JP3611378B2 - Mri装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、RFコイル装置を備えるMRI(磁気共鳴イメージング)装置に係り、とくに被検体の近傍に複数のRFコイル素子を有する単一のRFコイルアセンブリ、又は1つ若しくは複数のRFコイル素子を有する複数のRFコイルアセンブリを配置し、複数のRFコイル素子から少なくとも被検体のMR信号を同時に受信するようにしたRFコイル装置を備えるMRI装置に関する。
【0002】
なお、本発明に係るRFコイル装置のコイル配置の態様としては、(1)ボリュームコイルや表面コイルのように1つ(対)のRFコイル素子を有するRFコイルアセンブリを複数同時に用いる場合、(2)QDコイルのように複数のRFコイル素子を有するRFコイルアセンブリを複数同時に用いる場合、(3)フェーズドアレイコイル(Phased Array Coil)と呼ばれるRFコイルのように複数のRFコイル素子を有する単一のRFコイルアセンブリを用いる場合、などがある。
【0003】
【従来の技術】
一般に、被検体の原子核の磁気共鳴現象を利用した磁気共鳴イメージングにおいては、被検体が静磁場B中に置かれ、この被検体に撮影断面決定用の傾斜磁場と伴に高周波磁場Bが印加される。この高周波磁場Bの印加に付勢されて被検体が発生するMR信号は、位置情報付加用の傾斜磁場を印加しながら収集される。上記高周波磁場の被検体への送信及び被検体からのMR信号の受信を担うのがRFコイルであり、MRI装置の磁石部内の被検体近傍に配設される。
【0004】
MR信号のレベルは非常に小さいため、RFコイルの感度を高めると伴に受信ノイズを最小に抑えることが極めて重要である。つまり、S/N比の高いことがRFコイルに求められる重要な要件の一つになっている。
【0005】
このような状況の中で、広いFOV(Field of View)にわたって高S/N比のMR画像を得るためのRFコイルの1つとして、従来、複数個の表面コイルと各表面コイルを受信する複数チャンネルの信号収集回路とを備えたフェーズドアレイコイル(phased array coil)のRFコイルアセンブリが知られている。
【0006】
このフェーズドアレイコイルのRFコイルアセンブリで問題となるのが複数の表面コイル相互間の磁気的カップリング(結合)である。この磁気的カップリングを無視できるレベルまで抑えないと、高S/N比のコイルユニットは実現できない。
【0007】
そこで、例えば米国特許第4,825,162号及び同第4,885,541号に見られる如く、コイル素子としての表面コイル相互間の磁気的結合が少なくなるように各表面コイル配置を最適化し、補助的に干渉抑制回路を使用するフェーズドアレイコイルの従来技術が提案されている。
【0008】
この干渉抑制回路を図26に示す。同図に示すフェーズドアレイコイル(コイル素子としては2個の表面コイルを採用)において、隣接する表面コイル100,101は相互インダクタンスが零になるように互いに一部オーバラップして配置されるとともに、各々の表面コイル100(101)はチューニング用コンデンサCを利用して、このコンデンサC及び集中定数型インダクタL並びにλ/2波長の同軸ケーブル(λ/2ケーブル)102(103)を順次介して低入力インピーダンスで低雑音指数のプリアンプ104(105)に接続されている。プリアンプ104,105の入力インピーダンスRinは、共振角周波数ωにおいてλ/2ケーブル102,103を通しても全く変化せず、共にRin<3[Ω]のままであるから、図26の点数で囲んだ部分が共列共振回路を形成する。つまり、コンデンサCとインダクタLとで並列共振回路を形成するように、集中定数型インダクタLが調整される。これにより、プリアンプ104(105)の低入力インピーダンスを利用してRFコイルのQ値を下げ、磁気的カップリングを低減する、という「プリダンプ回路」が形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述した従来例ではプリアンプの入力インピーダンスZinが極力低いことが重要であり、このためにはその実部(Rin)を小さくすることが有効である。しかし、一般には、この抵抗成分Rinを数オーム以下に下げることはできない。それは、図27にプリアンプの内部回路を例示する如く、プリアンプはGaAsFETのソース接地回路で形成し、その入力側にインピーダンス変換用LC回路を備えているからである。FET自体が最良のNF(雑音指数)で動作するための最適信号源インピーダンスRopt′は数kΩであり、LC回路により、プリアンプ全体の最適信号源インピーダンスRopt(一般には50Ω程度)をRopt′(数kΩ)に変換している。このインピーダンス変換用LC回路のインダクタに抵抗損失が存在するので、インピーダンスZinに数オーム程度の抵抗成分Rinが必ず残る。したがって、プリアンプの入力インピーダンスを極力下げることで、コイル素子間の干渉を抑制するには一定の限界があった。
【0010】
また、プリアンプの入力インピーダンスZinは、前記最適信号源インピーダンスRopt′とは全く異なる値であり、リアクタンス成分(虚部)Xinが存在し、Zin=純抵抗成分とはなり得ないのが通常である。前述した米国特許第4,885,541号記載の干渉抑制回路は、そのリアクタンス成分Xinが存在しないものと仮定して構成されているので、コイル素子間の干渉抑制効果は半減してしまう。この不都合を回避するには、プリアンプの入力リアクタンス成分Xinを充分に小さく形成すればよいが、前記最適信号源インピーダンスRoptを現実的な値(例えば50オーム)に設定したときに、そのインピーダンスRoptをFETの最適信号源インピーダンスRopt′に変換するインピーダンス変換回路は複雑な回路構成とならざるを得ず、その回路損失故に今度はプリアンプのNFが劣化してしまうという問題がある。
【0011】
さらに米国特許第4,825,162号記載の干渉抑制回路では、通常時(即ち図25のインピーダンス変換用LC回路の回路定数が最良のNFを得ることができる値となっているとき)はリアクタンス分Xinが存在しないものと仮定したうえで、必要に応じてインピーダンス変換用LC回路の定数を最良のNFが得られる値からあえて逸脱させて所望のXinを得るものである。しかし、最良のNFが得られる回路状態でXinがゼロと仮定しているのは根本的に誤りである。また、インピーダンス変換用LC回路の定数をNF最小の条件から逸脱させて所望値のXinを得ようとするのであるから、プリアンプのNFは大きな犠牲を被るという不都合がある。
【0012】
本発明は、このような状況を踏まえてなされたもので、複数のRFコイル素子を被検体の周りに配して同時にMR信号の収集を行う場合、一層の視野拡大やS/N比向上を図り、かつ、複数のRFコイル素子(フェーズドアレイコイルも含む)にプリアンプによる干渉抑制用のプリダンプ回路が装備されている場合、プリアンプのNFを犠牲にすることなく、RFコイル素子間の磁気的干渉をより確実に抑制して、視野拡大やS/N比向上を図ることを、その目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
記目的を達成するため、請求請1乃至6記載の発明では、被検体の近傍に配置され、かつ被検体からのMR信号を受信する複数のRFコイル素子と、この複数のRFコイル素子の夫々に接続され、かつこのRFコイル素子からのMR信号を増幅するプリアンプとを備え、前記複数のプリアンプの夫々の入力インピーダンスを、この入力インピーダンスの虚数成分の絶対値が当該入力インピーダンスの実数成分の値よりも大きくなるように設定したことを特徴とするMRI装置を主に構成している。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1〜図7に第1の実施形態を示す。図1にはフェーズドアレイコイルによるRFコイルアセンブリを形成する複数のコイル素子の内の、1つのコイル素子(ここでは表面コイル)10の受信回路を示す。この受信回路は一般的な50オームチューン回路であり、その中に他のコイル素子との磁気的カップリングを抑制する干渉抑制回路も一体的に備えている。
【0016】
コイル素子10は図1に示す如く、チューニング用コンデンサ11、マッチング用コンデンサ12,13を介して位相シフタ(phase shifter)14に至る。位相シフタ14の出力側はプリアンプ15に至り、このプリアンプ15の出力側には各々独立した信号処理回路が形成されている。例えば、このプリアンプ15の出力信号はスプリッタにより2分枝された後、複素信号として取扱われてコンピュータ処理される。
【0017】
位相シフタ14はコイル出力ポートからプリアンプ15までの信号位相をθだけずらすためのもので、ここでは位相シフタ14として特性インピーダンスZ0=50Ωの同軸ケーブルを用いている。このため、信号ずれ位相角θはケーブル長の調節によりコントロールできる。
【0018】
ここで、上述のコイル受信回路(干渉抑制回路)における回路定数の設定法を、従来の干渉抑制回路の問題点の解説と合わせて説明する。
【0019】
まず図1における回路素子の表記を以下の如く決める。
【0020】
LはRFコイル素子10のインダクタンスであり、RFコイル素子10の途中に短縮コンデンサを挿入している場合は合計の実効インダクタンスだが、以下簡単のため、短縮コンデンサは設けていないものとする。
【0021】
rはRFコイル10のロス抵抗。負荷による損失抵抗をも含んでいる。ZcoilはLとrの合成インピーダンス。Cはチューニングコンデンサ11の静電容量。Cはマッチングコンデンサ12、13の静電容量。Roptはプリアンプ15が最小のNFで動作するための最適信号源インピーダンスであり、一般にはRoptが50オームとなるようにプリアンプ15は作られている。Zはチューニング回路を経由してRFコイル素子10を見込んだインピーダンス(Z=Ropt)。Zinはプリアンプ15の入力インピーダンスで、一般に実部Rin及び虚部Xinを持つ。Zin′はZinを位相シフタ14経由で見込んだときのインピーダンス。Zは、RFコイル10からチューニング回路を経由してプリアンプ15側を見込んだインピーダンスである。
【0022】
干渉抑制回路の目的は、ラーモア周波数ωにおいて、RFコイル素子10に流れる電流を最小にすることにより、RFコイル間の磁気的干渉を最小にすることである。そのためには、Z>>Zcoilとすることである。実際にはZが最大となるのではなく、Z+Zcoilが最大となることが、RFコイル素子10に流れる電流を最小にする条件であるが、略略はZ最大とすることでよい。そのために、次の条件を満たすようにZin′が選ばれ、その状態でRFコイル素子10から見てZはC,C,CとZin′との並列共振インピーダンスとなるのである。
【0023】
【数1】
Figure 0003611378
即ちZin′が、インダクタンスL′=Xin′/ωの示すインダクタンスとなるようにするのである。
【0024】
そして、このようなXin′を得るため、θを次式により定める。ここでは同軸ケーブルの長さlでθを決めるので、それで説明する。位相シフタあるいは同軸ケーブルが無損失であり、その特性インピーダンスZに等しいならば、
【数2】
Figure 0003611378
βは、位相シフタ14を構成する同軸ケーブルのラーモア周波数ωにおける位相定数。
【0025】
このようにしてXin′を得たとき、それに付随する抵抗分Rin′が存在することになる。この抵抗分Rin′を考慮に入れると、図1中の並列共振インピーダンスZは図2のように表される。この並列共振インピーダンスZはラーモア周波数ωにおいて最大となり、その値をZdampとすると、次式で表される。
【0026】
【数3】
Figure 0003611378
【0027】
このインピーダンスZdampが大きいほど、干渉抑制性能は向上する。
【0028】
一般には、入力インピーダンスZinの抵抗分Rinが極力小さいプリアンプ15を使って、上記(4)式の抵抗分Rin′を小さくすることにより干渉抑制性能を向上させることが考えられる。
【0029】
しかしながら、前記課題の項で説明したように抵抗分Rinを十分に小さくすることは困難であり、その結果、インピーダンスZin′のリアクタンス成分Xin′に付随する抵抗分Rin′も必ずしも十分に小さくはならない。したがって干渉抑制効果が低い。
【0030】
さらに付記すれば、プリアンプ15のRinを仮にゼロ近辺に設定できたとしても、位相シフタ14の損失が存在するため、Rin′はやはり十分小さくはならない。位相シフタ14が同軸ケーブルで形成されている場合、位相シフタ14の損失を十分小さくするためには、伝送損失が極小のケーブルを使う必要がある。このような同軸ケーブルは非常に大きな径であるから、柔軟性に欠けるものとなり、極めて扱いづらいものとなる。一方、位相シフタがインダクタンスやキャパシタンスなどの集中定数素子でできているときは、やはりインダクタンス(コイル)が巨大なものとなるに加えて、導体抵抗は無視できないし、実用には供し難い回路となってしまう。
【0031】
これらの問題を解決するため、本発明者はプリアンプ15のRinをこれ以上下げるという方策は採らずに、別の回路定数設定法により、位相シフタ経由で見込んだRin′を極力小さくするようにしたものである。
【0032】
そこで本発明者が着目したのは、従来では邪魔者として扱われてきたプリアンプ15の入力インピーダンスZinのリアクタンス分Xinである。従来、干渉抑制回路用プリアンプとしてあるべき姿は「Rin,Xin共に極小、且つNF最良」と考えられてきた。しかし、以下に説明するように、かかるあるべき姿は「Rin<<<Xin(の絶対値)、且つNF最良」であってもよいのである。つまり、必ずしもRinがゼロ近くの値でなくても、Xinが大きければ、高い干渉抑制効果が得られるのである。
【0033】
具体的には、前述した(1)式により定まるXin′を得るには、(2)式によってZinを変換してXin′相当値を得ればよい。このリアクタンス分Xin′に付随するRin′は、Xinが大きいほど小さくなり、(4)式のZdampが大きくなる。これにより、Xinの絶対値が大きくなる。
【0034】
inの計算例を示す。ω=401495202rad/sec(63.9MHz)、L=0.10μH、r=1.606ohm(Q=25)とする。Zを50オームとするCt,Cは計算により、C=51.112pF,C=22.807pFとなる。
【0035】
そこでZdampを最大にするXin′は式(1)より、
【数4】
in′=+j・267.14
となる。いくつかのZinについて、このXin′を得るためのθと、付随するRin′と、それにより得られるZdampとを表1に示す。同表にみられるように、リアクタンスXinの絶対値の大きいほど、Rin′が小さくなっている。
【0036】
【表1】
Figure 0003611378
【0037】
また、インピーダンスZinに大きなXinをもたせて、所望のXin′を得るに伴うRin′を小さくし得ることは、式(2)を計算する代わりに、図3のスミスチャートによってもわかる。即ち、所望の正規化リアクタンスが例えば2.0である場合(Zは50オームだから、リアクタンスとしては100オーム)、Zinが10+j・0であれば(即ち正規化インピーダンスは0.2+j・0)、同図上で点Aから出発する。スミスチャートの中心を軸にして円弧に沿って位相角2θ回転し、Z/Z=0.2の円弧と交差する点BがZin′を表すが、正規化リアクタンスは2.0になっているものの、正規化レジスタンスは2近くの大きな値を示す。一方、Zinが大きなリアクタンスを伴っていれば、例えばZin=10−j・150(正規化インピーダンス0.2−j・3)ならばスタート点はA′であり、X/Z=0.2の円弧と交差する点B′の示す付随正規化レジスタンスは0.2以下と僅少である。
【0038】
以下、回路シミュレーションでさらに具体的に示す。図4の回路を使ってシミュレーションをする。ラーモア周波数は63.9MHzとし、その他、前出数値例(表1)と同じ定数を用いる。位相シフタ14は1.5D2V(63.9MHzでは、減衰定数0.2dB/m、位相定数βは2.029rad/m)の同軸ケーブルである。Zin′として、50Ωを直結したとき(このときは図4において、l=0m、Cin無限大、4オームのかわりに50オーム)と、いくつかのZin(Xin=−0,50,−100,−200、63.9MHzのとき、実部は4オーム)において各々所定のθ(即ち所定のケーブル長l)をつないだときとで、rの両端の電圧(即ちRFコイル素子電流に比例する量)を比較する。RFコイル素子には誘導起電力で1Vが誘起している状態であるとする。同軸ケーブルの長さは、表1で求めておいたθから式(3)で求められる。
【0039】
シミュレーション結果は図5〜図7に示す。63.9MHzにおけるZin=50Ωの時との信号レベル差、即ちRFコイル電流抑制効果が干渉抑制性能の指標である。図5は、Xin(の絶対値)が正の値のケースで、Xinが大きいほど、RFコイル電流抑制効果が顕著である。図6は、Xinが負の値のケースで、Xin(の絶対値)が大きいほど、RFコイル電流抑制効果が大きいが、さほど顕著では無い。図7は、図6と同様だが、ケーブルロスをゼロとした場合である。図5にも増して、RFコイル電流抑制効果が顕著である。
【0040】
以上から、ケーブルロス(フェーズシフタの損失)が十分小さい場合は、Xinが大きいことによるRFコイル電流抑制効果は顕著であることが分かる。
【0041】
とくに、図5、即ちXinが正の場合の方が、図6あるいは図7に比べて、干渉抑制性能の優れた周波数帯域が広い。従って、θを最適にするに当たりその調整はさほど精度が要らず、この点は極めて実用的である。この事実の由来は次のごとくである。「XinがXin′よりもやや小さい」という条件では、所望のXin′を得るためのθは小さい。位相シフタが例えば同軸ケーブルであるならその長さは短い。一方、ラーモア周波数以外の周波数では、同軸ケーブルを伝搬するに当たり、ラーモア周波数と周波数差に比例した程度で、かつ、ケーブル長に比例した程度で、その位相はθからずれる。従って、所望のXin′から逸脱していく。θが小さいと、この現象が小さいのである。結論として、XinがXin′よりやや小さいと云うことが、広い周波数帯域で高い干渉抑制性能を発揮する点で重要である。勿論、XinがXin′に十分近ければ、位相シフタの損失で干渉抑制機能が制約されるから、その場合、フェーズシフタは無いほうがよい。
【0042】
なお、図5〜7において、Xin=0のケースでは、RFコイル素子電流の極小点がラーモア周波数63.9MHzからずれているが、これはケーブル長(あるいは位相シフタのθ)を定めるにおいて、Zを最大とするような値としたからである。Z(あるいはZdamp)が十分に大きい場合はそれでよいが、そうでない場合は、ラーモア周波数において「Z+Zcoil」の絶対値が最大になるようにケーブル長(あるいは位相シフタのθ)を定めることで、ラーモア周波数においてRFコイル電流が極小となる。
【0043】
このように本実施態様では、従来は冷遇されていたプリアンプの入力インピーダンスZinのリアクタンス成分Xinの値に着目し、この値を「NFを最良に維持する範囲でRin<<<Xin(の絶対値)」となるようにインピーダンス変換用のLC回路の定数、又は/及び、FETを選択することでXinの値を設定している。これにより、プリアンプのNFを犠牲にすることなく、RFコイル素子間の高い干渉抑制機能が得られるので、S/Nを犠牲にすることなく多数のRFコイルを併設することができる。従ってフェーズドアレイコイルなどの多素子コイルにおいて、広い視野を高S/Nで撮影するという本来の使命を充分に発揮することができる。
【0044】
また、そのようにすることで、位相シフタを同軸ケーブルで形成する場合、その径が大きくなって柔軟性を低下させたり、位相シフタを集中定数回路で形成する場合、その回路構成を実用に供しないほど大形化させてしまうという不都合も回避される。
【0045】
(第2の実施の形態)
図8に第2の実施形態に係るRFコイル素子10の受信回路の一部(干渉抑制回路)を示す。この実施形態は第1の実施形態を変形させたもので、同一の構成要素には同一符号を用いる。このRFコイル素子10は例えばフェーズドアレイコイルの一つのコイル素子を示している。
【0046】
同図に示すように、位相シフタ14とプリアンプ15との間には、コンデンサ16(静電容量Cadj)及びコイル17(インダクタンスLadj)の並列共振回路がプリアンプ15に並列に介挿してある。
【0047】
一般に位相シフタはθを調整することが面倒である。プリアンプ15の入力インピーダンスZinは、製造する際、かなりのばらつきを生じる。また、RFコイル10の使用状態によってはC,Cが変わることがある。従って、これらばらつきの範囲での典型的状態にあわせて位相シフタの状態を決定しておく。そして、プリアンプ入力インピーダンスZinが所望の状態からずれていたり、あるいはC,Cが典型的状態から異なっていたりするときには、図8のCadj、Ladjの調整を行うのである。特にCadjを可変容量としておけば調整容易となる。CadjとLadjは並列共振回路をなしており、通常は共振周波数がラーモア周波数の付近になるようにしておく。この状態であれば並列共振インピーダンスはラーモア周波数において極めて高く、CadjとLadjの存在は何の影響も及ぼさない。そして、例えばZinが所望の値からずれているとき、例えばXinがやや大きすぎるときは、Cadjを大きくする。そうすると、ラーモア周波数においては、CadjとLadjの並列共振回路のインピーダンスは容量的となる、即ち虚部が支配的となりその虚部の値は負である。これとZinとの並列インピーダンスが位相シフタ14から見た見かけのプリアンプ15の入力インピーダンスであり、その虚部はXinより小さくなり、所望の値に近づく。このように、Cadjが典型値から極端にずれていない範囲で行われる場合、CadjとLadjの並列共振回路のインピーダンスの絶対値がRopt(例えば50オーム)よりも十分大きいという状態が維持される。従って、プリアンプ15から見た見かけの信号源インピーダンスはRoptから殆どずれないので、プリアンプ15のNFは殆ど損なわれない。Xinが所望値から小さすぎるときは、勿論Cadjを小さくしてやる。
【0048】
このような調整は例えば次のように行われる。RFコイル素子10と粗に電磁誘導結合をしたコイル(図示せず)からラーモア周波数の電圧を印加し、もう一つRFコイル素子と粗に電磁誘導結合をしたコイル(図示せず)を使って、RFコイル素子に流れる電流を検出し、この出力が最小になるようにCadjを調整する。
【0049】
(第3の実施の形態)
図9に第3の実施形態に係るRFコイル10の受信回路(干渉抑制回路)の一部を示す。本実施形態の目的は第2の実施形態におけるものと同じである。同図のRFコイル素子10は例えばフェーズドアレイコイルの一つのコイル素子を示している。
【0050】
同図に示すように、位相シフタ14とプリアンプ15との間には、コンデンサ18(静電容量Cadj)及びコイル19(インダクタンスLadj)の直列共振回路がプリアンプ15に直列に介挿してある。
【0051】
図9に示す回路では、直列共振回路をなすCadj、Ladjの共振周波数は通用、ラーモア周波数の付近になるように設定しておく。この状態であれば直列共振インピーダンスはラーモア周波数において極めて低く、CadjとLadjの存在は何の影響も及ぼさない。そして、例えばZinが所望の値からずれているとき、例えばXinがやや大きすぎるときは、Cadjを小さくする。そうすると、ラーモア周波数においてはCadjとLadjの並列共振回路のインピーダンスが容量的となる、即ち虚部が支配的となり、その虚部の値は負である。これとZinとの直列インピーダンスが位相シフタ14から見た見かけのプリアンプ15の入力インピーダンスであり、その虚部はXinより小さくなり、所望の値に近づく。このようなCadjが典型値から極端にずれていない範囲で調整する場合、CadjとLadjの直列共振回路のインピーダンスの絶対値がRopt(例えば50オーム)よりも十分小さい状態が維持され、従って、プリアンプから見た見かけの信号源インピーダンスはRoptから殆どずれない。従ってプリアンプのNFは殆ど損なわれない。Xinが所望の値から小さすぎるときは、勿論Cadjを大きくしてやる。調整の方法は図8の場合と同様である。
【0052】
なお、図8、9におけるように付加的な共振回路でプリアンプ入力インピーダンスを所望の値に近づける構成は、前述したようなXinの絶対値がRinよりも大きなプリアンプに限らず、どのようなプリアンプにも実施できる。
【0053】
(第4の実施の形態)
フェーズドアレイコイルは前述したように、複数のRFコイル素子を被検体に対して併置して同時に撮影し、S/N比向上及び視野拡大を図ろうとするコイルアセンブリである。この複数のRFコイルの別の使い方に、複数のRFコイルを使用してMRI撮影時間を短縮させようとするものもある(例えば、“Abstract of 1989 SMRM, page 1172, "Ano Algorithm For Rapid Image Acquisition Using Multiple Receiver Coils", Kelton et al.”)。このようなコイルアセンブリは一般にはフェーズドアレイコイルとは呼ばれないが、複数のRFコイルを同時に使用する点で共通であるので、本発明では、フェーズドアレイコイルの範疇に入れて扱うこととする。
【0054】
以下、この複数のRFコイルを同時使用する広義のフェーズドアレイコイルについて、その問題点から説明することとする。
【0055】
上述した“Multiple Receiver Coils”のようなフェーズドアレイコイルの開発は面倒であり、しかも、被検体の各部位に最適化したフェーズドアレイコイルはそれぞれ異なるものであるから、メーカがこれらあらゆる種類のコイルを開発し供給することは事実上不可能に近い。ユーザが個々の汎用のRFコイルを組み合わせれば、部位毎のフェーズドアレイコイルとして使えるように思えるが、やはりコイル間の磁気的干渉が問題となり、正常なRFコイルの機能を確保することはほとんど困難である。得られるMRI像のS/N比は低下し、異常な感度むらを生じることになる。
【0056】
たとえ画質の面で妥協したとしても、専用のフェーズドアレイコイルと汎用RFコイルとでは回路が異なるため、それらを同時にMRIシステム本体にインターフェイスさせて接続することは不可能である。この従来の事情を図10〜14を用いて説明する。
【0057】
図10及び11には図示しないMRIシステム本体に接続される汎用のRFコイルアセンブリを示し、図12にはそのような汎用のRFコイルアセンブリが接続されるMRIシステム本体側の接続回路の一部を示す。
【0058】
これを図に沿って詳述すると、図10において、LはRFコイルのインダクタンス、CdはRFコイルの巻線の途中に挿入した短縮コンデンサの静電容量、rは負荷も含めたコイル損失抵抗、および、Ct,Cmはチューニングコンデンサの静電容量及びマッチングコンデンサの静電容量であり、バラクタダイオードで形成され、バイアス電圧制御により容量可変である。このバラクタダイオードのバイアスラインには、RFコイルの動作に悪影響を与えないように高抵抗R1,R2が挿入されている。RFコイルの検知信号は同軸ケーブルCCを介して出力される。コイルID信号は、MRIシステムにどの種類のRFコイルが接続されているかを認識するための、RFコイルの種類に固有の接点信号である。RFコイルとコネクタCTの間は多芯ケーブルで接続されている。なお、この回路において、RFコイルの巻線部以外の回路部をまとめてチューニング回路と呼び、RFコイルからコネクタCTまでをRFコイルアセンブリと呼ぶ。図10において、ほかのRFコイルからRF磁場を送信するとき、そのRF磁場から保護するために、PINダイオードにバイアス電流を流すことで、自己のRFコイルをチューニング状態から外すことが多いが、そのような回路をはじめとして、一部の回路の図示を省略している。図11は、図10のコイルアセンブリの外観を示す。
【0059】
これに対応するMRIシステム本体側の接続回路は図12に示すように、チューニングバイアス電圧およびマッチングバイアス電圧は、バラクタダイオードのバイアス電圧発生回路でつくられ、その電圧は可変である。チューン・受信切換スイッチが備えられており、以下のように動作する。患者に対してRFコイルが設定されると、その設定状況に応じてRFコイルの抵抗分rが決まる。この状態でRFコイルの出力インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンス(50オームとする)に整合させるため、チューニングバイアス電圧とマッチングバイアス電圧を変える。このときは、通常時にはプリアンプに接続しているRFコイル出力信号を、チューン・受信切換スイッチにより方向性結合器に接続する。周波数シンセサイザからラーモア周波数の信号が50Ωインピーダンスを介してRFコイルに供給される。RFコイルのインピーダンスが50Ωから逸脱していると、反射波が戻ってくるから、その反射波を方向性結合器を介して抽出し、検波器で検波する。この検波出力に基づいて、図示しない制御部は反射波が最小になるチューニングバイアス電圧とマッチングバイアス電圧とを探す。以後、そのバイアス電圧に固定され、チューン・受信切換スイッチはその接続をプリアンプ側に戻す。これにより、撮像時にはMR信号(すなわちRFコイルの出力信号)はプリアンプを経てポストアンプで増幅された後、検波される。この検波信号はさらにA/D変換され、信号処理回路に取り込まれる。
【0060】
これに対し、図13は専用に作られたフェーズドアレイコイルの一例を示し、図14はそのフェーズドアレイコイルが接続されるMRIシステム本体側の接続回路の一部を示す。
【0061】
図13の構成が図10のものと異なる一つは、チューニングおよびマッチング用の静電容量が固定である点である。また別の一つは、複数のRFコイル(あるいはコイル素子)が併設されている点である。このコイル併設に際し、RFコイル間の磁気的干渉が最小となるような幾何学的配置が採られるとともに、特定部位の撮影が好適に実施できるように個々のRFコイルの寸法形状が最適化されている。また、低い入力インピーダンスのプリアンプを受信チャンネル毎に備え、このプリアンプにMRIシステム本体側から電源が供給されている。さらに、プリアンプとチューニング・マッチング回路との間に位相シフタと呼ばれる回路(例えば、“Abstract of 1993 SMRM, Page 1322, "A Design Tool for Decoupling RF Coils with Isolating Preamplifiers"参照)が受信チャンネル毎に挿入されている。これにより、ラーモア周波数においてRFコイルに流れる電流を最小にし、RFコイル間の磁気的干渉を抑制している。なお、プリアンプからコネクタまではチャンネル毎に同軸ケーブルで接続される。
【0062】
これに対応するMRIシステム本体側の接続回路は図14に示すように、コイル素子、すなわち受信チャンネルの数に応じてポストアンプのほか、検波、A/D変換のための装備がなされ、多数チャンネルで同時並行でMR信号を収集できるようにしている。なお、図13、14においてRFコイルの数を2個、データ収集チャンネル数を2としたフェーズドアレイコイルを示したが、その数は3個(3チャンネル)以上であってもよい(以後、第7の実施形態及びその変形例まで簡単のため、2チャンネルで説明する)。
【0063】
以上の説明から分かるように、汎用のRFコイルを複数用意し、それらを同時に使用しても、それらのRFコイルに干渉抑制回路を組み込んでいないので(図10参照)、各RFコイルが正常に動作せず、実行不可能である。また、そのような干渉を無視したとしても、MRIシステム本体とのインターフェイスが汎用RFコイルとフェーズドアレイコイルとでは機構的に大幅に相違するため、実施困難なのである。
【0064】
本第4の実施形態を図15及び図16に基づいて説明する。
【0065】
図15に本実施形態に係るRFコイル装置の外観構成を示す。このRFコイル装置は同図に示すように、受信専用の2つのRFコイルアセンブリ(ここではリニアコイルを採用)30A,30Bと、このRFコイルアセンブリ30A,30Bを着脱自在に接続させるアダプタ31と、このアダプタ31とMRI装置本体とを接続するケーブル32及びコネクタ33とを備える。
【0066】
2つのRFコイルアセンブリ30A,30Bは既存のリニアアセンブリを何ら仕様変更することなく、また何ら調整変更することもなく、そっくりそのまま使用するものであり、そのプラグコネクタPGをアダプタ31の後述するコネクタ(ソケット)に接続するだけである。
【0067】
アダプタ31は、MRI装置本体側から見て、接続した既存のRFコイルアセンブリ30A,30Bが2つのRFコイルを用いたフェーズドアレイコイルと見做すための変換機能を有するもので、図16に示すように構成されている。すなわち、アダプタ31は2つの第1のコンバータ311A,311Bと、1つの第2のコンバータ312とを備える。第1のコンバータ311A,311Bは同一の回路であるので、その一方のみを図示し、もう一方の図示は簡略化した。
【0068】
2つの第1のコンバータ311A,311Bの各々は、RFコイルアセンブリ30A(30B)のプラグPGが接続されるコイル側コネクタ(ソケット)320と、第2のコンバータ312に接続される本体側コネクタ(プラグ)321とを備え、このコネクタ320,321間に、平衡不平衡変換回路322、この変換回路322の出力側に位置する位相シフタ323、及び2つの分圧回路324,325を介挿させている。
【0069】
平衡不平衡変換回路322はバランともいうが、複数のRFコイルアセンブリ30A,30Bが共通の回路に接続されたとき、患者との静電結合などにより不測の閉ループを形成し、そのためにRFコイルの性能低下が起きたり、あるいは外部送信コイルでRF磁場を印加しているときに同軸ケーブルの外部導体や患者を経由して異常な電流が誘起されて不都合を生じたりすることもあるので、これを抑制するための回路である。
【0070】
2つの分圧回路324,325の各々は電圧を調整可能であり、チューニングとマッチングのバラクタダイオードに所定の固定電圧を供給するために、MRI装置本体側から供給されている固定電圧をさらに分圧する。この分圧回路324,325の分圧状態は、第1のコンバータ311A(311B)につながっているRFコイルアセンブリ30A(30B)を典型的な被写体に装着したときに適切な同調状態になるようにあらかじめ調整されている。即ち第1のコンバータ311A,311Bは接続されるRFコイルアセンブリの種類に応じて予め用意され、固有の調整状態になっている。
【0071】
位相シフタ323は、後述する第2のコンバータ312のプリアンプの入力インピーダンスをRFコイル30A(30B)のチューニング・マッチング容量から見て所定のリアクタンスに見えるようにする回路で、これにより複数のRFコイルアセンブリ間の磁気的干渉が抑制される。位相シフタ323は例えば同軸ケーブルで形成されており、そのケーブル長を所望値に調整することでその目的を達成できる。同軸ケーブルの長さは実際には、接続されるRFコイルアセンブリの種類とチューニング・マッチングの容量とにより適正値が変わるが、前述のようにRFコイルアセンブリの種類毎にチューニング・マッチングのバラクタダイオードバイアスは決められているので、そのケーブル長も固定となる。
【0072】
次いで第2のコンバータ312を説明する。この第2のコンバータ312は図16に示す如く、2つの第1のコンバータ311A,311Bの各本体側コネクタ(プラグ)321が着脱自在に接続される2つのコイル側コネクタ(ソケット)330A,330Bと、MRI装置本体側につながる前記ケーブル32に接続された本体側コネクタ331とを備える。コネクタ330A,330Bの各々とコネクタ331との間には、前記位相シフタ323の出力信号を受けるプリアンプ332(図16においては一方のチャンネルのみ図示する)と、両コネクタ330A,330B及び331をつなぐマルチプレクサ333とが介挿されている。なお、第2のコンバータ312の本体側コネクタ331を用いずに、この第2のコンバータ312の回路基板から直接ケーブル32を引き出すように構成してもよい。
【0073】
プリアンプ332は、各RFコイルアセンブリ30A(30B)からのNMR信号を増幅するものであり、その入力インピーダンスは、従来周知の如く極力低く設定してRFコイル間の磁気的干渉を抑制するようになっている。特に好ましくは、前述した第1の実施形態において示した如く、このプリアンプ332の入力インピーダンスの虚部が実部よりも大きく設定することでこの入力インピーダンス特性と位相シフタ323とによりRFコイル間の干渉を抑制することができる。
【0074】
マルチプレクサ333は2個のRFコイルアセンブリ30A,30BのコイルID信号を順次読み出すためのマルチプレクサである。即ち、MRI装置本体側から順次切り替えの指示を受けて、接続されているRFコイルアセンブリからのコイルIDを順次コネクタ33を介してMRI装置本体に送り出す。これによりMRI装置本体は、どのようなRFコイルが接続されているかを知ることができ、必要に応じて撮影条件の制約などの判断に供する。
【0075】
コネクタ33は図14に示す如く構成されたMRI装置本体のフェーズドアレイコイル用の接続ポートにRFコイル装置を接続するためのものである。第2のコンバータ312からのプリアンプ出力(NMR信号)はスルーしてコネクタ33に送られるが、その途中に必要に応じアッテネータやポストアンプを入れても良い。第2のコンバータ312のプリアンプへの供給電源や第1のコンバータ311A,311Bの分圧回路324、325への電源はMRI装置本体からスルーして供給されるが、その途中にフィルターや電圧変換器を入れても良い。
【0076】
MRI装置本体では、本実施態様のRFコイル装置の構成に対応して、そのフェーズドアレイコイルポートに分圧回路用電源(即ちチューニング・マッチングのバラクタダイオードバイアス用の固定電圧電源)やコイルID順次読み出し用コントロールラインを有している。
【0077】
以上のような構成とすることで、フェーズドアレイコイルとして作られたものではない既存のRFコイルアセンブリを複数用いて、NMR信号を同時的に収集できる。患者の各部位について、操作者は適宜なRFコイルアセンブリを選び、組み合わせて配置し、TMJや肩などの左右同時撮影を行ったり、長い視野の画像を得たり、あるいは高画質の画像を得ることができる。
【0078】
なお、この実施態様ではコイルID信号をRFコイル装置を介して直接MRI装置本体に送り出す構成としたが、マルチプレクサ333の代わりに、ROMやPALを用いることで、複数のRFコイルの組み合せに応じた新しいコイルIDに変換し、送り出すことができる。
【0079】
(第5の実施の形態)
第5の実施形態に係るRFコイル装置のアダプタ41を図17に示す。このアダプタ41は第4実施形態のものを変形したもので、その変形理由は以下のようである。
【0080】
複数のRFコイルアセンブリを近接させないで使用する場合、コイル間干渉も小さいので、位相シフタの位相状態も最適調整状態から逸脱させても差し支えない。さらに、RFコイルアセンブリのチューニング回路が、図10のようにCtとCmとがRFコイルから見て並列になっていて、RFコイルアセンブリの出力インピーダンスを出力伝送線の特性インピーダンスとマッチングさせる場合で、特に、適切な値のCdが挿入されている場合には、二つのコンデンサがRFコイルに直列に入っている場合に比べて、被写体毎に最適チューニング状態となるようにCt,Cmを変化させかつ位相シフタの状態を固定させたままでも、RFコイル間の磁気的干渉を抑制する性能の低下は小さい、ということが判明している。そのような場合はRFコイルアセンブリは被検体ごとに最適チューニング状態とするほうがS/Nが向上する。
【0081】
そこで、MRI装置本体のフェーズドアレイコイル用の接続ポートに、その本体内部から自動チューニング用のチューニング・・マッチング用可変電圧を出力させる。これに対応して図17に示す如く、第2のコンバータのコネクタ330A(330B)及びプリアンプ332間にスイッチ回路SW420を設け、このスイッチ回路420に対するMRI本体側からのスイッチ切換により、位相シフタ323の出力側をそのままMRI装置本体に直結させるようにする。MRI装置本体は図12の場合と同じように位相シフタ323の出力インピーダンスが50オームになるように、即ち反射波が最小になるように、チューニングバイアス電圧とマッチングバイアス電圧とを調整する。これにより図12のチューン・受信切換SWに相当する回路を第2のコンバータ412に設けたことになる。
【0082】
図17において、もう一方の第1のコンバータ411Bは一方のものと同一の構成であり、図示を省略しているとともに、もう一方の第1のコンバータ411Bに対応する第2のコンバータ412の一部回路は図示を簡略化している。MRI装置本体には、非フェーズドアレイコイル用の図12記載の機能をフェーズドアレイコイルの接続ポートにも持たせている。また、ラーモア周波数の信号をRFコイルへ供給し、その反射波を検出するラインは、複数設けることも可能であるが、そのようなラインを1つだけ設け、そのラインをコンバータの中の何番目の回路につなぐかを切替制御するマルチプレクサを持たせてもよい。
【0083】
なお、前記第4、5の実施態様では、第1のコンバータとして各RFアセンブリ毎に最適調整した個別のものを予め準備し、これらを第2のコンバータに着脱自在に接続する別体構造のコンバータユニットを採用したが、複数のRFコイルアセンブリが互いに類似の特性を有している場合、第1のコンバータと第2のコンバータとを予め一体構造にし、種々のRFコイルアセンブリに対して共通に使用するようにしてもよい。
【0084】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施形態を図18に基づいて説明する。
【0085】
以上の実施形態においては、複数のRFコイルアセンブリをフェーズドアレイコイルとして使用するときにはアダプタに接続し、RFコイルを一つだけ使用して通常のMRI撮影に供するときには、そのRFコイルをアダプタから外し、MRI装置本体の非フェーズドアレイの接続ポートに接続する、という前提で説明した。
【0086】
加えて、アダプタにおいて、コンバータが第1と第2との別体に分割されているので、さらに好ましい変形が可能である。即ち、RFコイルアセンブリを常時第1のコンバータに接続しておき、使途に応じ、第1のコンバータをそのまま第2のコンバータに接続するか、あるいはMRI装置本体の非フェーズドアレイの接続ポートに接続する。これによりコネクタの抜き差しが減り、操作容易となる。さらに、一般には、非フェーズドアレイ接続ポートは自動チューニング用に可変のチューニングバイアス電圧とマッチングバイアス電圧を供給しているから、この機能を利用して常に最良の画質が得られるようにするために、第1のコンバータに固定チューンか自動チューンかの切換スイッチをつけることが考えられるが、この切換スイッチを無くして、自動切換とすることができる。
【0087】
これらの趣旨にしたがった第6の実施態様に係るRFコイルユニットのコンバータユニットの回路構成を図18に示す。
【0088】
この回路構成の図16からの違いを中心に説明する。第1のコンバータ511A(511B)の本体側コネクタ520は、図11に示したコネクタと同じ構造を有し、そのピン配置や各ピンの信号定格なども同じである。コイル側のコネクタ320は従って、非フェーズドアレイ接続ポートのコネクタと同じ構造であり、第2のコンバータ512のコイル側コネクタ521A,521Bもそのコネクタ320と同じ構造である。
【0089】
また固定電圧がMRI装置本体側から第2のコンバータ512に供給され、チョークコイル522を経由し、プリアンプ332へのNMR信号の伝送線の片側を経由し、この伝送線から第1のコンバータ511A(511B)内において別のチョークコイル523を経由して、二つの分圧回路324,325へ供給されている。チョークコイル522,523はNMR信号がこの固定電圧のラインに漏れないようにするためのものであるが、ラーモア周波数で共振するような並列共振回路とすればなお好ましい。
【0090】
さらに、第1、第2のコンバータ511A(511B)、512の前記固定電圧伝送用の伝送線には、直流電圧をプリアンプ332やRFコイルアセンブリ30A(30B)から隔離するためにコンデンサ524,525が各々挿入されている。(このように構成したのは、図11のコネクタに空きピンがない、即ち第1のコンバータ511A(511B)のコネクタ520にも空きピンが無い場合の対処である。空きピンがあればそこから固定電圧を供給すればよい。)分圧回路324,325は比較的高い抵抗値からなり、分圧点から固定電圧あるいはGNDへの抵抗値は例えば数100KΩである。勿論これら抵抗値は可変であるが、図中の二つの固定抵抗526,527よりは常に高い。この二つの固定抵抗526,527は数kないし数10kΩである。
【0091】
このため、第1のコンバータ511A(511B)が非フェーズドアレイ接続ポートに接続されているときは、二つの固定抵抗526,527へチューニングバイアス電圧とマッチングバイアス電圧とが低いインピーダンスでMRI装置本体側から供給され、分圧回路324,325への固定電圧は供給されていない。この固定電圧は供給されていてもいいし、ゼロであってもいいが、固定抵抗526,527のラインのインピーダンスが低いので、RFコイルアセンブリへ供給されるCt,Cm(のバラクタダイオード)への電圧はMRI装置本体からの電圧が支配することになる。
【0092】
これに対し、第1のコンバータ511A(511B)が第2のコンバータ512へ接続されているときは、固定抵抗526,527のラインのMRI装置本体側はオープンであるから、分圧回路324,325で決まる電圧が図示しないRFコイルアセンブリのCt,Cmへ供給される。これで、RFコイルアセンブリに第1のコンバータ511A(511B)が接続されたまま、その先を第2のコンバータ512につなぐか非アレイポートにつなぐかで、自動的に自動チューニングか固定チューニングかの切換が為される。第2のコンバータ512のSW420その他の動作は図17と同じである。
【0093】
(第7の実施の形態)
第7の実施形態を図19に基づいて説明する。
【0094】
同時収集用には製造されていない既存のRFコイルの中にも、例えばQDコイルのように複数のRFコイル素子を持ち、このコイル素子間の干渉抑制のために、前述したプリアンプによる干渉抑制回路を内蔵したものがある。この干渉抑制回路は通常、固定チューンである。このようなRFコイルアセンブリと、特に干渉抑制回路を内蔵していない一般のRFコイルアセンブリとで、同時的にNMR信号を収集してフェーズドアレイコイル相当の使い方をするためのアダプタもやはり必要である。
【0095】
この要望に応えるのが図19に示すRFコイル装置のアダプタ61である。このアダプタ61は、2つの第1のコンバータ611A,611Bと1つの第2のコンバータ612とを有する。一方の第1のコンバータ611A(上段に図示の回路)は図16のものと同一であり、とくには干渉抑制回路を内蔵していない一般のRFコイルアセンブリがつながる。
【0096】
これに対し、もう一方の第1のコンバータ611B(下段に図示の回路)には、前述した如くプリアンプを用いた干渉抑制回路を内蔵したRFコイルアセンブリが接続されるようになっている。この第1のコンバータ611Bは、そこで、コイル側コネクタ620、平衡不平衡変換回路621、アンプ622、減衰器623をこの順に有する。減衰器621の出力は第2のコンバータ612のコイル側コネクタ624,331を介してMRI装置本体側に送られる。アンプ622の電源は第2のコンバータ612におけるプリアンプ用の電源をコネクタ624を介して受けるようになっている。
【0097】
前記もう一方の第1のコンバータ611Bにおけるコイル側コネクタ620は前記一方の第1のコンバータ611Aのコネクタ320と一般に異なっている。もう一方の第1のコンバータ611Bにはプリアンプなどは不要であるが、雑音レベルを一方の第1のコンバータ611Aと所定の関係に揃えることがフェーズドアレイコイルには必要となることがあり、このため追加のアンプ622と可変の減衰器623で調整する。もう一方の第1のコンバータ611Bに接続されるRFコイルアセンブリ(図示せず)には、既に固定されたコンデンサがついているので、チューニング・マッチング用の固定バイアスは不要であるが、内蔵プリアンプの電源が必要であり、それをコンバータ611Bに供給している。
【0098】
また、ここではQDコイルを例にとったが、フェーズドアレイとして作られたコイルアセンブリであって前述したプリアンプによる干渉制御回路を内蔵したものが前記もう一方の第1のコンバータ611Bに接続するようにしても良い。このときは平衡不平衡変換回路、アンプ及び減衰器はフェーズドアレイコイルを形成するエレメントコイルの数だけ装備すればよい。
【0099】
なお、以上において、アダプタのユニットは外部に露出したものと想定して説明をしたが、要は、RFコイルアセンブリの外部にコンバータ機能があればよいのであって、これはMRI装置本体にそのアダプタのユニットを埋設することもできる。このときは、つねに同じアダプタを使うことが大部分であるから、RFコイルアセンブリの同調回路形態として図10記載のものを用いると、位相シフタを使用の都度最適化する必要性は少ないので、便利である。
【0100】
また、接続ポートを、フェーズドアレイとして使用するときと、非フェーズドアレイとして使用するときとで2種用意する場合、勿論コネクタ自体は共通だが、それにつながるMRI装置側の回路は異なってくる。この回路状態の変更(主に信号パスの変更)はどのポートにつながったかをシステムが認識して、切り替える。どのポートにつながったかの識別は、例えば対話でも可能だし、コネクタのピンの電気的状態で判定する事もできる。フェーズドアレイとして使用するときと非フェーズドアレイとして使用するときとで共通の接続ポートを使用する場合、対話による識別が簡便であるが、必ずしもこれに限定される必要はない。
【0101】
さらに、以上においては、RFコイルアセンブリは、フェーズドアレイとして使用するときと非フェーズドアレイとして使用するときとで、アダプタを含めたMRI装置本体側の回路状態やコントロール法が異なる、という前提で述べた。しかし、RFコイル間の干渉抑制回路をRFコイルアセンブリの外に用意し、常にこれに接続して使うとすれば、そして例えば常に固定したチューニング・マッチングバイアス電圧で使うなどと単純化する場合、アダプタを含めたMRI装置本体側の回路状態やコントロール法は変えなくても済むように設定することもできる。その際、前述した各種の実施形態に係るコンバータユニットの回路構成を必要に応じて組み合わせて実施し、回路状態やコントロール法の一定化を推進させることも可能である。
【0102】
さらに、上述した第4〜第7の実施形態及びその変形例にあっては、同時に接続する複数のRFコイルアセンブリ(フェーズドアレイコイルのアセンブリの場合は素子数)は2個に限定されるものではなく、3個以上であってもよく、その場合には、前述した第1のコンバータをその数に応じた分だけ前述したと同様に設ければよい。
【0103】
以上、第4の実施形態から述べてきた構成によって、ユーザが多くの既存のRFコイルアセンブリの中から適宜なものを被検体の撮影部位の形状などに応じて自在に組み合わせ、フェーズドアレイコイルと同様に使うことができ、単独のRFコイルアセンブリでは得られない、例えば視野の広いMR画像を得ることができる。
【0104】
(第8の実施の形態)
以下の実施形態は、複数のRFコイル素子を用いてMR信号を同時に収集したMRデータからMR画像としてのリアル像、イマジナリ像、及び位相に関する像を得るMRイメージング方法及びMRIシステムに関する。このRFコイル素子としては、コイルアセンブリ毎の単独のコイル素子であってもよいし、フェーズドアレイコイルのような多素子コイルを構成するコイル素子であってもよい。
【0105】
まず、複数のRFコイル素子で収集したMRデータからMR画像を再構成する方法を現状説明する。
【0106】
複数のRFコイル素子の一態様として前述したようなフェーズドアレイコイルがある。このフェーズドアレイコイルを用いた画像化の一態様は、従来では、収集したNMRデータ(k-space データと呼ばれる)からMRI画像である絶対値画像を合成することで行われている。この絶対値像を最大S/N比で合成する方法は、“Magnetic Resonance in Medicine, Vol.16,No.2,November 1990,Roemer et.al. "The NMR Phased Array”に示されている。
【0107】
また、MRI画像の別の種類である位相シフト画像については、“MRM 32:330-334,1994,Berstein et al. "Reconstruction of Phase Contrast, Phased Array Multicoil Data”に発表されている。しかし、この方法は計算時間がかかりすぎるという難点がある。
【0108】
ここで、この従来例を説明するため、以下の記号を導入する(なお、この記号は後述する本実施態様においても共通に使用する)。また、以下の説明では、フェーズドアレイコイルのアレイコイル(コイル素子)は2素子:コイル1、コイル2と仮定する。3素子以上のコイルアセンブリへの拡張はそれを基に容易に推察される。以下の記号中、k-space データは時間および位相エンコード量の関数であるが、その他はすべて位置x,y,zの関数である。
【0109】
k1 :コイル1で得たk-space データ。
k2 :コイル2で得たk-space データ。
Z1 :k1をフーリエ変換して得られた複素画像値。
Z2 :k2をフーリエ変換して得られた複素画像値。
W1 :コイル1の素画像に対して乗じる重み関数。
W2 :コイル2の素画像に対して乗じる重み関数。
M1 :コイル1の信号強度の素画像値、即ち最終画像を合成する前の、k1による絶対値画像(即ちZ1の絶対値)。
M2 :コイル2の信号強度の素画像値、即ち最終画像を合成する前の、k2による絶対値画像(即ちZ2の絶対値)。
【0110】
【外1】
Figure 0003611378
【0111】
Mc :合成された信号強度の画像値。
R1 :コイル1のReal素画像値、即ち最終画像を合成する前の、k1をフーリエ変換して得た画像の実部。
R2 :コイル2のReal素画像値、即ち最終画像を合成する前の、k2をフーリエ変換して得た画像の実部。
【0112】
【外2】
Figure 0003611378
【0113】
Rc :合成されたReal画像値。
ka1,kb1 :2種類の位相シフト状態a,bにてコイル1で得たk-space データ。
ka2,kb2 :2種類の位相シフト状態a,bにてコイル2で得たk-space データ。
Ma1,Mb1 :2種類の位相シフト状態a,bで得たコイル1の信号強度の素画像値。
Ma2,Mb2 :2種類の位相シフト状態a,bで得たコイル2の信号強度の素画像値。
Za1,Zb1 :2種類の位相シフト状態a,bで得たコイル1の複素画像値。
φ1 :Za1とZb1との位相差(コイル1のデータだけによる位相シフト差の画像値)。
Za2,Zb2 :2種類の位相シフト状態a,bで得たコイル2の複素画像値。
φ2 :Za2とZb2との位相差(コイル2のデータだけによる位相シフト差の画像値)。
ΔΦ :合成された位相シフト差の画像値。
【0114】
上述した従来例の位相シフト画像合成は、次のようなものである。2種類の位相シフト状態で、複数のRFコイル素子(以下、単にコイルという)から複数のk-space データを得る。そして各ピクセルについて、位相シフト量の差に相当するピクセル値を最大S/Nで求めるものである。
【0115】
この計算のフローを図20に示す。まず、各RFコイル(2つある)のk-space データから通常の2次元FFTで複素画像値(リアル画像とイマジナリ画像とからなる)Za1,Zb1,Za2,Zb2を求める。そして、絶対値化してMa1,Mb1,Ma2,Mb2を求め、さらに各々の位相シフト角φ1、φ2を求め、最後に、下式から最終合成値ΔΦを定めるのである。*は共役複素数の記号である。
【0116】
【数5】
Figure 0003611378
【0117】
複素数の偏角を求める計算は時間がかかるのが一般であるが、これを両コイル1、2について行い、さらに、最後にΔΦを求めるときにも行っている。位相シフト画像は、血流速度を位相シフト量に直接反映させ得るので、MRIによる血管撮影にしばしば必要となるものである。しかし、撮影結果を操作者が見るまでに時間がかかり位相シフト画像を得る撮影は高頻度に行うことができない。なお、最終的に表示する画像の値はΔΦそのままではなく、一般にそれに何らかの係数がかかっているが、いずれにせよΔΦを直接に反映した画像である。
【0118】
ところで、従来、MRI画像の別の種類であるリアル画像(即ちk-space データをフーリエ変換して得た複素数画像の実部)、あるいはイマジナリ画像(即ちk-space データをフーリエ変換して得た複素数画像の虚部)を最大S/N比で合成する手法は未だ公表されていないという現状にある。リアル画像は必ずしも普通には用いられないが、STIRなどのパルスシーケンスのときに必要になることがある。
【0119】
そこで、この実施形態を含めて以下の述べる実施形態では、位相シフト画像をより高速に合成する手法、およびリアル画像、イマジナリ画像を合成する手法を提供することを、主な目的とする。
【0120】
まず、この第8の実施形態では、リアル画像又はイマジナリ画像を最大S/N合成する手法を示す。最初に、かかる合成法を理論的に説明する。
【0121】
まず、一種類の位相シフト状態で、即ち一回の測定で得たk-space データk1,k2だけがあるとする。これから複素画像Z1、Z2が求められる。Z1,Z2を前述した“Berstein et al”による公知の位相シフト画像合成方法におけるZa1,Za2に対応させる。この公知の位相シフト画像合成方法におけるZb1,Zb2に対応させるため、位相シフト量がゼロとなるような、しかしその他はZ1,Z2と同じになるような撮像条件で仮想的データを得たとする。すると、ZaとZbとの位相差は当然Z1あるいはZ2の位相量φ1′、φ2′と同じである。即ち、
【数6】
Figure 0003611378
【0122】
このφ1′,φ2′を最大S/Nとなるように合成するには、“Berstein et al”による合成方法を使って、
【数7】
Figure 0003611378
ΔΦ′は、Z1,Z2により、ゼロ度からの位相シフト量を最良のS/Nで推定したものとなる。すなわち、Z1,Z2から最大S/N比で合成した位相画像となっている。ΔΦ′を求める上式は見方を変えれば、複素画像Z1,Z2に対し、その絶対値M1,M2を重みづけ関数として乗じて加算して得た複素数の位相角を求めることになっている。
【0123】
リアル画像を求めるには、もう一つ、最良のS/Nとなるようにして絶対値合成画像Mcを求め、それにcos(ΔΦ′)を乗じたものである。イマジナリ画像はMcにsin(ΔΦ′)を乗じたものである。
【0124】
【数8】
Rc=Mc・cos(ΔΦ′)
【0125】
イマジナリ画像の扱いはリアル画像の例から自ずと明らかなので、以下省略する。
【0126】
最大S/NでMcを求める方法は、各種の周知技術から明らかなように、k1とk2との雑音相関が小さい場合は次の求め方が典型的である。
【0127】
【数9】
Figure 0003611378
【0128】
以上のようにして合成画像の位相角は最大S/Nで求め、また振幅を最大S/Nで求めたのだから、それらから上記のようにして得たRcはやはり最大S/Nとなっている。以上の計算のフローは図21のようになる。
【0129】
なお、以上の説明において、Z1とZ2、R1とR2、あるいはM1とM2は、互いに雑音レベルは同程度という前提で説明している。異なる場合は雑音レベルを揃えるように正規化を行えばよい。
【0130】
次に、この画像法を実施するMRI装置の一例を図22に基づいて説明する。
【0131】
このMRI装置は、静磁場発生用の磁石部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場部と、選択励起用及びMR信号受信用の送受信部と、システムコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
【0132】
磁石部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、被検体Pが挿入される円筒状の診断空間のZ軸方向に静磁場Hを発生させる。
【0133】
傾斜磁場部は、磁石1に組み込まれたX,Y,Z軸方向の3組の傾斜磁場コイル3x〜3zと、この傾斜磁場コイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4と、この電源4を制御する傾斜磁場シーケンサ5とを備える。このシーケンサ5はコンピュータを備え、装置全体のコントローラ6(コンピュータを搭載)から所定収集シーケンスを指令する信号を受ける。これにより、傾斜磁場シーケンサ5は、指令されたシーケンスにしたがってX,Y,Z軸方向の各傾斜磁場の印加及びその強度を制御し、それらの傾斜磁場が静磁場Hに重畳可能になっている。ここでは、互いに直交する3軸の内のZ軸方向の傾斜磁場をスライス用傾斜磁場Gとし、X軸方向のそれを読出し用傾斜磁場Gとし、さらにY軸方向のそれを位相エンコード用傾斜磁場Gとする。
【0134】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設されるRF送信コイルアセンブリ7T及びRF受信コイルアセンブリ7Rと、これらのコイルアセンブリ7T及び7Rに各別に接続された送信機8T及び受信機8Rと、この送信機8T及び受信機8Rの動作タイミングを制御するRFシーケンサ9(コンピュータを搭載)とを備える。RF受信コイルアセンブリ7Rには、例えば第1の実施形態で説明した位相シフタとプリアンプを用いた干渉抑制機能を有するフェーズドアレイコイルが採用されている。この送信機8T及び受信機8Rは、RFシーケンサ9の制御のもと、核磁気共鳴(NMR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスをRF送信コイルアセンブリ7Tに供給する一方、RF受信コイルアセンブリ7Rが受信したMR信号(高周波信号)にフェーズドアレイ用の各種の信号処理を施してデジタル信号を得る。
【0135】
さらに、制御・演算部は、上述したコントローラ6のほか、受信機8Rで形成されたMR信号のデジタルデータを入力し、画像データを演算・合成する演算ユニット150と、演算した画像データを保管する記憶ユニット151と、画像を表示する表示器152と、入力器153を備えている。演算ユニット150は、具体的には、メモリ空間を有し、図21のフローチャートに示した処理を行う。コントローラ6は傾斜磁場シーケンサ5及びRFシーケンサ9の同期をとりながら、両者の動作内容及び動作タイミングを制御する。
【0136】
以上のようにしてフェーズドアレイコイルにおいても、このコイルから得られたNMRデータに基づいてリアル画像又はイマジナリ画像を最大S/N比を保持した状態で的確に合成することができ、通常の絶対値画像では応えられない診断上の要望に応えることができる。
【0137】
(第9の実施の形態)
次いで、第9の実施形態を図23に基づいて説明する。この実施形態は第8の実施形態をさらに発展させたものである。すなわち、第8の実施形態の合成法では、ΔΦ′を求める処理などに比較的時間が掛かるので、これをより高速化しようとするものである。理論的導出を示す。
【0138】
この導出に当たっては、リアル画像間の雑音相関は無いものとする。
【0139】
二つのリアル素画像R1,R2を考える。
【0140】
【数10】
Figure 0003611378
【数11】
Figure 0003611378
ε1,ε2はR1,R2のゆらぎであり、平均値0、標準偏差σ1,σ2である。また、R1m,R2mはR1,R2の平均値である。
【0141】
即ち、
【数12】
R1m =<R1> ……( 7)
【数13】
R2m =<R2> ……( 8)
【数14】
Var(ε1)=Var(R1)=σ1 ……( 9)
【数15】
Var(ε2)=Var(R2)=σ2 ……(10)
(Varは分散である)
合成値Rcは、
【数16】
Figure 0003611378
【0142】
RcのS/Nは、平均値の絶対値を自身の標準偏差σrで割ったもの。
【0143】
【数17】
Figure 0003611378
雑音無相関を仮定したから、
【数18】
Figure 0003611378
よって、
【数19】
Figure 0003611378
【0144】
Rcは便宜上、正の値とする(Rcが負の値にも適用できる)。
【0145】
【数20】
Figure 0003611378
【数21】
Figure 0003611378
【0146】
W1,W2でS/Nを偏微分して、S/Nの極値条件を求める。
【0147】
【数22】
Figure 0003611378
【数23】
Figure 0003611378
多くの場合、雑音レベルは大体同等である、即ち、σ=σ1=σ2である(そうでない場合、R1,R2は正規化される)。
【0148】
【数24】
Figure 0003611378
【数25】
Figure 0003611378
【0149】
これらの式を満たすのは、下記条件である。
【0150】
【数26】
W2/W1 =R2m/R1m ……(22)
【0151】
もう一つ条件を付け加えよう。必ずしも必然ではないが、合成されたRcの雑音標準偏差がもとの素画像の雑音標準偏差σ(σ1とσ2の両方とも同じレベルσとして)と同等になるようにスケーリングするものとする。
【0152】
【数27】
Figure 0003611378
よって、
【数28】
W1+W2=1 ……(24)
【0153】
これと、前述した「W2/W1=R2m/R1m」から、
【数29】
Figure 0003611378
【数30】
Figure 0003611378
【0154】
従って、Noise Equalizationができていて、かつ雑音無相関なら、理想的な画像合成アルゴリズムは次の式に帰着する。
【0155】
【数31】
Figure 0003611378
【0156】
しかし、上式には若干の問題がある。R1mとR2mを求めねばならない。元来はR1mとR2mは位置依存であるから、正しくは多数回の撮影を繰り返し、位置毎にR1とR2の平均値を求めることになる。勿論これは非現実的なので、R1mとR2mとはR1とR2を空間的に平滑化した値で代替することになる。このようにした場合は、次の式となる。上棒付きで示したR1とR2とは各々、R1とR2とを平滑化したものである。まとめると、
【数32】
Figure 0003611378
【数33】
Figure 0003611378
【数34】
Figure 0003611378
【0157】
以上の計算のフローは図23に示される。このフローの処理は前述したMRI装置の演算ユニット150が行う(図22参照)。このフローから分かるように、前述した図21のフローに比べて処理が簡素化されており、より高速にリアル画像又はイマジナリ画像が合成される。
【0158】
(第10の実施の形態)
第10の実施形態を図24に基づいて説明する。この実施形態は第9の実施形態をさらに発展させたものである。すなわち、第9の実施形態の合成法では、平滑化処理に未だ時間を掛けている。また、極めて広範囲の平滑化を行ったときには、高コントラストエッジ近傍で何らかのアーチファクトを生じる懸念も残されている。そこで、一切、平滑化処理を行わないようにする。
【0159】
前記(29)〜(30)式を、一切平滑化を伴わない式に直すと、
【数35】
Figure 0003611378
【数36】
Figure 0003611378
【数37】
Figure 0003611378
【0160】
この計算フローは図24に示される(この計算も前述した演算ユニットで処理される)。図23に比べて、なお一層簡素化された処理となっており、画像化が高速になるとともに、アーチファクトの発生も懸念されない。
【0161】
問題は、このようにして得たRc′が式(28)〜(30)で求めたRcと同等のS/N比を持つのかどうかという点である。
【0162】
この点について補足する。雑音相関を加味し、さらにσ1とσ2とが異なる場合も含めて式(28)〜(30)によるRcの平均信号レベルは次のようになる。
【0163】
【数38】
Figure 0003611378
【数39】
Figure 0003611378
【0164】
なお、rはε1とε2との相関係数である。即ち
【数40】
<ε1・ε2>=r・σ1・σ2 ……(36)
【0165】
一方、式(31)〜(33)で得たRc′の平均信号レベルと雑音レベルは、R1mとR2mとが同じ符号である場合は、やはり式(34)、(35)と同じである。従って、平滑化も偏角計算も伴わない本方法は、著しく高速な画像合成を最大S/N比で行うことができることを示している。
【0166】
ただし、符号が異なる場合は、計算過程は省略するが、Rc′の雑音標準偏差は式(35)よりも著しく増大してしまうことがあることが示される。一般には、同じ被写体を撮影しているのであるからR1mとR2mとが異なる符号である理由はない(勿論、当該領域にたいするコイル1とコイル2との感度の違いから、R1mとR2mとの大きさは異なるが)。ただし、MR信号がきわめて微弱な場合は、コイル1とコイル2と別々のデータ収集パスを通るので、データ収集パスの系統的誤差が支配することに因って、R1mとR2mの符合が異なるという事態も起きうる。従って、データ収集パスの系統的誤差が支配的になるなどの状況下では、第8、9の実施形態の合成法を実施するなど、使い分けが好ましい。
【0167】
(第11の実施の形態)
第11の実施形態を図25に基づいて説明する。この実施形態は位相シフト画像について実施したものである。位相シフト画像を、従来のような計算時間のかかる偏角計算を多数回行う方法でなく、より高速な方法で算出できるようにするものである。
【0168】
この演算ユニット(図22参照)で実施される位相シフト画像の計算フローを図25に示す。すなわち、k-space データka1,kb1,ka2,kb2から複素画像Za1,Zb1,Za2,Zb2を求めるまでは図20と同じである。その後.各複素画像から実部と虚部とを抽出することにより、各リアル画像と各イマジナリ画像Ra1,Ia1,Rb1,Ib1,Ra2,Ia2,Rb2,Ib2を得る。
【0169】
そして、サブトラクションMRンギオグラフィのようにフローエンコードパルスを反転して加える場合、1回目のフローエンコードパルスに係る位相シフト状態aのときの、最大S/N比での合成画像をリアル画像Rcaとイマジナリ画像Icaとを求める。これは好適には図24で説明した方法で行われる。この画像RcaとIcaとから、位相角Φaを次のようにして求める。
【0170】
【数41】
Φa=arg{Rca+j・Ica} ここでjは虚数単位。
【0171】
2回目のフローエンコードパルスに係る位相シフト状態bのときについても同様にリアル画像Rcb、イマジナリ画像Icbを求め、位相角Φbを求める。
【0172】
即ち
【数42】
Φb=arg{Rcb+j・Icb}
最大S/N比となるようにRca、Ica、Rcb、Icbは求められているから、これらから得たΦa、Φbも最大S/N比を維持している。
【0173】
次いで図25に示すように、Φa、Φbの差として、ΔΦを求める。あるいは、勿論、Φa、Φbを求めることなく次のようにしても良い。
【0174】
【数43】
Figure 0003611378
【0175】
このようにして位相シフト画像のデータを演算するので、時間のかかる偏角計算はリアル画像とイマジナリ画像とが合成された後に行われるだけであり、RFコイルの数が増えても偏角計算は増えない。かくして、フェーズドアレイコイルを使った場合の位相シフト画像を従来よりも高速に且つ最大S/N比で得ることができる。
【0176】
なお、第9及び第10の実施態様において、式(28)(29)(31)(32)は、最終合成のリアル画像の雑音標準偏差が合成前のリアル素画像の雑音標準偏差と同等である、という特性を前提に求められた式である。しかし、このような特性は必ずしも是非とも必要なものではない。必要な特性は、最大のS/N比になるということである。これについては式(22)で示されているようにW1とW2の相対比だけが問題となる。従って下記のごとくW1やW2の相対比の条件が満たされることが必要なのであり、Rcの大きさはW1やW2に共通の係数が乗じられたときのその係数で変わり得る。
【0177】
【数44】
Rc=W1・R1+W2・R2+W3・R3……
と表すとき、
【数45】
Figure 0003611378
あるいは、Rc′=W1′・R1+W2′・R2+W3′・R3……
と表すとき、
【数46】
Figure 0003611378
なお、ここではコイルの数が3個以上であるとした場合の式を記した。
【0178】
これら重み係数の相対比をこのように維持すれば、最大S/N比でリアル画像の合成ができる。重み係数間に共通にかかるスケールファクタの大きさの選択に自由度が残ることを利用すれば、例えば第9の実施態様の方法を変形して、絶対値画像において最大S/N比で任意の大局的信号レベル分布の合成画像を得るということが、リアル画像についてもできる。つまり、具体的にいえば、例えばR1,R2,…のいずれかが均一な感度分布の全身用コイルで得たリアル画像であるとすれば、合成したリアル画像をS/N比最大で、しかも全身用コイル並の信号レベル分布に見えるようにすることができる。
【0179】
ところで、第9の実施形態では平滑化を伴う算法を示したが、ここでの平滑化は一旦、R1,R2を求め、それを平滑化するという手法であった。この平滑化の手法に対する変形例としては、k空間データの中央部、すなわち低周波成分のみを抽出してフーリエ変換することによっても、R1,R2を平滑化したものに相当する画像が得られるので、これを前述の平滑化したR1,R2(式では上棒付きのR1,R2)の代わりに用いてもよい。また第10の実施形態のように、R1,R2を求め、ついで平滑化せずにそのままW1,W2を定め、しかる後にW1,W2を平滑して得た値を第9の実施形態におけるW1,W2の代わりに用いてもよい。本発明における平滑化の概念は、このように変形した平滑化の手法をも含む。
【0180】
また、第8の実施形態においては複素画像Z1,Z2にM1,M2を重み付け関数として乗じたが、これについても種々の変形が可能である。例えば、コイルの感度分布はなだらかなものであることから、重み付け関数を空間的に急変させる必要はない。したがって、重み付け関数を定める際、k空間データの高周波成分は不要である。つまり、重み付け関数M1,M2の代わりに、k空間データの中央部、すなわち低周波成分のみを抽出しフーリエ変換を行って得た絶対値画像の値を用いることもできる。この手法はM1,M2が雑音に対して十分大きくないとき、重み付け関数に重畳される雑音の影響を緩和できる点で有用である。
【0181】
以上のように、本発明おける重み付け関数は全て、k空間データの中央部、すなわち低周波成分のみを抽出しフーリエ変換をして得た関数で代替でき、この関数を用いる概念も本発明の範疇に属する。
【0182】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るMRI装置によれば、被検体の近傍に配置され、かつ被検体からのMR信号を受信する複数のRFコイル素子と、この複数のRFコイル素子の夫々に接続され、かつこのRFコイル素子からのMR信号を増幅するプリアンプとを備え、複数のプリアンプの夫々の入力インピーダンスを、この入力インピーダンスの虚数成分の絶対値がその実数成分の値よりも大きくなるように設定したことにより、従来は邪魔者扱いされていた虚数成分を有効に駆使して、プリアンプのNFを犠牲にすること無く、RFコイル間の高い磁気的干渉抑制機能が得られる。したがって、S/N比を犠牲にすること無く、複数のRFコイルアセンブリ(又はRFコイル素子)を被検体に対して併設できるから、フェーズドアレイコイルなどにおいて一層の視野拡大、S/N比向上を図ったMR撮像を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るRFコイル装置を1つのコイル素子について示す構成図。
【図2】図1のチューニング・マッチング回路の等価回路図。
【図3】インピーダンスの変化の状態を説明するスミスチャート。
【図4】シミュレーション状態を説明する回路図。
【図5】RFコイル間の干渉抑制効果を説明するシミュレーション結果の図。
【図6】RFコイル間の干渉抑制効果を説明するシミュレーション結果の別の図。
【図7】RFコイル間の干渉抑制効果を説明するシミュレーション結果の別の図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るRFコイル装置を1つのコイル素子について示す構成図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るRFコイル装置を1つのコイル素子について示す構成図。
【図10】本発明の第4の実施形態に説明において採用した、従来のRFコイルアセンブリの例を示す図。
【図11】図10のRFコイルアセンブリの外観図。
【図12】図10のコイルアセンブリを接続するMRI装置本体側の一部を示すブロック図。
【図13】本発明の第4の実施形態に説明において採用した、従来のフェーズドアレイコイルセンブリの例を示す図。
【図14】図13のフェーズドアレイコイルアセンブリを接続するMRI装置本体側の一部を示すブロック図。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る、アダプタを有するRFコイル部(装置)の外観図。
【図16】同実施形態に係るアダプタのブロック図。
【図17】本発明の第5の実施形態に係るRFコイル部(装置)のアダプタのブロック図。
【図18】本発明の第6の実施形態に係るRFコイル部(装置)のアダプタのブロック図。
【図19】本発明の第7の実施形態に係るRFコイル部(装置)のアダプタのブロック図。
【図20】本発明の第8の実施形態において採用した従来の画像生成を示すフローチャート。
【図21】本発明の第8の実施形態における画像生成方法を示すフローチャート。
【図22】同実施形態の画像生成方法を実行する演算ユニットを備えたMRI装置のブロック図。
【図23】本発明の第9の実施形態における画像生成方法を示すフローチャート。
【図24】本発明の第10の実施形態における画像生成方法を示すフローチャート。
【図25】本発明の第11の実施形態における画像生成方法を示すフローチャート。
【図26】従来のプリダンプ回路の構成図。
【図27】低入力インピーダンスのプリアンプの一部を示す内部回路図。
【符号の説明】
10 RFコイル素子(RFコイル)
11 チューニング用コンデンサ
12、13 マッチング用コンデンサ
14 位相シフタ
15 プリアンプ
16、18 調整用コンデンサ
17、19 調整用コイル
30A,30B RFコイルアセンブリ
PG プラグコネクタ
31 アダプタ
311A,311B 第1のコンバータ回路
312 第2のコンバータ回路
32 ケーブル
33 コネクタ
320,321,330A,330B,331 コネクタ
322 平衡不平衡変換回路
323 位相シフタ
324、325 分圧回路
332 プリアンプ
333 マルチプレクサ
411A,411B 第1のコンバータ回路
412 第2のコンバータ回路
420 スイッチ回路
511A,511B 第1のコンバータ回路
512 第2のコンバータ回路
522、523 コイル
526、527 抵抗
611A,611B 第1のコンバータ回路
612 第2のコンバータ回路
7R 受信RFコイル
150 演算ユニット

Claims (6)

  1. 被検体の近傍に配置され、かつ被検体からのMR信号を受信する複数のRFコイル素子と、この複数のRFコイル素子の夫々に接続され、かつこのRFコイル素子からのMR信号を増幅するプリアンプとを備え、前記複数のプリアンプの夫々の入力インピーダンスを、この入力インピーダンスの虚数成分の値が当該入力インピーダンスの実数成分の値よりも大きくなるように設定したことを特徴とするMRI装置。
  2. 前記RFコイル素子とプリアンプとの間に、このRFコイル素子からのMR信号の位相をずらす位相シフト手段を介在させた請求項1記載のMRI装置。
  3. 前記RFコイル素子と位相シフト手段との間に、ラーモア周波数にチューニングしかつMR信号の伝送ラインのインピーダンスマッチング用のチューニング・マッチング回路を介挿した請求項2記載のMRI装置。
  4. 前記位相シフト手段とプリアンプとの間に、コイル及びコンデンサによる並列共振回路を当該プリアンプの入力インピーダンスと並列に介挿し、この並列共振回路の共振周波数をラーモア周波数又はその近傍域に設定した請求項2記載のMRI装置。
  5. 前記位相シフト手段とプリアンプとの間に、コイル及びコンデンサによる直列共振回路を当該プリアンプの入力インピーダンスと直列に介挿し、この直列共振回路の共振周波数をラーモア周波数又はその近傍域に設定した請求項2記載のMRI装置。
  6. 前記共振回路は、前記コイル及びコンデンサの少なくとも一方にリアクタンス可変の素子を用い、前記共振周波数を調整できる回路に形成した請求項4又は5記載のMRI装置。
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