JP4139089B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。特に好ましくは衣料用洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒状洗剤組成物は、消費者の利便性より、高嵩密度化や低使用量化が強く指向されている。しかしながら、高嵩密度洗剤組成物は、低嵩密度洗剤組成物に比べて界面活性剤含量が高い傾向にあるために該組成物を構成する洗剤粒子の溶解速度が低くなる傾向があることが知られている。また、近年の洗濯機は、環境・エネルギー問題や経済性への対応から、高浴比(衣料/洗浄水)化、運転時間の短縮化、低動力撹拌化等の傾向にある。これら最近の傾向は、いずれも洗剤組成物の溶解速度遅延の要因である。洗剤組成物の溶解速度の遅延に伴い洗浄能力が著しく低下したり、洗剤組成物の衣料への付着による局所的な高濃度化による衣料の損傷等から、洗剤組成物の溶解速度の大幅な向上が切望されている。
【0003】
また、顕著な汚れに対しては、洗剤組成物の通常使用濃度よりも高濃度な水溶液(温水)に衣料を浸漬することが通常行われている。従来知られているセルラーゼは耐熱性が低く、また高濃度な洗剤水溶液中では、酵素活性が低下するため、十分な効果が得られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、溶解性、被洗浄物の低損傷性に優れ、襟・袖口等の皮脂由来の汚れに対して優れた洗浄力を持つ洗浄剤組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
次の(A)粒子、(B)粒子及び(C)粒子を含有する洗浄剤組成物:
(A)粒子:(a)界面活性剤10〜50重量%、(b)水溶性塩類10〜50重量%及び(c)水不溶性無機物5〜50重量%を含有する粒子であって、(b)及び(c)の合計が40〜70重量%である粒子、
(B)粒子:20℃、1分後のセルラーゼ放出率が50%以上であり、該セルラーゼが、80℃、10分間の処理で40%以上の活性を保持し、かつ最適反応pHが7.5以上である、セルラーゼ含有粒子である粒子、
(C)粒子:20℃、1分後のプロテアーゼ放出率が20〜98%であり、該プロテアーゼがオレイン酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けないプロテアーゼ含有粒子である粒子、
であって、
(B)粒子の20℃、1分後のセルラーゼ放出率が、(C)粒子の20℃、1分後のプロテアーゼ放出率以上である洗浄剤組成物
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
<洗浄剤組成物>
本発明の洗浄剤組成物は、(A)粒子、(B)粒子及び(C)粒子を含有し、要すれば(D)粒子を含有してなるものである。
【0007】
JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する本発明の洗浄剤組成物の見掛け密度は、利便性や廃棄物(例えば、箱等)を低減する観点から、600g/L以上が好ましく、700g/L以上がより好ましく、800g/L以上が更に好ましい。また、溶解性の点で、見掛け密度は1600g/L以下が好ましく、1300g/L以下がより好ましく、1000g/L以下が更に好ましい。
【0008】
JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求める本発明の洗浄剤組成物の平均粒径は、溶解性に優れる観点から、150〜700μmが好ましく、より好ましくは150〜600μm、更に好ましくは180〜400μmである。
【0009】
洗浄剤組成物は、携帯性や簡便性の点で、一回の使用量を分包包装しても良く、また、圧縮成型して錠剤型にして包装しても良い。この時包装材料が水溶性であることが好ましい。
【0010】
<(A)粒子>
(A)粒子は、(a)界面活性剤10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%と、(b)水溶性塩類10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%と、(c)水不溶性無機物5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%とを含有する粒子であって、(b)及び(c)の合計が40〜70重量%(好ましくは45〜65重量%)である粒子である。
【0011】
(a)界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の1種または組み合わせを挙げることが出来るが、好ましくは陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤である。該界面活性剤を配合することは、油性汚れの洗浄性の点で、好ましい。
【0012】
陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が好ましい。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0013】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。特に、非イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを4〜20モル付加した〔HLB 値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0、好ましくは11.0〜14.5であるような〕ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0014】
(b)水溶性塩類としては、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g以上且つ分子量1千未満のものであり、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、塩酸塩、又はリン酸塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩等の水溶性無機塩類や、クエン酸塩やフマル酸塩等の低分子量の水溶性有機酸塩が挙げられる。該水溶性塩類を配合することは、溶解性の点で好ましい。
【0015】
(c)水不溶性無機物としては、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g未満の固体であり、特に1次粒子の平均粒径が0.1 〜20μmのものが好ましい。例えば、結晶性もしくは非晶質のアミノ珪酸塩や、二酸化珪素、水和珪酸化合物、パーライト、ベントナイト等の粘土化合物等があるが、結晶性もしくは非晶質のアルミノ珪酸塩や、二酸化珪素、水和珪酸化合物が好適であり、中でも金属イオン封鎖能及び界面活性剤の担持能の点で結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。該水不溶性無機物を配合することは、溶解性の点で好ましい。
【0016】
(A)粒子は、洗浄性能の点で、更に(d)水溶性ポリマーを0.5〜20重量%含有することが好ましく、1〜15重量%がより好ましく、3〜10重量%が更に好ましい。
【0017】
(d)水溶性ポリマーとしては、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g以上且つ分子量1千以上の有機性重合体であり、例えばポリアルキレングリコール、カルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類等が挙げられる。中でも金属イオン封鎖能、固体汚れ・粒子汚れの分散能及び再汚染防止能の点で分子量が数千〜10万のカルボン酸系ポリマー及びポリエチレングリコールが好ましい。特に、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩、ポリアクリル酸塩及びポリエチレングリコールが好ましい。ここで、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
【0018】
(A)粒子は、流動性及び非ケーキング性の点で、表面被覆剤により表面改質を行うことが好ましい。表面被覆剤は(A)粒子中1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%がより好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。表面被覆剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、粉末の界面活性剤等の微粉体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩等のポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー;脂肪酸が挙げられる。中でもシリケート化合物が好ましく、特に結晶性アルミノケイ酸塩、非晶質アルミノケイ酸塩、結晶性シリケート化合物が好ましい。
【0019】
(A)粒子の製法は特に限定されないが、(b)水溶性塩類、(c)水不溶性無機物及び要すれば(d)水溶性ポリマーを含有するスラリーを噴霧乾燥することによって得られたベース顆粒100重量部に、(a)界面活性剤5〜80重量部(好ましくは12〜80重量部、より好ましくは15〜65重量部、更に好ましくは20〜60重量部)を担持させ、次いで表面被覆剤により表面改質する製法が、得られる(A)粒子の溶解性の点で、好ましい。
【0020】
ベース顆粒とは、(b)水溶性塩類、(c)水不溶性無機物及び要すれば(d)水溶性ポリマーを含有するスラリーを噴霧乾燥して得られる粒子のことをいう。ベース顆粒としては、その表面近傍に水溶性成分が多く偏在した構造のものが、溶解性の点で好ましい。
【0021】
ベース顆粒の構造における水溶性成分の偏在性の確認は、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)や光音響分光法(PAS)を併用する方法(FT−IR/PAS)を用いて行うことができる。これらは、Applied Spectroscopy vol.47、1311−1316(1993)に記載のとおり、ベース顆粒の表面から深さ方向における物質の分布状態を解析する方法であり、それにより水溶性成分の偏在性を確認することができる。
【0022】
また、ベース顆粒は、前記成分以外に、界面活性剤や、洗浄剤組成物に好適な蛍光染料、顔料、染料等の補助成分を含んでも構わない。
【0023】
ベース顆粒は、各種成分を混合して、好ましくは水分量30〜60重量%のスラリーにした後、該スラリーを噴霧乾燥することで得られる。噴霧乾燥時の熱風の温度は、溶解性の点で200〜300℃が好ましい。その他の噴霧乾燥の条件については、特に限定はない。また、ベース顆粒の見掛け密度、平均粒径等の物性について、特に限定はない。
【0024】
ベース顆粒に界面活性剤を担持させる方法として、造粒機を用いても良いが、溶解性の点で撹拌機を用いてベース顆粒と界面活性剤とを混合することが好ましい。混合は、後述する(A)粒子の気孔を潰さないような緩やかな条件で行うことが特に好ましい。また、造粒機や攪拌機としては、公知のものであれば特に限定はない。
【0025】
(A)粒子は、溶解性の点で、水に溶解する過程において好ましくは粒子径の1/10以上、より好ましくは1/5以上、更に好ましくは1/4以上、特に好ましくは1/3以上の径の気泡を放出する。気泡の放出は、水(20℃)に静置した状態にて溶解させた場合、120秒以内に所定の大きさの気泡が発生することが好ましく、60秒以内がより好ましく、45秒以内が更に好ましい。また、気泡の放出には、所定の大きさの気泡を放出可能な気孔(単数個でも複数個でもよい)を有していればよく、特に粒子の形態、構造には限定されない。なお、気孔の確認は、例えば、粒子を切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(FT−IR/PAS)で観察する等により行うことができる。
【0026】
(A)粒子は、利便性や廃棄物低減の点で、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度は600g/L以上が好ましく、700g/L以上がより好ましく、800g/L以上が更に好ましい。また、溶解性の点で、見掛け密度は1600g/L以下が好ましく、1300g/L以下がより好ましく、1000g/L以下が更に好ましい。
【0027】
(A)粒子は、溶解性の点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求める平均粒径は150〜700μmが好ましく、より好ましくは150〜600μm、更に好ましくは180〜400μmである。また、溶解性の点で177〜350μmの粒径の粒子の含有量は、(A)粒子中40重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上である。
【0028】
本発明において、洗浄性能の点から、(A)粒子を使用することが好ましい。(A)粒子は、洗浄性能の点で洗浄剤組成物中50〜99.5重量%が好ましく、50〜98重量%がより好ましく、60〜96重量%が更に好ましく、70〜94重量%が特に好ましい。
【0029】
<(B)粒子>
(B)粒子は、20℃、1分後のセルラーゼ放出率が50%以上であり、該セルラーゼが、80℃、10分間の処理で40%以上の活性を保持し、かつカルボキシメチルセルロース分解活性の最適反応pHが7.5以上であるセルラーゼ含有粒子である。
【0030】
セルラーゼは、温水あるいは高温下での洗浄効果、酵素粒子製造時の熱履歴、及び造粒後あるいは製品配合後の保存安定性の観点から、80℃、10分間の処理で40%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上の活性を保持する。なお、これらセルラーゼの活性は、特開平10−313859号公報に記載の方法により求めることができる。
【0031】
ここで、80℃、10分間の処理とは、酵素を0.5Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0)中で80℃、10分間、インキュベートすることをいう。
【0032】
セルラーゼは、弱アルカリ性の洗濯液中で十分効果を発揮する必要があることから、最適反応pHが7.5以上であり、好ましくは8.0以上であり、さらに好ましくは8.5以上である。
【0033】
ここで最適反応pHとは、40mMブリットン・ロビンソン広域緩衡液中で酵素のカルボキシメチルセルロース分解活性が最高となるpH条件のことをいう。
【0034】
セルラーゼとしては、80℃、10分間の処理で40%以上の活性を保持し、かつ最適反応pHが7.5以上であるものであれば特に限定はないが、バチルスエスピー(Bacillus sp.) KSM−S237株と命名され、FERM P−16067として寄託された菌株、その変異株又は当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体から生産されるセルラーゼが洗浄性能の点で好ましい。前記菌株からセルラーゼを生産する方法としては、特開平10−313859号公報に記載の方法が挙げられる。また、前記菌株の変異体及び当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体及びこれらの菌株からセルラーゼを生産する方法については、特開平6−343461号公報、特開平10−229879号公報、特開2000−210081号公報に記載の方法が挙げられる。本発明で使用するセルラーゼは、培養液を濾過・濃縮した濃縮液及び/又は濃縮液を乾燥して得られる酵素粉末の形で供給される。後述する核物質を用いる造粒方法では、酵素粉末を使用するのが好ましい。
【0035】
また、造粒性や溶解性及び洗浄性能の点で、セルラーゼは(B)粒子中0.5〜20重量%が好ましく、0.8〜15重量%がより好ましく、1〜10重量%が更に好ましい。
【0036】
(B)粒子のセルラーゼ放出率は、100mL溶ビーカー(内径50mm)に20℃の0.9重量%NaCl水溶液100mLを入れ、攪拌子(長さ35mm、直径8mm)の回転数100rpmにて攪拌下、(B)粒子100mgを添加し、1分後に放出されたセルラーゼ活性量を完全溶解時のセルラーゼ活性量で除し、得られた値に100をかけたものをいう。放出されたセルラーゼ活性量は、前記特開平10−313859号公報に記載の方法により測定する。前記放出率は、50%以上であり、洗浄性能の点で60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
【0037】
このような放出率を達成するために、(B)粒子は以下に示す(I)及び/又は(II)の造粒物であることが好ましく、高速溶解性、低発塵性の観点から、(II)の造粒物がより好ましい。
【0038】
(I)は、セルラーゼを平均粒径200〜1200μmの水溶性粒子からなる核物質及び融点35〜70℃の水溶性有機バインダーと共に造粒し、得られた造粒物の平均粒径が核物質の平均粒径の1〜2倍である造粒物である。
【0039】
核物質としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、芒硝、炭酸ナトリウム、砂糖等の水溶性粒子が挙げられ、中でも塩化ナトリウムが好ましい。核物質の平均粒径は、溶解性、及び目的とする最終の酵素粒子を洗剤粒子と混合した時の外観の美麗さ、非分級性の観点から、200〜1200μmが好ましく、250〜1000μmがより好ましい。なお、平均粒径は、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求めることができる。
【0040】
核物質の含有量は、造粒性や溶解性の観点から、(I)の造粒物中30〜80重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。
【0041】
水溶性有機バインダーとしては、ポリエチレングリコール、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル等)等が挙げられ、中でもポリエチレングリコールが好ましい。生産性の点で、水溶性有機バインダーは核物質100重量部に対して5〜60重量部が好ましい。
【0042】
水溶性有機バインダーの融点は、35〜70℃であることが好ましく、40〜70℃がより好ましく、45〜68℃がさらに好ましい。該融点は、JIS K0064:1992に規定された目視による方法により測定することができる。
【0043】
以上のようにして得られた造粒物(I)の平均粒径は、溶解性及び非分級性の観点から、核物質の平均粒径の1〜2倍であり、1.05〜1.5倍がより好ましい。
【0044】
セルラーゼを核物質及び水溶性有機バインダーと共に造粒して(I)の造粒物を製造する方法は、公知の方法であればよく、例えば、特開昭62−257990号公報に記載の造粒法が好ましい。
【0045】
(II)は、セルラーゼ、水不溶性物質45重量%以上、及び水溶性バインダー5〜40重量%を含有し、かつ内部よりも表面近傍に水溶性バインダーが多く存在する構造を有する造粒物である。
【0046】
水不溶性物質としては、セルロースパウダー等の有機物質、ゼオライト、タルク、クレー、アルミナ、カオリン、チタニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機物質が挙げられ、熱に対する安定性の点で、無機物質が好ましく、分散性の点でゼオライトやカオリンが特に好ましい。水不溶性物質は、均一性の点で、一次粒子の平均粒径が20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、0.1〜5μmが特に好ましい。(II)の造粒物中の水不溶性物質の含有量は、酵素の速やかな溶出を促す点で、45重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましい。一方、溶け残り防止の点で、90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下が特に好ましい。
【0047】
水溶性バインダーとしては、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、水溶性セルロース誘導体、カルボン酸系ポリマー、澱粉、糖類等が挙げられる。誘導体としては、エーテル化合物等が挙げられる。中でも、生産性、高速溶解性の点で、カルボン酸系ポリマー及び糖類が好ましく、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩、ポリアクリル酸塩がより好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。(II)の造粒物中の水溶性バインダーの含有量は、低発塵性の点で5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましい。また、高速溶解性の点で40重量%以下が好ましく、35重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。
【0048】
(B)粒子の(II)の造粒物は、粒子内部よりも表面近傍に水溶性バインダーが多く存在する構造を有するものであり、例えば、前記セルラーゼ、水不溶性物質、及び水溶性バインダーを混合して、好ましくは水分量30〜60重量%のスラリーにした後、該スラリーを噴霧乾燥することで得られる。噴霧乾燥の方法及び条件については、前記(A)粒子を製造する場合と同じであればよいが、噴霧乾燥時の熱風の温度は酵素の安定性及び生産性を思料して、140〜180℃で行うのが好ましい。なお、粒子の水溶性バインダーの偏在性については、前記FT−IR/PASを用いて確認することができる。
【0049】
(B)粒子の(II)の造粒物については、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度は、非分級性の点で、500〜1000g/Lが好ましく、より好ましくは600〜1000g/L、特に好ましくは700〜950g/Lである。また、高速溶解性、低発塵性、非分級性の点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求める平均粒径は、150〜500μmが好ましく、より好ましくは150〜450μm、特に好ましくは200〜400μmである。加えて、発塵性、溶解性の点で、125〜710μmの粒径の粒子の含有量が(II)の造粒物全体の80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
【0050】
本発明において、(B)粒子は、洗浄性能及び経済性の点で洗浄剤組成物中0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜8重量%がより好ましく、0.3〜5重量%が更に好ましい。
【0051】
<(C)粒子>
(C)粒子は、20℃、1分後のプロテアーゼ放出率が20〜98%であり、該プロテアーゼがオレイン酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けないプロテアーゼ含有粒子である。
【0052】
プロテアーゼは、40℃、30分間の処理でpH6〜11の範囲で安定であり、かつpH4〜13の範囲で作用し、pH6〜12での活性値が最適pH活性値の80%以上であり、等電点が8.9〜9.1であり、オレイン酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けないものが好ましい。
【0053】
プロテアーゼは、温水を用いた浸漬洗浄でも十分効果を発揮するために、40℃、30分間の処理で、pH6〜11の範囲で安定であるものが好ましい。ここで「安定」とは、失活しないことをいう。なお、これらプロテアーゼの活性は、WO99/18218号公報に記載の方法(カゼイン法)により求めることができる。
【0054】
ここで、40℃、30分間の処理とは、酵素をブリットン・ロビンソン緩衝液(20mM)中で40℃、30分間、インキュベートすることをいう。
【0055】
プロテアーゼは、弱アルカリ性の洗濯液中で十分効果を発揮する必要があることから、pH6〜12での活性値が最適pH活性値の80%以上が好ましく、82%以上がより好ましく、84%以上がさらに好ましい。
【0056】
プロテアーゼが「オレイン酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けない」とは、カゼインを1%(w/v)含む50mM リン酸緩衝液(pH7.0)反応系において、オレイン酸が1〜10mM存在しても活性を全く失わないことをいう。
【0057】
プロテアーゼとしては、オレイン酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けないものであれば特に限定はないが、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP43株と命名され、FERM BP−6532として寄託された菌株、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP1790株と命名され、FERM BP−6533として寄託された菌株、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP9860株と命名され、FERM BP−6534として寄託された菌株、これらの変異株又は当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体から生産されるプロテアーゼが、漂白剤を含有した洗濯液中でも十分効果を発揮できる点で好ましい。前記菌株、その変異株又は当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体からプロテアーゼを生産する方法としては、WO99/18218号公報、Agric. Biol. Chem., 55(9), 2387-2391, 1991に記載の方法等が挙げられる。
【0058】
また、造粒性や溶解性及び洗浄性能の点で、プロテアーゼの含有量は(C)粒子中1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%がより好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。
【0059】
プロテアーゼ放出率は、100mL容ビーカー(内径50mm)に20℃の2mM CaCl2 水溶液100mLを入れ、攪拌子(長さ35mm、直径8mm)の回転数100rpmにて攪拌下、(C)粒子100mgを添加し、1分後に放出されたプロテアーゼ活性量を完全溶解時のプロテアーゼ活性量で除し、得られた値に100をかけたものをいう。該放出率は、20〜98%であり、洗浄性能の点で50〜98%が好ましく、70〜98%がより好ましく、80〜98%が更に好ましい。ここで、プロテアーゼ活性量は、WO99/18218号公報に記載の方法(カゼイン法)により測定する。
【0060】
このような放出率を達成するために、(C)粒子は以下に示す(III )及び/又は(IV)の造粒物であることが好ましく、(IV)の造粒物が高速溶解性、低発塵性の点でより好ましい。
【0061】
(III) プロテアーゼを平均粒径200〜1200μmの水溶性粒子からなる核物質及び融点35〜70℃の水溶性有機バインダーと共に造粒し、得られた造粒物の平均粒径が核物質の平均粒径の1〜2倍である造粒物。
【0062】
(IV) プロテアーゼ、水不溶性物質45重量%以上、及び水溶性バインダー5〜40重量%を含有し、かつ内部よりも表面近傍に水溶性バインダーが多く存在する構造を有する造粒物。
【0063】
なお、(III )及び(IV)の造粒物は、それぞれ前記(B)粒子の(I)又は(II)の造粒物において、セルラーゼの代わりにプロテアーゼを用いて得られたものであり、これらの造粒物に用いられるプロテアーゼ以外の成分、前記造粒物の製造方法等は、前記(B)粒子のものと同様であればよい。
【0064】
(C)粒子の(IV)の造粒物については、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度は、非分級性の点で、500〜1000g/Lが好ましく、より好ましくは600〜1000g/L、特に好ましくは700〜950g/Lである。また、高速溶解性、低発塵性、非分級性の点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求める平均粒径は、150〜500μmが好ましく、より好ましくは150〜450μm、特に好ましくは200〜400μmである。加えて、発塵性、溶解性の点で、125〜710μmの粒径の粒子の含有量が(IV)の造粒物全体の80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
【0065】
本発明において、洗浄力の点から、(C)粒子を使用することが好ましい。(C)粒子は、洗浄性能の点で洗浄剤組成物中0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜8重量%がより好ましく、0.3〜5重量%が更に好ましい。
【0066】
本発明においては、以上のような構成を有する(B)粒子及び(C)粒子を併用することに1つの大きな特徴があり、かかる(B)粒子及び(C)粒子を用いることで、従来のように単に酵素粒子そのものを配合する場合に比べて、酵素の作用を最大限に発揮させることができ、これにより併用による相乗効果を格段に高めることができるため、溶解性が良好であり被洗浄物の低損傷性に優れ、襟・袖口等の皮脂由来の汚れに対して優れた洗浄力を持つという利点を有する。
【0067】
<(D)粒子>
(D)粒子は、(c)水不溶性無機物並びに、(d)水溶性ポリマー及び(b)水溶性塩類から選ばれる一種以上の水溶性成分を含有するスラリーを噴霧乾燥することによって得られるベース顆粒100重量部に、(a)界面活性剤10重量部未満(好ましくは0重量部以上5重量部未満)が担持されてなる粒子である。(a)〜(d)成分としては、前記(A)粒子の説明で記載したものと同様であればよい。
【0068】
(D)粒子は、流動性及び非ケーキング性の点で、表面被覆剤により表面改質を行うことが好ましい。表面被覆剤は(D)粒子中1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%がより好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。表面被覆剤としては、前記(A)粒子で用いられるものと同様のものであればよく、中でもシリケート化合物が好ましく、特に結晶性アルミノケイ酸塩、非晶質アルミノケイ酸塩、結晶性シリケート化合物が好ましい。
【0069】
(D)粒子を造粒する方法としては、公知の方法であればよく、例えば、前記(A)粒子を製造するのに用いた造粒法が好ましい。
【0070】
(D)粒子は、溶解性の点で、水に溶解する過程において好ましくは粒子径の1/10以上、より好ましくは1/5以上、更に好ましくは1/4以上、特に好ましくは1/3以上の径の気泡を放出する。気泡の放出は、水に静置した状態にて溶解させた場合、120秒以内に所定の大きさの気泡が発生することが好ましく、60秒以内がより好ましく、45秒以内が更に好ましい。また、気泡の放出には、所定の大きさの気泡を放出可能な気孔(単数個でも複数個でもよい)を有していればよく、特に粒子の形態、構造には限定されない。なお、気孔の確認は、前記(A)粒子の気孔の確認と同様の方法で行なうことができる。
【0071】
(D)粒子は、非分級性の点で、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度は500g/L以上が好ましく、600g/L以上がより好ましく、700g/L以上が更に好ましい。また、非分級性及び溶解性の点で、見掛け密度は1500g/L以下が好ましく、1200g/L以下がより好ましく、900g/L以下が更に好ましい。
【0072】
(D)粒子は、非分級性及び溶解性の点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求める平均粒径は150〜700μmが好ましく、より好ましくは150〜600μm、更に好ましくは180〜400μmである。また、溶解性の点で177〜350μmの粒子径が(D)粒子中40重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上である。
【0073】
(D)粒子の添加は、ペースト化が抑制され溶解性の点で好ましい。より好ましくは洗浄剤組成物中1〜40重量%が好ましく、更に好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
【0074】
<その他成分>
洗浄剤組成物には、衣料用洗剤の分野で公知のビルダー、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料、その他の酵素(ペクチナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等)等の添加剤を含有させることができる。これらは、(A)〜(D)粒子中に含有させても良く、別の粒子として添加しても良い。
【0075】
本発明の洗浄剤組成物は、前記(A)粒子、(B)粒子及び(C)粒子、要すれば(D)粒子、各種添加剤を公知の方法で添加、混合することで製造することができる。
【0076】
本発明の洗浄剤組成物は、溶解性、被洗浄物の被損傷性及び洗浄性に優れたものであるため、衣料、カーテン、カーペット等の繊維製品用として使用することができ、中でも衣料用洗浄剤組成物として好適に使用することができる。また、本発明の洗浄剤組成物は、優れた洗浄力を持つため、特に、襟・袖口等の皮脂由来の汚れに対して好適に使用することができる。
【0077】
【実施例】
【0078】
<(A)粒子>
A−1
最終洗剤粒子基準で、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸カリウム(C10〜14)14重量%、α−オレフィンスルホン酸カリウム(炭素数14〜18)12重量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C12〜14、EO12)8重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量=8500)1重量%、ゼオライト18重量%、アクリル酸−マレイン酸コポリマー(平均分子量=70000 )0.5重量%、脂肪酸カリウム(パーム核油由来)4重量%、1号ケイ酸塩4重量%、炭酸カリウム8重量%、硫酸ナトリウム2重量%、亜硫酸ナトリウム1重量%、及び蛍光染料0.3重量%からなるスラリー(固形分50重量%)を調製し、噴霧乾燥して噴霧乾燥組成物を得た。これに最終洗剤粒子基準の重量基準で、炭酸ナトリウム13重量%をリボンミキサーに投入して混合を行った。得られた混合物を前押し出し式2軸型押し出し造粒機(ペレッターダブル:不二パウダル(株)製)で直径が10mmの円柱状に押し出し成形して圧密化した。得られたペレット状物を、ゼオライト5重量%とともにフラッシュミル(不二パウダル(株)製)で粉砕造粒して表面被覆を行った。この造粒物から粗大物を取り除いた後、Vブレンダーに移し、ゼオライト5重量%を混合し、水分4.2重量%の洗剤粒子を得た。
【0079】
得られた粒子は、見掛け密度820g/L、平均粒径390μm、177〜350μmの粒径の粒子の含有量が55重量%であった。なお、見掛け密度は、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定した(以下、同じ)。
【0080】
A−2
固形分50重量%のスラリーを、熱風温度250℃で噴霧乾燥し、以下の組成のベース顆粒Iを得た。なお、該ベース顆粒IをFT−IR/PASを用いたところ、その表面近傍には水溶性成分が多く偏在していた。
【0081】
ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量10000)7重量%、炭酸ナトリウム25重量%、硫酸ナトリウム20重量%、亜硫酸ナトリウム1重量%、塩化ナトリウム3重量%、蛍光染料0.5重量%、ゼオライト40重量%、水3.5重量%。
【0082】
蛍光染料としてはチノパールCBS−X(チバガイギー社製)を用いた。ゼオライトとしては4A型ゼオライト(東ソー(株)製)を用いた。
【0083】
次いで、ベース顆粒Iに界面活性剤等を担持することにより(A)粒子を得た。即ち、レディゲミキサー(松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き)にベース顆粒Iを100重量部投入し、主軸(150rpm)の攪拌下、非イオン界面活性剤20重量部、直鎖アルキル(C12〜14)ベンゼンスルホン酸塩ナトリウム22重量部、脂肪酸(C14〜18)ナトリウム4重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量8500)2重量部、水6重量部の混合液を、3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、このミキサーに結晶性シリケート20重量部とゼオライト10重量部を投入し、表面改質を行った。
【0084】
なお、非イオン界面活性剤は、炭素数12〜16、平均EO付加モル数6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。結晶性シリケートは粉末SKS−6(ヘキストトクヤマ(株)製)を用いた。
【0085】
得られた粒子は、見掛け密度820g/L、平均粒径250μm、177〜350μmの粒径の粒子の含有量が55重量%であり、水に溶解する過程で粒子径の1/3以上の気泡を粒子内部より放出した。
【0086】
A−3
固形分50重量%のスラリーを、熱風温度250℃で噴霧乾燥し、以下の組成のベース顆粒IIを得た。なお、該ベース顆粒IIをFT−IR/PASを用いたところ、その表面近傍には水溶性成分が多く偏在していた。
【0087】
直鎖アルキル(C12〜14)ベンゼンスルホン酸塩ナトリウム1重量%、ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量10000)5重量%、炭酸ナトリウム26重量%、硫酸ナトリウム10重量%、亜硫酸ナトリウム1重量%、塩化ナトリウム3重量%、蛍光染料0.5重量%、ゼオライト50重量%、水3.5重量%。
【0088】
蛍光染料としてはチノパールCBS−X(チバガイギー社製)を用いた。ゼオライトとしては4A型ゼオライト(東ソー(株)製)を用いた。
【0089】
次いで、ベース顆粒IIに界面活性剤等を担持することにより(A)粒子を得た。即ち、レディゲミキサー(松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き)にベース顆粒Iを100重量部投入し、主軸(150rpm)の攪拌下、非イオン界面活性剤10重量部、直鎖アルキル(C12〜14)ベンゼンスルホン酸塩ナトリウム26重量部、脂肪酸(C14〜18)ナトリウム4重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量8500)2重量部、水6重量部の混合液を、3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、このミキサーに結晶性シリケート20重量部とゼオライト10重量部を投入し、表面改質を行った。
【0090】
なお、非イオン界面活性剤は、炭素数12〜16、平均EO付加モル数6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。結晶性シリケートは粉末SKS−6(ヘキストトクヤマ(株)製)を用いた。
【0091】
得られた粒子は、見掛け密度840g/L、平均粒径280μm、177〜350μmの粒径の粒子の含有量が55重量%であり、水に溶解する過程で粒子径の1/3以上の気泡を粒子内部より放出した。
【0092】
<(B)粒子>
B−1
バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−S237株と命名されFERM P−16067として寄託された菌株から生産されたセルラーゼ(25000U/g)2重量%、核物質(平均粒径250μmの塩化ナトリウム)45重量%、水溶性有機バインダー(ポリエチレングリコール6000、融点:63℃)15重量%、酸化チタン5重量%、塩化カルシウム1重量%、芒硝32重量%を特開昭62−257990号公報実施例1記載の条件下で造粒し、平均粒径350μmの造粒物を得た。125〜710μmの粒径の粒子の含有量が90重量%以上であり、見掛け密度は830g/Lであった。また、20℃、1分後のセルラーゼ放出率は、68%であった。なお、セルラーゼ放出率は、100mL容ビーカー(内径50mm)に20℃の0.9重量%NaCl水溶液100mLを入れ、攪拌子(長さ35mm、直径8mm)の回転数100rpmにて攪拌下、(B)粒子100mgを添加し、1分後に放出されたセルラーゼ活性量を完全溶解時のセルラーゼ活性量で除し、得られた値に100をかけて算出した。また、セルラーゼ活性量は、特開平10−313859号公報に記載の方法により測定した(以下、同じ)。
【0093】
B−2
バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−S237株と命名されFERM P−16067として寄託された菌株から生産されたセルラーゼ(25000U/g)2重量部、水不溶性物質(ゼオライト:平均粒径3μm)65重量部、水溶性バインダー(ポリアクリル酸/マルチット=1/1(重量比))25重量部、芒硝4重量部である水分量55重量%のスラリーを調整した。次にこれを噴霧乾燥(噴霧温度150℃)により水分量4重量%の平均粒径250μmの造粒物を得た。125〜710μmの粒径の粒子の含有量が90重量%以上であり、見掛け密度は810g/Lであった。また、FT−IR/PASで測定したところ、得られた造粒物の表面近傍に水溶性バインダーが多く存在していた。また、20℃、1分後のセルラーゼ放出率は、80%であった。
【0094】
<(C)粒子>
C−1
バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP43株と命名され、FERM BP−6532として寄託された菌株から生産されるプロテアーゼ(100P.U./g)6重量%、核物質(平均粒径250μmの塩化ナトリウム)45重量%、水溶性有機バインダー(ポリエチレングリコール6000、融点:63℃)15重量%、酸化チタン5重量%、塩化カルシウム1重量%、芒硝28重量%を特開昭62−257990号公報実施例1記載の条件下で造粒し、平均粒径380μmの造粒物を得た。125〜710μmの粒径の粒子の含有量は90重量%以上であり、見掛け密度は810g/Lであった。また、20℃、1分後のプロテアーゼ放出率は、69%であった。該プロテアーゼ放出率は、WO99/18218号公報に記載の方法(カゼイン法)により測定した(以下、同じ)。
【0095】
C−2
バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP43と命名され、FERM BP−6532として寄託された菌株から生産されるプロテアーゼ(100P.U./g)6重量部、水不溶性物質(ゼオライト:平均粒径3μm)65重量部、水溶性バインダー(ポリアクリル酸/マルチット=1/1(重量比))25重量部、芒硝4重量部である水分量55重量%のスラリーを調整した。次にこれを噴霧乾燥(噴霧温度150℃)により水分量4重量%の平均粒径260μmの造粒物を得た。125〜710μmの粒径の粒子の含有量は90重量%以上であり、見掛け密度は800g/Lであった。また、FT−IR/PASで測定したところ、得られた造粒物の表面近傍に水溶性バインダーが多く存在していた。また、20℃、1分後のプロテアーゼ放出率は、79%であった。
【0096】
C−3
バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP9860株と命名され、FERM BP−6534として寄託された菌株から生産されるプロテアーゼ(100P.U./g)6重量部、水不溶性物質(ゼオライト:平均粒径3μm)65重量部、水溶性バインダー(ポリアクリル酸/マルチット=1/1(重量比))25重量部、芒硝4重量部である水分量55重量%のスラリーを調整した。次にこれを噴霧乾燥(噴霧温度150℃)により水分量4重量%の平均粒径260μmの造粒物を得た。125〜710μmの粒径の粒子の含有量は90重量%以上であり、見掛け密度は800g/Lであった。また、FT−IR/PASで測定したところ、得られた造粒物の表面近傍に水溶性バインダーが多く存在していた。また、20℃、1分後のプロテアーゼ放出率は、79%であった。
【0097】
<(D)粒子>
D−1
固形分50重量%のスラリーを、熱風温度250℃で噴霧乾燥し、以下の組成のベース顆粒III を得た。
アクリル酸−マレイン酸コポリマー7重量%、炭酸ナトリウム25重量%、硫ナトリウム20重量%、ゼオライト45重量%、水3重量%。
【0098】
アクリル酸−マレイン酸コポリマーはナトリウム塩(70モル%中和)であり、モノマー比はアクリル酸/マレイン酸=3/7(モル比)であった。ゼオライトとしては4A型ゼオライト(東ソー(株)製)を用いた。
【0099】
次いで、ベース顆粒III に界面活性剤等を担持することにより(D)粒子を得た。即ち、レディゲミキサー(松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き)にベース顆粒III 100重量部投入し、主軸(150rpm)の攪拌下、非イオン界面活性剤4重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量13000)2重量部、水6重量部の混合液を、3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、ゼオライト10重量部を投入し、表面改質を行った。
【0100】
なお、非イオン界面活性剤は、炭素数12〜16、平均EO付加モル数6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。
【0101】
得られた粒子は、見掛け密度760g/L、平均粒径220μm、177〜350μmの粒子55重量%であり、水に溶解する過程で粒子径の1/3以上の気泡を粒子内部より放出した。
【0102】
<洗剤粒子>
最終洗剤粒子基準で、トリポリリン酸ナトリウム20重量部、炭酸ナトリウム22重量部、硫酸ナトリウム7重量部、亜硫酸ナトリウム1重量部、蛍光剤0.5重量部を、レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー製)を用いて混合した。次に、ミキサーを作動させながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(C12〜14)24重量部及びパーム核油脂肪酸4重量部を加え、中和反応を行った。ミキサーを作動させながら、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(C12〜16、EO6)6重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量13000)5重量部、アクリル酸マレイン酸コポリマー5重量部を加え、造粒を行った。続いてゼオライト3重量部を加え、表面改質処理を行い、水分2.5重量%の洗剤粒子を得た。
【0103】
<酵素粒子>
E−1
セルザイム0.7T(ノボザイムズ社製)。
E−2
サビナーゼ12T(ノボザイムズ社製)。
【0104】
実施例1〜8、比較例1〜3
表1の組み合わせで各成分を混合し、実施例1〜8及び比較例1〜3の洗浄剤組成物を得た。得られた洗浄剤組成物について、溶解性、損傷性及び洗浄力を以下の様にして評価した。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0004139089
【0106】
<溶解性評価>
1L容ビーカー(内径105mm )に5℃の使用水(CaCl2 :55.42mg/L、MgCl2 ・6H2 O:43.51mg/L)1Lを入れ、攪拌子(長さ35mm、直径8mm )の回転数800rpmにて撹拌下、洗浄剤組成物1gを投入し、60秒間攪拌してJIS Z 8801 規定の標準篩(目開き74μm)を通過させた。この時の篩い上の状態を以下の基準で目視判定した。
【0107】
評価基準
◎:残留物が全く無い
○:残留物が極僅か確認できる
×:残留物が明らかに確認できる
【0108】
<洗浄力評価>
表2に示した成分からなる油脂/カーボン汚れを木綿金布に染着させ、人工汚染布を調製した(6×6cm)。
【0109】
【表2】
Figure 0004139089
【0110】
次いで、40℃の使用水(CaCl2 :55.42mg/L、MgCl2 ・6H2 O:43.51mg/L)167mLを1L容ビーカー(内径105mm)に入れ、表1に記載の洗浄剤組成物0.67gを溶解させ、この中に前記人工汚染布5枚を入れ、40℃で1時間漬け置きした。次いで、40℃の硬水(同上)833mLを加え、全量をかき混ぜ式洗浄力試験機(ターゴトメーター)の試料カップに移し、回転速度100rpmにて10分間攪拌した。人工汚染布を流水下で濯いだ後、アイロンプレスし、反射率測定に供した。
【0111】
汚染前の原布及び洗浄前後の人工汚染布の 550nmにおける反射率を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求め、5枚の測定平均値を以下の基準により評価した。
【0112】
【数1】
Figure 0004139089
【0113】
評価基準
○:洗浄率が70%以上
△:洗浄率が65%以上、70%未満
×:洗浄率が65%未満
【0114】
表1の結果より、実施例1〜8で得られた洗浄剤組成物は、比較例1〜3で得られた洗浄剤組成物に比べ、いずれも溶解性及び洗浄力に優れたものであることがわかる。また、洗浄後の洗浄物の損傷については、実施例1〜8の場合、溶解性に優れるために、局所的なアルカリ高濃度化や、セルラーゼ活性の高濃度化による損傷といった問題は生じない。比較例1の場合は、アルカリの局所高濃度化、比較例2の場合は、酵素活性の局所高濃度化による損傷があった。
【0115】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤組成物は、溶解性、被洗浄物の被損傷性及び洗浄性に優れたものであるため、衣料、カーテン、カーペット等の繊維製品の汚れに対して使用することができ、中でも、襟・袖口等の皮脂由来の汚れに対して優れた洗浄力を持つという効果が奏される。

Claims (6)

  1. 次の(A)粒子、(B)粒子及び(C)粒子を含有する洗浄剤組成物:
    (A)粒子:(a)界面活性剤10〜50重量%、(b)水溶性塩類10〜50重量%及び(c)水不溶性無機物5〜50重量%を含有する粒子であって、(b)及び(c)の合計が40〜70重量%である粒子、
    (B)粒子:20℃、1分後のセルラーゼ放出率が50%以上であり、該セルラーゼが、80℃、10分間の処理で40%以上の活性を保持し、かつ最適反応pHが7.5以上である、セルラーゼ含有粒子である粒子、
    (C)粒子:20℃、1分後のプロテアーゼ放出率が20〜98%であり、該プロテアーゼがオレイン酸によるカゼイン分解活性の阻害を受けないプロテアーゼ含有粒子である粒子、
    であって、
    (B)粒子の20℃、1分後のセルラーゼ放出率が、(C)粒子の20℃、1分後のプロテアーゼ放出率以上であり、ここで、前記セルラーゼが、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−S237株と命名され、FERM P−16067として寄託された菌株、その変異株又は当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体から生産されるセルラーゼであり、前記プロテアーゼが、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP43株と命名され、FERM BP−6532として寄託された菌株、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP1790株と命名され、FERM BP−6533として寄託された菌株、バチルス エスピー(Bacillus sp.) KSM−KP9860株と命名され、FERM BP−6534として寄託された菌株、これらの変異株又は当該酵素をコードする遺伝子を有する形質転換体から生産されるプロテアーゼである、洗浄剤組成物。
  2. プロテアーゼが40℃、30分間の処理でpH6〜11の範囲で安定であり、かつpH4〜13の範囲で作用し、pH6〜12での活性値が最適pH活性値の80%以上であり、等電点が8.9〜9.1である請求項1記載の洗浄剤組成物。
  3. (B)粒子が、
    (I)セルラーゼを平均粒径200〜1200μmの水溶性粒子からなる核物質及び融点35〜70℃の水溶性有機バインダーと共に造粒し、得られる造粒物の平均粒径が核物質の平均粒径の1〜2倍である造粒物、及び/又は、
    (II)セルラーゼ、水不溶性物質45重量%以上、及び水溶性バインダー5〜40重量%を含有し、かつ内部よりも表面近傍に水溶性バインダーが多く存在する構造を有する造粒物
    である請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
  4. (C)粒子が、
    (III )プロテアーゼを平均粒径200〜1200μmの水溶性粒子からなる核物質及び融点35〜70℃の水溶性有機バインダーと共に造粒し、得られる造粒物の平均粒径が核物質の平均粒径の1〜2倍である造粒物、及び/又は、
    (IV)プロテアーゼ、水不溶性物質45重量%以上、及び水溶性バインダー5〜40重量%を含有し、かつ内部よりも表面近傍に水溶性バインダーが多く存在する構造を有する造粒物
    である請求項1〜いずれか記載の洗浄剤組成物。
  5. (A)粒子が、水に溶解する過程において粒子径の1/10以上の径の気泡を粒子内部から放出し得る粒子である請求項1〜いずれか記載の洗浄剤組成物。
  6. 更に、(c)水不溶性無機物並びに、(d)水溶性ポリマー及び(b)水溶性塩類から選ばれる一種以上の水溶性成分を含有するスラリーを噴霧乾燥することによって得られるベース顆粒100重量部に、(a)界面活性剤10重量部未満が担持されてなる(D)粒子を含有する請求項1〜いずれか記載の洗浄剤組成物。
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