JP2001348812A - ケーブル構造物およびその耐震改修方法 - Google Patents

ケーブル構造物およびその耐震改修方法

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伊知郎 増田
Satoru Kamihira
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の耐震補強がなされた橋梁に比較して、
低コストで実現可能であり、なおかつ、安全性の面にお
いてもより優れた橋梁を提供することを課題とする。 【解決手段】 主桁33と、主桁33をケーブル35を
介して支持する主塔32とを備えた斜張橋31におい
て、主塔32の地震時における振動応答が最小となるよ
うに、主塔32の重量を、付加質量36,36,…によ
って調整した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主構造と、主構造
をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケーブ
ル構造物およびその耐震改修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のケーブル構造物としては、図8
(a)に示すような、主塔1からケーブル2,2,…に
よって主桁3が支持された斜張橋4や、図9(a)に示
すような、アーチ弦材5からケーブル6,6,…によっ
て桁7が支持されたニールセン式ローゼ桁橋8が知られ
ている。
【0003】ところで、このような橋梁において耐震性
の向上を図るには、図8に示す斜張橋4においては、
(b)に示すように、主桁3と橋脚9との間に積層ゴム
およびダンパーからなる免震装置10を新たに介装した
り、また、図9に示すニールセン式ローゼ桁橋8におい
ては、(b)に示す桁7およびアーチ弦材5を橋脚11
から支持するための支承構造12を、(C)に示すよう
に積層ゴム13に交換するようにしている。
【0004】また、その他にも、地震時に損傷すると考
えられる部材(例えば、図10に示す斜張橋4において
は主塔1の下部1a、図11に示すニールセン式ローゼ
桁橋8においては、アーチ弦材5の基端部5aやアーチ
弦材5同士を連結する梁材14などの各部材)を直接補
強することにより、耐震改修を行うことも一般的であ
る。
【0005】図12から図16は、このような際に補強
対象の部材が内部が中空のボックス型部材16である場
合の耐震改修例である。この場合、図12に示すよう
に、ボックス型部材16の内部にコンクリートCを充填
して、耐力を増強したり、図13のように、ボックス型
部材16の内部に既存のリブプレート17,17,…に
加えて、新たにリブプレート18,18,…を増設する
ようにしている。また、図14は、既存のリブプレート
17を断面略T字型の補強材19により補強し、リブプ
レート17の剛性を向上させるようにした場合の例であ
り、図15は、ボックス型部材16の内部の補強が不可
能な場合に、ボックス型部材16の外面に鋼板20を配
置してボックス型部材16を増厚補強したもの、図16
は、同様の場合に、ボックス型部材16の外面にリブプ
レート21を溶接したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような耐震補強方法は、それぞれ、以下のような問題点
を有している。図8(b)や図9(c)のように、主桁
3または桁7を免震化する場合には、主桁3や桁7をジ
ャッキアップし、これにより、主桁3、桁7と橋脚9,
11との間に生じた空間に免震装置10、積層ゴム13
を介装することが必要であるが、主桁3や桁7およびア
ーチ弦材5の重量が大きい場合には、ジャッキアップの
ための装置が大がかりなものとなり、作業性やコストの
面で問題がある。また、上述のように、主桁3または桁
7を免震化したとしても、これら主桁3や桁7およびア
ーチ弦材5が一体化されたものは、大重量となり、した
がって、地震時の慣性力も大きく、主桁3や桁7の地震
時の変位が過大となって、斜張橋4やニールセン式ロー
ゼ桁橋8に接続する隣接橋との間に衝突が生じることが
懸念される。
【0007】一方、図12から図16に示したような部
材の補強を行う場合、特に補強数量が多いと、補強工事
による交通遮断の時間も長くなり、また、足場架設など
も広範囲にわたるために費用が増大する。また、図1
5,16のように、補強対象の部材を外面から補強する
場合には、外観的にも問題が生じる。さらに、これら図
12から図16に示す補強は、橋脚自体の重量を増大さ
せるものであるから、基礎の補強が必要となる場合があ
る。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、従来の耐震補強がなされた橋梁に比較し
て、低コストで実現可能であり、なおかつ、安全性の面
においてもより優れた橋梁を提供することを課題とす
る。また、このような橋梁を実現するための耐震補強方
法を提供することを別の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては以下の手段を採用した。請求項1記
載の発明は、主構造と、該主構造をケーブルを介して支
持する支持構造とを備えたケーブル構造物であって、前
記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる
振動系において、前記支持構造の振動応答が最小となる
ように、前記ケーブルの重量が調整されていることを特
徴としている。
【0010】このような構成により、ケーブル構造物の
全体系において最も負担の大きい支持構造の安全性を確
保することができる。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載のケ
ーブル構造物であって、前記ケーブルに対して設けられ
た付加質量により、前記ケーブルの重量が調整されてい
ることを特徴としている。
【0012】このような構成により、既設のケーブル構
造物において容易に、支持構造の安全性を増大させるこ
とができる。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のケーブル構造物であって、前記主構造および前記
支持構造は、一体となって橋梁構造物を構成し、前記主
構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴としてい
る。
【0014】このような構成により、主桁を支持する支
持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ
桁橋においてはアーチ)の負担を軽減することが可能と
なる。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項2または3
記載のケーブル構造物であって、前記付加質量は、前記
ケーブルに外嵌された筒状体により構成され、該筒状体
は、周方向に複数の分割体に分割可能とされていること
を特徴としている。
【0016】このような構成により、容易に付加質量を
ケーブルに対して取り付けることができる。
【0017】請求項5記載の発明は、主構造と、該主構
造をケーブルを介して支持する支持構造とを備えたケー
ブル構造物に対して適用されて、該ケーブル構造物の耐
震性を向上させるための改修方法であって、前記ケーブ
ルに付加質量を設けることにより、前記主構造、前記支
持構造、および前記ケーブルからなる振動系の応答を調
整する構成となっており、前記付加質量を設けるにあた
っては、その質量を、前記支持構造の地震時における応
答が最小となるように決定しておくことを特徴としてい
る。
【0018】このような構成により、ケーブル構造物の
全体系において最も負担の大きい支持構造の安全性を確
保することができる。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項5記載のケ
ーブル構造物の耐震改修方法であって、前記主構造およ
び前記支持構造は、一体となって橋梁構造物を構成し、
前記支持構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴
としている。
【0020】このような構成により、主桁を支持する支
持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ
桁橋においてはアーチ)の負担を軽減することが可能と
なる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態
を模式的に示す図であり、図中、符号31は斜張橋を示
す。この斜張橋31は、主塔(支持構造)32および主
桁(主構造)33と、主塔32と主桁33との間に張設
されて、主塔32から主桁33を支持するためのケーブ
ル35,35,…とを備えた構成の既存の斜張橋に対し
て、耐震性向上のためにケーブル35,35,…に対し
て、付加質量36,36,…を取り付けたものである。
【0022】ここで、付加質量36は、例えば、図2に
示すように、各ケーブル35の全長に亘って、所定間隔
をおいて、複数個取り付けられている。これにより、付
加質量36によるケーブル35の重量の増加が、各ケー
ブル35の全長に亘って均一なものとなるようにしてい
る。
【0023】ここで、付加質量36,36,…による各
ケーブル35の重量の増加量は、主塔32、主桁33、
およびケーブル35,35,…からなる振動系を考えた
場合に、この振動系に対して地震力が作用した際に、主
塔32の基端部32aに作用する曲げモーメントが最小
となるように定められている。つまり、ここでは、付加
質量36として、主塔32、主桁33、およびケーブル
35,35,…からなる振動系に地震力が作用した際
に、主塔基端部32aの曲げモーメントを最小とするよ
うに、その重量が定められたものが用いられている。
【0024】図3は、ケーブル35のうち、付加質量3
6が取り付けられた部分を拡大して示した図である。図
中に示すように、付加質量36は、ケーブル35に対し
て外嵌された筒状体37によって構成されている。この
筒状体37は、図3および4に示すように、半円筒状の
一対の分割体38,38をボルト39によって結合する
ことにより形成されており、一方の分割体38をケーブ
ル35に取付け、さらにこの分割体38に対して他方の
分割体38をボルト39によって結合することにより、
容易にケーブル35に取り付けることができるようにな
っている。
【0025】次に、既存の斜張橋を改修して斜張橋31
とするための手順(斜張橋の耐震改修方法)について説
明する。まず、各ケーブル35に取り付けるべき付加質
量36の重量を決定する。これには、主塔32の基端部
32aに地震時に作用する曲げモーメントMを、各ケー
ブル35の付加質量比率、すなわち、ケーブル35の質
量に対する、当該ケーブル35に取り付けられた付加質
量36,36,…の全質量の比:xi(i=1,2,
…,n、nは一の主塔32から架設されたケーブル35
の全本数)の関数として表し、さらに、Mを最小とする
ようなxiの値を決定するようにする。
【0026】具体的には、各ケーブル35の付加質量比
率xi(i=1,2,…,n)を要素とするベクトルX
の関数とした主塔基端部32aの曲げモーメントMを、
ある値において展開して、
【数1】 のように表し、準ニュートン法などを適用してMの極小
値を求めるようにする。ここで、kは収束計算における
繰り返し回数を表す。そして、収束計算を、
【数2】 となるまで繰り返し、その場合の付加質量比率xiから
ケーブル35に対して設置すべき付加質量36,36,
…の質量を決定する。なお、付加質量比率xiには、
【数3】 のように、上下限を設定し、ケーブル35に設置する付
加質量36の質量が過大なものとなったり、あるいは、
マイナスの値にならないようにする。
【0027】このようにして各ケーブル35の付加質量
比率xiを求め、さらに、ケーブル35に付加すべき付
加質量36の質量を決定したら、次に、実際に各ケーブ
ル35に、図3に示したような付加質量36を設置す
る。この場合、付加質量36としては、すべて、同形
状、同寸法のものを用い、付加質量36同士の設置間隔
を調整することにより、各ケーブル35に所望の付加質
量比率で付加質量36が設置されるようにする。このよ
うにして、図1に示したような斜張橋31の構成を得る
ことができる。
【0028】上述の斜張橋31においては、主塔32に
作用する振動応答を最小とするように、ケーブル35,
35,…の重量が調整されているために、斜張橋31の
全体系において、最も耐力的に厳しいと考えられる主塔
32の安全性を確保することができる。すなわち、主桁
33が損傷したとしても落橋にはつながらないが、主塔
32の損傷は全体系の崩壊につながるおそれがあるのに
対し、上述の斜張橋31においては、主塔32の負担を
軽減することにより、斜張橋31の崩壊などの大きな被
害を防止し、これにより地震時における優れた安全性を
発揮することが可能となる。
【0029】また、この場合、ケーブル35に対して付
加質量36を設けることにより、ケーブル35の重量が
調整されるため、ケーブル35の重量調整が容易なもの
となり、施工性がよい。
【0030】そして、付加質量36が、ケーブル35に
外嵌された筒状体37により構成され、さらに、筒状体
37が、周方向に一対の分割体38,38に分割可能と
されているために、容易に付加質量36をケーブル35
に対して取り付けることが可能であり、施工性に優れて
いる。
【0031】さらに、上述の斜張橋の耐震改修方法は、
ケーブル35に付加質量36を設けることにより、主桁
33、主塔32、およびケーブル35からなる振動系の
応答を調整する構成となっており、特に、付加質量36
を設けるにあたって、その質量を、主塔基端部32aの
応答が最小となるように決定しておくこととしたため、
斜張橋31の全体系において最も負担の大きい主塔32
の耐震安全性を、簡易な施工のみにより確保することが
できる。したがって、従来の橋梁の耐震改修方法に比較
して、大規模な作業等を必要とせずに、なおかつ、外観
に影響を与えずに工事を行うことができ、コストおよび
作業性の面において有利であるばかりでなく、適用範囲
が広く汎用性が高い。
【0032】なお、以下に、本発明の効果を確認するた
めに行った解析計算の具体例を示す。この応答解析は、
図5から図7に示すような、側径間および中央径間に1
0段のケーブル41,41,…が架設された斜張橋42
を対象としたものである。なお、ここでは、図1に示し
た斜張橋31と同様、すべてのケーブル41,41,…
に付加質量を付加することとし、また、付加質量は、各
ケーブル41の全長に亘って単位長さあたり均一な重量
設けられているとしている。
【0033】まず、上述の式(1)〜(3)を用いて、
ケーブル41に対して設置すべき付加質量の最適値を計
算した際の結果を、表1に示す。
【表1】
【0034】なお、表1において、No.1〜No.2
0として表すものは、ケーブル41,41,…を特定す
るために各ケーブル41に付された番号であり、ここで
は、斜張橋42の主塔43から架設されたケーブル4
1,41,…に対して、図中、左側に位置するものから
順に番号iを付すこととしている(図5参照)。なお、
この番号は、付加質量比xiのiに対応したものとなっ
ている。また、この計算において、付加質量比xiの上
下限値は、すべてのケーブル41,41,…において、
0≦xi≦1.0としている。
【0035】また、表1に示す「付加質量比の初期値」
は、最適化計算を開始するにあたって、付加質量比xi
に設定した初期値である。つまり、上式(1)〜(3)
を満たす解は、一般に局所的な最適解であるため、全域
的な最適解を得るためには、初期値をいくつか変化させ
てみる必要がある。そこで、ここでは、付加質量比x i
の初期値を、ケーブル41,41,…の全てについて一
律に、0.2,0.4,0.5,0.6,0.8として最適化計算を行
うようにした。
【0036】表1に示されているように、計算によって
求められた主塔43の基端部43aの曲げモーメントM
は、50254〜63837kN・mの範囲にばらついている。一方、
表1中には示していないが、付加質量をケーブル41,
41,…に設けない場合の主塔43の基端部43aの曲
げモーメントMは計算により、146951kN・mとして求めら
れている。したがって、いずれのケースにおいても、主
塔基端部43aの曲げモーメントMが著しく減少してい
ることがわかる。
【0037】次に、表1に示した各計算ケースのうち、
主塔基端部43aの曲げモーメントMが最小となる場合
(付加質量比が0.5の場合)の各部の応答を、付加質量
を設けない場合と比較したものを表2に示す。
【表2】
【0038】これによれば、ケーブル41に付加質量を
設けない場合(「標準」として示した場合)に比較し
て、ケーブル41の応答は、No.1,2、およびNo.19,20
(すなわち、上2段のケーブル)の振幅が大きく低下し
ているが、その他の変動は比較的小さい。一方、主桁4
4(図5〜7参照)の曲げモーメントは、約20%増加
している。
【0039】これらの結果より、本発明は、主塔−ケー
ブル−主桁で構成される振動系においてケーブルの振動
特性を変化させることにより、塔と桁との運動エネルギ
ーのバランスを変化させているものであると考えられ
る。ここで、一般に、塔は桁に比べスレンダーな構造で
あるために耐力的に桁よりも厳しい状況にあり、また、
損傷を受けた場合でも塔の方が致命的な結果をもたらす
ものと考えられる。したがって、桁に運動エネルギーが
より多く分担されるようにケーブルの振動特性を変化さ
せることによって、橋梁の安全性を向上させることが可
能となる。また、塔と桁との質量差を考えると、この場
合の桁の応答の増加は、比較的小さなものに抑制できる
と考えられる。
【0040】以上のように、本発明は、塔と桁との運動
エネルギーの分担を望ましい状態に調整することによっ
て全体系の耐震安全性を向上させるものであるといえ
る。
【0041】なお、上記実施の形態において、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲内で、他の構成を採用するように
してもよい。例えば、上記実施の形態においては、ケー
ブル35に設置すべき付加質量36のケーブル35に対
する重量の比率(付加質量比率)に上限xuiを設定し
て、収束計算を行うこととなっているが、これに限定さ
れず、上限を設定せずに計算を行ってもよい。この場
合、より良好に、主塔基端部32aの曲げモーメントを
低減することができる。
【0042】また、ケーブル35に付加すべき付加質量
36の質量の計算は、以下のように行ってもよい。すな
わち、主塔基端部32aの曲げモーメントMが比較的容
易に許容範囲以下に減少できる場合、あるいは、ケーブ
ル35へ取り付けるべき付加質量に制限がある場合など
に関しては、付加質量Wを目的関数、主塔基端部32a
の曲げモーメントを制約条件(上限値Ma)として、
【数4】 から、最適なxiを求めるようにしてもよい。
【0043】また、上記実施の形態において、付加質量
36である筒状体37は、一対の分割体38により構成
されているが、これに限らず、分割体38を、筒状体3
7をその周方向に3以上の複数に分割した構成としても
よい。
【0044】また、上記実施の形態においては、すべて
のケーブル35に対して、付加質量36を設置するよう
にしていたが、これに限定されず、一部のケーブル35
のみに付加質量36を設置するようにしてもよい。これ
により、付加質量36の設置作業の容易化を図ることが
できる。
【0045】また、上記実施の形態においては、ケーブ
ル35に付加質量36を設置することによって斜張橋3
1の全体系の振動特性を変化させて、主塔基端部32a
の曲げモーメントを最小にするようになっているが、こ
れに代えて、斜張橋31の新設時に、あらかじめ、主塔
基端部32aの曲げモーメントを最小にするように、ケ
ーブル35自体の重量を調整しておくようにしてもよ
い。
【0046】さらに、上述の耐震改修方法の適用対象
は、斜張橋に限定されるものでなく、ニールセン式ロー
ゼ桁橋など、ケーブルを用いて形成される他の形式の橋
梁について、ケーブルに付加質量を設置することによっ
て、その全体系の振動特性を変化させて耐震安全性を向
上させるようにしてもよい。
【0047】さらに、吊り屋根構造物や鉄塔など、ケー
ブルを用いたその他の構造物において、上記実施の形態
と同様にケーブルに付加質量を設置することによって、
耐震安全性を向上させるようにしてもよい。
【0048】また、風荷重による振動応答低減のため
に、上述の耐震改修方法を適用するようにしてもよい。
【0049】また、この他にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲内で他の構成を採用するようにしてもよく、上
述したような変形例を適宜選択的に採用するようにして
も良いのは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明においては、支持構造に作用する振動応答を最小とす
るように、ケーブルの重量が調整されているために、ケ
ーブル構造物の全体系において最も負担の大きい支持構
造の安全性を確保することができる。これにより、全体
系の崩壊などの大きな被害を防止し、地震時における優
れた安全性を発揮することが可能となる。
【0051】請求項2に係る発明においては、ケーブル
に対して付加質量を設けることにより、ケーブルの重量
が調整されるため、ケーブルの重量調整を容易に行うこ
とができ、施工性がよいとともに、コストが嵩むものと
ならない。
【0052】請求項3に係る発明においては、主構造が
橋梁構造物の主桁とされているため主桁を支持する支持
構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式ローゼ桁
橋においてはアーチ)の負担を軽減することが可能とな
る。これにより安全な橋梁構造物を実現することができ
る。
【0053】請求項4に係る発明においては、付加質量
が、ケーブルに外嵌された筒状体により構成され、さら
に、筒状体が、周方向に一対の分割体に分割可能とされ
ているために、容易に付加質量をケーブルに対して後か
ら取り付けることが可能であり、施工性に優れている。
【0054】請求項5に係る発明によれば、支持構造の
応答が最小となるように、付加質量の質量を決定したた
めに、ケーブル構造物の全体系において最も耐力的に厳
しいと考えられる支持構造の負担を軽減することがで
き、これにより、支持構造の損傷に伴う全体系の崩壊な
どの大きな被害を防止し、耐震安全性の増大化を図るこ
とができる。
【0055】請求項6に係る発明によれば、主桁を支持
する支持構造(例えば、斜張橋では主塔、ニールセン式
ローゼ桁橋においてはアーチ)の負担を軽減して、橋梁
構造物の耐震安全性を著しく増大することができる。ま
た、従来の橋梁の耐震改修方法に比較して、大規模な作
業等を必要とせずに、なおかつ、外観に影響を与えずに
工事を行うことができるため、コストおよび作業性の面
において有利であるばかりでなく、適用範囲が広く汎用
性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す斜張
橋の斜視図である。
【図2】 図1に示した斜張橋において付加質量が設
置されたケーブルを拡大して示した正面図である。
【図3】 図2に示したケーブルのうち、付加質量が
設置された部分を拡大して示した斜視断面図である。
【図4】 図3に示した付加質量を拡大して示す図で
あって、(a)はその正面図、(b)はその側面図であ
る。
【図5】 本発明の効果を確認するための数値計算に
おいてモデルとして使用された斜張橋の側面図である。
【図6】 同、平面図である。
【図7】 図5におけるI−I線矢視断面図である。
【図8】 本発明の従来の技術を示す図であって、
(a)は、既存の斜張橋を模式的に示す斜視図、(b)
は、(a)に示した斜張橋を耐震改修した場合の部分拡
大斜視図である。
【図9】 本発明の従来の技術の他の例を示す図であ
って、(a)は、既存のニールセン式ローゼ桁橋を示す
斜視図、(b)は、(a)に示した橋梁において橋脚か
ら桁を支持するための支承構造を模式的に示す正面図、
(c)は、耐震改修により(b)に示した支承構造を積
層ゴムに交換した場合の状況を示す正面図である。
【図10】 図8(a)に示した既存の斜張橋におい
て、耐震改修の際に補強すべき部材を示した斜視図であ
る。
【図11】 図9(a)に示した既存のニールセン式
ローゼ桁橋において、耐震改修の際に補強すべき部材を
示した斜視図である。
【図12】 図10、11に示した部材を補強した場
合の例を示す断面図である。
【図13】 同、他の例を示す平断面図である。
【図14】 同、さらに他の例を示す平断面図であ
る。
【図15】 図10、11に示した部材の内部を補強
できないときに、その外側から補強した場合の例を示す
平断面図である。
【図16】 同、さらに他の例を示す平断面図であ
る。
【符号の説明】
31,42 斜張橋 32,43 主塔(支持構造) 33,44 主桁(主構造) 35,41 ケーブル 36 付加質量 37 筒状体 38 分割体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 伊知郎 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 上平 悟 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 Fターム(参考) 2D059 AA41 BB08 BB31 GG05 GG39 GG55

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主構造と、該主構造をケーブルを介して
    支持する支持構造とを備えたケーブル構造物であって、 前記主構造、前記支持構造、および前記ケーブルからな
    る振動系において、前記支持構造の振動応答が最小とな
    るように、前記ケーブルの重量が調整されていることを
    特徴とするケーブル構造物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のケーブル構造物であっ
    て、 前記ケーブルに対して設けられた付加質量により、前記
    ケーブルの重量が調整されていることを特徴とするケー
    ブル構造物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のケーブル構造物
    であって、 前記主構造および前記支持構造は、一体となって橋梁構
    造物を構成し、前記支持構造は、該橋梁構造物の主桁で
    あることを特徴とするケーブル構造物。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載のケーブル構造物
    であって、 前記付加質量は、前記ケーブルに外嵌された筒状体によ
    り構成され、該筒状体は、周方向に複数の分割体に分割
    可能とされていることを特徴とするケーブル構造物。
  5. 【請求項5】 主構造と、該主構造をケーブルを介して
    支持する支持構造とを備えたケーブル構造物に対して適
    用されて、該ケーブル構造物の耐震性を向上させるため
    の改修方法であって、 前記ケーブルに付加質量を設けることにより、前記主構
    造、前記支持構造、および前記ケーブルからなる振動系
    の応答を調整する構成となっており、 前記付加質量を設けるにあたっては、その質量を、前記
    支持構造の地震時における応答が最小となるように決定
    しておくことを特徴とするケーブル構造物の耐震改修方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のケーブル構造物の耐震改
    修方法であって、 前記主構造および前記支持構造は、一体となって橋梁構
    造物を構成し、 前記支持構造は、該橋梁構造物の主桁であることを特徴
    とするケーブル構造物の耐震改修方法。
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