JP4781088B2 - 梁貫通孔補強金具、梁貫通孔補強構造 - Google Patents

梁貫通孔補強金具、梁貫通孔補強構造 Download PDF

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本発明は、梁貫通孔補強構造に関するものである。
H形鋼やI形鋼などは、建築構造物の梁として広く用いられているが、このような梁においては、建築構造物内部に設けられた配管を通すための梁貫通孔を形成する場合がある。
その際、梁貫通孔を形成したことによる強度の低下を防ぐために、梁貫通孔に補強用の金具を取り付けることがある。
金具の取り付け方法としては、溶接により金具と梁とを一体化する方法と、ボルト等の締結手段を用い、摩擦接合により金具と梁とを一体化する方法があるが、金具と梁を一体化に固定することができることから、溶接が用いられることが多い。
一方、溶接には発生する熱により金具や梁が変形することや、取り付けに技量を要するといった欠点もあるため、ボルト接合を用いる場合もあり、以下のようなものが知られている(特許文献1)。
特開2003-232077号公報
しかしながら従来のボルト接合の場合、摩擦接合では梁と金具を完全に一体化させることが困難で、また梁貫通孔と金具の間、もしくはボルト軸部とボルト挿通孔周面の間に隙間が存在する。
そのため、梁に地震等の荷重による応力が作用した場合、金具と梁の間にすべりが生じ、隙間の分だけ変形するまで金具に応力が伝達できないため、金具の補強効果を発揮することができないという問題がある。
従って、ボルトの本数を増やすなどして摩擦力を大きくしなければならず、コストが増大し、作業効率が悪化していた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的はボルト接合の場合であっても、金具の補強効果を発揮することができる梁貫通孔補強構造を提供することにある。
前述した目的を達成するために、第1の発明は、鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔を補強する補強金具であって、前記梁を挟み込むように設けた第1の金具と第2の金具よりなり、前記第1の金具は、略中央に貫通孔を有するリング状で、リング本体と、前記リング本体の外周に設けられ、前記リング本体より薄肉なフランジ部と、前記リング本体と前記フランジ部との間に設けられたテーパ部と、前記フランジ部に設けられた、締結手段の挿通する締結手段挿通孔と、を有し、前記第2の金具はリング状で、前記第1の金具の前記テーパ部の内周より大きく外周より小さい貫通孔と、前記内周側に設けられ、前記第1の金具のテーパ部に接触する略台形状の凸部と、前記第1の金具の締結手段挿通孔と相対する締結手段挿通孔と、を有することを特徴とする梁貫通孔補強金具。である。
第2の発明は、鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔の周囲に設けられ、前記梁貫通孔を補強する梁貫通孔補強構造であって、前記梁を挟み込むように設けた第1の金具と第2の金具よりなり、前記第1の金具は、そのリング本体が梁貫通孔に挿通され、前記第2の金具は、その凸部が前記梁貫通孔の縁部と前記第1の金具のテーパ部とに接触するように、前記第1の金具と前記第2の金具と前記梁のウェブとに設けられた互いに相対する締結手段挿通孔を挿通する締結手段により締結したことを特徴とする梁貫通孔補強構造である。
第3の発明は、鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔の周囲に設けられ、前記梁貫通孔を補強する、リング状の補強金具であって、リング本体と、前記本体の略中央部に設けられた貫通孔と、前記リング本体の外周に設けられ、前記リング本体より薄肉状のフランジ部と、前記リング本体と前記フランジ部の間に設けられたテーパ部と、前記フランジ部に設けられた締結手段の挿通する締結手段挿通孔と、前記フランジ部に設けられた突起と、からなり、前記突起が前記梁のウェブにくい込み、前記テーパ部が前記梁貫通孔の縁部に隙間なく接触可能であることを特徴とする梁貫通孔補強金具である。
第4の発明は、鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔の周囲に設けられ、前記梁貫通孔を補強する梁貫通孔補強構造であって、梁貫通孔補強金具と、前記梁貫通孔補強金具と、前記梁のウェブとに設けられた、互いに相対する締結手段挿通孔を挿通する締結手段と、からなり、前記梁貫通孔補強金具は、リング本体と、前記リング本体の外周に設けられたフランジ部と、前記リング本体と前記フランジ部の間に設けられたテーパ部と、前記フランジ部の前記梁のウェブと相対する面に設けられた突起と、を有し、前記梁貫通孔補強金具は、前記リング本体が前記梁貫通孔に挿通され、前記フランジ部と前記梁のウェブとに設けられた互いに相対する締結手段挿通孔を挿通する締結手段により締結され、前記突起が前記梁のウェブにくい込み、前記テーパ部が前記梁貫通孔の縁部に接触することを特徴とする梁貫通孔補強構造である。
本発明によれば、ボルト接合の場合であっても金具の補強効果を発揮することができる梁貫通孔補強構造を提供することができるため、梁貫通孔補強構造のコストと取り付けの際の作業効率が改善される。
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る梁貫通孔補強構造1を構成する第1の金具としての梁貫通孔補強金具2を示す断面図であって、図2は図1のA方向矢視図、図3は図1のB方向矢視図である。
さらに、図4は、本実施形態に係る梁貫通孔補強構造1を構成する第2の金具としての梁貫通孔補強金具31を示す断面図であって、図5は図4のC方向矢視図、図6は図4のD方向矢視図である。
図1〜図3に示すように、梁貫通孔補強金具2はリング状の形状を有しており、リング本体3にはテーパ部5が設けられている。
またリング本体3の外周にはフランジ部6が設けられており、フランジ部6にはボルト挿通孔9a、9b、9c、9dが設けられている。
リング本体3およびテーパ部5の略中央には貫通孔7が設けられている。
図4〜図6に示すように、梁貫通孔補強金具31はリング状の形状を有しており、リング本体33の外周近傍にはボルト挿通孔39a、39b、39c、39dが設けられ、リング本体33の略中央には貫通孔37が設けられている。
また、貫通孔37の内周側には凸部が設けられ、凸部には梁補強金具1のテーパ部5と接触する接触部39と、梁貫通孔17の縁部21に接触するテーパ部35が設けられている。
次に、梁貫通孔補強金具2および梁貫通孔補強金具31を用いた梁貫通孔補強構造1の構造について説明する。図7は梁貫通孔補強構造1が設けられる前の梁11を示す平面図であって、図8は図7のE−E断面図である。
また、図9は梁貫通孔補強構造1が設けられた梁11を示す平面図であって、図10は図9の裏面図である。
さらに、図11は図9のF−F断面図であって、図12は図9のG−G拡大断面図である。
また、図13〜図15はテーパ部35および接触部39の変形例である。
図7および図8に示すように、梁11はウェブ13の両端にフランジ15a、15bを有するH形鋼であり、ウェブ13には梁貫通孔17が設けられている。
図9〜図11に示すように、梁貫通孔補強構造1は、梁貫通孔補強金具2と梁貫通孔補強金具31が梁貫通孔17を挟み込む構造を有しており、梁貫通孔補強金具2と梁貫通孔補強金具31はボルト挿通孔に挿通された高力ボルト19a、19b、19c、19dによって互いに締結されている。
ここで、図12に示すように、梁貫通孔補強金具31の接触部39は、梁貫通孔補強金具2のテーパ部5と接触している。
また、梁貫通孔補強金具31のテーパ部35は、貫通孔17の縁部21と接触している。
即ち、接触部39が、テーパ部5と接触することにより、梁貫通孔補強金具2と梁貫通孔17の間に生じる隙間を埋めており、テーパ部35が梁貫通孔17の縁部21と接触することにより、梁貫通孔補強構造1と梁11は隙間なく密着する。
従って、ボルト接合であっても梁貫通孔補強構造1と梁11とを隙間なく接触させることができ、金具の補強効果を発揮することができる。
なお、テーパ部35の形状は、縁部21と接触可能な形状であればテーパ形状に限定されるものではなく、例えば、図13に示す梁貫通孔補強金具31aのように、R部35bを代わりに設けてもよい。
また、接触部39の形状は、テーパ部5と接触する形状であれば何でもよく、例えば図14に示す接触部39aのような矩形形状でもよく、また図15に示す接触部39bのような、曲面を持った形状であってもよい。
このように、第1の実施形態によれば、梁貫通孔補強構造1が梁貫通孔補強金具2と梁貫通孔補強金具31を有し、梁貫通孔補強金具31の接触部39が、梁貫通孔補強金具2のテーパ部5と接触し、梁貫通孔補強金具31のテーパ部35と梁貫通孔17の縁部21が接触している。
従って、ボルト接合であっても梁貫通孔補強構造1と梁11とを隙間なく密着させることができ、梁11に加えられた応力を効率よく梁貫通孔補強構造1に伝達することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。図16は第2の実施形態に係る梁貫通孔補強構造41を形成する金具としての梁貫通孔補強金具42を示す断面図であって、図17は図16のH方向矢視図である。また、図18は図16のI方向矢視図である。
なお第1の実施形態に係る梁貫通孔補強金具2と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
第2の実施形態では、梁貫通孔補強構造41を形成する金具として、梁貫通孔補強金具2に突起43が設けられた梁貫通孔補強金具42のみを用いている。
図16〜図18に示すように、梁貫通孔補強金具42の外周近傍にはフランジ部6が設けられ、フランジ部6には突起43が設けられている。
図17に示すように、突起43の形状は同心円状の刃状突起である。
次に、梁貫通孔補強構造41の構造について説明する。
図19は梁貫通孔補強構造41が設けられた梁11を示す断面図であって、図20は高力ボルト19b付近の拡大断面図である。なお、梁11の形状は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図19に示すように、梁貫通孔補強金具42は高力ボルトによって梁11に締結され、梁貫通孔補強金具42と高力ボルトで梁貫通孔補強構造41を形成している。
ここで、図20に示すように、梁貫通孔補強金具42の突起43がウェブ13にくい込み、テーパ部5は梁貫通孔17の縁部21に接触している。
突起がくい込むことで、テーパ部5に接触する梁貫通孔17の精度誤差を吸収することができる。また突起がくい込むことで梁貫通孔補強金具42のずれを防止する効果もある。
このような構造にすることにより、ボルト接合であっても梁貫通孔補強金具41のテーパ部5と梁貫通孔17の縁部21とを隙間なく接触させることができ、金具の補強効果を発揮することができる。
このように、第2の実施形態によれば、梁貫通孔補強構造41を構成する梁貫通孔補強金具42がテーパ部5と突起41を有し、突起43が梁11のウェブ13にくい込み、テーパ部5は貫通孔17の縁部21に接触している。
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、第2の実施の形態によれば、梁貫通孔補強構造41を構成する金具が、梁貫通孔補強金具42の1つのみであるため、コストおよび作業性に、より優れている。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第1の実施の形態では梁貫通孔補強金具31は一体に形成されているが、複数に分割されていてもよい。
梁貫通孔補強金具2を示す断面図 図1のA方向矢視図 図1のB方向矢視図 貫通孔補強金具31を示す断面図 図4のC方向矢視図 図4のD方向矢視図 梁11を示す平面図 図7のC−C断面図 梁貫通孔補強構造1が設けられた梁11を示す平面図 図9の裏面図 図9のF−F断面図 図9のG−G拡大断面図 テーパ部35および接触部39の変形例 テーパ部35および接触部39の変形例 テーパ部35および接触部39の変形例 梁貫通孔補強金具42を示す断面図 図16のH方向矢視図 図16のI方向矢視図 梁貫通孔補強構造41が設けられた梁11を示す断面図 高力ボルト19b付近の拡大断面図
符号の説明
1…………梁貫通孔補強構造
2…………梁貫通孔補強金具
3…………リング本体
5…………テーパ部
7…………貫通孔
9a………ボルト挿通孔
11………梁
13………ウェブ
15a……フランジ
17………梁貫通孔
19a……高力ボルト
21………縁部
31………梁貫通孔補強金具
33………リング本体
35………テーパ部
35a……R部
37………貫通孔
39………接触部
39a……ボルト挿通孔
40………接触部
40b……接触部
41………梁貫通孔補強構造
42………梁貫通孔補強金具
43………突起

Claims (4)

  1. 鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔を補強する補強金具であって、
    前記梁を挟み込むように設けた第1の金具と第2の金具よりなり、
    前記第1の金具は、略中央に貫通孔を有するリング状で、
    リング本体と、
    前記リング本体の外周に設けられ、前記リング本体より薄肉なフランジ部と、
    前記リング本体と前記フランジ部との間に設けられたテーパ部と、
    前記フランジ部に設けられた、締結手段の挿通する締結手段挿通孔と、
    を有し、
    前記第2の金具はリング状で、
    前記第1の金具の前記テーパ部の内周より大きく外周より小さい貫通孔と、
    前記内周側に設けられ、前記第1の金具のテーパ部に接触する略台形状の凸部と、
    前記第1の金具の締結手段挿通孔と相対する締結手段挿通孔と、
    を有することを特徴とする梁貫通孔補強金具。
  2. 鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔の周囲に設けられ、前記梁貫通孔を補強する梁貫通孔補強構造であって、
    前記梁を挟み込むように設けた第1の金具と第2の金具よりなり、
    前記第1の金具は、そのリング本体が梁貫通孔に挿通され、
    前記第2の金具は、その凸部が前記梁貫通孔の縁部と前記第1の金具のテーパ部とに接触するように、前記第1の金具と前記第2の金具と前記梁のウェブとに設けられた互いに相対する締結手段挿通孔を挿通する締結手段により締結したことを特徴とする梁貫通孔補強構造。
  3. 鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔の周囲に設けられ、前記梁貫通孔を補強する、リング状の補強金具であって、
    リング本体と、
    前記本体の略中央部に設けられた貫通孔と、
    前記リング本体の外周に設けられ、前記リング本体より薄肉状のフランジ部と、
    前記リング本体と前記フランジ部の間に設けられたテーパ部と、
    前記フランジ部に設けられた締結手段の挿通する締結手段挿通孔と、
    前記フランジ部に設けられた突起と、
    からなり、
    前記突起が前記梁のウェブにくい込み、前記テーパ部が前記梁貫通孔の縁部に隙間なく接触可能であることを特徴とする梁貫通孔補強金具。
  4. 鉄骨梁のウェブに穿設された梁貫通孔の周囲に設けられ、前記梁貫通孔を補強する梁貫通孔補強構造であって、
    梁貫通孔補強金具と、
    前記梁貫通孔補強金具と、前記梁のウェブとに設けられた、互いに相対する締結手段挿通孔を挿通する締結手段と、
    からなり、
    前記梁貫通孔補強金具は、リング本体と、
    前記リング本体の外周に設けられたフランジ部と、
    前記リング本体と前記フランジ部の間に設けられたテーパ部と、
    前記フランジ部の前記梁のウェブと相対する面に設けられた突起と、
    を有し、
    前記梁貫通孔補強金具は、前記リング本体が前記梁貫通孔に挿通され、前記フランジ部と前記梁のウェブとに設けられた互いに相対する締結手段挿通孔を挿通する締結手段により締結され、前記突起が前記梁のウェブにくい込み、前記テーパ部が前記梁貫通孔の縁部に接触することを特徴とする梁貫通孔補強構造。
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