JP4787098B2 - Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置 - Google Patents

Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4787098B2
JP4787098B2 JP2006194157A JP2006194157A JP4787098B2 JP 4787098 B2 JP4787098 B2 JP 4787098B2 JP 2006194157 A JP2006194157 A JP 2006194157A JP 2006194157 A JP2006194157 A JP 2006194157A JP 4787098 B2 JP4787098 B2 JP 4787098B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antenna
nmr
nmr signal
signal
signal detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006194157A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008020398A (ja
Inventor
毅 和久田
秀樹 田中
祐三 福田
久晃 越智
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2006194157A priority Critical patent/JP4787098B2/ja
Publication of JP2008020398A publication Critical patent/JP2008020398A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4787098B2 publication Critical patent/JP4787098B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Description

本発明は、測定対象から発する電磁波を検出するNMR信号検出装置に関し、特に、磁気共鳴イメージング(MRI)、磁気共鳴分光イメージング(MRS)を含む核磁気共鳴(NMR)信号検出装置およびこれを利用した核磁気共鳴分析装置に関する。
核磁気共鳴(NMR)は、水素、炭素13などの核スピンが、磁場中で特定周波数の電磁波を吸収、放出する現象である。その周波数スペクトルは、試料の分子の化学構造を反映するため、分子構造の決定などに核磁気共鳴が利用される。
NMR信号を得るためには、測定対象の試料を静磁場中に配置し、特定周波数の電磁波を照射し、放出される電磁波を検出する必要がある。
NMR信号強度は、静磁場強度の増加とともに増加するため、高感度NMR計測用の磁場発生源には、超電導磁石が利用される。磁場強度としては、凡そ、7テスラから22テスラの超電導磁石がNMR計測に利用されている。プロトンの共鳴周波数に換算すると、凡そ、300MHzから930MHzとなる。
また、NMR共鳴周波数は、磁場強度に比例して大きくなる。共鳴周波数の増大により、NMRスペクトルの周波数分解能が向上するため、タンパク質計測など、高分解能の計測が必要とされる場合には、プロトン共鳴周波数が600MHz以上のものが利用される。
試料に近接するように、電磁波を照射するためのアンテナが配置される。所定の周波数の電磁波を効率良く照射できるように調整されている。一般には、照射用のアンテナは、NMR信号を検出するための受信アンテナを兼ねる。
共鳴現象によって試料から発せられるNMR信号の強度は極めて小さいため、共鳴信号を検出する回路を共振回路とし、大きな電圧信号が得られるようにしてある。
特許文献1に開示されているように、NMR信号検出装置は、試料から発するNMR信号を拾うためのアンテナ部のインダクタと、特定の周波数で共振させ、かつ、インピーダンスの整合を取るために調整されたキャパシタから構成されている。
特開平2−309276号公報
NMR信号検出のためには、共振回路が不可欠である。直列共振の共振周波数は、共振回路のインダクタンスをL、キャパシタンスをCとすれば、よく知られているように(1)式で表される。
f=1/2π√LC……………………………………………………………………(1)
直列共振回路の共振周波数と、NMR信号の共鳴周波数は、等しくなるように構成する必要がある。NMR共鳴周波数は、サンプルが置かれる磁場の磁場強度の大きさに比例するが、磁石がつくる磁場強度は一定であるため、共鳴周波数も一定である。
NMR信号電圧を増加させるためには、NMR信号を拾うアンテナ部の有効な長さを長くする必要がある。そのためには、例えば、サドル型コイルを用いたアンテナにおいては、サドル型コイルの軸長を増加させる方法がある。一方、ソレノイド型コイルを用いたアンテナにおいては、コイルの巻き数を増やすという方法がある。
アンテナ部の有効長を大きくすることにより、アンテナ部のインダクタンスLが増加することとなる。一方、直列共振の条件を満たすためには、インダクタンスLの増加に応じて、回路のキャパシタンスCを小さくする必要がある。
共鳴周波数fを600MHzとし、アンテナのインダクタンスLを50nHとすると、キャパシタンスCは、1.4pFとなる。実際の共振回路のおいては、1pFオーダの浮遊容量が存在するため、インダクタンスLが50nH以上のアンテナを用いて安定な共振回路を実現することは極めて困難である。
したがって、コイルの有効長さを増やすということによって、NMR信号強度を増加させ、計測可能な試料体積を大きくすることが困難であった。
本発明の目的は、NMR信号強度を増大させることである。
本発明の他の目的は、コイルの有効長さを増すことなく、NMR信号強度を増大させることである。
本発明のさらに他の目的は、コイルの有効長さを増すことなく、NMR信号強度を増大させ、計測可能な試料体積を大きくすることである。
本発明はその一面において、ある観測核のNMR信号を受信するためのアンテナと、前記アンテナのコイル(インダクタ)と共振回路を構成するキャパシタを備えたNMR信号検出装置において、アンテナと共振回路から構成される信号検出ユニットを複数備え、前記複数の信号検出ユニットから取り出した信号を合成する信号合成手段を備えたことを特徴とする。
本発明は他の一面において、2組の前記共振回路と、これら2組の共振回路から取り出した信号を合成する信号合成手段を備えたことを特徴とする。
本発明はまた他の一面において、2組の前記アンテナと、2組の前記キャパシタ及び2組の前記共振回路と、これら2組の共振回路から取り出した信号を合成する信号合成手段を備えたことを特徴とする。
本発明はさらに他の一面において、前記アンテナとして、逆向きに巻かれた2つのアンテナコイルと、これらのアンテナコイルのそれぞれとの間で2つの共振回路を形成する2組のキャパシタと、これら2組の共振回路から取り出した信号を合成する信号合成手段を備えたことを特徴とする。
本発明の望ましい実施態様においては、前記アンテナと共振回路から構成される信号検出ユニットは、測定対象核の共鳴周波数と同じ周波数で共振するように調整されている。検出ユニットのそれぞれは、完全に独立した共振回路の形態か、または、それぞれの検出ユニットの一部分が共用となって共振回路を構成する形態となっており、検出装置全体としては、複数の共振回路が存在する。
本発明の望ましい実施態様においては、検出ユニットの構成素子であるアンテナコイルは、検出装置全体としては複数個設置される。ここで、一つのコイルの中間部にタップがあることによってオートトランス型コイルとなっている場合でも、アンテナ素子の個数は複数とみなす。オートトランス型となっていることは、アンテナ部の小型化の点から好ましい。
本発明の望ましい実施態様においては、アンテナコイルは、NMR共鳴を起こした試料から放出される電磁波を受信できるように、試料に接近した位置に設置される。アンテナコイルは、鞍型、鳥籠型コイル、ソレノイド型コイルなど任意の形状でよいが、NMR検出信号強度を増大させるために、アンテナの有効体積あたりの受信信号強度が大きなソレノイド状のアンテナを用いる。
複数の信号検出ユニットの出力を合成する回路手段は、任意の素子、回路を用いて良く、その回路のひとつとしてはパワーコンバイナがある。前記パワーコンバイナとしては、受動素子によって構成されるウィルキンソン・パワー・ディバイダであることが好ましい。
本発明によるNMR信号検出装置は、複数の信号検出ユニットからの出力を合成することによって信号出力の増大を図るものである。信号の合成は、初段のアンプの入力以前に行われることがS/Nを向上させる上で有利なため、信号合成手段を初段アンプの前段に配置することが好ましい。
また、検出回路から初段アンプまでの伝送路における信号ロスや、雑音の混入をさけるため、信号合成手段は、アンテナ部に出来る限り近づけることが望ましく、信号合成手段はプローブ内部に内蔵されていることが好ましい。
また、本発明の望ましい実施態様においては、信号検出ユニットは、サンプルからのNMR信号を受信するためのアンテナと、前記アンテナのコイルと共振回路を構成するキャパシタを備えたNMR信号検出ユニットを2つ設置する。そして、前記2つの信号検出ユニットから出力される信号の実質的な位相差がλ/2となるように、位相シフト手段(移相器)が設置され、前記λ/2の位相差をもつ2つの信号を合成する信号合成手段を備える。
また、信号合成手段は、λ/2の位相差がある2つの電圧信号の差分を取り、2つの電圧信号の振幅の和が回路から出力されるように構成することが望ましい。
さらに、2つの信号にλ/2の位相差をつけるための位相シフト手段が、信号検出ユニットを構成する共振回路と信号合成手段の間に設置される。この位相シフト手段としては、適切な長さを有する伝送線路もしくはトランスを用いることが出来る。
信号の合成の際には、差動入力のアンプもしくはバラン(Balun:平衡−不平衡変換器)を使って合成する。これら合成手段の入力ポートは、それぞれアイソレートされた入力ポートとなっていることが好ましい。
本発明によれば、複数の信号検出ユニットから取り出した信号を合成することにより、NMR信号強度を増大させることができる。
また、本発明の他の一面によれば、2組の共振回路から取り出した信号を合成することによって、コイルの有効長さを増すことなく、NMR信号強度を増大させることができる。
本発明のまた他の一面によれば、それぞれ2組のアンテナ、キャパシタ及び共振回路を備え、これらの共振回路から取り出した信号を合成することによって、コイルの有効長さを増すことなく、NMR信号強度を増大させることができる。
本発明のさらに他の一面によれば、逆向きに巻かれた2つのアンテナコイルと、2組のキャパシタとの間で2つの共振回路を形成し、これら2組の共振回路から取り出した信号を合成することによって、コイルの有効長さを増やすことなく、NMR信号強度を増大させ、計測可能な試料体積を大きくすることができる。
本発明の望ましい実施態様によれば、複数のアンテナコイルを逆巻きとし、これらによって形成した複数の信号検出ユニットからそれぞれ信号を取り出し、合成することにより、信号検出能力を増強しつつ、全体としてのインダクタンスを抑制できる。
これらにより、計測可能な試料体積を増大でき、検出されるNMR信号強度を大きくすることができる。
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の中で明らかにする。
以下、本発明に関わるNMR信号検出回路の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態については、測定対象核種として、H核の一つのみを対象とするが、これは発明の概念を示すためであり、この核種や、1つの核種のみを計測対象と限定するものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態のNMR信号検出装置の概略構成図である。試験管1内には試料11があり、その周囲に、NMR信号を検出する2つのアンテナコイル21、22が巻きまわされており、それぞれのアンテナで検出される信号は、それぞれの共振回路31,32を経て信号合成回路(手段)4に入力され合成される。アンテナコイル21と22の巻き方向は逆向きである。
図2は、本発明の第1の実施形態によるNMR信号検出装置の電気回路図である。図に示すように、2つのアンテナコイル21(インダクタンスL1)、22(同L2)が直列接続されている。これに対し、それぞれキャパシタ511(キャパシタンスCT1)、512(同CM1)の直列体及び521(同CT2)、522(同CM2)の直列体が、それぞれ並列接続されている。これによって2つの共振回路31,32が形成され、それぞれが信号検出ユニット61,62を構成している。これらの信号検出ユニット61,62から取り出した信号を合成する信号合成手段として、パワーコンバイナ41を備える構成である。増幅器7は、パワーコンバイナ41の出力を増幅するために設けられている。
測定対象核種のNMR共鳴周波数と同じ周波数で共振し、かつ、伝送路とのインピーダンスの整合を取るために、アンテナコイル21,22のインダクタンスL1,L2に対し、キャパシタ511,512(キャパシタンスCT1,CM1)と521,522(同CT2,CM2)が配置される構成である。
本発明の第1の実施形態においては、NMR信号を検出するアンテナとして、ソレノイド型のアンテナコイル21,22を採用した。アンテナコイル21,22は、常磁性金属と反磁性金属を適切な割合で混ぜ合わされた(組み合わされた)磁気的に透明な材料で構成されており、計測領域の磁場均一度へ影響を与えないようになっている。アンテナコイル21,22は、直径約7mmのガラス製ボビンに巻きまわされている。
静磁場の強度によりNMR共鳴周波数は異なるが、H核の共鳴周波数で300MHzのNMRの場合に適切なアンテナの巻き数は4−5回であった。共振回路において共振条件を満たす必要があるため、共鳴周波数が高くなるとともにコイルの巻数は減り、600MHzのNMRでは2−3回が適切となる。ひとつのコイルの高さは約5mmであり、約3mmの間隔をあけて2つのコイルを設置した。前述したように、2つのコイルは互いに逆向きとなるように巻きまわした。
パワーコンバイナ41としては、ウィルキンソン・パワー・ディバイダを利用した。コンバイナは、マイクロストリップラインにより構成した。ウィルキンソン・パワー・ディバイダの構成は、マイクロストリップラインの使用を限定するものではなく、ストリップラインまたは同軸線路を使っても構成することができる。
NFの観点からS/Nを良好に保ったまま、多段に結合された増幅器により信号を増幅するためには、増幅器の初段にはNFの小さい増幅器7を用いることが必須である。また、増幅器7に入力される信号は、ノイズに対して十分に大きいことが重要である。そのため、コンバイナ4は、NMRプローブ内部に実装し、また、これを初段の増幅器7の更に前段に組み込んで信号を合成し、合成された信号を初段増幅器7に入力した。
単位コイル体積あたりの信号検出能力に優れたソレノイド型のアンテナは、それよりも検出能力が劣る鞍型や鳥籠型アンテナに比べると、同じ検出感度を持たせるためのコイルは低くて済む。その反面、インダクタンスL1、L2は大きくなる傾向にあるため、アンテナ高さは共振条件を満たすように低く制限される。そのため、多量のサンプルの計測において、サンプル体積に比べるとアンテナの体積が小さく抑制されてしまうので、サンプル全体からのNMR信号を有効に拾えなくなる。
NMRプローブでは、同一核種の測定のために通常1個しかコイルを配置しない。これに対し、本実施形態では、2つのソレノイドアンテナコイル21,22を配置することにより、アンテナの有効体積を倍増させた。これにより、サンプルから、2倍弱のNMR信号を受信することが可能となった。
また、2つのコイル21,22の巻き方が反対向きとなっているため、巻き数は2倍でも、インダクタンス値としては、減少した形となっている。また、電気回路的には、2つの独立した共振回路31,32のそれぞれ一要素としてのインダクタとなる。したがって、アンテナとしての有効体積を増やしても、コイル全体としてのインダクタンスは増加していない。したがって、アンテナコイル21,22のインダクタンスL1,L2の増加によるアンテナ全体での異常共振は発生しない。
それぞれのアンテナコイル21,22は、それらが単独で配置された場合とほぼ同じ信号検出能力を持つように、信号検出ユニット61,62が構成されている。したがって、2つの信号検出ユニット61,62によって、約2倍のNMR信号を試料から引き出せることになる。
2つの信号検出ユニット61,62は、同一位相かつ同一パワーでウィルキンソン・パワー・ディバイダ(信号合成手段)4に入力され、合成される。したがって、理想的には入力された電力の2倍の電力が出力される。
図3は、本発明の第1の実施形態の変形例による2つのアンテナコイルの結線図である。独立した2つのコイル21,22ではなく、図示するように一つのコイル2の中間からタップ23を引き出したオートトランス型のコイルを使った実施例である。この場合、コイルから引き出される給電線本数が減るため実装スペースを少なくすることができる。
図4は、本発明の第1の実施形態の更に他の変形例による4つのアンテナコイルの結線図である。この実施例では、図3に示した構成と同様の2組のアンテナコイル21,22を備えている。図示するように、一つのコイル21,22の中間からタップ231,232を引き出し、4つのアンテナコイル211,212および221,222を構成したオートトランス型の実施例である。この実施例の場合には、4配分型のウィルキンソン・パワー・ディバイダなどを用いて信号電力を合成する。
なお、4個の同じ形状のコイル211,212,221,および222を図示しているが、コイルの形状は、計測空間に照射する電磁波の強度分布を均一化するために、サイズの異なるコイルを組み合わせても良い。このように、複数のコイルの場合には、各コイルから取り出される信号出力の大きさが異なるため、不等配分型のウィルキンソン・パワー・ディバイダを用いて信号を合成することが好ましい。
複数のコイルを実装し信号出力を合成することによって検出回路全体として信号出力を増大させる方法は、コイル高さを小さく実装できるソレノイド型コイルで効果的である。しかし、この方法は、ソレノイド型のアンテナのみに限定されるものでなく、鞍型および鳥籠型といったアンテナにおいても同様の概念にて検出信号強度の増大を実現することができる。
本実施例では、共鳴周波数が300MHzというような、NMR装置としては低い周波数のアンテナについて説明した。しかし、共鳴周波数が上がるほど、共振条件を満足させるためには、アンテナのインダクタンス、すなわち巻数を減らす必要が生じる。750MHzの共鳴周波数でソレノイド型アンテナを用い、試料からのNMR信号を有効に拾うためには、本実施例のように、複数アンテナを適切な間隔で、測定領域全体にわたって配置することが望ましい。
図5は、本発明の第2の実施形態によるNMR信号検出装置の電気回路図である。図1、図2に示した第1の実施形態と同様に、2つの検出用のアンテナコイル21,22が互いに逆向きとなるように巻きまわされており、それぞれのアンテナコイル21,22および共振回路31,32により信号検出ユニット61,62が構成されている。それぞれの信号検出ユニット61,62からは、同位相の検出信号が出力される。それぞれの出力が逆位相、すなわち、位相差がλ/2(λ:波長)となるように、移相器42が設置され、位相差λ/2の信号が差動入力の増幅器43によって増幅される。
本検出装置においても、アンテナコイル21と22の巻きまわし方が互いに逆向きとなるように構成され、それぞれが、信号検出ユニット61,62の構成要素としてのインダクタを形成しており、インダクタンスL1,L2の増加を抑えることができる。
差動入力の増幅器43により、信号検出ユニット61,62はそれぞれアイソレートされており、それぞれの信号検出ユニット61,62は、独立の共振回路31,32を備え、独立に振舞う。それぞれの共振回路31,32は、単独コイルが設置されたときとほぼ同じ回路定数となるように構成することができ、したがって、2つの信号検出ユニット61,62により約2倍のNMR信号を試料から取り出すことができる。
信号検出ユニット61,62から出力された同位相の信号は、移相器42によりλ/2の位相差がつけられ、差動増幅器43によって差分がとられるため、信号電圧振幅が2倍となる。
図6は、本発明の第2の実施形態によるNMR信号検出装置の変形例電気回路図である。前述した図5では、λ/2の位相差を持たせるために、信号検出ユニット61,62の片側にのみ移相器42を設置したが、図6に示すように、λ/4と−λ/4づつ位相をずらす移相器44,45をそれぞれ挿入することにより、位相差λ/2を達成できる。
本実施例においては、信号検出ユニット61,62と差動アンプ43の間の伝送線路において、電気長λ/2の差がつくように移相器44,45を設けたが、位相シフト手段の具体例としては、伝送路長に差をつけることによっても実現できる。このための伝送路としては、セミリジッドケーブル(同軸ケーブル)を使用し、電気長λ/2だけ長い方の伝送路は、プローブ内部で螺旋状に引き回せば良い。
勿論、λ/2の伝送線路は、同軸ケーブルに限定されるものではなく、適切に設計されたマイクロストリップラインやストリップラインなどを使ってもよい。基板として誘電率を大きなものを使うことにより短縮率が大きくなり、物理長が短いλ/2伝送路を構成できる。このような伝送路を使うことにより、コンパクトなλ/2移相器を実現でき、H共鳴周波数が600MHz以下の比較的低い周波数のNMRにおいても、NMRプローブ内部にλ/2移相器を実装することができる。
図7は、本発明の第2の実施形態の他の変形例であり、λ/2移相器としてトランスを使った例である。図5の移相器42に代えて、トランス46を、λ/2移相器として挿入している。図は原理を示すものであり、必要な整合回路などについては記していない。
図8は、本発明の第3の実施形態によるNMR信号検出装置の電気回路図である。この実施形態は、信号合成手段として、λ/2伝送路47、バラン(Balun:平衡−不平衡変換器)48および増幅器49を使ったものである。バラン48は、平衡回路と不平衡回路との結合に使われるが、2つの信号検出ユニット61,62側が平衡回路、後段の増幅器49側が不平衡回路となる。バラン48を用いることにより、後段の増幅器としては、差動入力ではなく単入力の増幅器49を使用することができる。
図9は、本発明の一実施形態によるNMR分析装置の概略構成図である。NMR分析装置は、これまでの実施形態で説明した複数のアンテナコイル21,22および信号合成器を備えた検出装置を備えている。冷媒を納める容器90内に、水平に磁場を発生するように、スプリット型超電導磁石の主コイル91が配置されている。磁石には、その中心に計測空間を確保するために、十字の室温ボア92が設けられる。ソレノイド型のアンテナコイル21,22を搭載したNMRプローブ93は、十字の室温ボア92の水平方向から挿入される。計測用の試料11は、スプリット磁石のスプリットギャップを通るように配置された十字のボア92の垂直方向から挿入され、磁石中心のNMRプローブ93のアンテナコイル21,22内に配置される。
スプリット型超電導磁石には、超電導磁場調整コイル94および室温調整コイル95が設置されており、NMR計測に必要な均一磁場空間が、磁石中心に形成される。均一磁場空間の形状は、概ね直径20mmの球状であった。
プローブ93には、本発明の実施形態による2つのアンテナコイル21、22を備えた検出回路が搭載されている。単独アンテナにおける有効なNMR信号の観測領域は、ソレノイド型アンテナの軸方向に約12mmである。これに対して、2つのアンテナコイル21,22を組み合わせた本発明の実施形態によるアンテナでは、有効な観測領域が均一磁場空間一杯の20mmまで拡大されている。2つのアンテナコイル21,22の搭載により、観測領域が広がり、NMR計測が可能な試料体積は、約1.7倍となった。その結果、計測される信号強度が増大した。
本発明によるNMR信号検出回路は、LC共振回路を備えた核磁気共鳴信号を検出する回路に適用できる。特に、核磁気共鳴分析装置(NMR)においては、計測領域(磁場均一空間)を有効に利用するために本発明が効果的である。NMR装置(H共鳴周波数が300MHz〜1000MHz)において、均一磁場空間の大きさは概ね20mm程度である。共鳴周波数が300MHzにおいては、共振条件を満たすアンテナの長さはおよそ10mm以下となり、また、1000MHzでは5mm以下となる。例えば、直径5mmの試験管に入れられた試料をソレノイド型アンテナで検出しようとした場合、300MHzでは概ね6ターンコイル、1000MHzでは概ね2ターンコイルとなる。したがって、この共鳴周波数範囲のNMR装置において、計測空間を最大限利用して複数アンテナを配置することが、検出信号を増大するために有効となる。
以上説明したように、本発明の望ましい実施形態によれば、アンテナによって計測可能な試料体積を増大させることができた。また、複数のアンテナコイル21,22の組み合わせ、接続および設置位置により、個々のアンテナの共振回路31,32を、単独のアンテナの場合とほぼ同じとし、それぞれの信号検出能力を引き出している。しかも、複数のアンテナコイルは、全体としてのインダクタンスの増加を抑制でき、複数の信号検出ユニットから取り出した信号を合成することにより、検出信号を増大させることができる。
これらにより、計測可能な試料体積を増大し、検出されるNMR信号強度を大きくすることができる。
本発明の第1の実施形態のNMR信号検出装置の概略構成図。 本発明の第1の実施形態によるNMR信号検出装置の電気回路図。 本発明の第1の実施形態の変形例による2つのアンテナコイルの結線図。 本発明の第1の実施形態の更に他の変形例によるアンテナコイルの結線図。 本発明の第2の実施形態によるNMR信号検出装置の電気回路図。 本発明の第2の実施形態によるNMR信号検出装置の変形例電気回路図。 本発明の第2の実施形態のトランスを用いた他の変形例の概念図。 本発明の第3の実施形態により、バランを用いたNMR信号検出装置の電気回路の概念図。 本発明の一実施形態によるNMR分析装置の概略構成図。
符号の説明
1…試験管、11…試料、2,21,22…アンテナコイル、31,32…共振回路、4…信号合成手段、41…パワーコンバイナ、42…λ/2移相器、43…差動増幅器、44,45…λ/4移相器、46…トランス、47…λ/2伝送路、48…バラン(平衡−不平衡変換器)、49…単入力増幅器、90…容器、91…超電導主コイル、92…十字ボア、93…NMRプローブ、94…超電導シムコイル、95…室温シムコイル。

Claims (9)

  1. サンプルからのNMR信号を受信するアンテナと、このアンテナのインダクタンスと共に共振回路を形成するキャパシタとを備え、前記共振回路から信号を取り出すNMR信号検出装置において、
    前記アンテナとして、中点タップを有し、前記中点タップを境に逆向きに巻かれた2つのアンテナコイルと、
    これらのアンテナコイルのそれぞれとの間で2つの共振回路を形成する2組のキャパシタと、
    これら2組の共振回路から取り出した信号を合成する信号合成手段と
    を備えたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  2. 請求項1において、前記信号合成手段は、前記2組の共振回路の信号の位相差をλ/2とするように信号位相をシフトする位相シフト手段を備え、この位相シフト手段の出力と他方の前記共振回路から取り出した信号の差をとるように構成したことを特徴とするNMR信号検出装置。
  3. 請求項において、前記位相シフト手段は、トランスを備えたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  4. 請求項において、前記位相シフト手段は、2組の前記共振回路から前記信号合成手段までの伝送路長に差をつけたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、NMR信号を受信する前記アンテナは、ソレノイド状コイルを備えたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記信号合成手段は、差動増幅器を備えたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記信号合成手段は、バラン(平衡−不平衡変換器)を備えたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記共振回路の共振周波数を、300MHz〜1000MHzの範囲内としたことを特徴とするNMR信号検出装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のNMR信号検出装置を備えたことを特徴とする核磁気共鳴分析装置。
JP2006194157A 2006-07-14 2006-07-14 Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置 Expired - Fee Related JP4787098B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006194157A JP4787098B2 (ja) 2006-07-14 2006-07-14 Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006194157A JP4787098B2 (ja) 2006-07-14 2006-07-14 Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008020398A JP2008020398A (ja) 2008-01-31
JP4787098B2 true JP4787098B2 (ja) 2011-10-05

Family

ID=39076437

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006194157A Expired - Fee Related JP4787098B2 (ja) 2006-07-14 2006-07-14 Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4787098B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2040059A3 (en) * 2007-09-19 2013-09-04 FUJIFILM Corporation Optical tomography imaging system, contact area detecting method and image processing method using the same, and optical tomographic image obtaining method
JP5290598B2 (ja) * 2008-03-11 2013-09-18 株式会社日立製作所 核磁気共鳴装置とその信号取り出し方法
JP5308883B2 (ja) * 2009-03-19 2013-10-09 株式会社日立製作所 Nmrプローブ
DE102014218874A1 (de) * 2014-09-19 2016-03-24 Forschungszentrum Jülich GmbH Spule mit hoher Güte
CN112162157A (zh) * 2020-09-30 2021-01-01 海南电网有限责任公司电力科学研究院 一种变压器空载损耗测量系统

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5652253U (ja) * 1979-09-28 1981-05-08
JPS6031070A (ja) * 1983-08-01 1985-02-16 Hitachi Ltd 核磁気共鳴を用いた検査装置
NL8402380A (nl) * 1984-07-30 1986-02-17 Philips Nv Kernspin resonantie apparaat met een zend-meetspoel voor hoge frequenties.
JPH02502039A (ja) * 1986-09-19 1990-07-05 モナシユ・ユニバーシテイ 電子スピン共振分光計
JP3367689B2 (ja) * 1991-09-19 2003-01-14 株式会社東芝 核磁気共鳴イメージング装置
JP3216938B2 (ja) * 1993-06-08 2001-10-09 株式会社日立製作所 Mri用rfプローブ及び磁気共鳴撮影装置
JP3611378B2 (ja) * 1995-10-04 2005-01-19 株式会社東芝 Mri装置
JP3842929B2 (ja) * 1999-07-27 2006-11-08 日本電子株式会社 Nmrプローブ
US6493572B1 (en) * 1999-09-30 2002-12-10 Toshiba America Mri, Inc. Inherently de-coupled sandwiched solenoidal array coil

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008020398A (ja) 2008-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6054856A (en) Magnetic resonance detection coil that is immune to environmental noise
US8193812B2 (en) Transceive surface coil array for magnetic resonance imaging and spectroscopy
US6608480B1 (en) RF coil for homogeneous quadrature transmit and multiple channel receive
US7081753B2 (en) Multiple tuned scroll coil
US5680047A (en) Multipl-tuned radio frequency coil for simultaneous magnetic resonance imaging and spectroscopy
US10620282B2 (en) Inductive coupling in multiple resonance circuits in a nuclear magnetic resonance probe and methods of use
JP4787098B2 (ja) Nmr信号検出装置および核磁気共鳴分析装置
US8742760B2 (en) Transmit coil arrangement for a magnetic resonance device and magnetic resonance device
US6876200B2 (en) NMR probe having an inner quadrature detection coil combined with a spiral wound outer coil for irradiation
Pinkerton et al. Transceive surface coil array for magnetic resonance imaging of the human brain at 4 T
US10908239B1 (en) Broad band inductive matching of a nuclear magnetic resonance circuit using inductive coupling
JPS6195234A (ja) Nmr用無線周波コイル
US9971001B2 (en) Volume array coil with enforced uniform element currents for improved excitation homogeneity
Ziarelli et al. General implementation of the ERETIC™ method for pulsed field gradient probe heads
US11927653B1 (en) Solid sample magnetic coupling high resolution nuclear magnetic resolution probe and method of use
US10551331B2 (en) Measuring apparatus for weak electromagnetic signals from a sample at low frequencies, in addition to a method
US9411028B2 (en) Multiple resonance sample coil for magic angle spinning NMR probe
CN114137458B (zh) 一种双核射频线圈系统
Inukai et al. Double-resonance magic angle coil spinning
JP4328255B2 (ja) 核磁気共鳴用プローブ
Zhurbenko et al. Flexible self-resonant detector coil for magnetic resonance imaging of Carbon-13
Dürr et al. A dual‐frequency circularly polarizing whole‐body MR antenna for 69/170 MHz
Chaubey et al. Multi-channel hexagonal surface coils for 1.5 T MRI scanner
JP2001041913A (ja) Nmrプローブ
Avdievich et al. High‐field actively detuneable transverse electromagnetic (TEM) coil with low‐bias voltage for high‐power RF transmission

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110712

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110714

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140722

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees