JP4785649B2 - 車両用駆動装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車や電気自動車等、車両の駆動源として回転電気を備えた車両に適用可能な車両用駆動装置及びその制御方法に関する。
これまで、動力源としてエンジン及び回転電機を備えたハイブリッド車両の駆動装置に関して、エンジン及び回転電機の一方又は双方で発生した駆動力を、複数の変速段を有する変速機を介して車輪側に伝達する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この変速機は、例えば遊星歯車機構を用いて構成され、その所定の回転要素を係合させて変速段を切り替えるためのクラッチやブレーキ等を備えている。
また、このような駆動装置における、車両の停止状態での制御に関して、エンジンの駆動力をトルクコンバータ式の自動変速機を介して車輪に伝達する通常の車両と同様に、一定のクリープトルクを発生させる制御を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。このクリープトルクは、回転電機の出力トルクを制御することにより発生され、前記変速機を介して車輪側に伝達される。
また、変速機のクラッチの構成の詳細に関して、クラッチの油圧室に作用する遠心油圧を打ち消すために、ピストンを挟んで油圧室に対向する位置にキャンセル室を設けた構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3675080号公報(第3−4頁、第11−12頁、第1図、第8図) 特許第3618710号公報(第9頁、第4−5図)
しかしながら、上記のような車両の駆動装置では、車両の停止状態で、変速機の一つのクラッチの係合状態から係合解除状態への変化を伴う変速段の切り替えが行われた直後に車両を急発進させた場合に、当該クラッチの係合解除が不完全になる場合があった。このような場合としては、具体的には、例えば、車両の停止中に変速指示手段としてのシフトレバーの選択位置を前進走行レンジであるDレンジから後進走行レンジであるRレンジへ短時間で切り替え、或いはその逆の切り替えを行い、その直後に車両を急発進させた場合等が該当する。
すなわち、上記のような駆動装置では、車両の停止状態において、クリープトルクを車輪側に伝達するために、変速機は、所定の変速段が選択された状態に維持される。この際、当該所定の変速段を選択するために必要なクラッチが係合状態に維持される。具体的には、例えば、シフトレバーの選択位置が前進走行レンジであるDレンジにある状態で車両が停止した際には、第1速を選択するためのクラッチ(ここでは「第一クラッチ」と呼ぶ)が係合状態となる。このような車両の停止状態では、車輪に駆動連結された変速機の各部は停止した状態となり、前記第一クラッチについても、その入力側回転部材及び出力側回転部材の双方が回転しない停止状態となる。ここで、前記第一クラッチの油圧室には係合状態を維持するための油圧が作用しており、油は満たされている。これに対して、前記第一クラッチがキャンセル室を有する場合、回転が停止して遠心力が作用しなくなったことにより、当該キャンセル室内の油は抜け落ちる。
また、油圧室に連通する油路は複雑な形状となっているため、第一クラッチの係合が解除された際にもすぐには油が抜け落ちない。そのため、変速段の切り替えが短時間で行われた直後に車両を急発進させた場合には、第一クラッチの油圧室内に油が残っている状態で、他のクラッチやブレーキ等が係合されて変速機内の各部が回転を開始することになる。この場合、第一クラッチが回転することによりその油圧室内の油に遠心油圧が発生するが、キャンセル室内には油が存在しないために、この遠心油圧を打ち消すことができない。そのため、前記第一クラッチに係合しようとする力が作用して係合解除が不完全になる場合がある。具体的には、例えばシフトレバーがDレンジで車両が停止している状態から、短時間でRレンジに切り替えて急発進する際には、後進段を選択するためのクラッチが係合している状態で、前記第一クラッチの係合解除が不完全になることにより、車両の発進が円滑に行われないことが起こり得る。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、変速状態を切り替えて発進する際に、切替前の変速状態を選択するためのクラッチの係合解除が不完全になることを防止できる車両用駆動装置及びその制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る車両用駆動装置の特徴構成は、回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された出力軸と、前記伝動軸から伝達される駆動力を前記出力軸に出力する変速機と、前記回転電機及び前記変速機の制御を行う制御手段と、車速が閾値速度以下であることを判定する停止判定手段と、を備え、前記変速機は、係合油圧を発生させる油圧室及び前記油圧室の遠心油圧を打ち消すためのキャンセル室を、前記伝動軸に駆動連結された入力側回転部材に有するクラッチを備え、前記制御手段は、前記停止判定手段により車速が閾値速度以下であると判定した場合に、係合状態にある前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行い、更に、車両の発進時には、前記制御手段は、前記クラッチの出力側回転速度がゼロである場合には前記入力側回転部材の回転速度をゼロとするように前記回転電機の制御を行った後に、それ以外の場合には前記入力側回転部材の回転速度を前記出力側回転速度に同期させるように前記回転電機の制御を行った後に、前記クラッチの係合圧を上昇させる制御を行う点にある。
ここで、前記キャンセル室は、前記油圧室と同様に回転することにより前記クラッチピストンに遠心油圧を作用させ、前記油圧室内で発生する遠心油圧を打ち消すように機能する油室である。
この特徴構成によれば、前記変速機のクラッチにおける、前記油圧室及びキャンセル室を有する入力側回転部材を、車両が略停止状態にあるときにも回転状態に維持することになる。これにより車両の略停止状態でも前記キャンセル室内の油が抜けないように保持することができる。したがって、前記変速機の変速状態の切り替えが短時間で行われた直後に車両を急発進させた場合であっても前記クラッチの係合解除が不完全になることを防止できる。
なお、本願において「略停止状態」は、車両が完全に停止している場合だけでなく、例えばアクセルペダルが操作されていない状態で微速走行している状態等のように所定速度以下の低速で走行している状態も含むものとする。また、本願において、「駆動連結」とは、駆動力の伝達を直接的に行うように連結された構造を含むほか、1又は2以上の部材を介して間接的に駆動力の伝達を行うように連結された構造も含むものとする。また、本願において、「回転電機」は、電動モータ、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
ここで、変速指示手段の選択位置を検出するシフト位置検出手段を更に備え、前記制御手段は、更に前記変速指示手段の選択位置が走行レンジにあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
なお、本願における「変速指示手段」には、シフトレバー(変速レバー)、変速スイッチ、変速操作の入力が可能なタッチパネル等、変速機の変速状態を指示することが可能な全ての手段が含まれる。
このように構成すれば、変速指示手段の選択位置がN(ニュートラル)レンジやP(パーキング)レンジ等の停止レンジにある場合には、前記クラッチの入力側回転部材を回転させるための駆動力を発生させない制御を行うことができる。したがって、変速指示手段が停止レンジにある場合にも前記クラッチの入力側回転部材を回転させる制御を行う場合と比較して、前記クラッチの入力側回転部材を回転させるためのエネルギの消費を節減することができ、車両の燃費を向上させることができる。
また、このように変速指示手段の選択位置が停止レンジにある場合に前記クラッチの入力側回転部材を回転させるための駆動力を発生させない制御を行った場合であっても、走行レンジで回転状態にあった入力側回転部材は、停止レンジに切り替えられた後でもしばらくは惰性で回転を継続する。そのため、前記油圧室の油がクラッチピストンのリターンスプリングの付勢力に押されて抜けるよりも長い時間、惰性回転による遠心力で前記キャンセル室内の油が抜けずに保持される。したがって、前記変速機の変速状態の切り替えが短時間で行われた直後に車両を急発進させた場合であっても前記クラッチの係合解除が不完全になることを防止できる。
また、ホイールブレーキが操作されている状態にあることを検出するブレーキ操作検出手段を更に備え、前記制御手段は、更に前記ホイールブレーキが操作されている状態にあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、ホイールブレーキが操作されている状態を運転者による車両を停止状態とする意思がある状態と判断し、前記クラッチの係合を解除するとともに入力側回転部材を所定速度で回転させる制御を行う。したがって、ホイールブレーキが操作されない状態となったときには、運転者による車両を走行状態とする(発進させる)意思がある状態と判断し、クリープトルクを発生させ、或いは車両を発進させる動作制御を迅速に行うことが可能となる。
具体的には、前記制御手段は、前記ホイールブレーキが操作されない状態となったときに、車両が発進すると判定する構成とすると好適である。
また、前記クラッチを係合解除状態にする制御は、前記クラッチの前記入力側回転部材と出力側回転部材との間の係合圧を完全係合状態より弱めて、前記クラッチを半係合状態とする制御を含む構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記クラッチを再び係合させる際の衝撃を緩和しつつ係合時間を短縮することができる。したがって、車両の発進を短時間で円滑に行うことができる。
また、前記変速機に供給される油の温度を検出する油温検出手段と、前記油温検出手段により検出された油温に応じて前記入力側回転部材の目標回転速度を決定する回転速度決定手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記回転速度決定手段により決定された目標回転速度を目標として前記入力側回転部材を回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記変速機に供給される油の温度により異なる油の粘性に応じて、適切な回転速度で前記クラッチの入力側回転部材を回転させる制御を行うことができる。したがって、前記キャンセル室内の油が抜けないように保持しつつ、前記入力側回転部材を回転させるためのエネルギの消費を節減することができ、車両の燃費を向上させることができる。
また、前記変速機に供給される油の温度を検出する油温検出手段と、前記油温検出手段により検出された油温に応じて前記入力側回転部材の回転トルクの上限値を決定する回転トルク決定手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記回転トルク決定手段により決定された回転トルクの上限値以下の範囲内で前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、車両の発進のために前記クラッチを係合させる際に、負荷の増大に応じて前記入力側回転部材の回転トルクが必要以上に上昇することを規制しつつ、油温が低く油の粘性が高いために前記入力側回転部材の回転速度が目標とする前記所定速度に達しない状態となることを防止することができる。
また、前記制御手段は、前記クラッチの係合を解除するとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行っている間、前記油温検出手段により継続的に油温を検出し、その最新の油温に応じて決定された条件で前記入力側回転部材を回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記クラッチの入力側回転部材を所定速度で回転させる制御を行っている間に油温が変化した場合であっても、当該変化した油温に応じて、適切な条件すなわち適切な回転速度や上限回転トルクとなるように調整することができる。
また、本発明は、前記回転電機を第二回転電機とし、これとは異なる第一回転電機と、エンジンに駆動連結された入力軸と、この入力軸から伝達される駆動力を前記第一回転電機と前記伝動軸とに分配する動力分配機構と、を更に備え、前記制御手段は、前記第一回転電機、前記第二回転電機、及び前記変速機の制御を行う構成のハイブリッド車両用駆動装置に良好に適用することができる。
このようなハイブリッド車両用駆動装置に適用する場合において、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるための制御は、前記エンジンの停止中は、前記第二回転電機の回転速度を制御することにより行う構成とすると好適である。
また、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるための制御は、前記エンジンの動作中は、前記第一回転電機の回転速度を制御するとともに、前記第二回転電機の回転トルクを制御することにより行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、エンジンと2つの回転電機を備えるハイブリッド車両の駆動装置において、エンジンの停止中と動作中との双方の状態で、前記クラッチの入力側回転部材を所定速度で回転させる制御を良好に行うことができる。
本発明に係る、回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された出力軸と、前記伝動軸から伝達される駆動力を前記出力軸に出力する変速機と、を備えるとともに、前記変速機は、係合油圧を発生させる油圧室及び前記油圧室の遠心油圧を打ち消すためのキャンセル室を、前記伝動軸に駆動連結された入力側回転部材に有するクラッチを備える車両用駆動装置の制御方法の特徴構成は、車速が閾値速度以下であると判定した場合に、係合状態にある前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行い、車両の発進時には、前記クラッチの出力側回転速度がゼロである場合には前記入力側回転部材の回転速度をゼロとするように前記回転電機の制御を行った後に、それ以外の場合には前記入力側回転部材の回転速度を前記出力側回転速度に同期させるように前記回転電機の制御を行った後に、前記クラッチの係合圧を上昇させる制御を行う点にある。
この特徴構成によれば、前記変速機のクラッチにおける、前記油圧室及びキャンセル室を有する入力側回転部材を、車両が略停止状態にあるときにも回転状態に維持することになる。これにより車両の略停止状態でも前記キャンセル室内の油が抜けないように保持することができる。したがって、前記変速機の変速状態の切り替えが短時間で行われた直後に車両を急発進させた場合であっても前記クラッチの係合解除が不完全になることを防止できる。
ここで、更に変速指示手段の選択位置が走行レンジにあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、変速指示手段の選択位置がN(ニュートラル)レンジやP(パーキング)レンジ等の停止レンジにある場合には、前記クラッチの入力側回転部材を回転させるための駆動力を発生させない制御を行うことができる。したがって、変速指示手段の選択位置が停止レンジにある場合にも前記クラッチの入力側回転部材を回転させる制御を行う場合と比較して、前記クラッチの入力側回転部材を回転させるためのエネルギの消費を節減することができ、車両の燃費を向上させることができる。
また、このように変速指示手段の選択位置が停止レンジにある場合に前記クラッチの入力側回転部材を回転させるための駆動力を発生させない制御を行った場合であっても、走行レンジで回転状態にあった入力側回転部材は、停止レンジに切り替えられた後でもしばらくは惰性で回転を継続する。そのため、前記油圧室の油がクラッチピストンのリターンスプリングの付勢力に押されて抜けるよりも長い時間、惰性回転による遠心力で前記キャンセル室内の油が抜けずに保持される。したがって、前記変速機の変速状態の切り替えが短時間で行われた直後に車両を急発進させた場合であっても前記クラッチの係合解除が不完全になることを防止できる。
また、更にホイールブレーキが操作されている状態にあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、ホイールブレーキが操作されている状態を運転者による車両を停止状態とする意思がある状態と判断し、前記クラッチの係合を解除するとともに入力側回転部材を所定速度で回転させる制御を行う。したがって、ホイールブレーキが操作されない状態となったときには、運転者による車両を走行状態とする意思がある状態と判断し、クリープトルクを発生させ、或いは車両を発進させる動作制御を迅速に行うことが可能となる。
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明をハイブリッド車両用の駆動装置に適用した場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1を含む車両の構成を模式的に示すブロック図である。この図に示すように、車両用駆動装置1は、エンジンEと車輪Wとの間の駆動力の伝達経路中に設けられている。また図2は、本実施形態に係る車両用駆動装置1の構造の概略を示す断面図である。なお、図2においては、第一モータ・ジェネレータMG1、第二モータ・ジェネレータMG2、動力分配機構PG0、及び変速機SCは模式的に表している。また、この車両用駆動装置1に接続されるエンジンE、バッテリBa、インバータIn、電動オイルポンプOPe、及び制御装置ECUについても模式的に表している。
1.車両用駆動装置1の全体構造
まず、図2を用いて本実施形態に係る車両用駆動装置1の構造について説明する。この図に示すように、車両用駆動装置1は、主な構成として、第一モータ・ジェネレータMG1、第二モータ・ジェネレータMG2、動力分配機構PG0、及び変速機SCを備えている。また、車両用駆動装置1は、エンジンEに駆動連結された入力軸Iと、車輪W(図1参照)に駆動連結された出力軸Oと、入力軸Iと出力軸Oの間の駆動力の伝達を行う第一中間軸M1とを備えている。本例では、これらの軸は、前側から入力軸I、第一中間軸M1、出力軸Oの順に、エンジンEの駆動力が出力される駆動軸(クランク軸)Ecと同軸に配置されている。なお、本実施形態の説明では、エンジンE側を前側(図1における左側)、出力軸O側を後側(図1における右側)として説明する。
駆動軸Ecと入力軸Iとの間には、ダンパ装置Dが設けられている。このダンパ装置Dは、エンジンEの出力の変動を吸収して入力軸Iに伝達する。なお、ダンパ装置Dを備えず、駆動軸Ecと入力軸Iとを一体とした構成とすることも可能である。また、入力軸Iと第一中間軸M1との間には、動力分配機構PG0が設けられている。この動力分配機構PG0は、エンジンEからダンパ装置D及び入力軸Iを介して伝達されてきた駆動力を、第一モータ・ジェネレータMG1と第一中間軸M1とに必要に応じて分配して伝達する。これにより、この車両用駆動装置1は、2個のモータ・ジェネレータMG1及びMG2を有するスプリット方式として構成されている。なお、動力分配機構PG0の下方には、機械式オイルポンプOPmが配置されている。また、第一中間軸M1と出力軸Oとの間には、変速機SCが設けられている。
以上の車両用駆動装置1の各構成は、前後方向に長い筒状であって、後側へ向かうに従って径方向の大きさが小さくなるように形成されているケースMCの内部に収納されている。具体的には、エンジンE側から出力軸O側へ向かって、ダンパ装置D、第一モータ・ジェネレータMG1、動力分配機構PG0、第二モータ・ジェネレータMG2、変速機SCの順に配置されて収納されている。ここで、第二モータ・ジェネレータMG2と変速機SCとの間には、隔壁SWが設けられている。また、この車両用駆動装置1は、ケースMCの外壁の下側に、機械式オイルポンプOPm及び電動オイルポンプOPeから供給された油の各部への供給を制御する油圧制御装置HCと、油を貯留するオイルパンOpとを有している。なお、エンジンEの動作中は機械式オイルポンプOPmにより油圧制御装置HCに油が供給され、エンジンEの停止中は電動オイルポンプOPeにより油圧制御装置HCに油が供給される。また、この車両用駆動装置1の出力軸Oは、ディファレンシャル装置DIFや図示しない四輪駆動用のトランスファ装置等を介して車輪W(図1参照)に駆動力を伝達する。
なお、本実施形態においては、第一中間軸M1が本発明における「伝動軸」に相当し、第一モータ・ジェネレータMG1が本発明における「第一回転電機」に相当し、第二モータ・ジェネレータMG2が本発明における「第二回転電機」又は「回転電機」に相当する。
2.車両用駆動装置1の各部の構成
動力分配機構PG0は、入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている。すなわち、動力分配機構PG0は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca0と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs0及びリングギヤr0とを回転要素として有している。この動力分配機構PG0は、キャリアca0が入力軸Iと一体回転するように連結され、サンギヤs0が第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1と一体回転するように連結され、リングギヤr0が第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。これにより、動力分配機構PG0は、エンジンEから入力軸Iを介してキャリアca0に伝達された駆動力を、第一モータ・ジェネレータMG1の回転制御によって、第一モータ・ジェネレータMG1側と第一中間軸M1側とに分配する。なお、第一モータ・ジェネレータMG1に分配された駆動力は主に発電用に供され、第一中間軸M1に伝達された駆動力は主に車両の走行用に供される。また、動力分配機構PG0のキャリアca0には、機械式オイルポンプOPmを駆動するための駆動ギヤg0が一体回転するように連結されている。この駆動ギヤg0は、機械式オイルポンプOPmの回転軸と一体回転する従動ギヤgmに噛み合うように設けられている。
第一モータ・ジェネレータMG1は、ケースMCに固定されたステータSt1と、このステータSt1の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo1と、を有している。この第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1は、動力分配機構PG0のサンギヤs0と一体回転するように連結されている。また、第二モータ・ジェネレータMG2は、ケースMCに固定されたステータSt2と、このステータSt2の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo2と、を有している。この第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2は、第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。第1モータ・ジェネレータMG1及び第2モータ・ジェネレータMG2は、それぞれインバータInを介して蓄電装置としてのバッテリBaに電気的に接続されている。そして、第1モータ・ジェネレータMG1及び第2モータ・ジェネレータMG2は、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータとしての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータとしての機能を果すことが可能とされている。
本例では、第一モータ・ジェネレータMG1は、主にサンギヤs0を介して入力された駆動力により発電を行い、バッテリBaを充電し、或いは第二モータ・ジェネレータMG2を駆動する。ただし、車両の高速走行時には第一モータ・ジェネレータMG1はモータとして機能する場合もある。一方、第二モータ・ジェネレータMG2は、主に車両の走行用の駆動力を補助する駆動モータとして機能する。ただし、車両の減速時等には第二モータ・ジェネレータMG2は発電機として機能し、車両の慣性力を電気エネルギとして回生する。これら第一モータ・ジェネレータMG1及び第二モータ・ジェネレータMG2の動作は、制御装置ECUから制御指令に従って行われる。
変速機SCは、1組の遊星歯車機構又は複数組の遊星歯車機構の組み合わせにより構成されている。図3は、本実施形態に係る変速機SCの具体的構成を示す断面図である。また、図4は、この変速機SCのスケルトン図である。これらの図に示すように、変速機SCは、2組の遊星歯車機構PG1、PG2を組み合わせてなる遊星歯車装置PGSを備えて構成される。また、変速機SCは、この遊星歯車装置PGSを構成する回転要素に対応して複数の摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1を備えている。具体的には、変速機SCは、これらの摩擦係合要素として、第一クラッチC1、第二クラッチC2、第三クラッチC3、第一ブレーキB1、第二ブレーキB2、及び一方向クラッチF1を備えている。この変速機SCの詳細な構成については以下に説明する。
3.変速機SCの詳細な構成
ここでは、変速機SCの遊星歯車装置PGSを構成する2組の遊星歯車機構のうち、第一中間軸M1側(前側)を第一遊星歯車機構PG1、出力軸O側(後側)を第二遊星歯車機構PG2とする。図4からも明らかなように、第一遊星歯車機構PG1は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca1と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs1及びリングギヤr1とを回転要素として有するシングルピニオン式の遊星歯車機構である。また、第二遊星歯車機構PG2も同様に、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca2と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs2及びリングギヤr2とを回転要素として有するシングルピニオン式の遊星歯車機構である。
次に、第一遊星歯車機構PG1及び第二遊星歯車機構PG2の各回転要素と摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1との関係について説明する。第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1は、第三クラッチC3により第一中間軸M1の回転が選択的に伝達されるとともに、第一ブレーキB1によりケースMCに選択的に固定される。第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1は、第二遊星歯車機構PG2のリングギヤr2に連結され、第二クラッチC2により第一中間軸M1の回転が選択的に伝達されるとともに、第二ブレーキB2によりケースMCに選択的に固定される。また、このキャリアca1の回転は、一方向クラッチF1によりその逆転が止められる。第一遊星歯車機構PG1のリングギヤr1は、第二遊星歯車機構PG2のキャリアca2に連結されるとともに、出力軸Oに連結されている。第二遊星歯車機構PG2のサンギヤs2は、第一クラッチC1により第一中間軸M1の回転が選択的に伝達される。
図5は、これらの摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1の作動表を示す図である。この図に示す作動表において、「○」は各摩擦係合要素が係合状態にあることを示している。また「無印」は、各摩擦係合要素が係合解除状態にあること示している。なお「(○)」は、一方向クラッチF1が働くことにより実現される状態と同じ状態が摩擦係合要素B2の係合で実現することを示している。この作動表に示すように、変速機SCでは、各変速段においていずれか2つの摩擦係合要素が係合状態とされ、残りの摩擦係合要素が係合解除状態とされることで、各変速段を選択する。
次に、各摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1の構成、特にクラッチC1、C2、C3の構成について詳細に説明する。図3に示すように、本実施形態においては、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3は、いずれも多板式クラッチとされている。そして、図6に示すように、第一クラッチC1はキャンセル室J1を備え、第二クラッチC2及び第三クラッチC3は、共通のキャンセル室J2を備えた構成とされている。また、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2は、いずれも多板式ブレーキとされている。
図6は、図3における第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3の周辺の拡大図である。この図に示すように、第一クラッチC1は、クラッチドラムC1aと、クラッチピストンC1bと、クラッチハブC1cと、リターンスプリングC1dと、キャンセルプレートC1eと、を有して構成されている。クラッチドラムC1aは、第一中間軸M1と一体回転するように連結された有底筒状部材であり、その内周面に複数枚の輪状の摩擦板が一体回転するようにスプライン係合されている。クラッチピストンC1bは、クラッチドラムC1a内に配置され、クラッチドラムC1aとの間に油圧室H1を構成している。クラッチハブC1cは、クラッチドラムC1aの筒状部の内周面に対向する筒状部を有し、第二中間軸M2と一体回転するように連結された筒状部材であり、その外周面に複数枚の輪状の摩擦相手板が一体回転するようにスプライン係合されている。リターンスプリングC1dは、ここではクラッチピストンC1bとキャンセルプレートC1eとの間に設けられた圧縮コイルばねであり、クラッチピストンC1bを、その軸方向の油圧室H1側に付勢する付勢手段として機能する。キャンセルプレートC1eは、クラッチピストンC1bに対して油圧室H1とは反対側に配置され、クラッチピストンC1bとの間にキャンセル室J1を構成している。
以上より、この第一クラッチC1では、クラッチドラムC1a、クラッチピストンC1b、及びキャンセルプレートC1e等の第一中間軸M1と一体回転するように連結されている部材が、第一クラッチC1の「入力側回転部材Ci1」となる。また、クラッチハブC1c等の第二中間軸M2と一体回転するように連結されている部材が第一クラッチC1の「出力側回転部材Co1」となる。
この第一クラッチC1は、油圧制御装置HCから第一作動油路ph1を介して油圧室H1内に油が供給されて油圧室H1内の油の圧力が高まると、クラッチピストンC1bがリターンスプリングC1dの付勢力に抗して軸方向のキャンセルプレートC1e側(図6における右側)へ移動する。これにより、クラッチドラムC1aに設けられた摩擦板と、クラッチハブC1cに設けられた摩擦相手板とが接触して押圧され、第一クラッチC1は係合状態となる。一方、油圧室H1内の油の圧力が低下すると、クラッチピストンC1bがリターンスプリングC1dの付勢力により軸方向の油圧室H1側へ移動する。これにより、第一クラッチC1は係合解除状態となる。また、油圧制御装置HCにより油圧室H1内の油の圧力を調節することで、第一クラッチC1の係合圧を調節し、完全係合状態より弱い係合圧で係合する半係合状態とすることもできる。そして、第一クラッチC1は、係合状態で第一中間軸M1と第二中間軸M2との間の駆動伝動を行い、係合解除状態で第一中間軸M1と第二中間軸M2との間の駆動伝動を行わない状態となる。
第一クラッチC1のキャンセル室J1は、クラッチピストンC1bを挟んで油圧室H1と対向するように設けられている。キャンセル室J1には、第一中間軸M1及び入力側回転部材Ci1が回転することによる遠心力で、潤滑油路pj内の油が供給される。なお、潤滑油路pjは、第二中間軸M2の中心部等に広い容積を有しており、それが油溜りとして機能する。そして、このキャンセル室J1は、油圧室H1と一体的に回転することにより、油圧室H1内で発生する遠心油圧とほぼ同じ大きさの遠心油圧を発生させ、クラッチピストンC1bに作用する遠心油圧の影響を打ち消すように機能する。ところで、キャンセル室J1に連通する潤滑油路pjは、変速機SC内の各部に潤滑用の油を供給すべく、複数箇所に連通する開放された油路となっているため、入力側回転部材Ci1の回転が停止して遠心力が作用しなくなると、キャンセル室J1内の油はすぐに抜ける。これに対して、油圧室H1に連通する第一作動油路ph1は、油圧制御装置HCに連通する密閉された油路となっているため、油圧室H1内の油が抜けつつクラッチピストンC1bがリターンスプリングC1dの付勢力により初期位置まで押し戻されるには、ある程度の時間(最長で1秒程度)が必要となる。
第二クラッチC2は、第一クラッチC1とほぼ同じ構成を有している。すなわち、第二クラッチC2は、クラッチドラムC2aと、クラッチピストンC2bと、クラッチハブC2cと、リターンスプリングC2dと、キャンセルプレートC2eと、を有して構成されている。また、クラッチドラムC2aとクラッチピストンC2bとの間には油圧室H2が構成され、クラッチピストンC2bとキャンセルプレートC2eとの間にはキャンセル室J2が構成されている。但し、この第二クラッチC2では、クラッチハブC2cは第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1(図3参照)と一体回転するように連結されている。したがって、この第二クラッチC2は、係合状態で第一中間軸M1と第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1との間の駆動伝動を行い、係合解除状態で第一中間軸M1と第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1との間の駆動伝動を行わない状態となる。それ以外の機能及び動作は、第一クラッチC1と同様である。なお、本例では、第二クラッチC2のクラッチドラムC2aは、第三クラッチC3のクラッチピストンを兼ねた構成となっている。また、第二クラッチC2のキャンセル室J2は、第三クラッチC3のキャンセル室を兼ねた構成となっている。
以上より、この第二クラッチC2では、クラッチドラムC2a、クラッチピストンC2b、及びキャンセルプレートC2e等の第一中間軸M1と一体回転するように連結されている部材が、第二クラッチC2の「入力側回転部材Ci2」となる。また、クラッチハブC2c等の第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1(図3参照)と一体回転するように連結されている部材が第二クラッチC2の「出力側回転部材Co2」となる。
第三クラッチC3も、第一クラッチC1とほぼ同じ構成を有している。すなわち、第三クラッチC3は、クラッチドラムC3aと、第二クラッチC2のクラッチドラムを兼ねたクラッチピストンC2aと、クラッチハブC3cと、を有して構成されている。また、クラッチドラムC3aとクラッチピストンC2aとの間には油圧室H3が構成されている。なお、第三クラッチC3のリターンスプリングの役割は、第二クラッチC2のリターンスプリングC2dが行う。また、第三クラッチC3のキャンセル室の役割は、第二クラッチC2のキャンセル室J2が行う。すなわち、リターンスプリングC2d及びキャンセル室J2は、第二クラッチC2のクラッチピストンC2bを介して、第三クラッチC3のクラッチピストンC2aに、油圧室H3側への付勢力及び遠心油圧を作用させる。但し、この第三クラッチC3では、クラッチハブC3cは第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1と一体回転するように連結されている。したがって、この第三クラッチC3は、係合状態で第一中間軸M1と第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1との間の駆動伝動を行い、係合解除状態で第一中間軸M1と第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1との間の駆動伝動を行わない状態となる。それ以外の機能及び動作は、第一クラッチC1と同様である。
以上より、この第三クラッチC3では、クラッチドラムC3a、クラッチピストンC2a、及びキャンセルプレートC2e等の第一中間軸M1と一体回転するように連結されている部材が、第三クラッチC3の「入力側回転部材Ci3」となる。また、クラッチハブC3c等の第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1と一体回転するように連結されている部材が第三クラッチC3の「出力側回転部材Co3」となる。
図3に示すように、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2は、ケースMCの内周面に設けられ、複数枚の輪状の摩擦板がスプライン係合された係合部Bfと、ブレーキピストンBbと、複数枚の輪状の摩擦相手板がスプライン係合されたブレーキハブBcと、リターンスプリングBdと、を有して構成されている。また、ブレーキピストンBbの背面側には油圧室Hbが構成されている。なお、本例では、第一ブレーキB1に関しては、ブレーキピストンBbを摺動可能に支持するブレーキシリンダBeが、ケースMCの内周面に固定されて配置されている。一方、第二ブレーキB2に関しては、ブレーキシリンダは、ケースMCの内周面に一体的に形成されている。本例では、第一ブレーキB1のブレーキハブBcは、第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1と一体回転するように連結されている。また、第二ブレーキB2のブレーキハブBcは、第二遊星歯車機構PG2のリングギヤr2と一体回転するように連結されている。これらの第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2では、それぞれ油圧制御装置HCにより油圧室Hbへの油の供給が制御されることにより、ブレーキピストンBbが軸方向(図3における左右方向)に移動する。これにより、摩擦板と摩擦相手板とが押圧又は押圧解除されて係合状態又は係合解除状態となる。そして、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2は、係合状態でケースMCに対するブレーキハブBcの回転を停止させ、係合解除状態でその回転を許容する。
一方向クラッチF1は、図6に示すように、本例では、第一ブレーキB1のブレーキシリンダBeを介してケースMCに固定されたアウターレースF1oと、第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1と一体回転するように連結されたインナーレースF1iとの間にスプラグを備えたスプラグタイプの一方向クラッチである。この一方向クラッチF1は、第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1及び第二遊星歯車機構PG2のリングギヤr2の逆転を規制し、正転を許容する。
4.制御装置ECUの構成
次に、本実施形態に係る車両用駆動装置1の制御手段としての制御装置ECUの構成について図1に基づいて説明する。なお、この図1において、二重の実線は駆動力の伝達経路を示し、二重の破線は電力の伝達経路を示し、白抜きの矢印は油の流れを示している。また、実線の矢印は各種情報の伝達経路を示している。
この制御装置ECUは、車両の各部に設けられたセンサSe1〜Se10で取得される情報を用いて、エンジンE、第一モータ・ジェネレータMG1、第二モータ・ジェネレータMG2、油圧制御装置HCを介して変速機SCの各摩擦係合要素、及び電動オイルポンプ等の動作制御を行う。これらのセンサSe1〜Se10として、本例では、第一モータ・ジェネレータ回転速度センサSe1、第二モータ・ジェネレータ回転速度センサSe2、油圧センサSe3、油温センサSe4、出力軸回転速度センサSe5、エンジン回転速度センサSe6、シフト位置検出センサSe7、ブレーキ操作検出センサSe8、アクセル操作検出センサSe9、及び蓄電量検出センサSe10が設けられている。
ここで、第一モータ・ジェネレータ回転速度センサSe1は、第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1の回転速度を検出するためのセンサである。第二モータ・ジェネレータ回転速度センサSe2は、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2の回転速度を検出するためのセンサである。油圧センサSe3は、油圧制御装置HCに供給される油の油圧である元油圧を検出するためのセンサである。油温センサSe4は、油圧制御装置HCから供給される油の温度である油温を検出するためのセンサである。出力軸回転速度センサSe5は、出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。エンジン回転速度センサSe6は、エンジンEの駆動軸Ecの回転速度を検出するためのセンサである。シフト位置検出センサSe7は、変速機SCを操作するためのシフトレバーSLの選択位置を検出するためのセンサである。ブレーキ操作検出センサSe8は、車輪W(ホイール)の回転を減速させるための図示しないホイールブレーキに連動するブレーキペダルbpの操作の有無を検出するためのセンサである。アクセル操作検出センサSe9は、アクセルペダルapの操作の有無を検出するためのセンサである。蓄電量検出センサSe10は、バッテリBaの蓄電量を検出するためのセンサである。なお、本実施形態では、シフトレバーSLが本発明における「変速指示手段」に相当する。
また、制御装置ECUは、エンジン制御手段3、モータ・ジェネレータ制御手段4、蓄電量検出手段5、モータ・ジェネレータ回転検出手段6、変速機制御手段7、油圧検出手段8、油温検出手段9、出力軸回転速度検出手段10、電動オイルポンプ制御手段11、エンジン回転検出手段12、シフト位置検出手段13、ブレーキ操作検出手段14、アクセル操作検出手段15、回転速度決定手段16、回転トルク決定手段17、及び停止判定手段18を備えている。制御装置ECUにおけるこれらの各手段は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。
エンジン制御手段3は、エンジンEの動作開始、停止、回転速度制御、出力トルク制御等の動作制御を行う。モータ・ジェネレータ制御手段4は、インバータInを介して、第一モータ・ジェネレータMG1及び第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度制御、回転トルク制御等の動作制御を行う。具体的には、回転速度制御は、第一モータ・ジェネレータMG1又は第二モータ・ジェネレータMG2に供給する電力の周波数を制御することにより行う。また、回転トルク制御は、第一モータ・ジェネレータMG1又は第二モータ・ジェネレータMG2に供給する電流又は電圧を制御することにより行う。蓄電量検出手段5は、蓄電量検出センサSe10からの出力に基づいてバッテリBaの蓄電量を検出する処理を行う。モータ・ジェネレータ回転検出手段6は、第一モータ・ジェネレータ回転速度センサSe1、及び第二モータ・ジェネレータ回転速度センサSe2の出力に基づいて、第一モータ・ジェネレータMG1及び第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度を検出する。
変速機制御手段7は、油圧制御装置HCの動作を制御することにより、変速機SCの各摩擦係合要素、本例では、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3、並びに第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2(図3及び図4参照)のそれぞれの係合又は係合解除を行い、変速機SCの変速段を選択する制御を行う。油圧検出手段8は、油圧センサSe3からの出力に基づいて、油圧制御装置HCに供給される油の圧力である元油圧を検出する。油温検出手段9は、油温センサSe4からの出力に基づいて、油圧制御装置HCから変速機SCの各部へ供給される油の温度である油温を検出する。出力軸回転速度検出手段10は、出力軸回転速度センサSe5からの出力に基づいて、車両用駆動装置1の出力軸Oの回転速度を検出する。電動オイルポンプ制御手段11は、電動オイルポンプ用インバータIopを介して電動オイルポンプOPeの回転速度制御等の動作制御を行う。エンジン回転検出手段12は、エンジン回転速度センサSe6からの出力に基づいて、エンジンEの駆動軸Ecの回転速度を検出する。
シフト位置検出手段13は、シフト位置検出センサSe7からの出力に基づいて、シフトレバーSLの選択位置を検出する。本例では、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、「2(セカンド)」、「L(ロー)」のいずれのレンジが選択されているかを検出する。ブレーキ操作検出手段14は、ブレーキ操作検出センサSe8からの出力に基づいて、車両の運転者によるホイールブレーキの操作、具体的にはブレーキペダルbpの操作の有無を検出する。本例では、ブレーキペダルbpが操作されている状態にある場合にはブレーキ操作:ON、ブレーキペダルbpが操作されない状態にある場合にはブレーキ操作:OFFとして検出する。アクセル操作検出手段15は、アクセル操作検出センサSe9からの出力に基づいて、車両の運転者によるアクセルペダルapの操作の有無を検出する。本例では、アクセルペダルapが操作されている状態にある場合にはアクセル操作:ON、アクセルペダルapが操作されない状態にある場合にはアクセル操作:OFFとして検出する。
回転速度決定手段16は、油温検出手段9により検出された油温に応じて、第一中間軸M1の目標回転速度Nmnを決定する。本例では、キャンセル室J1、J2を有する第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3は、ともに第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。また、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2も第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。したがって、第一中間軸M1の回転速度は、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3の回転速度、並びに第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度と一致する。すなわち、ここでは第一中間軸M1の目標回転速度Nmnは、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3並びに第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度でもあることになる。
また本例では、回転速度決定手段16は、油温tに応じた第一中間軸M1の目標回転速度Nmnを規定した油圧−回転速度マップm1を備えており、この油圧−回転速度マップm1に従って目標回転速度Nmnを決定する。図7は、この油圧−回転速度マップm1を示す図である。この図に示すように、この油圧−回転速度マップm1では、油温tが高いほど目標回転速度Nmnも高くなるように規定されている。これは、油温tが高くなるほど油の粘性が低下してキャンセル室J1、J2内の油が抜けやすくなることに応じて、第一中間軸M1に連結された第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3の回転速度を速くすることで、キャンセル室J1、J2内の油に大きい遠心力を作用させるためである。
回転トルク決定手段17は、油温検出手段9により検出された油温に応じて、第一中間軸M1の回転トルクの上限値Tmnを決定する。本例では、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3は、ともに第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。また、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2も第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。したがって、第一中間軸M1の回転トルクは、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3の回転トルク、並びに第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクと一致する。すなわち、ここでは第一中間軸M1の回転トルクの上限値Tmnは、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3並びに第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクの上限値でもあることになる。
また本例では、回転トルク決定手段17は、油温tに応じた第一中間軸M1の回転トルクの上限値Tmnを規定した油圧−回転トルクマップm2を備えており、この油圧−回転トルクマップm2に従って回転トルクの上限値Tmnを決定する。図8は、この油圧−回転トルクマップm2を示す図である。この図に示すように、この油圧−回転トルクマップm2では、油温tが低いほど回転トルクの上限値Tmnが高くなるように規定されている。これは、油温tが低いほど油の粘性が高くなり、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3の回転抵抗が大きくなることに応じて、第一中間軸M1に連結された第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3の回転トルクの上限値を高くすることで、回転トルクが足りないために目標回転数Nmnで回転できない事態が生じることを抑制するためである。
停止判定手段18は、出力軸回転速度検出手段10により検出される、車輪Wに駆動連結された出力軸Oの回転速度に基づいて、車両が略停止状態にあるか否かの判定を行う。ここで、車両の「略停止状態」は、「車速=0」すなわち車両が完全に停止している場合だけでなく、「車速≒0」すなわち、例えばアクセルペダルが操作されていない状態で微速走行している状態等のように所定速度以下の低速で走行している状態も含む。したがって、停止判定手段18による略停止状態の判定は、例えば、出力軸Oの回転速度に基づいて導出される車速が所定の閾値速度以下であるか否かにより判定することができる。この閾値速度としては、例えば、5〔km/時〕等とすることができる。
5.制御装置ECUによる動作制御
次に、制御装置ECUによる車両用駆動装置1の動作制御について説明する。ここでは、エンジンEの停止中の制御を例として説明する。図9は、本実施形態に係る車両用駆動装置1の動作制御の流れを示すフローチャートである。
この図9に示すように、制御装置ECUは、まず「車速≒0」すなわち車両が略停止状態にあるか否かを判定する(ステップ#01)。この判定は、停止判定手段18において、出力軸回転速度検出手段10により検出される出力軸Oの回転速度に基づいて行う。上記のとおり、車両の「略停止状態」には低速走行状態も含まれる。「車速≒0」でない場合には(ステップ#01:NO)、車両は走行中と判断されるので処理はそのまま終了する。
一方、「車速≒0」である場合には(ステップ#01:YES)、次に、シフトレバーSLが走行レンジにあるか否かを判定する(ステップ#02)。この判定は、シフト位置検出手段13により検出されるシフトレバーSLの選択位置に基づいて行う。本例では、「P」、「R」、「N」、「D」、「2」、「L」のいずれかのレンジが選択される。この場合、「P」及び「N」が停止レンジ、それ以外の「R」、「D」、「2」、及び「L」が走行レンジである。よって、「R」、「D」、「2」、及び「L」のいずれかのレンジが選択されている場合には、シフトレバーSLが走行レンジにある(ステップ#02:YES)と判定する。シフトレバーSLが走行レンジにない場合、すなわちシフトレバーSLが停止レンジにある場合には(ステップ#02:NO)、処理はそのまま終了する。
一方、シフトレバーSLが走行レンジにある場合には(ステップ#02:YES)、次に、「ブレーキ操作:ON」すなわちホイールブレーキが操作されている状態にあるか否かについて判定する(ステップ#03)。この判定は、ブレーキ操作検出手段14による検出結果に基づいて行う。上記のとおり、ブレーキ操作検出手段14は、ブレーキペダルbpが操作されている状態にある場合にはブレーキ操作:ON、ブレーキペダルbpが操作されない状態にある場合にはブレーキ操作:OFFとして検出する。「ブレーキ操作:ON」でない場合には(ステップ#03:NO)、ホイールブレーキが操作されておらず、運転者による車両を停止状態とする意思がない状態と判断されるので処理はそのまま終了する。
一方、「ブレーキ操作:ON」すなわちホイールブレーキが操作されている状態にある場合には(ステップ#03:YES)、次に、油温検出手段9により、油圧制御装置HCから変速機SCの各部へ供給される油温tを検出する(ステップ#04)。そして、回転速度決定手段16及び回転トルク決定手段17により、ステップ#04で検出された油温tに応じた第一中間軸M1の目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnを決定する(ステップ#05)。この第一中間軸M1の目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnは、上記のとおり、油圧−回転速度マップm1(図7参照)及び油圧−回転トルクマップm2(図8参照)に基づいて決定する。
ここでは、上記のとおり、「車速≒0」であり(ステップ#01:YES)、シフトレバーSLが走行レンジにある(ステップ#02:YES)。したがって、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジである場合には、通常は変速機SCの変速段は第一速(図5では「1st」と表示)が選択され、シフトレバーSLの選択位置が「R」レンジである場合には後進段(図5では「REV」と表示)が選択されている。したがって、図5の作動表に示すように、通常の走行制御では、第一クラッチC1又は第三クラッチC3が係合状態にある。本例では、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジであり、第一クラッチC1が係合状態にある場合を例として以下の説明を行う。なお、シフトレバーSLの選択位置が「R」レンジであり、第三クラッチC3が係合状態にある場合の制御も全く同様に行うことができる。そこで次に、変速機制御手段7により油圧制御装置HCを制御し、係合状態にある第一クラッチC1を係合解除状態にする(ステップ#06)。本例では、係合解除状態として、第一クラッチC1の係合圧を完全係合状態より弱めて半係合状態とする制御を行う。
そして、ステップ#05で決定された第一中間軸M1の目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnに従って、第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する(ステップ#07)。本例では、第二モータ・ジェネレータMG2は第一中間軸M1と一体回転するように連結されているので、目標回転速度Nmnそのものを制御目標として第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度制御を行う。またこの際、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクが上限値Tmnを超えないように制御する。これにより、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3も目標回転速度Nmnで回転させることができる。これにより、キャンセル室J1、J2は回転状態に維持され、その遠心力によりキャンセル室J1、J2内の油は抜けずに保持される。これにより、第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3のいずれかが係合した状態からその係合が解除される変速段の変更があった直後に車両を発進させた場合であっても、当該クラッチC1、C2、C3の係合解除が不完全になることを防止できる。
次に、再度「ブレーキ操作:ON」すなわちホイールブレーキが操作されている状態にあるか否かについて判定する(ステップ#08)。そして、「ブレーキ操作:ON」すなわちホイールブレーキが操作されている状態にある場合には(ステップ#08:YES)、運転者による発進の意思がない状態と判断される。そこで次に、再度シフトレバーSLが走行レンジにあるか否かを判定する(ステップ#09)。ここで、シフトレバーSLが走行レンジにある場合には(ステップ#09:YES)、状況は変化していないと判断できるので、処理はステップ#04へ戻り、第一クラッチC1を係合解除状態としたまま、最新の油温tに応じて再決定された目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnで第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する制御を行う(ステップ#04〜#07)。これにより、ステップ#06及び#07の制御を行っている間、油温検出手段9により継続的に油温tを検出し、その最新の油温tに応じて決定された目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnで第二モータ・ジェネレータMG2、更には第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3を回転させる制御を行うことができる。
一方、シフトレバーSLが走行レンジにない場合、すなわちシフトレバーSLが停止レンジにある場合には(ステップ#09:NO)、指定レンジに応じた通常制御を行う(ステップ#10)。具体的には、「P」レンジ及び「N」レンジのいずれの場合にも、油圧室H1、H2、H3への油の供給を停止して各クラッチC1、C2、C3を非係合状態とし、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動も停止する制御を行う。また、「P」レンジでは、出力軸Oの係止機構を作動させる。そして、処理は終了する。
一方、「ブレーキ操作:ON」でない場合、すなわちブレーキ操作が解除(ブレーキ操作:OFF)された場合には(ステップ#08:NO)、運転者による車両を発進させる意思がある状態と判断できるので、車両の発進に備えた制御を開始する。具体的には、第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnでの回転駆動制御を維持したままの状態で、変速機制御手段7により油圧制御装置HCを制御し、第一クラッチC1の係合圧を上昇させる(ステップ#11)。この際の係合圧の上昇は、完全係合状態を目標として行う。そのため、第一クラッチC1の係合状態を検出する(ステップ#12)。具体的には、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度Nmが、出力軸Oの回転速度Noutに変速機SCの選択されている変速段(前進発進時は通常第一速)の変速比Grを乗じた値と一致する場合(Nm=Nout×Gr)に、第一クラッチC1が完全係合状態にあると判定することができる。ここで、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度Nmはモータ・ジェネレータ回転検出手段6により検出され、出力軸Oの回転速度Noutは出力軸回転速度検出手段10により検出される。そして、第一クラッチC1が完全係合状態になるまでその係合圧を上昇させる。
第一クラッチC1が完全係合状態となった後は、通常の走行制御を行う(ステップ#14)。具体的には、アクセルペダルが操作されていない状態では、第二モータ・ジェネレータMG2にクリープトルクを発生させる。また、アクセルペダルap(図1参照)が操作されている状態では、アクセルペダルapの操作量に応じた回転トルクを第二モータ・ジェネレータMG2に発生させ、或いは状況に応じてエンジンEを始動させる等の制御を行う。なお、エンジンEは、蓄電量検出手段5により検出されるバッテリBaの蓄電量が所定の閾値を下回った場合や、アクセルペダルapの操作量に応じて大きな回転トルクが必要とされている場合等に始動される。エンジンEの動作中は、第1モータ・ジェネレータMG1は、エンジンEを最も燃費が良い動作状態(エンジンEの効率を最も高くできる回転速度で運転する状態)に、エンジンEの回転速度を維持すべくその回転速度が制御される。第2モータ・ジェネレータMG2は、車両に要求される要求トルクを満たすべく回転トルクが制御される。また、制御装置ECUは、変速機SCの各摩擦係合要素の動作制御も行う。具体的には、制御装置ECUは、例えば予め記憶された変速マップに従って、車速と車両に要求される駆動力(例えばアクセルペダルapの操作量)に基づいて、好適な変速段を変速機SCで選択すべく各摩擦係合要素を制御する。
次に、本実施形態に係る車両用駆動装置1の動作制御の流れについて、図10に示すタイミングチャートに従って説明する。このタイミングチャートは、エンジンEが停止中の制御であって、車両が走行状態から停止し、その後発進する際の車両用駆動装置1の各部の動作状態を示している。
まず、図10の左端の領域は、車両の走行状態を示しており、そこからホイールブレーキが操作され(車両減速開始)、車速が低下する。この際、エンジンEは停止中であり、第二モータ・ジェネレータMG2は回生制動を行っているため、その回転トルクは負となっている。そして、車速がゼロとなり車両が停止すると、制御装置ECUは、第一クラッチC1の係合圧を低下させ、第一クラッチC1を係合解除状態(ここでは半係合状態)とする。またその際、第二モータ・ジェネレータMG2は、回転速度決定手段16及び回転トルク決定手段17により油温tに応じて決定された目標回転速度Nmnを制御目標とし、上限値Tmn以下の範囲内の回転トルクで回転駆動される。
その後、ホイールブレーキが解除されると(ブレーキOFF)、制御装置ECUは、第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnでの回転駆動制御を維持したままの状態で、第一クラッチC1の係合圧を、完全係合状態となるまで上昇させる。この際、車両が進み始める駆動力を第二モータ・ジェネレータMG2が受け持つことになるので、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクは上限値Tmnとなり、回転速度は目標回転速度Nmnを下回ることになっている。そして、第一クラッチC1が完全係合状態となった後は、通常の走行制御が行われる。すなわち、アクセルが操作されるまでは、制御装置ECUは、第二モータ・ジェネレータMG2にクリープトルクを発生させ、車両は低い速度で前進している。また、アクセルが操作された後(アクセルON)は、制御装置ECUは、アクセルの操作量に応じた回転トルクを第二モータ・ジェネレータMG2に発生させて加速を行っている。
以上のとおり、本例では、第二モータ・ジェネレータMG2は、車両停止時から第一クラッチC1の完全係合時までの間、目標回転速度Nmnを制御目標とする回転速度制御により制御されている。そして、それ以外の時は、アクセル操作や回生制動等の要求トルクに応じた目標回転トルクを制御目標とするトルク制御により制御されている。
上記図9に示すフローチャート及び図10に示すタイミングチャートでは、エンジンEの停止中を例として車両用駆動装置1の動作制御の流れを説明した。しかし、エンジンの動作中であっても基本的には同様の動作制御を行う。但しその場合は、第一中間軸M1を目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnで回転駆動するために、制御装置ECUは、第一モータ・ジェネレータMG1の回転速度を制御するとともに、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクを制御する。すなわち、図1に示すように、エンジンEの動作中は、エンジンEから伝達される入力軸Iの回転は、動力分配機構PG0により第一モータ・ジェネレータMG1と第一中間軸M1に分配される。したがって、エンジンEから伝達される入力軸Iの回転速度に応じて、第一モータ・ジェネレータMG1の回転速度及び反力受けとしての第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクを制御することにより、第一中間軸M1の回転速度を目標回転速度Nmnとする制御を行うことができる。
以上のように、車両が略停止状態にある場合に第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3を所定速度で回転させることにより車両の略停止状態でもキャンセル室J1、J2内の油が抜けないように保持することができる。したがって、例えば「D」レンジでの停止状態から「R」レンジに切り替えられた直後(具体的には、第一クラッチC1の油圧室H1内の油が抜けつつクラッチピストンC1bがリターンスプリングC1dの付勢力により初期位置まで押し戻されるまでの時間(最長で1秒程度)内)に車両を急発進させた場合であっても、「D」レンジで係合状態にあった第一クラッチC1の係合解除が不完全になることを防止できる。また、同様に、例えば「R」レンジでの停止状態から「D」レンジに切り替えられた直後(具体的には、第三クラッチC3の油圧室H3内の油が抜けつつクラッチピストンC2aがリターンスプリングC2dの付勢力により初期位置まで押し戻されるまでの時間内)に車両を急発進させた場合であっても、「R」レンジで係合状態にあった第三クラッチC3の係合解除が不完全になることを防止できる。
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。上記第一の実施形態では、車両の発進時に、第一クラッチC1の入力側回転部材Ci1の回転速度を目標回転速度Nmnとする制御状態を維持しつつ第一クラッチC1の係合圧を上昇させる制御を行っていた。これに対して、本実施形態に係る車両制御装置1では、車両の発進時に、第一クラッチC1の入力側回転部材Ci1の回転速度を、その出力側回転速度に同期させた状態で、第一クラッチC1の係合圧を上昇させる制御を行う点で、上記第一の実施形態とは相違する。その他の構成は、上記第一の実施形態と同様とすることができる。したがって、上記第一の実施形態との相違点について以下に説明する。
本実施形態に係る車両用駆動装置1の動作制御について、図11に示すフローチャート及び図12に示すタイミングチャートに基づいて説明する。ここでは、上記第一の実施形態と同様に、エンジンEの停止中の制御を例として説明する。なお、図11におけるステップ#21〜#30の制御処理は、上記第一の実施形態に係る図9のステップ#01〜#10と同じであるので、その部分の説明は省略する。
すなわち、本実施形態においては、図11に示すように、第一クラッチC1を係合解除状態として、第二モータ・ジェネレータMG2を目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnで回転駆動する制御を行っている状態(ステップ#21〜#27)で、ブレーキ操作が解除(ブレーキ操作:OFF)された場合には(ステップ#28:NO)、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度を第二中間軸M2の回転速度に同期させる(ステップ#31)。本例では、第一クラッチC1の入力側回転部材Ci1は、第二モータ・ジェネレータMG2とともに第一中間軸M1と一体回転可能に連結されており、第一クラッチC1の出力側回転部材Co1は、第二中間軸M2と一体回転可能に連結されている。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度を第二中間軸M2の回転速度に同期させることにより、第一クラッチC1の入力側回転部材Ci1の回転速度を、その出力側回転速度に同期させることができる。
このステップ#31の同期制御は、具体的には、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度Nmを、出力軸Oの回転速度Noutに変速機SCの選択されている変速段(前進発進時は通常第一速)の変速比Grを乗じた値に一致(Nm=Nout×Gr)させる制御を行う。なお、車両が完全に停止している状態では、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度をゼロとすることで同期させることができる。しかし、道路の傾斜等によりホイールブレーキの解除後に車両が前進又は後進している場合があり、その場合には、そのときの第二中間軸M2の回転速度に合わせて第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度Nmを制御する必要がある。
そして、ステップ#31の同期が完了した後(ステップ#32:YES)、第一クラッチC1の係合圧を上昇させて完全係合状態とする。この際、第一クラッチC1の入力側回転部材Ci1と出力側回転部材Co1との回転速度は同期しているので、係合圧を短時間で上昇させても係合時の衝撃は非常に少なく、第一クラッチC1が滑っている状態となることもほとんどない。したがって、車両の発進時の第一クラッチC1の負担を軽減することができる。そして、第一クラッチC1が完全係合状態となった後は、上記第一の実施形態と同様に、通常の走行制御を行う(ステップ#34)。
次に、本実施形態に係る車両用駆動装置1の動作制御の流れについて、図12に示すタイミングチャートに従って説明する。このタイミングチャートは、上記第一の実施形態に係る図10と同様に、エンジンEが停止中の制御であって、車両が走行状態から停止し、その後発進する際の車両用駆動装置1の各部の動作状態を示している。なお、図12におけるホイールブレーキが解除(ブレーキOFF)されるまでの制御処理は上記第一の実施形態に係る図10と同じであるので、その部分の説明は省略する。
すなわち、本実施形態においては、図12に示すように、ホイールブレーキが解除されると(ブレーキOFF)、制御装置ECUは、第一クラッチC1を係合解除状態に維持したままで、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度を第二中間軸M2の回転速度に同期させる制御を行う。図示の例では、車速はゼロであるので、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度もゼロとなるように制御される。そして、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度を第二中間軸M2の回転速度との同期が完了(回転速度同期完了)した後、第一クラッチC1の係合圧を上昇させて完全係合状態とする。そして、第一クラッチC1が完全係合状態となった後は、通常の走行制御が行われる。すなわち、アクセルが操作されるまでは、制御装置ECUは、第二モータ・ジェネレータMG2にクリープトルクを発生させ、車両は低い速度で前進している。また、アクセルが操作された後(アクセルON)は、制御装置ECUは、アクセルの操作量に応じた回転トルクを第二モータ・ジェネレータMG2に発生させて加速を行っている。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態では、車両が略停止状態にあり、且つ変速指示手段としてのシフトレバーSLの選択位置が走行レンジにあり、且つホイールブレーキが操作されている場合に、第一クラッチC1を係合解除状態として、第一中間軸M1を目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnで回転駆動する制御を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこのようなものに限定されない。すなわち、例えば、車両が略停止状態であることのみを条件として上記の制御を行うことも本発明の好適な実施形態の一つである。また、車両が略停止状態であり、変速指示手段の選択位置がP(パーキング)レンジ以外の場合で、且つホイールブレーキが操作されている場合に、上記の制御を行うことも本発明の好適な実施形態の一つである。また、車両が略停止状態であり、且つ変速指示手段の選択位置が走行レンジの場合、或いは車両が略停止状態であり、且つホイールブレーキが操作されている場合に、上記の制御を行うことも本発明の好適な実施形態の一つである。
(2)上記の各実施形態では、第一クラッチC1を、その係合解除状態として半係合状態とする場合を例として説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。したがって、例えば、第一クラッチC1を、その係合解除状態として、油圧室H1に油圧が全く供給されていない状態、すなわち完全な非係合状態とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。
(3)上記の各実施形態では、油温検出手段9により油温tを検出し、それに応じた第一中間軸M1(すなわち第一クラッチC1、第二クラッチC2及び第三クラッチC3の入力側回転部材Ci1、Ci2、Ci3)の目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnを決定する場合について説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。すなわち、目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnを予め定めた所定値とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。また、回転トルクの上限値Tmnを定めない構成とすることも可能である。更に、上記の各実施形態では、油温tを継続的に検出し、その最新の油温tに応じて目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnを決定する構成を例として説明した。しかし、このような構成とせず、最初に検出した油温tに応じて決定した目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnを変更せずに使用する構成とすることも可能である。また、目標回転速度Nmn及び回転トルクの上限値Tmnのいずれか一方のみを定めて第一中間軸M1の回転制御を行う構成とすることも可能である。
(4)上記の各実施形態では、第二クラッチC2のキャンセル室J2が第三クラッチC3のキャンセル室を兼ねた構成である場合を例として説明したが、第一クラッチC1と同様に、第二クラッチC2及び第三クラッチC3のそれぞれが個別にキャンセル室を備えた構成とすることも好適な実施形態の一つである。
(5)上記の各実施形態では、入力軸I、第一中間軸M1、及び出力軸Oが、同軸上に配置される場合を例として説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。したがって、例えば、第一中間軸M1及び出力軸Oの一方又は双方が、入力軸Iに対して並列に配置された構成とすることも好適な実施形態の一つである。また、これらの軸が交差する方向に配置された構成とすることも可能である。
(6)上記の各実施形態では、本発明をハイブリッド車両用の駆動装置に適用した場合を例として説明した。しかし、本発明に係る車両用駆動装置1は、電気自動車等のハイブリッド車両以外の回転電気を備えた車両に同様に適用することが可能である。
本発明に係る車両用駆動装置及びその制御方法は、ハイブリッド車や電気自動車等、車両の駆動源として回転電気を備えた車両に利用することが可能である。
本発明の実施形態に係る車両用駆動装置を含む車両の構成を模式的に示すブロック図 本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の構造の概略を示す断面図 本発明の実施形態に係る変速機の具体的構成を示す断面図 本発明の実施形態に係る変速機のスケルトン図 本発明の実施形態に係る変速機の作動表を示す図 図3の部分拡大図 油圧−回転速度マップを示す図 油圧−回転トルクマップを示す図 本発明の第一の本実施形態に係る車両用駆動装置の動作制御の流れを示すフローチャート 本発明の第一の本実施形態に係る車両用駆動装置の動作制御の流れを示すタイミングチャート 本発明の第二の本実施形態に係る車両用駆動装置の動作制御の流れを示すフローチャート 本発明の第二の本実施形態に係る車両用駆動装置の動作制御の流れを示すタイミングチャート
符号の説明
1:車両用駆動装置
9:油温検出手段
13:シフト位置検出手段
14:ブレーキ操作検出手段
16:回転速度決定手段
17:回転トルク決定手段
18:停止判定手段
I:入力軸
O:出力軸
M1:第一中間軸(伝動軸)
MG1:第一モータ・ジェネレータ(第一回転電機)
MG2:第二モータ・ジェネレータ(第二回転電機、回転電機)
E:エンジン
PG0:動力分配機構
W:車輪
ECU:制御装置
SC:変速機
C1:第一クラッチ
H1:第一クラッチの油圧室
J1:第一クラッチのキャンセル室
Ci1:第一クラッチの入力側回転部材
Co1:第一クラッチの出力側回転部材
C2:第二クラッチ
H2:第二クラッチの油圧室
J2:第二クラッチのキャンセル室
Ci2:第二クラッチの入力側回転部材
Co2:第二クラッチの出力側回転部材
SL:シフトレバー(変速指示手段)
t:油温
Nmn:目標回転速度
Tmn:回転トルクの上限値

Claims (14)

  1. 回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された出力軸と、前記伝動軸から伝達される駆動力を前記出力軸に出力する変速機と、前記回転電機及び前記変速機の制御を行う制御手段と、車速が閾値速度以下であることを判定する停止判定手段と、を備え、
    前記変速機は、係合油圧を発生させる油圧室及び前記油圧室の遠心油圧を打ち消すためのキャンセル室を、前記伝動軸に駆動連結された入力側回転部材に有するクラッチを備え、
    前記制御手段は、前記停止判定手段により車速が閾値速度以下であると判定した場合に、係合状態にある前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行い、
    更に、車両の発進時には、前記制御手段は、前記クラッチの出力側回転速度がゼロである場合には前記入力側回転部材の回転速度をゼロとするように前記回転電機の制御を行った後に、それ以外の場合には前記入力側回転部材の回転速度を前記出力側回転速度に同期させるように前記回転電機の制御を行った後に、前記クラッチの係合圧を上昇させる制御を行う車両用駆動装置。
  2. 変速指示手段の選択位置を検出するシフト位置検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、更に前記変速指示手段の選択位置が走行レンジにあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. ホイールブレーキが操作されている状態にあることを検出するブレーキ操作検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、更に前記ホイールブレーキが操作されている状態にあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記制御手段は、前記ホイールブレーキが操作されない状態となったときに、車両が発進すると判定する請求項3に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記クラッチを係合解除状態にする制御は、前記クラッチの前記入力側回転部材と出力側回転部材との間の係合圧を完全係合状態より弱めて、前記クラッチを半係合状態とする制御を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  6. 前記変速機に供給される油の温度を検出する油温検出手段と、前記油温検出手段により検出された油温に応じて前記入力側回転部材の目標回転速度を決定する回転速度決定手段と、を更に備え、
    前記制御手段は、前記回転速度決定手段により決定された目標回転速度を目標として前記入力側回転部材を回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  7. 前記変速機に供給される油の温度を検出する油温検出手段と、前記油温検出手段により検出された油温に応じて前記入力側回転部材の回転トルクの上限値を決定する回転トルク決定手段と、を更に備え、
    前記制御手段は、前記回転トルク決定手段により決定された回転トルクの上限値以下の範囲内で前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  8. 前記制御手段は、前記クラッチの係合を解除するとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行っている間、前記油温検出手段により継続的に油温を検出し、その最新の油温に応じて決定された条件で前記入力側回転部材を回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項又はに記載の車両用駆動装置。
  9. 前記回転電機を第二回転電機とし、これとは異なる第一回転電機と、エンジンに駆動連結された入力軸と、この入力軸から伝達される駆動力を前記第一回転電機と前記伝動軸とに分配する動力分配機構と、を更に備え、
    前記制御手段は、前記第一回転電機、前記第二回転電機、及び前記変速機の制御を行う請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  10. 前記入力側回転部材を所定速度で回転させるための制御は、前記エンジンの停止中は、前記第二回転電機の回転速度を制御することにより行う請求項に記載の車両用駆動装置。
  11. 前記入力側回転部材を所定速度で回転させるための制御は、前記エンジンの動作中は、前記第一回転電機の回転速度を制御するとともに、前記第二回転電機の回転トルクを制御することにより行う請求項又は1に記載の車両用駆動装置。
  12. 回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された出力軸と、前記伝動軸から伝達される駆動力を前記出力軸に出力する変速機と、を備えるとともに、前記変速機は、係合油圧を発生させる油圧室及び前記油圧室の遠心油圧を打ち消すためのキャンセル室を、前記伝動軸に駆動連結された入力側回転部材に有するクラッチを備える車両用駆動装置の制御方法であって、
    速が閾値速度以下であると判定した場合に、係合状態にある前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行い、
    車両の発進時には、前記クラッチの出力側回転速度がゼロである場合には前記入力側回転部材の回転速度をゼロとするように前記回転電機の制御を行った後に、それ以外の場合には前記入力側回転部材の回転速度を前記出力側回転速度に同期させるように前記回転電機の制御を行った後に、前記クラッチの係合圧を上昇させる制御を行う車両用駆動装置の制御方法。
  13. 更に変速指示手段の選択位置が走行レンジにあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項1に記載の車両用駆動装置の制御方法。
  14. 更にホイールブレーキが操作されている状態にあることを条件として、前記クラッチを係合解除状態にするとともに、前記入力側回転部材を所定速度で回転させるように前記回転電機の制御を行う請求項1又は1に記載の車両用駆動装置の制御方法。
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