JP4774170B2 - 液晶ゲルを用いた光学フィルム及び偏光フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ゲルを用いた光学フィルム及び偏光フィルムに関し、特に、液晶ゲルを構成する液晶性物質の分子の配向方向に対して、平行又は垂直に配列しうるゲル繊維等のゲル化剤を含み、何らかの光学的な機能、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等の偏光フィルムや視野角、明るさ、色等の画質を改善するフィルム、反射フィルム等に使用可能な機能を備えた光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶性物質を、液晶ディスプレイの光学特性を良好にするための光学フィルムに適用する技術は、すでに実用化されているものがある。例えば、LCDに貼付し、LCDの視野角を広くすることを可能にした、屈折率異方性が負であるディスコティック液晶をハイブリッド配向させた光学フィルム(特開平7−98411号公報等)、液晶ディスプレイの輝度を向上させる機能を有する、適切にピッチ調整を施したコレステリック液晶を用いた光学フィルム(特開平8−271731号公報等)。しかし、これらは、液晶材料自体による光学異方性のみを利用したフィルムであるので、その機能を引き出すために高度な配向技術や積層技術、更に波長板等の他の光学素子が必要であり、加えて、配向の乱れにより大きな品質低下を招くため、極めて精度の高い製造技術が必要である。
一方、液晶性物質と他の非液晶性物質との複合体についても様々な研究がなされている。液晶ディスプレイに用いる液晶組成物は、通常、様々な要求物性を満足するために、数種類から十数種類以上の化合物の混合物からなる。その中には非液晶性物質も含まれるが、バルクとしては均一な液晶性物質である。また、表示モードによっては、液晶性物質の他に、重合性基を有するモノマーを混合する場合もある。このような重合性基を有するモノマーを混合した組成物は、例えば、液晶を固定するガラス基板又はフィルム同士の間隙に挟持後、熱又は光で重合させ複合体フィルムとし、ポリマー分散型液晶素子等に使用しうる。
最近、上述のような液晶性物質と非液晶性物質との複合体として、液晶組成物中に様々な化合物を添加した新しいタイプの液晶性組成物が多数報告されている。
例えば、低分子の液晶性物質と非晶質を形成する低分子化合物とを含む液晶組成物を用いた例として、非晶質を形成する低分子化合物が水素結合によりネットワークを形成し、そのドメイン中に低分子の液晶性物質を分散させた例(特開平8−254688号公報)、水素結合により形成される側鎖型液晶性高分子と低分子の液晶性物質等とからなる液晶性組成物が、配向膜のない自己支持性に優れた液晶素子に有用である例(特開平6−43440号公報)が提案されている。
また、液晶ゲルという概念も1990年代始めから報告されている(例えば、Liq.Cryst.,10.5,733(1991))。このような液晶ゲルは、液晶性物質中にポリマーが分散し、このポリマーに液晶分子が取りこまれることにより材料全体として流動性を失ったゲルとなる。該ポリマーは、ランダムにネットワークを形成している。更に、ポリマーではなく、低分子のゲル化剤を用いた液晶ゲルを実用的な液晶スイッチング素子に応用したときに、応答性に優れた特性を示すことが提案されている(特開平11−52341号公報、特開2000−239663号公報、特開2000−305087号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来提案されている液晶ゲルの用途としては、ゲル化剤の配向、非配向にかかわらず、スイッチング素子としての利用のみが報告されているにすぎない。また、液晶を用いた光学フィルムも、光学特性は液晶性物質のみの性質を利用し、上述の高分子複合体の場合は、自己保持性という性質のみが利用されているにすぎない。加えて、液晶性物質の光学特性のみを利用している従来の光学フィルムは、均一な配向を得るために高度な製造技術が必要である。
【0004】
従って、本発明の目的は、LCDの光学特性を改良することができ、明るく見やすい画質を提供しうる光学フィルム及び偏光フィルムを提供することにある。
本発明の別の目的は、含まれる液晶性物質自体の光学異方性よりも優れた光学異方性を示す光学フィルム及び偏光フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、式(1)で示される液晶性物質を含む液晶性物質と、該液晶性物質をゲル化するゲル化剤とを含むゲル用材料をゲル化して得た液晶ゲルを備えたことを特徴とする光学フィルムが提供される。
【化7】
(式(1)中、A01〜A12は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を示し、少なくとも1つはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基である。R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、シアノ基、−SF5、−NCS、4−R13−(シクロアルキル)基、4−R13−(シクロアルケニル)基又はR14−(O)q基を示す(但し、R13は水素原子、又はフッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基を示し、R14はフッ素原子で置換されていても良い、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基又は炭素数3〜12の直鎖若しくは分枝のアルケニル基を示す。qは0又は1を示す)。)
また本発明によれば、式(1)で示される液晶性物質を含む液晶性物質と、該液晶性物質をゲル化するゲル化剤とを含むゲル用材料をゲル化して得た液晶ゲルを備えたフィルムであって、該フィルムを構成する液晶性物質の液晶分子が所定方向に配向しており、且つフィルムを構成するゲル化剤が、液晶分子の配向方向に対し、平行又は垂直に配列していることを特徴とする光学フィルムが提供される。
更に本発明によれば、上記光学フィルムを重合させて得たことを特徴とする光学フィルムが提供される。
更にまた本発明によれば、上記光学フィルムを、偏光薄膜上に備えた偏光フィルムが提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムは、例えば、優れた光学異方性や偏光分離機能等の何らかの光学的な機能を有するフィルムであって、例えば、LCD等の偏光フィルムや、視野角、明るさ、色等の画質を改善するフィルム、反射フィルム等に使用可能な機能等を備えたフィルムである。
本発明の光学フィルムは、液晶性物質と、該液晶性物質をゲル化するゲル化剤とを含むゲル用材料をゲル化して得た液晶ゲルを用いる。
この液晶ゲルは、流動性を有する液晶性物質の流動性が消失しており、前記ゲル用材料が全体としてゲル化して流動性を示さず、且つ光学的異方性を示す。
本発明の光学フィルムの膜厚は、特に限定されず、用途、所望の機能、ゲル用材料の種類等に応じて適宜選択することができるが、通常、0.5μm〜1mm、好ましくは1〜500μmである。
【0007】
前記ゲル用材料に用いるゲル化剤は、本来流動性の液晶性物質の流動性を消失させ、得られる液晶ゲルに光学異方性を付与しうるものであれば良い。例えば、水素結合等の分子間相互作用により巨大繊維状会合体を形成し、この巨大繊維状会合体がファンデルワールス力等によって相互に結合して三次元化してネットワーク構造を形成し、該ネットワーク構造中に上記液晶性物質の分子を取り込んでゲル化させうる化合物等が挙げられる。
前記ゲル化剤としては、式(G)で示される構成単位及び/又はアミド基を有するゲル化剤、更に、炭素数6以上、好ましくは炭素数10〜20の直鎖アルキル基を含むゲル化剤等が挙げられる。これら式(G)で示される構成単位及び/又はアミド基は、ゲル化剤の分子中に複数含まれていても良い。ゲル化剤の分子量は特に限定されないが2000以下が好ましい。
【0008】
【化13】
式(G)中、RG1は分岐したアルキル基、好ましくは炭素数3〜10の分岐したアルキル基を示す。
【0009】
前記ゲル化剤は、後述する液晶性物質に合わせて適宜決定することができるが、例えば、以下に示す構造の化合物等が挙げられる。なお、式中、RG2、RG3は各々炭素数3〜20の直鎖又は分岐したアルキル基を示し、nG、mGは各々3〜20の整数を示す。
【化14】
【0010】
本発明の光学フィルムにおいて、ゲル用材料に含まれる液晶性材料は特に限定されないが、屈折率異方性が少なくとも0.15以上であるものが好ましく、用途によってはさらに大きい方が好ましい。
【0011】
前記液晶性物質は、上記式(1)で示される液晶性物質を含む。また、下記式(2)、(3)、(5)又は(6)で示される液晶性物質の少なくとも1種や、(4)、式(8)で表される液晶性物質の少なくとも1種を含ませることもできる。
【化8】
【0012】
式(1)中、A01〜A12は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を示し、少なくとも1つはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基である。R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、シアノ基、−SF5、−NCS、4−R13−(シクロアルキル)基、4−R13−(シクロアルケニル)基又はR14−(O)q基を示す。但し、R13は水素原子、又はフッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基を示し、R14はフッ素原子で置換されていても良い、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基又は炭素数3〜12の直鎖若しくは分枝のアルケニル基を示す。また、qは0又は1を示す。
【0013】
前記R11及びR12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等のアルキル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコキシ基(例えば1〜3個のフッ素原子で置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエトキシ基);メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル基、オクチルオキシメチル基、ノニルオキシメチル基、デシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘプチルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、ノニルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、ペンチルオキシプロピル基、ヘキシルオキシプロピル基、ヘプチルオキシプロピル基、オクチルオキシプロピル基、ノニルオキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、ブトキシブチル基、ペンチルオキシブチル基、ヘキシルオキシブチル基、ヘプチルオキシブチル基、オクチルオキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、プロポキシペンチル基、ブトキシペンチル基、ペンチルオキシペンチル基、ヘキシルオキシペンチル基、ヘプチルオキシペンチル基等のアルコキシアルキル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコキシアルキル基;2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基等の分枝アルキル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロ分枝アルキル基;2−メチルプロピルオキシ基、2−メチルブチルオキシ基、3−メチルブチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基等の分枝アルキルオキシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロ分枝アルキルオキシ基;4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシクロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4−ヘプチルシクロヘキシル基、4−オクチルシクロヘキシル基、4−ノニルシクロヘキシル基、4−デシルシクロヘキシル基等の4−アルキル−シクロアルキル基及びこれらがフッ素原子で置換された4−フルオロアルキル−シクロアルキル基;4−プロピルシクロヘキセニル基、4−ペンチルシクロヘキセニル基等の4−アルキル−シクロアルケニル基及びこれらがフッ素原子で置換された4−フルオロアルキル−シクロアルケニル基;シアノ基;−SF5;−NCS等が挙げられる。
【0014】
式(1)で表される液晶性物質の具体例としては、以下の構造式で示される化合物等が挙げられる。構造式中のR1及びR2は、上記R11及びR12に対応する具体例等から適宜選択することができる。
【化16】
【0015】
【化17】
【0016】
【化18】
【0017】
【化19】
【0018】
【化20】
【0019】
【化21】
【0020】
【化22】
【0021】
【化23】
【0022】
上記式(2)中、A13〜A24は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。R21は水素原子、フッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基を示す。R22は、R21、水素原子、フッ素原子、シアノ基、−SF5、−NCS、4−R13−(シクロアルキル)基、4−R13−(シクロアルケニル)基又はR14−(O)q基を示す。但し、R13は水素原子、又はフッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基を示し、R14はフッ素原子で置換されていても良い、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基又は炭素数3〜12の直鎖若しくは分枝のアルケニル基を示す。qは0又は1を示す。またmは0又は1である。
【0023】
式(2)中のR21及びR22の具体例としては、上記式(1)のR11及びR12の具体例として列挙したものから相当する例を適宜選択して挙げることができる。
【0024】
式(2)で表される液晶性物質の具体例としては、以下の構造式で示される化合物等が挙げられる。構造式中のR1及びR2は、上記R21及びR22として適宜選択した具体例等に対応する具体例から適宜選択することができる。
【化24】
【0025】
【化25】
【0026】
【化26】
【0027】
【化27】
【0028】
【化28】
【0029】
【化29】
【0030】
【化30】
【0031】
【化31】
【0032】
【化32】
【0033】
【化33】
【0034】
【化34】
【0035】
【化35】
【0036】
【化36】
【0037】
【化37】
【0038】
【化38】
【0039】
【化39】
【0040】
上記式(3)中、A25〜A28は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を示す。P31及びP32はそれぞれ独立に、式(3a)又は式(3b)で示される構造を示し、少なくとも一方は式(3a)で示される構造である。
【0041】
【化40】
ここで、式(3a)及び式(3b)において、A29〜A38はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を表す。R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、シアノ基、−SF5、−NCS、4−R33−(シクロアルキル)基、4−R33−(シクロアルケニル)基又はR34−(O)q基を示す。但し、R33は水素原子、又はフッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝のアルキル基を示す。R34はフッ素原子で置換されていても良い、炭素数1〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、若しくは炭素数3〜12の直鎖又は分枝の、アルケニル基又はアルキニル基を示す。qは0又は1を示す。
【0042】
式(3)中のR31及びR32の具体例としては、上記式(1)のR11及びR12の具体例として列挙したものから相当する例を適宜選択して挙げることができる。
【0043】
式(3)で表される液晶性物質の具体例としては、以下の構造式で示される化合物等が挙げられる。構造式中のR1及びR2は、上記R31及びR32として適宜選択した具体例等に対応する具体例から適宜選択することができる。
【化41】
【0044】
【化42】
【0045】
【化43】
【0046】
【化44】
【0047】
上記式(4)中、環A、環B、環C及び環Dはそれぞれ独立に、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、4,1−シクロヘキセニレン、2,5−シクロヘキセニレン、5,2−シクロヘキセニレン、3,6−シクロヘキセニレン、6,3−シクロヘキセニレン、2,5−ピリミジンジイル、5,2−ピリミジンジイル、2,5−ピリジンジイル、5,2−ピリジンジイル、2,5−ジオキサンジイル、若しくは5,2−ジオキサンジイルを示し、環A、環B、環C及び環D上の水素原子は、フッ素原子又は、フッ素原子で置換されていてもよい、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよい。R41及びR42はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルケニルオキシ基、炭素数3〜12のアルキニルオキシ基、炭素数2〜16のアルコキシアルキル基、若しくは炭素数3〜16のアルコキシアルケニル基を示す。これらのアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基中の少なくとも1つのメチレン基は、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子で置換されてもよく、直鎖又は分岐のどちらでもよい。Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立に、−COO−、−OCO−、−OCH2−、−CH2O−、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基、炭素数2〜5のアルキニレン基若しくは単結合を示し、b4、c4及びd4はそれぞれ独立に0又は1であり、同時に0になることはない。
【0048】
式(4)中のR41及びR42の具体例としては、例えば、水素原子、フッ素原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、フッ素原子で置換されていてもよい、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、ビニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキシニルオキシ、ヘプテニルオキシ、オクテニルオキシ、ノネニルオキシ、デセニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ、ヘキシニルオキシ、ヘプチニルオキシ、オクチニルオキシ、ノニニルオキシ、デシニルオキシ、ウンデシニルオキシ、ドデシニルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、ペンチルオキシメチル、ヘキシルオキシメチル、ヘプチルオキシメチル、オクチルオキシメチル、ノニルオキシメチル、デシルオキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、ブトキシエチル、ペンチルオキシエチル、ヘキシルオキシエチル、ヘプチルオキシエチル、オクチルオキシエチル、ノニルオキシエチル、デシルオキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、ブトキシプロピル、ペンチルオキシプロピル、ヘキシルオキシプロピル、ヘプチルオキシプロピル、オクチルオキシプロピル、ノニルオキシプロピル、デシルオキシプロピル、メトキシブチル、エトキシブチル、プロポキシブチル、ブトキシブチル、ペンチルオキシブチル、ヘキシルオキシブチル、ヘプチルオキシブチル、オクチルオキシブチル、ノニルオキシブチル、デシルオキシブチル、メトキシペンチル、エトキシペンチル、プロポキシペンチル、ブトキシペンチル、ペンチルオキシペンチル、ヘキシルオキシペンチル、ヘプチルオキシペンチル、オクチルオキシペンチル、ノニルオキシペンチル、デシルオキシペンチル等が挙げられる。
【0049】
式(4)で表される液晶性物質の具体例としては、以下の構造式で示される化合物等が挙げられる。構造式中のR5及びR6は、上記R41及びR42に対応する具体例から適宜選択することができる。また、構造式中のWは、水素原子又はフッ素原子を示し、Xは0〜3の整数である。更に、環Hは1,4−シクロヘキシレンを示し、環Gは、フッ素原子で置換されていてもよい、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、4,1−シクロヘキセニレン、2,5−シクロヘキセニレン、5,2−シクロヘキセニレン、3,6−シクロヘキセニレン、6,3−シクロヘキセニレン、2,5−ピリミジンジイル、5,2−ピリミジンジイル、2,5−ピリジンジイル、5,2−ピリジンジイル、2,5−ジオキサンジイル又は5,2−ジオキサンジイルを示す。好ましい環Gとしては、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、4,1−シクロヘキセニレン、2,5−シクロヘキセニレン、5,2−シクロヘキセニレン、3,6−シクロヘキセニレン、6,3−シクロヘキセニレンが挙げられる。
【0050】
【化45】
【0051】
【化46】
【0052】
【化47】
【0053】
【化48】
【0054】
【化49】
【0055】
【化50】
【0056】
【化51】
【0057】
【化52】
【0058】
【化53】
【0059】
【化54】
【0060】
【化55】
【0061】
【化56】
【0062】
【化57】
【0063】
【化58】
【0064】
【化59】
【0065】
【化60】
【0066】
【化61】
【0067】
【化62】
【0068】
【化63】
【0069】
【化64】
【0070】
【化65】
【0071】
【化66】
【0072】
【化67】
【0073】
【化68】
【0074】
【化69】
【0075】
【化70】
【0076】
【化71】
【0077】
【化72】
【0078】
【化73】
【0079】
上記式(5)中、A47〜A58はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を示す。B51及びB52はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。
p5、q5、r5、s5及びt5は各々0又は1である。m51及びn51は各々0〜14の整数であるが、s5が0のときn51は0であり、t5が0のときm51は0である。W51は単結合、−CH2CH2−又は−C≡C−を表す。
式(5)で表される液晶性物質の具体例としては、以下の構造式で示される化合物等が挙げられる。構造式中のn、mは、1〜14の整数から適宜選択することができる。
【0080】
【化74】
【0081】
【化75】
【0082】
【化76】
【0083】
【化77】
【0084】
【化78】
【0085】
【化79】
【0086】
【化80】
【0087】
上記式(6)中、A59〜A62はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を示す。P61及びP62はそれぞれ独立に、式(6a)又は式(6b)で示される構造を示し、少なくとも一方は式(6a)で示される構造である。
【0088】
【化81】
ここで、式(6a)及び式(6b)において、A63〜A72はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の、アルキル基若しくはアルコキシ基を表す。
式(6)中、R61及びR62はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、シアノ基、−SF5、−NCS、4−R63−(シクロアルキル)基、4−R63−(シクロアルケニル)基又はR64−(O)q基を示す。但し、R63は水素原子、直鎖若しくは分枝のフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R64は直鎖若しくは分枝のフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基又は炭素数3〜12のアルキニル基を示す。qは0又は1を示す。また、R61及びR62は式(7)で示される基を示し、少なくとも一方は式(7)で示される基である。ここで、R61及びR62の両方が式(7)で示される基である場合、それぞれの基は同一でも異なっていてもよい。
【0089】
【化82】
ここで、式(7)において、n71は0又は1、m71は1〜20の整数を示す。B71は水素原子又はメチル基を示す。
【0090】
上記式(6)において、R61及びR62の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等のアルキル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基);エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等のアルケニル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルケニル基;プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基等のアルキニル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコキシ基(例えば1−3個のフッ素原子で置換されたメトキシ基、1−5個のフッ素原子で置換されたエトキシ基);ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基、ヘプテニルオキシ基、オクテニルオキシ基、ノネニルオキシ基、デセニルオキシ基等のアルケニルオキシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルケニルオキシ基;プロピオニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基、ヘキシニルオキシ基、ヘプチニルオキシ基、オクチニルオキシ基、ノニニルオキシ基、デシニルオキシ基、ウンデシニルオキシ基、ドデシニルオキシ基等のアルキニルオキシ基及びこれらがフッ素置換されたフルオロアルキニルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル基、オクチルオキシメチル基、ノニルオキシメチル基、デシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘプチルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、ノニルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、ペンチルオキシプロピル基、ヘキシルオキシプロピル基、ヘプチルオキシプロピル基、オクチルオキシプロピル基、ノニルオキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、ブトキシブチル基、ペンチルオキシブチル基、ヘキシルオキシブチル基、ヘプチルオキシブチル基、オクチルオキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、プロポキシペンチル基、ブトキシペンチル基、ペンチルオキシペンチル基、ヘキシルオキシペンチル基、ヘプチルオキシペンチル基等のアルコキシアルキル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコキシアルキル基;2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基等の分枝アルキル基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロ分枝アルキル基;2−メチルプロピルオキシ基、2−メチルブチルオキシ基、3−メチルブチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基等の分枝アルキルオキシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロ分枝アルキルオキシ基;4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシクロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4−ヘプチルシクロヘキシル基、4−オクチルシクロヘキシル基、4−ノニルシクロヘキシル基、4−デシルシクロヘキシル基等の4−アルキル−シクロアルキル基及びこれらがフッ素原子で置換された4−フルオロアルキル−シクロアルキル基;4−プロピルシクロヘキセニル基、4−ペンチルシクロヘキセニル基等の4−アルキル−シクロアルケニル基及びこれらがフッ素原子で置換された4−フルオロアルキル−シクロアルケニル基;シアノ基;SF5;NCS;OCH2OCOCHCH2、OC2H4OCOCHCH2、OC3H6OCOCHCH2、OC4H8OCOCHCH2、OC5H10OCOCHCH2、OC6H12OCOCHCH2、OC7H14OCOCHCH2、OC8H16OCOCHCH2、OC9H18OCOCHCH2、OC10H20OCOCHCH2、;OCH2OCOC(CH3)CH2、OC2H4OCOC(CH3)CH2、OC3H6OCOC(CH3)CH2、OC4H8OCOC(CH3)CH2、OC5H10OCOC(CH3)CH2、OC6H12OCOC(CH3)CH2、OC7H14OCOC(CH3)CH2、OC8H16OCOC(CH3)CH2、OC9H18OCOC(CH3)CH2、OC10H20OCOC(CH3)CH2等が挙げられる。
【0091】
式(6)で表される液晶性物質の具体例としては、上記式(3)で表される液晶性物質の具体例において、R1及びR2を上記R61及びR62の具体例に代えた例等が挙げられる。この際、R61及びR62の少なくとも一方は、OCH2OCOCHCH2、OC2H4OCOCHCH2、OC3H6OCOCHCH2、OC4H8OCOCHCH2、OC5H10OCOCHCH2、OC6H12OCOCHCH2、OC7H14OCOCHCH2、OC8H16OCOCHCH2、OC9H18OCOCHCH2、OC10H20OCOCHCH2、;OCH2OCOC(CH3)CH2、OC2H4OCOC(CH3)CH2、OC3H6OCOC(CH3)CH2、OC4H8OCOC(CH3)CH2、OC5H10OCOC(CH3)CH2、OC6H12OCOC(CH3)CH2、OC7H14OCOC(CH3)CH2、OC8H16OCOC(CH3)CH2、OC9H18OCOC(CH3)CH2、OC10H20OCOC(CH3)CH2、;OCH2CHCH2、OC2H4CHCH2、OC3H6CHCH2、OC4H8CHCH2、OC5H10CHCH2、OC6H12CHCH2、OC7H14CHCH2、OC8H16CHCH2、OC9H18CHCH2、OC10H20CHCH2等である。
【0092】
上記式(8)中、環A、環B、環C、環D、Z1、Z2及びZ3は式(4)中の対応する記号と同じ意味を表す。R81及びR82はそれぞれ独立に、式(8−1)〜式(8−3)で表される基、又は水素原子、フッ素原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のアルケニルオキシ基、炭素数3〜12のアルキニルオキシ基、炭素数2〜16のアルコキシアルキル基、若しくは炭素数3〜16のアルコキシアルケニル基を示す。これらのアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基中の少なくとも1つのメチレン基は、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子で置換されてもよく、直鎖又は分岐のどちらでもよい。但し、R81及びR82の少なくとも一方は、式(8−1)〜式(8−3)で表される基のいずれかを示し、両方が式(8−1)〜式(8−3)で表される基の場合、各々のn8、m8及びB8は同一又は異なっていてもよい。またb8、c8及びd8は、式(4)中のb4、c4及びd4はそれぞれ独立に0又は1であり、同時に0になることはない。
【0093】
【化83】
ここで、式(8−1)〜式(8−3)において、n8は0又は1、m8は1〜20の整数を示す。B8は水素原子又はメチル基を示す。
【0094】
式(8)で表される液晶性物質の具体例としては、上記式(4)で表される液晶性物質の具体例において、R5及びR6をのいずれか一方を、上記式(8−1)〜式(8−3)に代えた具体例等が挙げられる。
【0095】
上記式(1)〜(6)及び(8)で示される液晶性物質は、通常の有機合成手段を駆使して合成することができる。
【0096】
本発明において、ゲル化用材料に用いる液晶性物質は、上述の式(1)〜(6)、式(8)で示される液晶性物質に限定されるものではなく、例えば、Δnが0.15以上であれば、市販の液晶材料を使用しても良い。具体的には、メルクジャパン社製の商品名「E−7」、「E−9」、「E−63」、「E−100」、「ZLI−5049」等が挙げられる。
【0097】
本発明において、ゲル化用材料中のゲル化剤の配合割合は、通常、0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜30質量%の範囲が好ましい。一方、液晶性物質の配合割合は、例えば、上記式(1)、式(2)及び式(4)で示される液晶性物質の場合、各々0〜99.99質量%、特に、10〜90質量%が好ましく、式(3)で示される液晶性物質の場合は0〜50質量%、特に、0〜30質量%が好ましい。また、上記式(5)、式(6)又は式(8)を含有させる場合の配合割合は、各々10〜99.99質量%が好ましく、更に好ましくは30〜99.99質量%である。
ゲル化用材料が、上記液晶性物質以外の他のメタアクリレートエステル、アクリレートエステル、エポキシ及びビニルエーテルからなる群より選択される重合性官能基を少なくとも1個有するモノマー化合物を含有する場合、該モノマー化合物の配合割合は、5〜80質量%が好ましく、更に好ましくは10〜50質量%である。
【0098】
前記ゲル化用材料には、更に、捩れ剤として、カイラル化合物を一種若しくは複数種含有させることができる。カイラル化合物の配合割合は、配合組成等において適宜選択することができ、特に限定されない。
カイラル化合物としては、特に限定されないが、好ましくは以下に示す化合物が例示できる。但し、例示中の*は不斉炭素を表す。
【0099】
【化84】
【0100】
本発明の光学フィルムは、上述の、液晶性物質と、ゲル化剤とを含むゲル用材料をゲル化して得た液晶ゲルを備えたフィルムであって、該フィルムを構成する液晶性物質の液晶分子が所定方向に配向しており、且つフィルムを構成するゲル化剤が、液晶分子の配向方向に対し、平行又は垂直に配列していることが好ましい。
上記液晶ゲル中の液晶分子を配向させる方法は特に限定されず、公知の配向方法、例えば、ポリイミド等の配向膜をラビングしたものや、SiO2の斜方蒸着膜、ラビング処理したガラス基板、高分子フィルム、温度勾配法、延伸等を用いることができる。また必要に応じて他の要素を適宜付加させることも可能である。
具体的には、例えば、液晶ゲルとなるゲル用材料を、ガラス基板又はトリアセチルセルロース等の樹脂製フィルム上に塗布、若しくは挟持し、ゲル用材料をフィルム状にゲル化させることにより所望の光学フィルムが得られる。また、ゲル用材料に、重合性基を有する化合物を含有させる場合には、フィルム状の液晶ゲルを形成後、これを重合反応させることにより、液晶ゲルの光学機能を保持した光学フィルムを得ることもできる。
上記重合に際しては、必要に応じて重合開始剤等を添加することができる。また、重合方法としては公知の方法、例えば、加熱や紫外線、可視光又は電子線等のエネルギー照射、レーザーを用いた干渉露光、電子線照射等が挙げられる。重合用光源として、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。
上記のような方法によって製造される本発明の光学フィルムは、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いてもよい。
【0101】
本発明の光学フィルムは、液晶性物質とゲル化剤との組合わせを適宜選択し、得られたゲル用材料を、配向処理した基板等に塗布又は挟持することにより、ゲル化剤による繊維をほぼ一方向に配向させることができる。このように元々光学的異方性を有する液晶性物質の媒体中に、ゲル繊維が異方性構造を形成することにより、液晶性物質のみとは異なった、あるいは光学異方性が強調された光学フィルムを得ることができる。このような配向するゲル繊維を含む液晶ゲルを用いる場合でも、上記と同様にして光学フィルムを製造することができる。この際、用いる基板の少なくとも一方に、液晶性物質が配向するような処理を施す必要がある。配向させるゲル繊維の長さや太さ、配向度合いは、用いるゲル化剤を目的に応じて選択する他に、ゲル繊維成長時の冷却速度やゲル化温度と用いる液晶性物質の液晶転移温度との差等を調整することにより制御することができる。
ただし、ゲル繊維を配向させるためには、一般的にゲル化温度を等方相〜液晶相転移温度より低くする必要がある。
【0102】
本発明の偏光フィルムは、上述の本発明の光学フィルムを、偏光薄膜上に形成する方法により得ることができる。形成方法は、公知の方法等を用いることができル。
【0103】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明をより詳細に述べるが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
上記式(1)で表される液晶性物質としての式(2−1)で示される液晶性物質に、式(G−1)で示されるゲル化剤を1質量%添加し、液晶が等方相になる温度まで昇温し、液晶性物質とゲル化剤とを混合した。その後、この混合物を、ラビング処理を施したポリイミド配向膜を塗布したガラス製基板を貼り合わせて作製したギャップが約50μmのセルに注入した。セルを徐冷しながら顕微鏡で観察したところ、87℃で等方相からネマティック相に転移し、さらに徐冷したところ56℃でゲル化が生じ、繊維がラビング方向に平行に形成された光学フィルムが得られたことを確認した。得られた光学フィルムの背面から光を入射し、前面に偏光フィルムを設置して、このフィルムを回転させたところ、透過光に明暗の変化が観察され、偏光分離機能が観察された。得られた光学フィルムについて、図1に示す光学系で、フィルムのラビング方向に平行及び垂直に偏光した光を入射し、各々の透過率から偏向度を計算した。その結果、偏光度は90%であり、優れた偏光分離機能を示すことが判った。
【0104】
【化85】
【0105】
参考例1
上記式(5)で表される液晶性物質としての式(5−1)で示される液晶性物質に、実施例1と同様なゲル化剤(G−1)を1質量%添加し、液晶が等方相になる温度まで昇温し、ゲル化剤と液晶性材料を混合した。この混合物を実施例1と同様にガラス製セルに注入した。セルを徐冷しながら顕微鏡で観察したところ、80℃で等方相からネマティック相に転移し、さらに徐冷したことろ48℃付近でゲル化が生じ、繊維がラビング方向に平行に形成された光学フィルムが得られたことを確認した。得られた光学フィルムの背面から光を入射し、前面に偏光フィルムを設置して、このフィルムを回転させたところ、透過光に明暗の変化が観察され、偏光分離機能を有することが判った。
【0106】
【化86】
【0107】
参考例2
メルクジャパン社製のネマティック液晶組成物E−7からなる液晶性物質に、実施例1と同様なゲル化剤(G−1)を1質量%添加し、液晶が等方相になる温度まで昇温し、ゲル化剤と液晶性材料を混合した。この混合物を、ラビング処理を施したポリイミド配向膜を塗布したガラス製基板を貼り合わせて作製したギャップが約10μmのセルに注入した。セルを徐冷しながら顕微鏡で観察したところ、55℃で等方相からネマティック相に転移し、さらに徐冷したところ39℃でゲル化が生じ、繊維がラビング方向に平行に形成された光学フィルムが得られたことを確認した。得られた光学フィルムの背面から光を入射させ、前面に偏光フィルムを設置して、このフィルムを回転させたところ、透過光に明暗の変化が観察され、さらに、実施例1と同様の方法で偏光度を求めたところ56%であった。以上より、得られた光学フィルムは、優れた偏光分離機能を示すことが判った。
【0108】
実施例2
上記式(5)で表される液晶性物質としての式(1−1)で示される液晶性物質64.5質量部、式(1)で表される液晶性物質としての式(4−1)で示される液晶性物質33.5質量部及び実施例1と同様なゲル化剤(G−1)1質量部を混合した。その後、この混合物を徐冷したところ、78℃で等方相からネマティック相に転移し、さらに徐冷したことろ50℃付近でゲル化が生じ、流動性を失った液晶ゲルとなった。
【0109】
【化87】
【0110】
次いで、ポリイミド配向膜をフッ化カルシウム基板上に塗布し、1方向にラビングした後、ラビング方向が平行になるよう貼り合わせてセルを作製した。得られたセルに、上記で得られた混合物と、重合開始剤イルガキュア651(チバガイギー社製)1質量%とを混合物として注入した。等方相で注入後、セル中でネマティック相、ゲル相に転移させながら室温まで温度を戻し、高圧水銀ランプにより光照射(トータル照射エネルギー;5.5J/cm2)を行い、液晶ゲル重合物の光学フィルムを得た。重合度をアクリル基の2重結合(C=C)の赤外吸収ピーク強度より見積もったところ76%であり、液晶ゲルの重合物が得られていることを確認した。
次に、得られた光学フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、液晶ゲルのテクスチャーは重合前と比較して大きな変化がみられず、200℃まで昇温してもそのまま保持された。更に、得られた光学フィルムの背面から光を入射させ、前面に偏光フィルムを設置して、このフィルムを回転させたところ、透過光に明暗の変化が観察され、偏光分離機能が観察された。また、得られた光学フィルムについて、実施例1と同様の方法で偏光度を求めたところ60%であり、優れた偏光分離機能を示すことが判った。
このような偏光分離機能は重合前にも観察されるもので、液晶ゲルを重合することにより、より広い温度範囲で光学異方性機能を有する光学フィルムが得られることが判った。
【0111】
【発明の効果】
本発明の光学フィルムは、特定の液晶ゲルを用いているので、反射、透過、散乱等の光との相互作用が大きく、例えば、輝度向上フィルムや偏光分離素子等に代表されるLCD用光学部材等の構成材料として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で製造した光学フィルムの透過率を測定するための光学系の概略図である。
Claims (7)
- 式(1)で示される液晶性物質を含む液晶性物質と、該液晶性物質をゲル化するゲル化剤とを含むゲル用材料をゲル化して得た液晶ゲルを備えたことを特徴とする光学フィルム。
- 式(1)で示される液晶性物質を含む液晶性物質と、該液晶性物質をゲル化するゲル化剤とを含むゲル用材料をゲル化して得た液晶ゲルを備えたフィルムであって、該フィルムを構成する液晶性物質の液晶分子が所定方向に配向しており、且つフィルムを構成するゲル化剤が、液晶分子の配向方向に対し、平行又は垂直に配列していることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム。
- 請求項1又は2記載の光学フィルムを重合させて得たことを特徴とする光学フィルム。
- ゲル化剤が、炭素数10以上の直鎖アルキル基を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項4記載の光学フィルム。
- ゲル用材料が、式(5)、式(6)で表される液晶性物質を除く、他のメタアクリレートエステル、アクリレートエステル、エポキシ及びビニルエーテルからなる群より選択される、重合性官能基を少なくとも1個有するモノマー化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の光学フィルムを、偏光薄膜上に備えた偏光フィルム。
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