JP4776816B2 - 包装箱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反復使用が可能な包装箱及びその荷役に供する荷役用パレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
物品の包装には、輸送や取扱いにおいて物品に対する緩衝保護機能を果たす種々の包装材が使われている。ひとつの包装体についてその多くは、紙材や木材や樹脂材等、数種類の包装材によって構成されている。こうした種類の異なる包装材が従来においては、分離の困難な形態に組合わされたり混在状態で使われてきた。環境問題についての意識の昂揚する中、解梱にあたり材料ごとに分別し易くする工夫を講じた包装装置や、リサイクル性のある段ボール材のみで構成した包装装置が開発されている。
【0003】
例えば、特開平6―99984号公報には、木材からなるパレット上に被包装物である物品を固定し、固定した物品を段ボール材の胴枠スリーブで囲み、物品の上部を段ボール材による開放箱状の蓋で被冠し、全体を結束バンドで結束する比較的質量の大きな物品に対する包装装置が示されている。この包装装置では、材料別に分けて解梱することができ、廃却性とリサイクル性の向上が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
包装分野において、特開平6―99984号公報に示されているように材料別に分別して解梱できるようにすることは、今日的テーマであるが、段ボール材一つとってみてもその包装材としての形態は、ステッチングワイヤー等、金属製の固定手段で維持されていることが多く、これを除去して段ボール材だけにすることは困難であり、解梱に際しては結束バンドや段ボール、ネジ類さらに保護シートなど多くの包装廃棄物がでる。
【0005】
資源の有効利用や包装廃棄物の削減といった観点からは、再利用或いはリサイクルの利く単一材料で緩衝保護機能の優れた包装を構成し、部材点数もなるべく少ない方が好ましい。
【0006】
本発明は、上記した包装に係る観点にたってなされたものであって、その課題とするところは、通い箱としても利用でき、構成部材が少なく包装コストを抑え得る包装廃棄物の殆ど出ない緩衝保護機能の良い包装箱を開発することであり、リサイクル性があり緩衝保護機能の優れた包装箱を得ることであり、その包装箱の包装機能を拡充することであり、さらにその包装箱の荷役や回収に役立つ荷役用パレットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために請求項1の発明は、緩衝機能を果たす弾性を備えた樹脂材料よりなる容器構造の箱体を構成し、この箱体の容器部分に物品を他の介在物なしに直接保持する保持構造を設け、箱体単独で物品を包装するようにする手段を採用する。
【0008】
前記課題を達成するために請求項2の発明は、請求項1に係る前記手段における保持構造を、物品の横移動及び上下移動を拘束する弾性を有する複数の端面リブ及び側面リブにより構成する手段を採用する。
【0009】
前記課題を達成するために請求項3の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに係る前記手段における側面リブを、容器部分に複数設け、長さの異なる物品に対応できるようにする手段を採用する。
【0010】
前記課題を達成するために請求項4の発明は、請求項3に係る前記手段における端面リブ及び側面リブを物品の収納数に合わせて複数設ける手段を採用する。
【0011】
前記課題を達成するために請求項5の発明は、請求項1〜請求項4までのいずれかに係る前記手段における箱体の底面に嵌合凸部を設け、箱体の容器部分の上部に嵌合凸部に嵌合する寸法形状の嵌合凹部を設ける手段を採用する。
【0012】
前記課題を達成するために請求項6の発明は、請求項5に係る前記手段における嵌合凹部の横平面に容器部分を囲む溝を形成する手段を採用する。
【0013】
前記課題を達成するために請求項7の発明は、請求項1〜請求項6までのいずれかに係る前記手段における箱体の視認可能部分に使用回数を表示する回数表示手段を設ける手段を採用する。
【0014】
前記課題を達成するために請求項8の発明は、請求項1〜請求項7までのいずれかに係る前記手段における箱体の視認可能部分に表示部材を交換可能に表示できる表示窓を設ける手段を採用する。
【0015】
前記課題を達成するために請求項9の発明は、請求項1〜請求項8までのいずれかに係る前記手段における箱体をポリプロピレンの発泡体で形成する手段を採用する。
【0016】
前記課題を達成するために請求項10の発明は、複数の包装箱を積重ねて載置する載置面を有する荷役用パレットについて、その載置面に載置した包装箱を結束する反復利用できる結束手段を備え付ける手段を採用する。
【0017】
前記課題を達成するために請求項11の発明は、請求項10に係る前記手段における包装箱を載置する載置面に包装箱の底部に形成された嵌合凸部の嵌まる凹部を形成する手段を採用する。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図10によって示す本実施の形態は、反復使用できる集合包装に適した比較的質量の大きい物品のための包装箱及びその包装箱の荷役に供する荷役用パレットに関するものである。この包装箱は、緩衝機能を果たす弾性と被包装物である物品に対する保護機能を果たすに足る適度な強度を備えさせ得るポリプロピレン等の樹脂材料による発泡成形物として構成されている。包装箱を構成するポリプロピレンはリサイクルが利くうえ、発泡倍率を調整することで必要に応じた強度や硬さがえられ、物品の保持や緩衝保護機能を果たすための弾性も容易に付与できるので生産性もよく好適な包装用の樹脂材料である。
【0019】
包装箱の形状は、図1及び図2に示すように荷扱いし易い上部の開放した容器構造の直方体の箱体1であって、その収納空間部である容器部分2に物品3(図10参照)を直接保持する保持構造が一体成形されている。本実施の形態では図1及び図2に示すように箱体1に二つの容器部分2が隣接して二つ形成され、一つの箱体1に二つの物品3をまとめて収込むことができるようになっている。各容器部分2は、収納する物品3より縦横深さとも大きい上部の開放した角形の空間として形成されている。保持構造は、容器部分2に物品3を、空気緩衝する間隙5を保って保持する弾性を備えた突出構造であり、物品3の質量を支え落下衝撃から物品を保護し、横方向及び上下方向の移動を拘束するする複数の側面リブ7と、及び物品3の端面を保持する端面リブ8により構成されている。側面リブ7は箱体1と一体で、対向する対構成となっている。保持構造には、それらの側面リブ7及び端面リブ8に物品3の一部が直接当接しても物品に損傷をきたさない弾性が発泡倍率の設定により付与されている。
【0020】
箱体1の外底面には図5に示すように周囲より少し突出した嵌合凸部9が設けられ、箱体1の容器部分2を画成する上部の辺縁には嵌合凸部9に嵌合する寸法形状の嵌合凹部10が設けられている。この箱体1の上部の嵌合凹部10における横平面には容器部分2を取り囲む溝11が図4に示すように形成されている。さらに、箱体1の外側面等の視認可能部分には、図5,図6に示すような箱体1の包装に使った使用回数を表示する回数表示手段12と、図7に示すような箱体1内の物品3の種類等を表示した表示部材13を抜差しにより交換可能に構成した表示窓14がそれぞれ設けられている。
【0021】
回数表示手段12は、包装箱を通い箱等として反復使用した回数を表すものであって、包装箱が包装箱としてその使用に適さない時期にあるか否かの判断材料となるものである。従って、その構成は、図5及び図6に示すように箱体1の外表の一部に凹部を、設定した使用回数(例えば20回)分並んで形成し、使用回数毎にチェックマーク15を付すようにしたり、使用回数を示すラベル16を貼付するようにすればよい。設定した使用回数の数の突起を作り、使用毎に突起を抹消する仕方もあるが、突起物は荷扱いにおいて損傷しやすく、凹部による回数表示手段の方が表示の損傷も汚れも少なく機能性は高い。
【0022】
この包装箱は、容器部分2に物品3を側面リブ7と端面リブ8とによって保持させて収め、嵌合凹部10に嵌り合う蓋板17で閉蓋することにより包装形態とするものである。蓋板17については箱体1と同一材料で構成された平板である。物品3の収納に際しては、保護シートや緩衝材等は一切介在させず、直接箱体1に収込む。物品3に対する緩衝保護は、箱体1自体が持つ強度と、側面リブ7及び端面リブ8の持つ弾性(バネ性)による衝撃緩衝機能により果たされ、物品3と容器部分2の内壁面との間に形成される間隙5による空気緩衝機能により良好に果たされる。解梱は、蓋板17を開け物品3を取出せば済み、包装廃棄物としては箱体1と蓋板17のみである。箱体1も蓋板17もポリプロピレンであり、異なる材料は一切含まれていないので、分別の必要もなく廃棄処理でき、リサイクルに回すことができる。箱体1に嵌め合わせた蓋板17との間から水が浸入するようなことがあっても容器部分2を取り囲む溝11に水が溜まることになり、物品3が濡れるようなことはない。
【0023】
箱体1及び蓋板17は、耐久性があるため反復利用することができる。即ち、物品3の輸送や移動、保管に係る通い箱として反復使用することができる。通い箱として使うことにより、設定された使用回数までは解梱による包装廃棄物は出ず、廃棄に係るコストも掛からない。
【0024】
通い箱として使う場合には多くの場合、図8及び図9に示すように集合包装形態が採られることになるが、箱体1を嵌合凹部10に嵌合凸部9を嵌め合わせて積重ねることにより、荷崩れのしない安定した荷形態にすることができる。積重ねによる集合包装形態では、上段の箱体1の外底面が下段の箱体1の蓋となるため、蓋板17は最上段の箱体1についてのみ装着すればよい。使用回数は、回数表示手段12による表示で確認でき、設定回数に到達した時点で廃棄処分すればよい。側面リブ7は複数対形成されているため、図10に示すように長さの短い物品3も包装することができ、内容物の物品3の違いについては、その旨を表示した表示部材13を表示窓14に差込んでおくことにより、外から容易に表示が分かり、通い箱としての包装機能が拡充することになる。
【0025】
こうした集合包装形態を採る場合、荷役車両等による荷役のためのパレットを利用することが多い。本実施の形態では、図8及び図9に示すように包装箱を積上げる載置面18上に箱体1の嵌合凸部9を嵌込むことができる凹部19が設けられた箱体1と同一材料で構成された荷役用パレット20が用いられている。荷役用パレット20には、載置面18に載置した重ね積みにした包装箱を一括して結束する反復利用できる結束手段としてのポリプロピレンによるベルト21が備え付けられている。ベルト21は二分割に構成され、一方のベルト21の端には他方のベルト21の端側を挿通させ任意の位置で締結できるバックル22が取付けられている。
【0026】
この荷役用パレット20の載置面18の凹部19に包装箱を嵌め合わせて積重ね、ベルト21を掛けて全体を結束することにより、荷崩れしにくく、荷役作業のし易い図8に示すような集合包装形態が得られる。荷役用パレット20は、包装箱とともに反復利用でき、廃却時にも包装箱と同様にバックル22だけを切り離すことでリサイクルに回すことができる。なお、荷役用パレット20については、木材で構成しても構わない。また、バックル22については簡易接着テープ等で構成することもできる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、反復して使う通い箱としても利用でき、構成部材が少なく包装コストもかからず包装廃棄物の殆ど出ない緩衝保護機能の良い包装箱が得られる。
【0028】
請求項2の発明によれば、請求項1に係る前記効果とともに物品の緩衝保護機能が向上する。
【0029】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2のいずれかに係る前記効果とともに長さの異なる物品の包装に適用することが可能になる。
【0030】
請求項4の発明によれば、請求項3に係る前記効果とともに物品収納数を変えることができる。
【0031】
請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項4までのいずれかに係る前記効果とともに積上げによる荷形態での荷崩れを防止でき、蓋板の数を減らすことができる。
【0032】
請求項6の発明によれば、請求項5に係る前記効果とともに容器部分への外部からの水の浸入を防止することができる。
【0033】
請求項7の発明によれば、請求項1〜請求項6までのいずれかに係る前記効果とともに通い箱としての使い勝手及び扱い機能が向上する。
【0034】
請求項8の発明によれば、請求項1〜請求項7までのいずれかに係る前記効果とともに収納されている物品の判別が容易になる。
【0035】
請求項9の発明によれば、請求項1〜請求項8までのいずれかに係る前記効果とともにリサイクル性及び必要強度や弾性が容易に得られ、生産性も向上する。
【0036】
請求項10の発明によれば、荷積みに関する結束部材を廃棄物とせずに反復利用でき、包装廃棄物を低減できる。
【0037】
請求項11の発明によれば、請求項10に係る前記効果とともに積重ねて載置した包装箱の荷崩れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の包装箱を示す平面図である。
【図2】 実施の形態の包装箱を示す縦断正面図である。
【図3】 実施の形態の包装箱を示す縦断側面図である。
【図4】 実施の形態の包装箱の嵌合凹部部分を拡大して示す部分断面図である。
【図5】 実施の形態の包装箱の回数表示手段を示す部分拡大図である。
【図6】 実施の形態の包装箱の他の回数表示手段を示す部分拡大図である。
【図7】 実施の形態の包装箱の表示窓を示す部分拡大斜視図である。
【図8】 実施の形態の包装箱の集合包装形態を示す斜視図である。
【図9】 実施の形態の包装箱の集合包装形態を、一部を断面にして示す側面図である。
【図10】 実施の形態の包装箱を物品とともに示す平面図である。
【符号の説明】
1 箱体、 2 容器部分、 3 物品、 5 間隙、 7 側面リブ、 8端面リブ、 9 嵌合凸部、 10 嵌合凹部、 11 溝、 12 回数表示手段、 13 表示部材、 14 表示窓、 18 載置面、 19 凹部、21 ベルト、 22 バックル。

Claims (7)

  1. 緩衝機能を果たす弾性を備えた樹脂材料よりなる容器構造の箱体を構成し、この箱体に一つの長方形状の容器部分を形成し、該容器部分の長手方向の両側面に深さ方向に沿って延びる側面リブを長手方向に沿って複数設け、前記容器部分の長手方向の両端部にそれぞれ端面リブを設けることによって、物品の横移動及び上下移動を拘束する弾性を有して前記物品を他の介在物なしに直接保持する保持構造を設け、
    前記容器部分で、長さが異なる複数の物品のうちの一つの物品保持可能とした包装箱。
  2. 緩衝機能を果たす弾性を備えた樹脂材料よりなる容器構造の箱体を構成し、この箱体に複数の長方形状の容器部分を形成し、該各容器部分の長手方向の両側面に深さ方向に沿って延びる側面リブを長手方向沿って複数設け、前記各容器部分の長手方向の両端部にそれぞれ端面リブを設けることによって、物品の横移動及び上下移動を拘束する弾性を有して前記物品を他の介在物なしに直接保持する保持構造を設け、
    前記複数の容器部分で、長さが異なる複数の物品を保持可能とした包装箱。
  3. 請求項1又は2記載の包装箱であって、箱体の底面に嵌合凸部を設け、同箱体の容器部分の上部に前記嵌合凸部に嵌合する寸法形状の嵌合凹部を設けた包装箱。
  4. 請求項3に記載の包装箱であって、嵌合凹部の横平面に容器部分を囲む溝を形成した包装箱。
  5. 請求項1〜請求項4までのいずれかに記載の包装箱であって、箱体の視認可能部分に使用回数を表示する回数表示手段を設けた包装箱。
  6. 請求項1〜請求項5までのいずれかに記載の包装箱であって、箱体の視認可能部分に表示部材を交換可能に表示できる表示窓を設けた包装箱。
  7. 請求項1〜請求項6までのいずれかに記載の包装箱であって、箱体をポリプロピレンの発泡体で形成した包装箱。
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