JP4779940B2 - 静電霧化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を保持する放電極と対向電極との間に高電圧を印加することで帯電微粒子液を生成する静電霧化装置に関するものである。
従来から、放電極の表面に液体を供給するとともに、この放電極と対向して位置する対向電極との間に高電圧を印加することで、放電極上に保持される液体を静電霧化させて帯電微粒子液を生成し、放電極から対向電極に向けて生じるイオン風にこの帯電微粒子液を乗せて外部に放出する構成の静電霧化装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
上記静電霧化装置にあっては帯電微粒子液を発生させる際に騒音が生じるという問題がある。ここで、一般的には騒音を低減させる為に騒音発生源をハウジングで囲んでしまうといった方策が考えられる。しかし、静電霧化装置における騒音発生源は放電極と対向電極との間の部分であり、ここから帯電微粒子液やこれを運ぶイオン風が発生する構成であることから、該騒音発生源をハウジングにより完全に囲むことはできない。したがって上記の方策により騒音を低減させることは困難である。
特開2005−131549号公報
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、運転時の騒音を低減することができ、且つイオン風の流れを阻害することなく帯電微粒子液を放出することが可能な静電霧化装置を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明の静電霧化装置16は、液供給手段1により表面に液体を供給される放電極2と、放電極2と対向して位置する対向電極4と、上記放電極2と対向電極4とを内部に納めて内部に放電空間S1を有する筐体3と、放電極2と対向電極4との間に高電圧を印加する電圧印加部5とを備え、上記放電空間S1内において放電極2上に保持される液体を高電圧印加により静電霧化させることで生じる帯電微粒子液Mを、放電極2から対向電極4に向けて生じるイオン風に乗せて上記内部が放電空間S1となった筐体3の先端部から筐体1外に放出するものにおいて、上記筐体3の先端部に、対向電極4を通過したイオン風を筐体3先端部より下流側に向けて通過させる放出用筒部9を一体に形成し、上記一体となった放出用筒部9及び筐体3に消音構造を設けて消音ダクト7を構成していることを特徴とするものである。
このような構成とすることで、帯電微粒子液M発生時に生じた騒音を、筐体3部分における消音構造により騒音の発生源で騒音を低減させると共に帯電微粒子液Mを含むイオン風を対向電極4から下流側に向けて放出用筒部9内を通過させる際に帯電微粒子液M発生時に生じた騒音を低減させることができる。このときイオン風の流れを阻害するどころか、放出用筒部9通過時にイオン風を効果的に整流させて通常は拡散してしまう帯電微粒子液Mを下流側の所定方向に向けて円滑に放出させることが可能となる。また、上記のように帯電微粒子液M発生時及び放出用筒部9通過時に騒音を低減する構造とするに当って、筐体3の先端部にイオン風を対向電極4から下流側に向けて通過させる放出用筒部9を一体に形成し、上記一体となった放出用筒部9及び筐体3に消音構造を設けて消音ダクト7を構成しているので、簡単な構成で消音構造を筐体3から放出用筒部9にかけて連続して切れ目無く構成することが可能となる。
また、一体となった放出用筒部9及び筐体3の外周部を吸音材10を介して外筒8で囲み、少なくとも放出用筒部9に貫通穴9aを設けることが好ましい。
このような構成とすることで、吸音材10を一体となった放出用筒部9及び筐体3と外筒8とで内外から保持するという簡単な構造で消音構造を構成することができる。
また、一体となった放出用筒部9及び筐体3の内壁に吸音構造を設けて消音ダクト7を構成することが好ましい。
このような構成とすることで、帯電微粒子液M発生の際に発生する騒音を発生源及び放出のために通過させる際に放出用筒部9及び筐体3の内壁に設けた消音構造により効果的に低減させることができる。
本発明は、消音構造を筐体から放出用筒部にかけて連続して切れ目無く構成できて、運転時の騒音を低減することができ、且つイオン風の流れを阻害することなく帯電微粒子液を放出することができ、また、騒音の低減に当って放出用筒部を短くすることが可能となり装置全体を小型化することが可能となる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図1には、本発明の静電霧化装置16の一実施形態を模式的に示しており、図2には他の実施形態を模式的に示している。
まず、図1に示す実施形態から説明する。図1に示す実施形態の静電霧化装置16は、水道水等の液体を貯める貯液部1aと、この貯液部1aに基端側を挿通させて支持される棒状の放電極2と、貯液部1a及び放電極2を収容し且つ先端部に放出用筒部9を一体に形成した筐体3と、筐体3の先端部の開口部3a内に位置するように筐体3に嵌め込み支持させてあるリング状の対向電極4と、放電極2と対向電極4との間に高電圧を印加する電圧印加部5とを具備している。
上記放電極2は、先端が針状に尖るように多孔質セラミック等の多孔質体を用いて形成したもので、基端側は貯液部1a内の液体と接触してこれを毛細管現象により先端側に向けて搬送する構造になっている。なお、貯液部1a内の液体は給液パイプ6を通じて供給される。また図示例では放電極2を1本だけ備えているが、複数本備えてあっても構わない。
上記対向電極4は、そのリング状を成す板面が放電極2の中心軸と直交し、且つその板面の中央穴を放電極2の中心軸が通過するように配してある。また、対向電極4と放電極2との間に所定距離を隔てることで、対向電極4と放電極2の先端とが交差しないように設けている。
そして内部に上記放電極2と対向電極4とを備えた筐体3の先端部にすでに述べたように放出用筒部9を一体に形成することで放出用筒兼用筐体15を構成してある。
この筐体3と放出用筒部9とを一体化して構成した放出用筒兼用筐体15には消音構造を設けて消音ダクト7を構成してある。つまり、放出用筒兼用筐体15に消音構造を設けた場合、消音構造を設けた筐体3部分が上流側消音ダクト部7Aとなり且つ消音構造を設けた放出用筒部9部分が下流側消音ダクト部7Bとなり、上記上流側消音ダクト部7Aの主体を構成する筐体3の先端部に下流側消音ダクト部7Bの主体を構成する放出用筒部9を一体に設けることで、上流側の消音ダクト7aと下流側の消音ダクト7bとが一体となった消音ダクト7を構成している。
ここで、筐体3に設ける消音構造と、放出用筒部9に設ける消音構造とは同じ構造であってもよく、あるいは異なる構造のものであってもよい。具体的な消音構造については後述する。
しかして上記構成の静電霧化装置16の貯液部1a内に液体を充填させると、貯液部1a内の液体は放電極2の毛細管現象により基端側から先端側に向けて吸上げられる。このとき放電極2側がマイナス電極となって電荷が集中するように電圧印加部5によって放電極2と対向電極4との間に高電圧を印加させることで、放電極2内に吸上げられて保持される液体を更に先端側に引き寄せるとともに先端部分で静電霧化現象により霧化させ、高い電荷を持つ帯電微粒子液Mを発生させることができる。なお、ここでの帯電微粒子液Mとは、ナノメータサイズの粒径のものを含む帯電状態の微粒子液であり、空気中にミスト状態で浮遊可能なものである。
なお、ここでの静電霧化現象とは、放電極2と対向電極4との間に印加した電圧により放電極2の先端部に保持される液体が帯電し、この帯電した液体にクーロン力が働くことでその液面が局所的に円錐形状(テイラーコーン)を成すように盛り上がり、円錐形状となった液体の先端に電荷が集中して高密度となった電荷の反発力で弾けるようにして分裂、飛散(レイリー分裂)して静電霧化を行う現象であると考えられる。
上記のように上流側消音ダクト部7Aの主体を構成する筐体3内で発生した帯電微粒子液Mは、放電極2と対向電極4との間の放電により生じるイオン風に乗って効率良く送り出され、リング状を成す対向電極4の中央穴を通過して下流側消音ダクト部7Bを構成する放出用筒部9内を通過して静電霧化装置16の外部へと放出されるものである。ここでのイオン風は、放電電流の流れる方向(即ち、放電極2から対向電極4に向かう方向)に生じる空気の流れであり、放電により生じた空気中のイオンが対向電極4に引き付けられる際に周囲の空気分子と衝突することにより発生する。
帯電微粒子液Mの発生時に騒音が発生するが、上流側消音ダクト部7Aにより騒音の発生源部分で騒音を低減し、更に、帯電微粒子液Mを含むイオン風を対向電極4から下流側に向けて放出用筒部9内を通過させる際に、下流側消音ダクト部7Bにより上記騒音を低減させるものである。加えて下流側消音ダクト部7Bの主体を構成する放出用筒部9は、イオン風を整流させて通常は拡散してしまう帯電微粒子液Mを所定方向に向けて、実用可能な濃度で放出させるものである。
図2に示すものは、放電極2の先端表面に液体を供給する液供給手段1として、図1に示したような放電極2自身の毛細管現象により基端側から先端側へと液体を吸上げさせる手段を用いるのではなく、放電極2を冷却することで該放電極2の表面に液体となる結露水を直接生成させることで液供給手段1を構成してある。つまり、本実施形態では冷却手段1bが液供給手段1を構成している。図2には冷却手段1bの一例が示してあり、ペルチェユニットから成る熱交換部20の吸熱面20a上に放電極2を立設するとともに熱交換部20の放熱面20b側を放熱板21と接続させ、この放熱板21上に、外気導入用の窓部22を複数開口させてある筐体3を放電極2を囲むように立設させる。そして、ペルチェユニットから成る熱交換部20に通電することで、放電極2を冷却して空気中の水分を放電極2に結露させて液を供給するようになっている。
本実施形態においても、図1に示す実施形態と同様に内部に上記放電極2と対向電極4とを備えた筐体3の先端部には放出用筒部9を一体に形成してあり、この一体となった筐体3と放出用筒部9とに消音構造が設けてある。つまり、本実施形態においても、消音構造を設けた筐体3部分が上流側消音ダクト部7Aとなり且つ消音構造を設けた放出用筒部9部分が下流側消音ダクト部7Bとなり、上記上流側消音ダクト部7Aの主体を構成する筐体3の先端部に下流側消音ダクト部7Bの主体を構成する放出用筒部9を一体に設けることで、上流側の消音ダクト7aと下流側の消音ダクト7bとが一体となった消音ダクト7を構成している。
帯電微粒子液Mを生成し、この帯電微粒子液Mは、放電極2と対向電極4との間の放電により生じるイオン風に乗ってリング状を成す対向電極4の中央穴を通過して放出用筒部9内を通過して静電霧化装置16の外部へと放出される。また、本実施形態においても、帯電微粒子液Mの発生時に騒音が発生するが、上流側消音ダクト部7Aにより騒音の発生源部分で騒音を低減し、更に、帯電微粒子液Mを含むイオン風を対向電極4から下流側に向けて放出用筒部9内を通過させる際に、下流側消音ダクト部7Bにより上記騒音を低減させるものであり、また、放出用筒部9を通過させることで、イオン風を整流させて帯電微粒子液Mを所定方向に向けて放出させることができる。
次に、本発明の具体例につき図3乃至図5に基づいて説明する。
本実施形態は液供給手段1を、放電極2を冷却することで空気中の水分を該放電極2の表面に液体となる結露水を直接生成することにより構成した具体例が示してある。
図中20はペルチェユニットから成る熱交換部で、この熱交換部20の冷却部を構成する吸熱面20a上に放電極2を立設するとともに熱交換部20の放熱面20b側を放熱板21と接続させ、この放熱板21上に、先端部に筒状の放出用筒部9を一体に形成した筐体3が放電極2を囲むように立設させる。筐体3には外気導入用の窓部22を複数開口させてある。
放出用筒部9と筐体3はPBT樹脂やポリカーボネート樹脂やPPS樹脂等の絶縁材料を用いて一体に形成して放出用筒兼用筐体15を構成してあり、一体に形成した放出用筒兼用筐体15の筐体3部分の後端部側の開口部の外周縁にはその全周に亘って連結用のフランジ部3bを突設するとともに、該筐体3部分の先端部にはインサート成形等により一体成形したリング状の対向電極4を位置させている。上記フランジ部3bに設けた孔を介してフランジ部3bを放熱板21にねじ止めすることで筐体3をペルチェユニットよりなる熱交換部20に連結させている。
放出用筒兼用筐体15の筐体3部分は内部を隔壁3cにより仕切って放電空間S1と封止空間S2とに二分割してあり、隔壁3cの中央には両空間S1、S2を連通させる連通孔3dが設けてある。
放電極2はペルチェユニットからなる熱交換部20の冷却部に設けられるのであるが、添付図面に示す実施形態においては、筐体3を熱交換部20に連結する際に、上記放電極2を筐体3に設けた隔壁3cの連通孔3dに嵌め込んで放電極2の先端側を放電空間S1内に位置させると共に、放電極2の後端部の大径となった部分を封止空間S2内に位置させ、更に、封止空間S2内に熱交換部20を構成するペルチェユニットを収納してペルチェユニットの放熱面20bを放電極2の後端部に押し付け、この状態で上記のように筐体3を放熱板21に固着することで、隔壁3cと放熱板21とで放電極2の後端部の大径となった部分とペルチェユニットとを挟持して保持するようになっており、この挟み込みによって放電極2がペルチェユニットの吸熱面20aに押圧されて接続状態となる。この場合、封止空間S2内に水が浸入しないように封止材により封止される。
上記ペルチェユニットはリード線25を介して冷却用電源26に接続してある。
上記のように筐体3を放熱板21に取付けることで、放電極2の基部を除いた部分が筒状をした筐体3の放電空間S1内に位置するように保持される。放電極2の中心軸は筒状の筐体3の中心軸と略一致しており、また、筒状の筐体3部分の先端部に設けたリング形状をした対向電極4は放電極2の中心軸と直交し且つ放電極2の中心軸はリング形状をした対向電極4の中心軸と略一致している。
なお図示例では放電極2を1本だけ備えているが、複数本備えてあっても構わない。この場合は、筒状の筐体3の中心軸上に複数の放電極2間の中心が位置するようにする。
また、筐体3に複数設けた外気導入用の窓部22は放電空間S1と外部空間とを連通している。
図中27は、筐体3の放電空間S1内において一端側が放電極2に接続されるとともに他端側が筐体3外に引き出されて電圧印加部5に接続される高圧リード線であり、この高圧リード線27を介して放電極2と電気的に接続された電圧印加部5を更に対向電極4と電気的に接続させることで放電極2と対向電極4との間に高電圧を印加するようになっている。
筐体3の先端部には放出用筒部9を一体に形成してあり、この筒状の放出用筒部9の中心軸が筒状の筐体3の中心軸とほぼ一致している。
上記一体に形成して連続した筐体3と放出用筒部9の外周は吸音材10を介して外筒8により覆ってある。つまり、筐体3の筒状をした部分の一部(少なくとも放電極2及び対向電極を内装した部分)からこれと一体に連続する放出用筒部9が内筒となり、この内筒と外筒8との間に吸音材10を介在させてある。筐体3と、外筒8の後部と、両者の間に介在される吸音材10とで上流側消音ダクト部7Aが形成され、放出用筒部9と、外筒8の前部と、両者の間に介在される吸音材10とで下流側消音ダクト部7Bが形成され、上記上流側消音ダクト部7Aと下流側消音ダクト部7Bとで騒音の発生源から放出用筒部9の先端に至る連続した2重構造の筒状の消音ダクト7が構成される。
ここで、少なくとも放出用筒部9にはパンチング加工により穿設した微小な貫通穴9aや、スリット加工その他の方法により形成した貫通穴9aを多数穿設してある。筐体3にも貫通穴9aを設けてもよい。また、外筒8の前端縁と放出用筒部9の前端縁との間を前板で遮蔽すると共に外筒8の後端縁と筐体3との間を後板で遮蔽してある。
ここでの騒音低減は、筐体3及びこれと一体に形成した放出用筒部9と、外筒8との間に挟む形で配される吸音材10によって騒音を吸収し、且つ外筒8によって更に遮音することで実現される。即ち上記貫通穴9aを通じて吸音材10に騒音を透過させて吸音材10により騒音を吸音すると共に外筒8により遮音するようになっている。
なお、図示例にあっては二重筒構造を成す消音ダクト7を断面円形状としているが、これに限定されるわけではなく断面矩形状や断面楕円形状等の他の形状であってもよい。
上記2重構造の消音ダクト7において、騒音低減効果をより向上させるための各実施形態を以下説明する。
すなわち、図6に示す実施形態は、上記のような二重筒構造を成す消音ダクト7において、吸音材10中に反射体34を配してある。このように吸音材10中に反射体34を配することで吸音効果を向上させ、騒音を更に低減させることができる。上記反射体34はポリカーボネートやADSを用いて、消音ダクト7の軸方向と平行に伸びる柱形状に形成されており、この柱状を成す反射体34が周方向及び径方向にそれぞれ複数配置してあり、径方向に配置された複数列の反射体34はそれぞれの列において周方向に等間隔を隔てて配置されており、また、径方向における複数列の反射体34は周方向においてずれていて径方向に重複しないようになっており、この反射体34により、より消音ダクト7の軸方向及び周方向の各部位において効果的に騒音の低減ができる。
また、図7、図8には消音ダクト7における消音性能を向上させるための他の実施形態が示してある。
図7に示す実施形態においては、消音ダクト7は前述のような二重筒構造であって、筒状を成す吸音材10の、筐体3及びこれと一体となった放出用筒部9と対向する内周面側に楔状の凹凸31を周方向に連続形成することで吸音材10の消音ダクト7の軸方向に沿って延出し且つ周方向に沿って並ぶ複数の溝を形成し、該溝により吸音材10の内周面と、筐体3及びこれと一体に形成した放出用筒部9との界面に空隙32を形成してある。このように吸音材10の内周面を楔状に仕上げて吸音材10と、筐体3及びこれと一体に形成した放出用筒部9との界面に空隙32を形成することで、吸音の効果が増し、騒音を更に低減させることができる。
また、図8(a)(b)には筒状を成す吸音材10の外筒8と対向する外周面側に楔状の凹凸31を周方向に連続形成することで吸音材10の消音ダクト7の軸方向に沿って延出し且つ周方向に沿って並ぶ複数の溝を形成し、該溝により吸音材10の内周面と外筒8との界面に空隙32を形成してある。このように吸音材10の外周面を楔状に仕上げて吸音材10と外筒8との界面に空隙32を形成することで、吸音の効果が増し、騒音を更に低減させることができる。
なお、上記楔状の凹凸31の形状は種々設計変更可能である。
また、筒状の吸音材10の内周面及び外周面に前述のような凹凸31を形成してもよい。
また、図9至図11には本発明の更に他の実施形態が示してあり、本実施形態においては、吸音材10の内部に空隙32を形成することで空隙32において騒音を効果的に低減させることができる。
つまり、上記のように空隙32を形成することで、空隙32の界面において音波を繰り返し反射し、吸音することで、騒音を効果的に低減させるようになっている。
ここで、図9に示すように上記空隙32は断面リング状であり、このリング状の空隙32を介して吸音材10は内周側部分と外周側部分とに分断されている。
また図10に示すものにあっては、空隙32は消音ダクト7の軸方向と平行に伸びる柱形状に形成されており、この柱状を成す複数の空隙32が周方向に等間隔を隔てて形成されている。
図11に示すものにあっては、空隙32は消音ダクト7の径方向と平行に伸びる柱形状に形成されており、この柱状を成す複数の空隙32が等間隔を隔てて放射状に形成されている。
図12に示すものにあっては、筐体3とこれに一体に形成した放出用筒部9と、外筒8の間の空間内に多数の球状吸音部材33を充填させることで吸音材10を形成しており、隣接する球状吸音部材33間の各隙間が空隙32を形成するようになっている。球状吸音部材33の材質としては、ウール状の金属やグラスウール、ポリエーテル系のウレタンフォーム等が適当である。
図13には、消音ダクト7が、前述のような二重筒構造であって、吸音材10を、複数種の吸音部材35(35a、35b)を組み合わせることで形成している。図示例においては、同一形状である二種の吸音部材35a、35bを軸方向に連設させている。消音ダクト7を備えない場合に発生する騒音は広域帯の周波数特性を持つものであるが、各吸音部材35a、35bとして吸音率の高い周波数領域が互いに相違するものを用いることで、広い周波数領域の騒音に対する騒音低減が可能となる。
また図14に示すものは変形例であって、径が異なる二種の吸音部材35(35a、35b)を径方向に連設させている。筐体3及びこれと一体に形成した放出用筒部9に対向する内側の吸音部材35aには、耐オゾン性が良好な例えばEPDM系の連続発泡樹脂製のものを用い、且つ外筒8と対向する外側の吸音部材35bには、耐オゾン性は良好でないが吸音率の高い例えばウレタン系の連続発泡樹脂製のものを用いる。放電により生じるオゾンは内側の吸音部材35aに触れることとなるので、このように配置することで耐オゾン性の向上と騒音レベルの低減とを共に図ることができる。
この他、耐オゾン性を有する吸音部材35の材質としてはウール状の金属やグラスウールが挙げられる。また耐水性を有する吸音部材35の材質としてはウール状の金属、ポリエーテル系のウレタンフォーム、グラスウール等があり、調湿性を有する吸音部材35の材質としては珪藻土等があるが、これら各種類の吸音部材35(35a、35b)を適宜箇所に配して組み合わせることで、吸音材10がオゾン劣化を生じるといった問題や、吸音材10が加水分解等の影響を受けるといった問題や、周囲環境の湿度が極端に低下すると静電霧化用の結露水を生じ難くなるといった問題を、同時に解決することが可能である。
図15に示す実施形態において筒状を成す吸音材10を、長板状であり且つ柔軟性を有する吸音部材36を幾重かに巻き付けることで形成している。図示例にあっては、この吸音部材36に多数の穴37を等間隔を隔てて穿設してあり、上記の如く巻き付けて吸音材10を形成した時点でこれらの穴37が該吸音材10内に放射状に配置される各空隙32となるようにしている。ここで、図11にて示したものと比較すれば、本例にあっては各層の空隙32が径方向に不連続に形成されて吸音性は更に向上するものである。また、このような長板状の吸音部材36を形成した後に巻き付けて筒状にするほうが、型抜きによって筒状の吸音材10を形成するよりも材料取りがよく、コスト削減に効果的である。
上記いずれの実施形態においても、筐体3の先端部に一体に放出用筒部9を形成したものにおいて、放電極2の中心軸とリング状の対向電極4の中心軸が略一致し、該一致した中心軸が更に放出用筒部9の中心軸と略一致している例となっている。しかしながらこれにのみ限定されず、図示を省略しているが筐体3の先端部に一体に放出用筒部9を形成したものにおいて、放電極2の中心軸とリング状の対向電極4の中心軸が略一致し、該一致した中心軸と放出用筒部9の中心軸とが交差するように構成してもよい。これにより、消音ダクト7の放出用筒部9内を通過して装置外部に吐出される方向が上記筐体3に保持した対向電極4の中心を通る放出方向に対して傾斜した状態となっており、消音ダクト7内を通過する際に騒音が放出用筒部9に効果的に当たって低減されるようになっている。
また、筐体3の先端部に一体に放出用筒部9を形成したものにおいて、消音ダクト7における下流側消音ダクト部7B部分は図16(a)〜(e)に示すような構造であってもよい。図16(a)に示すものは単一の筒から成る消音ダクト7の内壁に吸音材10を内貼りした構造であり、図16(b)に示すものは消音ダクト7をクランク状に屈曲させるとともに吸音材10を内貼りすることで吸音を図る屈曲型構造である。図16(c)、(d)に示すものは共に消音ダクト7の上流側部分9a及び下流側部分9bの径を膨張室18となる中央部分9cの径よりも小径として断面積を変化させることで吸音を図る膨張型構造であり、図16(c)にあっては更に消音ダクト7の内壁に吸音材10を内貼りしている。また図18(e)に示すものは消音ダクト7の経路途中に連通する共鳴室11を形成して該共鳴室11内での共鳴を利用して吸音を図る共鳴型構造である。更に上記した各構造を組合せた消音ダクト7とすることも好適であり、例えば図16(b)の屈曲型構造と図16(c)、(d)の膨張型構造とを組合せた複合型とすることが考えられる。
また、一体となった放出用筒部9及び筐体3の内壁に吸音構造を設けて消音ダクト7を構成してもよい。
一体となった放出用筒部9及び筐体3の内壁に吸音構造を設けるに当っては、例えば、内壁に消音用の凹凸を設けることで消音構造とすることが考えられるが、必ずしも、消音用の凹凸のみに限定されず、内壁に吸音材を貼着するようなものであってもよい。
また上記した各例の構成が、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜組合せ可能であることは勿論である。
本発明の静電霧化装置の一実施形態の模式図である。 本発明の静電霧化装置の他の実施形態の模式図である。 本発明の静電霧化装置の具体例を示す一実施形態の縦断面図である。 同上の正面図である。 同上の上面図である。 同上の消音ダクトの他の実施形態を示す側断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示す側断面図である。 (a)(b)はそれぞれ同上の消音ダクトの更に他の実施形態の側断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示す側断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態の側断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示す一部省略縦断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示す側断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示す一部省略縦断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示す側断面図である。 同上の消音ダクトの更に他の実施形態を示し、(a)は側断面図であり、(b)は同上に用いる吸音シートの一実施形態を示す斜視図である。 (a)(b)(c)(d)(e)はそれぞれ本発明の静電霧化装置の昇温ダクトにおける下流側消音ダクト部分の更に各例を示す概略図である。
符号の説明
1 液供給手段
2 放電極
3 筐体
4 対向電極
5 電圧印加部
7 消音ダクト
8 外筒
9 放出用筒部
10 吸音材

Claims (3)

  1. 液供給手段により表面に液体を供給される放電極と、放電極と対向して位置する対向電極と、上記放電極と対向電極とを内部に納めた放電空間を有する筐体と、放電極と対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、上記放電空間内において放電極上に保持される液体を高電圧印加により静電霧化させることで生じる帯電微粒子液を、放電極から対向電極に向けて生じるイオン風に乗せて上記筐体の先端部から筐体外に放出するものにおいて、上記内部に放電空間を有する筐体の先端部に、対向電極を通過したイオン風を筐体先端部より下流側に向けて通過させる放出用筒部を一体に形成し、上記一体となった放出用筒部及び筐体に消音構造を設けて消音ダクトを構成していることを特徴とする静電霧化装置。
  2. 一体となった放出用筒部及び筐体の外周部を吸音材を介して外筒で囲み、少なくとも放出用筒部に貫通穴を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
  3. 一体となった放出用筒部及び筐体の内壁に吸音構造を設けて消音ダクトを構成して成ることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
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