(繊維凸状構造部)
本発明の粘着テープ又はシートでは、支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層の表面に、ライン状(筋状)の繊維凸状構造部(「ライン状繊維凸状構造部」と称する場合がある)が複数形成されている。すなわち、粘着テープ又はシートは、粘着剤層の表面に、繊維凸状構造部がライン状となるように部分的に形成された形態又は構成を有しており、隣接したライン状繊維凸状構造部間や、ライン状繊維凸状構造部と粘着剤層の表面の端部との間などでは、粘着剤層の表面が露出している。このようなライン状繊維凸状構造部としては、粘着テープ又はシートを被着体に仮接着させることができ、その後、圧着により、被着体に強固に接着させることができるような構成を有していることが重要である。ライン状繊維凸状構造部としては、繊維によって凸状に形成され且つライン状に形成されている構造部であれば特に制限されないが、例えば、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造を有しているライン状の繊維起毛部(ライン状繊維起毛部)、繊維の固まりが粘着剤層表面に設けられたような構造のライン状繊維凸状構造部などが挙げられる。ライン状繊維凸状構造部は、単一の構造よりなるものであってもよく、複数の構造が組み合わされた構造よりなるものであってもよい。
なお、1つのライン状繊維凸状構造部は、通常、複数の繊維により構成されている。1つのライン状繊維凸状構造部を構成する繊維の数や密度は、特に制限されず、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。
ライン状繊維凸状構造部としては、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造を有しているライン状繊維起毛部が好ましい。
図1は本発明の粘着テープ又はシートの一例を部分的に示す概略図であり、(a)は粘着テープ又はシートの上面から見た概略平面図、(b)は(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図1において、1は粘着テープ又はシート、2は粘着テープ又はシート用粘着剤層(単に「粘着剤層」と称する場合がある)、2aは粘着剤層2の表面、2a1は粘着剤層2の表面2aの一方の端部、2a2は粘着剤層2の表面2aの他方の端部、3は粘着テープ又はシート用基材(単に「基材」と称する場合がある)、4a〜4dは粘着テープ又はシート用剥離ライナー(単に「剥離ライナー」と称する場合がある)、5aは剥離ライナー4aと、粘着剤層2の表面2aにおける端部2a1との間のライン状の部位、5b〜5dは隣接した剥離ライナー4a〜4dの間のライン状の部位、5eは剥離ライナー4dと、粘着剤層2の表面2aにおける端部2a2との間のライン状の部位、6a〜6eは、それぞれ、ライン状繊維起毛部である。粘着テープ又はシート1は、支持体としての基材3の片面に粘着剤層2が形成され且つ粘着剤層2は剥離ライナー4a〜4dにより部分的にライン状に保護されている構成を有しており、前記粘着剤層2の表面2aには、剥離ライナー4aと、粘着剤層2の表面2aにおける端部2a1との間のライン状の部位5aに、ライン状繊維起毛部6aが設けられ、隣接した剥離ライナー4a〜4dの間のライン状の部位5b〜5dに、それぞれ、ライン状繊維起毛部6b〜6dが設けられ、剥離ライナー4dと、粘着剤層2の表面2aにおける端部2a2との間のライン状の部位5eに、ライン状繊維起毛部6eが設けられている。このようなライン状繊維起毛部6a〜6e(「ライン状繊維起毛部6」と総称する場合がある)は、ライン状繊維凸状構造部として設けられている。
なお、図1では、前記ライン状繊維起毛部6は、全体として、粘着テープ又はシート1の長手方向に延びた複数のラインを形成しており、従って、各ライン状繊維起毛部6は平行となっている。隣接したライン状繊維起毛部6の間隔(隣接しているライン状繊維起毛部6同士の対向している端部間の距離;各剥離ライナー4a〜4dの幅に相当している)は10mmとなっている。また、ライン状繊維起毛部6は、すべて同一の幅(一定の幅)で形成されており、その幅は1mmとなっている。
なお、図2〜3に、粘着剤層の表面に形成されているライン状繊維起毛部の形状に関する写真を示す。図2は、粘着剤層の表面に形成されているライン状繊維起毛部の形状に関する写真を示す図であり、粘着剤層の上面から見た図である。図3は、粘着剤層の表面に形成されているライン状繊維起毛部の形状に関する写真を示す図であり、図2に係るライン状繊維起毛部を示す要部拡大図である。なお、図2〜3で示されている写真は、デジタルマイクロスコープとして商品名「VH−6200」(KEYENCE社製)を用い、倍率:50〜175倍の条件で撮影した写真である。
このようなライン状繊維起毛部において、繊維起毛部としての構造としては、例えば、(1)1本の繊維の一方の端部が粘着剤層表面に接着されて固定され、他方の端部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面から繊維が略I字型に起立している構造(図1で示されている構造)、(2)1本の繊維の中央部が粘着剤層表面に接着され、繊維の両端部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面から繊維が略V字型に起立している構造、(3)1本の繊維の両端部が粘着剤層表面に接着されて固定され、繊維の中央部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面から繊維が逆略U字型に起立している構造の他、粘着剤層表面から繊維が略W字型、略M字型、略N字型、略O字型などの形状で起立している構造、さらには、これらの構造が組み合わされた構造などが挙げられる。繊維起毛部の構造としては、前記(1)の構造(粘着剤層表面から繊維が略I字型に起立している構造)が好適である。もちろん、繊維起毛部は、粘着テープ又はシート用粘着剤層表面から繊維が、I字型などのように直線状に起立した状態であってもよく、ギザギザ状、波線状、ループ状などの形態を有する状態で、全体的に起立した状態であってもよい。
繊維凸状構造部は、粘着剤層の表面にライン状に複数設けられている。このように、粘着剤層の表面に複数設けられているライン状繊維凸状構造部において、その全体としての形状としては、特に制限されず、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができ、所定のパターン形状を有していてもよい。
ライン状繊維凸状構造部におけるラインの方向(ライン方向)としては、特に制限されず、例えば、粘着テープ又はシートの長手方向、幅方向、その他の方向(斜め方向など)のいずれであってもよいが、粘着テープ又はシートの長手方向や幅方向が好ましく、特に、粘着テープ又はシートの長手方向が好適である。
また、ライン状繊維凸状構造部としては、すべてが互いに非平行、又は一部が互いに非平行(すなわち、一部が平行)となっていてもよいが、すべてが互いに平行となっていることが好ましい。すなわち、複数のライン状繊維凸状構造部におけるラインの方向が、一方向のみとなっていることが好ましい。このように、複数のライン状繊維凸状構造部は、全体的に互いに平行な位置関係で形成されていることが好ましい。なお、複数のライン状繊維凸状構造部が、全体的に又は部分的に互いに非平行な位置関係で形成されている場合、ライン状繊維凸状構造部同士は、交差していてもよい。
さらに、複数のライン状繊維凸状構造部が互いに平行な位置関係で形成されている場合、隣接したライン状繊維凸状構造部の間隔としては、一定となっていなくてもよいが(すべて又は一部で異なった形態で、形成されていてもよいが)、一定となっていることが好ましい。すなわち、ライン状繊維凸状構造部としては、互いに平行に、且つ隣接したライン状繊維凸状構造部の間隔が、すべて同一となった形態で形成されていることが好ましい。
なお、隣接したライン状繊維凸状構造部の間隔(すなわち、露出する粘着剤層表面の幅)としては、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、ライン状繊維凸状構造部の数又は密度、各ライン状繊維凸状構造部の幅、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、ライン状繊維凸状構造部が互いに平行な位置関係で一定の間隔で複数形成されている場合(図1で示されるような形状で形成されている場合)、隣接したライン状繊維凸状構造部の間隔としては、例えば、1〜100mm(好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜40mm)の範囲から選択することができる。
また、ライン状繊維凸状構造部が粘着テープ又はシートの長手方向をライン方向として(長手方向に直線状の形態で)、互いに平行に形成されている場合、ライン状繊維凸状構造部と、粘着剤層表面の端部との間の距離は、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、ライン状繊維凸状構造部の数又は密度、各ライン状繊維凸状構造部の幅、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、ライン状繊維凸状構造部と、粘着剤層表面の端部との間の距離としては、0〜100mm(好ましくは0〜50mm、さらに好ましくは0〜40mm)の範囲から選択することができる。なお、ライン状繊維凸状構造部と、粘着剤層表面の端部との間の距離が0mである場合、ライン状繊維凸状構造部が粘着剤層表面の端部に形成されていることを意味している。
さらにまた、各ライン状繊維凸状構造部の幅としては、一定となっていなくてもよいが(すべて又は一部で異なった幅となってもよいが)、一定となっていることが好ましい。すなわち、各ライン状繊維凸状構造部としては、すべて同一の幅となっていることが好ましい。
なお、各ライン状繊維凸状構造部の幅としては、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、ライン状繊維凸状構造部の数又は密度、隣接したライン状繊維凸状構造部の間隔、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、ライン状繊維凸状構造部が一定の幅で複数形成されている場合(図1で示されるような形状で形成されている場合)、各ライン状繊維凸状構造部の幅としては、例えば、10μm〜10mm(好ましくは30μm〜5mm、さらに好ましくは50μm〜3mm)の範囲から選択することができる。
従って、本発明では、ライン状繊維凸状構造部としては、一定の幅(同じ幅)のライン状繊維凸状構造部が、粘着テープ又はシートの長手方向をライン方向として(長手方向に直線状の形態で)、平行に且つ一定の間隔(同じ間隔)で、複数形成されていることが好ましい。
なお、各ライン状繊維凸状構造部のライン方向(ラインの長手方向)の長さとしては、特に制限されず、ライン方向などに応じて適宜選択することができる。例えば、ライン状繊維凸状構造部が、粘着テープ又はシートの長手方向をライン方向として形成されている場合、ライン状繊維凸状構造部のライン方向の長さとしては、最大、粘着テープ又はシートの長手方向の長さとすることができる。
また、ライン状繊維凸状構造部の数又は密度としては、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。
なお、粘着剤層表面において、ライン状繊維凸状構造部が設けられている部位の全面積(全繊維凸状構造部の面積)としては、特に制限されず、例えば、粘着剤層の全表面積に対して0.001〜20%(好ましくは0.005〜15%、さらに好ましくは0.01〜10%)の割合となる面積であることが望ましい。粘着剤層表面における全繊維凸状構造部の面積が、粘着剤層の全表面積に対して0.001%未満であると、初期接着力の低減効果が低下し、リワーク性や貼付位置修正作業性が低下する。一方、粘着剤層表面における全繊維凸状構造部の面積が、粘着剤層の全表面積に対して20%を越えると、リワーク性や貼付位置修正作業性は向上するが、粘着テープ又はシートの被着体への接着力が低下する。
このような繊維凸状構造部を構成する繊維としては、特に制限されず、天然繊維、半合成繊維、合成繊維のいずれであってもよい。より具体的には、繊維としては、例えば、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維[脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維(いわゆるアラミド繊維)など]、ポリエステル系繊維(商品名「テトロン」など)、ポリアクリロニトリル系繊維、炭素繊維(炭素系繊維)、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維(いわゆるビニロン繊維)、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系繊維(フッ素系樹脂繊維)などが挙げられる。繊維としては、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維が好適である。
繊維は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
このような繊維としては、短繊維を好適に用いることができる。繊維の長さが長くなると、粘着テープ又はシートの被着体への接着力が低下するため好ましくない。繊維としては、その長さが0.1〜5mm(好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.3〜2mm)程度であることが望ましい。なお、繊維の長さが短すぎると、粘着剤層を被着体に接着させる際にかける圧力が低くてもよくなるので、これによりリワーク性や貼付位置修正作業性が低下するため好ましくない。また、繊維の長さが短すぎると、製造が難しく、高価になるため、コスト的な観点からも好ましくない。
また、繊維の太さとしては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20デニール(好ましくは0.5〜15デニール、さらに好ましくは1〜6デニール)程度の範囲から選択することができる。繊維の太さが太すぎると、柔軟性の低下により、粘着剤層を被着体に接着させる際にかける圧力が高くなるので好ましくない。一方、繊維の太さが細すぎると、初期接着力の低減効果が低下し、リワーク性や貼付位置修正作業性が低下する。
ライン状繊維凸状構造部(特に、ライン状繊維起毛部)を粘着剤層の表面に形成する方法としては、特に制限されないが、下記に示されるように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。なお、植毛加工方法は、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層表面の所定の部位や、粘着剤層の表面に、ライン状の繊維凸状構造部を転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シートにおける所定の面の所定の部位に対して適用することができる。このように、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の表面の所定の部位や、繊維凸状構造転写形成用シートにおける所定の面の所定の部位に植毛加工方法を適用する際には、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の表面や、繊維凸状構造転写形成用シートにおける所定の面において、ライン状繊維凸状構造部を形成しない部位に対応した形状の複数の剥離基材(特に剥離フィルム)や、ライン状繊維凸状構造部を形成する所定の部位に対応した位置に空洞部を有している剥離基材(特に剥離フィルム)を用いることが好ましい。
(粘着テープ又はシート用粘着剤層)
粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層)を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。粘着剤層を形成する際に粘着剤を架橋する場合は、加熱による加熱架橋方法、紫外線照射による紫外線架橋方法(UV架橋方法)、電子線照射による電子線架橋方法(EB架橋方法)、室温等で自然に硬化させる自然硬化方法のいずれであってもよい。
粘着剤としては、天然ゴムや各種の合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンなど)をベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
なお、前記アクリル系粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、前記アクリル系粘着剤において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、必要に応じて前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)が併用されていてもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。また、共重合性単量体としては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
粘着剤層の形成方法としては、公知乃至慣用の形成方法を採用することができ、例えば、粘着テープ又はシート用基材を有している基材付き粘着テープ又はシートの場合、支持体としての基材(粘着テープ又はシート用基材)上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。また、粘着テープ又はシート用基材を有していない基材レス粘着テープ又はシートの場合、粘着剤層の形成方法としては、支持体としての剥離ライナーの剥離面上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。
粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm)程度の範囲から選択することができる。
(支持体)
粘着剤層を支持する支持体としては、粘着テープ又はシートが、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートの場合、基材(粘着テープ又はシート用基材)を用いることができ、一方、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートの場合、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー;セパレータ)を用いることができる。なお、粘着テープ又はシートが、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートの場合、支持体としての基材の片面又は両面に粘着剤層が形成されているとともに、基材の片面又は両面に形成された粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部が形成されており、粘着剤層の表面は、基材の背面側の剥離面や、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)により保護されていてもよい。一方、粘着テープ又はシートが、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートの場合、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)が粘着剤層の支持体となっているとともに、粘着剤層の片方又は両方の表面にライン状繊維凸状構造部が形成されている。なお、支持体としての剥離ライナーは、粘着テープ又はシートを使用するまでの間、粘着剤層を支持しているとともに、粘着剤層の表面を保護している。
(粘着テープ又はシート用基材)
前記基材(粘着テープ又はシート用基材)としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
基材としては、プラスチックのフィルムやシートが好ましい。このようなプラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;レーヨンなどが挙げられる。プラスチック材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
なお、基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
基材の片面または両面には、粘着剤層との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さとしては、例えば、10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度の範囲から選択することができる。
(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)
前記剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
剥離ライナーとしては、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーを好適に用いることができる。このような剥離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。
付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、分子中に、Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基(具体的には、ビニル基やヘキセニル基等のアルケニル基が含まれる。;以下、「Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基」のことを、単に「アルケニル基」と称する場合がある)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物を用いることができる。なお、「Si−H結合」とは、「ケイ素原子(Si)と水素原子(H)との結合」を意味している。
また、アルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、主鎖又は骨格を形成しているポリシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン系ポリマー、ポリジエチルシロキサン系ポリマー、ポリメチルエチルシロキサン系ポリマー等のポリアルキルアルキルシロキサン系ポリマーや、ポリアルキルアリールシロキサン系ポリマーの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサン)など]などが挙げられ、ポリジメチルシロキサン系ポリマーが好適である。
一方、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、Si−H結合を有するケイ素原子としては、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよく、すなわち、主鎖の構成単位として含まれていてもよく、あるいは、側鎖の構成単位として含まれていてもよい。なお、Si−H結合のケイ素原子(水素原子が結合しているケイ素原子)の数は、2個以上であれば特に制限されない。
分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーとしては、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を少なくとも2個有しているポリシロキサン系ポリマーが好ましく、なかでも、ポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマー[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−メチルシロキサン)等]が好適である。
なお、ポリシロキサン系剥離処理剤において、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーは、架橋剤としての機能を有している。
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、例えば、分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーにおけるSi−H結合のケイ素原子のモル数(「モル数(X)」と称する場合がある)と、アルケニル基を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーにおけるアルケニル基のモル数(「モル数(Y)」と称する場合がある)とが、モル数(X)>モル数(Y)となる割合が好ましいが、モル数(X)/モル数(Y)が0.8〜3.0(好ましくは1.1〜1.8)程度となる割合の範囲から選択してもよい。
分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、触媒を用いることができ、該触媒としては、白金系触媒(例えば、白金微粒子、塩化白金酸又はその誘導体等の白金系化合物など)を好適に用いることができる。触媒の使用量としては、特に制限されないが、例えば、分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーに対して0.1〜1000ppm(好ましくは1〜100ppm)の範囲から選択することができる。
本発明では、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記構成成分(例えば、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマー、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー、必要に応じて触媒や各種添加剤など)を、必要に応じて有機溶剤を用いて混合することにより調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、例えば、商品名「TPR6600」(GE東芝シリコーン社製)、商品名「KS−778」(信越化学社製)、商品名「KS−837」(信越化学社製)などが市販されている。
剥離処理層は、剥離処理剤を剥離ライナー用基材の所定の面(少なくとも一方の面)に塗布した後、乾燥や硬化反応等のための加熱工程を経て形成することができる。なお、乾燥や硬化反応等のための加熱工程では、公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。なお、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、剥離ライナー用基材の所定の面に塗布した後、乾燥工程又は硬化反応工程などで、付加反応型の硬化反応を行って剥離性皮膜を形成させることにより、優れた剥離特性を発揮させることができる。
また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。剥離処理剤の適正な塗布量(固形分)としては、用いる粘着剤の種類などに応じて適宜選択することができるが、例えば、0.01〜5g/m2(好ましくは0.05〜3g/m2、さらに好ましくは0.2〜1g/m2)程度である。
なお、剥離ライナーの厚み、剥離ライナー用基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
特に、剥離ライナーが、粘着剤層のライン状繊維凸状構造部を有する表面を保護するために用いられる場合、剥離ライナーとしては、粘着剤層の表面にはライン状の繊維凸状構造部が形成されているので、ライン状繊維凸状構造部が形成されていない表面のみを保護することができるような形状を有していることが好ましく、例えば、ライン状繊維凸状構造部が形成されていない粘着剤層表面の形状に対応した形状を有している複数の剥離ライナーや、粘着剤層の表面のライン状の繊維凸状構造部に対応する部位にライン状の凹部(空洞部や陥没部など)を有している剥離ライナーを好適に用いることができる。
なお、剥離ライナーの凹部(特に、空洞部による凹部)を形成する方法としては、例えば、公知乃至慣用の凹部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いる方法、熱や光線による方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(特に、凸部を有する金型)を用いた成型加工による方法などが挙げられる。
(粘着テープ又はシート)
粘着テープ又はシートとしては、(1)粘着剤層が、支持体としての基材の両面に形成されており、前記基材の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に、ライン状の繊維凸状構造部を複数有している基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート、(2)粘着剤層が、支持体としての基材の片面に形成されており、前記粘着剤層の表面に、ライン状の繊維凸状構造部を複数有している基材付きタイプの粘着テープ又はシート(片面粘着テープ又はシート)、(3)粘着剤層が、少なくとも一方の表面に、ライン状の繊維凸状構造部を複数有しており、且つ粘着剤層の両面が1つ又は2つの剥離ライナーで保護されている基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートなどを例示できる。
このように、粘着テープ又はシートは、片面のみが粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有していてもよく、両面が粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有していてもよい。また、両面粘着テープ又はシートの場合、片面の粘着面のみにライン状繊維凸状構造部が形成されていてもよく、両面の粘着面にライン状繊維凸状構造部が形成されていてもよい。
さらにまた、粘着テープ又はシートは、図4に示されるように、ロール状に巻回した形態の粘着テープ(巻回体または巻重体)であってもよく、単層又はシートを積層した形態の粘着シートであってもよい。図4は一方の粘着剤層の表面にライン状繊維起毛部を有し且つロール状の巻回された形態の粘着テープ(巻回体)を示す概略図である。図4において、1aはロール状に巻回された形態の粘着テープであり、2、3、4a〜4d、6b〜6dは前記に同じである。なお、図4において、点線の円の中の図は、粘着テープ1aについての要部拡大概略断面図である。
このように、粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に、ライン状繊維凸状構造部を複数有しているので、表面にライン状繊維凸状構造部を有する粘着剤層側の面を、被着体に、小さな荷重をかけて貼り合わせた際には、仮接着をすることができ、貼り直しや貼付位置を修正した後、大きな荷重をかけることにより、強固に接着させることができる。なお、仮接着の際にかける荷重の大きさとしては、特に制限されず、ライン状繊維凸状構造部の高さ、ライン状繊維凸状構造部の繊維の太さや素材の種類などによりコントロールすることができる。すなわち、ライン状繊維凸状構造部により、粘着テープ又はシートの貼り付け直後の接着力を所望の大きさにコントロールすることができる。
(粘着テープ又はシートの製造方法)
本発明の粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層における表面の所定の部位に、ライン状の繊維凸状構造部を形成することにより製造することができる。例えば、植毛加工方法を利用して、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に植毛加工を施して、粘着剤層の表面にライン状の繊維凸状構造部を形成させる方法や、ライン状の繊維凸状構造部を粘着剤層の表面に転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シートを、粘着剤層の表面に重ね合わせて、粘着剤層の表面にライン状の繊維凸状構造部を転写させる方法などにより、粘着剤層の表面にライン状の繊維凸状構造部を複数有する粘着テープ又はシートを製造することができる。
より具体的には、本発明の粘着テープ又はシートの製造方法としては、下記の(A)〜(C)の何れかの方法によりライン状の繊維凸状構造部を形成することにより、粘着テープ又はシートを製造する方法などが挙げられる。
(A)剥離基材を複数、ライン状の間隔をあけて、粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、隣接した剥離基材間、または隣接した剥離基材間および剥離基材と粘着剤層の表面の端部との間でライン状に露出している粘着剤層の表面に植毛加工を施すことにより、ライン状の繊維凸状構造部を形成する
(B)ライン状の空洞部を有する剥離基材を粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、剥離基材のライン状の空洞部でライン状に露出している粘着剤層の表面に植毛加工を施すことにより、ライン状の繊維凸状構造部を形成する
(C)ライン状の繊維凸状構造部を粘着剤層の表面に転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シートを、粘着剤層の表面に重ね合わせて、粘着剤層の表面にライン状の繊維凸状構造部を転写させることにより、ライン状の繊維凸状構造部を形成する
なお、前記製造方法(C)において用いられる繊維凸状構造転写形成用シート(すなわち、粘着剤層の表面に、ライン状の繊維凸状構造部を転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シート)としては、少なくとも一方の面が、ライン状の繊維凸状構造部が転写形成される粘着剤層に対する剥離面としての機能を有しており、該剥離面側に、粘着剤層表面にライン状の繊維凸状構造部を転写形成させるためのライン状の転写形成用繊維凸状構造部(「ライン状転写形成用繊維凸状構造部」と称する場合がある)を複数有している繊維凸状構造転写形成用シートなどが挙げられる。
前記製造方法(A)や(B)では、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に、直接的に植毛加工を施して、ライン状繊維凸状構造部を形成しており、一方、前記製造方法(C)では、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に、直接的に植毛加工を施しているのではなく、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層表面にライン状繊維凸状構造部を転写形成させるためのライン状転写形成用繊維凸状構造部が複数形成された繊維凸状構造転写形成用シートを用いて、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に、ライン状繊維凸状構造部を形成している。
なお、前記製造方法(C)において用いられる繊維凸状構造転写形成用シートとしては、所定の面に植毛加工を施して、粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部を転写形成させることが可能なライン状転写形成用繊維凸状構造部を形成することにより、作製することができる。
前記製造方法(A)や(B)において、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に植毛加工を施す際の植毛加工方法や、前記製造方法(C)において用いられる繊維凸状構造転写形成用シートを作製する時に植毛加工を施す際の植毛加工方法などの植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。なお、静電植毛加工方法としては、例えば、1つの電極に対し、粘着剤層を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(粘着剤層の表面など)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
前記製造方法(A)では、粘着剤層の表面に、ライン状の間隔をあけて重ね合わせることができる剥離基材が複数用いられている。該剥離基材としては、例えば、少なくとも一方の面が剥離面であり且つ所定の形状を有する複数の剥離基材(「空間部形成用剥離基材」と称する場合がある)を用いることができる。このように、空間部形成用剥離基材を複数用いると、複数の空間部形成用剥離基材のうちの隣接した空間部形成用剥離基材間や、剥離基材と粘着剤層の表面の端部との間のライン状の空間部に、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。具体的には、空間部形成用剥離基材を複数、ライン状の所定の間隔をあけて、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、隣接した空間部形成用剥離基材間や、空間部形成用剥離基材と粘着剤層の表面の端部との間でライン状に露出している粘着剤層の表面の部位に、植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。従って、空間部形成用剥離基材としては、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成しない部位に対応した形状の剥離基材を複数用いることが重要である。
また、前記製造方法(B)では、ライン状の空洞部を有する剥離基材が用いられている。該剥離基材としては、例えば、少なくとも一方の面が剥離面であり且つライン状の空洞部を有する剥離基材(「空洞部含有剥離基材」と称する場合がある)を用いることができる。このように、空洞部含有剥離基材を用いると、空洞部含有剥離基材に形成されたライン状の空洞部に対応した部位に、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。具体的には、空洞部含有剥離基材の剥離面を、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、空洞部含有剥離基材の空洞部でライン状に露出している粘着剤層の表面の部位に、植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。従って、前記空洞部含有剥離基材としては、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する部位に対応した位置に空洞部を有している剥離基材を用いることが重要である。
(剥離基材)
このように、前記製造方法(A)や(B)において、粘着剤層表面に直接的に植毛加工を施す際に用いられる剥離基材(空間部形成用剥離基材や、空洞部含有剥離基材など)としては、少なくとも一方の面(片面又は両面)が、粘着面に対する剥離面となっていることが重要である。なお、前記剥離基材において、空間部形成用剥離基材の場合は、さらに、ライン状の間隔をあけて、粘着剤層の表面に重ね合わせることが可能な形状を有していることが重要である。一方、空洞部含有剥離基材の場合は、さらに、ライン状の空洞部を有していることが重要である。なお、剥離基材としては、剥離面が植毛加工する粘着剤層と接触するように用いることが重要である。従って、剥離基材としては、粘着剤層と接触しない側の面は、剥離面、非剥離面のいずれであってもよい。
このような剥離基材としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材により構成することができる。
剥離基材としては、例えば、基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離基材により構成されていることが好ましい。このような基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材(合成樹脂基材)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーにおいて、シリコーン系剥離処理剤として例示の付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤[すなわち、分子中に、アルケニル基(Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物]と同様のものなどが挙げられる。
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の範囲から選択してもよい。また、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、触媒を用いることができ、その使用量としては、特に制限されず、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の使用量の範囲から選択することができる。
また、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の市販品を用いることができる。
剥離基材(空間部形成用剥離基材や、空洞部含有剥離基材など)における剥離処理層は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして形成することができ、この際、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要であり、その塗布量も前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。
なお、剥離基材の厚み、基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、ライン状繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
前記剥離基材のうち、空間部形成用剥離基材は、ライン状の間隔をあけて用いられている。このような隣接した空間部形成用剥離基材間や、剥離基材と粘着剤層の表面の端部との間のライン状の空間部は、粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部を形成する際に利用されるので、粘着剤層の表面に形成するライン状繊維凸状構造部に対応する部位が、空間部となるように、空間部形成用剥離基材を複数用いることが重要である。従って、粘着剤層表面における隣接した空間部形成用剥離基材間や、剥離基材と粘着剤層の表面の端部との間のライン状の空間部の位置や、ライン状の空間部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する位置や、ライン状繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
一方、前記剥離基材のうち、空洞部含有剥離基材は、ライン状の空洞部を有している。このようなライン状の空洞部は、粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部を形成する際に利用されるので、粘着剤層の表面に形成するライン状繊維凸状構造部に対応する部位に設けられていることが重要である。従って、空洞部含有剥離基材のライン状の空洞部を形成する位置や、ライン状の空洞部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する位置や、ライン状繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
空洞部含有剥離基材のライン状の空洞部を形成する方法としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーにおける凹部の場合と同様の形成方法、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、穿孔加工方法(孔部形成機を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法など)では、ライン状の空洞部を有していない剥離基材に対して、穿孔加工を行うことにより、空洞部含有剥離基材を作製しており、ライン状の空洞部を有していない剥離基材としては、前記に示されるような公知の剥離ライナー等の剥離基材を用いることができる。
このような剥離基材(空間部形成用剥離基材や、空洞部含有剥離基材など)は、ライン状繊維凸状構造部を形成した後は、剥離させてもよいが、そのまま、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)として用いることが好ましい。従って、剥離基材としては、剥離ライナー、特に、剥離ライナー用基材がプラスチック系基材である剥離ライナー(剥離フィルム)が好適である。
なお、空間部形成用剥離基材を剥離ライナーとして用いる場合、ライン状繊維凸状構造部が形成された粘着テープ又はシートを利用する時に、空間部形成用剥離基材を剥がす際には、ライン状繊維凸状構造部が形成された粘着テープ又はシートの粘着剤層による粘着性よりも粘着力が低い粘着性を有している粘着テープ又はシート(「剥離用粘着テープ」と称する場合がある)を利用することができる。この際、空間部形成用剥離基材として、片面のみが剥離面(粘着剤層に対して剥離性を有している面)となっているものを用いることが重要である。すなわち、空間部形成用剥離基材として、片面のみが剥離面となっているものを用いた場合、空間部形成用剥離基材が貼り合わせられ且つライン状繊維凸状構造部が形成された粘着テープ又はシートでは、ライン状繊維凸状構造部が形成されている側の表面(「ライン状繊維凸状構造部側表面」と称する場合がある)は、空間部形成用剥離基材の非剥離面(粘着剤層に対して剥離性を有していない面)と、ライン状繊維凸状構造部となっており、このライン状繊維凸状構造部側表面に、剥離用粘着テープを貼付して剥がすと、ライン状繊維凸状構造部は、剥離用粘着テープよりも、植毛加工により形成された粘着テープ又はシートの方に強く貼付されているので、空間部形成用剥離基材を貼付した状態で剥離用粘着テープを剥がすことができる。従って、空間部形成用剥離基材を複数用いていても、剥離用粘着テープを用いることにより、一度に、空間部形成用剥離基材を剥がすことができる。なお、ライン状繊維凸状構造部の一部は、剥離用粘着テープに貼付されて、剥離用粘着テープとともに剥がされる場合があるが、ほとんどのライン状繊維凸状構造部は元々の粘着剤層に貼付した状態で残存するため、ライン状繊維凸状構造部を有する粘着テープ又はシートとしては、その機能が失われない。
さらにまた、前記製造方法(C)では、繊維凸状構造転写形成用シートが用いられている。該繊維凸状構造転写形成用シートとしては、粘着剤層の表面に貼り合わせることにより、ライン状繊維凸状構造部が転写される構成を有していれば特に制限されず、例えば、少なくとも一方の面が、ライン状繊維凸状構造部が転写形成される粘着剤層に対する剥離面としての機能を有しており、該剥離面側に、粘着剤層表面にライン状繊維凸状構造部を転写形成させるためのライン状の転写形成用繊維凸状構造部(ライン状転写形成用繊維凸状構造部)を有している構成を有する繊維凸状構造転写形成用シートを用いることができる。このように、繊維凸状構造転写形成用シートを用いると、繊維凸状構造転写形成用シートに形成されたライン状転写形成用繊維凸状構造部に対応した部位に、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。具体的には、図5で示されるように、繊維凸状構造転写形成用シートの剥離面を、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に重ね合わせて、圧着等によってライン状転写形成用繊維凸状構造部を転写させることにより、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。従って、前記繊維凸状構造転写形成用シートとしては、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する部位に対応した位置にライン状転写形成用繊維凸状構造部を有している繊維凸状構造転写形成用シートを用いることが重要である。
なお、図5は、本発明における繊維凸状構造転写形成用シートを粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に貼り合わせて、ライン状繊維凸状構造部を転写形成する状態の一例を部分的に示す概略斜視図であり、図5(a)は繊維凸状構造転写形成用シートを粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に貼り合わせた状態を示し、図5(b)は、繊維凸状構造転写形成用シートを貼り合わせ後に剥がして、ライン状繊維凸状構造部を粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に転写形成させている状態を示している。図5において、7は繊維凸状構造転写形成用シート、7aは繊維凸状構造転写形成用シート7における剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)、7bは繊維凸状構造転写形成用シート7における粘着層(転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層)、7cは繊維凸状構造転写形成用シート7における基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、7dは隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー7a間のライン状の空間部、8は粘着剤層に転写形成させるためのライン状繊維起毛部、9粘着テープ又はシート、9aは粘着テープ又はシート9における粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層)、9a1は粘着テープ又はシート用粘着剤層9aの表面、9bは粘着テープ又はシート9における基材(粘着テープ又はシート用基材;単に「基材」と称する場合がある)である。
繊維凸状構造転写形成用シート7は、繊維凸状構造転写形成用シート用基材7cの片面に転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層7bが形成され、該転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層7b上に、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー7aが、ライン状の空間部7dをあけて積層されており、隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー7a間のライン状の空間部7d内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層7bの表面に、粘着テープ又はシート用粘着剤層9aに転写形成するためのライン状繊維起毛部8が形成されている。一方、粘着テープ又はシート9は、支持体としての粘着テープ又はシート用基材9bの片面に粘着テープ又はシート用粘着剤層9aが形成されている。そして、図5(a)で示されるように、繊維凸状構造転写形成用シート7を、粘着テープ又はシート9に貼り合わせることにより(特に、貼り合わせ後に、圧着させることにより)、ライン状繊維起毛部8を、粘着テープ又はシート用粘着剤層9aの表面9a1に転写させることができる。
(繊維凸状構造転写形成用シート)
このように、前記製造方法(C)において、ライン状繊維凸状構造部を転写させる際に用いられる繊維凸状構造転写形成用シートとしては、少なくとも一方の面が、粘着面に対する剥離面となっており、さらに、該剥離面側に、粘着剤層表面にライン状繊維凸状構造部を転写形成させるためのライン状転写形成用繊維凸状構造部を有していることが重要である。前記ライン状転写形成用繊維凸状構造部は、前記ライン状繊維凸状構造部に対応した構造を有している。もちろん、ライン状転写形成用繊維凸状構造部における繊維の種類、長さ、太さなどは、ライン状繊維凸状構造部と同じである。なお、ライン状繊維凸状構造転写形成用シートに、ライン状転写形成用繊維凸状構造部を(特に、ライン状の転写形成用繊維起毛部)を形成する方法としては、特に制限されないが、前述のように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
前記繊維凸状構造転写形成用シートとしては、一方の面側にライン状転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートなどが挙げられる。該繊維凸状構造転写形成用シートとしては、(1)支持体としての基材の両面が剥離面となっており、少なくとも一方の剥離面側にライン状転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シート、(2)支持体としての基材の片面が剥離面となっており、該剥離面側にライン状転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートなどを例示できる。なお、繊維凸状構造転写形成用シートが、このような構成を有している場合、前記(1)の構成の繊維凸状構造転写形成用シートは、両面又は片面にライン状転写形成用繊維凸状構造部を有することができ、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が形成されている面は、部分的に剥離面が露出しており、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が形成されていない面は、全面的に剥離面となっている。また、前記(2)の構成の繊維凸状構造転写形成用シートは、片面にのみライン状転写形成用繊維凸状構造部を有しており、他方の面は基材表面又は他の層(粘着剤層等)とすることができる。
このような繊維凸状構造転写形成用シートとしては、特に、前記剥離面側にライン状の凹部が形成されており、該ライン状の凹部内に、転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートが好適であり、なかでも、前記剥離面側のライン状の凹部の底部に、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも粘着性が低く且つ転写形成用繊維凸状構造部を保持する転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートを好適に用いることができる。このように、転写形成用繊維凸状構造部を保持するための粘着層として、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも粘着性が低い粘着層を用いることにより、転写形成用繊維凸状構造部を、各種粘着剤層に容易に転写形成させることができる。なお、前記剥離面側のライン状の凹部の底部には、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層が形成されておらず、剥離処理層が形成されていてもよい。
具体的には、繊維凸状構造転写形成用シートとしては、(a)図6で示されているように、基材と、前記基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に、ライン状の間隔をあけて設けられた複数の剥離基材とにより形成されているとともに、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が、隣接した剥離基材間、または隣接した剥離基材間および剥離基材と転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の端部との間のライン状の空間部(凹部)内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている構成の繊維凸状構造転写形成用シート(「繊維凸状構造転写形成用シート(a)」と称する場合がある)、(b)図7で示されているように、基材と、前記基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に設けられたライン状の空洞部を有する剥離基材とにより形成されているとともに、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が、剥離基材のライン状の空洞部(凹部)内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている構成の繊維凸状構造転写形成用シート(「繊維凸状構造転写形成用シート(b)」と称する場合がある)、(c)図8で示されているように、ライン状の凹凸構造を有する基材と、該基材のライン状の凸部に形成された剥離処理層と、基材のライン状の凹部の底面に形成された転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層とにより形成されているとともに、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が、基材のライン状の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている構成の繊維凸状構造転写形成用シート(「繊維凸状構造転写形成用シート(c)」と称する場合がある)などが挙げられる。
図6は本発明の繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図6(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図6(b)は図6(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図6において、10は繊維凸状構造転写形成用シート[繊維凸状構造転写形成用シート(a)]、10aは繊維凸状構造転写形成用シート10における剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)、10bは繊維凸状構造転写形成用シート10における粘着層(転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層)、10cは繊維凸状構造転写形成用シート10における基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、10dは隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10a間のライン状の空間部、11は粘着剤層に転写形成させるためのライン状繊維起毛部である。繊維凸状構造転写形成用シート10は、繊維凸状構造転写形成用シート用基材10c上に、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10bが形成されているとともに、該転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10b上に、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10aが、ライン状の間隔をあけて複数貼り合わされており、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10a間や、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10aと転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10bの表面の端部との間のライン状の空間部10d内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10bの表面に、粘着剤層に転写形成するためのライン状繊維起毛部11が形成されている。
図7は本発明の繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図7(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図7(b)は図7(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図7において、12は繊維凸状構造転写形成用シート[繊維凸状構造転写形成用シート(b)]、12aは繊維凸状構造転写形成用シート12における剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)、12bは繊維凸状構造転写形成用シート12における粘着層(転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層)、12cは繊維凸状構造転写形成用シート12における基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、12dは繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー12aにおけるライン状の空洞部、13は粘着剤層に転写形成させるためのライン状繊維起毛部である。繊維凸状構造転写形成用シート12は、繊維凸状構造転写形成用シート用基材12c上に、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層12bが形成されているとともに、該転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層12b上に、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー12aが貼り合わされており、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー12aにおけるライン状の空洞部12d内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層12bの表面に、粘着剤層に転写形成するためのライン状繊維起毛部13が形成されている。
また、図8は本発明の繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図8(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図8(b)は図8(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図8において、14は繊維凸状構造転写形成用シート[繊維凸状構造転写形成用シート(c)]、14aはライン状の凹凸構造を有する基材(凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、14a1は凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材14aのライン状の凸部、14a2は凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材14aのライン状の凹部、14bは凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材14aのライン状の凸部14a1に形成された剥離処理層、14cは凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材14aのライン状の凹部14a2の底面に形成された転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層、15は粘着剤層に転写形成させるためのライン状繊維起毛部である。繊維凸状構造転写形成用シート14は、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材14aにおけるライン状の凸部14a1に剥離処理層14bが形成されているとともに、ライン状の凹部14a2の底面に転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層14cが形成されており、ライン状の凹部14a2内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層14cの表面に、粘着剤層に転写形成するためのライン状繊維起毛部15が形成されている。
具体的には、前記構成(a)の繊維凸状構造転写形成用シート(a)や、前記構成(b)の繊維凸状構造転写形成用シート(b)は、図6や図7で示されているように、基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)と、前記基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に設けられた剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)と、隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間、または隣接した剥離基材間および繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーと転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の端部との間のライン状の空間部、又は繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおけるライン状の空洞部によるライン状の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されたライン状の転写形成用繊維凸状構造部とを有している。このような繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。繊維凸状構造転写形成用シート用基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、プラスチックのフィルムやシートが好ましい。このようなプラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;レーヨンなどが挙げられる。プラスチック材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
繊維凸状構造転写形成用シート用基材の片面または両面には、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
繊維凸状構造転写形成用シート用基材の厚さとしては、例えば、10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度の範囲から選択することができる。
また、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、ライン状繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層など)よりも粘着性(粘着力)が低いことが重要である。ここで、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層が、ライン状繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも粘着性が低いとは、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の粘着力が、粘着剤層の粘着力よりも小さいことを意味している。より具体的には、各々の粘着剤層を有する粘着テープ又はシートを、ステンレス板に23℃の雰囲気下、2kgのローラーで1往復させて粘着し、23℃で30分間放置した後、23℃×65%RHの雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分の条件で、粘着テープ又はシートをステンレス板から剥離させた時の粘着力を測定することで比較することができる。本発明において、前述の条件で測定される、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の粘着力が、ライン状繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層の粘着力よりも小さければよいが、ライン状繊維凸状構造部の転写性の点からは、両者の粘着力の差が、0.1N/20mm以上(好ましくは0.5N/20mm以上)であることが望ましい。このような転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、ライン状繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも低い粘着性を発揮することができれば特に制限されず、公知の粘着剤の中から適宜選択することができ、例えば、前記ライン状繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層を構成する粘着剤と同様の粘着剤により構成されていてもよい。従って、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を構成する粘着剤としては、粘着テープ又はシート用粘着剤層などの粘着剤層を構成する粘着剤の種類に応じて適宜選択することができる。
具体的には、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を構成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤の他、ホットメルト型粘着剤などが挙げられる。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用されていてもよい。また、粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。なお、粘着剤には、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
なお、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、また、ライン状転写形成用繊維凸状構造部を保持することが可能な粘着層であることも重要である。
転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の形成方法としては、公知乃至慣用の粘着剤層の形成方法を採用することができ、例えば、繊維凸状構造転写形成用シート用基材上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を繊維凸状構造転写形成用シート用基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。
転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜100μm(好ましくは10〜50μm)程度の範囲から選択することができる。
さらにまた、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、少なくとも一方の面が剥離面となっている剥離基材を用いることができる。このように、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーは、粘着剤層と貼り合わせる側の面が、少なくとも剥離面となっていることが重要である。従って、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層側の面は、剥離面となっていなくてもよい。なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおいて、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層側の面が剥離面となっていない場合、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)自体を、剥離ライナーとして用いることができる。
より具体的には、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材(転写形成用シート用剥離ライナー基材)の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、例えば、転写形成用シート用剥離ライナー基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーを好適に用いることができる。このような転写形成用シート用剥離ライナー基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。
付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナー(粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に貼り合わせる剥離ライナー)において、シリコーン系剥離処理剤として例示の付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤[すなわち、分子中に、アルケニル基(Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物]と同様のものなどが挙げられる。
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の範囲から選択してもよい。また、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、触媒を用いることができ、その使用量としては、特に制限されず、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の使用量の範囲から選択することができる。
また、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の市販品を用いることができる。
繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける剥離処理層は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして形成することができ、この際、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要であり、その塗布量も前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーの厚み、転写形成用シート用剥離ライナー基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、転写形成用繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
特に、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、ライン状の転写形成用繊維凸状構造部は、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーのライン状の空洞部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている。従って、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、ライン状の転写形成用繊維凸状構造部の転写性の点からは、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーに形成されたライン状の空洞部の外周領域部の厚みが、ライン状の転写形成用繊維凸状構造部の高さと同程度またはそれ以上となっていることが好ましい。
なお、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーのライン状の空洞部を形成する方法としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーにおける凹部の場合や、前記空洞部含有剥離基材におけるライン状の空洞部の場合と同様の形成方法、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、穿孔加工方法(孔部形成機を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法など)では、ライン状の空洞部を有していない剥離ライナーに対して、穿孔加工を行うことにより、ライン状の空洞部を有する繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーを作製しており、ライン状の空洞部を有していない剥離ライナーとしては、前記に示されるような公知の剥離ライナー等の剥離基材を用いることができる。
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおいて、ライン状の空洞部を形成する部位としては、粘着剤層表面に部分的に転写形成させるライン状繊維凸状構造部に対応する部位であることが重要である。
前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)には、前述のように、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が、隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間、または隣接した剥離基材間および繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーと転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の端部との間のライン状の空間部、又は繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおけるライン状の空洞部によるライン状の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている。該ライン状転写形成用繊維凸状構造部は、前述のように、ライン状繊維凸状構造部に対応した構造を有しており、また、その組成(繊維の種類、長さ、太さなど)は、ライン状繊維凸状構造部と同じである。
前記ライン状転写形成用繊維凸状構造部は、前述のように、植毛加工方法を利用して、前記ライン状の凹部(隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間、または隣接した剥離基材間および繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーと転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の端部との間のライン状の空間部によるライン状の凹部、または繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおけるライン状の空洞部によるライン状の凹部)内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に植毛加工を施すことにより、形成することができる。このような植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。
なお、静電植毛加工方法としては、前述のように、例えば、1つの電極に対し、粘着剤層を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(粘着剤層の表面)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
具体的には、繊維凸状構造転写形成用シート用基材と、前記繊維凸状構造転写形成用シート用基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に設けられた繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとが、この順で積層された積層体に、隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間、または隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間および繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーと転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の端部との間のライン状の空間部、または繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおけるライン状の空洞部によるライン状の凹部で露出している転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面に、植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、前記ライン状の凹部に対応した転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の部位に、ライン状転写形成用繊維凸状構造部を形成することができる。
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、粘着剤層表面に転写形成させるライン状繊維凸状構造部に対応する部位が、隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間、または隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間および繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーと転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の端部との間のライン状の空間部、または繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおけるライン状の空洞部等のライン状の凹部となるように、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーを、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層に貼り合わせて、用いることが重要である。
このように、繊維凸状構造転写形成用シートとして、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)を用いる場合、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーに関するライン状の凹部を形成する位置や、前記ライン状の凹部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する位置や、ライン状繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
一方、前記構成(c)の繊維凸状構造転写形成用シート(c)は、図8で示されているように、ライン状の凹凸構造を有する基材(凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材)と、該凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凸部に形成された剥離処理層と、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹部の底面に形成された転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されたライン状転写形成用繊維凸状構造部とを有している。
このような繊維凸状構造転写形成用シート(c)において、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、ライン状の凹凸構造(凹凸部)を有する基材であれば特に制限されない。前記凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様の薄葉体(プラスチック系基材、金属系基材、紙系基材、繊維系基材、ゴム系基材、発泡体等の適宜な薄葉体)により構成することができる。凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材を構成する基材としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様に、プラスチックのフィルムやシートが好ましく、プラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としても同様のものを好適に用いることができる。
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材には、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様に、必要に応じて、無機質充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材には、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様に、その表面には、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材において、ライン状の凸部における厚さとしては、例えば、10〜1000μm、好ましくは30〜500μm程度の範囲から選択することができる。
また、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材において、ライン状の凹部の深さとしては、特に制限されず、ライン状の転写形成用繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。ライン状の転写形成用繊維凸状構造部の転写性の点からは、ライン状の凹部の深さとしては、ライン状の転写形成用繊維凸状構造部の高さと同程度またはそれ以下となっていることが好ましい。
凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹凸部を形成する方法としては、特に制限されない。なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、ライン状の凹凸部を有していない平滑な面を有する基材に、ライン状の凹部を形成させることにより、ライン状の凹凸部を有している基材を用いることができる。従って、例えば、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様の基材に、公知乃至慣用の凹部形成機を用いてライン状の凹部を形成する方法、熱や光線によりライン状の凹部を形成する方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などによりライン状の凹部を形成する方法)、金型(例えば、ライン状の凸部を有する金型など)を用いた成型加工による方法などにより、表面の所定の部位にライン状の凹部を形成することにより、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材を作製することができる。
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材において、ライン状の凹部を形成する部位としては、粘着剤層表面に転写形成させるライン状繊維凸状構造部に対応する部位であることが重要である。
また、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)において、剥離処理層としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)における繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーの剥離処理層を構成する剥離処理剤として例示の剥離処理剤(例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤など)を用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。剥離処理剤としては、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)の場合と同様に、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適であり、なかでも、前記例示の付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。
なお、剥離処理層の形成方法や剥離処理剤の塗布量などは、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)の場合と同様である。例えば、剥離処理層は、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凸部に、剥離処理剤を塗布する方法により形成することができる。
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材自体に、剥離処理機能を有する材料(例えば、低密度ポリエチレン等の低接着性基材の材料など)が使用されている場合には、剥離処理層を形成しなくてもよい場合がある。
さらにまた、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)において、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と同様に、ライン状繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層など)よりも粘着性が低いことが重要である。このような繊維凸状構造転写形成用シート(c)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を構成する粘着剤と同様の粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤の他、ホットメルト型粘着剤など)により構成することができる。
なお、繊維凸状構造転写形成用シート(c)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)の場合と同様に、ライン状転写形成用繊維凸状構造部を保持することが可能な粘着層であることも重要である。
繊維凸状構造転写形成用シート(c)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の形成方法や厚さなどは、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)の場合と同様である。例えば、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層は、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹部に、粘着剤を塗布する方法により形成することができる。
前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)には、前述のように、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている。該ライン状転写形成用繊維凸状構造部は、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(b)におけるライン状転写形成用繊維凸状構造部と同様に、例えば、植毛加工方法(特に静電植毛加工方法)を利用して形成することができる。
具体的には、ライン状の凹凸部を有しているとともに、ライン状の凸部に剥離処理層が形成され且つライン状の凹部の底面に転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層が形成されている凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材に、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面に植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の部位に、ライン状転写形成用繊維凸状構造部を形成することができる。
このように、繊維凸状構造転写形成用シートとして、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)を用いる場合、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材のライン状の凹部を形成する位置や、ライン状の凹部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する位置や、ライン状繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
本発明では、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)や、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)を用いて、粘着剤層表面にライン状繊維凸状構造部を形成した後は、繊維凸状構造転写形成用シート(a)、繊維凸状構造転写形成用シート(b)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)は剥離させてもよいが、そのまま、剥離ライナーとして用いることもできる。
なお、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)や、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)では、ライン状の凹部内でライン状繊維凸状構造部を形成しているため、繊維凸状構造部として、繊維が起毛した状態となっている繊維起毛部を容易に形成することができる。従って、繊維凸状構造部転写形成用シートとして、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)や、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)を用いると、容易に、繊維を起毛した状態で粘着剤層表面に転写することができる。そのため、粘着剤層表面に、起毛した状態の繊維を効果的に転写形成することができ、より少ない繊維の量で、粘着剤層の接着力をコントロールすることが可能である。
本発明の粘着テープ又はシートは、粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部が複数形成されているので、前述のように、被着体に重ね合わせた後、小さな荷重をかけて仮接着を行うことができ、しかも、仮接着後に、貼り直しや、貼り付け位置の修正を十分に且つ容易に行うことができる。すなわち、本発明の粘着テープ又はシートは、被着体を接着させる際のリワーク性や貼付位置修正作業性が優れている。
従って、本発明の粘着テープ又はシートは、仮接着後に、貼り直しや、貼り付け位置の修正を行うことが求められる用途の粘着テープ又はシートとして好適に用いることができ、なかでも、フローリング材を床に貼り合わせる際に用いられる粘着テープ又はシート(フローリング材貼付用粘着テープ又はシート)として有用である。なお、フローリング材貼付用粘着テープ又はシートとして用いる場合、粘着テープ又はシートとしては、基材の両面に粘着剤層を有し、且つ基材の一方の面の粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部を有している基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート[すなわち、基材の一方の面に、表面にライン状繊維凸状構造部を有する粘着剤層(ライン状繊維凸状構造部形成粘着剤層)が形成され、基材の他方の面に、表面に繊維凸状構造部を有していない粘着剤層(繊維凸状構造部非形成粘着剤層)が形成された基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート]を好適に用いることができる。
本発明の粘着テープ又はシートを用いて、フローリング材を床に貼り合わせる方法としては、粘着テープ又はシートを介してフローリング材を床に貼り合わせる方法であれば特に制限されないが、例えば、次のような貼り合わせ方法が好適である。
[フローリング材の床への貼り合わせ方法]
粘着テープ又はシートとして、例えば、基材の一方の面にライン状繊維凸状構造部形成粘着剤層を有し、且つ基材の他方の面に繊維凸状構造部非形成粘着剤層を有している基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートを用い、該粘着テープ又はシートにおける繊維凸状構造部非形成粘着剤層側の粘着面をフローリング材に貼り合わせた後、フローリング材を所定の場所に差し込み、ライン状繊維凸状構造部形成粘着剤層の粘着面を床に貼り合わせて仮接着させ、さらに、フローリング材を床に沿って所定の場所まで移動させた後、強い圧着により、粘着テープ又はシートを介してフローリング材を床に強固に貼り合わせる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例や比較例では、繊維を正の電荷に帯電させた状態で噴霧することができ、且つ一方の側から他方の側に長尺帯状のシートを負の電荷に帯電させた状態で流すことができるラインが設けられたボックス(サイズ:ラインの流れ方向の長さ:2.5m×幅:1.3m×高さ:1.4m)を用いて、静電植毛加工を施した。具体的には、繊維を前記ボックス内の上部(1カ所)より噴霧し、印加電圧:30kVで噴霧した状態で、該ボックス内に、長尺帯状のシートを、植毛する面が上面となる形態で、ライン速度:5m/分で導入してライン上を移動させることにより、静電植毛加工を施した。なお、実施例1、2、3は、参考例として記載するものである。
(実施例1)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーA1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーA1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーA1を、幅20mmに切断して、短冊状の剥離ライナー(「短冊状剥離ライナーA1」と称する場合がある)を作製した。
また、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーA2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーA2の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層A1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層A1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材A1」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材A1(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層A2」と称する場合がある)を形成して、さらに、85mm幅に切断して、両面粘着シート(「両面粘着シートA」と称する場合がある)を作製した。
前記両面粘着シートAの粘着剤層A2の表面(幅:85mm)に、4枚の短冊状剥離ライナーA1(幅:20mm)を、短冊状剥離ライナーA1と粘着剤層A2の表面における幅方向の端部との間の部分、および隣接した短冊状剥離ライナーA1間の部分で、粘着剤層表面が1mmの幅で露出するように、貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3デニール、繊維長さ0.3mm)を用いて、短冊状剥離ライナーA1を貼り合わせた粘着剤層A2側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層A2の露出している表面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、図9に示されるような、一方の粘着剤層の表面に、ライン状の繊維起毛部を有する両面粘着シート(「ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートA」と称する場合がある)を作製した。
図9は実施例1に係るライン状繊維起毛部形成両面粘着シートAを幅方向に切断した際の概略断面図である。図9において、16はライン状繊維起毛部形成両面粘着シートA、16aは短冊状剥離ライナーA1、16bはライン状の繊維起毛部、16cは表面にライン状の繊維起毛部が形成された粘着剤層A2、16dは基材A1、16eは粘着剤層A1、16fは剥離ライナーA2を示す。
(実施例2)
ポリエチレンフィルム(商品名「NSO」大倉工業社製;厚み60μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーB1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーB1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーB1を、幅30mmに切断して、短冊状の剥離ライナー(「短冊状剥離ライナーB1」と称する場合がある)を作製した。
また、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーB2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーB2の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層B1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層B1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材B1」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材B1(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層B2」と称する場合がある)を形成して、さらに、125mm幅に切断して、両面粘着シート(「両面粘着シートB」と称する場合がある)を作製した。
前記両面粘着シートBの粘着剤層B2の表面(幅:125mm)に、4枚の短冊状剥離ライナーB1(幅:30mm)を、短冊状剥離ライナーB1と粘着剤層B2の表面における幅方向の端部との間の部分、および隣接した短冊状剥離ライナーB1間の部分で、粘着剤層表面が1mmの幅で露出するように、貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3デニール、繊維長さ1mm)を用いて、短冊状剥離ライナーB1を貼り合わせた粘着剤層B2側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層B2の露出している表面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、一方の粘着剤層の表面に、ライン状の繊維起毛部を有する両面粘着シート(「ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートB」と称する場合がある)を作製した。
(実施例3)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーC1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーC1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーC1を、幅40mmに切断して、短冊状の剥離ライナー(「短冊状剥離ライナーC」と称する場合がある)を作製した。
ポリエチレンフィルム(商品名「SHO」大倉工業社製;厚み50μm)の片面に、アクリル系粘着剤(商品名「レオコート1020」東レコーテックス社製)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層C」と称する場合がある)を形成して、さらに、165mm幅に切断して、両面粘着シート(「両面粘着シートC」と称する場合がある)を作製した。
前記両面粘着シートCの粘着剤層Cの表面(幅:165mm)に、4枚の短冊状剥離ライナーC(幅:40mm)を、短冊状剥離ライナーCと粘着剤層Cの表面における幅方向の端部との間の部分、および隣接した短冊状剥離ライナーC間の部分で、粘着剤層表面が1mmの幅で露出するように、貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3デニール、繊維長さ0.3mm)を用いて、短冊状剥離ライナーCを貼り合わせた粘着剤層C側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層Cの露出している表面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、一方の粘着剤層の表面に、ライン状の繊維起毛部を有する両面粘着シート(「ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートC」と称する場合がある)を作製した。
(比較例1)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、さらに、85mm幅に切断して、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーD1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーD1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーD2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーD2の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層D1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層D1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材D1」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材D1(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層D2」と称する場合がある)を形成して、さらに、85mm幅に切断した後、粘着剤層D2の表面に剥離ライナーD1を貼り合わせて、両面粘着シート(「両面粘着シートD」と称する場合がある)を作製した。
従って、該比較例1に係る両面粘着シートDは、実施例1に係る両面粘着シートAと同様の構成の両面粘着シートである。
(評価)
実施例1〜3により得られたライン状繊維起毛部形成両面粘着シート(ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートA〜C)、および比較例1により得られた両面粘着シートDから、それぞれ、短冊状剥離ライナーA1(実施例1)、短冊状剥離ライナーB1(実施例2)、短冊状剥離ライナーC(実施例3)、剥離ライナーD1(比較例1)を剥がして、アクリル板に、もう一方の剥離ライナー側から、25g/22.5cm2の荷重をかけて仮接着させた後、両面粘着シートを貼り付けた位置より6mm移動させてから、強く圧着させ、この時の移動が容易であるかどうかによって、貼付位置修正作業性を評価した。
また、貼り付けた後、24時間、室温(23℃)で放置した後、もう一方の剥離ライナーを剥がし、ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)を裏打ちして、テンシロン引張試験機を用いて、アクリル板に対する接着力を測定し、比較例1の両面粘着シートDの接着力に対する割合により、表面にライン状の繊維起毛部を有する粘着剤層による接着力を評価した。
これらの評価結果は、それぞれ、表1の「貼付位置修正作業性」、「接着力回復率(%)」の欄に示した。
(実施例4)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−774」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーE1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーE1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーE1を、幅20mmに切断して、短冊状の剥離ライナー(「短冊状剥離ライナーE1」と称する場合がある)を作製した。
ポリエチレンフィルム(商品名「SHO」大倉工業社製;厚み50μm;「基材E1」と称する場合がある)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離処理層(「剥離処理層E1」と称する場合がある)を形成した後、前記ポリエチレンフィルムの他方の面に、アクリル系粘着剤(商品名「レオコート1020」東レコーテックス社製)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層E1」と称する場合がある)を形成して、さらに、85mm幅に切断して、片面のみに粘着剤層を有する粘着シート(「粘着シートE1」と称する場合がある)を作製した。
その後、前記粘着シートE1の粘着剤層E1の表面(幅:85mm)に、4枚の短冊状剥離ライナーE1(幅:20mm)を、短冊状剥離ライナーE1と粘着剤層E1の表面における幅方向の端部との間の部分、および隣接した短冊状剥離ライナーE1間の部分で、粘着剤層表面が1mmの幅で露出するように、且つ、粘着シートE1の粘着剤層E1と短冊状剥離ライナーE1の剥離処理層が形成されていない側の面(剥離処理層非形成面)とが接触するように、貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3デニール、繊維長さ0.3mm)を用いて、短冊状剥離ライナーE1を貼り合わせた粘着剤層E1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層E1の露出している表面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、図10に示されるような、粘着剤層の表面に、ライン状の繊維起毛部を有する粘着シート(「ライン状繊維起毛部転写形成用シートE」と称する場合がある)を作製した。
図10は実施例4に係るライン状繊維起毛部転写形成用シートEを幅方向に切断した際の概略断面図である。図10において、17はライン状繊維起毛部転写形成用シートE、17aは短冊状剥離ライナーE1、17bはライン状の繊維起毛部、17cは表面にライン状の繊維起毛部が形成された粘着剤層E1、17dは基材E1、16eは剥離処理層E1を示す。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーE2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーE2の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層E2」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層E2の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材E2」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材E2(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層E3」と称する場合がある)を形成して、さらに、85mm幅に切断して、両面粘着シート(「両面粘着シートE」と称する場合がある)を作製した。
なお、粘着剤層E3の粘着力は、粘着剤層E1よりも大きい。具体的には、粘着剤層E3の粘着力(23℃×65%RH、180°剥離、引張速度300mm/分)は8N/20mmであり、粘着剤層E1の粘着力(23℃×65%RH、180°剥離、引張速度300mm/分)は3N/20mmであった。なお、該粘着力は、粘着剤層E3の場合、両面粘着シートEの粘着剤層E3の面を、粘着剤層E1の場合、粘着シートE1の粘着剤層E1の面を、ステンレス板に23℃の雰囲気下、2kgローラーで1往復にて貼着し、23℃で30分放置した後、23℃×65%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分の条件で、両面粘着シートE、または粘着シートE1を剥離させて測定した。
その後、両面粘着シートEの粘着剤層E3の表面に、ライン状繊維起毛部転写形成用シートEを、両面粘着シートEの粘着剤層E3と、ライン状繊維起毛部転写形成用シートEにおける静電植毛加工を施した側の面(ライン状の繊維起毛部が形成された側の面)とが接触するように、貼り合わせて、圧着した。次いで、剥離ライナーE2を、両面粘着シートEから剥がした後、ライン状繊維起毛部転写形成用シートEの剥離処理層E1側の面を内側にして巻回して、一方の粘着剤層の表面に転写により形成された、ライン状の繊維起毛部を有する両面粘着シート(「ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートE」と称する場合がある)を、巻回体の形態で、作製した。
従って、ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートEにおいて、ライン状繊維起毛部転写形成用シートEは、ライン状の繊維起毛部が粘着剤層E3に転写された後は、剥離ライナーとして利用することができる。すなわち、ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートEにおいて、ライン状の繊維起毛部が転写により形成された粘着剤層E3の表面は、ライン状繊維起毛部転写形成用シートEから転写によりライン状の繊維起毛部が取り除かれた形態の剥離ライナー(「剥離ライナーE3」と称する場合がある)により保護することができる。
(実施例5)
ポリエチレンフィルム(商品名「NSO」大倉工業社製;厚み60μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−774」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーF1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーF1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーF1を、幅30mmに切断して、短冊状の剥離ライナー(「短冊状剥離ライナーF1」と称する場合がある)を作製した。
ポリエチレンフィルム(商品名「SHO」大倉工業社製;厚み50μm;「基材F1」と称する場合がある)の片面に、アクリル系粘着剤(商品名「レオコート1020」東レコーテックス社製)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層F1」と称する場合がある)を形成して、さらに、125mm幅に切断して、片面のみに粘着剤層を有する粘着シート(「粘着シートF1」と称する場合がある)を作製した。
その後、前記粘着シートF1の粘着剤層F1の表面(幅:125mm)に、4枚の短冊状剥離ライナーF1(幅:30mm)を、短冊状剥離ライナーF1と粘着剤層F1の表面における幅方向の端部との間の部分、および隣接した短冊状剥離ライナーF1間の部分で、粘着剤層表面が1mmの幅で露出するように、且つ、粘着シートF1の粘着剤層F1と短冊状剥離ライナーF1の剥離処理層F1が形成されていない側の面(剥離処理層非形成面)とが接触するように、貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3デニール、繊維長さ1mm)を用いて、短冊状剥離ライナーF1を貼り合わせた粘着剤層F1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層F1の露出している表面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、粘着剤層の表面に、ライン状の繊維起毛部を有する粘着シート(「ライン状繊維起毛部転写形成用シートF」と称する場合がある)を作製した。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーF2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーF2の剥離処理面に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層F2」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層F2の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材F2」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材F2(ポリエステル系不織布)の表面に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層F3」と称する場合がある)を形成して、さらに、125mm幅に切断して、両面粘着シート(「両面粘着シートF」と称する場合がある)を作製した。
なお、粘着剤層F3の粘着力は、粘着剤層F1よりも大きい。具体的には、粘着剤層F3の粘着力(23℃×65%RH、180°剥離、引張速度300mm/分)は11N/20mmであり、粘着剤層F1の粘着力(23℃×65%RH、180°剥離、引張速度300mm/分)は3N/20mmであった。なお、該粘着力は、粘着剤層F3の場合、両面粘着シートFの粘着剤層F3の面を、粘着剤層F1の場合、粘着シートF1の粘着剤層F1の面を、ステンレス板に23℃の雰囲気下、2kgローラーで1往復にて貼着し、23℃で30分放置した後、23℃×65%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分の条件で、両面粘着シートF、または粘着シートF1を剥離させて測定した。
その後、両面粘着シートFの粘着剤層F3の表面に、ライン状繊維起毛部転写形成用シートFを、両面粘着シートFの粘着剤層F3と、ライン状繊維起毛部転写形成用シートFにおける静電植毛加工を施した側の面(ライン状の繊維起毛部が形成された側の面)とが接触するように、貼り合わせて、圧着した。次いで、剥離ライナーF2を、両面粘着シートFから剥がした後、ライン状繊維起毛部転写形成用シートFの剥離処理層F1側の面を内側にして巻回して、一方の粘着剤層の表面に転写により形成された、ライン状の繊維起毛部を有する両面粘着シート(「ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートF」と称する場合がある)を、巻回体の形態で、作製した。
従って、ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートFにおいて、ライン状繊維起毛部転写形成用シートFは、ライン状の繊維起毛部が粘着剤層F3に転写された後は、剥離ライナーとして利用することができる。すなわち、ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートFにおいて、ライン状の繊維起毛部が転写により形成された粘着剤層F3の表面は、ライン状繊維起毛部転写形成用シートFから転写によりライン状の繊維起毛部が取り除かれた形態の剥離ライナー(「剥離ライナーF3」と称する場合がある)により保護することができる。
(実施例6)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−774」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーG1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーG1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーG1を、幅40mmに切断して、短冊状の剥離ライナー(「短冊状剥離ライナーG1」と称する場合がある)を作製した。
ポリエチレンフィルム(商品名「SHO」大倉工業社製;厚み50μm;「基材G1」と称する場合がある)の片面に、アクリル系粘着剤(商品名「レオコート1020」東レコーテックス社製)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層G1」と称する場合がある)を形成して、さらに、165mm幅に切断して、片面のみに粘着剤層を有する粘着シート(「粘着シートG1」と称する場合がある)を作製した。
その後、前記粘着シートG1の粘着剤層G1の表面(幅:165mm)に、4枚の短冊状剥離ライナーG1(幅:40mm)を、短冊状剥離ライナーG1と粘着剤層G1の表面における幅方向の端部との間の部分、および隣接した短冊状剥離ライナーG1間の部分で、粘着剤層表面が1mmの幅で露出するように、且つ、粘着シートG1の粘着剤層G1と短冊状剥離ライナーG1の剥離処理層G1が形成されていない側の面(剥離処理層非形成面)とが接触するように、貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3デニール、繊維長さ0.3mm)を用いて、短冊状剥離ライナーG1を貼り合わせた粘着剤層G1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層G1の露出している表面に前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、粘着剤層の表面に、ライン状の繊維起毛部を有する粘着シート(「ライン状繊維起毛部転写形成用シートG」と称する場合がある)を作製した。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーG2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーG2の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層G2」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層G2の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材G2」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材G2(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層G3」と称する場合がある)を形成して、さらに、165mm幅に切断して、両面粘着シート(「両面粘着シートG」と称する場合がある)を作製した。
なお、粘着剤層G3の粘着力は、粘着剤層G1よりも大きい。具体的には、粘着剤層G3の粘着力(23℃×65%RH、180°剥離、引張速度300mm/分)は8N/20mmであり、粘着剤層G1の粘着力(23℃×65%RH、180°剥離、引張速度300mm/分)は3N/20mmであった。なお、該粘着力は、粘着剤層G3の場合、両面粘着シートGの粘着剤層G3の面を、粘着剤層G1の場合、粘着シートG1の粘着剤層G1の面を、ステンレス板に23℃の雰囲気下、2kgローラーで1往復にて貼着し、23℃で30分放置した後、23℃×65%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分の条件で、両面粘着シートG、または粘着シートG1を剥離させて測定した。
その後、両面粘着シートGの粘着剤層G3の表面に、ライン状繊維起毛部転写形成用シートGを、両面粘着シートGの粘着剤層G3と、ライン状繊維起毛部転写形成用シートGにおける静電植毛加工を施した側の面(ライン状の繊維起毛部が形成された側の面)とが接触するように、貼り合わせて、圧着した。次いで、剥離ライナーG2を、両面粘着シートGから剥がした後、ライン状繊維起毛部転写形成用シートGの剥離処理層G1側の面を内側にして巻回して、一方の粘着剤層の表面に転写により形成された、ライン状の繊維起毛部を有する両面粘着シート(「ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートG」と称する場合がある)を、巻回体の形態で、作製した。
従って、ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートGにおいて、ライン状繊維起毛部転写形成用シートGは、ライン状の繊維起毛部が粘着剤層G3に転写された後は、剥離ライナーとして利用することができる。すなわち、ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートGにおいて、ライン状の繊維起毛部が転写により形成された粘着剤層G3の表面は、ライン状繊維起毛部転写形成用シートGから転写によりライン状の繊維起毛部が取り除かれた形態の剥離ライナー(「剥離ライナーG3」と称する場合がある)により保護することができる。
(比較例2)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−774」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、さらに、85mm幅に切断して、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーH1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーH1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
ポリエチレンフィルム(商品名「SHO」大倉工業社製;厚み50μm;「基材H1」と称する場合がある)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離処理層(「剥離処理層H1」と称する場合がある)を形成した後、前記ポリエチレンフィルムの他方の面に、アクリル系粘着剤(商品名「レオコート1020」東レコーテックス社製)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層H1」と称する場合がある)を形成して、さらに、85mm幅に切断して、片面のみに粘着剤層を有する粘着シート(「粘着シートE1」と称する場合がある)を作製した。
その後、前記粘着シートH1の粘着剤層H1の表面(幅:85mm)に、剥離ライナーH1(幅:85mm)を、粘着シートH1の粘着剤層H1と短冊状剥離ライナーH1の剥離処理層H1が形成されていない側の面(剥離処理層非形成面)とが接触するように、貼り合わせて、剥離ライナー(「剥離ライナーH2」と称する場合がある)を作製した。
ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーH3」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーH3の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層H1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層H1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材H1」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材H1(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層H2」と称する場合がある)を形成して、さらに、85mm幅に切断した後、粘着剤層H2の表面に剥離ライナーH2を貼り合わせて、次いで、剥離ライナーH3を、両面粘着シートHから剥がした後、剥離ライナーH2の剥離処理層H1側の面を内側にして巻回して、両面粘着シート(「両面粘着シートH」と称する場合がある)を作製した。
従って、該比較例2に係る両面粘着シートHは、実施例4に係る両面粘着シートEと同様の構成の両面粘着シートである。
(評価)
実施例4〜6により得られたライン状繊維起毛部形成両面粘着シート(ライン状繊維起毛部形成両面粘着シートE〜G)、および比較例2により得られた両面粘着シートHを、それぞれ、巻き戻した後、それぞれの露出した粘着面(実施例4では粘着剤層E2、実施例5では粘着剤層F2、実施例6では粘着剤層G2、比較例2では粘着剤層H1)に、巻回する際に剥がした剥離ライナー(実施例4では剥離ライナーE2、実施例5では剥離ライナーF2、実施例6では剥離ライナーG2、比較例2では剥離ライナーH3)を貼り合わせ、さらに、他方の粘着面側の剥離ライナー(実施例4では剥離ライナーE3、実施例5では剥離ライナーF3、実施例6では剥離ライナーG3、比較例2では剥離ライナーH2)を剥がして(これにより、実施例4ではライン状の繊維起毛部が粘着剤層E3に転写され、実施例5ではライン状の繊維起毛部が粘着剤層F3に転写され、実施例6ではライン状の繊維起毛部が粘着剤層G3に転写される)、アクリル板に、もう一方の剥離ライナー側から、25g/22.5cm2の荷重をかけて仮接着させた後、両面粘着シートを貼り付けた位置より6mm移動させてから、強く圧着させ、この時の移動が容易であるかどうかによって、貼付位置修正作業性を評価した。
また、貼り付けた後、24時間、室温(23℃)で放置した後、もう一方の剥離ライナーを剥がし、ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)を裏打ちして、テンシロン引張試験機を用いて、アクリル板に対する接着力を測定し、比較例2の両面粘着シートHの接着力に対する割合により、表面にライン状の繊維起毛部を有する粘着剤層による接着力を評価した。
これらの評価結果は、それぞれ、表2の「貼付位置修正作業性」、「接着力回復率(%)」の欄に示した。
表1〜2より明らかなように、実施例に係る粘着シート(粘着剤層の表面にライン状の繊維起毛部を有する粘着シート)は、初期貼り付け後の位置修正が容易であり、強く貼り付けた後の接着力は良好であることが確認された。