JP4776669B2 - 表示装置および移動体 - Google Patents
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Description
一般に、移動体のフロントガラスは曲率寸法が小さく、表示輝度の高い画像を投映させるのに適した曲率寸法を有していない。この場合、表示輝度の高い画像を投映させるために大型の光学系(例えば、大型の凹面鏡など)を設けるものとすれば、表示装置の大型化を招くという問題がある。
ここで、ハーフミラーの機能を備えた各種の光学部材をフロントガラスに設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、この様な光学部材を介して外部の背景視野の画像を観視した場合、背景視野の画像が歪んで見えるという新たな問題が生ずる。
また、本発明の他の一態様によれば、光学部材と、前記光学部材に対して光束を入射させる投映部と、を備え、前記光学部材は、凹曲面を有する凹部と、前記凹部の周囲に同心円状に設けられた凹曲面を有する複数の凸条部と、が形成された主面を有する第4の光学層と、前記第4の光学層の前記主面上に設けられた半透過層と、前記半透過層の前記第4の光学層とは反対側の主面上に設けられた第5の光学層と、を備え、前記第4の光学層の屈折率と、前記第5の光学層の屈折率と、が略同一であり、前記半透過層は、入射する光束の一部を反射し、前記投映部は、前記光学部材の凹曲面が設けられた側の主面に対して光束を入射させ、背景視野の画像と、前記投映部による光学像と、を前記光学部材を介して観視者に観視させることを特徴とする表示装置が提供される。
図1は、第1の実施形態に係る光学部材を例示するための模式図である。なお、図1(a)は光学部材の平面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視断面図である。
図2は、比較例に係る光学部材を例示するための模式図である。なお、図2(a)は、比較例に係る光学部材を例示するための模式断面図、図2(b)は、比較例に係る光学部材を投映板に設けた場合の作用について例示をするための模式断面図である。
まず、比較例に係る光学部材について例示をする。
図2(a)に示すように、薄板状を呈する光学部材50の一方の主面には、凹部50a、複数の凸条部50bが設けられている。光学部材50(凹部50a、凸条部50b)は、透明または半透明の有機材料や無機材料などで形成され、入射する光束を透過させることができるようになっている。
図2(b)は、光学部材50を投映板210(例えば、移動体のフロントガラスなど)に設け、図示しない投映部からの光束を入射させる場合を例示するものである。
図2(b)に示すように、図示しない投映部から出射した光束L1は、光学部材50に入射する。そして、光学部材50の主面に設けられた半透過部51により、その一部が反射されて光束L2となる。この際、光学部材50は前述した凹面鏡としての機能を有しているので、光束L2は集光されることになる。そのため、表示輝度を高めることができる。また、図示しない投映部の消費電力の低減、光源の長寿命化を図ることができる。
図1(b)に示すように、薄板状を呈する光学部材1には、光学層2、光学層3、光学層4が設けられている。
光学層3は、光学層2の一方の主面の側に密着して設けられている。また、光学層4は、これと対向する主面の側に密着して設けられている。
また、図1(a)に示すように、凹部2aは、光学部材1の略中央に設けられている。そして、凹部2aは、平面視略円形を呈している。また、凸条部2bは、凹部2aの周囲に同心円状に設けられている。また、凹部2a、凸条部2bの主面には凹曲面が設けられている。
そのため、凹部2a、凸条部2bが設けられた側においては、入射する光束を反射させる際には凹面鏡として機能し、入射する光束を透過させる際には凹レンズとして機能するようになっている。
凸条部2dは、凸部2cの周囲に同心円状に設けられている。また、凸条部2dは、凸条部2bと同じ直径方向寸法を有し、凸条部2bと対向させて設けられている。
これに対し、光学層2の凸部2c、凸条部2dが設けられた側においては、透過する光束に対して凸レンズの機能を有することになる。
図3は、光学部材1の作用を例示するための模式断面図である。
なお、図3は、光学部材1を投映板210(例えば、移動体のフロントガラスなど)に設け、図示しない投映部からの光束を入射させる場合を例示するものである。
図3に示すように、図示しない投映部から出射した光束L1は、光学部材1に入射する。そして、光学層2と光学層3との界面において、その一部が反射されて光束L2となる。この際、光学層2は、凹部2a、凸条部2bが設けられた側においては凹面鏡としての機能を有しているので、光束L2は集光されることになる。
また、凹レンズとして機能する側(凹部2a、凸条部2bが設けられた側)と凸レンズとして機能する側(凸部2c、凸条部2dが設けられた側)とは、対向する部分において略同一の曲率寸法を有しているので、互いに相殺される方向に光束を屈折させることができる。そのため、外部の背景視野の画像が歪むことを抑制することができる。また、視認性を向上させることもできる。
図4(b)に示すように、薄板状を呈する光学部材10には、光学層12、光学層13、半透過層14が設けられている。
光学層12の一方の主面には、凹部12a、複数の凸条部12bが設けられている。
また、図4(a)に示すように、凹部12aは、光学部材10の略中央に設けられている。そして、凹部12aは、平面視略円形を呈している。また、凸条部12bは、凹部12aの周囲に同心円状に設けられている。また、凹部12a、凸条部12bの主面には凹曲面が設けられている。
そのため、凹部12a、凸条部12bが設けられた側においては、入射する光束を反射させる際には凹面鏡として機能し、入射する光束を透過させる際には凹レンズとして機能するようになっている。
光学層13は、半透過層14に密着させるようにして設けられている。
光学層12、光学層13の材料としては、多孔性シリカ材料、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアリレート(PA)、ポリサルフォン(PSU)、ポリオレフィン(PO)等の各種透明材料、半透明材料を例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
図5は、光学部材10の作用を例示するための模式断面図である。
なお、図5は、光学部材10を投映板210(例えば、移動体のフロントガラスなど)に設け、図示しない投映部からの光束を入射させる場合を例示するものである。
また、光学層12の屈折率と、光学層13の屈折率とが略同一となっているので、光学層12または光学層13から入射した光束は、光学部材10の内部を略直進することができる。また、光学部材10の厚み寸法を薄くすることができる。そのため、入射する光束の方向と出射する光束の方向とを略平行とすることができる。また、入射する光束の光軸と出射する光束の光軸とのズレを少なくすることができる。その結果、外部の背景視野の画像が歪むことを抑制することができる。また、視認性を向上させることもできる。
図6は、第3の実施形態に係る表示装置を例示するための模式図である。
図6に示すように、本実施の形態に係る表示装置20は、投映部113、光束制御部120、画像検出部130、制御部140を備えている。また、投映板210には、本実施形態に係る光学部材1(または光学部材10)が設けられている。なお、投映部113において生成される光束112には映像情報が含まれている。
第2のミラー124は、第1のミラー122からの反射光を反射させて光束112の方向を変換させる。
また、第2のミラー124には、駆動部125が接続されている。また、駆動部125により第2のミラー124の位置を変化させることができるようになっている。そして、第2のミラー124の位置を変化させることで表示領域112aの位置を変化させることができるようになっている。例えば、第2のミラー124の角度等を変化させることで、表示領域112aの左右上下方向の位置を変化させることができるようになっている。
また、設置時やメンテナンス時などに投映部113、第1のミラー122、第2のミラー124、レンズ126の位置を個々に調整することができるようになっている。
撮像部150は、投映板210に設けられた光学部材1(または光学部材10)、レンズ126、第2のミラー124、第1のミラー122を介して観視者100の像101を撮像する。撮像部150としては、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーなどを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、映像情報を電気信号に変換可能なものを適宜選択することができる。また、第1のミラー122として、可視光を反射し赤外光を透過させるミラーを用いるようにすることが好ましい。また、撮像部150は、赤外光によって観視者100の像101を撮像することができるものであることが好ましい。この様な構成にすれば、像中の不要なノイズを低減させることができる。
制御部140は、画像処理部160において解析された観視者100の特定の部位の位置(特に目105の位置)に基づいて、駆動部125を制御する。すなわち、駆動部125を制御することで第2のミラー124の角度等を変化させて、観視者100の特定の部位の位置(特に目105の位置)に光束112が入射するようにする。
ここで、表示領域112aを観視者100の目105の部分に限定することができれば、表示輝度を上げ、また、低消費電力化、光源の長寿命化を図ることができる。しかしながら、表示領域112aを目105の部分に限定する場合には、観視者100の目105の位置に適正に光束112が入射することが必要となる。特に、表示領域112aを片目だけの狭い範囲とする場合には、表示領域112aと片目との位置合わせが重要となる。
また、制御部140に図示しない画像表示部を電気的に接続することもできる。そして、図示しない画像表示部の表示画面上に、例えば、表示領域112aの中心を表すクロスバー等を表示させることもできる。そのようにすれば、観視者100の特定の部位の位置(例えば、片方の目105の位置)と表示領域112aの位置との位置合わせを容易に行うことができるようになる。
また、表示装置20を自動車などの移動体に搭載し、フロントガラス(ウインドシールド)を投映板210とすることでヘッドアップディスプレイ(HUD: Head-Up Display)を構成することができる。
まず、図6に示すように、制御部140からの電気信号に基づいて、投映部113から光束112が出射される。また、投映部113から出射される光束112には映像情報が含まれている。
また、前述した光学要素は、技術的に可能な範囲で兼用・置換・削除が可能である。
また、光学部材1(または光学部材10)に入射する光束112の方向と出射する光束112の方向とを略平行とすることができる。また、入射する光束112の光軸と出射する光束112の光軸とのズレを少なくすることができる。そのため、外部の背景視野の画像が歪むことを抑制することができる。また、視認性を向上させることもできる。
図7に示すように、表示装置30には観視者100を照射する赤外LED(Light Emitting Diode)190がさらに設けられている。そのため、夜間のように暗い状況においても、観視者100の像101を安定的に撮像することができる。
図8に示すように、表示装置40は、光束制御部120aを備えている。また、光束制御部120aには、凹面ミラー127が設けられている。凹面ミラー127は、図7に例示をした表示装置30の第2のミラー124に換えて設けられたものである。凹面ミラー127には、駆動部125が接続されている。また、駆動部125により凹面ミラー127の位置を変化させることができるようになっている。そして、凹面ミラー127の位置を変化させることで表示領域112aの位置を変化させることができるようになっている。例えば、凹面ミラー127の角度等を変化させることで、表示領域112aの左右上下方向の位置を変化させることができるようになっている。なお、凹面ミラー127の曲率によっても表示領域112aの位置を制御することができる。そのため、表示領域112aの位置制御をさらに効率的に行うことができるようになる。また、表示装置の小型化を図ることもできる。
図9に示すように、表示装置60には、投映部としてバックライトを備えた液晶表示装置115が設けられている。このような構成にすれば、表示装置60の小型化を図ることができる。
図10に示すように、表示装置70は、光束制御部120bを備えている。また、光束制御部120bには、入射する光束の一部を反射し、一部を透過させることができる第2のミラー124aが設けられている。そして、第2のミラー124aの背面側には撮像部150が設けられている。そのため、撮像部150は、第2のミラー124aを透過して得られた観視者100の像101を撮像できるようになっている。
図11は、本実施の形態に係る移動体を例示するための模式図である。
図11に示すように、例えば、自動車、列車、船舶、ヘリコプター、飛行機など各種の移動体510の、例えば窓を、投映板210とすることができる。すなわち、本実施の形態に係る表示装置と、その表示装置により各種の映像情報(例えば、運行情報など)が投映される投映板210と、を有する移動体を構成することができる。
本実施の形態によれば、外部の背景視野の画像が歪むことを抑制することができるので、視認性を向上させることができる。また、画像処理部160により観視者100の目の位置を解析し、その位置に合わせて光束を入射させることができる。そのため、安全で、効率の高い運行が可能な移動体を提供することができる。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、表示装置20、表示装置30、表示装置40、表示装置60、表示装置70などが備える各要素の形状、大きさ、材質、配置、数などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
Claims (8)
- 光学部材と、
前記光学部材に対して光束を入射させる投映部と、
を備え、
前記光学部材は、
凹曲面を有する凹部と、前記凹部の周囲に同心円状に設けられた凹曲面を有する複数の凸条部と、が形成された第1の主面と、
前記第1の主面と対向する第2の主面であって、前記凹部と対向して設けられた凸曲面を有する凸部と、前記凸部の周囲に同心円状に設けられ、前記凹曲面を有する複数の凸条部と対向して設けられた凸曲面を有する複数の凸条部と、が形成された第2の主面と、
を有する第1の光学層と、
前記第1の光学層の第1の主面上に設けられた第2の光学層と、
前記第1の光学層の第2の主面上に設けられた第3の光学層と、
を備え、
前記第1の光学層の屈折率は、前記第2の光学層の屈折率よりも高く、かつ前記第3の光学層の屈折率よりも高く、
互いに対向する位置に設けられた前記凹曲面の曲率寸法と前記凸曲面の曲率寸法とが略同一であり、
前記投映部は、前記光学部材の凹曲面が設けられた側の主面に対して光束を入射させ、
背景視野の画像と、前記投映部による光学像と、を前記光学部材を介して観視者に観視させることを特徴とする表示装置。 - 光学部材と、
前記光学部材に対して光束を入射させる投映部と、
を備え、
前記光学部材は、
凹曲面を有する凹部と、前記凹部の周囲に同心円状に設けられた凹曲面を有する複数の凸条部と、が形成された主面を有する第4の光学層と、
前記第4の光学層の前記主面上に設けられた半透過層と、
前記半透過層の前記第4の光学層とは反対側の主面上に設けられた第5の光学層と、
を備え、
前記第4の光学層の屈折率と、前記第5の光学層の屈折率と、が略同一であり、
前記半透過層は、入射する光束の一部を反射し、
前記投映部は、前記光学部材の凹曲面が設けられた側の主面に対して光束を入射させ、
背景視野の画像と、前記投映部による光学像と、を前記光学部材を介して観視者に観視させることを特徴とする表示装置。 - 前記観視者の像を撮像する撮像部と、
前記撮像された像に基づいて、前記観視者の特定の部位の位置に前記光束を入射させる光束制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。 - 前記観視者の特定の部位の位置は、前記観視者の目の位置であることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
- 前記観視者の特定の部位の位置は、前記観視者の片方の目の位置であることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
- 前記観視者の特定の部位の位置を解析する画像検出部をさらに備え、
前記光束制御部は、前記解析された特定の部位の位置に基づいて、前記光束の入射位置を変化させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の表示装置。 - 前記第2の光学層の屈折率と、前記第3の光学層の屈折率と、が略同一であること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
- 請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記表示装置により映像情報が投映される投映板と、
を備えたことを特徴とする移動体。
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