JP4784957B2 - 織り糸の太さを増大させる方法、組成物及び繊維処理方法 - Google Patents

織り糸の太さを増大させる方法、組成物及び繊維処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、繊維処理方法、繊維処理剤組成物及び洗剤組成物に関し、より詳細には、日常的な洗濯工程において、被洗布である繊維製品の風合いを新品に近い風合いに戻して、その風合いを改善したり、被洗布の風合いの劣化を防ぎ、新品に近い風合いを維持させることができる繊維処理方法、日常的な洗濯工程において、繊維製品の風合いを改善又は維持することによって、繊維製品に優れた柔軟効果を付与できる繊維処理剤組成物、更に、繊維製品を洗浄すると同時に、被洗布の風合いを改善又は維持して優れた柔軟効果も付与することができる洗剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、繰り返し洗濯をすることなどによって、繊維製品が硬くなってしまうことを防ぐために、種々の柔軟剤が使用され、また、繊維の風合いを高めるための各種繊維処理剤も提案されている。しかしながら、被洗布に新品に近い風合いを維持させたり、一旦、硬くなってしまった繊維製品を元のような風合いに戻すような技術は、未だ十分とは言えなかった。
【0003】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、日常的な洗濯工程において、新品に近い風合いを被洗布(繊維製品)に維持させることができ、また、一旦、硬くなってしまった繊維製品であっても、元のようなふんわりとした風合いに戻すことができる繊維処理方法、及びこのような繊維処理方法に好適に使用される繊維処理剤組成物及び洗剤組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、意外なことに、後述する実施例に示すように、特定の水不溶性固体粒子を含有する水道水で、使い古した繊維製品を通常家庭で使用されている全自動洗濯機にかけた後、乾燥すると、乾燥後の繊維製品の厚さ、体積が増大し、使い古した繊維製品の風合いが新品同様のふっくらとした風合いに戻ることを見出し、本発明をなすに至った。なお、このように風合いが改善された繊維製品の表面をマイクロスコープにより観察したところ、繊維製品の織り糸の太さが、新品のものと同程度の太さに増大していたことから、本発明における上記繊維処理効果は、繊維製品が上記特定の粒子が分散した水性液中で洗濯機によって撹拌されると、繊維製品の織り糸の間に上記特定の粒子が入って繊維の間隔を押し広げることによって、使い古された繊維製品の硬くなったり、細くなった織り糸を新品の時と同程度の状態に復元されるためであると推量される。
【0005】
即ち、本発明は下記発明を提供する。
(1)水性液中において、水膨潤性有機物又は水非膨潤性有機物からなり、平均粒子径が10〜100μm又は平均繊維長が10〜200μmである水不溶性固体粒子の存在下に、繊維製品に機械力を付与することにより、上記水不溶性固体粒子を上記繊維製品に作用させて、該繊維製品の織り糸の太さを増大させる方法。
(2)水非膨潤性有機物からなり、平均粒子径が10〜100μm又は平均繊維長が10〜200μmである水不溶性固体粒子を含有する組成物であって、この組成物中で、機械力を付与しながら繊維製品を処理する、繊維処理剤組成物及び洗剤組成物から選ばれる組成物。
(3)水非膨潤性有機物からなり、平均粒子径が10〜100μm又は平均繊維長が10〜200μmである水不溶性固体粒子を含有する、繊維処理剤組成物及び洗剤組成物から選ばれる組成物で、機械力を付与しながら繊維製品を処理することを特徴とする繊維処理方法。
【0006】
以下、本発明について、より詳細に説明すると、本発明の繊維製品の織り糸の太さを増大させる方法、繊維処理方法、繊維処理剤組成物、洗剤組成物は、特定の水不溶性固体粒子を使用するものである。ここで、本発明の水不溶性固体粒子としては、繊維処理剤組成物、洗剤組成物等の洗濯用組成物に配合し得る物質であり、且つ後述するように、水性液中において繊維製品と共に、例えば家庭用の全自動洗濯機による通常条件の洗濯工程による機械力が付与されることにより、該繊維製品の織り糸の太さを増大させるか、又は、織り糸の太さの減少を抑制する作用を有するものであれば、その種類は特に制限されず、各種の水不溶性有機物、水不溶性無機物などを使用することができる。なお、上記機械力と共に、超音波が付与されることによって上記作用を有するものであってもよい。より具体的には、粉末セルロース、結晶性セルロース、内部架橋CMC−Na、CMC−Ca、架橋ポリアクリル酸及び/又はその塩、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン又はそれらの混合物、部分アルファー化デンプン、セルロースエーテル、微結晶セルロース、内部架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム等の水膨潤性有機物粒子、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、アミノアルキッド、ウレタン、ポリアセタール又はポリカーボネートのいずれか1種以上の樹脂等の水非膨潤性有機物粒子、炭酸カルシウム、シリカ又は多孔質シリカ、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミノシリケート、炭化珪素、酸化クロム、エメリー、石英砂、ドロマイト、砂、貝殻などの天然粉砕物等の水非膨潤性無機物粒子などを使用することができ、また、これらは、粉末状、結晶状、繊維状、顆粒状などの各種形状の粒子として使用することができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0007】
なお、本発明において、水膨潤性有機物粒子は、吸水率が1.5倍以上の固体粒子を意味し、水非膨潤性有機物粒子、水非膨潤性無機物粒子は、吸水率が1.5倍未満の固体粒子を意味する。
【0008】
本発明に使用する水不溶性固体粒子の粒径は、粒子の形状、種類などによって適宜選定され、例えば平均粒子径で表すのが好適な粒子であれば、10μm以上であることが望ましく、より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmが望ましい。また、例えば繊維状粉末セルロース等のように繊維状の粒子となる場合、平均繊維長が10μm以上であることが望ましく、より好ましくは10〜200μm、更に好ましくは50〜100μmが望ましい。更に、短径が10〜50μm、長径が20〜200μmが好適であり、より好ましくは短径が20〜40μm、長径が30〜150μm、更に好ましくは短径が30〜40μm、長径が50〜100μmである。なお、水膨潤性有機物粒子の場合、上記好適な粒径範囲は、水中での粒径である。
【0009】
更に、無機物粒子のように、水性液中に分散させると、凝集を生じることがある粒子の場合、光散乱法による粒径として好適な範囲を示しても好適であり、例えば炭酸カルシウム粒子等であれば、1次平均粒子径が10〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは30〜50μmが好適であり、シリカ粒子、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム等であれば、2次平均粒子径が10〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜30μmが好適である。
【0010】
なお、本発明において、上記水不溶性固体粒子の粒子径等は、レーザー光散乱方式の粒度分布測定装置を利用して測定したり、日本薬局方に記載された粒度の試験に準じた篩い分けによる粒度分布から算出したり、電子顕微鏡法によって測定するなどによって確認することができ、例えば粒子径が50μm以下の細かい粒子の割合が多かったり、上記水膨潤性有機物粒子の粒径を測定したり、上述したように水性液中で粒子の凝集が生じる可能性がある水不溶性固体粒子を測定する場合は、レーザー光散乱方式の粒度分布測定によって行うと好適である。
【0011】
本発明の水不溶性固体粒子の粒径が、上記粒径範囲内であれば、本発明が目的とする繊維製品の風合いの改善効果を効率的に得ることができる。なお、繊維状粒子の場合、特に短径の長さが本発明の目的とする効果の得られ易さに影響することが認められた。
【0012】
本発明の繊維処理剤組成物、洗剤組成物における上記水不溶性固体粒子の配合量は、特に制限されるものではなく、その種類などによって適宜選定されるが、通常組成物全量に対して1〜20%(質量%、以下同様)、好ましくは5〜20%、より好ましくは10〜20%とすると好適である。上記水不溶性固体粒子の配合量が少なすぎると、本発明の目的とする効果を得るために多量の組成物を水性液中に投入する必要が生じる場合があり、多すぎると、必然的に組成物に配合するその他の成分の配合量が少なくなり、その他成分の配合による効果が得られ難くなる場合がある。また、水性液中における上記水不溶性固体粒子の濃度は、5〜500ppm、好ましくは10〜300ppm、より好ましくは50〜200ppmとすると好適である。
【0013】
本発明の繊維処理剤組成物、洗剤組成物は、それぞれの製剤として調製する際に、上記水不溶性固体粒子以外に本発明の効果を妨げない範囲で、通常繊維処理剤、洗剤等の洗濯用組成物に配合される成分を配合することができ、例えば繊維処理剤組成物であれば、これらの成分として、例えば、界面活性剤、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の水溶性無機塩、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エチレンジアミン四酢酸塩、クエン酸等のキレート剤、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体等の紫外線吸収剤、未変性エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどの溶剤、シリコーン誘導体、色素、香料などを、本発明の効果を妨げない範囲で常用量配合することができる。
【0014】
また、洗剤組成物であれば、例えば各種界面活性剤、アルカリ剤(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)、キレート剤(A型ゼオライト、P型ゼオライト、アクリル酸マレイン酸共重合体、層状ケイ酸塩、クエン酸等)、酵素(プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、酵素安定剤(亜硫酸ナトリウム等)、香料、蛍光剤、漂白剤、漂白活性化剤、溶剤(ポリエチレングリコール、アルコール等)などを、本発明の効果を妨げない範囲で常用量配合することができる。
【0015】
なお、上記界面活性剤としては、例えばアルキル基の炭素数が8〜18の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数が10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が12〜18のスルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数が10〜20の長鎖アルキル硫酸エステル塩等を好適に使用することができる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アミン塩、アンモニウム塩などを使用することができる。また、石鹸としては、例えば炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸等のナトリウム塩等のアルカリ塩などを好適に使用することができ、オキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤としては、例えばR−O−(AO)m−Hで示した時に、Rが直鎖又は分岐の炭素数12〜15のアルキル基又はアルケニル基を示し、AOが好ましくは炭素数1〜4、好ましくは2又は3のオキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)等の1種又は2種以上のオキシアルキレン基を示し、AOの平均付加モル数m(2種以上のオキシアルキレン基を含む場合は、合計した平均付加モル数)が好ましくは5〜30であるオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤等の界面活性剤が好適に使用される。
【0016】
更に、本発明の繊維処理剤組成物、洗剤組成物には、外観を向上する目的で、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる水溶性染料の1種以上を添加することができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編、昭和45年7月20日発行、丸善株式会社)等に記載されている。
【0017】
また、本発明の繊維処理剤組成物、洗剤組成物は、その剤型が特に制限されるものではなく、例えば繊維処理剤組成物であれば、例えば液状、粉末状などの各種剤型に調製することができ、洗剤組成物であれば、例えば粉末洗剤、高嵩密度の粒状洗剤(高嵩密度洗剤)、タブレット洗剤、ブリケット洗剤、シート状洗剤、バー状洗剤又は粒状洗剤を水溶性フィルム、シートなどで個別包装した分包型洗剤等の固形洗剤、液体洗剤などの各種剤型に調製することができる。
【0018】
本発明の繊維処理方法、繊維処理剤組成物及び洗剤組成物は、上記水不溶性固体粒子を水性液に分散させ、その液中に処理する繊維製品を浸漬し、機械力を加えることによって、上記水不溶性固体粒子が上記繊維製品の織り糸の太さを増大するか、又は、織り糸の太さの減少を抑制するように作用し、乾燥後の上記繊維製品の風合いを改善、又は風合いの劣化を抑制するものである。
【0019】
ここで、本発明における上記機械力を与える手段、機械力の程度は、水性液中の繊維製品に上記不溶性固体粒子が上記作用を及ぼすことができる手段、機械力であり、より具体的には、例えば、通常、家庭用として使用されている家庭用全自動洗濯機、例えば後述する実施例で使用したようなナショナル社のNational NA−F60K1などを使用し、その標準的な洗濯工程である標準コースの「洗い」工程(洗浄時の撹拌)における撹拌力であれば、好ましくは3〜30分間、より好ましくは5〜20分間、更に好ましくは10〜20分間撹拌することが好ましい。従って、本発明によれば、日常的な洗濯によって繊維製品の風合い改善をすることができる。なお、上記機械力と共に、超音波を付与することもできる。
【0020】
本発明により風合いを改善又は維持することができる繊維製品は、その種類が特に制限されるものではなく、天然繊維製品、合成繊維製品、半合成繊維製品のいずれであっても対象とすることができるが、これらの中でも、繰り返し洗濯などによって、硬くなったり、ゴワつきが生じ易い綿製品に対して、特に効果的である。なお、本発明の不溶性固体粒子は、例えば全自動洗濯機による洗濯工程の当初から水性液に含有されている場合(例えば不溶性固体粒子が洗剤組成物又は洗剤と同時使用される繊維処理剤組成物に含有される場合)であれば、「洗い」工程が終了した後の排水、「すすぎ」工程によって繊維製品から除去される。また、本発明の不溶性固体粒子が、「洗い」工程後の「すすぎ」工程が終了した後の水性液(通常、すすぎ水)に含有されている場合(例えば仕上げ用繊維処理剤組成物に含有される場合)であれば、繊維処理のための「洗い」工程による撹拌を加えた後、「すすぎ」工程を通常より長時間で行うことによって、繊維製品から除去される。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、日常的な洗濯工程において、例えば繰り返し洗濯などによって、硬くなってしまった繊維製品であっても、その風合いを新品に近いふんわりとした風合いに戻したり、また、洗濯による繊維製品の風合いの劣化を防ぎ、洗濯後の繊維製品に新品に近い風合いを維持させることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実験例、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
【0023】
[実験例1]
全自動洗濯機(National NA−F60K1、ナショナル社製)に、微細粉末セルロース(「ARBOCEL FD600/30」、レッテンマイヤー社製)2.5gを分散させた水道水44リットルを満たし、ゴワついたタオル(綿製)3kgを「おまかせコース」により洗濯工程(洗い→すすぎ→脱水)にかけた後、20℃恒温室にて一晩乾燥した。処理前のゴワついたタオルを4つ折りにしたものを6枚重ねした時の厚みは、9cmであったのに対して、処理後のタオルは、10cmであった。また、マイクロスコープによる新品のタオル表面、ゴワつきタオル表面、処理後のタオル表面の100倍画像より綿糸の太さを測定(n=40)したところ、新品のタオルが約370μm、ゴワつきタオルが約270μm、処理後のタオルが約360μmであった。
【0024】
[実験例2]
上記実験例1の微細粉末セルロースに代えて、東日コンピューターアプリケーションズ株式会社製レーザー光散乱方式・粒度分布測定装置LDSA−3400A型で水中に分散させた時の粒径を測定した下記1〜4の水非膨潤性無機物粒子、水膨潤性粘土鉱物をそれぞれ水道水に分散させた以外は、上記実験例1と同様にしてゴワつきタオルを処理したところ、シリカ(2次平均粒子径15〜17μm)、リン酸カルシウム(2次平均粒子径15〜17μm)については、上記実験例1の処理後のタオルと同等の風合いが得られ、炭酸カルシウム(1次平均粒子径15μm)、水酸化アルミニウム(2次平均粒子径10μm)については、上記実験例1の処理後のタオルに比べるとやや劣るがいずれも処理前よりも風合いが改善されたのに対し、下記平均粒子径のスメクタイトでは、綿糸が太くならなかった。
1.炭酸カルシウム(1次平均粒子径15μm)
2.シリカ(2次平均粒子径15〜17μm)
3.水酸化アルミニウム(2次平均粒子径10μm)
4.リン酸カルシウム(2次平均粒子径15〜17μm)
5.スメクタイト(平均粒子径0.1〜0.5μm)
【0025】
[実施例1〜21及び比較例1〜7]
<評価布の作成>
綿タオル3kgをトップ23g、全自動洗濯機National NA−F60K1標準コース、50℃水道水で2回前処理し、その後同じく標準コース、25℃水道水で50回処理して、ゴワつかせてゴワつきタオル(評価布)とした。
【0026】
<繊維処理方法>
上記評価布3kgを表1に示す洗剤組成からなる洗剤23gを25℃の水道水44リットルを満たした全自動洗濯機National NA−F60K1に投入し、標準コースの「洗い」工程を表2〜5に示す洗浄時間に設定して繊維処理し、更に、標準コースの「すすぎ」工程、「脱水」工程で処理した。処理後の評価布(評価用タオル)を25℃、65%RHで乾燥させた後、下記方法によって評価した。なお、以下の表において、洗浄時間が0min(分)となっている例は、組成物を洗濯機の槽内の水道水に溶かした後、上記評価布を静置状態(撹拌せずに)で浸漬し、「脱水」→「すすぎ」→「脱水」工程で処理した。
【0027】
<評価方法>
評価用タオルの風合いを10人の専門パネラーによる判定により、「工業における官能検査ハンドブック」(日科技連官能検査委員会編、日科技連出版社刊、1963年)第300〜309ページに記載されている方法に従って測定した。即ち、シェッフェ(Scheffe)の一対比較法により、比較すべき2種類の洗剤で洗った一対のタオルの風合いの間にはっきりと差があれば、ゴワつかない方のタオルに+2点、ゴワつく方のタオルに−2点を与え、やや差があるときにはそれぞれ+1点、−1点を与え、全く差が無ければ両者に0点を与えた。こうして得た配点をコンピューターを用いて統計的に処理し、風合いの相対的な優劣順位をつけた。結果を表2〜5に示す。なお、表2〜5の織り糸の太さは、上記実験例1と同様にして測定した。また、図1に新品の綿タオル表面のマイクロスコープによる100倍画像写真、図2にゴワつかせた綿タオル表面のマイクロスコープによる100倍画像写真、図3に実施例1の処理を行った後の綿タオル表面のマイクロスコープによる100倍画像写真を示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004784957
【0029】
水不溶性固体粒子(平均繊維長、平均粒子径は、上記実験例2と同様にして測定した。)
ア.粉末セルロース ARBOCEL FD600/30(レッテンマイヤー)(平均繊維長60μm、短径30μm、長径60μm)
イ.粉末セルロース KCフロック W−400G(日本製紙)(平均粒子径30μm)
ウ.粉末セルロース ARBOCEL BWW−40(レッテンマイヤー)(平均繊維長200μm、短径30μm、長径200μm)
エ.粉末ナイロン Orgasol 2002EXDNATCOS Type−S(ElfAtochem)(平均粒子径12μm)
オ.炭酸カルシウム ホワイトン P−50(東洋ファインケミカル)(平均粒子径15μm)
【0030】
なお、上記例で使用した成分は、下記の通りである。
LAS−K:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
AOS−K:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
AOS−Na:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
α−SF−Na:炭素数12〜18のアルキル基をもつα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン(株)製)
AS−Na:炭素数10〜18のアルキル基を持つアルキル硫酸ナトリウム塩(三洋化成工業(株)製 サンデットLNM)
ノニオンA:ダイアドール13(三菱化学製)の酸化エチレン25モル付加体
ノニオンB:ダイアドール13(三菱化学製)の酸化エチレン6モル付加体
ノニオンC:ダイアドール13(三菱化学製)の酸化エチレン15モル付加体
石鹸:炭素数12〜18のアルキル基をもつ脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製)
ゼオライト:A型ゼオライト (水澤化学(株)製 シルトンB)
STPP:トリポリリン酸ソーダ(日本化学(株)製)
炭酸カリウム:炭酸カリウム(旭硝子(株)製)
珪酸ナトリウム:JIS1号珪酸ナトリウム(日本化学(株)製)
炭酸ナトリウム:炭酸ナトリウム(旭硝子(株)製)
非晶質シリカ:トクシールN(徳山曹達製)
高分子ビルダー:アクリル酸/マレイン酸共重合体のナトリウム塩(水溶性)、商品名ソカランCP7(BASF製)
亜硫酸ナトリウム:亜硫酸ナトリウム(神州化学(株)製)
蛍光増白剤A:チノパールAMS−GX(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)
蛍光増白剤B:チノパールCBS−X(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)
過炭酸ナトリウム:被覆化過炭酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製 SPC−D)、過炭酸ナトリウム含量約85質量%、平均粒径700μm
漂白活性化剤造粒物:下記漂白活性化剤造粒物の調製方法に示す漂白活性化剤造粒物
酵素A:エバラーゼ8T(ノボ・ノルディスク・バイオインダストリー(株)製)
酵素B:リポラーゼ ウルトラ50T(ノボ・ノルディスク・バイオインダストリー(株)製)
酵素C:カンナーゼ12T(ノボ・ノルディスク・バイオインダストリー(株)製)
色素:群青(大日精化工業製)
香料組成物A:特願2000−346626号の表11〜18に記載の香料組成物A
香料組成物B:特願2000−346626号の表11〜18に記載の香料組成物B
香料組成物C:特願2000−346626号の表11〜18に記載の香料組成物C
香料組成物D:特願2000−346626号の表11〜18に記載の香料組成物D
【0031】
<粒状洗剤組成物の調製>
〔製造方法I〕(洗剤種A、B、C、Dの製造方法)
表1に示す洗剤成分のうち、ノニオン界面活性剤、ゼオライトの一部、酵素、香料、漂白活性化剤造粒物を除いた各成分を用いて固形分40質量%の洗剤水性スラリーを調製し、これを向流式噴霧乾燥塔を用いて270℃の温度でスプレー乾燥し、水分3質量%の乾燥粉を得た。なお、洗剤スラリー用のゼオライトは微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学)を使用した。これを40℃に保温した二軸式連続ニーダー(栗本鐵工所製、KRCニーダ#2型)にノニオン界面活性剤及び水分調整用の水と共に入れて捏和物を得た。その後、この捏和物を押出して1〜2cm角のサイコロ状に細断し、顆粒A型ゼオライト(平均粒径200μm:コスモ社製)と共に破砕造粒した。破砕機(岡田精工製、スピードミルND−10型)を用い、回転数1500rpmで開口径2mmスクリーンを用いた。得られた破砕造粒物に少量の微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学)をコートした後、平均粒径が500μmになるように調整した。これに、更に、過炭酸ナトリウム、下記に従って調製した漂白活性化剤造粒物、酵素、色素、香料を混合して粒状洗剤組成物A、B、C及びDを得た。
【0032】
〔製造方法II〕(洗剤種Eの製造方法)
表1に示す洗剤成分のうち、ノニオン界面活性剤、ゼオライトの一部、酵素、香料、漂白活性化剤造粒物を除いた各成分を用いて固形分40質量%の洗剤水性スラリーを調製し、これを向流式噴霧乾燥塔を用いて270℃の温度でスプレー乾燥し、水分3質量%の乾燥粉を得、これを粒状洗剤組成物Eとした。なお、ゼオライトは微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学)を使用した。
【0033】
<漂白活性化剤造粒物の調製>
ホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に、漂白活性化剤である4−デカノイルオキシ安息香酸とポリエチレングリコール(PEG)#6000とC14α−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品を質量比で70/25/5になるように混合した後、投入し、混練、押し出しすることにより径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型により、混練押し出し造粒品を導入するのと同じ方向から導入し、また、助剤として微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学)5質量%を同様に供給し、粉砕して平均粒径700μmの漂白活性化剤造粒物粒子を得た。
【0034】
【表2】
Figure 0004784957
【0035】
【表3】
Figure 0004784957
【0036】
【表4】
Figure 0004784957
【0037】
【表5】
Figure 0004784957
【0038】
[実施例22〜41及び比較例8〜15]
<評価方法>
評価布の作成、繊維処理方法、風合い評価方法については、上記洗剤組成物についての実施例と同じである。但し、繊維処理方法において、繊維処理剤組成物は20gとした。
【0039】
【表6】
Figure 0004784957
【0040】
水不溶性固体粒子(平均繊維長、平均粒子径は、上記実験例2と同様にして測定した。)
ア.粉末セルロース ARBOCEL FD600/30(レッテンマイヤー)(平均繊維長60μm)
イ.粉末セルロース KCフロック W−400G(日本製紙)(平均粒径30μm)
ウ.粉末セルロース ARBOCEL BWW−40(レッテンマイヤー)(平均繊維長200μm)
エ.結晶セルロース アビセル PH−302(旭化成工業)(平均粒径80μm)
オ.粉末ナイロン Orgasol 2002EXDNATCOS Type−S(ElfAtochem)(平均粒径12μm)
【0041】
なお、上記例で使用した成分は、下記の通りである。
LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
AOS−Na:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
α−SF−Na:炭素数12〜18のアルキル基をもつα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン(株)製)
AS−Na:炭素数10〜18のアルキル基を持つアルキル硫酸ナトリウム塩(三洋化成工業(株)製 サンデットLNM)
AES−Na:ダイアドール13(三菱化学)の酸化エチレン3モル付加体の硫酸エステルナトリウム塩(ライオン(株)製)
ノニオン1:ダイアドール13(三菱化学)の酸化エチレン15モル付加体(ライオン化学(株)製)
ノニオン2:ダイアドール13(三菱化学)の酸化エチレン7モル付加体(ライオン化学(株)製)
【0042】
【表7】
Figure 0004784957
【0043】
【表8】
Figure 0004784957
【0044】
【表9】
Figure 0004784957
【0045】
【表10】
Figure 0004784957

【図面の簡単な説明】
【図1】新品の綿タオル表面のマイクロスコープによる100倍画像写真である。
【図2】ゴワつかせた綿タオル表面のマイクロスコープによる100倍画像写真である。
【図3】実施例1の処理を行った後の綿タオル表面のマイクロスコープによる100倍画像写真である。

Claims (8)

  1. 水性液中において、水膨潤性有機物又は水非膨潤性有機物からなり、平均粒子径が10〜100μm又は平均繊維長が10〜200μmである水不溶性固体粒子の存在下に、繊維製品に機械力を付与することにより、上記水不溶性固体粒子を上記繊維製品に作用させて、該繊維製品の織り糸の太さを増大させる方法。
  2. 水膨潤性有機物が、粉末セルロース、結晶性セルロース、内部架橋CMC−Na、CMC−Ca、架橋ポリアクリル酸及びその塩、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、部分アルファー化デンプン、セルロースエーテル、微結晶セルロース、内部架橋ポリビニルピロリドン、並びにデンプングリコール酸ナトリウムから選ばれる水膨潤性有機物であり、水非膨潤性有機物が、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、アミノアルキッド、ウレタン、ポリアセタール及びポリカーボネートから選ばれる水非膨潤性有機物である請求項1記載の繊維製品の織り糸の太さを増大させる方法。
  3. 水非膨潤性有機物からなり、平均粒子径が10〜100μm又は平均繊維長が10〜200μmである水不溶性固体粒子を含有する組成物であって、この組成物中で、機械力を付与しながら繊維製品を処理する、繊維処理剤組成物及び洗剤組成物から選ばれる組成物。
  4. 水非膨潤性有機物が、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、アミノアルキッド、ウレタン、ポリアセタール及びポリカーボネートから選ばれる水非膨潤性有機物である請求項3記載の組成物。
  5. 水不溶性固体粒子の配合量が、組成物中5〜20質量%である請求項3又は4記載の組成物。
  6. さらに、界面活性剤を含有する請求項3〜5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 水非膨潤性有機物からなり、平均粒子径が10〜100μm又は平均繊維長が10〜200μmである水不溶性固体粒子を含有する、繊維処理剤組成物及び洗剤組成物から選ばれる組成物で、機械力を付与しながら繊維製品を処理することを特徴とする繊維処理方法。
  8. 水非膨潤性有機物が、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、アミノアルキッド、ウレタン、ポリアセタール及びポリカーボネートから選ばれる水非膨潤性有機物である請求項7記載の繊維処理方法。
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