JP4788684B2 - 静電霧化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、帯電微粒子水を発生させるための静電霧化装置に関するものである。
従来から帯電微粒子水を発生させるための静電霧化装置として特許文献1が知られている。この特許文献1に示された従来の静電霧化装置5は、図17に示すように、放電電極1と、放電電極1を冷却して空気中の水分を該放電電極1に結露させることにより水分を供給する冷却手段2と、冷却手段2を密閉空間内に収容するためのハウジング3と、放電電極1に対向して位置するようにハウジング3に設置される対向電極4とを備えたもので、放電電極1と対向電極4との間に高電圧を印加することで放電電極1に保持される水分を静電霧化させるようになっている。
ハウジング3には冷却手段2を構成するペルチェユニットを収納する冷却手段収容部12が設けてあり、冷却手段収容部12の底部分には孔30が設けてあり、該孔30から冷却手段収容部に収容したペルチェユニットの冷却部に後端部が接触するように設けられた放電電極1を突出させ、更に、ハウジング3には対向電極保持部7’が一体に形成してあり、該対向電極保持部7’の先端部に対向電極4を設けて該対向電極4を上記放電電極1の先端と対向させるようになっている。
上記のような従来例においては、ハウジング3に対向電極保持部7’が一体に形成してあるので、放電電極1の先端と対向電極4との間の距離が固定であり、このため、印加電圧を可変することができないという問題がある。また、ハウジング3が一体形成品であるため、静電霧化装置5の外観形状が固定となり、各装置への組み込みの自由度が低いという問題がある。また、ハウジング3に空気孔9が設けてあるが、流入風が対向電極4の開口部に向かって必ずしも整流されていないので、帯電微粒子水の放出効率が低く、また、空気孔9からの流入した流入風が放電電極1に当って放電電極1の冷却効率を低下させるという問題がある。
特開2006−826号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、放電電極と対向電極との間の距離を可変として容易に印加電圧を変えることができ、また、容易に外観形状を変えて装置への組み込み自由度を増すと共に組み立てが簡略化でき、また、発生した帯電微粒子水を効率よく外部に飛散させることができる静電霧化装置を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明に係る静電霧化装置は、放電電極1と、放電電極1を冷却して空気中の水分を該放電電極1に結露させることにより水分を供給する冷却手段2と、冷却手段2を密閉空間内に収容し且つ放電電極1を保持するためのハウジング3と、放電電極1に対向して位置するようにハウジング3に設置される対向電極4とを備え、放電電極1と対向電極4との間に高電圧を印加することで放電電極1に保持される水分を静電霧化させる静電霧化装置5において、前記ハウジング3を、冷却手段2を収納する冷却手段収容部12を有し且つ冷却手段2により冷却される放電電極1を保持するハウジング本体部6と、該ハウジング本体部6とは別体の対向電極4を保持する対向電極保持部7とで構成し、前記冷却手段収容部12を有するハウジング本体部6が対向電極保持部7と冷却手段収容部12からの発熱を放熱するための放熱板19との間に挟持されて成ることを特徴とするものである。
このような構成とすることで、対向電極4を保持する対向電極保持部7の寸法の異なるものを任意にハウジング本体部6に組み合わせてハウジング3を形成することで、簡単に放電電極1と対向電極4との間の距離を変えて印加電圧を変えることができ、また、対向電極保持部7の形状を変えることで、簡単にハウジング3の外観形状を変えることができ、しかも、このように、印加電圧を簡単に変えたり外観形状を変えたりできるように、ハウジング3をハウジング本体部6と別体の対向電極保持部7とで構成したにもかかわらず、冷却手段収容部12を有するハウジング本体部6が対向電極保持部7と冷却手段収容部12からの発熱を放熱するための放熱板19との間に挟持してあるので、放電電極1を保持し且つ冷却手段収容部12に冷却手段2を収容して静電霧化装置を組み立てる際、ハウジング本体部6を対向電極保持部7と冷却手段収容部12とにより挟持するだけで簡単且つ正確に静電霧化装置の組み立てができ、組み立てが簡略化できる。
また、ハウジング本体部6と対向電極保持部7とを分離可能としてあることが好ましい。
このようにハウジング本体部6と対向電極保持部7とを分離可能とすることで、対向電極保持部7の交換や、ハウジング本体部6と対向電極保持部7との組み合わせ交換が可能となる。
また、ハウジング本体部6に、前記対向電極保持部7を位置決め設置するための位置決め部8が設けてあることが好ましい。
このような構成とすることで、対向電極保持部7がハウジング本体部6と別体であるにもかかわらず、簡単に対向電極保持部7をハウジング本体部6の正確な位置に位置決めして取付けることができて、対向電極4を放電電極1に対して設計通りの位置関係にできる。
また、ハウジング3に、外部空気をハウジング3内に流入させて空気流を生じさせる空気孔9を設けて発生した帯電微粒子水を空気流により外部に飛散させるように構成することが好ましい。
このような構成とすることで、ハウジング3の外から外部空気を空気孔9を介してハウジング3内に流入できて、発生した帯電微粒子水を流入した空気流によりスムーズに外部に飛散させることができる。
また、空気孔9が対向電極保持部7に形成され、ハウジング本体部6、もしくは対向電極保持部7及びハウジング本体部6に、空気孔9から流入した空気を整流するための整流用流路10が形成してあることが好ましい。
このような構成とすることで、空気孔9から流入した空気を整流用流路10を通過させることで整流し、発生した帯電微粒子水を整流した空気流れによりスムーズに外部に飛散させることができる。
また、空気孔9より流入した空気が放電電極1に当るのを防ぐための防風壁11を設けることが好ましい。
このような構成とすることで、空気孔9から流入した空気が放電電極1に当って放電電極1の冷却効率が低下することを防止でき、結露水の生成が効率よく行え、安定して効率よく静電霧化ができる。
また、放電電極1が突出したハウジング本体部6に放電電極1に高電圧を印加するための接続金具36を設置すると共に、該接続金具36をハウジング本体部6に設けた1あるいは複数の位置固定部に固定し、接続金具36に設けたリード線接続部39がハウジング本体部6に対して浮いた状態となっていることが好ましい。
このように接続金具36に設けたリード線接続部39がハウジング本体部6に対して浮いた状態となっていることで、接続金具36のリード線接続部39部分にばね性を持たせることができ、該ばね性でリード線接続部39にかかる応力を緩和して位置固定部における接続金具36の固定の信頼性を確保でき、また、位置固定部を複数設けた場合は、接続金具36の回転方向の動きを拘束することができて、放電電極1にかかる応力を抑制できる。
本発明は、ハウジングが、冷却手段を収納する冷却手段収容部を有し且つ冷却手段により冷却される放電電極を保持するハウジング本体部と、ハウジング本体部とは別体の対向電極を保持する対向電極保持部とで構成してあるので、寸法や形状の異なる対向電極保持部をハウジング本体部に組み合わせるだけで、簡単に放電電極と対向電極との間の距離を変えて印加電圧を変えて装置に適応した印加電圧に設定したり、ハウジングの外観形状を変えて装置に組み込む自由度を増すことができ、しかも、このように、印加電圧を簡単に変えたり外観形状を変えたりできるように、ハウジングをハウジング本体部と別体の対向電極保持部とで構成したにもかかわらず、放電電極を保持し且つ冷却手段収容部に冷却手段を収容して静電霧化装置を組み立てる際、ハウジング本体を対向電極保持部と冷却手段収容部とにより挟持するだけで簡単且つ正確に静電霧化装置の組み立てができ、組み立てが簡略化し装置の構造が簡略化できる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
まず、図1乃至図3に示す実施形態に基づいて本発明の一実施形態を説明する。本発明においてハウジング3は、ハウジング本体部6と、ハウジング本体部6とは別体の対向電極保持部7とを分離可能に組み合わせることで構成してある。
ハウジング本体部6はPBT樹脂やポリカーボネート樹脂やPPS樹脂や液晶ポリマー等の絶縁材料を用いて形成してあり、ハウジング本体部6には下面が開口した凹所12aが形成してあり、該凹所12aが冷却手段収容部12となっている。また、ハウジング本体部6の凹所12aの底部(つまり、ハウジング本体部6の上面部)の中央には放電電極1を挿通するための孔30が設けてある。
冷却手段収容部12を構成する凹所12a内には冷却手段2を構成するペルチェユニット2aが収容される。ペルチェユニット2aは、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のペルチェ回路板15を、互いの回路が向き合うように対向させ、多数列設してあるBiTe系の熱電素子16を両ペルチェ回路板15間で挟持すると共に隣接する熱電素子16同士を両側の回路で電気的に接続させ、ペルチェ入力リード線を介してなされる熱電素子16への通電により一方のペルチェ回路板15側から他方のペルチェ回路板15側に向けて熱が移動するように設けたものである。更に、上記一方の側(以下、冷却側という)のペルチェ回路板15の外側には熱伝導性グリース、熱伝導性接着剤、導電性ペースト等の熱伝導性膜31を介して放電電極1の後端部の大径部32を接触させた状態で放電電極1を孔30に挿通して放電電極1の後端部を残してハウジング本体部6の上方に突出させてある。
また、凹所12a内にペルチェユニット2aを収容した状態で、凹所12aの下端の開口を放熱板19により遮蔽してあり、ペルチェユニット2aの上記他方の側(以下、放熱側という)のペルチェ回路板15の外側を熱伝導性グリース、熱伝導性接着剤、導電性ペースト等の熱伝導性膜31を介して上記放熱板19が当接してある。放熱板19には必要に応じて放熱フィンを設けてもよい。
上記のように冷却手段2であるペルチェユニット2aを冷却手段収容部12である凹所12aに収容した状態で放熱板19で凹所12aの開口を閉じることで冷却手段2を密閉空間内に収容することになる。ここで、密閉空間の密閉性をより確実にするためにエポキシ樹脂等の封止部材34を用いて部材間を封止するようにしてある。
熱電素子16に通電すると、放電電極1が冷却され、放電電極1の空気と接する面に空気中の水分(湿気)が結露して放電電極1に結露水が生成するようになっている。
また、ハウジング本体部6の上面部には環状突起49が設けてあり、ハウジング本体部6の上面部には更に環状突起49よりも外側位置に接続金具36を固定するための位置固定部となる1乃至複数の取付け用突起29が突設してあり、この取付け用突起29に接続金具36の取付け孔37を嵌め込んで取付けてあり、また、接続金具36の一端部の電極嵌め込み部38が放電電極1に嵌め込んである。接続金具36にはリード線接続部39が設けてある。接続金具36は図16に模式的に記載しているように、平面視略T字状をしており、一片36aの片側半分に1乃至複数の取付け孔37を設けてあると共に該一片36aの他の片側半分部にリード線接続部39が設けてあり、該一片36aの取付け孔37を設けた方の片側半分側から先端に電極嵌め込み部38を有する他の片36bが一体に突設して構成してある。
そして、図1、図2、図16に示すように、接続金具36の一片36aの他の片側半分の先端部の自由端部分にリード線接続部39が設けてあり、ハウジング本体部6の位置固定部に対して放電電極1の突出方向にずれて位置するように、接続金具36の一片36aの片側半部のハウジング本体部6の位置固定部への固定部分(取付け孔37を嵌め込んで固定する部分)からリード線接続部39までの部位が、図16(b)のようにリード線接続部39側に向かうにしたがって次第にハウジング本体部6の上面部から離れるように斜めに傾斜し且つハウジング本体部6に対して浮いた状態となっている。したがって、接続金具36の接続金具36のハウジング本体部6の位置固定部への固定部分からリード線接続部39までの部位はばね性を有しており、このばね性によりリード線接続部39にかかる応力を緩和して位置固定部にかかる応力を緩和して位置固定部における固定の信頼性を向上させることができるようになっている。また、位置固定部を複数設けた場合は、接続金具36の回転方向の動きを拘束することができて、放電電極1にかかる応力を抑制でき、放電電極1の破損や、放電電極1とペルチェ回路板15側との接合部分の剥離を防止することができる。また、位置固定部を1つにする場合は、位置固定部を構成する取付け用突起29の断面形状を楕円形や角形状等の非円形状とすることで、接続金具36の回転方向の動きを拘束することができて、放電電極1にかかる応力を抑制できる。
また、図示していないが、接続部の接触信頼性を向上させるため、環状突起49が形成する凹部に封止樹脂を充填し、放電電極1と接続金具36の接触部周囲を封止樹脂で固めてもよい。
更に、ハウジング本体部6には両側面部に位置決め用リブ8aが設けてあり、また、ハウジング本体部6の上面部の両側上面部及びハウジング本体部6の両側面部に設けた段部6aの上面がそれぞれ位置決め面部8bとなっており、上記位置決め用リブ8a、位置決め面部8bが後述の対向電極保持部7と組み合わせる際の位置決め部8となっている。
対向電極保持部7はPBT樹脂やポリカーボネート樹脂やPPS樹脂や液晶ポリマー等の絶縁材料を用いて形成してあり、筒状部40の下部両側に下方に向けてL状をした一対の脚部41が垂設してあり、一対の脚部41の下端部にはそれぞれ外側方に向けて固定部42が一体に連出してある。また、一対の脚部41の内面には対向内面及び下方に開口する被位置決め溝43aが設けてあり、更に、脚部41の垂下基部及び脚部41の下端部の固定部42の突出基部のそれぞれ断面L状に屈曲した部分の内面部が被位置決め面部43bとなっており、被位置決め溝43a、被位置決め面部43bがハウジング本体部6と組み合わせる際に上記位置決め部8と位置決めされる被位置決め部44となっている。
また、一対の脚部41の突出基部には孔部52が設けてあり、一対の脚部41の両端間はそれぞれ側方開口部51となっている。
対向電極保持部7の上端部(実施形態においては筒状部40の上端開口縁部)には対向電極4を有する対向電極板45が取付けてあり、添付図面に示す実施形態では対向電極4は中央開口が円状をしたドーナツ板状をしていて中央開口の縁が対向電極4となっている。
上記の構成の対向電極4を保持した対向電極保持部7を前述のハウジング本体部6に位置決めして組み合わせることでハウジング3を構成するものである。組み合わせるに当っては、対向電極保持部7の一対の脚部41をハウジング本体部6の両側部に上方から被せるようにして組み合わせるのであるが、この場合、被位置決め溝43aに位置決め用リブ8aを嵌め込むことで、ハウジング本体部6に対して対向電極保持部7が水平方向の位置決め(放電電極1の軸方向に対して垂直な面内での位置決め)が行われ、また、ハウジング本体部6の上面部の両側上面部及びハウジング本体部6の両側面部に設けた段部6aの上面に設けた位置決め面部8bに、それぞれ脚部41の垂下基部及び脚部41の下端部の固定部42の突出基部の被位置決め面部43bを当接することで、ハウジング本体部6に対して対向電極保持部7の上下方向(放電電極1の軸方向に対して平行な方向の位置決め)がなされ、この位置決め状態で対向電極保持部7の固定部42を放熱板19に固着具46で固着することで、ハウジング本体部6を対向電極保持部7と放熱板19とで挟持することで、ハウジング本体部6と対向電極保持部7とが位置決め状態で組み合わせ結合されることになる。
ここで、上記のように対向電極保持部7に屈曲した(実施形態ではL状に屈曲した)被位置決め面部43bを1つ以上(図1乃至図4に示す実施形態では2つであるが、1つ又は3つ以上であってもよい)設けることで、対向電極保持部7の脚部41にばね性を持たせ、ペルチェユニット2aにかかる応力を緩和するようにしてある。
また、図3(a)のイで示す対向電極保持部7の上記脚部41の垂下基部の被位置決め面部43bがハウジング本体部6の上面部側端の位置決め面部8bに押し当たる部分が、図3(b)に示すように、ハウジング本体部6の上面部における冷却手段収容部12の側周囲を囲む壁12bの厚みに対応する部位のみに押し当たるように構成してあり(脚部41の垂下基部の被位置決め面部43bの横巾が冷却手段収容部12の壁12bの厚みと同じ又は小さい)、脚部41の垂下基部の被位置決め面部43bが、ハウジング本体部6の上面部における冷却手段収容部12の壁12bの厚みに対応する部位以外の部分(ハウジング本体部6の上面部における冷却手段収容部12の壁12bに囲まれた部分)に押し当たってこの部分を押さないようになっている。これにより、対向電極保持部7の上記脚部41の垂下基部の被位置決め面部43bがハウジング本体部6の上面部側端の位置決め面部8bに押し当てた際の力が冷却手段収容部12の壁12bで受けられ、ハウジング本体部6の上面部における冷却手段収容部12の壁12bに囲まれた部分が押付けにより下方に撓んでペルチェユニット2aに応力が作用するのが緩和され、信頼性が向上するようになっている。
本発明においては、前述のように、冷却手段収容部12を有するハウジング本体部6が対向電極保持部7と冷却手段収容部12からの発熱を放熱するための放熱板19との間に挟持する構成となっているので、印加電圧を簡単に変えたり外観形状を変えたりできるように、ハウジング3をハウジング本体部6と別体の対向電極保持部7とで構成したにもかかわらず、放電電極1を保持し且つ冷却手段収容部12に冷却手段2を収容して静電霧化装置を組み立てる際、ハウジング本体部6を対向電極保持部7と冷却手段収容部12とにより挟持するだけで簡単且つ正確に静電霧化装置の組み立てができ、組み立てが簡略化でき、また静電霧化装置の構造が簡略化できる。
ハウジング本体部6に対向電極保持部7を位置決めして組み合わせて構成したハウジング3には孔部52、側方開口部の上部がそれぞれハウジング3の内外に連通してハウジング3内(この場合筒状部40内)に外部空気を導入するための空気孔9を構成している。筒状部40は環状突起49よりも大径となっており、環状突起49の上端部と筒状部40の下端との間に空気孔9から流入した空気を整流するための整流用流路10が形成してある。
上記のように位置決めして組み合わせることで、ハウジング本体部6に保持した放電電極1の先端と、ハウジング本体部6とは別体の対向電極保持部7に設けた対向電極4とを設計通りの位置関係となるように精度良く組み立てることができて、安定した静電霧化が実現できる。
上記被位置決め溝43aに位置決め用リブ8aを嵌め込むに当って、図2のように位置決め用リブ8aの先端部(上端部)を先端程細くなるようにテーパ状のガイド部とすることで、嵌め込みが容易となって対向電極保持部7とハウジング本体部6との組立てが容易となる。
上記のような構成の静電霧化装置5は放電電極1と対向電極4との間に高電圧を印加することができるように高電圧印加部(図示せず)に接続したリード線がそれぞれ放電電極1と対向電極4とに接続される。この場合、放電電極1側においては、放電電極1に接続する接続金具36のリード線接続部39に接続されるもので、リード線は一対の脚部41間の開口部から導出される。
上記のような構成の静電霧化装置5は、前述のように熱電素子16に通電して放電電極1を冷却することで、空気中の水分が放電電極1の先端部に結露して水が供給される。そして、高電圧印加部から放電電極1と対向電極4との間に高電圧を印加すると、高電圧の印加により放電電極1側が負電極となって放電電極1の先端部に供給された水が帯電し、帯電した水にクーロン力が働き、水の液面が局所的に円錐形状に盛り上がってテイラーコーンが形成され、このテイラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となり、テイラーコーンの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受けて表面張力を超えてはじけるようにして水が分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返して静電霧化を行い、活性種(ラジカル)を含むナノメータサイズの帯電微粒子水が発生する。
ここで、静電霧化装置5を組み込む例えば空気清浄器、ヘアードライヤ、ヘアーブラシ等の組み込み先の装置により印加電圧に制約がある場合、放電電極1と対向電極4とが目的とする印加電圧となるような距離となるようにハウジング3に保持する必要がある。このため、従来にあっては、目的の距離関係となるように放電電極1と対向電極4を保持したハウジング3を複数種類用意する必要があるが、本発明においては、ハウジング本体部6と対向電極保持部7とが別体で分離可能となっているので、対向電極保持部7の寸法が異なるものを複数種類用意することで、共通のハウジング本体部6にいずれかの対向電極保持部7を前述のように組み合わせることで、放電電極1と対向電極4との間の距離を目的の印加電圧となるように設定することができる。図4、図5には、対向電極保持部7の上下長さの異なるものをそれぞれ共通のハウジング本体部6に組み合わせてハウジング3を形成することで電極間距離Hの異なる静電霧化装置5を構成した例を示している。例えば、図4(a)に示す場合印加電圧が4〜5kVとなるようにした例であるとすると、図4(b)のように電極間距離Hを短くすることで印加電圧を2〜3kVにすることができる。
また、図4(a)、図4(b)において矢印は静電霧化により発生した帯電微粒子水の拡散方向を示しており、電極間距離Hが長い図4(a)の場合は帯電微粒子水の拡散方向は鋭角で、電極間距離Hが短い図4(b)の場合は帯電微粒子水の拡散方向は広角となる。したがって、共通のハウジング本体部6に組み合わせる対向電極保持部7を選択することで、帯電微粒子水の拡散方向を異ならせることができ、静電霧化装置5の組み込み先の装置に応じて拡散方向の調整が可能となる。
更に、共通のハウジング本体部6に組み合わせる対向電極保持部7として形状の異なるものを複数用意することで、静電霧化装置5の組み込み先の装置に対応した組み込み易い形状のハウジング3とすることができ、様々な装置に静電霧化装置5を組み込むことが可能となる。
図5乃至図9にはハウジング本体部6と対向電極保持部7との組み合わせに当って位置決めするための位置決め部8及び被位置決め部44の他の実施形態が示してある。
図5、図6はそれぞれ、対向電極保持部7の下部に円筒状又は角筒状をした被嵌め込み部60を設け、被嵌め込み部60を有底円筒状又は有底角筒状をしたハウジング本体部6に圧入して被嵌することで位置決めをするようになっている。ここで、円筒状又は角筒状をした被嵌め込み部60の突出基部の内面及び内側面がそれぞれ上下方向及び水平方向の被位置決め部44となっており、有底円筒状又は有底角筒状をしたハウジング本体部6の上面の外周縁部及び外側面がそれぞれ上記上下方向及び水平方向の被位置決め部44と当接する上下方向及び水平方向の位置決め部8となっている。なお、図6においてはハウジング本体部6の上面と外側面とのなすコーナ部分に傾斜面61を設けて嵌め込みがし易くしてある。なお、円筒状の場合は、被嵌め込み部60、ハウジング本体部6のいずれか一方に回転止めのためのキー部、他方にキー溝を設けて回転しないように係合する。
図7に示す実施形態では円筒状をした被嵌め込み部60の内面に雌ねじを設けて被位置決め部44を構成し、有底円筒状をしたハウジング本体部6の外側面に雄ねじを設けて位置決め部8を設け、雌ねじを雄ねじに対して奥まで螺合すること位置決めするようになっている。この場合、螺合深さを調整することで位置調整することも可能である。
また、図8に示す実施形態では、有底円筒状又は有底角筒状をしたハウジング本体部6の上面外周部に上方に向けて位置決め部8となる嵌め込み筒部62を突設し、対向電極保持部7の下部に内側段部63を介して被位置決め部44となる一対の脚部41又は筒体部を垂設し、嵌め込み筒部62に脚部41又は筒体部を嵌め込むことで位置決めするようになっている。嵌め込み筒部62の上端及び内側面が内側段部63及び脚部41又は筒体部の外面に当接することで上下方向および水平方向の位置決めをしている。
また、図9に示す実施形態では、ハウジング本体部6に位置決め部8を構成するボス64を突設し、対向電極保持部7に被位置決め部44となる孔65を形成し、孔65をボス64に嵌め込むことで位置決めするようになっている。また、この実施形態では、対向電極保持部7の下端部に外側方に向けて突設した固定部42を、ハウジング本体部6の下端部に外側方に向けて突設した固定片66に重ねた状態で固定部42、固定片66を放熱板19に固着具46で固着するようになっている。そして、孔65を固定部42に設け、ボス64を固定片66に設けてある。
ところで、発生した帯電微粒子水はドーナツ状をした対向電極4の開口から外部に放出されるのであるが、この場合、図10に示すように対向電極保持部7には空気孔9を形成することで、空気孔9から外部空気を対向電極保持部7内に導入して空気流を生じさせ、発生した帯電微粒子水をこの空気流により対向電極4の開口から外部に効果的に飛散して放出することができる。
ここで、空気孔9の開口面積は対向電極4の開口の面積と同等か又はそれ以上が望ましく、これにより流入風と排出風との不整合をなくし、帯電微粒子水を効率よく外部に放出することができる。また、空気孔9は放電電極1の先端部よりも下方に設けるのが好ましく、このため、対向電極保持部7の下部に設ける。
上記のように外部空気を空気孔9から流入させて発生した帯電微粒子水を流入した空気流によりスムーズに外部に飛散させるに当って、ハウジング本体部6あるいは、対向電極保持部7及びハウジング本体部6には、空気孔9から流入した空気を整流するための整流用流路10が形成されることにより、空気孔9から流入した空気を整流用流路10を通過させることで整流し、発生した帯電微粒子水を整流した空気流れによりスムーズに外部に飛散させることができる。
図3、図11には整流用流路10の一実施形態が示してあり、対向電極保持部7とハウジング本体部6との間に対向電極保持部7に設けた空気孔9から流入した空気を整流するための整流用流路10が形成した例である。また、図12にはハウジング本体部6に対向電極保持部7に設けた空気孔9から流入した空気を整流するための整流用流路10が形成した例が示してある。また、図13には整流用流路10の上流側を対向電極保持部7とハウジング本体部6との間に形成すると共に下流側を対向電極保持部7に形成した例が示してある。いずれの場合も、ハウジング本体部6と対応電極保持部7とが別体に形成されているため、ハウジングに複雑な加工をしなくても、容易に整流用流路10を形成することができる。ここで、空気流の整流用流路10の出口から流れ方向が図12のように対向電極4の開口に向けて斜め方向に傾斜していたり、あるいは図13のように流れ方向が放電電極1と平行方向となっていて対向電極4の開口方向を向いていたりするものにおいては、空気流が直接放電電極1に当って冷却効率を低下させないようにできる。
また、図14のようにハウジング本体部6に空気孔9から流入した空気が放電電極1に当るのを防ぐための防風壁11を設けたり、あるいは、図3に示すように放電電極1に被嵌する断熱性を有するキャップ部70の外面部に防風壁11を形成したり、あるいは、図15に示すように対向電極保持部7に防風壁11を形成したりすることで、空気孔9から流入した空気が放電電極1に当って放電電極1の冷却効率が低下することを防止でき、結露水の生成が効率よく行え、安定して効率よく静電霧化ができる。ここで、図14に示すように防風壁11を円錐台のような外面がテーパ状となっていると、風が負圧の発生を防止して放電電極1の先端部から対向電極4の開口方向に向けてスムーズな流れを作るためより一層発生した帯電微粒子水を空気流れによりスムーズに外部に飛散させることができる。
なお、前述の各実施形態において、図14に示すようにハウジング本体部6、対向電極保持部7をそれぞれ別々に固着具46又は接着で放熱板19に固着するようにしてもよい。
本発明の一実施形態を示す斜視図である。 同上の分解斜視図である。 (a)は同上の断面図であり、(b)は同上の(a)のイ部分の拡大断面図である。 (a)(b)は上下方向の寸法の異なる対向電極保持部を共通のハウジング本体と組み合わせた例を示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の分解断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明の更に他の実施形態の断面図である。 本発明における接続金具の取付けを示す図面で、(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である。 従来例を示す断面図である。
符号の説明
1 放電電極
2 冷却手段
3 ハウジング
4 対向電極
5 静電霧化装置
6 ハウジング本体部
7 対向電極保持部
8 位置決め部
9 空気孔
10 整流用流路
11 防風壁
12 冷却手段収容部

Claims (7)

  1. 放電電極と、放電電極を冷却して空気中の水分を該放電電極に結露させることにより水分を供給する冷却手段と、冷却手段を密閉空間内に収容し且つ放電電極を保持するためのハウジングと、放電電極に対向して位置するようにハウジングに設置される対向電極とを備え、放電電極と対向電極との間に高電圧を印加することで放電電極に保持される水分を静電霧化させる静電霧化装置において、前記ハウジングを、冷却手段を収納する冷却手段収容部を有し且つ冷却手段により冷却される放電電極を保持するハウジング本体部と、該ハウジング本体部とは別体の対向電極を保持する対向電極保持部とで構成し、前記冷却手段収容部を有するハウジング本体部が対向電極保持部と冷却手段収容部からの発熱を放熱するための放熱板との間に挟持されて成ることを特徴とする静電霧化装置。
  2. 前記ハウジング本体部と対向電極保持部とを分離可能としてあることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
  3. 前記ハウジング本体部に、前記対向電極保持部を位置決め設置するための位置決め部が設けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電霧化装置。
  4. 前記ハウジングに、外部空気をハウジング内に流入させて空気流れを生じさせる空気孔を設けて発生した帯電微粒子水を空気流により外部に飛散させるように構成して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
  5. 前記空気孔が対向電極保持部に形成され、ハウジング本体部、もしくは対向電極保持部及びハウジング本体部に、空気孔から流入した空気を整流するための整流用流路が形成してあることを特徴とする請求項4記載の静電霧化装置。
  6. 空気孔より流入した空気が放電電極に当るのを防ぐための防風壁を設けて成ることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の静電霧化装置。
  7. 放電電極が突出したハウジング本体部に放電電極に高電圧を印加するための接続金具を設置すると共に、該接続金具をハウジング本体部に設けた1あるいは複数の位置固定部に固定し、接続金具に設けたリード線接続部がハウジング本体部に対して浮いた状態となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
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