JP4777142B2 - 酸化物系無機材料中の遊離酸化マグネシウム定量方法 - Google Patents

酸化物系無機材料中の遊離酸化マグネシウム定量方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶媒抽出法を用いた酸化物系無機材料の分析方法に係わり、特に製鉄プロセスの溶銑・溶鋼の精錬(製鋼)工程において生成する製鉄スラグなどの酸化物系無機材料中に含まれる遊離MgOを定量分析する方法に関する。
製鉄プロセスの溶銑・溶鋼を精錬する製鋼工程において副産物として生成するスラグは、骨材や路盤材等に用いられるセメント用原料として利用されている。
しかし、製鉄プロセスの副産物として生成されたスラグ中には、溶銑や溶鋼の脱燐、脱硫処理工程で添加する処理剤中に含有する生石灰(CaO)が滓化されずに多く残存する。このような化学的に不安定な未滓化CaO(以下、これを遊離CaOまたはfree−CaOと言う場合もある。)を含むスラグをそのまま骨材や路盤材などのセメント代替原料として使用すると、スラグ中のCaOが水との水和反応(CaO+H2O→Ca(OH)2)を起こし、水酸化物が生成する際に体積膨張する結果、骨材や路盤材中に割れが発生するというが問題があった。
このため、従来、製鉄プロセスの副産物として生成されたスラグをセメント代替原料として使用する場合には、予めスラグを粉砕後、屋外ヤードで数日〜数十日間山積みしてスラグ中に残存する遊離CaOを大気中の水分や雨水と水和反応させ、化学的に安定な水酸化物(Ca(OH)2)にすることが行われていた。しかし、この屋外ヤードでの水和反応は処理時間が長いため、スラグ中に残存する遊離CaOの安定化処理の高効率化を目的とし、粉砕スラグに水蒸気を吹き込む方法(例えば、特許文献1参照)や、粉砕スラグを温水に浸漬させる方法(例えば、特許文献2参照)などにより水和反応を促進させる方法が、多数提案されている。
また、製鉄プロセスの副産物として生成されたスラグ中には、溶銑・溶鋼の精錬工程において転炉、取鍋の内張り耐火物の保護剤として添加されたドロマイトなどに含有されるMgOも一部未滓化の状態で残存する。この化学的に不安定な未滓化MgO(以下、これを遊離MgOまたはfree−MgOと言う場合もある。)も、上記遊離CaOと同様に、水和反応(MgO+H2O→Mg(OH)2)により、化学的に安定な水酸化物(Mg(OH)2)が生成する際に体積膨張が起こるため、これを含有したスラグをセメント代替原料として用いる場合に、骨材や路盤材中に生じる割れや崩壊の原因となる。特に、近年、転炉、取鍋の長寿命化の要求からドロマイトなどの添加量の増加に伴い、製鉄プロセスで生成されたスラグ中に残存するMgO濃度が高くなり、この問題が顕在化している。
このスラグ中に残存する遊離MgOは、上記遊離CaOに比べて水和反応の進行が非常に遅い(数十日以上)ため、水和反応による事前安定化処理によっても遊離MgOを十分に低減できす、スラグをセメント代替原料として用いて骨材や路盤材などを製造した後に、使用環境下での長時間を経て割れや崩壊が生じることが問題となっている。
スラグ中の遊離MgOを安定化し、低減するための従来技術としては、溶銑・溶鋼の精錬工程において精錬処理剤として添加するCaO、SiO2、Al23、MgOの添加量を調整することにより、CaO−SiO2−Al23−MgOの4元系成分のスラグ中にMgOを晶出させる方法(例えば、特許文献3参照)や、溶銑・溶鋼の精錬工程で生成する未滓化・遊離MgO量と晶出MgOを制限した製鋼スラグと、潜在水硬性を有するSiO2含有物質とを水で混練することにより硬化させる方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
上記のとおり、製鉄スラグをセメント代替原料として用いる際の骨材や路盤材などの割れや崩壊を防止するための遊離CaOまたは遊離MgOの安定化処理は多数提案されている。しかし、この安定化処理後のスラグ中の遊離CaO量または遊離MgO量を定量する分析手法については、以下のとおり、遊離CaO量の定量分析は既に確立した手法があるものの、遊離MgO量を精度良く定量分析するための方法はまだ確立されていない状況にある。
従来、スラグ中の遊離CaOの定量分析は、例えば、セメント協会標準試験方法に準じて、試料を粉砕後、1gを測りとり、80℃±5℃の温度で加熱したエチレングリコール内に5分間浸漬、撹拌して抽出されたカルシウム量をフェノールフタレイン指示薬を用いて滴定分析することにより、遊離CaOを精度良く分析する手法が知られている(例えば非特許文献1参照)。
しかし、この定量分析手法を用いて、スラグ中の遊離MgOを定量分析することはできない。
また、一般に、金属酸化物の結晶構造を特定するための手法として、X線回折法を利用して、粉末状の試料にX線を照射し、X線回折強度を検出することにより、その化学構造を分析する方法が知られている。しかし、このX線回折法は、試料の結晶構造によるX線の回折現象を原理としており、ガラス化した(結晶化していない)スラグ中の遊離MgOの化学構造を精度良く測定することは不可能である。
また、一般に、酸化物系無機材料中の成分元素の定量分析方法として、蛍光X線分析法を利用して、粉末、あるいはガラスビード化した試料にX線を照射し、得られた特性X線の蛍光から試料中の成分元素を定量する方法が知られている。しかし、この蛍光X線分析法では、成分元素の定量は可能であるが、その化学構造を特定することができないため、スラグ中でSi,Al,Caなどその他の元素と複合した化合物を形成しているものと、酸化マグネシウムの化学構造を有する遊離酸化マグネシウムを区別できず、スラグ中の遊離酸化マグネシウムを測定することはできない。
上述のとおり、製鉄プロセスにおいて副産物として生成するスラグをセメント代替原料などとして多量に利用するためには、骨材や路盤材の割れ、崩壊等の原因となるスラグ中の遊離MgOを精度良く、迅速かつ簡便に定量測定し、その結果をスラグ中の遊離MgOの安定化処理にフィードバックし、遊離MgOを無害化する必要がある。
特開昭61−101441号公報 特開平03−013517号公報 特開2002−308662号公報 特開2002−308662号公報 JCAS I-01(1997) 「遊離酸化カルシウムの定量方法(セメント協会標準試験方法)」
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みて、製鉄プロセスで生成される製鉄スラグなどの酸化物系無機材料中の遊離MgOを精度良く、迅速かつ簡便に定量できる酸化物系無機材料中の遊離MgOの定量分析方法を提供することを目的とする。
発明者は、上記課題を達成するものであり、その発明の要旨とするとことは、以下の通りである。
(1)抽出溶媒による酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウムの定量方法において、前記抽出溶媒として炭酸系の緩衝溶液を用い、前記試料を含む抽出溶媒を攪拌しながらマグネシウムの抽出を開始し、抽出開始から少なくとも前記遊離酸化マグネシウムを除くその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間t1とし、抽出開始から少なくとも遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間t2とし、前記時間t1と前記時間t2において抽出溶媒中のマグネシウム濃度を測定し、前記時間t2におけるマグネシウム濃度Xt2と前記時間t1におけるマグネシウム濃度Xt1とのマグネシウム濃度差(Xt2−Xt1)を基に、前記試料中の遊離酸化マグネシウム含有量Y を求めることを特徴とする酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
(2)前記炭酸系の緩衝溶液がアルカリ金属炭酸塩:0.01〜0.05mol/l、および、アルカリ金属炭酸水素塩:0.01〜0.05mol/lを含有するpH:9.5〜10.5の水溶液であることを特徴とする請求項1記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
(3)前記試料は、粒度:100μm以下の整粒された試料であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
(4)前記抽出溶媒は、緩衝溶液の温度は30℃以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
(5)前記抽出溶媒中のマグネシウム濃度の測定は、誘導結合プラズマ発光分析法や原子吸光光度法、および、炎光光度法の何れかを用いて行うことを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
(6)前記試料中の遊離酸化マグネシウム含有量Yは、下記(1)式を用いて求めることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか1項に記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
Y=(Xt2−Xt1)×(A/B)×C/D ・・・(1)
ただし、
Y:試料中の遊離酸化マグネシウム(MgO)含有量Y(質量%)、
t1:抽出開始から遊離酸化マグネシウムを除くその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間(分)
t2:抽出開始から遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出が完了するまで時間(分)
t1:抽出開始からt1経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
t2:抽出開始からt2経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
A:MgOの分子量(=40.311)
B:Mgの原子量(=24.312)
C: 抽出溶液の体積(ml)
D:無機酸化物材料試料の質量(g)
本発明によれば、無機酸化物材料中の遊離酸化マグネシウム含有量を迅速かつ簡便に精度良く定量分析することができ、この遊離酸化マグネシウム含有量に基づき、製鉄スラグなどの無機酸化物材料を耐火物、コンクリート、モルタルなどの原料して使用する際の水和割れを予見することが可能となる。
本発明の詳細について、以下に説明する。
本発明は、抽出溶媒による酸化物系無機材料中の遊離酸化マグネシウムの定量法において、抽出溶媒として炭酸系の緩衝溶液を用い、遊離酸化マグネシウム(化学構造MgO)とその他のMg化合物の化学構造の違いに起因するマグネシウムの溶出速度の差を利用し、異なる抽出完了時間における抽出溶液中のマグネシウム濃度の濃度差から酸化物系無機材料中の遊離酸化マグネシウム量を定量するものである。
特に本発明の遊離酸化マグネシウムの定量法において、マグネシウム抽出用溶媒として炭酸系の緩衝溶液を用いたことに特徴がある。
本発明者らの検討結果によれば、酸化物系無機材料中には、遊離酸化マグネシウム、遊離酸化カルシウム、カルシウム珪酸塩などの水に溶解性を有し、溶解した場合に溶媒中のpHをアルカリ側に変化させる化合物を含むため、溶媒抽出時に溶媒のpH変化に伴い抽出挙動が変化し、遊離酸化マグネシウムの安定した定量が困難となることが判った。
また、酸化物系無機材料試料中のマグネシウム化合物中のマグネシウムは緩衝溶液中の炭酸イオンとイオン対を形成して溶解し、緩衝溶液として特に炭酸系の緩衝溶液を用いることにより、MgOの化学構造を有する遊離酸化マグネシウムと、その他の化学構造を有するマグネシウム化合物との溶解速度の差が顕著となり、これらの抽出完了時間における抽出溶媒中のマグネシウム濃度の濃度差から試料中の遊離酸化カルシウムを定量することができることを確認した。
一方、炭酸系の緩衝溶液以外の緩衝溶液、例えば、フタル酸系、ホウ酸系、リン酸系などのpH緩衝溶液では、遊離酸化カルシウムとその他のマグネシウム化合物との溶解速度の差が小さいため、マグネシウムの抽出速度の差を利用した遊離酸化マグネシウム(MgO)の測定精度が低下する。
図1に、無機酸化物材料中に含有する遊離酸化マグネシウム(MgO)とその他のマグネシウム化合物と同等の化学構造を有する試薬を用い、炭酸系の緩衝溶液におけるこれらの試薬中のマグネシウムの抽出挙動を調べた結果を示す。
なお、抽出条件は、100μm以下に粉砕した各試薬を0.1g採取し、濃度0.025mol/lのNa2CO3と濃度0.025mol/lのNaHCO3に調整した炭酸系の緩衝溶液に浸漬し、回転速度200rpmで攪拌しつつ、25℃ の温度でマグネシウムを抽出した。なお、溶媒量は、溶媒量は最終的にマグネシウム濃度が0.1〜50μg/mlとなる量とした。
図1から遊離酸化マグネシウム(MgO)の抽出速度は他の化合物に比較して遅く、抽出開始後840分かけてほぼ全量のマグネシウムが抽出される。一方、遊離酸化マグネシウム(MgO)とは化学構造が異なる、Mg(OH)2、MgSO4、MgCO3・Mg(OH)2・H2O、3MgO・4SiO2・H2Oのその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出速度は、遊離酸化マグネシウム(MgO)に比べて非常に速く、抽出開始後約60分以内でほぼ全量のマグネシウムが抽出されるか、特定抽出量で平衡状態になる。
図1から、例えば、遊離酸化マグネシウム(MgO)以外のマグネシウム化合物中のマグネシウムがほぼ全量抽出される抽出開始後60分後と、遊離酸化マグネシウム(MgO)中のマグネシウムがほぼ全量抽出される抽出開始後840分後にそれぞれの溶液の一部を採取し、溶液中のマグネシウム濃度を測定し、抽出開始後840分後の溶液中のマグネシウム濃度と抽出開始後60分後の溶液中のマグネシウム濃度の差から無機酸化物材料中の遊離酸化マグネシウム量を求めることができる。
以下に、本発明の溶媒抽出を用いた遊離酸化マグネシウムの定量法の実施形態を説明する。
ここでは、製鉄プロセスの製鋼工程において生成された製鉄スラグを無機酸化物材料試料とし、この試料中に含有する遊離酸化マグネシウム(MgO)を定量する方法について説明する。
(試料の粒度)
酸化物系無機材料の試料は、各化合物の抽出を容易にし、抽出挙動を安定化するために予め粉砕し、整粒することが好ましい。試料の粒度が100μmよりも大きい場合には、溶媒中へのマグネシウムの抽出が不安定となり、目的とする遊離酸化マグネシウム(MgO)とその他のマグネシウム化合物との化学構造の違いを利用したマグネシウムの抽出速度の差を十分に利用できなくなり、遊離酸化マグネシウム(MgO)を精度良く測定することが困難となるおそれがある。また、試料の粒度が不揃いの場合には、小さい粒子が大きな粒子に比べてより速い速度でマグネシウムが抽出され、同様に化学構造の違いを利用したマグネシウムの抽出速度の差を十分に利用できなくなり、遊離酸化マグネシウム(MgO)の測定精度に影響が生じる。
このため、本発明では、酸化物系無機材料試料は、予め粉砕後、篩い分けなどにより、粒度が100μm以下になるように整粒することが好ましい。
(抽出用溶媒:炭酸系の緩衝溶液)
本発明は、上述したように酸化物系無機材料中の遊離酸化マグネシウム、遊離酸化カルシウム、カルシウム珪酸塩などの溶解による溶媒のpH変化を抑制し、安定したマグネシウムの抽出挙動を維持するとともに、遊離酸化マグネシウム(MgO)と、その他のマグネシウム化合物との化学構造の違いによるマグネシウムの抽出速度の差を顕著にするために、抽出用溶媒として、炭酸系の緩衝溶液を用いる。
炭酸系の緩衝溶液の種類は特に限定する必要がなく、アルカリ金属炭酸塩:0.01〜0.05mol/l、および、アルカリ金属炭酸水素塩:0.01〜0.05mol/lからなるpH:9.5〜10.5の水溶液が用いられる。
なお、炭酸系の緩衝溶液の緩衝能力を十分に発揮させ、溶媒のpH変化を抑制し、安定した抽出挙動を維持するためには、試料の量や試料中の遊離酸化マグネシウムや遊離酸化カルシウムなどのpHを変化させる化合物の含有量に応じて、炭酸系の緩衝溶液中のアルカリ金属炭酸塩、および、アルカリ金属炭酸水素塩の濃度を調整することが好ましい。
本発明者らは、0.1〜0.5gの製鉄スラグを試料として炭酸系の緩衝溶液を用いて溶媒抽出する場合は、炭酸系の緩衝溶液中のアルカリ金属炭酸塩濃度は0.025mol/l、アルカリ金属炭酸水素塩の濃度は0.025mol/l、pH10程度とすることで、試料中の遊離酸化マグネシウム量を精度良く測定できることを確認している。
また、大気中の二酸化炭素が炭酸系の緩衝溶液中に溶存し、抽出中に過剰な炭酸化により遊離酸化マグネシウム量の測定に誤差が生じないように、抽出中は被測定用試料および炭酸系の緩衝溶液を密栓された容器内に入れるか、アルゴンや窒素等の不活性ガスによりバブリングすることが好ましい。
(抽出温度などの抽出条件)
本発明法において、上述したように酸化物系無機材料試料中のマグネシウムは、炭酸系の緩衝溶液中に炭酸イオンとイオン対を形成して抽出される。緩衝溶液の温度を高くするとともにマグネシウムの抽出速度は向上し、短時間で抽出が完了させるが、緩衝溶液の温度が30℃より高くなると、溶液中のマグネシウムと炭酸イオンのイオン対が炭酸マグネシウムとなり沈殿する量が増加し、マグネシウム抽出が不安定になりやすい。したがって、マグネシウムの抽出挙動を安定化し、遊離酸化マグネシウム(MgO)と、その他のマグネシウム化合物との化学構造の違いによる溶解速度の差を利用して遊離酸化マグネシウム(MgO)量を精度良く測定するためには、緩衝溶液の温度は30℃以下とするのが好ましい。
一方、緩衝溶液の温度の下限は、緩衝溶液を室温以下に強制的に冷却しない限り、特に限定する必要はない。なお、緩衝溶液の温度を室温以下に強制的に冷却すると、温度の低下とともにマグネシウムが炭酸系の緩衝溶液中で炭酸イオンとイオン対を形成して抽出する速度が低下し、測定時間が長くなるため好ましくないことは言うまでもない。
発明者らの検討によれば、0.1〜0.5gの製鉄スラグを試料として、アルカリ金属炭酸塩濃度:0.025mol/lと、アルカリ金属炭酸水素塩の濃度:0.025mol/lからなる炭酸系の緩衝溶液を用いて溶媒抽出する場合、25℃の温度条件で、遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出は、約14時間で完了することを確認している。
また、抽出中に、試料中のマグネシウムが炭酸系の緩衝溶液中で炭酸イオンとイオン対を形成する反応を促進させ、安定して短時間でマグネシウムの溶媒抽出を行うためには、スターラを用いて攪拌するか、或いは、超音波を用いて溶液を攪拌しながら抽出を行うことが好ましい。
マグネシウムの抽出時間を短縮したい場合はより高速で攪拌したり、攪拌と超音波の印加を同時に行ってもよい。
(抽出溶液中のMg濃度の測定)
本発明の溶媒抽出を用いた遊離酸化マグネシウムの定量法において、抽出開始から所定時間経過後の抽出された、遊離酸化マグネシウム(MgO)またはその他のマグネシウム化合物を含有した抽出溶液中のマグネシウム濃度の測定方法は、特に限定するものではなく、マグネシウム金属成分の元素分析が可能な通常の汎用の分析装置を用いて測定することができる。
一般に知られている元素分析方法の中で、特に誘導結合プラズマ発光分析法や原子吸光光度法、炎光光度法などは、抽出溶液中のマグネシウムの濃度を短時間で精度良く測定できるため好ましい。
なお、予め誘導結合プラズマ発光分析法や原子吸光光度法、炎光光度法などを用いた抽出溶液中のMg濃度の定量は、予め標準溶液を用いて作成した検量線を用いて行なわれる。
この検量線を作成するために用いられる標準溶液は、市販の原子吸光用標準溶液を、上記抽出溶媒と同じ炭酸系の緩衝液で希釈し、標準溶液中のマグネシウム濃度は、被測定用試料によって変わるが、例えば、製鋼スラグを試料とする場合は、標準溶液中のマグネシウム濃度を約0.1〜50μg/mlとするのが好ましい。また、上記標準溶液は、一部の分析法によっては波長干渉などにより分析結果に誤差を生じる可能性があるため、分析法に応じて干渉の無い分析条件を選択するのは好ましい。
なお、抽出開始からその他のマグネシウム化合物の抽出完了までの経過時間t1における抽出溶液中のマグネシウム濃度Xt1(質量%)、抽出開始から遊離酸化マグネシウム(MgO)の抽出完了までの経過時間t2における抽出溶液中のマグネシウム濃度Xt2(質量%)とする場合、試料中の遊離酸化マグネシウム(MgO)含有量Y(質量%)は下記(1)式で求めることができる。
Y=(Xt2−Xt1)×(A/B)×C/D ・・・(1)
ただし、
Y:試料中の遊離酸化マグネシウム(MgO)含有量Y(質量%)、
t1:抽出開始から遊離酸化マグネシウムを除くその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間(分)
t2:抽出開始から遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出が完了するまで時間(分)
t1:抽出開始からt1経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
t2:抽出開始からt2経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
A:MgOの分子量(=40.311)
B:Mgの原子量(=24.312)
C:抽出溶液の体積(ml)
D:無機酸化物材料試料の質量(g)
以下に本発明の効果について実施例を用いて説明する。
本発明の溶媒抽出を用いた遊離酸化マグネシウムの定量法を用い、実際に転炉(精錬容器)から採取した製鋼スラグ中の遊離酸化マグネシウム(MgO)の含有量を以下の手順で測定した。
先ず、製鋼スラグを粉砕し、篩分けにより粒度50μm以下にした後、異物を取り除き、粉砕物中の平均組成が均一になるように粉砕物を混合して測定用の試料とした。
この試料0.1gを秤量し、容器に入れた後、炭酸ナトリウム:0.025mol /lと炭酸水素ナトリウム:0.025mol /lからなるpH = 10.01の炭酸系の緩衝溶液を計量し、大気から遮断される密閉構造の容器内に注ぎ入れた。
抽出条件は、緩衝溶液の温度を室温25℃に維持し、スターラを用いて200rpmで攪拌しながら試料の抽出を行った。
抽出開始から60分経過後と、抽出開始から840分経過後に、それぞれ抽出溶液の一部を分取し、溶液中のマグネシウム濃度を誘導結合プラズマ発光分析法を用いて測定した。
抽出開始から60分経過後には、その他のマグネシウム化合物はほぼ抽出が完了し平衡状態に達し、抽出開始から840分経過後には、遊離酸化マグネシウム(MgO)の抽出がほぼ完了していることを確認した。
なお、予め誘導結合プラズマ発光分析法の検量線は、標準溶液として、市販の原子吸光用標準溶液に、上記溶媒抽出用の炭酸ナトリウム:0.025mol/lと 炭酸水素ナトリウム:0.025mol/lからなるpH = 10の炭酸系の緩衝液で希釈し、マグネシウム濃度が0.1〜50μg/mlのものを用いて作成し、この検量線により、上記抽出溶液中のMg濃度の定量を行った。
上記抽出開始から60分経過後と、抽出開始から840分経過後のそれぞれの抽出溶液中のマグネシウム濃度の測定値から下記(1)式を用いて試料中の遊離酸化マグネシウムの含有量を求めた。
Y=(Xt2−Xt1)×(A/B)×C/D ・・・(1)
ただし、
Y:試料中の遊離酸化マグネシウム(MgO)含有量Y(質量%)、
t1:抽出開始から遊離酸化マグネシウムを除くその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間(分)
t2:抽出開始から遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出が完了するまで時間(分)
t1:抽出開始からt1経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
t2:抽出開始からt2経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
A:MgOの分子量(=40.311)
B:Mgの原子量(=24.312)
C:抽出溶液の体積(ml)
D:無機酸化物材料試料の質量(g)
以上の本発明法による遊離酸化マグネシウム含有量の定量結果の妥当性を確認するために、実際に同じ製鋼スラグの試料を80℃の温水に60日間浸漬させて水和、炭酸化処理を行ない、その時の水浸膨張率を測定結果と比較した。なお、水浸膨張率は、試料中の遊離酸化マグネシウムの含有量に依存し、試料中の遊離酸化マグネシウムの含有量が多いほど、水浸膨張率が増大する。
本発明法による製鋼スラグの試料中の遊離酸化マグネシウムの含有量の測定、および、水浸膨張率の測定は、水和、炭酸化処理の開始前、開始から30分経過後、開始から60分経過後に採取した試料を用いて行った。
その結果を表1に示す。
Figure 0004777142
表1に示されるように、炭酸化の経過時間ともに、本発明法に測定された遊離酸化マグネシウム含有量と、水浸膨張率とは減少し、両者に良い相関性があり、本発明法による遊離酸化マグネシウムの含有量の測定が信頼性が高いことを実証できた。また、従来法である、製鋼スラグの試料を水和、炭酸化処理する際の水浸膨張率法では、煩雑な作業を要し、60日以上の測定時間がかかったが、本発明法により1日の測定時間に短縮された。
以上により、本発明法の適用により、無機酸化物材料中の遊離酸化マグネシウム含有量を迅速かつ精度良く測定できることが実証された。
各種マグネシウム化合物の炭酸系緩衝溶液への抽出挙動を示す図。

Claims (6)

  1. 抽出溶媒による酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウムの定量方法において、前記抽出溶媒として炭酸系の緩衝溶液を用い、前記試料を含む抽出溶媒を攪拌しながらマグネシウムの抽出を開始し、抽出開始から少なくとも前記遊離酸化マグネシウムを除くその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間をt1とし、抽出開始から少なくとも遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間をt2とし、前記時間t1と前記時間t2において抽出溶媒中のマグネシウム濃度を測定し、前記時間t2におけるマグネシウム濃度Xt2と前記時間t1におけるマグネシウム濃度Xt1とのマグネシウム濃度差(Xt2−Xt1)を基に、前記試料中の遊離酸化マグネシウム含有量Yを求めることを特徴とする酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
  2. 前記炭酸系の緩衝溶液がアルカリ金属炭酸塩: 0.01〜0.05mol/l、および、アルカリ金属炭酸水素塩:0.01〜0.05mol/lを含有するpH:9.5〜10.5の水溶液であることを特徴とする請求項1記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
  3. 前記試料は、粒度:100μm以下の整粒された試料であることを特徴とする請求項1または2記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
  4. 前記抽出溶媒は、緩衝溶液の温度は30℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
  5. 前記抽出溶媒中のマグネシウム濃度の測定は、誘導結合プラズマ発光分析法や原子吸光光度法、および、炎光光度法の何れかを用いて行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
  6. 前記試料中の遊離酸化マグネシウム含有量Yは、下記(1)式を用いて求めることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の酸化物系無機材料試料中の遊離酸化マグネシウム定量方法。
    Y=(Xt2−Xt1)×(A/B)×C/D ・・・(1)
    ただし、
    Y:試料中の遊離酸化マグネシウム(MgO)含有量Y(質量%)、
    t1:抽出開始から遊離酸化マグネシウムを除くその他のマグネシウム化合物中のマグネシウムの抽出が完了するまでの時間(分)
    t2:抽出開始から遊離酸化マグネシウム中のマグネシウムの抽出が完了するまで時間(分)
    t1:抽出開始からt1経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
    t2: 抽出開始からt2経過後の抽出溶液中のMg濃度(g/ml)
    A:MgOの分子量(=40.311)
    B:Mgの原子量(=24.312)
    C:抽出溶液の体積(ml)
    D:無機酸化物材料試料の質量(g)
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