(実施形態1)
(1)概要
以下、本実施形態に係る有効成分発生装置1の概要について、図1A〜図3及び図13を参照して説明する。
本実施形態に係る有効成分発生装置1は、放電部21(図2参照)を備えており、放電部21にて有効成分を発生する。本実施形態では、放電部21は、放電電極211(図5参照)及び対向電極212(図5参照)を有し、放電電極211と対向電極212との間に電圧が印加されることにより放電が生じる。本開示でいう「有効成分」は、放電部21での放電により生成される成分であって、一例として、OHラジカルを含んだ帯電微粒子液、OHラジカル、O2ラジカル、マイナスイオン、プラスイオン、オゾン又は硝酸イオン等を意味する。これらの有効成分は、除菌、脱臭、保湿、保鮮又はウイルスの不活化にとどまらず、様々な場面で有用な効果を奏する基となる。
本実施形態に係る有効成分発生装置1は、放電部21を含む内部部品2(図2参照)に加えて、ケース3を備えている。ケース3は、有効成分発生装置1の外郭を構成し、ケース3内に内部部品2が収容されることで、ユニット化された有効成分発生装置1が構成される。ケース3には、有効成分を放出するための放出口31と、ケース3内に空気を取り込むための給気口32と、が形成されている。そして、本実施形態では、内部部品2は送風部22を更に含んでいる。送風部22は、給気口32から放出口31に向けて流れる気流(風)を発生する。これにより、給気口32からケース3内に取り込まれた空気が、放出口31からケース3外に放出されることになる。放電部21で発生した有効成分は、このような送風部22が発生する気流に乗って、放出口31からケース3の外部に放出される。
本実施形態に係る有効成分発生装置1は、放電部21を含む内部部品2と、ケース3と、風路部材5(図13参照)と、を備える。放電部21は、有効成分を発生する。ケース3は、放出口31を有する箱状に形成されている。放出口31は、有効成分を放出するための口(開口)である。ケース3は、内部部品2を収容する。風路部材5は、ケース3に収容され、放電部21を囲む。内部部品2は、送風部22(図13参照)を更に含む。送風部22は、有効成分を放出口31からケース3の外部に出力するための気流F1(図13参照)を発生する。風路部材5は、上流ブロック53(図13参照)と、下流ブロック54(図13参照)と、を一体に有する。上流ブロック53は、送風部22から見て上流側となる給気風路R1(図13参照)を形成する。下流ブロック54は、送風部22から見て下流側となる排気風路R2(図13参照)を形成する。風路部材5は、ケース3内に、給気風路R1及び排気風路R2を含み、気流F1を通すための風路R10(図13参照)を形成する。
本開示でいう「一体」は、複数の要素(部位)について物理的に一体として取り扱うことができる態様を意味する。つまり、複数の要素が一体である、とは、複数の要素が一つにまとまっており、1つの部材のように扱うことができる態様にあることを意味する。この場合において、複数の要素は、一体成形品のように一体不可分の関係にあってもよいし、又は、別々に作成された複数の要素が、例えば、かしめ接合、接着、溶着又はねじ固定等により機械的に結合されていてもよい。すなわち、風路部材5に含まれる上流ブロック53と下流ブロック54とは、適宜の態様で一体化されていればよい。
本実施形態に係る有効成分発生装置1によれば、風路部材5は、送風部22から見て上流側となる給気風路R1と、送風部22から見て下流側となる排気風路R2と、を含む風路R10をケース3内に形成する。しかも、風路部材5は、給気風路R1を形成する上流ブロック53と、排気風路R2を形成する下流ブロック54と、を一体に有している。そのため、ケース3の内部空間においては、送風部22の上流側及び下流側のいずれについても、空気の流れ(気流F1)が風路部材5にて制御され、有効成分をケース3の外部に出力するための気流F1についてケース3内で損失が生じにくい。結果的に、有効成分をケース3の外部に出力するための気流F1を効率的に発生しやすい、という利点がある。
また、本実施形態においては、ケース3は、金属体30を有する。金属体30は、内部部品2のうち少なくとも放電部21を包囲する。金属体30は、互いに異なる方向に向けられた隣接する2面の間の角部に、シームレス部301を有する。
本開示でいう「シームレス部」は、互いに異なる方向に向けられた隣接する2面の間の角部において、隣接する2面間を継ぎ目なく連結する部位を意味する。つまり、シームレス部301は、角部において、隣接する2面間の隙間の少なくとも一部を埋めることで、隣接する2面間を継ぎ目なく連続させる。シームレス部301は、隣接する2面間の隙間の少なくとも一部を埋めるように、隙間を小さくするような構成であればよく、隙間を完全に埋め尽くす構成と、隙間の一部のみを埋める構成との両方を含む。つまり、シームレス部301は、金属体30の角部において隣接する2面間の隙間を小さくするように、隙間の少なくとも一部を塞ぐ構成であればよい。そのため、本実施形態に係る有効成分発生装置1においては、シームレス部301があるものの、金属体30における互いに異なる方向に向けられた隣接する2面の間の角部に、僅かな隙間又は孔があってもよい。
本実施形態に係る有効成分発生装置1によれば、少なくとも放電部21は、ケース3の金属体30にて包囲されているので、放電部21での放電時に発生する電磁ノイズに対して、金属体30がシールドとして機能する。しかも、金属体30は、互いに異なる方向に向けられた隣接する2面の間の角部に、シームレス部301を有するので、シームレス部301により、隣接する2面の間の角部の隙間から漏れ出る電磁ノイズを低減することが可能である。したがって、有効成分発生装置1によれば、ケース3外への電磁ノイズの影響を低減しやすい、という利点がある。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る有効成分発生装置1の詳細について、図1A〜図13を参照して説明する。
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、特に、ケース3の長手方向に沿った軸を「X軸」とし、ケース3と蓋体4とが組み合われる方向に沿った軸を「Z軸」とする。「Y軸」は、これらX軸及びZ軸のいずれとも直交し、ケース3の短手方向に沿った軸である。さらに、放出口31から有効成分が放出される向きを、X軸の正の向きと規定し、蓋体4から見たケース3側を、Z軸の正の向きと規定する。また、Z軸の正の向きから見た状態を、以下では「平面視」ともいう。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は有効成分発生装置1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
以下では一例として、有効成分発生装置1が車載用である場合を想定する。つまり、有効成分発生装置1は、例えば、ダッシュボード等の内側に配置され、車載用の空調設備のダクトに有効成分を放出し、空調設備の吹出し口を利用して有効成分を車内に放出する等の態様で、使用される。
(2.1)全体構成
まず、本実施形態に係る有効成分発生装置1の全体構成について、図1A〜図3を参照して説明する。
上述した通り、本実施形態に係る有効成分発生装置1は、放電部21を含む内部部品2と、ケース3と、を備えている。放電部21は、有効成分を発生する。ケース3は、有効成分を放出するための放出口31を有する箱状に形成されている。また、本実施形態に係る有効成分発生装置1は、内部部品2及びケース3に加えて、蓋体4、緩衝体41(図2参照)及び風路部材5を更に備えている。
蓋体4は、ケース3に接合される。ケース3は、放出口31とは別に開口部33を有する。蓋体4は、ケース3との間に内部部品2を収容した状態で、開口部33を塞ぐようにケース3と接合される。すなわち、ケース3は、一面(Z軸に直交する一面)が開口部33として開口した箱状に形成されている。蓋体4は、ケース3と接合されて開口部33を塞ぐことにより、ケース3と共に有効成分発生装置1の外郭を構成する。内部部品2は、ケース3と蓋体4とで囲まれたケース3の内部空間に収容されることになる。これにより、内部部品2は、開口部33からケース3内に組み付けられた状態で、開口部33から露出しないように蓋体4で覆われることになる。ケース3と蓋体4との接合構造について詳しくは、「(2.5)ケース及び蓋体の接合構造」の欄で説明する。
本実施形態では、ケース3は導電性の金属板にて形成されている。そのため、ケース3全体が金属製の金属体30となる。また、蓋体4についても、ケース3と同様に導電性の金属板にて形成されている。そのため、蓋体4全体が金属製となる。よって、内部部品2は、金属製の部材(ケース3及び蓋体4)で囲まれた空間に収容されることになる。詳しくは、「(2.6)内部部品の固定構造」の欄で説明するが、内部部品2は、ケース3内においてケース3に対して固定されている。また、ケース3について詳しくは、「(2.4)ケースの詳細構成」の欄で説明する。
蓋体4は、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向を短手方向とする長方形状に形成されている。蓋体4は、ケース3の放出口31の一部を塞ぐ第1閉塞片42、ケース3のコネクタ口34の一部を塞ぐ第2閉塞片43を有している。第1閉塞片42及び第2閉塞片43の各々は、蓋体4を構成する金属板の切り起こし部(切り曲げ部)からなる。また、蓋体4は、その長手方向(X軸方向)に延びるリブ44を有しており、リブ44にて補強されている。
ここで、蓋体4は、長手方向の寸法が、ケース3よりも大きい。そして、蓋体4がケース3に接合された状態では、平面視において、少なくとも蓋体4の長手方向の両端部がケース3から外側にはみ出す。言い換えれば、蓋体4は、平面視において、ケース3の外周縁から外側に張り出した張出部45を有している。有効成分発生装置1は、蓋体4の張出部45が、取付対象物(本実施形態では車両)に対して、例えば、ねじ固定されることによって、取付対象物に取り付けられる。
緩衝体41は、蓋体4と内部部品2の一部との間に挟まれる。すなわち、ケース3と蓋体4とで囲まれたケース3の内部空間には、内部部品2と共に緩衝体41が収容される。本実施形態では、緩衝体41は、蓋体4におけるケース3との対向面に貼り付けられている。
また、本実施形態では、緩衝体41は、内部部品2の一部である送風部22と蓋体4との間に挟まれるように配置される。すなわち、内部部品2は、有効成分を放出口31からケース3の外部に出力するための気流F1(図13参照)を発生する送風部22を含んでいる。そして、緩衝体41は少なくとも送風部22に接触する。
そのため、内部部品2の一部である送風部22は、蓋体4に対して直接的に接触するのではなく、送風部22と蓋体4との間には緩衝体41が介在することになる。緩衝体41は、弾性を有しており、一例として、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)フォーム等のクッション材からなる。よって、ケース3に蓋体4が接合された状態において、蓋体4と内部部品2の一部である送風部22との間で緩衝体41が圧縮され、内部部品2が、緩衝体41の弾性力によりケース3の底面310(図4参照)側に押し付けられることになる。その結果、ケース3の底面310から離れる向きの内部部品2の移動及び内部部品2の振動等が抑制される。本実施形態では、特に、可動部を有するために機械的な振動を生じやすい送風部22に緩衝体41が接触するので、送風部22で発生する機械的な振動を抑制しやすい。
風路部材5は、ケース3内に収容される。すなわち、ケース3と蓋体4とで囲まれたケース3の内部空間には、内部部品2及び緩衝体41と共に風路部材5が収容される。本実施形態では、風路部材5は、蓋体4に固定された状態で、内部部品2と蓋体4との間に配置される。風路部材5は、ケース3の給気口32と放出口31との間に、気流F1(風)を通すための風路R10(図13参照)を形成する。つまり、風路部材5は、ケース3の内部空間を、気流F1を通すための空間と、それ以外の空間と、に区分けすることにより、ケース3内に風路R10を形成する。
ここで、風路部材5で形成される風路R10の途中に、内部部品2の送風部22、及び放電部21が配置される。送風部22は、風路R10内を通して給気口32から放出口31に向けて流れる気流F1(風)を発生する。放電部21は、本実施形態では、風路R10における送風部22の下流側、つまり送風部22と放出口31との間に配置されている。
そのため、給気口32からケース3内に取り込まれた空気は、風路部材5にて形成される風路R10を通して、ケース3内を放出口31まで移動し、放出口31からケース3外に放出されることになる。そして、放電部21で発生した有効成分は、このような送風部22が発生する気流F1に乗って、放出口31からケース3の外部に放出される。言い換えれば、風路R10における給気口32と放電部21との間には、送風部22が配置されており、放電部21で発生した有効成分は、送風部22により押し出されて、ケース3の外部に放出される。
風路部材5が形成する風路R10は、送風部22の上流側となる給気風路R1(図13参照)、及び送風部22の下流側となる排気風路R2(図13参照)を含んでいる。つまり、給気風路R1は、送風部22と給気口32との間をつなぎ、排気風路R2は、送風部22と放出口31との間をつなぐ。風路部材5は、比較的効率よく有効成分がケース3の外部に放出されるように、空気(有効成分を含む)の流れをコントロールする。
また、本実施形態では、風路部材5は合成樹脂製である。つまり、樹脂成型品からなる風路部材5が、金属板からなる蓋体4に対して固定される。風路部材5は、図3に示すように、蓋体4に対して、例えば、熱かしめ等の手段により固定されている。つまり、風路部材5は、複数(ここでは3つ)のかしめ部55を有している。風路部材5は、蓋体4に形成された複数(ここでは3つ)のかしめ孔47に対して、これら複数のかしめ部55をかしめることにより、蓋体4の一面側(Z軸の正の側)に固定される。さらに、風路部材5は、有効成分を含む空気を放出するためのノズル51と一体に形成されている。すなわち、本実施形態に係る有効成分発生装置1は、ノズル51を備えており、ノズル51は風路部材5と一体化されている。ノズル51は、ケース3の放出口31内に配置されており、放出口31からケース3の外部に放出される空気は、ノズル51を通してケース3外に放出されることになる。風路部材5について詳しくは、「(2.7)風路部材」の欄で説明する。
(2.2)内部部品の構成
次に、内部部品2の構成について、図2、図4及び図5を参照して説明する。
内部部品2は、放電部21及び送風部22に加えて、駆動回路23と、液体供給部24(図5参照)と、を更に含んでいる。
放電部21は、図5に示すように、放電電極211と、対向電極212と、を有している。放電部21は、電気絶縁性を有する合成樹脂製の保持ブロック213を更に有している。放電部21は、上述したように、放電電極211と対向電極212との間に電圧が印加されることにより、放電を生じさせる。
放電電極211は、X軸に沿って延びる柱状の電極である。放電電極211は、少なくとも長手方向(X軸方向)の先端部211aが先細り形状に形成された針電極である。ここでいう「先細り形状」とは、先端が鋭く尖っている形状に限らず、先端が丸みを帯びた形状を含む。特に、図5の例では、放電電極211の先端部211aは球状であって、先端部211aのうちの放電電極211側の半分(つまりX軸の正側の半球部分)が、丸みを帯びた先細り形状を成す。放電電極211は、一例として、チタン合金(Ti合金)等の導電性の金属材からなる。
対向電極212は、放電電極211の先端部211aに対向するように配置されている。本実施形態では、対向電極212は、金属板からなり、放電電極211の先端部211aに対して、X軸の正の向きに離れた位置に配置されている。対向電極212の一部には、金属板を厚み方向(X軸方向)に貫通する貫通孔212aが形成されている。対向電極212は、この貫通孔212aの周縁から貫通孔212aの中心に向けて突出する複数(一例として4つ)の突出電極部212bを含んでいる。対向電極212は、一例として、チタン合金(Ti合金)等の導電性の金属材からなる。
保持ブロック213は、放電電極211及び対向電極212を保持する。保持ブロック213は、一例として、熱かしめ等により、対向電極212と結合される。これにより、対向電極212は、保持ブロック213に保持される。放電電極211及び対向電極212が保持ブロック213に保持された状態では、放電電極211の中心軸の一方から見て、貫通孔212aの中心は、放電電極211の中心軸上に位置する。
送風部22は、ファンモータにて構成されている。つまり、送風部22は、ファンと、ファンに機械的に接続されたモータと、を有している。送風部22は、モータに電力が供給されることでモータが回転し、ファンを回転させる。これにより、送風部22では、ファンの回転軸に沿って気流が発生する。本実施形態では、ファンの回転軸がX軸に平行となるように、送風部22が配置されている。そのため、送風部22は、X軸に沿って給気口32から放出口31に向けて、つまりX軸の正の向きに流れる気流(風)を生じることになる。
駆動回路23は、回路基板230と、トランス25等の種々の実装部品と、を含んでいる。トランス25等の実装部品は、回路基板230に実装されている。さらに、本実施形態では、駆動回路23を構成する実装部品(トランス25等)だけでなく、放電部21、送風部22及び液体供給部24についても、回路基板230に実装されている。また、駆動回路23を外部回路と電気的に接続するためのコネクタ27についても、回路基板230に実装されている。ここでいう実装は、回路基板230に対する機械的かつ電気的な接続を意味する。つまり、実装部品(トランス25等)だけでなく、放電部21、送風部22、液体供給部24及びコネクタ27は、例えば、はんだ付け又はコネクタ接続等の手段により、回路基板230に対して機械的に接続(接合)され、かつ電気的に接続されている。本実施形態では、回路基板230に対する送風部22の機械的な接続は、送風部22に設けた爪(フック)を回路基板230に引っ掛けるスナップフィットにより実現される。
駆動回路23は、放電部21を駆動する回路である。つまり、駆動回路23は、放電部21を構成する放電電極211及び対向電極212間に印加電圧を印加することにより、放電部21にて放電を生じさせる回路である。本開示でいう「印加電圧」は、放電を生じさせるために、駆動回路23が放電電極211と対向電極212との間に印加する電圧を意味する。
駆動回路23は、電源から電力供給を受けて、放電部21に印加する電圧(印加電圧)を生成する。ここでいう「電源」は、駆動回路23等に動作用の電力を供給する電源であって、一例として、数V〜十数V程度の直流電圧を発生する電源回路である。駆動回路23は、例えば、トランス25にて、電源からの入力電圧を昇圧し、昇圧後の電圧を印加電圧として出力する。すなわち、駆動回路23では、放電部21に放電を生じさせるための高電圧(印加電圧)が、トランス25の二次側に生成される。
ここで、駆動回路23は、基準電位点を含んでいる。基準電位点は、金属体30と電気的に接続されている。本実施形態では、基準電位点は、駆動回路23におけるグランドである。つまり、ケース3の金属体30が駆動回路23の基準電位点であるグランドに電気的に接続されることで、フレームグランドが実現される。
そして、駆動回路23は、放電部21(放電電極211及び対向電極212)に対して電気的に接続されている。具体的には、駆動回路23におけるトランス25の二次側端子である接続端子252(図10参照)が、ハーネス26にて放電部21に電気的に接続されている。本実施形態では、駆動回路23は、放電電極211を負極(グランド)、対向電極212を正極として、放電電極211と対向電極212との間に高電圧を印加する。そのため、放電部21のうちの対向電極212に対してトランス25の接続端子252が接続され、放電電極211に対しては回路基板230に設定された基準電位点としてグランドが接続される。これにより、駆動回路23は、放電部21に対して、放電電極211を低電位側、対向電極212を高電位側とする高電圧を印加する。ここでいう「高電圧」とは、放電部21において、後述する全路破壊放電又は部分破壊放電が生じるように設定される電圧であればよく、一例として、ピークが6.0kV程度となる電圧である。全路破壊放電及び部分破壊放電について詳しくは「(2.3)動作」の欄で説明する。
液体供給部24は、放電電極211に液体を供給する。この有効成分発生装置1では、放電部21で生じる放電によって液体を静電霧化する。すなわち、例えば、液体供給部24から供給される液体が放電電極211の表面に付着することで放電電極211に液体が保持されている状態において、放電部21に印加電圧が印加されることで放電部21にて放電が生じる。この構成では、放電部21で生じる放電のエネルギーにより、放電電極211に保持されている液体が、放電によって静電霧化される。本開示において、放電電極211に保持されている液体、つまり静電霧化の対象となる液体を、単に「液体」とも呼ぶ。
液体供給部24は、放電電極211に対して静電霧化用の液体を供給する。液体供給部24は、一例として、ペルチェ素子を含み、ペルチェ素子にて放電電極211を冷却して放電電極211に結露水を発生させることで、液体を供給する。この液体供給部24では、駆動回路23からペルチェ素子に通電されることによって、ペルチェ素子と熱的に結合されている放電電極211を冷却する。このとき、空気中の水分が凝結して放電電極211の表面に結露水として付着する。すなわち、液体供給部24は、放電電極211を冷却して放電電極211の表面に液体としての結露水を生成する。この構成では、液体供給部24は、空気中の水分を利用して、放電電極211に液体(結露水)を供給できるため、有効成分発生装置1への液体の供給、及び補給が不要になる。
(2.3)動作
以上説明した構成の有効成分発生装置1は、駆動回路23が以下のように動作することで、放電部21(放電電極211及び対向電極212)に放電を生じさせる。
すなわち、駆動回路23の動作モードには、第1モードと、第2モードとの2つのモードが含まれている。第1モードは、印加電圧を時間経過に伴って上昇させ、コロナ放電から進展して、放電電極211と対向電極212との間に、少なくとも一部において絶縁破壊された放電経路を形成して放電電流を生じさせるためのモードである。第2モードは、放電部21を過電流状態として、放電電流を遮断するためのモードである。本開示でいう「放電電流」は、放電経路を通して流れる比較的大きな電流を意味しており、放電経路が形成される前のコロナ放電において生じる数μA程度の微小電流を含まない。本開示でいう「過電流状態」とは、放電により負荷が低下し、想定値以上の電流が放電部21に流れる状態を意味する。
本実施形態では、駆動期間において、駆動回路23が第1モードと第2モードとを交互に繰り返すように動作する。ここで、駆動回路23は、放電部21に印加する印加電圧の大きさを、駆動周波数にて周期的に変動させるように、駆動周波数にて第1モードと第2モードとの切り替えを行う。本開示でいう「駆動期間」は、放電部21に放電を生じさせるように駆動回路23が動作する期間である。
すなわち、駆動回路23は、放電電極211を含む放電部21に印加する電圧の大きさを一定値に保つのではなく、所定範囲内の駆動周波数にて、周期的に変動させる。駆動回路23は、印加電圧の大きさを周期的に変動させることにより、放電を間欠的に生じさせる。つまり、印加電圧の変動周期に合わせて、放電経路が周期的に形成され、放電が周期的に発生する。以下では、放電(全路破壊放電又は部分破壊放電)が生じる周期を「放電周期」ともいう。
上述したような動作により、放電電極211に保持されている液体に作用する電気エネルギーの大きさが駆動周波数にて周期的に変動することになり、結果的に、放電電極211に保持されている液体が駆動周波数にて機械的に振動する。
要するに、駆動回路23から、放電電極211を含む放電部21に電圧が印加されることにより、放電電極211に保持されている液体には、電界による力が作用して液体が変形する。特に、本実施形態では、放電電極211の先端部211aと対向する対向電極212と放電電極211との間に電圧が印加されるので、液体には、電界によって対向電極212側に引っ張られる向きの力が作用する。その結果、放電電極211の先端部211aに保持されている液体は、電界による力を受けて、放電電極211の中心軸に沿って(つまりX軸に沿って)対向電極212側に伸び、テイラーコーン(Taylorcone)と呼ばれる円錐状の形状を成す。テイラーコーンの状態から、放電部21に印加される電圧が小さくなれば、電界の影響によって液体に作用する力も小さくなり、液体が変形する。その結果、放電電極211の先端部211aに保持されている液体は、縮むことになる。
そして、放電部21に印加される電圧の大きさが駆動周波数にて周期的に変動することにより、放電電極211に保持されている液体は、放電電極211の中心軸に沿って(つまりX軸に沿って)伸縮する。特に、テイラーコーンの先端部(頂点部)に電界が集中することで放電が発生するので、テイラーコーンの先端部が尖っている状態で絶縁破壊が生じる。よって、駆動周波数に合わせて放電(全路破壊放電又は部分破壊放電)が間欠的に発生する。
すなわち、放電電極211に保持されている液体が電界による力を受けてテイラーコーンを形成すると、例えば、テイラーコーンの先端部(頂点部)と対向電極212との間に電界が集中しやすくなる。したがって、液体と対向電極212との間においては、比較的に高いエネルギーの放電が生じ、放電電極211に保持された液体に生じたコロナ放電を、更に高エネルギーの放電にまで進展させることができる。その結果、放電電極211と対向電極212との間には、少なくとも一部において絶縁破壊された放電経路を断続的に形成することが可能となる。
これにより、放電電極211に保持されている液体が、放電によって静電霧化される。その結果、有効成分発生装置1では、OHラジカルを含有するナノメータサイズの帯電微粒子液が生成される。つまり、有効成分としての帯電微粒子水が放電部21にて発生する。生成された帯電微粒子液は、放出口31を通してケース3外に放出される。
次に、放電形態としての全路破壊放電及び部分破壊放電について説明する。
全路破壊放電は、コロナ放電から進展して一対の電極(放電電極211及び対向電極212)間の全路破壊に至ることで生じる放電形態である。つまり、全路破壊放電においては、放電電極211と対向電極212との間には、全体的に絶縁破壊された放電経路が生じる。
本開示でいう「絶縁破壊」は、導体間を隔離している絶縁体(気体を含む)の電気絶縁性が破壊され、絶縁状態が保てなくなることを意味する。気体の絶縁破壊は、例えば、イオン化された分子が電場により加速されて他の気体分子に衝突してイオン化し、イオン濃度が急増して気体放電を起こすために生じる。
一方、部分破壊放電は、コロナ放電から進展して一対の電極(放電電極211及び対向電極212)間に部分的に絶縁破壊された放電経路が形成される放電形態である。つまり、部分破壊放電においては、放電電極211と対向電極212との間には、部分的に絶縁破壊された放電経路が生じる。すなわち、部分破壊放電では、放電電極211と対向電極212との間には、全体的にではなく部分的(局所的)に、絶縁破壊された放電経路が形成される。このように、部分破壊放電においては、放電電極211と対向電極212との間に形成される放電経路は、全路破壊には至らず、部分的に絶縁破壊された経路である。
ただし、本実施形態では、全路破壊放電及び部分破壊放電のいずれの放電形態であっても、一対の電極(放電電極211及び対向電極212)間での絶縁破壊が継続的に生じるのではなく、絶縁破壊が間欠的に発生する。そのため、一対の電極(放電電極211及び対向電極212)間に生じる放電電流についても、間欠的に発生する。
すなわち、放電経路を維持するのに必要な電流容量を電源(駆動回路23)が有さない場合等においては、コロナ放電から絶縁破壊に進展した途端に一対の電極間に印加される電圧が低下し、放電経路が途切れて放電が停止する。ここでいう「電流容量」は、単位時間に放出可能な電流の容量である。このような放電の発生、及び停止が繰り返されることにより、放電電流が間欠的に流れることになる。このように、本実施形態に係る有効成分発生装置1での放電形態は、放電エネルギーの高い状態と放電エネルギーの低い状態とを繰り返す点において、絶縁破壊が継続的に発生する(つまり放電電流が継続的に発生する)グロー放電及びアーク放電とは相違する。
そして、全路破壊放電又は部分破壊放電においては、コロナ放電と比較して大きなエネルギーでラジカル等の有効成分が生成され、コロナ放電と比較して2〜10倍程度の大量の有効成分が生成される。このようにして生成される有効成分は、除菌、脱臭、保湿、保鮮、ウイルスの不活化にとどまらず、様々な場面で有用な効果を奏する基となる。
また、部分破壊放電においては、全路破壊放電と比較しても、過大なエネルギーによる有効成分の消失を抑制でき、全路破壊放電と比較しても有効成分の生成効率の向上を図ることができる。すなわち、全路破壊放電では、その放電に係るエネルギーが高すぎるが故に、生成された有効成分の一部が消失して、有効成分の生成効率の低下につながる可能性がある。これに対して、部分破壊放電では、全路破壊放電と比較して放電に係るエネルギーが小さく抑えられるため、過大なエネルギーに晒されることによる有効成分の消失量を低減し、有効成分の生成効率の向上を図ることができる。
さらに、部分破壊放電では、全路破壊放電に比較して電界の集中が緩められる。すなわち、全路破壊放電では、全路破壊された放電経路を通じて放電電極211及び対向電極212間には、瞬間的に大きな放電電流が流れ、その際の電気抵抗は非常に小さくなっている。これに対して、部分破壊放電では、電界の集中が緩められることで、部分的に絶縁破壊された放電経路の形成時に、放電電極211及び対向電極212間に瞬間的に流れる電流の最大値が、全路破壊放電に比べて小さく抑えられる。これにより、部分破壊放電では、全路破壊放電に比較して、窒化酸化物(NOx)の発生が抑制され、さらに電磁ノイズの発生も抑えられる。
(2.4)ケースの詳細構成
次に、ケース3のより詳細な構成について、図1A、図1B及び図4を参照して説明する。
ケース3は、X軸方向の寸法よりもY軸方向の寸法が小さく、Y軸方向の寸法よりもZ軸方向の寸法が小さい直方体状に形成されている。そのため、ケース3は、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向を短手方向とする長方形状となる。ケース3は、Z軸の負の向きを向いた面が開口部33として開口している。さらに、ケース3におけるX軸の正の向きを向いた面には放出口31が形成され、ケース3におけるY軸の正の向きを向いた面には給気口32及びコネクタ口34が形成されている。コネクタ口34は、回路基板230に実装されたコネクタ27をケース3外に露出させるための口(開口)である。つまり、コネクタ口34から露出するコネクタ27に対して、外部回路が電気的に接続されることにより、駆動回路23が外部回路に電気的に接続されることになる。
本実施形態では、ケース3は、底板35と、周壁36と、フランジ部37と、を有している。周壁36は、底板35の外周縁からZ軸の負の向きに向けて突出する。そして、底板35のうち、Z軸の負の向きを向いた面、つまり周壁36にて囲まれた面が、ケース3の底面310(図4参照)となる。フランジ部37は、周壁36の先端から外側に張り出している。詳しくは、「(2.5)ケース及び蓋体の接合構造」の欄で説明するが、ケース3はフランジ部37にて蓋体4と接合される。
ところで、ケース3は金属体30を有する。上述したように、本実施形態では、ケース3は金属板にて形成されているため、ケース3全体が金属体30となる。そして、金属体30は、互いに異なる方向に向けられた隣接する2面の間の角部に、シームレス部301を有している。シームレス部301は、角部において隣接する2面間の隙間の少なくとも一部を埋めている。
本実施形態においては、ケース3の金属体30はシームレス構造を採用している。つまり、本実施形態に係る有効成分発生装置1では、放電部21及び駆動回路23を含む内部部品2が、ケース3の金属体30にて包囲されているので、放電部21及び駆動回路23等で発生する電磁ノイズに対して、金属体30がシールドとして機能する。そして、金属体30がシームレス構造であれば、ケース3の外部への電磁ノイズの漏洩を抑制しやすくなり、例えば、放電部21での放電の発生時において、有効成分発生装置1の周辺機器への電磁ノイズの影響を低減できる。さらに、金属体30がシームレス構造であれば、ケース3の内部への電気的なノイズの進入も抑制しやすくなり、内部部品2が有効成分発生装置1の周辺の電磁ノイズの影響を受けにくくなる。結果的に、ケース3の金属体30にて、EMI(Electro Magnetic Interference)とEMS(Electro Magnetic Susceptibility)との両方の対策を実現でき、EMC(Electromagnetic Compatibility)対策を実現可能である。
金属体30がシームレス構造であることによって、50kHz以上、200kHz以下の周波数帯域の電磁ノイズが特に低減される。より詳細には、100kHz以上、160kHz以下の周波数帯域の電磁ノイズが特に低減されることが確認されている。
具体的には、金属板に絞り加工(角筒絞り加工)が施されることにより、箱状のケース3が形成されている。このように形成されるケース3では、底板35と周壁36との間の角部については勿論のこと、平面視において四隅に位置する周壁36における4つの角部についても、継ぎ目は生じない。言い換えれば、本実施形態では、少なくとも周壁36のうちの互いに異なる方向に向けられた隣接する2面間の角部の隙間は、シームレス部301にて完全に埋められている。例えば、周壁36のうちのX軸の正の向きを向いた面と、Y軸の正の向きを向いた面との間の角部の隙間は、シームレス部301にて埋め尽くされている。よって、ケース3の底面310を囲む周壁36は、底面310の周方向において、継ぎ目なく連続的する一枚の金属板にて構成される。
要するに、金属板を曲げ加工により箱状とすることで形成されるケースにおいては、折り曲げられた金属板の合わせ目等に、必然的に隙間が生じる。これに対して、本実施形態に係る有効成分発生装置1のケース3は、絞り加工で形成されているため、シームレス部301にて隙間が埋められている。したがって、本実施形態では、金属板を曲げ加工により箱状とすることで形成されるケースに比較して、金属体30において互いに異なる方向に向けられた隣接する2面の間の角部に生じる隙間を、小さく抑えることが可能である。
また、ケース3は、固定部61を更に有している。固定部61は、内部部品2をケース3の底面310に固定するための部位である。ここで、固定部61は、金属体30と一体に形成されており、金属体30とは継ぎ目なく連続する。詳しくは、「(2.6)内部部品の固定構造」の欄で説明するが、内部部品2は、ねじ71及びナット72にて、回路基板230が固定部61に固定されることによって、ケース3の底面310に固定される。つまり、ケース3は、回路基板230をケース3の底面310に固定する固定部61を有している。
具体的には、固定部61は、ケース3の底面310から、蓋体4側に向けて突出する円筒状の部位である。固定部61は、ケース3の底面310の中央部に位置する。本実施形態においては、ケース3の底板35に絞り加工(円筒絞り加工)が施されることにより、底板35と一体に円筒状の固定部61が形成されている。このように形成される固定部61では、底板35との間に継ぎ目は生じない。より詳細には、固定部61と底板35との間においては、固定部61の全周にわたって隙間が生じない。よって、金属体30の一部である底板35と固定部61とは、継ぎ目なく連続する一枚の金属板にて構成される。
また、ケース3は、支持部62を更に有している。支持部62は、駆動回路23に含まれる回路基板230を支持する機能を有している。支持部62は、ケース3のうちの周壁36と一体に形成されている。本実施形態では、周壁36のうち、Y軸方向において互いに対向する一対の内側面に、一対の支持部62が設けられている。一対の支持部62は、一対の内側面のうちの互いに対向する部位から、互いに近づく向きに突出する。
また、ケース3は、規制部63を更に有している。規制部63は、ケース3の底面310と回路基板230との間に位置する。規制部63は、底面310に近づく向きの回路基板230の移動を規制する機能を有している。規制部63は、ケース3のうちの周壁36と一体に形成されている。本実施形態では、周壁36のうち、Y軸方向において互いに対向する一対の内側面に、一対の規制部63が設けられている。一対の規制部63は、一対の内側面のうちの互いに対向する部位から、互いに近づく向きに突出する。
本実施形態では、支持部62及び規制部63の各々は、ケース3を構成する金属板の切り曲げ部からなる。具体的には、周壁36の一部に、X軸に平行な2本のスリット(ランス)が形成され、これら2本のスリットの間の部位が、ケース3の内側に突出するように曲げ起こされて、支持部62又は規制部63を構成する。
固定部61、支持部62及び規制部63について詳しくは、「(2.6)内部部品の固定構造」の欄で説明する。
(2.5)ケース及び蓋体の接合構造
次に、ケース3と蓋体4との接合構造の詳細について、図6及び図7を参照して説明する。
上述したように、蓋体4は、ケース3との間に内部部品2を収容した状態で、開口部33を塞ぐようにケース3と接合されている。ここにおいて、本実施形態では、ケース3のうちの周壁36の先端から外側に張り出したフランジ部37にて、ケース3と蓋体4とが接合されている。つまり、平面視において、開口部33の周囲に位置する複数の接合部80〜89にて、ケース3と蓋体4とが接合されている。本実施形態では、Z軸方向に重ね合された2枚の金属板(ケース3のフランジ部37及び蓋体4)が、密着された状態で、複数の接合部80〜89にて、かしめ接合されている。言い換えれば、複数の接合部80〜89の各々は、かしめ接合部を構成する。ここでは一例として、各接合部80〜89は、ダボかしめにて実現されている。これにより、ケース3と蓋体4との間の隙間を小さくでき、隙間から漏れ出る電磁ノイズを低減することができる。
具体的には、複数の接合部80〜89は、平面視において、ケース3の底板35の外周縁に沿って、周方向に一列に並ぶように配置されている。複数の接合部80〜89は、底板35を四方から包囲するように、底板35の四辺に分散して配置されている。本実施形態では一例として、第1接合部81、第2接合部82、第3接合部83及び第4接合部84を含む、10個の接合部80〜89が設けられている。第1接合部81及び第2接合部82は、平面視において、それぞれ開口部33の角部に配置されており、かつ開口部33の対角線上に位置する。第3接合部83及び第4接合部84は、開口部33に対して、Y軸方向の両側に配置されている。
また、第5接合部85及び第6接合部86は、平面視において、ノズル51に対して、Y軸方向の両側に配置されている。第7接合部87及び第8接合部88は、平面視において、それぞれ開口部33の角部に配置されており、かつ開口部33の対角線上に位置する。第9接合部89及び第10接合部80は、開口部33に対して、Y軸方向の両側に配置されている。
このように、本実施形態では、複数の接合部80〜89は、開口部33の角部に配置された角接合部を含んでいる。すなわち、本実施形態では、10個の接合部80〜89のうち、第1接合部81、第2接合部82、第7接合部87及び第8接合部88の4つが、角接合部を構成する。これら4つの角接合部(第1接合部81、第2接合部82、第7接合部87及び第8接合部88)は、フランジ部37の四隅に位置する。これにより、フランジ部37の四隅が、有効成分発生装置1の製造工程又は組付工程等において、引っかかることがあっても、フランジ部37のめくれが生じにくく、ケース3と蓋体4との隙間が広がりにくい。
ここで、第1接合部81と第2接合部82とを結ぶ第1直線L1、及び第3接合部83と第4接合部84とを結ぶ第2直線L2を想定する。第1直線L1及び第2直線L2は、いずれも仮想線であって実体を伴わない。これら第1直線L1及び第2直線L2は、平面視において、開口部33内で互いに交差する。
すなわち、本実施形態では、ケース3と蓋体4とは、開口部33の周囲に位置し、第1接合部81、第2接合部82、第3接合部83及び第4接合部84を含む複数の接合部80〜89にて接合されている。第1接合部81及び第2接合部82を結ぶ第1直線L1と、第3接合部83及び第4接合部84を結ぶ第2直線L2とは、開口部33内において互いに交差する。
さらに、本実施形態では、第1直線L1及び第2直線L2は、いずれも平面視において、緩衝体41上を通過する。より詳細には、第1直線L1と第2直線L2との交点は、平面視において緩衝体41上に位置する。すなわち、第1直線L1と第2直線L2との交点は、ケース3と蓋体4との接合方向の一方(Z軸の正の向き)から見て、緩衝体41上に位置する。このような条件を満たすように、緩衝体41と、第1接合部81、第2接合部82、第3接合部83及び第4接合部84との位置関係が定められている。
ここで、緩衝体41は、ケース3に蓋体4が接合された状態において、蓋体4と内部部品2の一部(本実施形態では送風部22)との間に挟まれることで圧縮され、その弾性力により内部部品2をケース3の底面310側に押し付けている。そのため、ケース3と蓋体4との接合時において、蓋体4が緩衝体41から反力を受けることになるので、この反力によって、ケース3における開口部33の周縁(フランジ部37)と蓋体4との間に隙間が生じることが考えられる。本実施形態では、緩衝体41と、第1接合部81、第2接合部82、第3接合部83及び第4接合部84との位置関係を上述のように定めることで、蓋体4のうちの緩衝体41に接する部位を確実に押さえることができる。つまり、蓋体4において、第1接合部81及び第2接合部82でケース3に接合されることにより生じる張力と、第3接合部83及び第4接合部84でケース3に接合されることにより生じる張力とが、いずれも緩衝体41に作用することになる。その結果、蓋体4が緩衝体41から受ける反力を抑え込むことができ、反力による蓋体4の浮き、又は反力による蓋体4の変形が抑制され、ケース3における開口部33の周縁(フランジ部37)と蓋体4との間に隙間が生じにくくなる。
(2.6)内部部品の固定構造
次に、ケース3に対する内部部品2の固定構造の詳細について、図8A〜図10を参照して説明する。本実施形態では、上述したように、ケース3には固定部61、支持部62及び規制部63が形成されている。
内部部品2は、図8Aに示すように、ねじ71及びナット72にて、回路基板230が固定部61に固定されることによって、ケース3の底面310に固定されている。固定部61は、ケース3の底面310から、蓋体4側(Z軸の負の向き)に向けて突出するように、絞り加工(円筒絞り加工)により、ケース3の底板35と一体に形成されている。すなわち、内部部品2は、回路基板230の中央部が、このような固定部61に対して固定されることによりケース3に固定される。
支持部62は、図8Bに示すように、回路基板230に対して、回路基板230の厚み方向の一方側(Z軸の正の向き)から接触することにより、回路基板230を支持する。支持部62は、Z軸方向において、ケース3の底面310と回路基板230との間に位置する。つまり、支持部62は、回路基板230におけるケース3の底面310との対向面に接触することで、回路基板230を支持している。
支持部62は、金属体30と一体に形成されており、接続部621を含んでいる。接続部621は、回路基板230に接触することで基準電位点(グランド)と電気的に接続される接続部621を含んでいる。具体的には、回路基板230におけるケース3の底面310との対向面の一部には、基準電位点となる導電パッド231(図9参照)が、はんだ等により形成されている。支持部62の接続部621は、このような導電パッド231に接触することにより、駆動回路23の基準電位点と電気的に接続される。導電パッド231は、回路基板230のうちの支持部62との接触部位の保護及び補強も兼ねている。
ここで、本実施形態では、固定部61もまた、支持部62と同様に、金属体30と一体に形成されており、回路基板230に接触することで基準電位点(グランド)と電気的に接続される。すなわち、回路基板230は、ねじ71及びナット72にて固定部61に固定されているのであって、支持部62(接続部621)だけでなく、固定部61に対しても接触する。そこで、基準電位点となる導電パッド231は、回路基板230におけるケース3の底面310との対向面のうち、支持部62(接続部621)と接触する部位だけでなく、固定部61と接触する部位にも形成されている。固定部61は、このような導電パッド231に接触することにより、駆動回路23の基準電位点と電気的に接続される。導電パッド231は、回路基板230のうちの固定部61との接触部位の保護及び補強も兼ねている。
本実施形態では、ケース3には一対の支持部62が設けられているため、図9に示すように、回路基板230は、1つの固定部61と、一対の支持部62との3点で、ケース3の底面310上に支持されることになる。そして、これら1つの固定部61、及び一対の支持部62の3点で、ケース3に含まれる金属体30が、駆動回路23の基準電位点(グランド)と電気的に接続されることになる。特に、本実施形態では、少なくとも一方の支持部62が接触する導電パッド231は、回路基板230における電源部(コネクタ27)の近傍に配置されている。これにより、金属体30の電位を安定させやすくなり、電磁ノイズの発生を抑制しやすくなる。
また、固定部61は、ケース3の底面310からの高さが、接続部621よりも低い。つまり、ケース3の底面310からの固定部61の高さH1(図8A参照)は、ケース3の底面310からの接続部621の高さH2(図8B参照)よりも僅かに低く設定されている(H1<H2)。このような寸法関係によれば、回路基板230が固定部61に固定された状態では、回路基板230が適度の接圧をもって接続部621に接触しやすくなる。
規制部63は、図8Cに示すように、Z軸方向において、ケース3の底面310と回路基板230との間に位置する。ただし、規制部63は、支持部62とは異なり、回路基板230との間に隙間を有することで、基本的には回路基板230に接触しない。規制部63は、例えば、回路基板230の反り等が生じた場合に、回路基板230に対して、回路基板230の厚み方向の一方側(Z軸の正の向き)から接触することにより、底面310に近づく向きの回路基板230の移動を規制する。つまり、規制部63は、例えば、回路基板230の反り等が生じた場合に、回路基板230におけるケース3の底面310との対向面に接触することで、回路基板230の移動を規制する。本実施形態では、規制部63についても、支持部62と同様に、金属体30と一体に形成されている。
ここで、規制部63は、ケース3の底面310からの高さが、固定部61よりも低い。つまり、ケース3の底面310からの規制部63の高さH3(図8C参照)は、ケース3の底面310からの固定部61の高さH1(図8A参照)よりも僅かに低く設定されている(H3<H1)。このような寸法関係によれば、回路基板230に反り等が生じていない定常時には、規制部63と回路基板230との間には隙間が確保されることになる。
ところで、駆動回路23に含まれるトランス25は、図10に示すように、巻線部251と、放電部21に接続される接続端子252と、を有している。巻線部251から見て、放電部21と接続端子252とは反対側に位置している。すなわち、トランス25は、中心軸Ax1周りに巻き回された導線からなる巻線部251と、二次側端子としての接続端子252と、を有している。巻線部251の中心軸Ax1はX軸に沿っている。トランス25は、電源からの入力電圧を巻線部251にて昇圧し、昇圧後の電圧を印加電圧として、二次側端子である接続端子252から放電部21に出力する。接続端子252は、ハーネス26にて放電部21に電気的に接続されている。
そして、トランス25は、巻線部251から見て、放電部21と接続端子252とが反対側に位置するような向きで、回路基板230に実装されている。具体的には、巻線部251から見て、X軸の正の向きに放電部21が位置し、X軸の負の向きに接続端子252が位置している。言い換えれば、X軸(巻線部251の中心軸Ax1)に沿った方向において、接続端子252、巻線部251及び放電部21が、この順に並ぶように配置されている。つまり、X軸(巻線部251の中心軸Ax1)に沿った方向において、接続端子252と放電部21との間に、巻線部251が位置する。ハーネス26は、トランス25と周壁36との間を通して引き回されており、接続端子252と放電部21とを接続する。
このようなトランス25の配置によれば、巻線部251を回路基板230の中央部近傍に配置することができ、巻線部251は、ケース3の周壁36から一定距離以上、離れて配置されることになる。巻線部251は、駆動回路23での昇圧時に、電磁ノイズの発生源となることがあるが、巻線部251がケース3の周壁36から離れて配置されることで、ケース3(金属体30)の外部への電磁ノイズの漏洩を抑制しやすくなる。特に、巻線部251の中心軸Ax1においては、巻線部251とケース3の周壁36との間に接続端子252が介在することで、両者間の間隔を大きくとることができるので、ケース3(金属体30)の外部への電磁ノイズの漏洩を抑制しやすくなる。
ただし、トランス25の巻線部251に限らず、電磁ノイズの主たる発生源となり得る部品については、ケース3の周壁36から一定距離以上、離れた位置に配置するべく、回路基板230の中央部近傍に配置されていることが好ましい。
(2.7)風路部材
次に、ケース3に収容される風路部材5の詳細について、図11〜図13を参照して説明する。図13は、風路部材5の内部構造を説明するための概略図である。図13では、内部部品2(放電部21及び送風部22)を想像線(二点鎖線)で示し、給気風路R1及び排気風路R2の各々に網掛(ドットハッチング)を付している。
風路部材5は、一例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材料にて構成されている。ここで、風路部材5とノズル51とは一体成形品である。これにより、風路部材5はノズル51と一体化されている。そして、風路部材5は、蓋体4に対して、例えば、熱かしめ等の手段により固定されている。つまり、風路部材5は、蓋体4に固定される。
風路部材5は、中空構造を採用しており、その内側に風路R10を形成する。風路部材5の外形は、図11に示すように、X軸方向の寸法よりもY軸方向の寸法が小さく、Y軸方向の寸法よりもZ軸方向の寸法が小さい直方体状に形成されている。そのため、風路部材5は、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向を短手方向とする長方形状となる。風路部材5は、ケース3と蓋体4との間に収容されるので、当然ながら、その外形はケース3よりも小さく設定されている。
風路部材5は、Z軸方向における蓋体4とは反対側の面(上面)を、回路基板230に接触させるか、又は僅かな隙間を空けて回路基板230に対向させた状態で、内部部品2と共にケース3内に収容される(図8A参照)。言い換えれば、風路部材5が内部部品2と共にケース3内に収容された状態では、風路部材5におけるZ軸の正の向きを向いた面は、回路基板230に突き合わされる。本実施形態では、風路部材5におけるZ軸の正の向きを向いた面、及びZ軸の負の向きを向いた面には、それぞれ開口が形成されている。ただし、これらの開口は、回路基板230又は蓋体4にて覆われる形になる。そのため、本実施形態では、風路部材5は、ケース3内において、風路部材5単独ではなく、回路基板230又は蓋体4と共に、気流F1を通すための風路R10を形成することになる。
本実施形態では、風路部材5は、Z軸方向における蓋体4とは反対側の面に、複数(ここでは2つ)のダボ584を有している。ダボ584の先端が回路基板230に接触することで、風路部材5のうちZ軸方向における蓋体4とは反対側の面と、回路基板230との間には隙間が確保される。
また、図12に示すように、風路部材5におけるX軸の正の向きを向いた面にはノズル51が一体に設けられており、風路部材5におけるY軸の正の向きを向いた面には導入口50が形成されている。ノズル51は、円筒状に形成されており、上述したように、ケース3の放出口31内に配置されている。導入口50は、ケース3の給気口32に対向する位置に配置されており、空気を風路部材5内の風路R10に取り込むための口(開口)である。風路部材5は、ケース3の内側面のうち給気口32が形成された部位に対して、僅かな隙間を空けて導入口50を対向させた状態で、内部部品2と共にケース3内に収容される。
これにより、給気口32からケース3内に取り込まれた空気は、導入口50から風路部材5内に取り込まれ、風路部材5内の風路R10を通してノズル51まで移動し、ノズル51を通して放出口31からケース3外に放出されることになる。結果的に、給気口32から取り込まれて放出口31から放出される気流F1が風路部材5にて整流され、有効成分を運ぶための気流F1を効率的に生成することができる。
本実施形態では、風路部材5は、上流ブロック53と、下流ブロック54と、を有している。風路部材5は、上流ブロック53及び下流ブロック54に加えて、上述した、かしめ部55、連結部56及び通線部57を更に有している。
連結部56は、上流ブロック53と下流ブロック54とを連結する。これにより、上流ブロック53及び下流ブロック54が一体化される。本実施形態では、風路部材5は、一体成形品である。そのため、風路部材5に含まれる上流ブロック53、下流ブロック54及び連結部56等の複数の要素についても、一体成形品として一体化されている。つまり、本実施形態では、上流ブロック53と下流ブロック54とは一体成形品であって、一体不可分の関係にある。
本実施形態では、上流ブロック53、下流ブロック54及び連結部56は、X軸の正の向きに、上流ブロック53、連結部56、下流ブロック54の順で並んでいる。つまり、連結部56から見て、X軸の負の側には上流ブロック53が位置し、連結部56から見て、X軸の正の側には下流ブロック54が位置する。連結部56は、中空構造を採用しており、その内部を通して、上流ブロック53内の給気風路R1と、下流ブロック54内の排気風路R2と、を連結している。言い換えれば、風路部材5が形成する風路R10は、給気風路R1及び排気風路R2に加えて、連結部56の内部空間を含んでいる。
連結部56は、送風部22を収容する。すなわち、風路部材5が内部部品2と共にケース3内に収容された状態では、回路基板230に搭載された送風部22は、連結部56の内側に配置されることになる。そのため、風路部材5のうち、少なくとも連結部56におけるZ軸の正の向きを向いた面には、送風部22を挿入するための開口が形成されている(図11参照)。これにより、風路部材5で形成される風路R10の途中に、内部部品2の送風部22が配置される。
ここにおいて、送風部22は、上流ブロック53及び下流ブロック54の並ぶ方向(X軸方向)と、ファンの回転軸と、を一致させる向きで、連結部56に収容される。本実施形態では、送風部22のファンは、ファンの回転軸に沿って気流F1を発生する軸流ファンである。そして、ファンの回転軸は、X軸に平行となるように送風部22が配置されているので、気流F1の流れる方向は、X軸に沿った方向となる。しかも、送風部22は、X軸の正の向きに流れる気流F1を発生するように、ファンの回転方向が規定されている。そのため、連結部56に収容された送風部22が作動すれば、上流ブロック53から下流ブロック54に向けて空気が流れるように気流F1が発生することになる。
上流ブロック53は、上述したように、送風部22から見て上流側となる給気風路R1を形成する。給気風路R1は、送風部22で発生する気流F1を通す風路R10の一部であって、気流F1は、ケース3の給気口32から放出口31に向けて流れる。そのため、上流ブロック53は、連結部56から見て気流F1の上流側、つまり気流F1の流入元となる給気口32側に配置され、連結部56の上流側に給気風路R1を形成する。具体的には、給気風路R1は、ケース3に形成された給気口32と送風部22との間をつないでいる。これにより、給気口32から取り込まれた空気は、給気風路R1を通って送風部22に到達する。
より詳細には、導入口50は、上流ブロック53のうちのY軸の正の向きを向いた面に形成されている。そして、上流ブロック53は、ケース3の給気口32に対向する導入口50から、給気風路R1内に空気を取り込んでいる。したがって、給気風路R1は、図13に示すように、Y軸の正の向きを向いた入口から取り込んだ空気を、X軸の正の向きを向いた出口から放出するように、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、略L字状の風路を形成する。
このように、給気口32から送風部22の間にも風路R10(給気風路R1)を形成することで、風路部材5は、ケース3の外部の空気を、送風部22に効率的に供給することができる。ここで、放電部21が有効成分を発生する性能は、放電部21の周辺の雰囲気(温度及び/又は湿度等)の影響を受けることがある。給気風路R1によれば、内部部品2等で加熱されたケース3内部の空気でなく、ケース3の外部から取り込んだ空気を積極的に放電部21に送ることができる。したがって、本実施形態に係る有効成分発生装置1によれば、放電部21の周辺の雰囲気(温度及び/又は湿度等)の影響による有効成分の発生効率の低下を抑制できる。
下流ブロック54は、上述したように、送風部22から見て下流側となる排気風路R2を形成する。排気風路R2は、送風部22で発生する気流F1を通す風路R10の一部であって、気流F1は、ケース3の給気口32から放出口31に向けて流れる。そのため、下流ブロック54は、連結部56から見て気流F1の下流側、つまり気流F1の流出先となる放出口31側に配置され、連結部56の下流側に排気風路R2を形成する。具体的には、排気風路R2は、送風部22と放出口31との間をつないでいる。これにより、送風部22から送り出された空気は、排気風路R2を通って放出口31に到達する。
より詳細には、ノズル51は、下流ブロック54のうちのX軸の正の向きを向いた面に形成されている。そして、下流ブロック54は、ケース3の放出口31内に配置されたノズル51から、排気風路R2内の空気を放出している。したがって、排気風路R2は、図13に示すように、X軸の負の向きを向いた入口から取り込んだ空気を、X軸の正の向きを向いた出口から放出するように、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、略直線状の風路を形成する。
また、下流ブロック54は、放電部21を収容する。すなわち、風路部材5が内部部品2と共にケース3内に収容された状態では、回路基板230に搭載された放電部21は、下流ブロック54の内側に配置されることになる。そのため、風路部材5のうち、少なくとも下流ブロック54におけるZ軸の正の向きを向いた面には、放電部21を挿入するための開口が形成されている(図11参照)。これにより、風路部材5で形成される風路R10の途中に、内部部品2の放電部21が配置される。特に、下流ブロック54に放電部21が収容されることで、放電部21は、風路R10における送風部22の下流側、つまり排気風路R2に配置されることになる。
ここで、上述したように、風路部材5のうちのZ軸方向の少なくとも一面に形成された開口は、回路基板230又は蓋体4にて覆われており、風路部材5は、ケース3内において、回路基板230又は蓋体4と共に風路R10を形成する。本実施形態では、上流ブロック53においては蓋体4側に開口が形成されており、下流ブロック54においては回路基板230側に開口が形成されている。そのため、上流ブロック53にて形成される給気風路R1は、その一面が蓋体4にて覆われ、下流ブロック54にて形成される排気風路R2は、その一面が回路基板230にて覆われることになる。
言い換えれば、給気風路R1については、回路基板230との間が風路部材5(後述する基板側隔壁582)にて隔てられ、排気風路R2については、蓋体4との間が風路部材5にて隔てられる。したがって、風路部材5にアンダーカット部が必須でなく、風路部材5の製造工程において金型構造を簡素化することが可能となる。また、排気風路R2については、帯電した有効成分が金属製の蓋体4に吸着することを抑制でき、有効成分の放出効率の更なる向上を図ることができる。
また、風路部材5は、有効成分が放出口31から比較的効率よく放出されるように、送風部22で発生した気流F1及び有効成分の流れをスムーズにするための工夫を採用している。具体的には、風路部材5の内面(風路R10の内周面)には、角部においてもR(アール)形状を採用することで乱流の発生を抑制する。さらに、排気風路R2については、上述したように、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、略直線状の風路を適用することで、送風部22から送り出される空気を放出口31から効率的に排出されるようにしている。つまり、排気風路R2を通る気流F1をX軸方向に制御することで、有効成分を放出口31から真っ直ぐに放出するような気流F1が生じやすく、気流F1によって有効成分をより遠くに飛ばしやすくなる。また、風路部材5は、樹脂成形品であるので、風路R10全体の断面積を極力広くしつつ、シームレス構造を採用できて空気の漏れ等を少なく抑えることができる。
かしめ部55は、上流ブロック53及び下流ブロック54におけるZ軸の負の向きを向いた面に、それぞれ設けられている(図3参照)。
通線部57は、内部部品2に電気的に接続されるハーネス26(電線)を保持する。通線部57は、風路R10の外部に配置される。つまり、風路部材5は、ハーネス26を保持するための通線部57を、風路R10(給気風路R1及び排気風路R2)の内側ではなく外側に有することで、風路R10の外側でハーネス26を保持する。これにより、風路R10を通る気流F1(及び有効成分)に対して、ハーネス26で発生する熱が影響しにくくなる。
本実施形態では、通線部57は、図12に示すように、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、上流ブロック53及び連結部56に対してY軸の負の側となる位置に配置されている。言い換えれば、通線部57は、上流ブロック53にて形成される給気風路R1の側方に位置している。通線部57は、Y軸方向に対向する一対の壁571,572を有している。本実施形態では、一対の壁571,572のうちの一方の壁571は連結部56の一部であって、他方の壁572は壁571から見て送風部22とは反対側に位置する。通線部57は、これら一対の壁571,572の間にハーネス26を通すことによって、一対の壁571,572にてハーネス26の移動を規制して、ハーネス26を保持している。
さらに、通線部57で保持されるハーネス26は、駆動回路23におけるトランス25と、放電部21とを電気的に接続している。つまり、ハーネス26の一端は、下流ブロック54に収容されている放電部21に接続される。そこで、ハーネス26は、図12に示すように、通線部57と排気風路R2との間をつなぐように下流ブロック54の一部に形成された切欠部を通して、下流ブロック54内(排気風路R2)に引き込まれる。
ところで、本実施形態では、図11に示すように、風路部材5は、基板側隔壁581と、隔壁582と、を有している。基板側隔壁581は、駆動回路23に含まれる回路基板230と、風路R10の少なくとも一部と、の間を隔てる。つまり、基板側隔壁581は、風路部材5の内部空間(風路R10)の少なくとも一部を、Z軸の正の側から覆っている。隔壁582は、基板側隔壁581の外周縁の少なくとも一部からZ軸の負の向きに突出する。隔壁582は、内部部品2に含まれる少なくとも一の発熱部品と、風路R10の少なくとも一部と、の間を隔てる。
本実施形態では、基板側隔壁581は、上流ブロック53に含まれている。言い換えれば、上流ブロック53の一部が基板側隔壁581としての機能を兼ね備えている。この基板側隔壁581は、給気風路R1の上面(Z軸の正の側の面)を構成し、給気風路R1を挟んで、蓋体4と対向する。風路部材5は、基板側隔壁581を、回路基板230に接触させるか、又は僅かな隙間を空けて回路基板230に対向させた状態で、内部部品2と共にケース3内に収容される。そのため、風路部材5が内部部品2と共にケース3内に収容された状態では、給気風路R1と回路基板230との間には、少なくとも基板側隔壁581が位置することになる。これにより、給気風路R1は、回路基板230に直接的にさらされることなく、基板側隔壁581にて回路基板230から隔離される。
さらに、本実施形態では、基板側隔壁581のうち、回路基板230の固定用のねじ71に対応する部位には、凹部583が形成されている。風路部材5が内部部品2と共にケース3内に収容された状態では、風路部材5は、凹部583によって、ねじ71との干渉を回避しつつ、基板側隔壁581にて、給気風路R1とねじ71との間をも、隔てることができる(図8A参照)。
また、本実施形態は、隔壁582は、上流ブロック53に含まれている。言い換えれば、上流ブロック53の一部が隔壁582としての機能を兼ね備えている。この隔壁582は、給気風路R1の側面を構成する。風路部材5は、図12に示すように、隔壁582を、僅かな隙間を空けて発熱部品であるトランス25に対向させた状態で、内部部品2と共にケース3内に収容される。そのため、風路部材5が内部部品2と共にケース3内に収容された状態では、給気風路R1と発熱部品(トランス25)との間には、少なくとも隔壁582が位置することになる。これにより、給気風路R1は、発熱部品(トランス25)に直接的にさらされることなく、隔壁582にて発熱部品(トランス25)から隔離される。
以上説明したような、基板側隔壁581及び隔壁582によれば、回路基板230及び発熱部品(トランス25等)、更には、ねじ71等から、風路R10の少なくとも一部を隔離することができる。これにより、風路R10を通る気流F1(及び有効成分)に対して、回路基板230、発熱部品(トランス25)、及びねじ71等で生じる熱が影響しにくくなる。要するに、基板側隔壁581及び隔壁582によれば、例えば、回路基板230及びトランス25等の発熱部品で生じた熱により加熱された空気が、風路R10に流入することを抑制でき、結果的に、有効成分の発生効率の低下を抑制できる。
さらに、風路部材5により、風路R10を通る気流F1に対して、ハーネス26、回路基板230、発熱部品(トランス25)、及びねじ71等で発生する熱が影響しにくくなれば、放電部21での結露による液体の生成効率の低下も抑制できる。つまり、気流F1の温度が上昇すると放電部21での結露が生じにくくなって液体の生成効率が低下するところ、風路部材5により気流F1の温度上昇が抑制されることで、結露による液体の生成効率の低下を抑制しやすくなる。
また、本実施形態では、風路部材5は、放電部21を収容する消音室59(図11参照)を形成している。消音室59は、有効成分の発生時に放電部21で発生する放電音を、共鳴現象を利用して小さくする。本実施形態では、消音室59は、上流ブロック53、連結部56及び下流ブロック54にまたがって形成されている。つまり、給気風路R1及び排気風路R2を含む、上流ブロック53、連結部56及び下流ブロック54の内部空間が、消音室59として機能する。
すなわち、本実施形態に係る有効成分発生装置1では、風路部材5を音響管として機能させることで、共鳴現象を利用して放電部21で発生する放電音を低減する。要するに、放電部21では、放電が間欠的に生じるのに伴い、放電音という音が発生することがある。このような放電音を、風路部材5にて低減することで、有効成分発生装置1としての消音化を図ることが可能である。
具体的には、風路部材5は、消音室59の内側面として、図13に示すように、放電部21を挟んで対向する一対の壁面591,592を有している。消音室59における放電部21を挟んで対向する一対の壁面591,592間の距離D1は、放電音の波長λ、及び整数nを用いて、下記(1)の式で表される。
D1≒(1/4+n/2)×λ・・・(1)
ここにおいて「≒」は、略等しいことを意味し、±5%の誤差を許容する。すなわち、上記(1)の式は、「D1=(1/4+n/2)×λ±5%」のようにも書き直される。また、本開示でいう「放電音の波長」は、放電音の主波長であって、放電音が複数の周波数成分の音を含む場合には、その中で支配的な、つまり強度が最も大きい音の周波数の逆数である。
一例として、本実施形態では、放電部21にて2kHz付近の放電音が発生することを想定する。この場合に、音速を340m/sとすれば、2kHzの放電音の波長λは170mmである。そのため、上記(1)の式より、本実施形態では、一対の壁面591,592間の距離D1は43.5mmとする。
要するに、風路部材5を音響管とみなせば、上記(1)の式を満たすことで、一対の壁面591,592間において放電音の反射が生じた場合に、共鳴現象が生じて、入射波と反射波とが互いに逆位相となる。これにより、風路部材5の内部では、入射波と反射波とが互いに打ち消し合うことになって、風路部材5から外部に漏れる放電音が低減される効果が期待される。
特に、本実施形態では、一対の壁面591,592は、気流F1の流れる方向において対向する。つまり、共鳴現象を生じるように上記距離D1に設定された一対の壁面591,592は、気流F1の流れる方向であるX軸方向において対向する。言い換えれば、風路部材5のうち、X軸方向の両側の壁部の内側面を、それぞれ壁面591,592とする。これにより、風路R10の上流側の壁面591と下流側の壁面592との間で、共鳴現象を生じさせることができ、効果的に、放電音の低減を図ることができる。
さらに、本実施形態に係る有効成分発生装置1は、放電音への対策として、消音部材48(図13参照)を更に備えている。消音部材48は、風路部材5に囲まれる位置であって、放電部21に対向する位置に配置されている。具体的には、消音部材48は、板状に形成されており、風路部材5の下流ブロック54における放電部21との対向面に貼り付けられている。ここで、消音部材48は、放電部21から見て、Z軸の負の向きに位置し、隙間を空けて放電部21と対向している(図8参照)。このように、消音部材48は、放電部21に対向しつつ、かつ気流F1の妨げとなりにくい位置に配置されている。
消音部材48は、例えば、ポリエチレンフォーム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)フォーム、ポリウレタンフォーム等のクッション材、スポンジ、又は多孔質部材で実現される。このような消音部材48によれば、放電部21で発生した放電音は消音部材48に吸収されることで低減され、風路部材5から外部に漏れる放電音が低減される効果が期待される。消音部材48は、放電音の周波数(例えば、2kHz)付近の周波数成分について吸音特性に優れた部材であることが好ましい。
(2.8)製造方法
上述したような有効成分発生装置1の製造方法は、基本的には、内部部品2と、ケース3と、蓋体4と、をそれぞれ作成する工程と、これらを組み立てる工程と、を有している。
内部部品2を作成する工程では、回路基板230等の作成に加えて、駆動回路23を構成する実装部品(トランス25等)、放電部21、送風部22、液体供給部24及びコネクタ27等の回路基板230への実装が行われる。
蓋体4を作成する工程では、蓋体4の作成に加えて、緩衝体41及び風路部材5の蓋体4への固定が行われる。
ケース3を作成するケース作成工程では、金属板に絞り加工(角筒絞り加工)が施されることにより、箱状のケース3を作成する。このようなケース作成工程では、底板35と周壁36との間の角部については勿論のこと、平面視において四隅に位置する周壁36における4つの角部についても継ぎ目が生じない、シームレス構造のケース3を作成可能である。
そして、内部部品2、ケース3及び蓋体4を組み立てる工程では、ケース3内への内部部品2の収容に加えて、ケース3と蓋体4との接合が行われる。
ケース3内に内部部品2を収容する収容工程では、回路基板230に放電部21及び送風部22等が実装されて構成された内部部品2を、ケース3内に収容する。さらに、収容工程では、ねじ71及びナット72にて、回路基板230を固定部61に固定することによって、内部部品2がケース3の底面310に固定される。
すなわち、本実施形態に係る有効成分発生装置1の製造方法は、ケース作成工程と、収容工程と、を有している。ここで、有効成分発生装置1は、内部部品2と、ケース3と、を備えている。内部部品2は、有効成分を発生する放電部21を含んでいる。ケース3は、有効成分を放出するための放出口31を有する箱状に形成され、内部部品2を収容する。ケース作成工程は、金属板に対して絞り加工を施すことによりケース3を形成する工程である。収容工程は、ケース3内に内部部品2を収容する工程である。
また、本実施形態では、上述のように給気風路R1を形成する上流ブロック53と、排気風路R2を形成する下流ブロック54と、が一体化されていることで、風路部材5の部品点数を少なく抑えることができ、有効成分発生装置1の組立性が向上する。さらに、ノズル51についても、風路部材5と一体化されているので、ノズル51が別体である場合に比べて、有効成分発生装置1の部品点数を少なく抑えることができ、有効成分発生装置1の組立性が向上する。また、このような複数の要素(上流ブロック53、下流ブロック54及びノズル51)が一体化されることで、複数の要素の一部の組み忘れ等が生じることも抑制できる。特に、ノズル51が風路部材5と一体化されていることで、例えば、風路部材5の組み忘れがあれば、外観上においても、組み忘れが明らかとなるため、組み忘れによる不良品の発生を抑制できる。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、本開示で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
有効成分発生装置1の用途は、車載用に限らず、例えば、住宅又はオフィス等で使用される冷蔵庫、洗濯機、ドライヤー、空気調和機、扇風機、空気清浄機、加湿器又は美顔器等に有効成分発生装置1が用いられてもよい。
また、実施形態1では、ケース3を絞り加工で形成することによって、金属体30のシームレス構造を実現しているが、この例に限らない。すなわち、有効成分発生装置1は、金属体30の角部において隣接する2面間の隙間を小さくするように、シームレス部301にて、隙間の少なくとも一部が塞がれていればよい。例えば、金属体30の角部において隣接する2面間の隙間を、溶接、又は金属シート、金属テープ、金属板若しくは金属ペースト等で埋めることで、シームレス部301が実現されてもよい。この場合、例えば、金属板を曲げ加工により箱状とすることで形成されるケース3であっても、折り曲げられた金属板の合わせ目等に生じた隙間の少なくとも一部を、上記の手段で埋めることで、シームレス部301を実現することができる。
また、ケース3は、金属体30を有していればよく、ケース3の全体が金属体30であることは、有効成分発生装置1に必須の構成ではない。すなわち、実施形態1では、ケース3が、金属板にて形成されているので、ケース3全体が金属製の金属体30であるが、例えば、ケース3の一部のみが金属製の金属体30であってもよい。例えば、インサート成形等により、金属体30と樹脂成形品とが一体されることによって、金属体30及び樹脂成形品を含むケース3が構成されていてもよい。あるいは、樹脂成形品に対して、金属メッキを施す又は金属シートを貼り付ける等の手法により、樹脂成形品の表面に金属体30を有するケース3が構成されてもよい。
また、緩衝体41は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)フォームに限らず、例えば、ポリウレタンフォーム等のクッション材であってもよい。さらに、緩衝体41は、クッション材に限らず、例えば、ゴム部材、ポリウレタン部材、スポンジ、又は、ばね部材(板ばねを含む)等の弾性を有する部材で実現されてもよい。これらの場合でも、緩衝体41は、その弾性により内部部品2の一部(例えば、送風部22)に対して押し付けられる。さらに、緩衝体41は、蓋体4と内部部品2の一部との間に挟まれていればよく、内部部品2のうちの送風部22に緩衝体41が接触する構成に限らない。例えば、内部部品2の一部であるトランス25と蓋体4との間に緩衝体41が挟まれていてもよく、この場合、トランス25が、緩衝体41の弾性力によりケース3の底面310側に押し付けられることになる。
また、ケース3の金属体30がシームレス部301を有することは、有効成分発生装置1に必須の構成ではない。
また、風路部材5は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に限らず、他の合成樹脂、又は少なくとも一部が金属製であってもよい。
また、送風部22は、給気風路R1と排気風路R2との間に配置されていればよく、連結部56が送風部22を収容することは、有効成分発生装置1に必須の構成ではない。
また、放電部21は、風路部材5で囲まれた位置にあればよく、下流ブロック54が放電部21を収容することは、有効成分発生装置1に必須の構成ではない。すなわち、放電部21は、風路部材5にて形成される風路R10の途中にあればよく、例えば、上流ブロック53に収容されていてもよい。この場合、放電部21は、風路R10における送風部22の上流側、つまり給気風路R1に配置されることになる。
また、隔壁582は、トランス25以外の発熱部品、例えば、トランジスタ(電界効果型トランジスタを含む)、ダイオード、抵抗器、コンデンサ等の電子部品、その他の部品と、風路R10の少なくとも一部と、の間を隔てる構成であってもよい。さらに、隔壁582は、発熱部品と、風路R10の少なくとも一部と、の間を隔てていればよく、上流ブロック53の一部が隔壁582として機能する構成に限らない。例えば、下流ブロック54の一部が隔壁582として機能し、隔壁582が、排気風路R2を発熱部品から隔離してもよい。この場合、隔壁582は、発熱部品が放電部21の周辺の雰囲気に与える影響を抑制しやすくなり、有効成分の放出効率の更なる向上を図ることができる。
同様に、基板側隔壁581は、回路基板230と、風路R10の少なくとも一部と、の間を隔てていればよく、上流ブロック53の一部が基板側隔壁581として機能する構成に限らない。例えば、下流ブロック54の一部が基板側隔壁581として機能し、基板側隔壁581が、排気風路R2を回路基板230から隔離してもよい。この場合、基板側隔壁581は、回路基板230が放電部21の周辺の雰囲気に与える影響を抑制しやすくなり、有効成分の放出効率の更なる向上を図ることができる。
また、放電電極211は及び対向電極212は、チタン合金(Ti合金)に限らず、一例として、銅タングステン合金(Cu−W合金)等の銅合金であってもよい。また、放電電極211は、先細り形状に限らず、例えば、先端が膨らんだ形状であってもよい。
また、駆動回路23から放電部21に印加される高電圧は、6.0kV程度に限らず、例えば、放電電極211及び対向電極212の形状、又は放電電極211及び対向電極212間の距離等に応じて適宜設定される。
また、内部部品2の固定構造は、実施形態1で説明した構造に限らない。例えば、固定部61への回路基板230の固定は、ねじ71及びナット72等の締結具を用いて実現される構成に限らず、例えば、かしめ接合、接着又はスナップフィット等により実現されてもよい。接着には、接着剤又は粘着テープ等を用いた接合を含む。
また、ケース3と蓋体4との接合は、かしめ接合に限らず、例えば、溶接、締結具を用いた接合又は接着等であってもよい。締結具を用いた接合には、ねじ又はリベット等を用いた接合を含む。かしめ接合以外の溶接の場合であっても、実施形態1のように、ケース3と蓋体4とは、開口部33の周囲に位置する複数の接合部80〜89にて接合されることが好ましい。
また、風路部材5と蓋体4との接合は、熱かしめに限らず、例えば、溶接、締結具を用いた接合又は接着等であってもよい。締結具を用いた接合には、ねじ又はリベット等を用いた接合を含む。さらに、風路部材5は、蓋体4をインサート品としてインサート成形されることで、蓋体4と一体化されていてもよい。
また、蓋体4の形状は、実施形態1で説明したような、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向を短手方向とする長方形状に限らず、適宜変更可能である。一例として、蓋体4は、平面視において、正方形状、円形状、多角形(五角形以上)状又は長円形状等であってもよい。同様に、蓋体4の寸法及び材質等についても、適宜変更可能である。さらに、蓋体4は、第1閉塞片42、第2閉塞片43、リブ44及び張出部45の少なくとも1つを有さなくてもよい。
また、風路部材5の形状(外形)は、実施形態1で説明したような、X軸方向の寸法よりもY軸方向の寸法が小さく、Y軸方向の寸法よりもZ軸方向の寸法が小さい直方体状に限らず、適宜変更可能である。一例として、風路部材5は、平面視において(Z軸の正の向きから見て)、正方形状、円形状、多角形(五角形以上)状又は長円形状等であってもよい。そして、風路部材5は、平面視において、X軸方向の寸法とY軸方向の寸法とが等しくてもよいし、X軸方向の寸法よりもY軸方向の寸法が大きくてもよい。同様に、風路部材5の寸法及び材質等についても、適宜変更可能である。さらに、風路部材5は、かしめ部55、連結部56、通線部57及びダボ584の少なくとも1つを有さなくてもよい。
また、駆動回路23の基準電位点と金属体30との電気的な接続は、支持部62(接続部621)及び固定部61が導電パッド231との接触にて実現される構成に限らない。例えば、リード線、ハーネス又はねじ等の部材で、駆動回路23の基準電位点と金属体30とを接続することで、駆動回路23の基準電位点と金属体30との電気的な接続が実現されてもよい。
また、液体供給部24は、有効成分発生装置1に必須の構成ではなく、適宜省略されていてもよい。この場合、放電部21は、放電電極211、及び対向電極212間に生じる放電(全路破壊放電又は部分破壊放電)によって、マイナスイオン等の有効成分を生成する。
また、液体供給部24は、実施形態1のように放電電極211を冷却して放電電極211に結露水を発生させる構成に限らない。液体供給部24は、例えば、毛細管現象、又はポンプ等の供給機構を用いて、タンクから放電電極211に液体を供給する構成であってもよい。さらに、液体は、水(結露水を含む)に限らず、水以外の液体であってもよい。
また、駆動回路23は、放電電極211を正極、対向電極212を負極(グランド)として、放電電極211と対向電極212との間に高電圧を印加するように構成されていてもよい。さらに、放電電極211と対向電極212との間に電位差(電圧)が生じればよいので、駆動回路23は、高電位側の電極(正極)をグランドとし、低電位側の電極(負極)をマイナス電位とすることで、放電部21にマイナスの電圧を印加してもよい。
また、二値間の比較において、「以上」としているところは、二値が等しい場合、及び二値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、二値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、二値が等しい場合を含むか否かは、閾値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る有効成分発生装置1Aは、図14A〜図15Bに示すように、シールド壁46を備える点で、実施形態1に係る有効成分発生装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
シールド壁46は、ケース3内において放出口31から見て放電部21と重なる位置に配置される。言い換えれば、平面視において、放電部21と放出口31との間には、シールド壁46が位置する。図14A及び図14Bに示すように、蓋体4側に設けられたシールド壁46は、蓋体4とケース3と組み合わせ時に、放電部21と放出口31との間の空間に挿入される。ケース3には、放電部21で発生した有効成分をケース3外へ放出するための放出口31が形成されている。シールド壁46は、ケース3内において放出口31に対応する位置に配置されることで、放電部21等で発生して放出口31を通してケース3外へ放射される電磁ノイズを低減する。
本実施形態では、シールド壁46は、導電性の金属板にて構成されている。シールド壁46は、略L字状に形成されており、その一辺が蓋体4に接合されることにより、他辺が蓋体4に対して略垂直に延びる形になる。そして、シールド壁46は、蓋体4に接合されることで、蓋体4及びケース3(金属体30)と電気的に接続されている。金属体30は、駆動回路23の基準電位点(グランド)に電気的に接続されているので、シールド壁46は、蓋体4及び金属体30を介して駆動回路23の基準電位点と電気的に接続されることになる。
また、シールド壁46は、電気絶縁性の保護部材52にて覆われている。本実施形態では、平面視におけるシールド壁46の全周が保護部材52にて覆われている。これにより、放電部21で発生した有効成分が帯電している場合でも、帯電した有効成分がシールド壁46に吸着しにくくなる。そのため、図15Aに示すように、放電部21で発生した有効成分は、シールド壁46及び保護部材52を迂回する気流F1に乗って運ばれ、放出口31のノズル51からケース3外へ放出されやすくなる。
本実施形態では、図15Bに示すように、保護部材52は、風路部材5と一体化されている。つまり、風路部材5は、ノズル51及び保護部材52と一体成形されている。そのため、保護部材52を設けながらも、部品点数の増加を抑えることができる。
実施形態2の変形例として、駆動回路23の基準電位点とシールド壁46との電気的な接続は、蓋体4に対するシールド壁46の接合にて実現される構成に限らない。例えば、リード線、ハーネス又はねじ等の部材で、駆動回路23の基準電位点とシールド壁46とを接続することで、駆動回路23の基準電位点とシールド壁46との電気的な接続が実現されてもよい。
また、保護部材52は風路部材5と一体でなくてもよく、例えば、シールド壁46を覆う電気絶縁性のテープ(絶縁テープ)、又は電気絶縁性の塗装膜にて保護部材52が実現されてもよい。また、シールド壁46をインサート品として、風路部材5をインサート成形することで、シールド壁46と風路部材5とが一体化されていてもよい。
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)は、内部部品(2)と、ケース(3)と、風路部材(5)と、を備える。内部部品(2)は、有効成分を発生する放電部(21)を含む。ケース(3)は、有効成分を放出するための放出口(31)を有する箱状に形成され、内部部品(2)を収容する。風路部材(5)は、ケース(3)に収容され、放電部(21)を囲む。内部部品(2)は、送風部(22)を更に含む。送風部(22)は、有効成分を放出口(31)からケース(3)の外部に出力するための気流(F1)を発生する。風路部材(5)は、上流ブロック(53)と、下流ブロック(54)と、を一体に有する。上流ブロック(53)は、送風部(22)から見て上流側となる給気風路(R1)を形成する。下流ブロック(54)は、送風部(22)から見て下流側となる排気風路(R2)を形成する。風路部材(5)は、ケース(3)内に、給気風路(R1)及び排気風路(R2)を含み、気流(F1)を通すための風路(R10)を形成する。
この態様によれば、風路部材(5)は、送風部(22)から見て上流側となる給気風路(R1)と、送風部(22)から見て下流側となる排気風路(R2)と、を含む風路(R10)をケース(3)内に形成する。しかも、風路部材(5)は、給気風路(R1)を形成する上流ブロック(53)と、排気風路(R2)を形成する下流ブロック(54)と、を一体に有している。そのため、ケース(3)の内部空間においては、送風部(22)の上流側及び下流側のいずれについても、気流(F1)が風路部材(5)にて制御され、有効成分をケース(3)の外部に出力するための気流(F1)についてケース(3)内で損失が生じにくい。結果的に、有効成分をケース(3)の外部に出力するための気流(F1)を効率的に発生しやすい、という利点がある。
第2の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1の態様において、上流ブロック(53)と下流ブロック(54)とは一体成形品である。
この態様によれば、上流ブロック(53)と下流ブロック(54)とをシームレスに一体化でき、給気風路(R1)と排気風路(R2)とをスムーズにつなぐことができる。
第3の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1又は2の態様において、給気風路(R1)は、ケース(3)に形成された給気口(32)と送風部(22)との間をつなぐ。
この態様によれば、給気口(32)からケース(3)に取り込まれた空気を効率的に送風部(22)に送ることができる。
第4の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1〜3のいずれかの態様において、排気風路(R2)は、送風部(22)と放出口(31)との間をつなぐ。
この態様によれば、送風部(22)からの空気を効率的に放出口(31)に送ることができる。
第5の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1〜4のいずれかの態様において、風路部材(5)は、ノズル(51)と一体化されている。ノズル(51)は、放出口(31)内に配置されている。
この態様によれば、放出口(31)から放出される有効成分をノズル(51)を通して放出することができる。
第6の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1〜5のいずれかの態様において、風路部材(5)は、放電部(21)を収容する消音室(59)を形成する。消音室(59)は、有効成分の発生時に放電部(21)で発生する放電音を、共鳴現象を利用して小さくする。
この態様によれば、放電部(21)で発生する放電音を低減できる。
第7の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第6の態様において、消音室(59)における放電部(21)を挟んで対向する一対の壁面(591,592)間の距離D1は、放電音の波長λ、及び整数nを用いて、D1≒(1/4+n/2)×λで表される。
この態様によれば、放電部(21)で発生する放電音を効果的に低減できる。
第8の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第7の態様において、一対の壁面(591,592)は、気流(F1)の流れる方向において対向する。
この態様によれば、放電部(21)で発生する放電音を効果的に低減できる。
第9の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)は、第1〜8のいずれかの態様において、消音部材(48)を更に備える。消音部材(48)は、風路部材(5)に囲まれる位置であって、放電部(21)に対向する位置に配置される。
この態様によれば、放電部(21)で発生する放電音を低減できる。
第10の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1〜9のいずれかの態様において、風路部材(5)は、隔壁(582)を更に有する。隔壁(582)は、内部部品(2)に含まれる少なくとも一の発熱部品と、風路(R10)の少なくとも一部と、の間を隔てる。
この態様によれば、発熱部品で発生した熱について、風路(R10)を通る気流(F1)への影響を抑制できる。
第11の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1〜10のいずれかの態様において、内部部品(2)は、放電部(21)を駆動する駆動回路(23)を更に含む。風路部材(5)は、基板側隔壁(581)を更に有する。基板側隔壁(581)は、駆動回路(23)に含まれる回路基板(230)と、風路(R10)の少なくとも一部と、の間を隔てる。
この態様によれば、回路基板(230)で発生した熱について、風路(R10)を通る気流(F1)への影響を抑制できる。
第12の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)は、第1〜11のいずれかの態様において、ケース(3)に接合される蓋体(4)を更に備える。ケース(3)は、放出口(31)とは別に開口部(33)を有する。蓋体(4)は、ケース(3)との間に内部部品(2)を収容した状態で開口部(33)を塞ぐようにケース(3)と接合される。風路部材(5)は、蓋体(4)に固定される。
この態様によれば、風路部材(5)を蓋体(4)と一緒に扱うことができ、例えば、風路部材(5)の組み忘れ等を抑制できる。
第13の態様に係る有効成分発生装置(1,1A)では、第1〜12のいずれかの態様において、風路部材(5)は、通線部(57)を更に有する。通線部(57)は、内部部品(2)に電気的に接続される電線を保持し、風路(R10)の外部に配置される。
この態様によれば、電線で発生した熱について、風路(R10)を通る気流(F1)への影響を抑制できる。
第2〜13の態様に係る構成については、有効成分発生装置(1,1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。