JP4775573B2 - 耐磨耗性部材製造方法 - Google Patents

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本発明は、ピンチローラ等の動作上優れた耐磨耗性が求められる特定の部材の表面に対して、耐磨耗特性を向上させる保護膜を形成する耐磨耗性部材の製造方法、及び該方法により保護膜を形成する際に用いられる所謂支持体に関する。
通常、耐磨耗性が求められる特定の部材、所謂耐磨耗性部材は、他の耐磨耗性部材と当接・摺動する構成となっている。これら耐磨耗性部材は、ステンレス等耐食性を有する材料をベースとする被膜形成部材とし、これら被膜形成部材の表面上に例えば潤滑特性に優れるDLC(ダイヤモンド様カーボン)からなる保護膜を形成することによって得られている。
DLC膜は硬度が高く、耐磨耗性、耐食性、耐薬品性等に優れ、薄膜形成方法の一つであるCVD法を用いることによって任意形状の被膜形成部材の表面にも容易に形成可能であるという特徴を有している。このため、特許文献1或いは2に示されるように、該DLC膜は種々の被膜形成部材の表面保護膜として用いられている。CVD法としては原料ガスの分解にプラズマを用いる所謂プラズマCVD法(特許文献1〜3参照)がよく知られている。該方法においては、平板状の支持体上面に複数の被膜形成部材を載置し、該支持体をプラズマ近傍に配置することによってプラズマ中に形成されるラジカル(膜形成に寄与する活性種)を被膜形成部材表面に付着させ、DLC膜の形成を行っている。
プラズマCVD法によって被膜形成部材表面に形成された薄膜は、一般的には形成領域端部において膜構造上或いは膜組成上の大きな変化が生じる領域が存在し、当該部分からの膜剥離等の不具合が発生する可能性が高い。このため、被膜形成部材表面に形成される保護膜は当該部材の全表面上に均一に形成されることが好ましい。このため、例えば環状の被膜形成部材等、特定の保持方法によってプラズマ中に全表面を露出可能な形状からなる被膜形成部材以外は、特定の面を対象とする保護膜形成工程を該部材の表面各々に対して別個に施す必要がある。また、同時に、このような耐磨耗性部材に対して許容されるコストは一般的に低く、従って一回の処理によってできるだけ多数の被膜形成部材に対する膜形成を同時に行うことが求められている。このため、これら被膜形成部材は平板状或いは個々の被膜形成部材を収容する凹部が形成された支持体上に多数個同時に載置され、この状態で膜形成処理が施される。また、これら被膜形成部材は1回の処理終了後に一端支持体と共に処理装置外部に取り出され、膜形成面を変えるように載置状態を変更し、その後更なる膜形成処理が実施されることとなる。
特許第3187487号公開公報 特開平06−016499号公報 特開2002−261096号公報
例えば円盤状の被膜形成部材の場合、平板状の支持体表面に該部材が複数個載置され、一回目の膜形成処理において該部材における支持体との当接面を除く他の面に膜形成が行われる。ここで、DLC膜を形成するプラズマCVD法においては、プラズマによって形成されたカーボンラジカルが膜形成領域に対して到達する際の到達確率に応じてDLC膜の成長速度が決定される。従って、一回の膜形成処理においてプラズマと相対する円盤上面と側面とでは膜の成長速度に差が生じるが、円盤下面に対する膜形成を再度行うことによりこの側面と上下面との成長速度の差を実質的に補償することが可能となる。
しかし、例えば支持体上面と円盤状の被膜形成部材との密着性が劣る場合、この当接面に対してもカーボンラジカルが進入し、本来膜形成が行われないはずの円盤状の被膜形成部材の下面にまで膜形成がなされてしまう場合がある。先にも述べたように、膜の成形領域の端部ではその特性等が正しく成膜された部分のそれと大きく異なってしまう。これは、プラズマから膜形成領域までの距離の相違によって、当該部位に到達するラジカルの構成および当該部位での膜の成長形態が異なってしまうことに起因する。このような領域が生じた場合、当該領域に生じた膜表面に更なる膜形成を好適に行った場合であっても、下層の膜の特性に準じて上層の膜の剥離等が生じる可能性が高い。また、保護膜の特性を向上させようとして被膜形成部材等の予備加熱を行った場合、熱変形等の効果により当接面と支持体上面との間の隙間が発生しやすくなり、このような予定しない膜が生成される可能性が高くなる。
本発明は、以上述べた状況に鑑みて為されたものであり、膜形成が予定された領域以外での保護膜形成を防止し、よって耐磨耗特性等に優れた保護膜を有する耐磨耗性材料を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該方法を実施する上で好適なプラズマCVD法用の被膜形成部材(被処理物)を保持する支持体の提供も目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る耐磨耗性材料の製造方法は、支持体上に形成された略平坦面に被処理物を保持させ、保護膜の原料ガスを主たるガスとして生成されたプラズマを用いて、該保持状態にある被処理物の所定面に保護膜を形成するプラズマCVD法を用いた耐磨耗性部材の製造方法であって、被処理物の一面を、被処理物を保持可能な粘着力を有する粘着剤からなる層を介して略平坦面に対して貼り付けて支持体による保持を為すことを特徴としている。
なお、上述した製造方法においては、被処理物、支持体及び粘着剤からなる層は導電性を有することが好ましい。また所定面に対する保護膜を形成した後、粘着剤からなる層を介して保護膜を形成した面を略平坦面に対して貼り付けて被処理物の支持体による保持を為し、被処理物の一面に対する保護膜の形成を行うことが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る支持体は、略平坦面に被処理物を保持し、保護膜の原料ガスを主たるガスとして生成されたプラズマをもちいて、該保持状態にある被処理物の所定面に保護膜を形成するプラズマCVD法に用いられる支持体であって、該略平坦面を有し、略平坦面表面に被処理物を貼り付け保持可能な粘着力を有する粘着剤からなる層を有することを特徴としている。なお、該粘着剤からなる層は導電性を有する層であることが好ましい。
本発明によれば、支持体上面と被処理物(具体的には本発明において主たる処理として膜形成処理が意図されることから、以下においては被膜形成部材とこれを称する。)の支持体との当接面との間を粘着剤によって密閉することが可能となる。従って、当該面に対する膜の生成を完全に防止することが可能となる。また、前述した隙間は不規則且つ不均一に発生するため、該隙間に対応する膜生成部分不規則且つ不均一に発生し、当該膜生成部分上に更なる膜形成を行った場合最終的な膜厚の均一性も劣化する恐れがある。本発明によれば、このような不規則且つ不均一な膜の生成を完全に防止し得ることから、最終的に得られる保護膜の膜厚均一性も良好なものとすることが可能となる。
ここで、従来のこれら保護膜形成用のプラズマCVD装置においては、被膜形成部材の自重を利用して支持体上に該部材を配置することから支持体を水平面として配置し、且つプラズマの生成に供せられる構成も該支持体に対応して配置せざるを得なかった。即ち、該装置におけるアノード電極及びカソード電極を水平に設置するようにこれらを対向せざるを得ず、装置の水平面投影面積が増大し、所謂装置接地面積が拡大することが避けられなかった。本発明によれば、支持体表面に例えば所謂両面テープの一面を支持体表面に貼り付け、他方の面に被膜形成部材を貼り付けることとしている。従って、保持方向に寄らずに部材を支持体の所定位置に密着保持させることが可能となり、支持体を垂直面として配置することも可能となる。即ち、プラズマCVD装置における対向電極等も立位で配置することが可能となり、装置の設置面積を大きく低下させることも可能となる。
更に、本発明によれば、従来の方法による場合と異なり、段階的な膜質変化領域を形成することなく明確な膜形成領域端部を形成することも可能となる。従って、従来は被膜形成部材全面に形成するべきとされていた保護膜を特定面或いはある面の特定領域に対しては形成すること無くすることが可能となり、耐磨耗性部材としての設計の自由度を大きくすることも可能となる。また、従来は、支持体上面に凹部を設け且つ該凹部に被膜形成部材を収容させることによって搬送時或いは膜形成時における被膜形成部材の位置決めを行っていた。このために、部材毎に専用の支持体が必要になり且つ該支持体は凹部の掘り込み量等の精度が必要であるために支持体に要するコストが増加する傾向にあった。本発明によれば、単に平板状の板材の表面に粘着層を形成するのみで良く、汎用性の高い支持体を低コストにて提供することが可能となる。
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記背景技術の説明においては保護膜としてDLC膜を例示したが、本発明における対象保護膜はDLCに限定されず、CVD法によって形成可能な種々の保護膜に適用可能であることから、以下の説明に際しては保護膜と総称して述べることとする。図1Aは、本発明の一実施形態に係る耐磨耗性部材の製造方法における保護膜形成前の状態であって、支持体本体上の粘着テープ及び被膜形成部材を載置したものを、該被膜形成部材の厚さ方向に切断した断面の概略構成を示す図である。また、図1Bは、図1Aにおける領域1Bを拡大したものである。
本実施形態において、円盤状の被膜形成部材3は、一方の面7bが略板状体の支持体本体5の平坦面5aに貼り付けられた導電性両面テープ7の他方の面7aに対して貼り付けられる。支持体本体5の平坦面5a及び被膜形成部材3における面3a(同図におけるテープ7に対する貼り付け面)には、通常平坦化処理等が施されている。しかし、微視的に見た場合、図1Bに示すように実際には平坦面5aは微小な凹凸を含んでいる。また、例えば保護膜形成前の予備加熱、或いは保護膜形成時にプラズマから受ける放射熱により支持体本体5或いは被膜形成部材に撓み等が生じる可能性もある。
本実施形態の如く、僅かな加重の付加によって容易に変形する粘着物質からなるテープ7を支持体本体5−被膜形成部材3間に介在させることにより、これら凹凸等を該テープ7によって吸収することが可能となる。従って、テープ7によって支持体本体5−被膜形成部材3間に隙間が生ずることを防止し、被膜形成部材3における支持体本体5の平坦面5aとの対向面を完全にマスキングすることが可能となる。また、被膜形成部材3に関しても、個々の被膜形成部材間において加工精度に準じた凹凸等の差異が存在している。しかし、これら差異に関してもテープ7によって吸収することが可能となり、凹凸等の存在に関係なく支持体本体5上に貼り付けられる全ての被膜形成部材3に対して確実且つ均質なマスキングを行うことが可能となる。即ち、本発明の一実施形態に係る支持体8は、支持体本体5及び該本体表面に形成されたテープ7による粘着層とより構成される。
次に、実際の保護膜形成工程について説明する。図1Aに示す状態にある支持体8は、後述するプラズマCVD装置(図4参照)内部に搬送される。当該装置内部において、装置内部の気体の排気、装置内部への保護膜原料ガスの導入及び該ガスによる所定圧力の維持、電圧印加による放電−プラズマの生成、被膜形成部材3の露出面である表面3b及び側面3cに対する保護膜9aの形成、電圧の印加停止によるプラズマの消失及び原料ガス導入の停止、及び装置内部の大気解放等の一連の操作が為される。以上の一連の操作を経て、保護膜9aが形成された状態を図2に模式的に示す。なお、図2は、図1Aと同様の様式にて支持体、被膜形成部材等を示すものであり、図1Aに示す構成と同一の構成に関しては同じ参照番号を用いて示すこととする。本実施形態においては、テープ7による被膜形成部材3のマスキング効果が好適に作用することから、被膜形成部材3の裏面3aに対する保護膜9aの回り込み等は確実に防止される。
続いて、保護膜9aが形成された被膜形成部材3を導電性両面テープ7から一端剥がし、表面3b側をテープ7に対して貼り付ける。当該状態から、再度前述した保護膜形成工程を実施し、先の工程において保護膜が形成されなかった面3a(及び側面3c)に対しての保護膜9bの形成を行う。該工程終了後の被膜形成部材3の断面に関して、図1A或いは図2を同様の様式にて図3に示す。以上の工程を経ることにより、被膜形成部材3はその全表面に対して保護膜9(9a、9b)が形成されることとなる。本実施形態においては、略均一な膜特性を有する保護膜が形成できる領域にのみ保護膜形成を行い、これを繰り返すことによって被膜形成部材3の全表面に保護膜9を形成することとしている。従って、従来工程による保護膜と異なり、膜特性の異なった領域が保護膜内に含まれることがなくなり、耐久性等においてより優れた保護膜を得ることが可能となる。側面3cに形成される保護膜は、プラズマ近傍から離れるに従って膜厚さが減少している。しかし、表面側の成膜時及び裏面側の成膜時ともに膜形成を行い積層することによって、最終的にある程度以上の膜厚さを得ることを可能としている。本発明の如く膜形成領域の端部の存在位置を粘着層によって制御することで、膜厚減少領域内での膜質劣化領域の発生を防止し、積層膜の膜質の安定化が図られる。
次に、本発明に係る耐磨耗性部材の製造方法を実施するために用いられる支持体8について説明する。図4は、上述した保護膜9を形成する工程において用いられたプラズマCVD装置について、該装置内部に搬入された支持体本体5が図1A等と同様の様式で観察されるような平面において該装置を切断した断面の概略構成図を示している。同図において、当該プラズマCVD装置20は、内部に密閉空間21aを有する真空チャンバ21、該密閉空間21aの内部において向かい合って配置される平板状のアノード電極25及びカソード電極27、これら電極と接続される高周波電源23、カソード電極27と高周波電源23との間に配置されるブロッキングコンデンサ29、及び不図示の原料ガス供給系及び排気系を有する。当該装置は前述した保護膜9a及び9bを形成する際に用いられ、当該装置においては前述した工程に沿った操作が行われる。
支持体8は、平板状のカソード電極27の表面において保持される。ここで、保持時において、支持体本体5に対しては、カソード電極27と同電位となるように電気的な接続が図られている。この状態を図5に模式的に示す。支持体本体5はブロッキングコンデンサ29を介して高周波電源23に接続されている。また、支持体本体5における基材保持面5a表面には導電性を有する粘着層7(前述の実施形態ではテープにて当該層を形成。)が形成されている。本発明に係る支持体8は、前述したように支持体本体5及び粘着層7より構成される。基材3は該粘着層7の表面上に貼り付けられ、これによって支持体8による被処理物3保持が為される。なお、平板状の支持体本体5の基本構成に関しては従来のプラズマCVD装置に用いられる所謂支持体の構成と大きく異ならないことからここでの詳述は省略する。また、以上述べた実施形態においては該粘着層は両面粘着テープにより形成することとしているが、本発明は当該形態によらず、粘着剤の塗布等によって該粘着層を形成することとしても良い。即ち、所定厚さを維持し且つ被保護膜形成部材を確実に保持可能な粘着力を有すれば、当該粘着層の形成方法には本発明は限定されない。
なお、本実施形態においては、装置構成が比較的単純であること、プラズマ生成が容易であること、及びプラズマに対して大きな電力の印加が可能であること等のメリットより電圧を高周波(RF)に乗せて印加する高周波電源(RF電源)を用いることとしている。高周波は複数の導電体間の伝達に際して、これら導電体間での接点抵抗等に敏感であることが知られている。例えば導電性の支持体表面に機械的な機構を介して導電性の被膜形成部材3を強制的に押し付けた場合には接点抵抗をある程度低下させ、該被膜形成部材3を安定した電位とすることが可能である。しかし、被膜形成部材3を単純に支持体表面に載せた状態の場合、接点抵抗は安定せず、極端な場合には基材被膜形成部材3と支持体とが高周波的に絶縁状態となる可能性も存在する。
従って、支持体上に複数の被膜形成部材3を載置した場合、個々の被膜形成部材3の高周波的な電位は常に安定せず基材によってばらついており、プラズマ‐保護膜形成面間に存在する所謂イオンシースの幅も個々の基材によって異なる可能性がある。本実施形態の如く導電性の両面テープからなる層を粘着層7として用いることにより、被膜形成部材3−支持体本体5間の電気的な接触を、個々の被膜形成部材3に対して準強制的に等しく与えることが可能となる。また、該テープ7内の導電性物質が被膜形成部材3−支持体本体5間に均等に配置され且つこれらを介して被膜形成部材3−支持体本体5間の高周波的な接続が得られることから、例えば基材3の特定部分のみが支持体本体5と密着して該部分のみが高周波的接続を確保するといった状態をなくすることが可能となる。即ち、支持体8上に保持される被膜形成部材3全てを、高周波的に等しい電位として保護膜の形成を行うことが可能となり、一度の膜形成工程における個々の被膜形成部材3間の保護膜の膜特性のばらつきの発生を抑制することも可能となる。即ち、本発明は導電性を有する複数の被膜形成部材に対して一度に保護膜を形成する工程において特に優位性を有するといえる。
なお、以上述べた実施形態においてはプラズマ生成に高周波を有する電圧を印加することとしている。しかし、本発明の適用対象は所謂RF(高周波)プラズマCVDに限られず、DC放電によるプラズマCVD、所謂マイクロ波放電によるプラズマCVD等、種々のプラズマCVD装置を用いた場合においても適用可能である。また、上述した実施形態においては支持体8をカソード27側に配置することとしたが、例えばアノード25側に配置することも可能である。
図6は更なる実施形態について、図5を同様の様式にてこれを示すものである。なお、図5に示し諸構成と同一の構成に関しては、図5と同一の参照符号を用いて説明することとする。図6に示す実施形態は、図5に示す実施形態における導電性両面テープからなる粘着層7が、導電性を有さない単なる粘着層7aから構成される点が異なる。本実施形態においても、マスキング効果に関しては前述した実施形態と同様の効果が得られる。また、各被膜形成部材3間の電位に関しても、粘着層7aの厚さ及び粘度を適宜調整することにより各基材が所定の容量を介して支持体本体5と接続される回路を構成することが可能となり、適当なシースを構成しつつ保護膜を形成することが可能となる。
なお、通常これら粘着層は、ガス放出特性の関係上真空装置内部に対して持ち込まれることは避けられている。特にプラズマCVD装置においては、プラズマから受ける熱、イオンの入射、或いは生成ラジカルによる反応等によって粘着層から放出された物質が膜中に混入する関係からも、放電領域に該粘着層が露出する環境の生成は忌避される。しかしながら、本発明が対象とする耐磨耗特性を向上させる膜、特にカーボン系、シリコン系等の膜の場合、特定の材質からなる粘着層からの混入が考えられる物質は摩耗特性上大きな影響(特に劣化に関連する影響。)を与えないことが確認されている。即ち、本発明はこれら物質の混入が問題とされない耐磨耗性材料向けに特化された発明であると考えられる。また、本実施形態においては膜形成が実際に行われる処理であるとして述べているが、例えば、当該処理として膜形成前に行われるプラズマを用いた被膜形成部材の表面処理に本発明を適用しても良い。従って、被膜形成部材は、被処理物として把握されることが好ましい。
以下に、本発明を用いて実際に保護膜を形成した耐磨耗性材料の製造実施例について説明する。上述した実施形態において得られた円盤状の耐磨耗性部材と、従来工程より得られた円盤状の耐磨耗性部材との各々に対して、スクラッチテストを実施した。スクラッチテストの実施条件として、研磨紙はSiC#2000、荷重1.0kgf、スキャン長さ30mm、往復速度1.5sec./往復、研磨ローラ回転角0.9°/往復とした。その結果、従来工程からなる耐磨耗性部材に関しては200回往復にて顕著な膜剥離が生じたにも拘らず、本発明により得られた耐磨耗性部材に関しては400回往復を行っても一切剥離が生じなかった。また、ビッカース硬さに関しても、従来工程品は約1600Hvであったものが本発明より得られたものは1700Hvであった。これはラマン分光分析の結果にも対応しており、本発明より得られた保護膜はDLCの含有率が高くより好適な保護膜が得られていることが確認された。
なお、以上の実施例においてはDLC膜一層からなる保護膜の形成及び該保護膜を有した耐磨耗性部材の特性の評価結果等について述べている。しかしながら、本発明により得られる保護膜は、以上の説明及び実施例での測定結果から理解されるように、均質度の点において従来工程品と比較して特に優れていると考えられる。従って、2層のDLC膜を主体として保護膜が構成される場合においても、好適な効果が得られることが期待される。
以下に図面を参照して、2層のDLC膜を形成する実施例について説明する。図7は、本実施例に係る保護膜の形成工程を模式的に示すフローチャートである。図中ステップ1において、金属からなる被膜形成部材33を用意する。続いて、DLC膜の密着性を高めるために、中間層35を形成する(ステップ2)。当該中間層35は、金属薄膜、珪化物薄膜、珪炭化物薄膜、等から構成されている。その後、ステップ3において、厚さt1を有した第一のDLC層37を形成する。第一のDLC層37を形成後、ステップ4において厚さt2を有した第二のDLC層39を形成する。ここで、本発明における保護膜31は、当該実施形態においては中間層35、第一のDLC層37及び第二のDLC層39を含んで構成される膜のことを指す。本発明は、これら第一のDLC層、中間層、及び第二のDLC層の何れか、或いはこれら層の内の幾つかの形成時に用いることが可能である。
なお、DLC層の形成条件を適当に選択することにより、第一のDLC層37は、分子の結合状態としてsp3結合が少ない(sp2結合が多い)構造とされており、第二のDLC層39は、分子の結合状態としてsp3結合が多い(sp2結合が少ない)構造とされている。このような層構成からなるDLC薄膜を形成することにより、耐磨耗材料として形成されるDLC薄膜の寿命を大幅に伸ばすことが可能となる。
ここで、上述した膜厚比からなる保護膜において最も良好な結果が得られる理由について考察する。本実施例では、高い硬度を有する第二のDLC層39の下層に硬度を重視しないsp2結合を主体とする分子構造からなる第一のDLC層37を配置している。当接面同士の摺動により生ずる摩擦力によって生じるせん断力に対しては、第一のDLC層37がせん断方向に変形して該せん断力を緩和し、且つ第二のDLC層39に該せん断力が集中することを防止していると考えられる。また、耐磨耗性部材に対する振動等に伴う膜厚方向に加えられる衝撃荷重に対しては、第一のDLC層37がクッションの役割を果たしていると考えられる。以上述べた効果が相乗されることにより、DLC薄膜としての耐用寿命が延ばされると考えられる。即ち、第一のDLC層を被膜形成部材側の層とし、第二のDLC層を他の耐磨耗性部材と当接する面を構成するように配置し、同時に第一のDLC層の厚さを第二のDLC層の厚さよりも同等あるいは大きくすることにより好適な耐磨耗特性が得られる。
なお、上述した実施例においては、金属珪化物をスパッタリングにより形成し、これを中間層として用いることとしている。しかしながら、本実施例において中間層は必須の構成ではなく、DLC膜単体として用いた場合であっても保護膜として好適な効果が得られている。また、中間層を用いることによって本発明に係るDLC膜を含んだ保護膜の効果がより高められるが、中間層は当該金属珪化物に限定されない。具体的には、第5A族金属(V,Nb,Ta)、第6A族金属(Cr,Mo,W)、Ti、及びZrより選択された少なくとも一種を主成分とする珪化物或いは珪炭化物、第5A族金属(V,Nb,Ta)より選択された少なくとも一種を主成分とする金属膜とその上に形成されたSi膜或いはSiを主成分とする金属膜、及び第5A族金属(V,Nb,Ta)、第6A族金属(Cr,Mo,W)、Ti、及びZrより選択された少なくとも一種類の金属膜の何れかを用いることが可能である。
また、各々のDLC層はプラズマCVD法によって形成することとしている。当該方法によれば、投入電力、放電周波数、原料ガス種、成膜圧力、成膜時の被膜形成部材の温度等の少なくとも何れかを変化させることにより、sp3結合等の量を容易に変化させることが可能である。しかしながら、本発明が対象とする保護膜におけるDLC層の形成法方法は当該方法に限定されず、スパッタリング等他の真空プロセスのようにDLC層の特性を改変可能な種々の方法によって形成することが可能である。また、本実施例によれば、異なる特性を有するDLCからなる層を積層することで、耐磨耗性部材の表面に対して耐磨耗性を付与する単一の膜を得ることとしている。該膜は同じDLC層を重ねることにより各層間の接合性が高く、複数の層からなっているにも拘らず単一膜として機能する。また、本実施例においては、各DLC層を各々連続的に成膜することが可能となる方法により形成していることから、製造工程上簡易な設備によってこれを得ることが可能である。
本発明の一実施形態に係る耐磨耗性材料の製造方法に関して、支持体本体、粘着層、及び被膜形成部材の相互関係を模式的に示す図である。 図1Aに示す領域1Bを拡大して示す図である。 図1Aに示す構成を用いて保護膜を形成する際の一段階を示す図である。 図1Aに示す構成を用いて保護膜を形成する際の図2に示す段階の次なる段階を示す図である。 本発明に係る方法及び支持体を用いるプラズマCVD装置の概略構成を示す図である。 図4に示す支持体及び関連する構成を抽出して示す図である。 図5と同様の様式にて更なる実施形態に係る支持体を模式的に示す図である。 本発明の一実施例であって、複数の層からなる保護膜を形成する際の工程を模式的に示すフローチャートである。
符号の説明
3、33:被膜形成部材、 5:支持体本体、 7:粘着層、 8:支持体、 9:保護膜、 20:プラズマCVD装置、 21:真空チャンバ、 23:高周波電源、 25:アノード電極、 27:カソード電極、 29:ブロッキングコンデンサ、 35:中間層、 37:第一のDLC層、 39:第二のDLC層

Claims (4)

  1. 高周波電源と接続されてアノード側或いはカソード側となる支持体上に形成された立位で配置される略平坦面に被処理物を保持させ、保護膜の原料ガスを主たるガスとして生成されたプラズマを用いて、該保持状態にある前記被処理物の所定面に保護膜を形成するプラズマCVD法を用いた耐磨耗性部材の製造方法であって、
    前記被処理物の一面を、前記被処理物を保持可能な粘着力を有する粘着層を介して前記略平坦面に対して貼り付けて前記支持体による保持を為し、
    前記被処理物は、前記粘着層の厚さ及び粘度を調整することにより規定される所定の容量を介して前記支持体と接続される回路を構成し、
    前記粘着層は、前記被処理物において前記支持体と対向する面をマスキングすることを特徴とする耐磨耗性部材の製造方法。
  2. 前記所定面に対して前記保護膜を形成した後前記粘着層より前記被処理物を剥がし、前記粘着層を介して前記所定面を前記略平坦面に貼り付けて前記支持体による前記被処理物の保持を再度為し、前記被処理物の他の面に対する前記保護膜の形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の耐磨耗性部材の製造方法。
  3. 高周波電源と接続されてアノード側或いはカソード側となる支持体上に形成された立位で配置される略平坦面に複数の被処理物を保持させ、保護膜の原料ガスを主たるガスとして生成されたプラズマを用いて、該保持状態にある前記被処理物の所定面に保護膜を形成するプラズマCVD法を用いた耐磨耗性部材の製造方法であって、
    前記被処理物の一面を、前記被処理物を保持可能な粘着力を有する粘着層を介して前記略平坦面に対して貼り付けて前記支持体による保持を為し、
    前記粘着層は導電性を有し、前記被処理物は前記導電性粘着層によって前記支持体との間の電気的接続を得
    前記複数の被処理物は前記粘着層によって各々高周波的に等しい電位とされ、
    前記粘着層は、前記被処理物において前記支持体と対向する面をマスキングすることを特徴とする耐磨耗性部材の製造方法。
  4. 前記所定面に対して前記保護膜を形成した後前記粘着層より前記被処理物を剥がし、前記粘着層を介して前記所定面を前記略平坦面に貼り付けて前記支持体による前記被処理物の保持を再度為し、前記被処理物の他の面に対する前記保護膜の形成を行うことを特徴とする請求項3に記載の耐磨耗性部材の製造方法。
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