JP4782269B2 - ケーブル構造物およびその耐震改修方法 - Google Patents

ケーブル構造物およびその耐震改修方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主構造と、主構造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブル構造物およびその耐震改修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のケーブル構造物としては、図8(a)に示すような、主塔1からケーブル2,2,…によって主桁3が支持された斜張橋4や、図9(a)に示すような、アーチ弦材5からケーブル6,6,…によって桁7が支持されたニールセン式ローゼ桁橋8が知られている。
【0003】
ところで、このような橋梁において耐震性の向上を図るには、図8に示す斜張橋4においては、(b)に示すように、主桁3と橋脚9との間に積層ゴムおよびダンパーからなる免震装置10を新たに介装したり、また、図9に示すニールセン式ローゼ桁橋8においては、(b)に示す桁7およびアーチ弦材5を橋脚11から支持するための支承構造12を、(C)に示すように積層ゴム13に交換するようにしている。
【0004】
また、その他にも、地震時に損傷すると考えられる部材(例えば、図10に示す斜張橋4においては主塔1の下部1a、図11に示すニールセン式ローゼ桁橋8においては、アーチ弦材5の基端部5aやアーチ弦材5同士を連結する梁材14などの各部材)を直接補強することにより、耐震改修を行うことも一般的である。
【0005】
図12から図16は、このような際に補強対象の部材が内部が中空のボックス型部材16である場合の耐震改修例である。この場合、図12に示すように、ボックス型部材16の内部にコンクリートCを充填して、耐力を増強したり、図13のように、ボックス型部材16の内部に既存のリブプレート17,17,…に加えて、新たにリブプレート18,18,…を増設するようにしている。また、図14は、既存のリブプレート17を断面略T字型の補強材19により補強し、リブプレート17の剛性を向上させるようにした場合の例であり、図15は、ボックス型部材16の内部の補強が不可能な場合に、ボックス型部材16の外面に鋼板20を配置してボックス型部材16を増厚補強したもの、図16は、同様の場合に、ボックス型部材16の外面にリブプレート21を溶接したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような耐震補強方法は、それぞれ、以下のような問題点を有している。
図8(b)や図9(c)のように、主桁3または桁7を免震化する場合には、主桁3や桁7をジャッキアップし、これにより、主桁3、桁7と橋脚9,11との間に生じた空間に免震装置10、積層ゴム13を介装することが必要であるが、主桁3や桁7およびアーチ弦材5の重量が大きい場合には、ジャッキアップのための装置が大がかりなものとなり、作業性やコストの面で問題がある。また、上述のように、主桁3または桁7を免震化したとしても、これら主桁3や桁7およびアーチ弦材5が一体化されたものは、大重量となり、したがって、地震時の慣性力も大きく、主桁3や桁7の地震時の変位が過大となって、斜張橋4やニールセン式ローゼ桁橋8に接続する隣接橋との間に衝突が生じることが懸念される。
【0007】
一方、図12から図16に示したような部材の補強を行う場合、特に補強数量が多いと、補強工事による交通遮断の時間も長くなり、また、足場架設なども広範囲にわたるために費用が増大する。また、図15,16のように、補強対象の部材を外面から補強する場合には、外観的にも問題が生じる。さらに、これら図12から図16に示す補強は、橋脚自体の重量を増大させるものであるから、基礎の補強が必要となる場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来の耐震補強がなされた橋梁に比較して、低コストで実現可能であり、なおかつ、安全性の面においてもより優れた橋梁を提供することを課題とする。また、このような橋梁を実現するための耐震補強方法を提供することを別の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。
請求項1記載の発明は、主構造と、該主構造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブル構造物であって、前記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる振動系において、地震力が作用した時に、前記支持構造の基端部に作用する曲げモーメントが最小となるように、前記ケーブルの重量のみが調整されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成により、ケーブル構造物の全体系において最も負担の大きい支持構造の安全性を確保することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記ケーブルに対して設けられた付加質量により、前記ケーブルの重量のみが調整されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成により、既設のケーブル構造物において容易に、支持構造の安全性を増大させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のケーブル構造物であって、前記主構造および前記支持構造は、一体となって橋梁構造物を構成し、前記主構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴としている。
【0014】
このような構成により、主桁を支持する支持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ桁橋においてはアーチ)の負担を軽減することが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載のケーブル構造物であって、
前記付加質量は、前記ケーブルに外嵌された筒状体により構成され、
該筒状体は、周方向に複数の分割体に分割可能とされていることを特徴としている。
【0016】
このような構成により、容易に付加質量をケーブルに対して取り付けることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、主構造と、該主構造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブル構造物に対して適用されて、該ケーブル構造物の耐震性を向上させるための改修方法であって、前記ケーブルに付加質量のみを設けることにより、前記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる振動系の応答を調整する構成となっており、前記付加質量を設けるにあたっては、その質量を、地震力が作用した時に、前記支持構造の基端部に作用する曲げモーメントが最小となるように決定しておくことを特徴としている。
【0018】
このような構成により、ケーブル構造物の全体系において最も負担の大きい支持構造の安全性を確保することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のケーブル構造物の耐震改修方法であって、前記主構造および前記支持構造は、一体となって橋梁構造物を構成し、前記主構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴としている。
【0020】
このような構成により、主桁を支持する支持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ桁橋においてはアーチ)の負担を軽減することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を模式的に示す図であり、図中、符号31は斜張橋を示す。この斜張橋31は、主塔(支持構造)32および主桁(主構造)33と、主塔32と主桁33との間に張設されて、主塔32から主桁33を支持するためのケーブル35,35,…とを備えた構成の既存の斜張橋に対して、耐震性向上のためにケーブル35,35,…に対して、付加質量36,36,…を取り付けたものである。
【0022】
ここで、付加質量36は、例えば、図2に示すように、各ケーブル35の全長に亘って、所定間隔をおいて、複数個取り付けられている。これにより、付加質量36によるケーブル35の重量の増加が、各ケーブル35の全長に亘って均一なものとなるようにしている。
【0023】
ここで、付加質量36,36,…による各ケーブル35の重量の増加量は、主塔32、主桁33、およびケーブル35,35,…からなる振動系を考えた場合に、この振動系に対して地震力が作用した際に、主塔32の基端部32aに作用する曲げモーメントが最小となるように定められている。つまり、ここでは、付加質量36として、主塔32、主桁33、およびケーブル35,35,…からなる振動系に地震力が作用した際に、主塔基端部32aの曲げモーメントを最小とするように、その重量が定められたものが用いられている。
【0024】
図3は、ケーブル35のうち、付加質量36が取り付けられた部分を拡大して示した図である。図中に示すように、付加質量36は、ケーブル35に対して外嵌された筒状体37によって構成されている。この筒状体37は、図3および4に示すように、半円筒状の一対の分割体38,38をボルト39によって結合することにより形成されており、一方の分割体38をケーブル35に取付け、さらにこの分割体38に対して他方の分割体38をボルト39によって結合することにより、容易にケーブル35に取り付けることができるようになっている。
【0025】
次に、既存の斜張橋を改修して斜張橋31とするための手順(斜張橋の耐震改修方法)について説明する。
まず、各ケーブル35に取り付けるべき付加質量36の重量を決定する。これには、主塔32の基端部32aに地震時に作用する曲げモーメントMを、各ケーブル35の付加質量比率、すなわち、ケーブル35の質量に対する、当該ケーブル35に取り付けられた付加質量36,36,…の全質量の比:xi(i=1,2,…,n、nは一の主塔32から架設されたケーブル35の全本数)の関数として表し、さらに、Mを最小とするようなxiの値を決定するようにする。
【0026】
具体的には、各ケーブル35の付加質量比率xi(i=1,2,…,n)を要素とするベクトルXの関数とした主塔基端部32aの曲げモーメントMを、ある値において展開して、
【数1】
Figure 0004782269
のように表し、準ニュートン法などを適用してMの極小値を求めるようにする。
ここで、kは収束計算における繰り返し回数を表す。そして、収束計算を、
【数2】
Figure 0004782269
となるまで繰り返し、その場合の付加質量比率xiからケーブル35に対して設置すべき付加質量36,36,…の質量を決定する。なお、付加質量比率xiには、
【数3】
Figure 0004782269
のように、上下限を設定し、ケーブル35に設置する付加質量36の質量が過大なものとなったり、あるいは、マイナスの値にならないようにする。
【0027】
このようにして各ケーブル35の付加質量比率xiを求め、さらに、ケーブル35に付加すべき付加質量36の質量を決定したら、次に、実際に各ケーブル35に、図3に示したような付加質量36を設置する。この場合、付加質量36としては、すべて、同形状、同寸法のものを用い、付加質量36同士の設置間隔を調整することにより、各ケーブル35に所望の付加質量比率で付加質量36が設置されるようにする。このようにして、図1に示したような斜張橋31の構成を得ることができる。
【0028】
上述の斜張橋31においては、主塔32に作用する振動応答を最小とするように、ケーブル35,35,…の重量が調整されているために、斜張橋31の全体系において、最も耐力的に厳しいと考えられる主塔32の安全性を確保することができる。すなわち、主桁33が損傷したとしても落橋にはつながらないが、主塔32の損傷は全体系の崩壊につながるおそれがあるのに対し、上述の斜張橋31においては、主塔32の負担を軽減することにより、斜張橋31の崩壊などの大きな被害を防止し、これにより地震時における優れた安全性を発揮することが可能となる。
【0029】
また、この場合、ケーブル35に対して付加質量36を設けることにより、ケーブル35の重量が調整されるため、ケーブル35の重量調整が容易なものとなり、施工性がよい。
【0030】
そして、付加質量36が、ケーブル35に外嵌された筒状体37により構成され、さらに、筒状体37が、周方向に一対の分割体38,38に分割可能とされているために、容易に付加質量36をケーブル35に対して取り付けることが可能であり、施工性に優れている。
【0031】
さらに、上述の斜張橋の耐震改修方法は、ケーブル35に付加質量36を設けることにより、主桁33、主塔32、およびケーブル35からなる振動系の振動応答を調整する構成となっており、特に、付加質量36を設けるにあたって、その質量を、主塔基端部32aの振動応答が最小となるように決定しておくこととしたため、斜張橋31の全体系において最も負担の大きい主塔32の耐震安全性を、簡易な施工のみにより確保することができる。したがって、従来の橋梁の耐震改修方法に比較して、大規模な作業等を必要とせずに、なおかつ、外観に影響を与えずに工事を行うことができ、コストおよび作業性の面において有利であるばかりでなく、適用範囲が広く汎用性が高い。
【0032】
なお、以下に、本発明の効果を確認するために行った解析計算の具体例を示す。
この応答解析は、図5から図7に示すような、側径間および中央径間に10段のケーブル41,41,…が架設された斜張橋42を対象としたものである。なお、ここでは、図1に示した斜張橋31と同様、すべてのケーブル41,41,…に付加質量を付加することとし、また、付加質量は、各ケーブル41の全長に亘って単位長さあたり均一な重量設けられているとしている。
【0033】
まず、上述の式(1)〜(3)を用いて、ケーブル41に対して設置すべき付加質量の最適値を計算した際の結果を、表1に示す。
【表1】
Figure 0004782269
【0034】
なお、表1において、No.1〜No.20として表すものは、ケーブル41,41,…を特定するために各ケーブル41に付された番号であり、ここでは、斜張橋42の主塔43から架設されたケーブル41,41,…に対して、図中、左側に位置するものから順に番号iを付すこととしている(図5参照)。なお、この番号は、付加質量比xiのiに対応したものとなっている。また、この計算において、付加質量比xiの上下限値は、すべてのケーブル41,41,…において、0≦xi≦1.0としている。
【0035】
また、表1に示す「付加質量比の初期値」は、最適化計算を開始するにあたって、付加質量比xiに設定した初期値である。つまり、上式(1)〜(3)を満たす解は、一般に局所的な最適解であるため、全域的な最適解を得るためには、初期値をいくつか変化させてみる必要がある。そこで、ここでは、付加質量比xiの初期値を、ケーブル41,41,…の全てについて一律に、0.2,0.4,0.5,0.6,0.8として最適化計算を行うようにした。
【0036】
表1に示されているように、計算によって求められた主塔43の基端部43aの曲げモーメントMは、50254〜63837kN・mの範囲にばらついている。一方、表1中には示していないが、付加質量をケーブル41,41,…に設けない場合の主塔43の基端部43aの曲げモーメントMは計算により、146951kN・mとして求められている。したがって、いずれのケースにおいても、主塔基端部43aの曲げモーメントMが著しく減少していることがわかる。
【0037】
次に、表1に示した各計算ケースのうち、主塔基端部43aの曲げモーメントMが最小となる場合(付加質量比が0.5の場合)の各部の応答を、付加質量を設けない場合と比較したものを表2に示す。
【表2】
Figure 0004782269
【0038】
これによれば、ケーブル41に付加質量を設けない場合(「標準」として示した場合)に比較して、ケーブル41の応答は、No.1,2、およびNo.19,20(すなわち、上2段のケーブル)の振幅が大きく低下しているが、その他の変動は比較的小さい。一方、主桁44(図5〜7参照)の曲げモーメントは、約20%増加している。
【0039】
これらの結果より、本発明は、主塔−ケーブル−主桁で構成される振動系においてケーブルの振動特性を変化させることにより、塔と桁との運動エネルギーのバランスを変化させているものであると考えられる。ここで、一般に、塔は桁に比べスレンダーな構造であるために耐力的に桁よりも厳しい状況にあり、また、損傷を受けた場合でも塔の方が致命的な結果をもたらすものと考えられる。したがって、桁に運動エネルギーがより多く分担されるようにケーブルの振動特性を変化させることによって、橋梁の安全性を向上させることが可能となる。また、塔と桁との質量差を考えると、この場合の桁の応答の増加は、比較的小さなものに抑制できると考えられる。
【0040】
以上のように、本発明は、塔と桁との運動エネルギーの分担を望ましい状態に調整することによって全体系の耐震安全性を向上させるものであるといえる。
【0041】
なお、上記実施の形態において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の構成を採用するようにしてもよい。
例えば、上記実施の形態においては、ケーブル35に設置すべき付加質量36のケーブル35に対する重量の比率(付加質量比率)に上限xuiを設定して、収束計算を行うこととなっているが、これに限定されず、上限を設定せずに計算を行ってもよい。この場合、より良好に、主塔基端部32aの曲げモーメントを低減することができる。
【0042】
また、ケーブル35に付加すべき付加質量36の質量の計算は、以下のように行ってもよい。
すなわち、主塔基端部32aの曲げモーメントMが比較的容易に許容範囲以下に減少できる場合、あるいは、ケーブル35へ取り付けるべき付加質量に制限がある場合などに関しては、付加質量Wを目的関数、主塔基端部32aの曲げモーメントを制約条件(上限値Ma)として、
【数4】
Figure 0004782269
から、最適なxiを求めるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態において、付加質量36である筒状体37は、一対の分割体38により構成されているが、これに限らず、分割体38を、筒状体37をその周方向に3以上の複数に分割した構成としてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態においては、すべてのケーブル35に対して、付加質量36を設置するようにしていたが、これに限定されず、一部のケーブル35のみに付加質量36を設置するようにしてもよい。これにより、付加質量36の設置作業の容易化を図ることができる。
【0045】
また、上記実施の形態においては、ケーブル35に付加質量36を設置することによって斜張橋31の全体系の振動特性を変化させて、主塔基端部32aの曲げモーメントを最小にするようになっているが、これに代えて、斜張橋31の新設時に、あらかじめ、主塔基端部32aの曲げモーメントを最小にするように、ケーブル35自体の重量を調整しておくようにしてもよい。
【0046】
さらに、上述の耐震改修方法の適用対象は、斜張橋に限定されるものでなく、ニールセン式ローゼ桁橋など、ケーブルを用いて形成される他の形式の橋梁について、ケーブルに付加質量を設置することによって、その全体系の振動特性を変化させて耐震安全性を向上させるようにしてもよい。
【0047】
さらに、吊り屋根構造物や鉄塔など、ケーブルを用いたその他の構造物において、上記実施の形態と同様にケーブルに付加質量を設置することによって、耐震安全性を向上させるようにしてもよい。
【0048】
また、風荷重による振動応答低減のために、上述の耐震改修方法を適用するようにしてもよい。
【0049】
また、この他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用するようにしてもよく、上述したような変形例を適宜選択的に採用するようにしても良いのは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明においては、主構造と、該主構造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブル構造物において、前記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる振動系に地震力が作用した時に、前記支持構造の基端部に作用する曲げモーメントが最小となるように、ケーブルの重量のみが調整されているために、ケーブル構造物の全体系において最も負担の大きい支持構造の安全性を確保することができる。これにより、全体系の崩壊などの大きな被害を防止し、地震時における優れた安全性を発揮することが可能となる。
【0051】
請求項2に係る発明においては、ケーブルに対して付加質量を設けることにより、ケーブルの重量が調整されるため、ケーブルの重量調整を容易に行うことができ、施工性がよいとともに、コストが嵩むものとならない。
【0052】
請求項3に係る発明においては、主構造が橋梁構造物の主桁とされているため主桁を支持する支持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ桁橋においてはアーチ)の負担を軽減することが可能となる。これにより安全な橋梁構造物を実現することができる。
【0053】
請求項4に係る発明においては、付加質量が、ケーブルに外嵌された筒状体により構成され、さらに、筒状体が、周方向に一対の分割体に分割可能とされているために、容易に付加質量をケーブルに対して後から取り付けることが可能であり、施工性に優れている。
【0054】
請求項5に係る発明によれば、支持構造に地震力が作用した時に、前記支持構造の基端部に作用する曲げモーメントが最小となるように、付加質量の質量を決定したために、ケーブル構造物の全体系において最も耐力的に厳しいと考えられる支持構造の負担を軽減することができ、これにより、支持構造の損傷に伴う全体系の崩壊などの大きな被害を防止し、耐震安全性の増大化を図ることができる。
【0055】
請求項6に係る発明によれば、主桁を支持する支持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ桁橋においてはアーチ)の負担を軽減して、橋梁構造物の耐震安全性を著しく増大することができる。また、従来の橋梁の耐震改修方法に比較して、大規模な作業等を必要とせずに、なおかつ、外観に影響を与えずに工事を行うことができるため、コストおよび作業性の面において有利であるばかりでなく、適用範囲が広く汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す斜張橋の斜視図である。
【図2】 図1に示した斜張橋において付加質量が設置されたケーブルを拡大して示した正面図である。
【図3】 図2に示したケーブルのうち、付加質量が設置された部分を拡大して示した斜視断面図である。
【図4】 図3に示した付加質量を拡大して示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図5】 本発明の効果を確認するための数値計算においてモデルとして使用された斜張橋の側面図である。
【図6】 同、平面図である。
【図7】 図5におけるI−I線矢視断面図である。
【図8】 本発明の従来の技術を示す図であって、(a)は、既存の斜張橋を模式的に示す斜視図、(b)は、(a)に示した斜張橋を耐震改修した場合の部分拡大斜視図である。
【図9】 本発明の従来の技術の他の例を示す図であって、(a)は、既存のニールセン式ローゼ桁橋を示す斜視図、(b)は、(a)に示した橋梁において橋脚から桁を支持するための支承構造を模式的に示す正面図、(c)は、耐震改修により(b)に示した支承構造を積層ゴムに交換した場合の状況を示す正面図である。
【図10】 図8(a)に示した既存の斜張橋において、耐震改修の際に補強すべき部材を示した斜視図である。
【図11】 図9(a)に示した既存のニールセン式ローゼ桁橋において、耐震改修の際に補強すべき部材を示した斜視図である。
【図12】 図10、11に示した部材を補強した場合の例を示す断面図である。
【図13】 同、他の例を示す平断面図である。
【図14】 同、さらに他の例を示す平断面図である。
【図15】 図10、11に示した部材の内部を補強できないときに、その外側から補強した場合の例を示す平断面図である。
【図16】 同、さらに他の例を示す平断面図である。
【符号の説明】
31,42 斜張橋
32,43 主塔(支持構造)
33,44 主桁(主構造)
35,41 ケーブル
36 付加質量
37 筒状体
38 分割体

Claims (6)

  1. 主構造と、該主構造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブル構造物であって、
    前記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる振動系において、地震力が作用した時に、前記支持構造の基端部に作用する曲げモーメントが最小となるように、前記ケーブルの重量のみが調整されていることを特徴とするケーブル構造物。
  2. 請求項1記載のケーブル構造物であって、
    前記ケーブルに対して設けられた付加質量により、前記ケーブルの重量のみが調整されていることを特徴とするケーブル構造物。
  3. 請求項1または2記載のケーブル構造物であって、
    前記主構造および前記支持構造は、一体となって橋梁構造物を構成し、
    前記支持構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴とするケーブル構造物。
  4. 請求項2または3記載のケーブル構造物であって、
    前記付加質量は、前記ケーブルに外嵌された筒状体により構成され、該筒状体は、周方向に複数の分割体に分割可能とされていることを特徴とするケーブル構造物。
  5. 主構造と、該主構造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブル構造物に対して適用されて、該ケーブル構造物の耐震性を向上させるための改修方法であって、
    前記ケーブルに付加質量のみを設けることにより、前記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる振動系の応答を調整する構成となっており、
    前記付加質量を設けるにあたっては、その質量を、地震力が作用した時に、前記支持構造の基端部に作用する曲げモーメントが最小となるように決定しておくことを特徴とするケーブル構造物の耐震改修方法。
  6. 請求項5記載のケーブル構造物の耐震改修方法であって、
    前記主構造および前記支持構造は、一体となって橋梁構造物を構成し、
    前記主構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴とするケーブル構造物の耐震改修方法。
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