JP4775299B2 - シンナー組成物および半導体装置等の製造方法 - Google Patents

シンナー組成物および半導体装置等の製造方法 Download PDF

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本発明は、環状オレフィン系重合体を含有する組成物の除去に好適に用いられるシンナー組成物、及び半導体装置又は平面表示装置の製造方法に関する。
半導体装置製造工程のうちのフォトリソグラフィ工程では、絶縁基板上に成膜したフォトレジスト膜に活性放射線を照射し、該膜中に潜像パターンを形成し、次いで現像液を接触させることにより潜像パターンを顕在化させて、該膜をパターン化することが行われる。
フォトレジスト膜は、通常、レジスト組成物(感光性樹脂組成物)を絶縁基板上に塗布してレジスト組成物の塗膜を形成後、該塗膜を加熱処理(プリベイク)することにより、前記塗膜から溶剤を蒸発させて形成される。
また、プリベイク後、活性放射線照射前においては、絶縁基板のエッジ部分や裏面(フォトレジスト膜の非存在面)に付着する不要なレジスト組成物の除去が行われる。レジスト組成物を除去しておくことは、不要なレジスト組成物の存在により、後工程であるエッチング工程やイオン注入工程等において種々の不良が発生し、半導体装置の生産性の低下が生ずるのを防ぐのに有効である。
絶縁基板に存在する不要なレジスト組成物を除去する方法としては、例えば、絶縁基板のエッジ部分の上下に噴射ノズルを設置し、このノズルを通して絶縁基板のエッジ部分や裏面に所定の有機溶剤成分からなるシンナー組成物を噴射し、絶縁基板を洗浄する方法がある。
従来、上記方法に用いるシンナー組成物としては、(i)特許文献1に開示された、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル3−エトキシプロピオネート、及びγ−ブチロラクトンを主成分とするフォトレジストストリッピング用シンナー組成物や、(ii)特許文献2に開示された、プロピレングリコールエーテルアセテートと、エチルラクテート及びエチル−3−エトキシプロピオネートよりなる群から選択される少なくとも一種のエステル化合物、及びメチル−2−ハイドロキシ−2−メチルプロピオネートを含むシンナー組成物、(iii)特許文献3に開示された、アルキルアミド及びアルキルエタノエイトを含むフォトレジスト除去用シンナー組成物等が知られている。
特開2004−139009号公報 特開2005−227770号公報 特開2005−338825号公報
本出願人は、特開2002−296780号公報等において、環状オレフィン系重合体を含有する感光性樹脂組成物を提案している。この樹脂組成物によれば、平坦性、耐熱性、透明性、耐薬品性等に優れるとともに、脱ガス性がよく、低誘電性に優れ、微細なパターン状硬化膜を効率よく形成することが可能である。
本発明者らは、従来から用いられているシンナー組成物を用いて、絶縁基板に付着した環状オレフィン系重合体を含有する感光性樹脂組成物の除去を試みたところ、該樹脂組成物が十分に溶解せず(溶解性が低く)、絶縁基板を充分に洗浄することができないことが分かった。また、既存のシンナー組成物の中には、環状オレフィン系重合体に対して溶解性を有するものもあるが、このものは乾燥性(揮発性)に劣っていた。乾燥性に劣るシンナー組成物を用いると、装置のタクトダウンが起こり、生産性が低下する。
そこで本発明は、環状オレフィン系重合体を含有する組成物(環状オレフィン系重合体含有組成物)に対し優れた溶解性を有し、かつ乾燥性にも優れるシンナー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2種のアルコールエーテルと2種のアルコールエステルを含有するシンナー組成物が、環状オレフィン系重合体含有組成物に対し優れた溶解性を有し、かつ乾燥性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(7)のシンナー組成物が提供される。
(1)2種のアルコールエーテルと2種のアルコールエステルを含有してなることを特徴とする環状オレフィン系重合体含有組成物除去用シンナー組成物。
(2)2種のアルコールエーテルがエチレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルであり、2種のアルコールエステルがプロピレングリコールのモノエーテルエステルと一級アルコールエステルである(1)に記載のシンナー組成物。
(3)エチレングリコールのモノエーテルの含有量が組成物全体に対して40〜70重量%であり、プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの合計含有量が組成物全体に対して20〜40重量%であり、及び一級アルコールエステルの含有量が組成物全体に対して10〜30重量%である、(2)に記載のシンナー組成物。
(4)プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの重量比(プロピレングリコールのモノエーテル/プロピレングリコールのモノエーテルエステル)が、6/4〜8/2である(3)に記載のシンナー組成物。
(5)エチレングリコールのモノエーテルが2−メトキシエタノールであり、プロピレングリコールのモノエーテルがプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、プロピレングリコールのモノエーテルエステルがプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、及び一級アルコールエステルが酢酸n−ブチルである、(1)〜(4)いずれかに記載のシンナー組成物。
(6)界面活性剤をさらに含有する(1)〜(5)いずれかに記載のシンナー組成物。
(7)前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である(6)に記載のシンナー組成物。
本発明の第2によれば、下記(8)の半導体装置又は平面表示装置の製造方法が提供される。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のシンナー組成物を用いて、環状オレフィン系重合体含有組成物が付着した被洗浄物を洗浄する工程を有する半導体装置又は平面表示装置の製造方法。
本発明のシンナー組成物は、環状オレフィン系重合体含有組成物に対し優れた溶解性を有し、かつ乾燥性にも優れる。よって、本発明のシンナー組成物を用いることにより、被洗浄物に付着した不要の環状オレフィン系重合体含有組成物を効率よく洗浄・除去することができる。
本発明の製造方法によれば、半導体装置又は平面表示装置の製造工程を効率化して、それらの生産効率を向上させることができる。
以下、本発明を、1)環状オレフィン系重合体含有組成物除去用シンナー組成物、2)半導体装置又は平面表示装置の製造方法に項分けして詳細に説明する。
1)環状オレフィン系重合体含有組成物除去用シンナー組成物
本発明の環状オレフィン系重合体含有組成物除去用シンナー組成物(以下、「シンナー組成物」という。)は、2種のアルコールエーテルと2種のアルコールエステルを含有することを特徴とする。
(1)環状オレフィン系重合体含有組成物
本発明のシンナー組成物は、環状オレフィン系重合体含有組成物を除去(溶解除去)するための洗浄用組成物である。
環状オレフィン系重合体含有組成物は、少なくとも環状オレフィン系重合体及び溶剤を含有する組成物である。
本発明の対象とする環状オレフィン系重合体含有組成物において、環状オレフィン系重合体含有組成物中の環状オレフィン系重合体の含有量は、通常、1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%である。
また、環状オレフィン系重合体は、環状構造(脂環又は芳香環)と炭素−炭素二重結合を有する環状オレフィン単量体の単独重合体又は共重合体である。
環状オレフィン系重合体の繰り返し単位中、環状オレフィン単量体単位の割合は、通常、30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。
前記環状オレフィン単量体としては、特に限定はないが、例えば、極性基を有しない環状オレフィン単量体(以下、「環状オレフィン単量体(a)」という。)、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(以下、「環状オレフィン単量体(b)」という。)、プロトン性極性基以外の極性基(非プロトン性極性基)を有する環状オレフィン単量体(以下、「環状オレフィン単量体(c)」という。)、ビニル脂環式炭化水素単量体(以下、「ビニル脂環式炭化水素単量体(d)」という。)、及びビニル芳香族炭化水素単量体(以下、「ビニル芳香族炭化水素単量体(e)」という。)等が挙げられる。
環状オレフィン単量体(a)は、極性基を有しない環状オレフィン単量体である。ここで極性基とは、後述するプロトン性極性基及びプロトン性極性基以外の極性基(後述する非プロトン性極性基)をいう(以下にて同じ。)。
環状オレフィン単量体(a)の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[8.4.0.111,14.03,7]ペンタデカ−3,5,7,12,11−ペンタエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン」ともいう。)、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン等が挙げられる。
環状オレフィン単量体(b)は、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体である。ここでプロトン性極性基とは、炭素原子以外の原子に水素原子が直接結合した原子団をいう(以下にて同じ。)。炭素原子以外の原子は、好ましくは周期律表第15族及び第16族に属する原子、より好ましくは周期律表第15族及び第16族の第1及び第2周期に属する原子、更に好ましくは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子、特に好ましくは酸素原子である。
プロトン性極性基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシル基等の酸素原子を有する極性基;第一級アミノ基、第二級アミノ基、第一級アミド基、第二級アミド基(イミド基)等の窒素原子を有する極性基;チオール基等の硫黄原子を有する極性基;等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子を有するものが好ましく、より好ましくはカルボキシル基である。
環状オレフィン単量体(b)の具体例としては、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エキソ−9−エンド−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等のカルボキシル基を有する環状オレフィン;5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等のヒドロキシ基を有する環状オレフィン等が挙げられる。これらの中でもカルボキシル基を有する環状オレフィンが好ましい。
環状オレフィン単量体(c)は、前記プロトン性極性基以外の極性基である非プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体である。
非プロトン性極性基の具体例としては、エステル基(アルコキシカルボニル基及びアリーロキシカルボニル基を総称していう。)、N−置換イミド基、エポキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボニルオキシカルボニル基(ジカルボン酸の酸無水物残基)、アルコキシ基、カルボニル基、第三級アミノ基、スルホン基、ハロゲン原子、アクリロイル基等が挙げられる。これらの中でも、エステル基、N−置換イミド基、シアノ基及びハロゲン原子が好ましく、エステル基及びN−置換イミド基がより好ましく、N−置換イミド基が特に好ましい。
環状オレフィン単量体(c)の具体例としては、5−アセトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等のエステル基を有する環状オレフィン;
N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)等のN−置換イミド基を有する環状オレフィン単量体;
8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のシアノ基を有する環状オレフィン;
8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等のハロゲン原子を有する環状オレフィン;等が挙げられる。
ビニル脂環式炭化水素単量体(d)の具体例としては、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン等のビニルシクロアルカン;3−メチル−1−ビニルシクロヘキサン、4−メチル−1−ビニルシクロヘキサン、1−フェニル−2−ビニルシクロプロパン、1,1−ジフェニル−2−ビニルシクロプロパン等の置換基を有するビニルシクロアルカン;等が挙げられる。
ビニル芳香族炭化水素単量体(e)の具体例としては、スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルナフタレン等のビニル芳香族類;3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の置換基を有するビニル芳香族類;m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、ビス(4−ビニルフェニル)メタン等の多官能ビニル芳香族類;等が挙げられる。
これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
環状オレフィン系重合体は、環状オレフィン単量体以外の単量体単位を有していてもよい。環状オレフィン単量体以外の単量体としては、特に限定はないが、例えば、鎖状オレフィンが挙げられる。
鎖状オレフィンの具体例としては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン;等が挙げられる。
環状オレフィン系重合体は、これらの各単量体を任意に組合せて重合することにより得ることができる。
各単量体の重合は、常法に従えばよく、例えば、開環重合法や付加重合法が採用される。
開環重合法や付加重合法に用いられる重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体が挙げられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
例えば、環状オレフィン単量体の開環重合体及び環状オレフィン単量体の開環共重合体(以下、両者を併せて「環状オレフィン単量体の開環(共)重合体」という)を得る場合、重合触媒の使用量は、重合触媒中の金属化合物:環状オレフィン単量体のモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
また、環状オレフィン系重合体としては、例えば、重合体中の環状構造が不飽和結合を有するとき、これを水素化することにより、飽和の環状構造としたものであってもよい。
水素化は、通常、水素化触媒を用いて行われる。水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化触媒として一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、担持型貴金属系触媒等が利用できる。環状オレフィン系重合体の水素化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
環状オレフィン系重合体の具体例としては、環状オレフィン単量体(a〜c)の開環(共)重合体及びそれらの水素化物;環状オレフィン単量体(a〜c)とビニル脂環式炭化水素単量体(d)との付加共重合体及びその水素化物;並びに環状オレフィン単量体(a〜c)とビニル芳香族炭化水素単量体(e)との付加共重合体及びその水素化物;からなる群から選択される少なくとも1種を好ましく例示することができる。これらの中でも、環状オレフィン単量体(a〜c)の開環(共)重合体の水素化物であるのがより好ましく、本発明のシンナー組成物が、極性基を有する環状オレフィン系重合体の溶解性に優れることから、極性基を有する環状オレフィン系重合体であるのが特に好ましい。
極性基を有する環状オレフィン系重合体に含まれる極性基の数は特に限定されず、複数の極性基を有する場合、複数の極性基は、同一であっても、相異なっていてもよい。
また、極性基は、環状オレフィン単量体単位に結合していても、環状オレフィン単量体以外の単量体単位に結合していてもよい。
極性基を有する環状オレフィン系重合体としては、プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体(以下、「プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体」という。)が好ましい。
前記プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体としては、式(I)
Figure 0004775299
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は式:−X−R’(Xは二価の有機基であり、nは0又は1であり、R’は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、又はプロトン性極性基である。)で表される基であり、かつ、R〜Rのうち少なくとも1つは、R’がプロトン性極性基である、式:−X−R’で表される基であり、mは0〜2のいずれかの整数である。〕で表される繰り返し単位を有するものが好ましく、前記式(I)で表される繰り返し単位、及び式(II)
Figure 0004775299
(式中、R5とR6は、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい、酸素原子又は窒素原子を含む、3員又は5員複素環構造を形成し、kは0〜2のいずれかの整数である。)で表される繰り返し単位を有するものがより好ましい。前記式(I)及び式(II)で表される繰り返し単位は、いずれも環状オレフィン単量体単位である。
前記式(I)において、Xの二価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;カルボニル基;等が挙げられる。
R'の置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜7のアルキル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等の炭素数6〜10の芳香族基等が挙げられる。
前記R’のアルキル基の置換基としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;等が挙げられる。また、芳香族基の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;等が挙げられる。
プロトン性極性基としては、前記例示したのと同様の基が挙げられる。
前記式(II)において、RとRが、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい、酸素原子又は窒素原子を含んで形成する3員複素環構造としては、エポキシ構造等が挙げられる。また、RとRが、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい、酸素原子又は窒素原子を含んで形成する5員複素環構造としては、ジカルボン酸無水物構造〔−C(=O)−O−C(=O)−〕及びジカルボキシイミド構造〔−C(=O)−N−C(=O)−〕等が挙げられる。炭素原子や窒素原子の置換基としては、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基等が挙げられる。
前記プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体において、プロトン性極性基を有する単量体単位と、これ以外の単量体単位との比率(プロトン性極性基を有する単量体単位/これ以外の単量体単位)は、重量比で、通常、100/0〜10/90、好ましくは90/10〜20/80、より好ましくは80/20〜30/70の範囲である。
前記環状オレフィン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは1,500〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。該環状オレフィン系重合体の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
また、該環状オレフィン系重合体のヨウ素価は、通常、200以下、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である。
本発明の対象とする環状オレフィン系重合体含有組成物は、環状オレフィン系重合体の少なくとも一種を必須成分として含有し、さらに溶媒を含有するのが好ましい。
かかる溶剤としては、環状オレフィン系重合体を溶解するものであれば特に制限されないが、例えば、モノアルキレングリコール溶媒;ポリアルキレングリコール溶媒;モノアルキレングリコールアルキルエステル溶媒;ポリアルキレングリコールアルキルエステル溶媒;モノアルキレングリコールジエステル溶媒;ポリアルキレングリコールジエステル溶媒;等が挙げられる。
前記環状オレフィン系重合体含有組成物には、公知の樹脂組成物に慣用されるその他の成分等が含まれていてもよい。
本発明の対象とする環状オレフィン系重合体含有組成物としては、環状オレフィン系重合体を含有する感放射線性樹脂組成物が好ましい。
ここで、感放射線性とは、紫外線や電子線等の放射線の照射により、化学反応が生じ得る性質をいう。
前記感放射線性樹脂組成物としては、環状オレフィン系重合体の少なくとも一種を含有し、感放射線性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、前記極性基を有する環状オレフィン系重合体、前記溶剤、架橋剤、及び感放射線化合物を含有してなる組成物であるのが好ましい。
架橋剤としては、例えば、エポキシ基を2つ以上、好ましくはエポキシ基を3つ以上有する、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。
感放射線化合物としては、例えば、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を有する化合物とから得られるエステル化合物等の光酸発生剤が挙げられる。ここで、キノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等が挙げられる。また、フェノール性水酸基を有する化合物としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等が挙げられる。
また、前記環状オレフィン系重合体を含有する感放射線性樹脂組成物には、公知の感放射線性樹脂組成物に慣用されるその他の成分や、コロイダルシリカ等の無機微粒子等が含まれていてもよい。
なお、上記例示した感放射線性樹脂組成物はポジ型であるが、ネガ型であってもよい。
本発明の対象とする環状オレフィン系重合体含有組成物は、公知の方法に従って調製することができる。
(2)シンナー組成物
本発明のシンナー組成物は、2種のアルコールエーテルと2種のアルコールエステルを含有することを特徴とする。
2種のアルコールエーテルとしてはエチレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルが好適であり、2種のアルコールエステルとしてはプロピレングリコールのモノエーテルエステルと一級アルコールエステルが好適である。
本発明のシンナー組成物においては、エチレングリコールのモノエーテルの含有量が組成物全体に対して40〜70重量%であり、プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの合計含有量が組成物全体に対して20〜40重量%であり、及び一級アルコールエステルの含有量が組成物全体に対して10〜30重量%であるのが好ましい。各含有量がかかる範囲にあると、環状オレフィン系重合体含有組成物の溶解性に優れる。
さらに、プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの重量比(プロピレングリコールのモノエーテル/プロピレングリコールのモノエーテルエステル)が、6/4〜8/2であるのが好ましい。プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの重量比をかかる範囲に調整することで、乾燥性に優れるシンナー組成物を得ることができる。
本発明に使用するエチレングリコールのモノエーテル、プロピレングリコールのモノエーテル、プロピレングリコールのモノエーテルエステル、及び一級アルコールエステルとしては、特に限定はないが、中でも、エチレングリコールのモノエーテルが2−メトキシエタノールであり、プロピレングリコールのモノエーテルがプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、プロピレングリコールのモノエーテルエステルがプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、一級アルコールエステルが酢酸n−ブチルであるのが好ましい。
本発明のシンナー組成物に用いる、2−メトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び酢酸n−ブチルは、市販品として入手可能である。
本発明のシンナー組成物は、環状オレフィン系重合体含有組成物の溶解性を向上させるために、界面活性剤をさらに含有するのが好ましい。
用いる界面活性剤は、特に限定されないが、環状オレフィン系重合体含有組成物の溶解性の向上能に優れることから、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンが好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロブチルスルホン、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルなどが挙げられる。中でも、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物が好ましい。
これらのシリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤は市販品として入手可能である。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYKシリーズ、信越化学工業株式会社製KPシリーズ、日本エマルジョン株式会社製EMALEXシリーズ等が、フッ素系界面活性剤としては、例えば、住友スリーエム株式会社製ノベックシリーズ、株式会社ネオス製フタージェントシリーズ、大日本インキ化学工業株式会社製メガファックシリーズ等が挙げられる。
これらの界面活性剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の含有量は、組成物全体に対して、通常、0.01〜10重量%である。
本発明のシンナー組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、特に制限されず、公知のシンナー組成物において有効成分として使用されているものが挙げられる。例えば、セロソルブ、酢酸セロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル及びエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸n−ペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン等のエステル類;等が挙げられる。
本発明のシンナー組成物は、例えば、2−メトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチル、及び所望により界面活性剤、他の成分を公知の方法に従って適宜混合することにより調製することができる。
本発明のシンナー組成物は、前記環状オレフィン系重合体含有組成物、特に、環状オレフィン系重合体を含有してなる感放射線性樹脂組成物に対し優れた溶解性を有する。
本発明のシンナー組成物が、環状オレフィン系重合体含有組成物に対する溶解性に優れることは、例えば、ガラス基板上に環状オレフィン系重合体含有組成物を塗布して乾燥し、環状オレフィン系重合体含有組成物を成膜したガラス基板を、本発明のシンナー組成物中に浸漬し、その後、環状オレフィン系重合体含有組成物の残渣(溶け残り)の有無を目視により確認することによって確認することができる。本発明のシンナー組成物は、従来のシンナー組成物に比較し、環状オレフィン系重合体含有組成物の残渣が極めて少ない。
また、本発明のシンナー組成物は乾燥性に優れる。よって、用いる装置のタクトダウンが起こらず、乾燥時間が短くて済むため生産性が向上する。
本発明のシンナー組成物が乾燥性に優れることは、表面に環状オレフィン系重合体含有組成物を成膜したガラス基板を本発明のシンナー組成物中に浸漬し、その後、スピンドライを行い、完全に乾燥するのに要した時間を測定することによって確認することができる。本発明のシンナー組成物は、速乾性を有する。
本発明のシンナー組成物は、典型的には、半導体装置用の絶縁基板に付着した、環状オレフィン系重合体を含有する感放射線性樹脂組成物を除去するための洗浄用組成物として使用される。
2)半導体装置又は平面表示装置の製造方法
本発明の半導体装置又は平面表示装置の製造方法は、本発明のシンナー組成物を用いて環状オレフィン系重合体含有組成物が付着した被洗浄物を洗浄する工程を有する。
平面表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。
被洗浄物としては、エッジ部分や裏面に、不要な、環状オレフィン系重合体含有組成物からなるフォトレジスト(以下、単に「フォトレジスト」ということがある。)が付着した絶縁基板;余分なフォトレジストが付着したフォトレジスト噴射用スリットノズル;フォトレジストパターンの不良が発生した基板;等が挙げられる。
前記絶縁基板の材質としては、特に限定はないが、例えば、ガラスやシリコンウエハー等が挙げられる。
洗浄方法としては、本発明のシンナー組成物を被洗浄物に滴下する方法や、ノズルを通してスプレー方式で噴射する方法、本発明のシンナー組成物中に被洗浄物を浸漬する方法等が挙げられる。
本発明のシンナー組成物の滴下量又は噴射量は、除去すべきフォトレジストの付着量等に応じて適宜調節すればよいが、通常、5〜100mL/分の範囲で選択すればよい。
被洗浄物を浸漬して洗浄する場合は、少なくとも洗浄を要する部分が浸かる程度にシンナー組成物を容器に入れ、その中に被洗浄物を漬ければよい。浸漬時間は、特に限定はないが、通常、1〜5分間である。
本発明のシンナー組成物と被洗浄物との接触時の温度は、特に限定はないが、通常、15〜50℃である。洗浄後、所望により、シンナー組成物を乾燥する工程を採用してもよい。
本発明の製造方法によれば、洗浄により、不要なフォトレジスト(環状オレフィン系重合体含有組成物)を絶縁基板から充分に除去できるため、フォトリソグラフ工程の後工程であるエッチングやイオン注入等の工程において、不良が発生することがなく、前記基板に微細回路パターンを形成することができる。
また、フォトレジスト噴射用スリットノズルを洗浄してフォトレジストの付着を解消することにより、半導体装置等の生産効率をさらに向上させることができる。
フォトレジストパターンの不良が発生した基板を洗浄してフォトレジストパターンを除去すれば、基板の再生使用が可能となる。
本発明の製造方法によれば、半導体装置又は平面表示装置の製造工程を効率化して、それらの生産効率を向上させることができる。
なお、本発明の半導体装置又は平面表示装置の製造方法において、本発明のシンナー組成物による被洗浄物の洗浄工程以外の工程については、当業者であれば、例えば、特開平6−324499号公報や特開2006−085140号公報等を参照して適宜実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り、重量基準である。
(製造例1) 環状オレフィン系重合体の合成
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン62.5部、N−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)37.5部、1−ヘキセン1.3部、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部、及びテトラヒドロフラン400部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、攪拌下、70℃にて2時間反応させて重合体溶液A(固形分濃度:約20%)を得た。
この重合体溶液Aの一部を攪拌機付オートクレーブに移し、150℃で水素を圧力4MPaで溶存させて5時間反応させ、水素化された重合体(水素化率100%)を含む重合体溶液B(固形分濃度:約20%)を得た。
100部の重合体溶液Bと1部の活性炭粉末との混合液を入れた耐熱容器をオートクレーブに入れ、攪拌しつつ150℃で水素を4MPaの圧力で3時間溶存させた。次いで、溶液を取り出して孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して活性炭を分離して重合体溶液を得た。重合体溶液をエチルアルコール中に注いで凝固させ、生成したクラムを乾燥して重合体を得た。
得られた重合体(環状オレフィン系重合体)のテトラヒドロフラン(THF)を溶離液として用いて、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定し、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。その結果、ポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)は5,500であり、数平均分子量(Mn)は3,200であった。
(製造例2) 環状オレフィン系重合体含有感放射線性樹脂組成物の調製
製造例1で得た環状オレフィン系重合体100部、架橋剤としてエポキシ化合物(ダイセル化学工業社製、商品名:EHPE3150)25部、感放射線化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.5モル)との縮合物25部、老化防止剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)4部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部、並びに、シリコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、商品名:KP341)0.05部を混合し、溶剤であるジエチレングリコールエチルメチルエーテル450部に溶解させた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、環状オレフィン系重合体含有感放射線性樹脂組成物を得た。
(実施例1〜5、比較例1〜6)
(1)被洗浄物(汚染ガラス基板)の作製
ガラス基板(コーニング社製、1737材;100×100mm)上に、スピンナー(ミカサ社製)を用いて、製造例2で得た感放射線性樹脂組成物を塗布した後、ホットプレートで90℃、120秒間の乾燥処理を行い、触針式膜厚計(テンコール社製、P−10)で測定したときに2μmになるように成膜した。
(2)シンナー組成物の調製
下記第1表に示す配合量(重量%)で各成分を混合して、実施例1〜5、及び比較例1〜6のシンナー組成物を調製した。
(3)シンナー組成物の溶解性の評価
前記(1)で作製した被洗浄物(汚染ガラス基板)を、上記(2)で得たシンナー組成物の各々に、23℃で、40秒間浸漬した。浸漬後、目視にて、被洗浄物に付着した感放射線性樹脂組成物の残渣を確認し、下記の評価基準に従ってシンナー組成物の溶解性を評価した。結果を下記第1表に示す。
〔評価基準〕
A:残渣がなく溶解性に優れる
B:残渣が少量あり、溶解性にやや優れる
C:残渣があり、溶解性にやや劣る
D:溶けていない。溶解性に劣る
(3)シンナー組成物の乾燥性の評価
前記(1)で作製した被洗浄物(汚染ガラス基板)を、上記(2)で得たシンナー組成物の各々に、23℃で、40秒間浸漬した。浸漬後、1200rpnスピンドライを行い、完全に乾くのに要した時間を測定し、下記の評価基準に従ってシンナー組成物の乾燥性を評価した。結果を下記第1表に示す。
〔評価基準〕
A:12秒未満
B:12秒〜14秒未満
C:14秒〜20秒未満
D:20秒以上
なお、第1表中、略号は次の意味で用いている。
ME:2−メトキシエタノール
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルアセテート
nBA:酢酸n−ブチル
MIBK:メチルイソブチルケトン
DMA:N,N−ジメチルアセタミド
Figure 0004775299
第1表より、実施例1〜5のシンナー組成物は、溶解性及び乾燥性ともに優れていた。
比較例1、3のシンナー組成物は溶解性に優れるが、乾燥性に劣っていた。比較例2のシンナー組成物は乾燥性には優れるが、溶解性に劣っていた。比較例4〜6のシンナー組成物は、溶解性にも乾燥性にも優れるものはなかった。

Claims (7)

  1. エチレングリコールのモノエーテル及びプロピレングリコールのモノエーテルからなる2種のアルコールエーテルと
    プロピレングリコールのモノエーテルエステル及び一級アルコールエステルからなる2種のアルコールエステルを含有してなることを特徴とする環状オレフィン系重合体含有組成物除去用シンナー組成物。
  2. エチレングリコールのモノエーテルの含有量が組成物全体に対して40〜70重量%であり、プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの合計含有量が組成物全体に対して20〜40重量%であり、及び一級アルコールエステルの含有量が組成物全体に対して10〜30重量%である、請求項1に記載のシンナー組成物。
  3. プロピレングリコールのモノエーテルとプロピレングリコールのモノエーテルエステルとの重量比(プロピレングリコールのモノエーテル/プロピレングリコールのモノエーテルエステル)が、6/4〜8/2である請求項2に記載のシンナー組成物。
  4. エチレングリコールのモノエーテルが2−メトキシエタノールであり、プロピレングリコールのモノエーテルがプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、プロピレングリコールのモノエーテルエステルがプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、及び一級アルコールエステルが酢酸n−ブチルである、請求項1〜3のいずれかに記載のシンナー組成物。
  5. 界面活性剤をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載のシンナー組成物。
  6. 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のシンナー組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のシンナー組成物を用いて、環状オレフィン系重合体含有組成物が付着した被洗浄物を洗浄する工程を有する半導体装置又は平面表示装置の製造方法。
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