性を有する含浸材とからなる揮散性物質保持体3において、含浸材に消臭剤や芳香剤、害虫防除剤等の揮散性物質2を含浸させて保持させる方法が考えられる。
なお、この揮散性物質保持体3への揮散性物質2の保持の方法は、上記のような揮散性物質保持体3における含浸体に揮散性物質2を含浸させる方法のみに限定されるものではなく、含浸体の代わりにゲル状にした揮散性物質2を容器状の外枠体に入れて保持する等、他の方法でも良い。さらに、前述のものでは揮散性物質保持体3を用いているが、この揮散性物質保持体3を用いることなく、固体状の揮散性物質2の場合は粒状、球状や板状等の成形物として、また、揮散性物質2を昇華剤や造粒剤等で固形状にして揮散性物質放散用容器1の内部に直接入れるようにしても良い。
そして、この揮散性物質放散用容器1には、後面全体(図1参照)あるいは後面の上側を除いた大部分(図2参照)を開口して空気を流入する流入口4を備えると共に、上面全体を開口して空気を放出する放出口5を備える。なお、流入口4を備える後面や放出口5を備える上面以外の前面や左右の側面さらに下面は塞がっていることにより、揮散性物質放散用容器1にあっては、後面の流入口4から上面の放出口5につながる空間である流通路6が形成され、この流通路6内に揮散性物質2を保持した揮散性物質保持体3を配置するようにしている。
次に、このように構成された揮散性物質放散用容器1を送風機器、例えば扇風機10に取り付ける。これは、図3、図4に示すように、扇風機10における羽根11の前方に放射状に配置した複数のワイヤ12aによって形成される前面ガード12の上側に揮散性物質放散用容器1に備えた係止部を介して当該揮散性物質放散用容器1の後面を扇風機10の前面ガード12側に向けて、すなわち扇風機10の吹き出し側に当該揮散性物質放散用容器1の流入口4を扇風機10の吹き出し側に向けて取り付ける。
そして、扇風機10を作動し、羽根11を回転させて風を起こすと、扇風機10の前方に向かって吹き出す送風気流Sが発生する。このとき、扇風機10の前面ガード12の上側に取り付けた揮散性物質放散用容器1にあっては、扇風機10からの風が流入口4より流入し、揮散性物質保持体3における揮散性物質2を含浸させた含浸材に当り、この含浸材内を通過する。風が揮散性物質保持体3における含浸材内を通過した際、この含浸材に含浸させた揮散性物質2を揮散させて、扇風機10からの風と共に揮散性物質放散用容器1における流通路6に沿って上方に向かい、上方の放出口5より外部へと風と共に揮散性物質2が放出する。そして、放出口5より放出された風や揮散性物質2は、図1や図2に示すように、扇風機10より発生する送風気流Sの領域外、具体的には上方に向かうようになり、すなわち揮散性物質放散用容器1内の揮散性物質2が扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようにしている。
この扇風機10より発生する送風気流Sにあって、その領域としては、図1や図2において図中に示した点線の下側の部分(斜線を付した箇所)であり、図4において図中に示した上下の点線の間の部分(斜線を付した箇所)である。すなわち図1や図2、図4において図中に示す点線は扇風機10より発生する送風気流Sの境界線を示すものである。これにより、扇風機10より発生する送風気流Sの領域外としては、図1や図2において図中に示した境界線である点線の上側の部分である。
このように揮散性物質放散用容器1内の揮散性物質2を扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようにしたことで、扇風機10より発生する送風気流Sを直接受けて涼風感を得ようとする人に揮散性物質放散用容器1より放散した揮散性物質2が直接当たることがなく、揮散性物質2の吸入や身体への付着といった人体への悪影響といった懸念をなくすことができる。しかも、同時に、揮散性物質2を扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散することで、揮散性物質2を生活空間内に良好に放散することができ、不快な臭いを消したり、あるいは良い香りを漂わせたり、あるいは不快害虫を除去したりして、快適な生活空間を得ることもできる。
なお、害虫防除剤ではなく消臭剤や芳香剤等の中には天然成分等によって作り出されたものもあり、これらは人体に対して悪影響がない、つまり無害な場合もある。このような場合には、図5、図6に示すように、揮散性物質放散用容器1の上面に備えた放出口5に比べて大幅に小さな開口となる第二放出口7を当該揮散性物質放散用容器1の前面や下面に形成するようにして、扇風機10より発生する送風気流Sに混ぜて飛ばすようにしても良い。
また、前述した実施形態あるいは後述する揮散性物質放散用容器1の各実施形態にあっては、送風機器として扇風機10を用いた例で説明しているが、これに限定されるものではなく、冷風機でも良く、さらにはルームエアコンやカーエアコン等でも良い。
一方、揮散性物質放散用容器について説明する。
揮散性物質放散用容器1としては、図7、図8、図9、図10に示すように、前後の厚みが薄い中空状の立体となり、縦長となる前面壁21と、前後幅が狭く縦長となる左右の側面壁22と、左右細長の下面壁23と、後面壁24とから形成する。ただし、後面壁24は下面壁23より下方に舌状に突き出た構造である。なお、前面壁21と左右の側面壁22とにあっては上方に向かって外側に湾曲させることで、当該揮散性物質放散用容器1の上側をラッパ状に形成している。
このように構成することで、後面全体を大きく開口して空気を流入する流入口4を備えると共に、上面全体を大きく開口して空気を放出する放出口5を備えて、この後面の流入口4から上面の放出口5につながる空間である流通路6を形成する。そして、この流通路6である揮散性物質放散用容器1の内部に上側より揮散性物質保持体3を出し入れ自在に収納する。
この揮散性物質保持体3は、前面と後面とに大きな開口部をそれぞれ有するようになる四角形状の外枠体25と、この外枠体25の内部に収める通気性を有する四角形状の含浸材26とから構成し、外枠体25は二つに分離可能にして、一方を他方に嵌め込むような構造にしている。また、この外枠体25には横長の長孔27を全体に多数形成することで、大きな開口部を有するようにしている。
そして、この揮散性物質保持体3における含浸材26には消臭剤や芳香剤、害虫防除剤等の揮散性物質2を含浸させて保持させる。
また、この揮散性物質保持体3における含浸材26において、その材料としては、紙類(パルプ、リンター、合成紙等)、木製類(おがくず等)、セラミック、繊維類(化学繊維、ガラス繊維、炭素繊維等)、天然繊維(木綿、羊毛、絹、麻等)、樹脂類(ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ビスコース、高吸油性ポリマー等)、各繊維からの不織布、天然植物等の乾燥物等が挙げられる。そして、その形態としては、マット状、シート状、網状、ハニカム状、スノコ状、格子状、綿状、粒状等が挙げられる。また、その形状としては、前述の四角形状に限定されるものではなく、円形状や多角形状等でも良い。
そして、この揮散性物質保持体3の揮散性物質放散用容器1の内部への収納は、左右の側面壁22の両内側に設けた縦に向かう一対の挟持板28に揮散性物質保持体3の左右端部それぞれを挟み込むようにして収納する。これにより、揮散性物質保持体3を上側に取り出し可能とし、揮散性物質保持体3を揮散性物質放散用容器1より出し入れ自在に収納している。
なお、揮散性物質放散用容器1の内部に揮散性物質保持体3を収納した際、揮散性物質保持体3の前方に空間を形成するようにし、すなわち揮散性物質放散用容器1の前面壁21と揮散性物質保持体3との間に空隙を形成する。さらに、揮散性物質保持体3の下方にも空間を形成するようにし、すなわち揮散性物質放散用容器1の下面壁23と揮散性物質保持体3との間にも空隙を形成する。
また、下面壁23より下方に舌状に突き出た後面壁24にあっては、後方に扇風機10に当該揮散性物質放散用容器1を着脱自在に取り付けるための係止部31を備える。この係止部31は係止板32を有して、図8や図9や図10に示すように、扇風機10の前面ガード12における2本のワイヤ12aを後面壁24と係止部31の係止板32とで挟み込むようにすることで、当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10に着脱自在に取り付けることができるようにしている。
このような構成によって、当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10の前面ガード12の上側に取り付けたとき、空気を流入する流入口4が扇風機10の吹き出し側に相対するようになると共に、空気を放出する放出口5が扇風機10により発生する送風気流Sの領域外に向くようになる。
この揮散性物質放散用容器1の使用状態としては、扇風機10の前面ガード12の上側に当該揮散性物質放散用容器1の後面を扇風機10の前面ガード12側に向けて取り付け、そして、扇風機10を作動して、扇風機10の前方に向かって吹き出す送風気流Sを発生させると、扇風機10の前面ガード12の上側に取り付けた揮散性物質放散用容器1において、扇風機10からの風が流入口4より流入し、揮散性物質保持体3における含浸材26内を通過して、含浸材26に含浸させた揮散性物質2を揮散させる。そして、風と共に揮散した揮散性物質2が揮散性物質保持体3の前方に形成した空間を経て流通路6に沿って上方に向かい、上方の放出口5より外部へと放出する。また、このとき、流入口4より流入した風の一部が揮散性物質保持体3における含浸材26に当たることなく、揮散性物質保持体3の下方に形成した空間を流れることで、勢いの良い風が流通路6に沿って上方に向かうようになり、この風により上方の放出口5から揮散性物質2を良好に放散させることができる。
これにより、揮散性物質放散用容器1の放出口5より風や揮散性物質2が外部上方に放出するが、このとき、放出した風や揮散性物質2は、扇風機10より発生する送風気流Sの領域外である上方に向かうようになり、すなわち揮散性物質2を放出口5から扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようになる。
この揮散性物質放散用容器1にあっては、内部に入れた揮散性物質2を放出口5から扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようにしたことで、扇風機10より発生する送風気流Sを直接受けて涼風感を得ようとする人に揮散性物質放散用容器1より放散した揮散性物質2が直接当たることがなく、揮散性物質2の吸入や身体への付着といった人体への悪影響といった懸念をなくすことができる。しかも、同時に、揮散性物質2を扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散することで、揮散性物質2を生活空間内に良好に放散することができ、不快な臭いを消したり、あるいは良い香りを漂わせたり、あるいは不快害虫を除去したりして、快適な生活空間を得ることもできる。
また、揮散性物質2を含浸材26に含浸させて保持させた揮散性物質保持体3を揮散性物質放散用容器1より出し入れ自在に収納したことで、当該揮散性物質放散用容器1にあっては、単なる使い捨てではなく、揮散性物質保持体3の揮散性物質2がなくなったら、揮散性物質保持体3を新しいものに交換することにより、何回でも使用することができ、長期間、例えば数年間にわたって使用することができる。
なお、前述した揮散性物質放散用容器において、揮散性物質保持体3における含浸材26に含浸させる揮散性物質2を害虫防除剤とした場合、害虫防除剤は吸入や身体への付着等によって人体への悪影響が懸念される成分を非常に多く含む物質であるが、本発明による第一実施形態の揮散性物質放散用容器では、害虫防除剤が直接当たることが全くなく、害虫防除剤を吸入したりあるいは身体への付着といった問題をなくして、安全に不快害虫を除去して、快適な生活空間を得ることができるものである。特に、乳児や幼児あるいはお年寄り等が居る生活空間において、安全性を大幅に高めることができるので、極めて効果的である。
なお、この害虫防除剤としては、殺ダニ剤、害虫あるいは害獣忌避剤、殺虫剤または害虫の成長制御剤、吸血行動阻止剤等であり、殺虫を主たる目的として使用する場合は、従来より用いられている各種の揮散性殺虫剤、例えば、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等が挙げられる。ただし、一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適である。さらに、その中でも、微量で効力を発揮する高活性のメトフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、プロフルトリンが揮散性物質保持体3の含浸材26を薄く、また小さくできることからより好ましい。なお、前述のピレスロイド系殺虫剤は、低濃度では忌避や吸血阻害の効能を発現するので安全面で好適に使用することができる。また、安全性の高い植物精油(ペニーロイヤル油、レモングラス油、ヒバ油、ペパーミント油等)やその有効成分(プレゴン、シトラール、シトロネラール、ヒノキチオール、シネオール等)も忌避や吸血阻害の効能を発現するので好適に使用することができる。
また、上記したいろいろな害虫防除剤に害虫防除剤を徐放化する揮散調整剤(ワセリン類、グリコール類など)、酸化防止剤(BHT,BHAなど)、共力剤(ピペロニルブトキサイド、サイネピリン222など)、溶解剤(パラフィン類、多価アルコール類、脂肪酸エステル類など)等を必要に応じて添加することも可能である。
なお、前述した揮散性物質放散用容器1にあっては、扇風機10に取り付けて使用した例で説明しているが、扇風機10以外の送風機器、具体的には、冷風機、ルームエアコンやカーエアコン等に取り付けて使用しても良い。
例えば、ルームエアコンに取り付けて使用する場合、図11に示すように、揮散性物質放散用容器1の後面壁24に備える係止部31を、ルームエアコン50における吹き出し口のルーバー51を挟持できるようなクリップ状に形成して、図12に示すように、ルームエアコン50における吹き出し口に揮散性物質放散用容器1を上下逆さまにして取り付けて使用する。なお、係止部31については、クリップ状のものに限定されるものではなく、吹き出し口の二枚のルーバー51間に圧入して固定するタイプ、又は粘着ワッペン等による貼り付けるタイプ等でも良い。
次に、別の揮散性物質放散用容器について説明する。
揮散性物質放散用容器としては、図13、図14、図15に示すように、前後の厚みが薄い中空状の立体となり、縦長となる前面壁21と、前後幅が狭く縦長となる左右の側面壁22と、左右細長で湾曲状の下面壁23と、縦長となる後面壁24とから形成する。なお、下面壁23を湾曲状にすることにより、この下面壁23と左右の側面壁22とは面が連続する構造である。
そして、後面壁24には大きく開口して空気を流入する円形状の流入口4を備える。また、上面全体を大きく開口することで、空気を放出する放出口5を備える。これにより、後面壁24に備えた流入口4から上面の放出口5につながる空間である流通路6を形成する。そして、この流通路6である揮散性物質放散用容器1の内部に後側より揮散性物質保持体3を出し入れ自在に収納する。
この揮散性物質保持体3は、図16、図17に示すように、前面と後面とに放射状に伸びた6本のバー33を設けて大きな開口部をそれぞれ有するようになる円形状の外枠体25と、この外枠体25の内部に収める通気性を有する円形状の含浸材26とから構成し、外枠体25は二つに分離可能にして、一方を他方に嵌め込むような構造にしている。
なお、この揮散性物質保持体3における含浸材26にあっては、前述した揮散性物質放散用容器と略同様である。
そして、この揮散性物質保持体3の揮散性物質放散用容器1の内部への収納は、揮散性物質保持体3の外周4ヶ所にツメ片34を設けると共に、この揮散性物質保持体3のツメ片34が嵌め込まれる切り欠き状の嵌合部35を後面壁24の流入口4に設ける。この嵌め込みは揮散性物質保持体3のツメ片34を後面壁24の流入口4の嵌合部35に後側より入れて若干回転させることで、ここに嵌め込んで固定するようになるものである。これにより、揮散性物質保持体3を後側に取り出し可能とし、揮散性物質保持体3を揮散性物質放散用容器1より出し入れ自在に収納している。
また、後面壁24にあっては、上部に左右一対のツメ状の係止部31を備え、この左右の係止部31に扇風機10の前面ガード12における2本のワイヤ12aを引っ掛けることで、当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10に着脱自在に取り付けることができるようにしている。
なお、この左右の係止部31にあっては、図示はしないが、左右方向にそれぞれ移動可能な構造にすることにより、扇風機10の前面ガード12のワイヤ12aの間隔に合わせて左右にそれぞれ移動して調節することができ、当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10の前面ガード12の最適な位置に取り付けることもできる。
次に、別の揮散性物質放散用容器について説明すると、揮散性物質放散用容器1は、前述した揮散性物質放散用容器と基本的には同様であるが、図18、図19に示すように、左右の側面壁22を上方に向かって外側に湾曲させ、当該揮散性物質放散用容器1の上側が左右に広がるように形成すると共に、上面の左右中央に上面壁36を備えて、上面の放出口5を左右二方向に向くように分離した構造、つまり二つの放出口5を備える。さらに、後面壁24に備える左右一対のツメ状の係止部31は、後面壁24の上部の左右両端側にそれぞれ備える。
このように上面に二つの放出口5を備えることで、揮散性物質放散用容器1の放出口5から揮散性物質2を扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散する際、揮散性物質2を生活空間に広範囲にわたって放散することができる。
なお、この揮散性物質放散用容器にあっては、上面の放出口5を左右二方向に、つまり上面に二つの放出口5を備えた形状にすることで、例えば、前側となる前面壁21において、上方の左右二方向に分離した部位をウサギ、クマ、犬や猫等の動物の耳に見立てて、前面壁21に動物のキャラクターをデザインすることで、幼児や子供たちに喜ばれるものにすることもできる。
次に、別の揮散性物質放散用容器について説明すると、揮散性物質放散用容器1は、前述した揮散性物質放散用容器と基本的には同様であるが、図20、図21、図22に示すように、前面壁21の下部に上面の放出口5に比べて大幅に小さな開口となる微孔状の第二放出口7を複数備える。さらに、扇風機10に当該揮散性物質放散用容器1を着脱自在に取り付けるための係止部31を左右の側面壁22にそれぞれ備えて、この係止部31は弾性自在なり、かつ扇風機10の前面ガード12のワイヤ12aに引っ掛かるフック状となっている。
このような構成によって、例えば、揮散性物質保持体3における含浸材26に害虫防除剤ではなく天然成分等によって作り出されて人体に対して悪影響がない、つまり無害な芳香剤等を含浸させて保持させた場合、揮散性物質保持体3より揮散した芳香剤等の大部分は上面の放出口5から扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようになるが、ほんの一部は前面壁21に備えた第二放出口7から放散し、扇風機10より発生する送風気流Sに混ざって飛ぶようになる。このように人体に対して悪影響がない芳香剤等にあっては、非常に少量ではあるが、扇風機10より発生する送風気流Sに混ぜて飛ばすようにすることで、扇風機10より発生する送風気流Sを直接受けて涼風感を得ようとする人が芳香剤等を直接受けて香りをかすかに楽しむことができる。
次に、別の揮散性物質放散用容器について説明すると、基本的には前述した揮散性物質放散用容器と共通しているが、構成が多少異なる。
揮散性物質放散用容器としては、図23、図24、図25に示すように、前後の厚みが薄い中空状の立体となり、縦長の長方形となる前面壁21と、前後幅が狭く縦長となる左右の側面壁22と、左右細長の下面壁23と、縦長の長方形となる後面壁24とから形成する。
そして、後面壁24には大きく開口して空気を流入する四角形蜘蛛の巣状の流入口4を備える。また、上面全体を大きく開口することで、空気を放出する放出口5を備える。これにより、後面壁24に備えた流入口4から上面の放出口5につながる空間である流通路6を形成る。そして、この流通路6である揮散性物質放散用容器1の内部に上側より揮散性物質保持体3を出し入れ自在に収納する。
この揮散性物質保持体3は、前面と後面とに大きな開口部をそれぞれ有するようになる長方形状の外枠体25と、この外枠体25の内部に収める通気性を有する長方形状の含浸材26とから構成し、外枠体25は二つに分離可能にして、一方を他方に嵌め込むような構造にしている。また、この外枠体25には横長の長孔27を略全体に多数形成することで、大きな開口部を有するようにしている。
そして、この揮散性物質保持体3の揮散性物質放散用容器1の内部への収納は、左右の側面壁22の両内側それぞれに設けた縦に向かう一つのガイド板37と後面壁24の内側とで揮散性物質保持体3の左右端部それぞれを挟み込むようにして収納する。これにより、揮散性物質保持体3を上側に取り出し可能とし、揮散性物質保持体3を揮散性物質放散用容器1より出し入れ自在に収納している。
さらに、前面壁21の下部に上面の放出口5に比べて大幅に小さな開口となる横長スリット状の第二放出口7を複数(例えば、4ヶ所)備える。
このような構成によって、前述した揮散性物質放散用容器と同様、揮散性物質保持体3における含浸材26に人体に対して悪影響がない、つまり無害な芳香剤等を含浸させて保持させた場合、揮散性物質保持体3より揮散した芳香剤等のほんの一部を前面壁21に備えた第二放出口7から放散し、扇風機10より発生する送風気流Sに混ざって飛ぶようにすることができ、非常に少量ではあるが、芳香剤等を扇風機10より発生する送風気流Sに混ぜて飛ばすことで、扇風機10より発生する送風気流Sを直接受けて涼風感を得ようとする人が芳香剤等を直接受けて香りをかすかに楽しむことができる。
なお、この揮散性物質放散用容器1にあっては、扇風機10に当該揮散性物質放散用容器1を着脱自在に取り付けるための係止部31を備えるようになるが、この係止部31については、前述したものと全く異なり、図26に示すように、伸縮自在となるゴムバンドの両端それぞれにフック38を備えたものである。また、揮散性物質放散用容器1の左右の側面壁22それぞれにはその後端に縦長の掛合孔39を縦方向にわたって複数形成する。これにより、図27に示すように、揮散性物質放散用容器1の左右それぞれにおいて、係止部31の一端のフック38を左右の側面壁22それぞれに形成した掛合孔39に引っ掛けると共に、係止部31の他端のフック38を扇風機10の前面ガード12の外周枠12bに引っ掛けるようにして、揮散性物質放散用容器1を扇風機10に着脱自在に取り付けるようにしている。なお、係止部31のフック38を前面ガード12の外周枠12bに取り付ける位置としては、外周枠12bにワイヤ12aが接合する部分の上側にすることにより、係止部31のフック38が下がることなく確実に外周枠12bに引っ掛けることができる。
このように揮散性物質放散用容器1の左右の側面壁22それぞれに掛合孔39を複数形成することで、当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10に取り付ける際、扇風機10の前面ガード12のタイプ(形式)に合わせて、係止部31のフック38の引っ掛け位置を適宜選択して調節することにより、タイプの異なる各種の扇風機10に常に最適に取り付けることができる。
次に、別の揮散性物質放散用容器について説明すると、基本的には前述した揮散性物質放散用容器と共通しているが、構成が多少異なる。
揮散性物質放散用容器1としては、図28、図29、図30、図31、図32に示すように、前後の厚みが薄い中空状の立体となり、縦長の長方形となる前面壁21と、前後幅が狭く縦長で段部41を形成した左右の側面壁22と、左右細長の下面壁23と、縦長の長方形となる後面壁24とから形成する。
そして、後面壁24には大きく開口して空気を流入する長方形状の流入口4を備える。また、上面全体を大きく開口することで、空気を放出する放出口5を備える。これにより、後面壁24に備えた流入口4から上面の放出口5につながる空間である流通路6を形成る。そして、この流通路6である揮散性物質放散用容器1の内部に上側より揮散性物質保持体3を出し入れ自在に収納する。
この揮散性物質保持体3は、前述した揮散性物質放散用容器と同様、前面と後面とに大きな開口部をそれぞれ有するようになる長方形状の外枠体25と、この外枠体25の内部に収める通気性を有する長方形状の含浸材26とから構成している。また、この外枠体25には横長の長孔27を略全体に多数形成することで、大きな開口部を有するようにしている。
そして、この揮散性物質放散用容器1にあっては、左右の側面壁22に段部41を形成することで、後部の左右幅を前部の左右幅より大きくし、この後部の大きな左右幅の部分に揮散性物質保持体3を上側より収納し、左右の側面壁22に段部41と後面壁24の内側とで揮散性物質保持体3の左右端部それぞれを挟み込むようにし、ここに固定するようになるものである。
さらに、下面壁23に上面の放出口5に比べて大幅に小さな開口となる横長スリット状の第二放出口7を複数(例えば、6ヶ所)備える。
このような構成によって、前述した揮散性物質放散用容器と略同様、揮散性物質保持体3における含浸材26に人体に対して悪影響がない、つまり無害な芳香剤等を含浸させて保持させた場合、揮散性物質保持体3より揮散した芳香剤等のほんの一部を下面に備えた第二放出口7から放散し、扇風機10より発生する送風気流Sに混ざって飛ぶようにすることができ、非常に少量ではあるが、芳香剤等を扇風機10より発生する送風気流Sに混ぜて飛ばすことで、扇風機10より発生する送風気流Sを直接受けて涼風感を得ようとする人が芳香剤等を直接受けて香りをかすかに楽しむことができる。
なお、この揮散性物質放散用容器1にあっては、図33、図34に示すように、後面壁24において、上端より下端まで左右の一部を残して全部なくして、大きな開口となる流入口4を備えるようにしても良い。
次に、別の揮散性物質放散用容器について説明する。この揮散性物質放散用容器は、前述した揮散性物質放散用容器と少し異なる。
揮散性物質放散用容器としては、図35、図36、図37、図38に示すように、前後の厚みが薄く縦長の中空状の立体となり、縦長となる前面壁21と、前後幅が狭く縦長となる左右の側面壁22と、後面壁24とから形成する。なお、後面壁24については上端より下端まで左右の一部を残して中央を全部なくして大きく開口する構造である。なお、この揮散性物質放散用容器において、その縦寸法は当該揮散性物質放散用容器を取り付ける扇風機の前面ガードの直径と略同じ長さにする。
このように構成することで、後面にその略全体を大きく開口して空気を流入する流入口4を備えると共に、上面全体及び下面全体を大きく開口して空気を放出する放出口5を上面と下面それぞれに備え、この後面の流入口4から上面の放出口5及び下面の放出口5につながる空間である流通路6を形成する。そして、この流通路6である揮散性物質放散用容器1の内部に揮散性物質保持体3を収納する。
この揮散性物質保持体3の揮散性物質放散用容器1の内部への収納は、左右の側面壁22の両内側それぞれに設けた縦に向かう一つのガイド板37と後面壁24の内側とで揮散性物質保持体3の左右端部それぞれを挟み込むようにして収納する。これにより、揮散性物質保持体3を上側あるいは下側に取り出し可能とし、揮散性物質保持体3を揮散性物質放散用容器1より出し入れ自在に収納する。
また、後面壁24にあっては、上下中央のやや上部に左右一対のツメ状の係止部31を備え、この左右の係止部31に扇風機10の前面ガード12における2本のワイヤ12aを引っ掛けることで、当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10に着脱自在に取り付けることができるようにしている。
この揮散性物質放散用容器1の使用例としては、図39に示すように、扇風機10の前面ガード12の左右略中央に当該揮散性物質放散用容器1を扇風機10の前面ガード12における縦方向全長にわたって取り付ける。これにより、扇風機10からの風が流入口4より流入し、揮散性物質保持体3における含浸材26内を通過して、含浸材26に含浸させた揮散性物質2を揮散し、風と共に揮散した揮散性物質2が流通路6に沿って上方と下方とに分かれて流れ、上方の放出口5と下方の放出口5とより外部に放出する。
これにより、揮散性物質放散用容器1の上方と下方の二つの放出口5より風や揮散性物質2が上方と下方とにそれぞれ放出するが、このとき、放出した風や揮散性物質2は、扇風機10より発生する送風気流Sの領域外である上方と下方とに向かうようになり、すなわち揮散性物質2を放出口5から扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようになる。
このように、揮散性物質放散用容器にあっては、揮散性物質放散用容器1より揮散性物質2を放出する方向を上方のみに限定するものではなく、上方と下方の両方に揮散性物質2を放出するようにしても良い。さらに、この揮散性物質放散用容器については、扇風機10の前面ガード12の左右略中央に縦向き取り付けているが、これを左右の横向きに取り付けても良く、この場合、揮散性物質放散用容器1より放出する揮散性物質2は扇風機10の左右両側で、扇風機10より発生する送風気流Sの領域外に放散するようになる。
以上のように、揮散性物質放散用容器にあっては、前述したように、いろいろな形態のものがあるが、これらに限定されるものではなく、同様の機能を有するものなら他のものでも良い。
例えば、揮散性物質放散用容器1における揮散性物質保持体3の収納にあっても、後面壁24に備えた流入口4近傍に収納するようにしていたが、図40に示すように、揮散性物質放散用容器1における前面壁21の下部を前方に膨らませて、流入口4より少し離れたこの膨らませた部分に揮散性物質保持体3の収納させるようにしても良い。この場合、揮散性物質保持体3を用いても良いが、固形状にした揮散性物質2を直接入れるようにしても良い。そして、流入口4より流入した扇風機10からの風が固形状にした揮散性物質2(又は揮散性物質保持体3)の内部を通過するのではなく、表面(後側)を流れることで、固形状にした揮散性物質2(又は揮散性物質保持体3)より揮散した揮散性物質2を流通路6に沿って流して、上方の放出口5より外部へと放出するようにする。
また、図41に示すように、揮散性物質放散用容器1の後面壁24下部に備えた流入口4から上方の放出口5に向かう流入口4より少し離れた流通路6の上部に固形状にした揮散性物質2(又は揮散性物質保持体3)を収納するようにしても良い。なお、後面壁24下部に備えた流入口4にあっては、当該揮散性物質放散用容器1を取り付ける扇風機10の前面ガード12に沿うようにこの前面ガード12に合致する湾曲形状にしても良い。
さらに、揮散性物質放散用容器1に備える放出口5において、その数は、前述したような一つ又は二つのものに限定されるものではなく、三つ以上の複数に、例えば図示はしないが、揮散性物質放散用容器1の形状を十字形状にして、上下左右の四つの放出口5を備えるようにしても良い。また、中央に揮散性物質保持体3の収納し、この中央から放射状に複数延びてそれぞれの先端を放出口5とした構造の揮散性物質放散用容器1でも良い。このように、揮散性物質放散用容器1をいろいろな形状にすることが可能であり、デザイン性を加味させて揮散性物質放散用容器1を製作するようにしても良い。
1…揮散性物質放散用容器、2…揮散性物質、3…揮散性物質保持体、4…流入口、5…放出口、6…流通路、7…第二放出口、10…扇風機、11…羽根、12…前面ガード、12a…ワイヤ、12b…外周枠、21…前面壁、22…側面壁、23…下面壁、24…後面壁、25…外枠体、26…含浸材、27…長孔、28…挟持板、31…係止部、32…係止板、33…バー、34…ツメ片、35…嵌合部、36…上面壁、37…ガイド板、38…フック、39…掛合孔、41…段部、50…ルームエアコン、51…ルーバー