以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における緩衝器における回路図である。図2は、一実施の形態における緩衝器の減衰特性図である。図3は、一実施の形態の一変形例における緩衝器における回路図である。
一実施の形態における緩衝器Dは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されるとともにシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されるともに一端がピストン2に連結されるロッド3と、リザーバRと、伸側室R1とリザーバRとを連通する伸側通路4と、伸側通路4の途中に設けられて伸側室R1からリザーバRへ向かう流体の流れに抵抗を与える伸側減衰弁5と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸圧通路6と、圧側室R2とリザーバRとを連通する圧リザーバ通路7と、伸圧通路6の途中に設けられて圧側室R2から伸側室R1へ向かう流体の流れに抵抗を与える圧側減衰弁8と、圧リザーバ通路7の途中に設けられて圧側室R2からリザーバRへ向かう流体の流れに抵抗を与えるリザーバ側減衰弁9と、二対の伸側副減衰回路10a,10bと圧側副減衰回路11a,11bとを備えて構成されている。
以下、各部について詳細に説明すると、シリンダ1は、筒状に形成され、その上下端は、それぞれヘッド部材12とボトム部材13によって閉塞されて流体たる作動油が充填されている。なお、本実施の形態においては、流体は作動油とされているが、これに限られるものではなく、これ以外の液体であっても気体であってもよい。
そして、シリンダ1内は、摺動自在に挿入されるピストン2によって伸側室R1と圧側室R2とに区画されており、ピストン2の図1中左端には、ロッド3が連結され、当該ロッド3は、ヘッド部材12に摺動自在に軸支されている。
すなわち、この緩衝器の場合、取付長の点で有利となる片ロッド型の緩衝器として構成されている。
また、伸側通路4は、ヘッド部材12を介して伸側室R1とリザーバRとを連通しており、伸側減衰弁5はヘッド部材12に内設されている。この伸側減衰弁5は、伸側室R1の圧力が開弁圧を超えると伸側通路4を開放するとともに当該伸側室R1の圧力に比例して流路面積を増大させる圧力比例弁とされ、伸側室R1からリザーバRへ向かう作動油の流れに抵抗を与えるようになっている。すなわち、この伸側減衰弁5は、伸側室R1圧力がリザーバRの圧力を下回ることがあっても開放動作せず、逆止弁としても機能している。
さらに、この実施の形態の場合、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸圧通路6はピストン2に設けられており、圧側減衰弁8もピストン2に設けられている。この圧側減衰弁8は、圧側室R2の圧力が開弁圧を超えると伸圧通路6を開放するとともに当該圧側室R2の圧力に比例して流路面積を増大させる圧力比例弁とされ、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れに抵抗を与えるようになっている。すなわち、この圧側減衰弁8は、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力を下回ることがあっても開放動作せず、逆止弁としても機能している。
また、ピストン2には、伸側室R1と圧側室R2とを連通する一対のリリーフ流路14,15が設けられており、一方のリリーフ流路14の途中には伸側室R1内の圧力が開弁圧を超えるとリリーフ流路14を開放して伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側リリーフ弁16が設けられ、他方のリリーフ流路15の途中には圧側室R2内の圧力が開弁圧を超えるとリリーフ流路15を開放して伸側室R1と圧側室R2とを連通する圧側リリーフ弁17が設けられている。
これら伸側リリーフ弁16および圧側リリーフ弁17にあっては、緩衝器Dの伸縮時に伸側室R1と圧側室R2の一方が所定圧力となると、対応する伸側リリーフ弁16あるいは圧側リリーフ弁17が動作して、圧力を伸側室R1と圧側室R2の他方へ逃がして、緩衝器Dの発生減衰力を制限する。
なお、上記した伸圧通路6およびリリーフ流路14,15は、シリンダ1外に設けてもよいが、ピストン2に設けられることで、緩衝器Dの無用な大型化を避けることがでできる。
つづいて、圧リザーバ通路7は、ボトム部材13を介して圧側室R2とリザーバRとを連通しており、リザーバ側減衰弁9は当該ボトム部材13に内設されている。このリザーバ側減衰弁9は、圧側室R2の圧力が開弁圧を超えると圧リザーバ通路7を開放するとともに当該伸側室R1の圧力に比例して流路面積を増大させる圧力比例弁とされ、圧側室R2からリザーバRへ向かう作動油の流れに抵抗を与えるようになっている。すなわち、このリザーバ側減衰弁9は、圧側室R2の圧力がリザーバRの圧力を下回ることがあっても開放動作せず、逆止弁としても機能している。
なお、ボトム部材13には、リザーバRと圧側室R2とを連通する吸込通路18が設けられており、この吸込通路18の途中にはリザーバRから圧側室R2への流れのみを許容する逆止弁19が設けられている。
そして、緩衝器Dが伸長作動をするときには、伸側室R1が圧縮されるので伸側室R1からリザーバRへ伸側減衰弁5を介して作動油が流出されるとともに、圧側室R2へはリザーバRから吸込通路18を介して作動油が供給される。反対に、緩衝器Dが収縮作動をするときには、伸側室R1の容積膨張分の作動油が圧側室R2から圧側減衰弁8を介して供給され、シリンダ1内に侵入するロッド3の体積分の作動油が圧側室R2からリザーバ側減衰弁9を介してリザーバRへ吐き出される。
このように、緩衝器Dでは、ユニフローではなくバイフローの緩衝器として構成され、伸長時には伸側減衰弁5で減衰力を発生し、収縮時には圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9で減衰力を発生するのであるが、ピストン速度が同じである場合に伸縮時で同じ減衰力を発生できるように、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9における開弁圧、圧力に対する流路面積の比例度合が調整されている。
引き続き、伸側副減衰回路10aは、伸側室R1とリザーバRとを連通する伸側副通路20aと、伸側副通路20aの途中に設けられて伸側室R1からリザーバRへ向かう流体の流れに抵抗を与える伸側副減衰弁20bと、伸側副通路20aを開閉する伸側副切換弁として機能する収束切換弁41とを備えて構成されており、この伸側副減衰回路10aと対を成す圧側副減衰回路11aは、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸圧副通路21aと、圧側室R2とリザーバRとを連通する圧リザーバ副通路21bと、伸圧副通路21aの途中に設けられて圧側室R2から伸側室R1へ向かう流体の流れに抵抗を与える圧側副減衰弁21cと、圧リザーバ副通路21bの途中に設けられて圧側室R2からリザーバRへ向かう流体の流れに抵抗を与えるリザーバ側副減衰弁21dと、伸圧副通路21aの途中に設けられて伸圧副通路21aを開閉する圧側副切換弁21eと、圧リザーバ副通路21bを開閉するリザーバ側副切換弁として機能する収束切換弁41とを備えて構成されている。
伸側副通路20aは、伸側通路4と並列して伸側室R1とリザーバRとを連通し、伸圧副通路21aは、伸圧通路6と並列して伸側室R1と圧側室R2とを連通し、圧リザーバ副通路21bは、圧リザーバ通路7と並列して圧側室R2とリザーバRとを連通している。
すなわち、伸側副減衰弁20bは、伸側減衰弁5に並列配置され、圧側副減衰弁21cは、圧側減衰弁8に並列配置され、リザーバ側副減衰弁21dも同様にリザーバ側減衰弁9に並列配置されている。
そして、この実施の形態の場合、伸側副通路20aと圧リザーバ副通路21bとが収束通路40によって収束されてリザーバRへ連通されるようになっており、この収束通路40の途中に収束切換弁41が設けられている。この収束切換弁41は、収束通路40を遮断する状態では、伸側副通路20aと圧リザーバ副通路21bの両方を遮断し、収束通路40を開放する状態では、伸側副通路20aと圧リザーバ副通路21bの両方を開放するようになっている。すなわち、収束切換弁41は、伸側副切換弁とリザーバ側副切換弁の両方の機能を兼ね備えている。このように、収束通路40を設けることによって、伸側副切換弁としての機能とリザーバ側副切換弁としての機能を一つの収束切換弁41に集約させることが可能となる。なお、収束通路40を設けずに、伸側副切換弁とリザーバ側副切換弁とを独立に設けることも当然可能である。
また、伸側副減衰弁20bは、上述の伸側減衰弁5と同様の構成とされた圧力比例弁であって、伸側室R1の圧力が開弁圧を超えると開放動作するとともに、伸側室R1圧力がリザーバRの圧力を下回ることがあっても開放動作せず、逆止弁としても機能する。なお、この伸側副減衰弁20bは、伸側減衰弁5と同じ開弁圧で開弁するとともに、圧力に対する流路面積の比例度合も同じに設定されている。
さらに、圧側副減衰弁21cも、上述の圧側減衰弁8と同様の構成とされた圧力比例弁であって、圧側室R2の圧力が開弁圧を超えると開放動作するとともに、圧側室R2圧力が伸側室R1の圧力を下回ることがあっても開放動作せず、逆止弁としても機能する。なお、この圧側副減衰弁21cは、圧側減衰弁8と同じ開弁圧で開弁するとともに、圧力に対する流路面積の比例度合も同じに設定されている。
同様に、リザーバ側副減衰弁21dにあっても、上述のリザーバ側減衰弁9と同様の構成とされた圧力比例弁であって、圧側室R2の圧力が開弁圧を超えると開放動作するとともに、圧側室R2圧力がリザーバRの圧力を下回ることがあっても開放動作せず、逆止弁としても機能する。なお、このリザーバ側副減衰弁21dは、リザーバ側減衰弁9と同じ開弁圧で開弁するとともに、圧力に対する流路面積の比例度合も同じに設定されている。
また、収束切換弁41および圧側副切換弁21eは、手動操作によって連通ポジションと遮断ポジションとを選択的に切換可能とされているが、ソレノイドによって切換えられる電磁弁とされても良い。
そして、収束切換弁41および圧側副切換弁21eを連通ポジションとすると、緩衝器Dの伸長時には作動油は、伸側減衰弁5のみならず、これに並列される伸側副減衰弁20bをも通過して伸側室R1からリザーバRへ流出することになり、緩衝器Dの収縮時には作動油は、圧側室R2から圧側減衰弁8のみならず圧側副減衰弁21cをも介して伸側室R1へ移動するとともに、圧側室R2からリザーバ側減衰弁9のみならずリザーバ側副減衰弁21dをも介してリザーバRへ流れるようになる。他方、収束切換弁41および圧側副切換弁21eを遮断ポジションとすると、緩衝器Dの伸縮時に、作動油は、伸側副減衰弁20b、圧側副減衰弁21cおよびリザーバ側副減衰弁21dを通過せずに、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9のみを通過することになる。
つまり、収束切換弁41および圧側副切換弁21eは、伸側副減衰回路10aおよび圧側副減衰回路11aの減衰機能の発揮と停止とを切換えるスイッチとして機能している。また、伸側副減衰回路10aおよび圧側副減衰回路11aは対を成しており、収束切換弁41および圧側副切換弁21eが連通ポジションを採ると両方ともその減衰機能を発揮し、反対に遮断ポジションではその減衰機能を停止する。
なお、伸側副減衰回路10aおよび圧側副減衰回路11aにおける伸側副減衰弁20b、圧側副減衰弁21cおよびリザーバ側副減衰弁21dは、緩衝器Dのピストン速度が同じである場合、伸縮時で同じ減衰力を発生できるように、伸側副減衰弁20b、圧側副減衰弁21cおよびリザーバ側副減衰弁21dにおける開弁圧、圧力に対する流路面積の比例度合が調整されている。
さらに、伸側副減衰回路10bは、伸側室R1とリザーバRとを連通する伸側副通路22aと、伸側副通路22aの途中に設けられて伸側室R1からリザーバRへ向かう流体の流れに抵抗を与える伸側副減衰弁22bと、伸側副通路22aを開閉する伸側副切換弁として機能する収束切換弁43とを備えて構成されており、この伸側副減衰回路10bと対を成す圧側副減衰回路11bは、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸圧副通路23aと、圧側室R2とリザーバRとを連通する圧リザーバ副通路23bと、伸圧副通路23aの途中に設けられて圧側室R2から伸側室R1へ向かう流体の流れに抵抗を与える圧側副減衰弁23cと、圧リザーバ副通路23bの途中に設けられて圧側室R2からリザーバRへ向かう流体の流れに抵抗を与えるリザーバ側副減衰弁23dと、伸圧副通路21aの途中に設けられて伸圧副通路23aを開閉する圧側副切換弁23eと、圧リザーバ副通路23bを開閉するリザーバ側副切換弁として機能する収束切換弁43とを備えて構成されている。
伸側副通路22aは、伸側通路4および伸側副通路20aと並列して伸側室R1とリザーバRとを連通し、伸圧副通路23aは、伸圧通路6および伸圧副通路21aと並列して伸側室R1と圧側室R2とを連通し、圧リザーバ副通路23bは、圧リザーバ通路7および圧リザーバ副通路21bと並列して圧側室R2とリザーバRとを連通している。
すなわち、伸側副減衰弁22bは、伸側減衰弁5および伸側副減衰弁20bに並列配置され、圧側副減衰弁23cは、圧側減衰弁8および圧側副減衰弁21cに並列配置され、リザーバ側副減衰弁23dも同様にリザーバ側減衰弁9およびリザーバ側副減衰弁21dに並列配置されている。
そして、この実施の形態の場合、伸側副通路22aと圧リザーバ副通路23bとが収束通路42によって収束されてリザーバRへ連通されるようになっており、この収束通路42の途中に収束切換弁43が設けられている。この収束切換弁43は、収束通路42を遮断する状態では、伸側副通路22aと圧リザーバ副通路23bの両方を遮断し、収束通路42を開放する状態では、伸側副通路22aと圧リザーバ副通路23bの両方を開放するようになっている。すなわち、収束切換弁43は、伸側副切換弁とリザーバ側副切換弁の両方の機能を兼ね備えている。このように、収束通路42を設けることによって、伸側副切換弁としての機能とリザーバ側副切換弁としての機能を一つの収束切換弁43に集約させることが可能となる。なお、収束通路42を設けずに、伸側副切換弁とリザーバ側副切換弁とを独立に設けることも当然可能である。
また、伸側副減衰弁22bは、上述の伸側減衰弁5および伸側副減衰弁20bと同様の構成とされた圧力比例弁で、伸側減衰弁5と同じ開弁圧で開弁するとともに、圧力に対する流路面積の比例度合は二倍に設定されている。
さらに、圧側副減衰弁23cも、上述の圧側減衰弁8および圧側副減衰弁21cと同様の構成とされた圧力比例弁で、圧側減衰弁8と同じ開弁圧で開弁するとともに、圧力に対する流路面積の比例度合は二倍に設定されている。
同様に、リザーバ側副減衰弁23dにあっても、上述のリザーバ側減衰弁9およびリザーバ側副減衰弁21dと同様の構成とされた圧力比例弁で、リザーバ側減衰弁9と同じ開弁圧で開弁するとともに、圧力に対する流路面積の比例度合は二倍に設定されている。
また、収束切換弁43および圧側副切換弁23eは、手動操作によって連通ポジションと遮断ポジションとを選択的に切換可能とされているが、ソレノイドによって切換えられる電磁弁とされても良い。
そして、収束切換弁43および圧側副切換弁23eを連通ポジションとすると、緩衝器Dの伸長時には作動油は、伸側減衰弁5のみならず、これに並列される伸側副減衰弁22bをも通過して伸側室R1からリザーバRへ流出することになり、緩衝器Dの収縮時には作動油は、圧側室R2から圧側減衰弁8のみならず圧側副減衰弁23cをも介して伸側室R1へ移動するとともに、圧側室R2からリザーバ側減衰弁9のみならずリザーバ側副減衰弁23dをも介してリザーバRへ流れるようになる。
他方、収束切換弁43および圧側副切換弁23eを遮断ポジションとすると、緩衝器Dの伸縮時に、作動油は、伸側副減衰弁22b、圧側副減衰弁23cおよびリザーバ側副減衰弁23dを通過せずに、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9のみを通過することになる。
つまり、収束切換弁43および圧側副切換弁23eは、伸側副減衰回路10bおよび圧側副減衰回路11bの減衰機能の発揮と停止とを切換えるスイッチとして機能している。また、伸側副減衰回路10bおよび圧側副減衰回路11bは、伸側副減衰回路10aおよび圧側副減衰回路11aと同様に対を成しており、収束切換弁43および圧側副切換弁23eが連通ポジションを採ると両方ともその減衰機能を発揮し、反対に遮断ポジションではその減衰機能を停止する。
なお、伸側副減衰回路10bおよび圧側副減衰回路11bにおける伸側副減衰弁22b、圧側副減衰弁23cおよびリザーバ側副減衰弁23dもまた、緩衝器Dのピストン速度が同じである場合、伸縮時で同じ減衰力を発生できるように、伸側副減衰弁22b、圧側副減衰弁23cおよびリザーバ側副減衰弁23dにおける開弁圧、圧力に対する流路面積の比例度合が調整されている。
以上、緩衝器Dは、上述のように構成され、以下、その作動について説明する。
(1)まず、収束切換弁41,43および圧側副切換弁21e,23eがともに遮断ポジションにあって伸側副減衰回路10a,10bおよび圧側副減衰回路11a,11bが機能しない場合、緩衝器Dの伸側減衰力は、作動油が伸側減衰弁5を通過することによって生じ、他方、緩衝器Dの圧側減衰力は、作動油が圧側減衰弁8、およびリザーバ側減衰弁9を通過することによって生じ、その発生減衰力は、図2中実線で示すように、ピストン速度が同じ場合には伸側と圧側で等しくなるとともに、ピストン速度に比例して増大する。この緩衝器Dでは、作動油が伸長時には伸側減衰弁5のみ、収縮時には圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9のみを通過するので、伸縮の両方で流路面積が最小となって、減衰係数が最大となる。なお、図2中、実線で示す減衰特性(ピストン速度に対する減衰力の変化をしめしたもの)のラインが途中で変曲しているが、これは、変曲点で伸側リリーフ弁16および圧側リリーフ弁17が開弁し減衰力の増加が抑制されるからである。また、ピストン速度が0のときに、減衰力が発生されるのは、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9が開弁するまでは、ピストン2が動かない状態で伸縮に抗する力を発生するからである。
(2)つづいて、収束切換弁41および圧側副切換弁21eが連通ポジションとされ、収束切換弁43および圧側副切換弁23eが遮断ポジションにあって伸側副減衰回路10aおよび圧側副減衰回路11aは機能するが、伸側副減衰回路10bおよび圧側副減衰回路11bが機能しない場合、緩衝器Dの伸側減衰力は、作動油が伸側減衰弁5および伸側副減衰弁20bを通過することによって生じ、他方、緩衝器Dの圧側減衰力は、作動油が圧側減衰弁8、圧側副減衰弁21c、リザーバ側減衰弁9およびリザーバ側副減衰弁21dを通過することによって生じ、その発生減衰力は、図2中破線で示すように、ピストン速度が同じ場合には伸側と圧側で等しくなるとともに、ピストン速度に比例して増大する。この場合、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9のみを通過する場合に比較して、作動油は伸側副減衰弁20b、圧側副減衰弁21cおよびリザーバ側副減衰弁21dをも通過するので、流路面積が二倍となり、減衰係数が半分となる。なお、図2中、破線で示す減衰特性のラインが途中で変曲するのは、上記したのと同様、伸側リリーフ弁16および圧側リリーフ弁17が開弁するからであり、ピストン速度が0のときに、減衰力が発生されるのも上述と同様である。
(3)つづいて、収束切換弁41および圧側副切換弁21eが遮断ポジションとされ、収束切換弁43および圧側副切換弁23eが連通ポジションにあって伸側副減衰回路10aおよび圧側副減衰回路11aは機能しないが、伸側副減衰回路10bおよび圧側副減衰回路11bが機能する場合、緩衝器Dの伸側減衰力は、作動油が伸側減衰弁5および伸側副減衰弁22bを通過することによって生じ、他方、緩衝器Dの圧側減衰力は、作動油が圧側減衰弁8、圧側副減衰弁23c、リザーバ側減衰弁9およびリザーバ側副減衰弁23dを通過することによって生じ、その発生減衰力は、図2中一点鎖線で示すように、ピストン速度が同じ場合には伸側と圧側で等しくなるとともに、ピストン速度に比例して増大する。この場合、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9のみを通過する場合に比較して、作動油は伸側副減衰弁22b、圧側副減衰弁23cおよびリザーバ側副減衰弁23dをも通過するので、流路面積が三倍となり、減衰係数が三分の一となる。なお、図2中、破線で示す減衰特性のラインが途中で変曲するのは、上記したのと同様、伸側リリーフ弁16および圧側リリーフ弁17が開弁するからであり、ピストン速度が0のときに、減衰力が発生されるのも上述と同様である。
(4)さらに、収束切換弁41,43および圧側副切換弁21e,23eがともに連通ポジションにあって伸側副減衰回路10a,10bおよび圧側副減衰回路11a,11bがともに機能する場合、緩衝器Dの伸側減衰力は、作動油が伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20bおよび伸側副減衰弁22bを通過することによって生じ、他方、緩衝器Dの圧側減衰力は、作動油が圧側減衰弁8、圧側副減衰弁21c、圧側副減衰弁23c、リザーバ側減衰弁9、リザーバ側副減衰弁21dおよびリザーバ側副減衰弁23dを通過することによって生じ、その発生減衰力は、図2中二点鎖線で示すように、ピストン速度が同じ場合には伸側と圧側で等しくなるとともに、ピストン速度に比例して増大する。この場合、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8およびリザーバ側減衰弁9のみを通過する場合に比較して、作動油は伸側副減衰弁20b、伸側副減衰弁22b、圧側副減衰弁21c、圧側副減衰弁23c、リザーバ側副減衰弁21dおよびリザーバ側副減衰弁23dをも通過するので、流路面積が四倍となり、減衰係数が四分の一となる。なお、図2中、破線で示す減衰特性のラインが途中で変曲するのは、上記したのと同様、伸側リリーフ弁16および圧側リリーフ弁17が開弁するからであり、ピストン速度が0のときに、減衰力が発生されるのも上述と同様である。
このように、この緩衝器Dにあっては、バイフローに設定されていても、伸側副減衰回路10a,10bおよび圧側副減衰回路11a,11bを対として選択的に機能させることによって、減衰力を可変とすることができる。
そして、この緩衝器Dでは、伸長時には伸側室R1内の流体たる作動油が圧縮され、収縮時にシリンダ1内の全体ではなく圧側室R2内の作動油が圧縮されることになるので、ユニフローに見られるように伸長時と収縮時で圧縮される流体量が著しく異なることがなく、伸長側と収縮側で作用する減衰弁の設定、この実施の形態では、伸側減衰弁5、圧側減衰弁8、リザーバ側減衰弁9、伸側副減衰弁20b,22b、圧側副減衰弁21c,23cおよびリザーバ側副減衰弁21d,23dの設定によって狙い通りの減衰力を緩衝器Dに発生させることができ、さらに、この実施の形態のように、各減衰弁を上述のように設定すれば、緩衝器Dにピストン速度が同じであれば伸縮の両側で等しい減衰力を発揮させることが出来るのである。
換言すれば、この緩衝器Dにあっては、減衰力を可変とするとともに伸縮の両側で狙い通りの減衰力を発揮させつつバイフローを採用することができることから、伸縮時に圧縮される流体量を比較的小さくすることができるので、伸縮量が非常に小さい微振動に対しても、充分に減衰力を発揮することが出来るのである。
さらに、この緩衝器Dにあっては、バイフローに設定されるので、ピストン断面積とロッド断面積の関係に制限が無く、緩衝器Dの設計自由度が高くなり、また、ピストン径あるいはロッド径が強度上無駄に大径となる不具合もないので、緩衝器の大型化と重量増を招くことがない。
また、緩衝器Dにおける減衰力を可変とするに際して、伸縮動作の切換わりに伸側減衰弁5、圧側減衰弁8、リザーバ側減衰弁9、伸側副減衰弁20b,22b、圧側副減衰弁21c,23cおよびリザーバ側副減衰弁21d,23dを都度選択する必要が無いので、大掛かりな制御装置の介在を要せず、この点でも緩衝器Dを含めたシステム全体の大型化を避けることができる。
そして、また、この緩衝器Dでは、伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22b、圧側減衰弁8、圧側副減衰弁21c,23c、リザーバ側減衰弁9およびリザーバ側副減衰弁21d,23dが各々圧力比例弁とされているので、減衰係数を可変にすることができる。また、これにより、伸縮量が非常に小さい微振動に対しても、減衰力の変化幅を確保することができる。
さらに、伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22b、圧側減衰弁8、圧側副減衰弁21c,23c、リザーバ側減衰弁9およびリザーバ側副減衰弁21d,23dは、逆止弁としても機能するので、伸側通路4、圧側通路6、圧リザーバ通路7、伸側副通路20a,22a、伸圧副通路21a,23aおよび圧リザーバ副通路21b,23bの各通路に別途の逆止弁を設ける必要が無いので、この点でも緩衝器Dの無用な大型化を防止している。
なお、この場合、二対の伸側副減衰回路10a,10bおよび圧側副減衰回路11a,11bを設けているので、減衰力を4通りに変化させることができるが、伸側副減衰回路と圧側副減衰回路で成る対を増やせば、さらに減衰力の変化パターンを増加させることができる。たとえば、上記対の数をnとすると、減衰力の変化パターンは、2n通りとなる。
つづいて、図3に示した、一実施の形態の一変形例における緩衝器D’について説明する。この緩衝器D’は、一実施の形態の緩衝器Dの圧側減衰弁8、リザーバ側減衰弁9、圧側副減衰弁21c,23cおよびリザーバ側副減衰弁21d,23dの各々に並列する複数の固定オリフィス51,52,53,54,55,56を設けている。
なお、リザーバ側副減衰弁21d,23dにそれぞれ並列される固定オリフィス54,56に対して、圧側室R2からリザーバRへ向かう流れのみを許容する逆止弁57,58が直列に配置されており、緩衝器D’の伸長時に伸側副減衰弁20b,22bを通過した作動油が固定オリフィス54,56を通過して伸側室R1から圧側室R2へ流入してしまうことを防止している。
また、収束通路40,42を設けずに、伸側副切換弁とリザーバ側副切換弁とを独立に設けるようにする場合には、上記逆止弁57,58を設けなくとも良い。
そして、このように緩衝器D’に固定オリフィス51,52,53,54,55,56を設けることによって、伸縮時のピストン速度に対する減衰力の立ち上がりにおける減衰特性のラインを二乗特性となるように設定することが可能となる。ここで、伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22bのそれぞれには対応する固定オリフィスが並列配置されていないが、伸長時にあっては、作動油は固定オリフィス51,53,55を通過して伸側室R1から圧側室R2へ移動するので、伸長側のピストン速度に対する減衰力の立ち上がりにおける減衰特性のラインもオリフィス特性である二乗特性となるので、伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22bのそれぞれに固定オリフィスを並列させずともよく、また、固定オリフィス51,52,53,54,55,56の設定によって伸縮の両側で等しい減衰力を発生させることが可能となる。
なお、上記構成に加えて固定オリフィスを伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22bのそれぞれに並列して設けてもよく、また、緩衝器D’に要求される減衰力によって、伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22b、圧側減衰弁8、リザーバ側減衰弁9、圧側副減衰弁21c,23cおよびリザーバ側副減衰弁21d,23dのうち任意のものに対して固定オリフィスを並列させるようにしても良い。
なお、各実施の形態において、伸側通路4、伸側副減衰回路10a,10bにおける伸側副通路20a,22aは、上述したところでは、伸側室R1とリザーバRとを連通するようにされているが、伸側室R1と圧側室R2とを連通するようにしてもよい。この場合、が伸長作動するときに、作動油は伸側室R1から圧側室R2へ移動するが、圧側室R2はリザーバRから吸込通路18を介してロッド4がシリンダ1から退出する体積分の作動油の供給を受けるため圧側室R2内はリザーバR内と等圧となるので、作動は上述緩衝器D,D’と全く同じとなる。したがって、このように、伸側通路4、伸側副通路20a,22aで伸側室R1と圧側室R2とを連通する場合、ピストン2にこれら通路を設けてよい。
また、図示したところでは、伸側副減衰回路10a,10bおよび圧側副減衰回路11a,11bにおける伸側減衰弁5、伸側副減衰弁20b,22b、圧側減衰弁8、リザーバ側減衰弁9、圧側副減衰弁21c,23c、リザーバ側副減衰弁21d,23d、圧側副切換弁21e,23eおよび収束切換弁41,43が、シリンダ1の外方に設けられているが、これらをヘッド部材12およびボトム部材13の内部に設置するようにしても良いことは無論である。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。