JP4774156B2 - 薄膜加工方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜加工方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法に係り、特には、レーザビームを利用して薄膜に溝を形成する薄膜加工方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、薄膜光電変換モジュールは、複数の薄膜光電変換セルをガラス基板上で相互に直列接続した構造を有している。それぞれの薄膜光電変換セルは、一般的には、ガラス基板上への前面透明電極層、薄膜光電変換ユニット、及び裏面電極層の成膜とパターニングとを順次行うことにより形成されている。
【0003】
薄膜光電変換モジュールの製造では、それら薄膜のパターニングにレーザスクライブが多用されている。このレーザスクライブは、各薄膜を分割する溝を形成するためのものであり、レーザから出射されたレーザビームを薄膜に照射するのとともにそのビームの光軸と薄膜とを相対移動させることによって行われる。
【0004】
ところで、そのような溝は発電には寄与しないため、溝の幅を狭めることが望まれている。このような要求に対しては、例えば、集束レンズを用いてビームスポットのサイズを小さくすることにより対応可能である。しかしながら、その場合、溝の幅を最小とすべく集束レンズから薄膜までの距離を調節すると、ビームスポット位置でのパワー密度が過剰に高くなり、加工すべき薄膜に隣接する構成部材にダメージを与えてしまう。
【0005】
薄膜位置でのパワー密度は、例えば、レーザとしてパルスレーザを使用する場合には、パルスの周期を長くすることによって低下させることができる。しかしながら、パルスレーザを用いて薄膜に溝を形成するには、ビームスポットの一部を1周期前のビームスポットの位置に部分的に重ねなければならない。そのため、パルスの周期を長くすると、極端な場合には、溝は形成されずに複数の孔の列が形成されることとなる。それゆえ、従来技術によると、集束レンズ−薄膜間距離を溝の幅が最小となる条件からずらすことによりビームスポット位置でのパワー密度が過剰に高くなるのを防止していた。
【0006】
しかしながら、このような対処も、大面積の薄膜光電変換モジュールの製造に対してはあまり有効ではない。すなわち、大面積の薄膜光電変換モジュールの製造では基板の撓みは避けられない。そのため、ビームスポット位置でのパワー密度が過剰に高くなるのを防止すべく集束レンズ−薄膜間距離を溝の幅が最小となる条件からずらしたとしても、その状態が常に維持される訳ではない。それゆえ、部分的にビームスポット位置でのパワー密度が過剰に高くなって加工すべき薄膜に隣接する構成部材がダメージを受けるか、或いは、溝の幅のばらつきが許容範囲を超えてしまうということがあった。
【0007】
このような問題は、ハイブリッド型の薄膜光電変換モジュールの製造において特に顕著である。ハイブリッド型薄膜光電変換モジュールの製造プロセスでは、例えば、微結晶シリコン層を有する薄膜光電変換ユニット及び非晶質シリコン層を有する薄膜光電変換ユニットの双方を同時に分割する溝形成工程が実施されるが、微結晶シリコン層は一般に使用されるレーザビームに対する吸収係数が小さく、しかも、結晶質シリコン層は非晶質シリコン層に比べてより厚く形成される。そのため、それら薄膜光電変換ユニットの厚さ方向全体にわたって適切なパワー密度を実現すること自体が困難であり、したがって、基板の僅かな撓みが生じただけで上記の問題を生じてしまう。
【0008】
このように、従来技術では、許容範囲内の幅で溝を形成するには、集束レンズから溝が形成されるべき薄膜までの距離を極めて高精度に制御する必要があった。すなわち、従来技術では、集束レンズ−薄膜間距離に関するマージンが狭いため、高い加工精度を実現することや、薄膜光電変換モジュールの安定生産が困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、集束レンズから薄膜までの距離を高精度に制御することなく、高い加工精度で薄膜に溝を形成することが可能な薄膜加工方法及びそのような薄膜加工方法を利用した薄膜光電変換モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、薄膜光電変換モジュールの安定生産を実現し得る薄膜加工方法及びそのような薄膜加工方法を利用した薄膜光電変換モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するに当たり、本発明者らは、集束レンズから加工されるべき薄膜までの距離dと、その距離dのもとで形成され得る溝の幅wと関係について調べた。その結果、レーザビームとしてガウスビームを用いた場合、加工条件を適宜設定することにより、幅wを加工許容範囲内とする距離dの範囲を著しく拡張し得ることを見出した。また、そのような条件のもとで形成した溝の一部は、従来技術を用いて形成した溝には見ることのできない極めて特徴的な構造を有していることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明によると、レーザから出射されたガウスビームを集束レンズで集束させて基板上に形成された薄膜に照射するとともに前記集束レンズで集束させたビームの光軸と前記基板とを相対移動させることにより前記薄膜に溝を形成する工程を含み、前記溝を形成する工程において、前記基板は撓んでおり、前記集束レンズから前記薄膜までの距離dは、前記基板の撓みに起因して変動し、前記溝を形成する工程は、前記距離dと前記距離dのもとで形成され得る溝の幅wとの関数w=f(d)が2つの極大値と1つの極小値とを有し、前記1つの極小値に対応した前記距離dが、前記幅wについて予め定められている加工許容範囲に対応した前記距離dの範囲内となり、前記基板の撓みに起因した前記距離dの変動が、前記加工許容範囲に対応した前記距離dの前記範囲内に維持されるように、前記距離dの設定値と、前記集束レンズに入射する直前の前記ガウスビームの径とを調整した条件のもとで行うことを特徴とする薄膜加工方法が提供される。
【0012】
また、本発明によると、基板と前記基板の一方の主面に設けられた複数の薄膜光電変換セルとを具備し、前記複数の薄膜光電変換セルの隣り合った各2つの間に溝が設けられた薄膜光電変換モジュールの製造方法であって、上記の薄膜加工方法によって前記溝の少なくとも1つを形成することを特徴とする薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【0013】
なお、ここでは、用語「溝の或る位置での幅」を、その位置を中心とする溝の長手方向1mmの範囲内にあり且つ0.1mmの距離を隔てて離間された10箇所の幅の平均値と定義する。したがって、用語「溝の幅w」や「溝の幅W」は、上記定義のもとで使用される。
【0014】
本発明の方法において、溝を形成する工程は、2つの極大値と1つの極小値とが上記加工許容範囲内に入るようにレーザビームを調整した条件のもとで行ってもよい。また、溝を形成する工程は、上記薄膜に少なくとも部分的に上記極小値に等しい幅を有する溝を形成することを含むことが好ましい。
【0015】
本発明の方法において、上記条件の導出は、例えば、溝を形成する工程に先立ち、レーザと集束レンズとの間でビーム径を変化させることによって行うことができる。また、本発明の方法は、上記薄膜が少なくとも一辺が30cm以上の基板上に形成されたものである場合や、上記薄膜が薄膜光電変換モジュール,特にはそれぞれの薄膜光電変換セルがハイブリッド型であるモジュール,の一部を構成する場合などに極めて有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
まず、本発明の原理について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1(a),(b)は、それぞれ、集束レンズで集束させたレーザビームを概略的に示す図である。図2は、図1に示す位置A〜Cにおけるレーザビームの強度分布を示すグラフである。また、図3(a)〜(c)は、それぞれ、レーザビームを集束させるための集束レンズから溝が形成されるべき薄膜までの距離dと、その距離dのもとで形成され得る溝の幅wとの関係を示すグラフである。
【0018】
なお、図1(a),(b)において、破線31はレーザビーム30の光軸を示し、破線Aはレーザビーム30のビーム径が最も小さな位置,所謂、焦点位置,を示し、破線B及びCは位置Aから離間した位置をそれぞれ示している。また、図2において、横軸はレーザビーム30の光軸からの距離を示し、縦軸はパワー密度を示している。さらに、図3(a)〜(c)において、横軸は集束レンズから薄膜までの距離dを示し、縦軸はその距離dのもとで薄膜に形成され得る溝の幅wを示している。
【0019】
従来技術で薄膜に溝を形成する場合、図1(a)に示すように、位置Aにおけるレーザビーム30のビーム径を極めて小さくしていた。これは、レーザ装置としては、一般に細くレーザビームを集束できるほど良い装置であると考えられているからであり、実際、焦点位置から被加工物を離すことで幅広い加工幅範囲を実現できる装置となる。この場合、ガウス型レーザビームの強度分布プロファイルは、図2に示すように、位置Aでは非常にシャープであるが、位置Aから離れた位置Bではややブロードになり、さらに離れた位置Cでは著しくブロードになる。
【0020】
ところで、距離dのもとで薄膜に形成され得る溝の幅wを決定する主な要因は、その薄膜の位置におけるレーザビーム30のビーム径ではなく、その薄膜の位置におけるレーザビーム30の強度分布及び臨界パワーである。すなわち、幅wは、主として、その薄膜の位置におけるレーザビーム30の強度分布と、その薄膜を溶断または昇華するのに必要な最低限のパワーとによって決定される。そのため、距離dと幅wとの関数w=f(d)は、ビーム径と幅wとの間の関係に一致せず、図3(a)に示すように、1つの極小値と2つの極大値とを有することとなる。なお、この極小値に対応する距離dは集束レンズの焦点距離fと同義ではないが、ほぼ一致する値である。
【0021】
上述のように、従来技術では、位置Aにおけるレーザビーム30のピークパワーは過剰に高いため、位置Aを薄膜の位置に合わせた場合、隣接する他の薄膜などにダメージを与えてしまう。また、図3(a)に示すように、従来技術では、通常、幅wの極大値はその許容範囲よりも遥かに高い値である。したがって、従来技術によると、実際に形成すべき溝の幅の設計値を例えば参照番号32で示される範囲内とすることが必要であり、また、形成される溝の幅Wを範囲32内に制御するには、集束レンズから薄膜までの距離dを参照番号33〜36で示すいずれかの範囲内に維持しなければならない。
【0022】
これに対し、図3(a)でレーザビーム30のパワーを小さくした場合、距離dと幅wとの関数w=f(d)は、図3(b)に示すような曲線を描く。すなわち、極大値と極小値との差が小さくなるのに加え、極大値がより小さな値となる。したがって、この場合、上記極大値或いはその近傍の値を実際に形成すべき溝の幅の設計値とすることができ、それゆえ、集束レンズから薄膜までの距離dを参照番号37及び38で示すいずれかの範囲内に維持すれば、形成される溝の幅Wを範囲32内に制御することができる。
【0023】
このようにして実現される範囲37及び38は、それぞれ、図3(a)に示す範囲33〜36のそれぞれよりも遥かに広い。例えば、範囲37及び38のそれぞれは、範囲33〜36のそれぞれの2倍〜3倍程度になる。したがって、この場合、距離dをそれほど高精度に制御することなく、比較的高い加工精度で薄膜に溝を形成することができる。また、この場合、比較的厚い薄膜(単層構造であってもよく、積層構造であってもよい)に溝を形成する際に、その膜厚方向全体にわたって適正なパワー密度を実現することができる。
【0024】
レーザビーム30の位置Aにおけるビーム径を図1(b)に示すように制御した場合、距離dと幅wとの関数w=f(d)は、図3(c)に示すような曲線を描く。すなわち、極大値と極小値との差が小さくなるのに加え、極大値がより小さな値となり且つ極小値がより大きな値となる。したがって、この場合、例えば上記極小値或いはその近傍の値を実際に形成すべき溝の幅の設計値とすることができ、それゆえ、距離dを参照番号39で示す範囲内に維持すれば、形成される溝の幅Wを範囲32内に制御することができる。
【0025】
図3(c)に示す範囲39は、図3(a)に示す範囲33〜36のそれぞれよりも遥かに広いのは勿論のこと、図3(b)に示す範囲37及び38のそれぞれと比較しても遥かに広い。例えば、範囲39は、範囲33〜36のそれぞれの4倍〜8倍程度になる。したがって、この場合、例えば、距離dの平均値が幅wを極小値とする値となるように被加工薄膜の位置を合わせることにより、距離dを高精度に制御することなく、幅広い距離dの値で安定して、高い加工精度で薄膜に溝を形成することができる。また、この場合、厚い薄膜(単層構造であってもよく、積層構造であってもよい)に溝を形成する際にも、その膜厚方向全体にわたって適正なパワー密度を実現することができる。
【0026】
なお、図3(c)に関しては、図3(c)に示す曲線の極大値及び極小値の双方が範囲32内となるように加工条件を制御することについて説明したが、極小値が範囲32内にあれば、極大値は必ずしも範囲32内とする必要はない。また、上記極小値或いはその近傍の値を実際に形成する溝の幅Wの設計値とすることが好ましい。この場合、より幅の狭い溝を形成する上で有利である。
【0027】
図3(b)及び(c)に示す曲線は、レーザ加工機の光学条件及び加工速度などの加工条件を制御することによって実現可能である。その実現方法に特に制限はないが、以下に説明する方法を利用することが好ましい。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態に係るレーザ加工機を概略的に示す図である。図4に示すレーザ加工機51は、ガウス型のレーザビーム30を出射するレーザ52、エクスパンダ53、折り返しミラー54、可変エクスパンダ(或いは、「レデューサ」または「電動デフォーカス」)55、集束レンズ56、及びXYテーブル57を有している。なお、図4において、XYテーブル57上には、溝が形成されるべき薄膜58が形成された透明基板2が載置されている。
【0029】
このレーザ加工機51によると、薄膜58への溝の形成は、集束レンズ56で集束されたレーザビーム30を透明基板2を介して薄膜58に照射しつつ、XYテーブル57を紙面に対して垂直な方向及び/または図中横方向に移動させることによって行われる。より詳細に説明すると、レーザ52からパルス状に或いは連続的に出射されたレーザビーム30は、まず、ビームの拡散を抑制する目的でエクスパンダ53によりビーム径を拡大される。その後、ビーム径を拡大されたレーザビーム30は、ミラー54で反射され、可変エクスパンダ55によってビーム径を縮小される。ビーム径を縮小されたレーザビーム30は、集束レンズ56により集束されて薄膜58に照射される。
【0030】
ところで、レーザビーム30がガウスビームである場合、その最も集束した位置でのビーム径は集束レンズ56に入射する直前のビーム径に反比例する。この集束レンズ56に入射する直前のビーム径は、可変エクスパンダ55の倍率を変化させることによって容易に制御可能である。したがって、図4に示すレーザ加工機51によると、形成すべき溝の幅の設計値や薄膜58の種類を変える場合、複雑な調整等を必要とすることなく、可変エクスパンダ55の倍率を変化させるという極めて簡便な方法で、図3(b)及び(c)に示す曲線を実現することができる。
【0031】
なお、図4では、透明基板2を介して薄膜58にレーザビーム30を照射しているが、薄膜58側からレーザビーム30を照射してもよい。また、図4に示すレーザ加工機51は、レーザ52のレーザビーム出射口に外部アパーチャを有していてもよい。さらに、図4に示すレーザ加工機51は、エクスパンダ53とミラー54との間に孫ビーム除去アパーチャを有していてもよい。そのようなアパーチャとしては、それに入射する直前のビーム径の1倍〜0.5倍の径を有するアパーチャを使用することができる。
【0032】
上述した薄膜加工方法は、様々な薄膜の加工に利用可能であるが、薄膜光電変換モジュールの製造に特に有用である。以下、上記薄膜加工方法をハイブリッド型薄膜光電変換モジュールの製造に適用した場合について説明する。
【0033】
図5(a)は、本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1を概略的に示す平面図である。また、図5(b)は、図5(a)に示す薄膜光電変換モジュール1のA−A線に沿った断面図である。なお、図5(b)には、モジュール1の一部のみが描かれている。
【0034】
図5(a)に示すように、本実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1は、透明基板2上に複数の薄膜光電変換セル10を集積した構造を有している。これら薄膜光電変換セル10は帯状の形状を有しており、互いに直列接続されて直列アレイ11を構成している。なお、この直列アレイ11の両端には、リボン状の銅箔等からなる一対の電極バスバー12が取り付けられている。
【0035】
本実施形態に係るモジュール1について、図5(b)を参照しながら、さらに詳しく説明する。
図5(b)に示すように、モジュール1の薄膜光電変換セル10は、透明基板2上に、透明前面電極層3、非晶質光電変換層を備えた第1の薄膜光電変換ユニット4a、結晶質光電変換層を備えた第2の薄膜光電変換ユニット4b、及び裏面電極層5を順次積層した構造を有している。すなわち、このモジュール1は、透明基板2側から入射する光を、ハイブリッド型構造を形成する光電変換ユニット4a,4bによって光電変換するものである。
【0036】
本実施形態において、薄膜光電変換モジュール1には、上記薄膜を分割する第1及び第2の分離溝21,22と接続溝23とが設けられている。これら第1及び第2の分離溝21,22並びに接続溝23は、互いに平行であって、紙面に対して垂直な方向に延在している。なお、隣り合うセル10間の境界は、第1及び第2の分離溝21,22によって規定されている。
【0037】
第1の分離溝21は、透明前面電極層3をセル10に対応して分割している。この第1の分離溝21は、薄膜光電変換ユニット4bを構成する非晶質によって埋め込まれており、隣り合う透明前面電極層3同士を電気的に絶縁している。
【0038】
第2の分離溝22は、第1の分離溝21から離れた位置に設けられている。第2の分離溝22は、薄膜光電変換ユニット4aと薄膜光電変換ユニット4bと裏面電極層5とをそれぞれのセル10に対応して分割しており、裏面電極層5の露出面に開口を有し且つ透明前面電極層3の表面を底面としている。この第2の分離溝22は、隣り合うセル10間で裏面電極層5同士を電気的に絶縁している。
【0039】
接続溝23は、第1の分離溝21と第2の分離溝22との間に及び第1の分離溝21と隣接して設けられている。接続溝23は、薄膜光電変換ユニット4a及び薄膜光電変換ユニット4bを分割しており、薄膜光電変換ユニット4bと裏面電極層5との界面の位置に開口を有し且つ透明前面電極層3の表面を底面としている。この接続溝23は、裏面電極層5を構成する金属などの導電性材料で埋め込まれており、隣り合うセル10の一方の裏面電極層5と他方の透明前面電極層3とを電気的に接続している。すなわち、接続溝23及びそれを埋め込む金属などの導電性材料は、基板2上に並置されたセル10同士を直列接続する役割を担っている。
【0040】
次に、上述したモジュール1の各構成要素について説明する。
透明基板2としては、例えば、ガラス板や透明樹脂フィルムなどを用いることができる。
【0041】
透明前面電極層3は、ITO膜、SnO2膜、或いはZnO膜のような透明導電性酸化物層等で構成することができる。透明前面電極層3は単層構造でも多層構造であってもよい。透明前面電極層3は、蒸着法、CVD法、或いはスパッタリング法等それ自体既知の気相堆積法を用いて形成することができる。
【0042】
薄膜光電変換ユニット4aは非晶質光電変換層を備えており、例えば、透明前面電極層3側からp型シリコン系半導体層、シリコン系光電変換層、及びn型シリコン系半導体層を順次積層した構造を有する。これらp型半導体層、非晶質光電変換層、及びn型半導体層はいずれもプラズマCVD法により形成することができる。
【0043】
一方、薄膜光電変換ユニット4bは結晶質光電変換層を備えており、例えば、中間反射層5側からp型シリコン系半導体層、シリコン系光電変換層、及びn型シリコン系半導体層を順次積層した構造を有する。これらp型半導体層、結晶質光電変換層、及びn型半導体層はいずれもプラズマCVD法により形成することができる。
【0044】
これら薄膜光電変換ユニット4a,4bを構成するp型半導体層は、例えば、シリコンまたはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。また、非晶質光電変換層及び結晶質光電変換層は、非晶質シリコン系半導体材料及び結晶質シリコン系半導体材料でそれぞれ形成することができ、そのような材料としては、真性半導体のシリコン(水素化シリコン等)やシリコンカーバイド及びシリコンゲルマニウム等のシリコン合金等を挙げることができる。また、光電変換機能を十分に備えていれば、微量の導電型決定不純物を含む弱p型もしくは弱n型のシリコン系半導体材料も用いられ得る。さらに、n型半導体層は、シリコンまたはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。
【0045】
裏面電極層5は電極としての機能を有するだけでなく、透明基板2から光電変換ユニット4a,4bに入射し裏面電極層5に到達した光を反射して光電変換ユニット4a,4b内に再入射させる反射層としての機能も有している。裏面電極層5は、銀やアルミニウム等の金属材料を用いて、蒸着法やスパッタリング法等により、例えば200nm〜400nm程度の厚さに形成することができる。また、裏面電極層5は、光電変換ユニット4b側の面に、例えば金属からなる導電性薄膜と光電変換ユニット4bとの間の接着性を向上させるために、ZnOのような非金属材料からなる透明導電性薄膜(図示せず)をさらに有することができる。
【0046】
本実施形態によると、上述したモジュール1は、例えば以下に示す方法により製造することができる。
まず、透明基板2の一方の主面上に、透明前面電極層3を連続膜として成膜する。次に、連続膜として形成した透明前面電極層3にYAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって第1の分離溝21を形成し、透明前面電極層3を各セル10に対応して分割する。透明前面電極層3のレーザスクライブに伴って生じる導電性の微細粉は、超音波洗浄などによって必要に応じて除去する。
【0047】
次いで、透明前面電極層3上に薄膜光電変換ユニット4aを連続膜として成膜する。この薄膜光電変換ユニット4aの成膜に伴い、透明前面電極層3に形成した第1の分離溝21は、薄膜光電変換ユニット4aを構成する非晶質材料で埋め込まれる。続いて、薄膜光電変換ユニット4a上に薄膜光電変換ユニット4bを連続膜として成膜する。
【0048】
その後、薄膜光電変換ユニット4a,4bに、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって接続溝23を形成する。次に、光電変換ユニット4b上に裏面電極層5を形成する。この裏面電極層5の形成に伴い、接続溝23は金属のような導電性材料で埋め込まれ、接続溝23を埋め込む導電性材料を介して裏面電極層5と透明前面電極層3とが電気的に接続される。
【0049】
次に、薄膜光電変換ユニット4a,4b及び裏面電極層5に、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって第2の分離溝22を形成する。さらに、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブによって発電領域を確定し、セル10が形成する列の両端部に一対の電極バスバー12を設ける。以上のようにして、図5(a),(b)に示す構造を得る。
【0050】
さて、本実施形態によると、第1の分離溝21、第2の分離溝22、接続溝23、及び発電領域を確定するために形成する溝の少なくとも1種は、上述した薄膜加工方法によって形成される。このような方法によって形成した溝は、通常、他の方法を用いて形成した溝には見ることのできない極めて特徴的な構造を有している。これについては、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0051】
図6は、本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1の製造プロセスにおける溝形成工程を概略的に示す図である。また、図7(a)〜(d)は、それぞれ、基板2の撓み量と形成される溝の幅Wとの関係を示すグラフである。なお、図6において溝が形成される薄膜は省略されている。また、図7(a)〜(d)のそれぞれにおいて、横軸は撓み量を示し、縦軸は溝の幅Wを示している。
【0052】
レーザにより基板上の薄膜を加工する場合、被加工物を飛散させたり、基板載置台からの反射を避けるため、基板をその周囲で保持し、基板の加工部分の下部を中空にする必要がある。したがって、薄膜光電変換モジュール1が大面積である場合、大面積であることにも起因して、溝形成工程で集束レンズ56側が凹または凸となるように基板2が撓むのは避けられない。そのため、集束レンズ56から基板2上に形成された薄膜までの距離dをある位置で所定値に設定したとしても、その状態は基板2の全体にわたって維持される訳ではない。そのため、溝形成工程で基板2が撓んでいた場合、溝に沿ってその幅Wは変化する。
【0053】
幅Wの変化は、一見、溝の形成方法を特定する情報を含んでいないように思える。しかしながら、場合によっては、幅Wと基板2の撓み量との関係を求めることにより、溝の形成にどの方法が使用されたのかを特定することが可能となる。
【0054】
例えば、図6に示すように、集束レンズ56から薄膜までの距離dがより短くなる場合を撓み量がマイナスになり、集束レンズ56から薄膜までの距離dがより長くなる場合を撓み量がプラスになると定義すると、距離dの設定値を図3(a)に示す範囲33または範囲35内とした場合、幅Wと基板2の撓み量との関係は図7(b)に示すようになる。また、集束レンズ56から薄膜までの距離dの設定値を図3(a)に示す範囲34または範囲36内とした場合、幅Wと基板2の撓み量との関係は図7(a)に示すようになる。
【0055】
集束レンズ56から薄膜までの距離dの設定値を図3(b)に示す範囲37または範囲38内とした場合、幅Wと基板2の撓み量との関係は図7(a)〜(c)のいずれかに示すようになる。なお、図7(c)に示す曲線は、集束レンズ56から薄膜までの距離dが図3(b)に示す範囲37,38のいずれかの極大値を跨いで変動した場合に得られるものであり、それ以外の場合には、図7(a)に示す曲線或いは図7(b)に示す曲線が得られる。
【0056】
また、集束レンズ56から薄膜までの距離dの設定値を図3(c)に示す範囲39内とした場合、幅Wと基板2の撓み量との関係は図7(d)に示すようになる。なお、図7(d)に示す曲線は、集束レンズ56から薄膜までの距離dが図3(c)に示す範囲39のほぼ全体にわたって変動した場合に得られるものであり、通常は、図7(d)に示す曲線の一部のみが得られる。例えば、距離dが図3(c)に示す2つの極大値の間で及び極小値を跨いで変動した場合には、図7(d)に示す曲線の2つの極大値の間に位置する部分のみが得られる。
【0057】
以上から明らかなように、幅Wと基板2の撓み量との関係を調べて図7(c)または(d)に示すように極大値を有する曲線が得られた場合には、その溝の形成に利用された方法は図3(b)または(c)を参照して説明した方法であると判別することができる。また、同様に、幅Wと基板2の撓み量との関係を調べて図7(d)に示すように極小値を有する曲線が得られた場合には、その溝の形成に利用された方法は図3(c)を参照して説明した方法であると判別することができる。
【0058】
なお、完成したモジュール1からは、溝形成工程における基板2の撓み量を直接的に測定することはできないが、溝形成工程と類似の状態を再現することに基板2の撓み量を概算することは可能である。すなわち、薄膜光電変換モジュール1をその周縁部で支持することによって基板2を撓ませ、その撓み量xを測定することなどにより、溝形成工程における基板2の撓み量を概算することができる。このような方法で得られる基板2の撓み量xは溝形成工程における基板2の撓み量とは必ずしも高精度に一致する訳ではないが、それらの変化はほぼ同様の傾向を示す。したがって、上記方法による基板2の撓み量xの測定と溝の幅Wの測定とから、十分に高い精度で上記判別を行うことができる。
【0059】
以上、本実施形態に係る薄膜加工方法を図5(a),(b)に示すハイブリッド型の薄膜光電変換モジュール1の製造に適用した場合について説明したが、本実施形態に係る薄膜加工方法を適用可能な薄膜光電変換モジュールは図5(a),(b)に示す構造に限られるものではない。例えば、モジュール1は、一般的なタンデム型であってもよく、或いは、薄膜光電変換ユニット4a,4bの一方のみを有するものであってもよい。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
図5(a),(b)に示すハイブリッド型の薄膜光電変換モジュール1を、以下に説明する方法により作製した。
まず、常圧CVD法により、厚さが4mmであり91cm角のフロートガラス板2の一方の主面に膜厚8000ÅのSnO2膜3を成膜した。次に、YAG IRレーザ(波長1064nm)を用いて膜面側からSnO2膜3のレーザスクライブを行い、SnO2膜3を複数の帯状パターンへと分割する分離溝21を形成した。
【0061】
次いで、超音波洗浄及び乾燥を行い、さらに、プラズマCVD法により、SnO2膜3上に膜厚3000Åの薄膜光電変換ユニット4aを成膜した。続いて、プラズマCVD法により、薄膜光電変換ユニット4a上に膜厚2μmの薄膜光電変換ユニット4bを成膜した。なお、この光電変換ユニット4aは、光電変換層としてノンドープの非晶質シリコン層を有しており、p−i−n接合を形成している。また、光電変換ユニット4bは、光電変換層としてノンドープの多結晶シリコン層を有している。
【0062】
さらに、YAG SHGレーザ(波長532nm)を用いて、ガラス板2側から薄膜光電変換ユニット4a,4bのレーザスクライブを行い、それらを複数の帯状パターンへと分割する幅60μmの接続溝23を形成した。
【0063】
その後、薄膜光電変換ユニット4b上に、スパッタリング法により、膜厚900nmのZnO膜及び膜厚3000nmのAg膜を順次成膜して裏面電極層5を形成した。次いで、YAG SHGレーザ(波長532nm)を用いてガラス板2側からレーザスクライブを行い、薄膜光電変換ユニット4a,4b及び裏面電極層5を複数の帯状パターンへと分割する幅60μmの分離溝22を形成した。
【0064】
続いて、基板2の周囲に沿ってレーザスクライブを行うことにより、SnO2膜3、薄膜光電変換ユニット4a,4b、及び裏面電極層5に溝を形成して発電領域を確定した。以上のようにして、それぞれ880mm×8.8mmのサイズを有し且つ互いに直列接続された100段の薄膜光電変換セル10を形成した。
【0065】
さらに、セル10が形成する直列アレイ11の両端部に一対の電極バスバー12を設けた。以上のようにして、図5(a),(b)に示すモジュール1を10枚作製した。
【0066】
なお、本実施例においては、接続溝23及び分離溝22の形成には、図4に示すレーザ加工機51を使用した。以下に、本実施例で使用したレーザ加工機51等について説明する。
【0067】
本実施例で使用したレーザ加工機51において、レーザ52は波長532nmでありφ1.6mmのレーザビーム30を出射するYAG SHGレーザである。エクスパンダ53の倍率は×5に設定されており、可変エクスパンダ55の倍率は×1〜×1/2〜×1/5の範囲内で可変である。すなわち、これらエクスパンダ53及び可変エクスパンダ55によると、レーザビーム30のビーム径を×5〜×1の範囲内で変化させることができる。なお、集束レンズ56の焦点距離fは75mmであり、例えば、エクスパンダ53及び可変エクスパンダ55によってレーザビーム30のビーム径を5倍に拡張した場合には、焦点位置でのビーム径は30μm程度となる。レーザ52のレーザビーム出射口からエクスパンダ53までの距離は0.1m程度であり、エクスパンダ53から可変エクスパンダ55までの距離は1.8m程度である。また、可変エクスパンダ55から集束レンズ56までの距離は0.1m程度である。
【0068】
幅60μmの接続溝23及び分離溝22に関する許容範囲は50μm〜70μm程度である。そこで、本実施例では、接続溝23及び分離溝22を形成するに当たり、図3(c)に示す極小値が55μmとなり且つ極大値が70μmとなるように、レーザパワーを0.8W、周波数を10kHzに及び可変エクスパンダ55の倍率を×1/2に設定した。また、その際、集束レンズ56から溝を形成すべき薄膜までの距離dの設定は、その距離dのもとで形成され得る溝の幅wが上記極小値となるように行った。
【0069】
次に、上述した方法で作製したモジュール1のそれぞれについて、測定温度を25℃として、AM1.5のスペクトルを有する放射照度100mW/cm2のソーラーシュミレータにより出力特性を調べ、その平均を求めた。なお、光源としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、及びフィルタを組み合わせたものを用いた。その結果、これらモジュール1のフィルファクタF.F.は平均で72%であり、発電効率Eff.は平均で11.5%であった。
【0070】
次いで、上記方法で作製したモジュール1のそれぞれを、その4辺の端から3.5mmの位置で支持し、自重及び膜の応力による撓みを調べた。なお、モジュール1の周囲の撓み量xをゼロとした場合、モジュール1の中央部の撓み量xは+2.3mmであった。また、接続溝23及び分離溝22のそれぞれについて幅Wを測定した。その結果、撓み量xと幅Wとは図7(d)に示す関係にあることが判明した。
【0071】
45cm角のフロートガラス基板2を用いたこと以外は同様の方法によりモジュール1を10枚作製し、それぞれのモジュール1を、その4辺の端から3.5mmの位置で支持し、自重及び膜の応力による撓みを調べた。なお、モジュール1の周囲の撓み量xをゼロとした場合、モジュール1の中央部の撓み量xは+0.9mmであった。また、接続溝23及び分離溝22のそれぞれについて幅Wを測定した。その結果、91cm角のフロートガラス基板2を使用した場合と同様に、撓み量xと幅Wとは図7(d)に示す関係にあることが判明した。
【0072】
(参考例)
図3(b)に示す極小値が35μmとなり且つ極大値が70μmとなるように可変エクスパンダ55の倍率を×1に設定し、集束レンズ56から溝を形成すべき薄膜までの距離dの設定を、その距離dのもとで形成され得る溝の幅wが上記極大値となるように行って接続溝23及び分離溝22を形成したこと以外は上記実施例で説明したのと同様の方法により図5(a),(b)に示すモジュール1を作製した。なお、本参考例においても、91cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1及び45cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1の双方をそれぞれ10枚づつ作製した。
【0073】
次に、91cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1のそれぞれについて、上記実施例で説明したのと同条件下で出力特性を調べ、その平均を求めた。その結果、これらモジュール1のフィルファクタF.F.は平均で70%であり、発電効率Eff.は平均で11.2%であった。
【0074】
次いで、上記実施例で説明したのと同様の方法により、撓み量xと幅Wとの関係を調べた。その結果、91cm角のフロートガラス基板2及び45cm角のフロートガラス基板2のいずれを使用した場合においても、撓み量xと幅Wとは図7(c)に示す関係にあることが判明した。
【0075】
(比較例1)
図3(a)に示す極小値が35μmとなり且つ極大値が90μmとなるように可変エクスパンダ55の倍率を×1に及びレーザパワーを1.3Wに設定し、集束レンズ56から溝を形成すべき薄膜までの距離dを範囲33の中心に設定して接続溝23及び分離溝22を形成したこと以外は上記実施例で説明したのと同様の方法により図5(a),(b)に示すモジュール1を作製した。なお、本比較例においても、91cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1及び45cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1の双方をそれぞれ10枚づつ作製した。
【0076】
次に、91cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1のそれぞれについて、上記実施例で説明したのと同条件下で出力特性を調べ、その平均を求めた。その結果、これらモジュール1のフィルファクタF.F.は平均で68%であり、発電効率Eff.は平均で10.95%であった。
【0077】
次いで、上記実施例で説明したのと同様の方法により、撓み量xと幅Wとの関係を調べた。その結果、91cm角のフロートガラス基板2及び45cm角のフロートガラス基板2のいずれを使用した場合においても、撓み量xと幅Wとは図7(b)に示す関係にあることが判明した。
【0078】
(比較例2)
図3(a)に示す極小値が35μmとなり且つ極大値が90μmとなるように可変エクスパンダ55の倍率を×1に及びレーザパワーを1.3Wに設定し、集束レンズ56から溝を形成すべき薄膜までの距離dを範囲35の中心に設定して接続溝23及び分離溝22を形成したこと以外は上記実施例で説明したのと同様の方法により図5(a),(b)に示すモジュール1を作製した。なお、本比較例においても、91cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1及び45cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1の双方をそれぞれ10枚づつ作製した。
【0079】
次に、91cm角のフロートガラス基板2を使用したモジュール1のそれぞれについて、上記実施例で説明したのと同条件下で出力特性を調べ、その平均を求めた。その結果、これらモジュール1のフィルファクタF.F.は平均で65%であり、発電効率Eff.は平均で10.4%であった。
【0080】
次いで、上記実施例で説明したのと同様の方法により、撓み量xと幅Wとの関係を調べた。その結果、91cm角のフロートガラス基板2及び45cm角のフロートガラス基板2のいずれを使用した場合においても、撓み量xと幅Wとは図7(b)に示す関係にあることが判明した。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、薄膜への溝の形成を、集束レンズから溝を形成すべき薄膜までの距離dと、その距離dのもとで形成され得る溝の幅wとの関数w=f(d)が2つの極大値と1つの極小値とを有し且つその極小値が上記溝の幅の許容範囲内となる加工条件のもとで行う。そのため、溝の幅wを許容範囲内とする距離dの範囲を著しく拡張することができ、また、そのような加工条件のもとで形成した溝の一部は極めて特徴的な構造を有する。
【0082】
すなわち、本発明によると、集束レンズから薄膜までの距離を高精度に制御することなく、高い加工精度で薄膜に溝を形成することが可能な薄膜加工方法及びそのような薄膜加工方法を利用した薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。また、本発明によると、薄膜光電変換モジュールの安定生産を実現し得る薄膜加工方法及びそのような薄膜加工方法を利用した薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、それぞれ、集束レンズで集束させたレーザビームを概略的に示す図。
【図2】図1に示す位置A〜Cにおけるレーザビームの強度分布を示すグラフ。
【図3】(a)〜(c)は、それぞれ、集束レンズから溝が形成されるべき薄膜までの距離dと溝の幅wとの関係を示すグラフ。
【図4】本発明の一実施形態に係るレーザ加工機を概略的に示す図。
【図5】(a)は本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュールを概略的に示す平面図、(b)は(a)に示す薄膜光電変換モジュールのA−A線に沿った断面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換モジュールの製造プロセスにおける溝形成工程を概略的に示す図。
【図7】(a)〜(d)は、それぞれ、基板の撓み量と形成される溝の幅wとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…薄膜光電変換モジュール
2…透明基板
3…透明前面電極層
4a,4b…薄膜光電変換ユニット
5…裏面電極層
10…薄膜光電変換セル
11…直列アレイ
12…電極バスバー
21,22…分離溝
23…接続溝
31…光軸
30…レーザビーム
32〜39…範囲
51…レーザ加工機
52…レーザ
53…エクスパンダ
54…ミラー
55…可変エクスパンダ
56…集束レンズ
57…XYテーブル
58…薄膜
Claims (3)
- レーザから出射されたガウスビームを集束レンズで集束させて基板上に形成された薄膜に照射するとともに前記集束レンズで集束させたビームの光軸と前記基板とを相対移動させることにより前記薄膜に溝を形成する工程を含み、
前記溝を形成する工程において、前記基板は撓んでおり、前記集束レンズから前記薄膜までの距離dは、前記基板の撓みに起因して変動し、
前記溝を形成する工程は、前記距離dと前記距離dのもとで形成され得る溝の幅wとの関数w=f(d)が2つの極大値と1つの極小値とを有し、前記1つの極小値に対応した前記距離dが、前記幅wについて予め定められている加工許容範囲に対応した前記距離dの範囲内となり、前記基板の撓みに起因した前記距離dの変動が、前記加工許容範囲に対応した前記距離dの前記範囲内に維持されるように、前記距離dの設定値と、前記集束レンズに入射する直前の前記ガウスビームの径とを調整した条件のもとで行うことを特徴とする薄膜加工方法。 - 前記溝を形成する工程は、前記2つの極大値に対応した前記距離dの各々が、前記加工許容範囲に対応した前記距離dの前記範囲内となるように、前記距離dの設定値と、前記集束レンズに入射する直前の前記ガウスビームの径とを調整した条件のもとで行うことを特徴とする請求項1に記載の薄膜加工方法。
- 基板と前記基板の一方の主面に設けられた複数の薄膜光電変換セルとを具備し、前記複数の薄膜光電変換セルの隣り合った各2つの間に溝が設けられた薄膜光電変換モジュールの製造方法であって、請求項1または2に記載の薄膜加工方法によって前記溝の少なくとも1つを形成することを特徴とする薄膜光電変換モジュールの製造方法。
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