JP5280942B2 - 集積型薄膜光電変換装置とその製造方法 - Google Patents

集積型薄膜光電変換装置とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板上の薄膜光電変換ユニットが複数のセルに分割されかつそれらのセルが電気的に直列接続された集積型薄膜光電変換装置とその製造方法の改善に関する。
近年では、薄膜光電変換装置の典型例である薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池の他に結晶質薄膜太陽電池も開発され、これらを積層したハイブリッド型(積層型の一種)薄膜太陽電池も実用化されている。
薄膜太陽電池は、一般に少なくとも表面が絶縁性の基板上に順に積層された透明導電膜、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および裏面電極を含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットは、p型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
光電変換ユニットの厚さの大部分は実質的に真性の半導体層であるi型層によって占められ、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、光電変換層であるi型層の膜厚は光吸収のためには厚いほうが好ましいが、必要以上に厚くすればその堆積のためのコストと時間が増大することになる。
他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜太陽電池の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与せず損失となる。したがって、p型とn型の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
上述のような光電変換ユニットは、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かに関わらず、i型の光電変換層が非晶質なものは非晶質光電変換ユニットと称され、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットと称される。非晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の一例として、i型光電変換層に非晶質シリコンを用いた非晶質薄膜シリコン太陽電池が挙げられる。また、結晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の一例として、i型光電変換層に微結晶シリコンや多結晶シリコンを用いた結晶質薄膜シリコン太陽電池が挙げられる。
一般に、光電変換層に用いられている半導体においては、光の波長が長くなるに従って光吸収係数が小さくなる。特に、光電変換材料が薄膜である場合には、吸収係数の小さな波長領域において十分な光吸収が生じないために、光電変換量が光電変換層の膜厚によって制限されることになる。そこで、光電変換装置内に入射した光が外部に逃げにくい光散乱構造を形成することによって、実質的な光路長を長くして十分な吸収を生じさせ、これによって大きな光電流を発生させる工夫がなされている。例えば、光散乱透過を生じさせるために、表面凹凸形状を含むテクスチャ透明導電膜が用いられている。
ところで、大面積の薄膜光電変換装置は、通常では集積型薄膜光電変換モジュールとして形成される。すなわち、集積型薄膜光電変換モジュールは、支持基板上で小面積に区切られた複数の光電変換セルを電気的に直列接続した構造を有している。それぞれの光電変換セルは、一般的には、第1の電極層、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2の電極層の形成とレーザビームによるパターニングとを順次行うことによって形成されている。
すなわち、集積型薄膜光電変換装置においては、レーザビームによる加工技術がその光電変換装置の生産性や光電変換性能に重要な影響を及ぼす。一般に、このレーザビーム加工技術において、レーザ光を吸収しやすい半導体層を複数の領域に分割加工することは容易である。他方、レーザ光を反射する金属層やレーザ光を透過しやすい裏面透明導電層においては、それらを単独で分割加工することは容易ではない。
図6は、特許文献1に開示された集積型薄膜光電変換装置の作製方法を模式的な断面図で図解している。なお、本願の図面において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を示している。また、本願の図面においては、長さ、幅、厚さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。特に厚さ関係が、適宜に変更されて描かれている。
図6(a)〜(c)において、まず透明ガラス基板1上に透明な酸化錫層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4が順次積層される。透明酸化錫層2は、熱CVD法によって堆積され得る。そのような透明酸化錫層2は微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有し、その表面テクスチャ構造を裏面電極層4の表面に伝えてその表面での光乱反射によって半導体光電変換ユニット内での光吸収効率を高めるために設けられる。レーザ光吸収層3としては、非晶質シリコン(a−Si)層がプラズマCVD法によって堆積される。裏面電極層4としては、マグネトロンスパッタリング装置を用いてAg層が堆積される。
図6(d)において、スパッタリング反応室から取出された基板はX−Yテーブル上にセットされ、透明ガラス基板1側から入射されるレーザビームLB1xを用いて複数の分割線溝D1xを形成することによって、透明酸化錫層2、レーザ光吸収層3、および金属の裏面電極層4の積層が複数の領域に分割される。レーザビームLB1xは透明ガラス基板1および透明酸化錫層2を通してレーザ光吸収層3によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、透明酸化錫層2および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。このように形成された複数の分割線溝D1xは互いに平行であって、図面の紙面に直交する方向に延びている。
図6(e)において、分割された裏面電極層4および分割線溝D1xを覆うように、半導体光電変換ユニット5がプラズマCVD装置を用いて堆積される。
図6(f)において、プラズマCVD反応室から取出された基板はX−Yテーブル上にセットされ、半導体光電変換ユニット5側から入射されるYAGレーザビームLB2xを用いて複数の分割線溝D2xを形成することによって、その半導体光電変換ユニット5が複数の光電変換領域に分割される。これらの分割線溝D2xの各々は、分割線溝D1xに近接しかつそれに平行である。
図6(g)において、分割された半導体光電変換ユニット5と分割線溝D2xを覆うように、受光面透明電極層6が堆積される。この受光面透明電極層6は、電子ビーム蒸着装置内でITO(インジウム錫酸化物)層を堆積することによって形成され得る。
最後に、図6(h)において、電子ビーム蒸着装置から取出された基板はX−Yテーブル上にセットされ、受光面透明電極層6側から入射されるYAGレーザビームLB3xを用いて複数の分割線溝D3xを形成することによって、その受光面透明電極層6が複数の領域に分割される。この場合、受光面電極層6は透明であるが、下層にレーザ光を吸収しやすい半導体光電変換ユニット5が存在しているので、その半導体光電変換ユニット5からの発熱をも利用して、その受光面透明電極層6を比較的容易に分割加工することができる。こうして、集積型薄膜光電変換装置が完成する。
特開平10−79522号公報 特開2002−203976号公報
上述の特許文献1によれば、図6(d)におけるように、レーザビームLB1x
は透明ガラス基板1および透明酸化錫層2を通してレーザ光吸収層3によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、透明酸化錫層2と裏面金属電極層4を比較的容易に同時に分割して分割線溝D1xを形成することができる。
また、図6(f)におけるように、レーザビームLB2xは半導体光電変換ユニット5側から入射されるので、半導体光電変換ユニット5を比較的容易に分割して分割線溝D2xを形成することができる。しかし、分割線溝D2x内において、半導体光電変換ユニット5からの発熱や裏面電極層4に到達したレーザビームLB2xによって、裏面電極層4がダメージを受けることがあり得る。その場合、完成後の薄膜光電変換装置において、シャント抵抗の低下やシリーズ抵抗の増大を生じて光電変換性能の低下を来たすこともある。
さらに、図6(h)におけるように、レーザビームLB3xは受光面透明電極層6を通して半導体光電変換ユニット5に照射されるので、その半導体光電変換ユニット5からの発熱をも利用して、受光面透明電極層6を比較的容易に分割して分割線溝D3xを形成することができる。しかし、分割線溝D3xの深さを半導体光電変換ユニット5の途中でとどめることは困難である。したがって、分割線溝D2xの場合に類似して、分割線溝D3x内においても、半導体光電変換ユニット5からの発熱や裏面電極層4に到達したレーザビームLB3xによって、裏面電極層4がダメージを受けることがあり得る。そして、完成後の薄膜光電変換装置において、シャント抵抗の低下やシリーズ抵抗の増大を生じて光電変換性能の低下を来たすこともある。
上述のような特許文献1における問題を回避するためには、レーザパワーの安定性や高い照射位置精度などが求められ、高精度のレーザ発信機や複雑な光学系が必要となる。他方、このようなレーザ加工における困難性に鑑みて、レーザパターニングの代わりに化学エッチングやリフトオフ法などが用いられる場合もある。しかし、その場合には、工程の複雑化や分割線溝の精度の低下が懸念される。そして、これらのいずれの場合においても、集積型薄膜光電変換装置の製造コストの上昇をも招くことになる。
上述のような先行技術における状況に鑑み、本発明は、全ての分割線溝をレーザ加工によって高い生産性で行うことが可能でかつ光電変換特性の優れた積層型薄膜光電変換,装置を低コストで提供することを目的としている。
本発明による集積型薄膜光電変換装置は、透光性基板1上に順次積層された裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6を含み、
これらの層のうち裏面透明導電層2、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6の各々は平行に設けられた複数の各分割線溝によって複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、
レーザ光吸収層3においてはレーザ光吸収層3を貫通する複数の第1種接続孔D0が存在しており、
かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置である。
本発明の光電変換装置において、レーザ光吸収層3はレーザ光吸収層3を貫通する複数の第1種接続孔D0が存在している。第1種接続孔D0は複数存在しさえすれば良く、隣接する第1種接続孔D0同士が透光性基板の主面に対して平行な方向において繋がって形成される実質的な分割線溝であってもよい。
半導体光電変換ユニット5はレーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換ユニット5を貫通する複数の第3種分割線溝D2によって複数の短冊状光電変換領域に分割されている。
受光面透明電極層6はレーザ光吸収層3、裏面電極層4 、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6を貫通する複数の第4種分割線溝D3によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されている。
そして、互いに隣接する光電変換セル間において、一方のセルの裏面電極領域は第1種接続孔D0、裏面透明導電層2、および第3種分割線溝D2を介して他方のセルの受光面透明電極領域に電気的に接続されており、これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されている。
本発明の実施形態1においては、図1に示すように、裏面電極層4は裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する複数の第2種分割線溝D1によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されている。
一方、本発明の実施形態2においては、図3に示すように、裏面電極層4は、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する複数の第6種分割線溝D5によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されている。そして、裏面透明導電層2は裏面透明導電層2を貫通する複数の第5種分割線溝D4によって複数の短冊状裏面透明導電領域に分割されている。すなわち、前記実施形態1においては、第2種分割線溝D1が裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通するのに対して、本発明の実施形態2は、第2種分割線溝D1に代えて、裏面透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、裏面透明導電層2を貫通せずにレーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5を有している。
本発明の実施形態2においては、複数の光電変換セルが電気的に直列接続される観点から、前記の各分割線溝および接続孔は、第1種接続孔D0、第6種分割線溝D5、第5種分割線溝D4、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3の順、若しくは、図3に示すように、第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種接続孔D0、第5種分割線溝D4の順に並んでいるものが挙げられる。なおこの順は、第1種接続孔D0、第5種分割線溝D4、第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3の順に並んでいると、表現することもできる。
また、図7〜11に示すように、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5とが接続しており、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種接続孔D0の順に並んでいるもの(例えば図7(h))も、本発明の実施形態2に含まれる。このように、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5が接続された場合、これらの分割線溝は実施形態1における第2種分割線溝D1と等価なものとなる。一方で、実施形態1においては、第2種分割線溝D1が、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通するように形成されるのに対して、実施形態2においては、裏面透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、レーザ光吸収層3および裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5とが別に形成される。そのため、実施形態2においては、分割線溝D4、D5周辺部の加工断面が変質する、もしくはその変質に起因して該分割線溝周辺部の膜が盛り上がる等の問題が抑制され、光電変換装置の曲線因子(Fill Factor)を高く保つことが可能となる。このような実施形態の構成および製造例については、後の実施例において、より詳細に説明する。
また、本発明の実施形態2Bにおいては、図3に示すように、各分割線溝は、第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種接続孔D0、第5種分割線溝D4の順に並んでいる。さらに、図4に示すように、レーザ光吸収層3は半導体のpn接合またはpin接合を含み、レーザ光吸収層3のpn接合またはpin接合と、半導体光電変換ユニット5のpin接合は、裏面電極層4を挟んで、逆導電型層同士が対向するように形成されている。
上記実施形態2Bによれば、光電変換セル領域が電気的に直列接続され、かつ一方の光電変換セル領域の裏面電極領域は、第1種接続孔D0、裏面透明導電層2、およびレーザ光吸収層3を介し他方の光電変換セル領域の裏面電極領域に電気的に接続される。そのため、各光電変換セル領域内に裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4が接続されたダイオード領域が形成され、該ダイオード領域と、同一光電変換セル領域内の光電変換領域とが、電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続されている。
なお、本発明による集積型薄膜光電変換装置は受光面透明電極層6上にグリッド金属電極配線7を付加的に含むこともでき、その場合には第4種分割線溝D3はグリッド金属電極配線7をも貫通している。
本発明による集積型薄膜光電変換装置を製造する方法においては、各分割線溝と接続孔のすべてが透光性基板1側からレーザビームを照射することによって形成されることが好ましい。このように一方向からレーザビームを照射することで、異なるレーザ加工の間で基板の表裏を反転させる必要がなくなり、基板反転のための装置と作業が不要となることに加えて、位置合わせを容易にし、加工精度の向上にも寄与することができる。
また、好ましくは、各分割線溝と接続孔の形成において、透光性基板1が、裏面透明導電層2よりも鉛直上方に位置した状態で、すべての分割線溝および接続孔が形成される。このように透光性基板1が上方となるようにすると、レーザビームを上方から照射することとなり、裏面電極層等の各層を加工する際に生じた飛沫は、レーザにより光電変換装置の外部に排出されるとともに、重力によって下方に落下するために、光電変換装置に戻ってくることが抑制される。そのため、飛沫によるショート等の光電変換性能の低下が抑制される
また、本発明の製造方法の一実施形態においては、裏面透明導電層2を貫通しない分割線溝と接続孔、すなわち、実施形態1においては第1種接続孔D0、第3種分割線溝D2、および第4種分割線溝D3、実施形態2においては第1種接続孔D0、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3および第6種分割線溝D5が、裏面透明導電層2を透過するレーザビームを用いて形成される。かかる実施形態の一例において、レーザ光吸収層3がシリコンもしくはゲルマニウム系半導体を含み、これらの裏面透明導電層2を貫通しない溝は例えばYAGレーザの第2高調波のビーム(波長:532nm)を用いて形成され得る。
また、本発明の製造方法の別の一実施形態においては、裏面透明導電層2を貫通する溝、すなわち、実施形態1においては第2種分割線溝D1、実施形態2においては第5種分割線溝D4が、裏面透明導電層2に吸収されるレーザビームを用いて形成される。かかる実施形態の一例において、裏面透明導電層2が透明導電性酸化物を含み、裏面透明導電層2を貫通する溝は例えばYAGレーザの基本波のビーム(波長:1064nm)を用いて形成され得る。
以上のような本発明によれば、裏面電極層にダメージを与えることなくレーザビーム加工によって集積型薄膜光電変換装置を得ることができ、その光電変換特性を顕著に向上させることができる。また、本発明の製造方法によれば、レーザビーム加工において基板側からのビーム照射のみが行なわれるので、これによっても加工精度と光電変換特性の改善された集積型薄膜光電変換装置を高い生産性と低いコストで得ることができる。
さらに、本発明の実施形態2Bによれば、レーザ光吸収層に整流特性を持たせてバイパスダイオードとして利用することができるため、各光電変換セル領域内において該バイパスダイオード領域と光電変換領域とが、電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続され、ホットスポット現象による外観劣化や、性能低下が生じ難く、信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置を容易に低コストで得ることができる。
本発明の実施形態1による積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態1による積層型薄膜光電変換装置の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態2による積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Bによる積層型薄膜光電変換装置におけるレーザ光吸収層および半導体光電変換ユニットの積層形態を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Bによる積層型薄膜光電変換装置の模;式的断面図(a)およびその等価回路(b)である。 従来の積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Aによる実施例6における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Aによる実施例7における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Aによる実施例8における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Aによる実施例9における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の実施形態2Aによる実施例12における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。 本発明の一実施形態における積層型薄膜光電変換装置の半導体光電変換ユニット断面TEM像である。 本発明の実施形態1による積層型薄膜光電変換装置における、分割線溝と複数の第1種接続孔D0との配置状況の一例を示す、概念図である。 図13において、第3種分割線溝(D2)に代えて第3種接続孔(D2)を備える場合の、概念図である。
本発明の第1は、
「透光性基板(1)上に順次積層された裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)、半導体光電変換ユニット(5)、および受光面透明電極層(6)を含み、これらの層の各々は複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置であって、
前記レーザ光吸収層(3)には、レーザ光吸収層(3)を貫通する複数の第1種接続孔(D0)が存在しており、
第1種接続孔(D0)は、裏面電極層(4)で満たされ、それによって裏面電極層(4)と裏面透明導電層(2)は電気的に接続されており、
前記裏面電極層(4)は、前記裏面透明導電層(2)、前記レーザ光吸収層(3)、および前記裏面電極層(4)を貫通する複数の第2種分割線溝(D1)によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されており、
前記半導体光電変換ユニット(5)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、および前記半導体光電変換ユニット(5)を貫通しかつ前記第2種分割線溝(D1)に平行な複数の第3種分割線溝(D2)によって複数の短冊状光電変換領域に分割されており、
前記第3種分割線溝(D2)は内部を前記受光面透明電極層(6)で満たされ、これにより前記裏面透明導電層(2)と前記受光面透明電極層(6)が電気的に接続されており、
前記受光面透明電極層(6)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、前記半導体光電変換ユニット(5)、および前記受光面透明電極層(6)を貫通しかつ前記第2種分割線溝(D1)に平行な複数の第4種分割線溝(D3)によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されており、
各種分割線溝および接続孔は、第1種接続孔(D0)、第2種分割線溝(D1)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、
互いに隣接する前記光電変換セル間において、一方のセルの前記裏面電極領域は前記第1種接続孔(D0)、前記裏面透明導電層(2)、および前記第3種分割線溝(D2)を介して他方のセルの前記受光面透明電極領域に電気的に接続されており、
これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されていることを特徴とする集積型薄膜光電変換装置」である。
なお、「各種分割線溝および接続孔は、第1種接続孔(D0)、第2種分割線溝(D1)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、
」とは
D0、D1、D2、D3、D0、D1、D2、D3、D0、D1、D2、D3・・・の様な配置をいう。またこれらの配置は、光電変換ユニットの発電面積をなるべく大きく取るために、D1、D2、D3が近接して存在していることが望ましい。またこの時D0は、D3とD1の間に位置していれば良い。
なお、本発明では、この配置を主として含めば良く、直列接続の末端部分においてどの溝または孔が存在するか、は問わない。すなわち、直列接続の直列方向の末端部分においては、D3、D0、D2等が配置の末端となりうる。
なお、「前記レーザ光吸収層(3)には、レーザ光吸収層(3)を貫通する複数の第1種接続孔(D0)が存在しており、」とあるが、その複数の第1種接続孔D0の配置状況を、模式的に図13に示す。図13は、本発明の実施形態1による積層型薄膜光電変換装置における、分割線溝と複数の第1種接続孔D0との配置状況の一例を示す、概念図である。図13は、裏面透明導電層(2)側から、透光性基板を見下ろすようにして見た概念的な透視図であって、本発明の集積型薄膜光電変換装置の、一部の概念図である。図13は、概念的な透視図ではあるが、D0、D1、D2、D3の配置だけに着目した概念図であるため、実際に、D0、D1、D2、D3が1操作の目視確認あるいは1操作の顕微鏡確認で確認できるというわけではない。この配置状況は、集積型薄膜光電変換装置を、透光性基板に平行な面でミクロトーム等で一定厚み毎に切断・スライスすること等によって、厚み方向における、前記の配置状況を、段階的に確認可能である。
図13に模式的に示すように、第1種接続孔D0は、第2種分割線溝(D1)と第4種分割線溝(D3)との間において、複数存在しさえすれば良く、隣接する第1種接続孔D0同士が透光性基板の主面に対して平行な方向において繋がって形成される実質的な分割線溝であってもよい。レーザ等で一度に作ることが出来るといった理由などで、第1種接続孔D0は、分割線溝であることが好ましい。
図13では、以下で説明する実施形態1の場合であって、かつ、第1種接続孔D0の基板に鉛直な方向から見た形状が円の形状の場合であって、かつ、D0が、第2種分割線溝(D1)と第4種分割線溝(D3)との間において、離散的に存在している場合を記載した。もちろん本発明は、図13だけに限定されず、当業者が想到しうる複数の変形を含む。前記第1種接続孔(D0)の基板に鉛直な方向から見た形状が、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形、1以上の溝形状、交差する複数の溝形状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である
なお、以下の説明において、実施形態1以外の他の実施態様においては、第1種接続孔D0の配置状況は図示しない。他の実施形態においても、第1種接続孔D0の配置状況(特定の溝と溝との間に配置される等)や基板に鉛直な方向から見た形状は同様であり、また、第1種接続孔D0は、分割線溝であることが好ましい。
本発明は、また、
「透光性基板(1)上に順次積層された裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)、半導体光電変換ユニット(5)、および受光面透明電極層(6)を含み、これらの層の各々は複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置であって、
前記裏面透明導電層(2)は、裏面透明導電層(2)を貫通する複数の第5種分割線溝(D4)によって複数の短冊状裏面透明導電領域に分割されており、
前記レーザ光吸収層(3)には、レーザ光吸収層(3)を貫通する複数の第1種接続孔(D0)が存在しており、
第1種接続孔(D0)は、裏面電極層(4)で満たされ、それによって裏面電極層(4)と裏面透明導電層(2)は電気的に接続されており、
前記裏面電極層(4)は、前記レーザ光吸収層(3)、および前記裏面電極層(4)を貫通しかつ前記第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第6種分割線溝(D5)によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されており、
前記半導体光電変換ユニット(5)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、および前記半導体光電変換ユニット(5)を貫通しかつ前記第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第3種分割線溝(D2)によって複数の短冊状光電変換領域に分割されており、
前記第3種分割線溝(D2)は内部を前記受光面透明電極層(6)で満たされ、これにより前記裏面透明導電層(2)と前記受光面透明電極層(6)が電気的に接続されており、
前記受光面透明電極層(6)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、前記半導体光電変換ユニット(5)、および前記受光面透明電極層(6)を貫通しかつ前記第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第4種分割線溝(D3)によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されており、
各種分割線溝および接続孔は、第1種接続孔(D0)、第5種分割線溝(D4)、第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順、もしくは第1種接続孔(D0)、第6種分割線溝(D5)、第5種分割線溝(D4)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、
互いに隣接する前記光電変換セル間において、一方のセルの前記裏面電極領域は前記第1種接続孔(D0)、前記裏面透明導電層(2)、および前記第3種分割線溝(D2)を介して他方のセルの前記受光面透明電極領域に電気的に接続されており、
これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されていることを特徴とする集積型薄膜光電変換装置」である。
なお、「各種分割線溝および接続孔は、第1種接続孔(D0)、第5種分割線溝(D4)、第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、」とは、
D0、D4、D5、D2、D3、D0、D4、D5、D2、D3、D0、D4、D5、D2、D3・・・の様な配置をいう。またこれらの配置は、光電変換ユニットの発電面積をなるべく大きく取るために、D5、D2、D3が近接して存在していることが望ましい。またこの時D0およびD4は、D3とD5の間に位置していれば良い。
なお、本発明では、この配置を主として含めば良く、直列接続の末端部分においてどの溝が存在するか、は問わない。すなわち、直列接続の直列方向の末端部分においては、D3、D0、D2等が配置の末端となりうる。
なお、「各種分割線溝および接続孔は、」「もしくは第1種接続孔(D0)、第6種分割線溝(D5)、第5種分割線溝(D4)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、」とは、
D0、D5、D4、D2、D3、D0、D5、D4、D2、D3、D0、D5、D4、D2、D3・・・の様な配置をいう。またこれらの配置は、光電変換ユニットの発電面積をなるべく大きく取るために、D5、D4、D2、D3が近接して存在していることが望ましい。またこの時D0は、D3とD5の間に位置していれば良い。なお、本発明では、この配置を主として含めば良く、直列接続の末端部分においてどの溝が存在するか、は問わない。すなわち、直列接続の直列方向の末端部分においては、D3、D0、D2等が配置の末端となりうる。
本発明は、また、
「前記レーザ光吸収層(3)は半導体のpn接合またはpin接合を含み、該レーザ光吸収層のpn接合またはpin接合と、前記半導体光電変換ユニット(5)のpin接合は、裏面電極層(4)を挟んで逆導電型層同士が対向するように形成されており、
前記各種分割線溝および接続孔は、第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)、第1種接続孔(D0)、第5種分割線溝(D4)の順に並んでおり、各光電変換セル領域内に裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)が接続されたダイオード領域が形成され、該ダイオード領域と、同一光電変換セル内の光電変換領域とが電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続されていることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。なお、「前記各種分割線溝および接続孔は、第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)、第1種接続孔(D0)、第5種分割線溝(D4)の順に並んでおり、
」とは、D5、D2、D3、D0、D4、D5、D2、D3、D0、D4、D5、D2、D3、D0、D4・・・の様な配置をいう。またこれらの配置は、光電変換ユニットの発電面積をなるべく大きく取るために、D5、D2、D3が近接して存在していることが望ましい。またダイオード領域の面積をなるべく大きくとるために、D3、D0、D4が近接して存在していることが望ましい。なお、本発明では、この配置を主として含めば良く、直列接続の末端部分においてどの溝が存在するか、は問わない。すなわち、直列接続の直列方向の末端部分においては、D3、D0、D2等が配置の末端となりうる。
本発明は、また、
「前記レーザ光吸収層(3)が非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、非晶質ゲルマニウム、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、および微結晶ゲルマニウムからなる群から選択される層を1以上含む、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
本発明は、また、
「前記第1種接続孔(D0)の基板に鉛直な方向から見た形状が、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形、1以上の溝形状、交差する複数の溝形状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
本発明は、また、
「前記第3種分割線溝(D2)に代えて第3種接続孔(D2)を備えて、当該第3種接続孔(D2)の基板に鉛直な方向から見た形状が、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形、1以上の溝形状、および、交差する複数の溝形状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。すなわち、本発明の一態様の集積型薄膜光電変換装置は、第3種分割線溝(D2)に代えて第3種接続孔(D2)を備えるため、図面や明細書本文等で説明しているD2は、分割線溝ではなくて、接続孔あるいは接続孔の集合であると説明した方が適切な場合が有る。この場合、以下、本発明の詳細な説明において、適宜、第3種分割線溝(D2)を第3種接続孔(D2)と読み替えることができる。以下、全ての図面においても、D2をD2と読み替えることができる。
なお、第3種接続孔(D2)は複数存在しさえすれば良く、隣接する第3種接続孔同士が透光性基板の主面に対して平行な方向において繋がって形成される実質的な分割線溝に類似したものであってもよい。接続孔D2(または、場合によっては分割線溝D2も)については、また、途切れた複数の分割線溝であってもよく、また、点と線分とが交互に並ぶような、一点鎖線状に途切れた分割線溝の集合などであってもよい。すなわち、当業者が想到可能なあらゆる変形を含む。
前記の図13において、前記第3種分割線溝(D2)に代えて第3種接続孔(D2)を備える場合の概念的な透視図を、図14に示す。
なお、レーザ等で一度に作ることが出来るといった理由などで、第3種接続孔(D2)は分割線溝であることが好ましいが、導通さえ確保できるのであれば、本発明の一態様のように、接続孔でよい。
図14では、以下で説明する実施形態1の場合であって、かつ、第3種接続孔D2)の基板に鉛直な方向から見た形状が円の形状の場合である。もちろん本発明は、図14だけに限定されず、当業者が想到しうる複数の変形を含む。例えば、第1種接続孔(D2)の基板に鉛直な方向から見た形状は、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形、1以上の溝形状、交差する複数の溝形状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である。
なお、以下の説明において、実施形態1以外の他の実施態様においては、第3種接続孔(D2)の配置状況は図示しない。他の実施形態においても、第3種接続孔(D2)の配置状況(特定の溝と溝との間に配置される等)や基板に鉛直な方向から見た形状は同様である。
本発明は、また、
「前記裏面電極層(4)は、透光性基板に近い側より、第一の透明導電層と、金属層と、第二の透明導電層とを含み、
前記第一の透明導電層は、酸化亜鉛またはチタンを含み、
前記金属層は銀を含み、
前記第二の透明導電層は酸化亜鉛を含むことを特徴とする前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
本発明は、また、
「前記第5種分割線溝(D4)と前記第6種分割線溝(D5)とが接続しており、
第6種分割線溝(D5)は第5種分割線溝(D4)よりも溝の幅が狭くかつ第5種分割線溝(D4)の内側に形成されているか、
または、
第5種分割線溝(D4)は第6種分割線溝(D5)よりも溝の幅が狭くかつ第6種分割線溝(D5)の内側に形成されている
ことを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
本発明は、また、
「前記受光面透明電極層(6)上にグリッド金属電極配線(7)をさらに含み、前記第4種分割線溝(D3)は前記グリッド金属電極配線(7)をも貫通していることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
本発明は、また、
「前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法であって、
前記分割線溝および接続孔のすべてが前記透光性基板側からレーザビームを照射することによって形成されることを特徴とする、集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記透光性基板(1)が、前記裏面透明導電層(2)よりも鉛直上方に位置した状態で、すべての分割線溝が形成されることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記第2種分割線溝(D1)が、波長およびパワー密度の少なくともいずれか一方が異なる2種類のレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記第5種分割線溝(D4)が、前記第6種分割線溝(D5)を形成するレーザビームとは、波長およびパワー密度の少なくともいずれか一方が異なるレーザビームにより形成されることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記裏面透明導電層(2)を貫通しない分割線溝が、裏面透明導電層(2)を透過するレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記レーザ光吸収層(3)がシリコン系半導体を含み、かつ、前記裏面透明導電層(2)を透過するレーザビームがYAGレーザの第2高調波のビームであることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記裏面透明導電層(2)を貫通する分割線溝が、裏面透明導電層(2)に吸収されるレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記裏面透明導電層(6)は透明導電性酸化物を含み、前記第2種分割線溝はYAGレーザの基本波のビームを用いて形成されることを特徴とする前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記裏面透明導電層(2)を貫通する分割線溝と、前記裏面透明導電層(2)を貫通しない分割線溝とが、同一波長のレーザビームを用いて形成され、前記裏面透明導電層(2)を貫通する分割線溝を形成するためのレーザビームは、前記裏面透明導電層(2)を貫通しない分割線溝を形成するためのレーザビームよりもパワー密度が高いことを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置の製造方法」である。
本発明は、また、
「前記半導体光電変換ユニット(5)が少なくとも1以上の結晶質シリコン系半導体光電変換ユニットを含み、その結晶質シリコン系半導体光電変換ユニットはその膜面に平行な(220)の優先結晶配向面を有しており、θ−2θ法によるX線回折測定において2θ=47.4°付近に現れる(220)回折ピークと2θ=28.5°付近に現れる(111)回折ピークの強度比が、(220)回折ピーク強度/(111)回折ピーク強度比=2.0以上である、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。この構成によって、光電変換特性の優れた集積型薄膜光電変換装置が得られる。
本発明は、また、
「前記裏面電極層(4)が凹凸構造を有しており、半導体光電変換ユニット(5)を断面TEM(透過型電子顕微鏡)像で観察した時に、裏面電極層(4)の凹部近傍を始点として、半導体光電変換ユニット(5)内を基板に対し垂直方向へ伸びている白色部(低密度部分)が、基板に平行した方向1μmあたり平均して1個以下見られることを特徴とする前記の集積型薄膜光電変換装置」である。この構成によって、いわゆる結晶粒界が少ない、より高品質の、光電変換特性の優れた集積型薄膜光電変換装置が得られる。
光閉じ込めの観点から半導体光電変換ユニット5の下層である裏面電極層4が凹凸構造を持たせることが多い。その場合、半導体光電変換ユニット5を断面TEM(透過型電子顕微鏡)像で観察した時に、半導体光電変換ユニット下層の凹部を発生源として、前記半導体光電変換ユニット5内を基板に対し垂直方向へ伸びている白色部(低密度部分)が、基板に平行した方向1μmあたり平均1個以下であることが光電変換性能上好ましい。さらに望ましくはこの白色部が0個であると良い。
本発明は、また、
「前記受光面透明電極層(6)上に、さらに、充填材および封止材をさらに含む、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
本発明は、また、
「前記封止材にガラスが含まれていることを特徴とする、前記の集積型薄膜光電変換装置」である。
前記に述べた集積型光電変換装置に、(具体的には、前記受光面透明電極層(6)上に、さらに、)充填材(EVA、PVB)を重ねて、表側に表面封止材(単体のガラス板などの表面封止材や、フッ化ビニル樹脂(たとえばデュポン社製テドラー)またはフッ化ビニル樹脂/Al/フッ化ビニル樹脂などからなる背面カバーフィルムなど)を設けることで太陽電池モジュールにすることができる。
好適な一態様について、以下、より詳しく述べる。
集積型光電変換装置のデバイス部分の両端には電極が設けられている。この電極に、例えば2mm幅の銅箔を這わせる。電極と銅箔の接合は、例えば、セラミック専用の半田(商品名:セラソルザエコ)などを好適に用いることができる。約25mm間隔ではんだ付けを行い、その半田に半田をコーティングした2mm幅の銅箔を這わせて接合する。片側をガラスよりも大きくしてリードを出す。なお、電極より大きくなった部分については2mm幅の銅箔の両側に充填材が在るようにする。具体的にはリードに沿って小さな充填材を挟み込む。次にガラスより少し大きな充填材を設けるか、あるいは、若干小さな充填材と周囲の部分にブチルゴムを設ける。具体的な例としては、特開2001−148496に記載がある。
更に、ガラスあるいは、透明か不透明なカバーフィルムを設けて真空ラミネータに投入し封止工程を終える。真空ラミネータで、例えば150℃30分間保持することにより樹脂は硬化する。
充填材の具体的な例としては、EVA(エチレン−酢ビ共重合体)、PVB(ポリビニルブチラール)等が一般的ではあるがこれに限定されるものでは無い。
封止材として用いうるガラスとしては、白板ガラスを強化したもの(いわゆる強化ガラス)が好適に用いられる。封止材として用いるフィルムとしてはETFE、PFAの単膜あるいは複合膜が好適に用いられる。何れの場合においても近赤外線に対する吸収が少ないことが望ましい。封止材としては、従来使われているような、金属箔の両面を樹脂フィルムで覆った形態のサンドイッチ構造等の複合的な封止材であってもよい。
このようにして完成したモジュールの周辺のリードの取り回しには、例えば、特開平10−303447や特開2005−347698にあるような構造を用いて、ケーブルを引き回すことが可能である。
この様なモジュールの設置には、取付け冶具を後ろに貼る方式やフレームを取り付ける方式などを採用して、設置場所に設置する。
以下、実施形態のいくつかについて、説明する。
[実施形態1]
図1において、本発明の実施形態1による集積型薄膜光電変換装置の作製方法の一例が模式的な断面図で図解されている。
まず、図1(a)において透光性基板1上に裏面透明導電層2が順次積層される。透光性基板1はセル加工に使用するレーザの波長(例えば532nmと1064nm)に対して透明であれば良く、例えばガラス等が選択され得る。裏面透明導電層2は、使用するレーザの波長(例えば532nmと1064nm)に対して透明で有り、かつ表面に導電性を持つものであれば良く、例えば酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウムなどの透明導電性酸化物(TCO)で形成することができ、MOCVD法で作製された酸化亜鉛が特に望ましい。
図1(b)において、裏面透明導電層2を覆うようにしてレーザ光吸収層3が積層される。さらにレーザ光吸収層3は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB0によってレーザ光吸収層3を貫通する複数の第1種接続孔D0が形成される。ここで、レーザ光吸収層3は、後に加工で使用するレーザを良く吸収する材料であれば良く、例えばシリコンまたはゲルマニウムを含む半導体薄膜によって形成することができる。また第1種接続孔D0は、その内部を裏面電極層4で満たされたときに、裏面電極層4と裏面透明導電層2とが電気的に接続される面積があれば良く、その形状(基板に鉛直な方向から見た形状)としては例えば複数の孔、もしくは溝、格子形状(交差する複数の溝形状)などがレーザを用いて容易に形成できるため好ましい。
図1(c)において、レーザ光吸収層3を覆うように裏面電極層4が積層される。この裏面電極層4は、レーザ光吸収層3に近い側から、第一の透明導電層、金属層、および第二の透明導電層を順に含むことが好ましい。このように、透明導電層を有することで、裏面電極層4とレーザ光吸収層3および、裏面電極層4と半導体光電変換ユニット5の密着力が高まり、光電変換特性を向上し得る。裏面電極層4を形成する第一の透明導電層としては酸化亜鉛、酸化錫、チタンなどが用いられる。裏面電極層4を形成する金属層としては銀、アルミニウム、およびニッケルなどが用いられる。裏面電極層4を形成する第二の透明導電層としては、酸化亜鉛、酸化インジウム錫、酸化錫、チタンなどが用いられるが主として酸化亜鉛を含むものが好適に用いられる。
図1(d)において、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB1によって複数の領域に分割される。レーザビームLB1は、裏面透明導電層2およびレーザ光吸収層3に吸収されて発熱を生じるものが選択される。例えばYAGレーザの基本波、ファイバレーザなどが好ましい。このレーザにより生じた発熱によって裏面電極層4が比較的容易に分割されて、第2種分割線溝D1が形成され得る。こうして形成された複数の第2種分割線溝D1の各々は、互いに平行であって、図面の紙面に直交する方向に延びている。
図1(e)において、分割された裏面電極層4および第2種分割線溝D1を覆うように、半導体光電変換ユニット5が積層される。この半導体光電変換ユニット5は、その主面に平行な半導体pn接合、もしくはpin接合(図示せず)を含んでいる。半導体光電変換ユニット5に微結晶シリコンを用いる場合は、半導体光電変換ユニット5をX線回折で測定した時、(220)配向のピーク強度が(111)配向のピーク強度に対して1.5倍以上あることが好ましく、さらには2.5倍以上であることがより好ましい。
またこの半導体光電変換ユニット5は2つ以上のpn接合を直列に接続したタンデム型も可能である。
図1(f)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換ユニット5は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB2aによって複数の領域に分割される。このとき、レーザビームLB2aは、裏面透明導電層2は透過し、レーザ光吸収層3に吸収されて発熱を生じる。そして、その発熱によって、裏面電極層4と半導体光電変換ユニット5が比較的容易に分割され得る。こうして形成された複数の第3種分割線溝D2の各々は、第2種分割線溝D1に対して近接しかつ平行に延びている。
図1(g)において、分割された半導体光電変換ユニット5および第3種分割線溝D2を覆うように、受光面透明電極層6が堆積される。受光面透明電極層6には酸化亜鉛、酸化インジウム錫(ITO)などが用いられる。受光面透明電極層6としてITを用いる場合その膜厚は反射防止の観点から50nm〜100nmの範囲が好ましいが、60nm〜80nmが特に好ましい。受光面透明電極層6として酸化亜鉛を用いる場合はスパッタ法、MOCVD法などによる製膜が考えられるが、MOCVD法により製膜された酸化亜鉛が光閉じ込めの点で好ましく、その膜厚は500nm〜3000nmが好ましく、さらに望ましくは1500nm〜2500nmが好適とされる。
また本発明における集積型半導体光電変換装置は、複数のセルが集積されているため、非集積の半導体光電変換装置と比べて1セルあたりの表面積が非常に小さい。このため本発明では、集電用にグリッド電極を作製しなくても、受光面透明電極層6のみで電気抵抗の影響をほとんど受けずに集電でき、高い光電変換性能を有する半導体光電変換装置が作製可能である。
最後に、図1(h)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB3aによって複数の領域に分割される。このとき、レーザビームLB3aは、裏面透明導電層2を透過し、レーザ光吸収層3に吸収され発熱を生じる。そして、その発熱によって、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6が同時に比較的容易に分割され得る。こうして形成された複数の第4種分割線溝D3の各々は、第3種分割線溝D2に対して近接しかつ平行に延びている。
以上のようにして、1つの透光性基板1上に、複数の細長い短冊状の薄膜光電変換セルが形成される。1つのセルの裏面電極層4は第1種接続孔D0を介して裏面透明導電層2に接続されており、また受光面透明電極層6は第3種分割線溝D2を介して隣接するセルの裏面透明導電層2に接続されている。すなわち、隣接する短冊状のセルは、互いに電気的に直列に接続されている。なお、図1(h)においては図面の簡略化のために1つの基板上に限られた数の光電変換セルのみが示されているが、通常はさらに多くの光電変換セルが形成される。また、図面の明瞭化のために、各層の厚さが適宜にかつ顕著に拡大されて示されていることに留意されたい。
上述のように、図1に示された集積型薄膜光電変換装置においては、第1種接続孔D0を介して裏面透明導電層2と裏面電極層4とが電気的に接続され得る。このことによって、半導体光電変換ユニット5を分割するためのレーザビームLB2aおよび受光面透明電極層6を分割するためのレーザビームLB3aを透光性基板1側から入射させることが可能となる。その結果、本発明の実施形態1においては、先行技術による図6(f)におけるような分割線溝D2x内で裏面電極層4へのダメージを回避でき、図6(h)におけるように分割線溝D3xの深さを半導体光電変換ユニット5の途中までに設定する必要もなくかつ分割線溝D3xに沿って裏面電極層4にダメージを与えることもない。
また、半導体光電変換ユニット5の下層に凹凸構造をつけることが光電変換性能を高める上で有効であるが、図1に示された集積型薄膜光電変換装置においては、透光性基板1、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4の4層で様々な凹凸構造を作り出すことができ、光閉じ込めを考える上で有利である。例えば透光性基板1は化学的エッチングによる凹凸、裏面透明導電層2は導電性酸化物成長の凹凸、レーザ光吸収層のエッチングによる凹凸、裏面電極層4は金属層成長の凹凸などが考えられ、これらを組み合わせて最適な光閉じ込めを作り出すことが可能となる。
また、本発明の実施形態1においては、利用されるすべてのレーザビームLB1、LB2a、LB3aを透光性基板1側から入射させることができるので、異なるレーザ加工の間で基板の表裏を反転させる必要がない。そして、基板反転のための装置と作業が不要であることは、特に大面積の基板上に集積型薄膜光電変換装置を作製する場合に、生産性の改善とコスト低減に寄与し得る。さらに、異なるレーザ加工の間で基板を反転させる必要がないことは、異なるレーザ加工の間における位置合わせを容易にし、加工精度の向上にも寄与することができる。
特に大面積の光電変換装置の作製においては、基板の表裏を反転させるために規模の大きい装置を必要とする上に、高精度の位置合わせが困難であることから、裏表を反転させる必要がない本願発明の構成を適用することの利点が大きい。かかる観点から、本発明の光電変換装置は大面積であることが好ましい。具体的には、基板サイズは910mm×455mm(0.41m)以上、好ましくは、0.5m以上、より好ましくは1000mm×1000mm(1.0m)以上、さらに好ましくは1000mm×1300mm(1.3m)以上、あるいは1000mm×1400mm(1.4m)以上、特に好ましくは1200mm×1200mm(1.44m)以上である。適用し得る基板サイズに上限は無く、例えば2000mm×2000mm(4.0m)以上の基板に本発明の構成を適用することも可能である。
また、図1(a)〜(h)においては、集積型薄膜光電変換装置の製造工程の理解を容易とする観点から、透光性基板1が裏面透明導電層2よりも下方となるように図示したが、本発明においては、レーザビームの照射を、透光性基板1が、裏面透明導電層2よりも鉛直上方に位置する状態で分割線溝の形成を行うことが好ましい。レーザビームの照射により分割線溝を形成する際に、裏面電極層等の各層の加工により生じた飛沫は、レーザにより光電変換装置の外部に排出されるが、透光性基板1側を上方として、上方からレーザビームを照射することによって、飛沫は重力によって下方に落下し、光電変換装置内に戻ってくることが抑制される。そのため、加工時の飛沫に起因するショート等の光電変換性能の低下が抑制される。
本発明の実施形態1の一応用例によれば、図2の模式的斜視図に示されているような集積型薄膜光電変換装置を作製することも可能である。この集積型薄膜光電変換装置の作製においては、受光面透明電極層6上にグリッド金属電極配線7を形成した後に、透光性基板1側からレーザビームLB3aを入射させることによって第4種分割線溝D3を形成し、これによってグリッド金属電極配線7がセルごとに分割される。図2の集積型薄膜光電変換装置においては、比較的抵抗率の高い受光面透明電極層6からグリッド金属電極配線7に電荷を集電して効率的に輸送することができるので、直列抵抗成分の低減が可能となり、各セルの幅を広くすることも可能となる。そして、各セルの幅を広くすることは、分割線溝D1、D2、D3の本数を低減させることになり、レーザ加工が簡略化され得る。
以上のように、本発明の実施形態1によれば、光電変換特性の優れた積層型薄膜光電変換装置が、高い加工精度、高い生産効率、および低いコストで提供され得る。
[実施形態2]
図3において、本発明の実施形態2による集積型薄膜光電変換装置の作製方法が模式的な断面図で図解されている。
実施形態2は、実施形態1と同様に、透光性基板1上に順次積層された裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6を含み、これらの層の各々は平行に設けられた複数の各分割線溝によって複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている。
そして、前記レーザ光吸収層3が該レーザ光吸収層3を貫通する複数の第1種接続孔D0を有する点、半導体光電変換ユニット5がレーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換ユニット5を貫通する複数の第3種分割線溝D2によって複数の短冊状光電変換領域に分割されている点、受光面透明電極層6がレーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6を貫通する複数の第4種分割線溝D3によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されている点、および、互いに隣接する光電変換セル間において、一方のセルの裏面電極領域が第1種接続孔D0、裏面透明導電層2、および第3種分割線溝D2を介して他方のセルの裏面電極領域に電気的に接続されている点において、実施形態1と構成が共通している。
実施形態2において、透光性基板1、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6は、実施形態1の説明において記載したのと同様のものを同様の方法により形成することができる。
前記実施形態1においては、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する第2種分割線溝D1によって裏面電極層4が複数の短冊状裏面電極領域に分割されているのに対して、実施形態2においては、これに代え、裏面透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、レーザ光吸収層3および前記裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5を有している。そして、裏面透明導電層2は、複数の第5種分割線溝D4によって複数の短冊状裏面透明導電領域に分割されており、裏面電極層4は、複数の第6種分割線溝D5によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されている。
図3において、本発明の実施形態2による集積型薄膜光電変換装置の作製方法の一例が模式的な断面図で図解されている。以下、図3における集積型薄膜光電変換装置の作製方法について説明する。なお、図3において、図1と同一の参照符号は前記実施形態1と同一部分または相当部分を示している。以下の説明において、前記実施形態1と重複する内容についての記載は省略されている。
まず、図3(a)において、ガラスなどの透光性基板1上に裏面透明導電層2が積層される。その後、裏面透明導電層2は透光性基板1側から入射されるレーザビームLB4によって形成される第5種分割線溝D4により複数の領域に分割される。ここで使用されるレーザビームLB4は裏面透明導電層2に吸収されるものであり、これにより裏面透明導電層2は比較的容易に分割加工され第5種分割線溝D4が形成される。このように形成された複数の分割線溝D4は互いに平行であって、図面の紙面に直交する方向に延びている。
図3(b)において、分割された裏面透明導電層2および第5種分割線溝D4を覆うようにレーザ光吸収層3が積層される。
その後、レーザ光吸収層3は透光性基板1側から入射されるレーザビームLB0によって形成される第1種接続孔D0により複数の領域に分割される。
図3(c)において分割されたレーザ光吸収層3を覆うように裏面電極層4が積層される。
図3(d)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4は透光性基板1側から入射されるレーザビームLB5によって形成される第6種分割線溝D5により複数の領域に分割される。ここで使用されるレーザビームLB5は裏面透明導電層2に吸収されず、レーザ光吸収層3に吸収され発熱し、これによりレーザ光吸収層3、裏面電極層4は比較的容易に分割加工され第6種分割線溝D5が形成される。こうして形成された複数の分割線溝D5の各々は平行に延びている。
図3(e)において、分割された裏面電極層4および第6種分割線溝D5を覆うように、半導体光電変換ユニット5が積層される。
図3(f)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換ユニット5は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB2aによって複数の領域に分割される。
図3(g)において、分割された半導体光電変換ユニット5および分割線溝D2を覆うように、受光面透明電極層6が堆積される。
最後に、図3(h)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5、および受光面透明電極層6は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB3aによって複数の領域に分割される。
また、本発明の実施形態2においては、前記実施形態1と同様に、第3種分割線溝D2内で裏面電極層4へのダメージを回避でき、かつ第4種分割線溝D3に沿って裏面電極層4にダメージを与えることもない。
さらに、利用されるすべてのレーザビームLB4、LB0、LB5、LB2a、LB3aを透光性基板1側から入射させることができるため、レーザビームの照射を、透光性基板1が、裏面透明導電層2よりも鉛直上方となるようにして分割線溝の形成を行うことで、加工時の飛沫によるショート等の光電変換性能の低下が抑制される。
また、実施形態1と同様に、受光面透明電極層6上にグリッド金属電極配線7を形成した後に、透光性基板1側からレーザビームLB3aを入射させることによって第4種分割線溝D3を形成し、これによってグリッド金属電極配線7をセルごとに分割することで、比較的抵抗率の高い受光面透明電極層6からグリッド金属電極配線7に電荷を集電して効率的に輸送することができ、直列抵抗成分の低減が可能となる。
[実施形態2A]
実施形態2の一例として、前記第5種分割線溝D4と、前記第6種分割線溝D5が接続した実施形態2Aを採用することもできる。このように、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5が接続した場合、これらの分割線溝は実施形態1における第2種分割線溝D1と等価なものとなる。一方で、実施形態1においては、第2種分割線溝D1が、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通するように形成されるのに対して、実施形態2においては、裏面透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、レーザ光吸収層3および裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5とが別に形成される。そのため、実施形態2においては、分割線溝D4、D5周辺部の加工断面が変質する、もしくはその変質に起因して該分割線溝周辺部の膜が盛り上がる等の問題が抑制され、曲線因子を高く保つことが可能となる。このような実施形態の構成および製造例については、後の実施例において、より詳細に説明する。
[実施形態2B]
実施形態2の別の例である実施形態2Bについて説明する。実施形態2Bにおいては、レーザ光吸収層3は半導体のpn接合またはpin接合を含んでいる。すなわち、図3(b)において、レーザ光吸収層3はpn接合、またはpin接合を含み、整流特性を有するように形成される。このレーザ光吸収層3のpn接合、またはpin接合は、半導体光電変換ユニット5のpin接合と逆導電型層同士が対向するように形成される。すなわち、図4(a)に示すように、半導体光電変換ユニット5のpin接合が、n型層5nを裏面電極層4側となるように形成されるものである場合、レーザ光吸収層3のpn接合またはpin接合は、p型層3pが裏面電極層4側となるように形成される。逆に、半導体光電変換ユニット5のpin接合が、p型層5pを裏面電極層4側となるように形成されるものである場合、レーザ光吸収層3のpn接合またはpin接合は、n型層3nが裏面電極層4側となるように形成される。なお、図4(a)および図4(b)において、各分割線溝は省略されている。また、図示していないが、光電変換ユニット5が複数のpin接合を有するタンデム型の光電変換ユニットである場合は、光電変換ユニット中の裏面電極層4に最も近接するpin接合と、レーザ光吸収層のpn接合またはpin接合とが、逆導電型層同士が対向するように形成されていればよい。
実施形態2Bにおいては、各分割線溝と接続孔は順に第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種接続孔D0、第5種分割線溝D4の順に並んでいる。
実施形態2Bの薄膜光電変換装置の模式的断面図は図5(a)に示される。この薄膜光電変換装置の各光電変換セル領域Aにおいては、裏面電極領域、光電変換領域、および受光面透明電極領域が順に積層された光電変換機能領域Bを形成している。そして、互いに隣接する光電変換セル領域間において、一方の光電変換セル領域A1の裏面電極領域は第1種接続孔D0、裏面透明導電層2、および第3種分割線溝D2を介して隣接する光電変換セル領域A2の受光面透明電極領域に電気的に接続されている。これによって、複数の光電変換セル領域が電気的に直列接続されている。
レーザ光吸収層3が半導体のpn接合またはpin接合を含むことから、各光電変換セル領域中の透明導電領域、レーザ光吸収領域、裏面電極領域が、ダイオード領域Cを形成している。一方の光電変換セル領域A1の裏面電極領域は、第1種接続孔D0、裏面透明導電層2、およびレーザ光吸収層3を介して、光電変換セル領域A2の裏面電極領域に電気的に接続されているため、複数の光電変換セル領域が、レーザ光吸収層3を介して隣接する光電変換セルに電気的に接続される。ダイオード領域C中のレーザ光吸収領域のpn接合またはpin接合と、光電変換機能領域B中の半導体光電変換領域のpin接合は、逆導電型層同士が対向するように形成されているため、同一の光電変換セル領域内においては、光電変換機能領域B1とダイオード領域C1とが電気的に並列接続される。その結果、ダイオード領域C1は、同一セル内の光電変換機能領域B1と整流特性が逆方向となっており、ダイオード領域C1はバイパスダイオードとして機能する。
このような実施形態2Bの集積型薄膜光電変換装置の等価回路の一例が図5(b)に示されている。図5(b)に示すように、実施形態2Bの集積型薄膜光電変換装置においては、各光電変換セル領域Aの光電変換機能領域Bそれぞれにバイパスダイオード領域Cが接続されている。ダイオード領域Cのpn接合またはpin接合と、光電変換セル領域Aのpin接合とは、例えば、図4(a)に示すように、半導体光電変換ユニット5が裏面電極層4側より、n型層5n、i型層5i、P型層5Pと順に積層された半導体接合である場合、レーザ光吸収層を、裏面透明導電層2側よりn型層3n、i型層3i、p型層3pと順に積層された半導体接合とすればよい。また逆に、図4(b)に示すように、半導体光電変換ユニット5が裏面電極層4側より、P型層5P、i型層5i、n型層5nと順に積層された半導体接合である場合、レーザ光吸収層3を、裏面透明導電層2側よりp型層3p、i型層3i、n型層3nと順に積層された半導体接合とすればよい。これによって、ダイオード領域Cのpn接合またはpin接合と、光電変換機能領域Bのpin接合とは、逆導電型層同士が対向するように配置される。ここでレーザ光吸収層3は適当な方向の整流特性を持っていれば足り、i型層3iの存在しないpn接合、np接合も適宜選択され得る。
前記した特許文献1(特開平10−79522号公報)のような従来の集積型薄膜光電変換装置においては、一部のセルに太陽光が照射されない影が生じた場合、そのセルには他のセルが発生する電圧が逆方向に印加されるため、局所的に逆耐電圧を超えて絶縁が破壊し、短絡状態となり大電流が流れ発熱を生じる、所謂「ホットスポット現象」が起こる場合がある。このようなホットスポット現象が生じると、集積型薄膜光電変換装置全体の外観の劣化や、出力特性の低下を招く。このような問題を回避するために、直列接続された複数の光電変換セルに対してバイパスダイオードを並列接続することが知られており、かかる構成によれば、一部の光電変換セルに影が生じたときでも、そのセルとは逆方向に並列接続されたバイパスダイオードの作用によって、そのセルに直列接続された他のセルで発生した出力電流を、セルの絶縁破壊なく流すことができるため、ホットスポット現象の発生を抑制することができる。一方で、光電変換装置の集積構造に新たにバイパスダイオード層を製膜し、それを各光電変換セルに並列接続することは、集積構造の複雑化や、製膜時間の大幅な増加によるコストの増加を招くという問題があった。
これに対して本発明の実施形態2Bによれば、集積型薄膜光電変換装置を作製するためのレーザ光吸収層3がバイパスダイオード層を兼ね備えるため、ホットスポット現象による外観劣化や、性能低下が生じ難く、信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置を容易に低コストで得ることができる。
以上のように、本発明の実施形態2によれば、光電変換特性の優れた積層型薄膜光電変換装置が、高い加工精度、高い生産効率、および低いコストで提供され得る。さらに本発明の実施形態2Bによれば、ホットスポット現象による外観劣化や、性能低下が生じ難く、信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置が、高い加工精度、高い生産効率、および低いコストで提供され得る。
[全ての実施形態に共通する、レーザ光吸収層の他の態様]
本明細書中では、主に、レーザ光吸収層の素材を、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、非晶質ゲルマニウム、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、および微結晶ゲルマニウムからなる群から選択される層を1以上含むように記載している。例えば、レーザ光吸収層の素材シリコンもしくはゲルマニウム系半導体を含む半導体であるように、記載している。レーザ光吸収層は、例えば、プラズマCVD法によって堆積されてなる非晶質シリコン(a−Si)層や、半導体のpn接合またはpin接合を含む態様などである。
しかしながら、本発明のレーザ光吸収層の具体例としては、他に引き続く工程に耐久性が有る限りにおいては、無機物・有機物を問わないあらゆる層を適用可能である。レーザ光吸収層は、200〜250℃程度の高温に耐えうる耐熱性を有する物質・素材を主たるマトリックス材料として、公知のレーザ光吸収物質が分子結合されているか、あるいは、分散されているような、層であっても良い。また、そのマトリックス材料だけでレーザ光吸収する場合は、そのような材料も、レーザ光吸収層として適用可能である。
マトリックス材料の耐熱性という点では、例えば、ポリイミド材料、アラミド材料等が、好ましい。他にも、有機物に対して親和性を有する無機物ともいえるシルセスキオキサン(Silsesquioxanes)類を含む材料が、レーザ光吸収層のマトリックス材料であっても良い。例えばポリイミド材料をマトリックス材料とする場合には、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、ワニス状態で調製した後、基板上にキャストし加熱して脱水縮合反応をすることによって、ポリイミド材料を作製することもできる。
なお、レーザ光吸収層は、本発明で主に説明したようなCVD法で作製する以外にも、真空装置を使わない他の安価な方法や簡便な方法によって作製することも、できる。すなわち、レーザ光吸収層は、印刷法、ナノインプリント法、スピンコート法、ロールコーター法、ディップ法等、公知の方法で作製することも、できる。
すなわち、本発明のレーザ吸収層を作製するCVD法は、例示の一つである。引き続く他の工程との親和性という観点では、CVD法で作製することは、好ましい。ただし、前述の、真空装置を使わない他の安価な方法や簡便な方法の方が、より好ましい。
レーザ光吸収層の必要特性としては、レーザ光を吸収して、レーザスクライブ等で分割可能であること、である。
本発明の一態様としては、レーザ光吸収層の表面に、何らかのテクスチャ構造を形成しても良い。テクスチャ構造の一例としては、凹凸(concavities and convexities)や、2次元あるいは3次元的に周期的な構造を有するような構造、ある一定の表面粗さを有する構造、等が有り得るが、他にも、当業者が想到しうるあらゆる変形が可能である。
[全ての実施形態に共通する、本願の利点]
以下に、全ての実施形態に共通する、本願の利点を述べる。
本発明の半導体光電変換ユニット5は2つ以上のpn接合を直列に接続したタンデム型も可能である。またこの半導体光電変換ユニット5は2つ以上のpn接合を直列に接続したタンデム型も可能である。一例として微結晶シリコンpin接合と非晶質シリコンpin接合の2積層構造等が選択され得る。この例を考えた時、微結晶シリコンpin接合製膜時の製膜温度は自由度が高く、100℃〜450℃の範囲から選択することが可能である。製膜温度が高まると、結晶質光電変換ユニットの光電変換層の結晶性が向上するため、有利である。また、本発明の構成によって、微結晶シリコンpin接合製膜時のパワー密度や、製膜圧力などにおいても、自由度が高くなる。
例えば、結晶質光電変換ユニットと非晶質光電変換ユニットとの2つの光電変換ユニットを備える、タンデム型の集積型薄膜光電変換装置を製造するにあたり、従来技術においては製膜温度の自由度が少なかったが、本発明においては製膜温度について自由度が非常に高い。本発明の有利な効果を具体的に説明することによって、本発明の技術的意義を説明する。
従来、光透過側から順に、透光性基板上に、順次積層された透明電極層と、非晶質光電変換ユニットと、結晶質光電変換ユニットと、裏面電極層とを含むような非晶質光電変換ユニット/結晶質光電変換ユニットの2段タンデム型光電変換装置(ハイブリッド型光電変換装置)を製造するためには、2つの光電変換ユニットの内、最初に非晶質光電変換ユニットを製膜する必要が有った。下地である非晶質光電変換ユニットに対して熱的ダメージを与えないようにするために、結晶質光電変換ユニットを製膜する際には、例えば200℃以下の製膜温度を選択せざるを得なかった。
一方、本発明では、透光性基板(1)上に順次積層された裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)、結晶質光電変換ユニット、非晶質光電変換ユニット、および受光面透明電極層(6)を含み、光は、受光面透明電極層側から透過する。本発明では、2つの光電変換ユニットの内、最初に結晶質光電変換ユニットを製膜することができる。従来技術で下地となっていた非晶質光電変換ユニットに対する熱的ダメージを、本発明では、全く気にする必要が無い。すなわち、本発明では、結晶質光電変換ユニットを製膜する際に、例えば100℃〜450℃の範囲から適宜選択することが可能である。製膜温度が高まると、結晶質光電変換ユニットの光電変換層の結晶性が向上するため、有利である。また、本発明では、プラズマCVD法等で製膜する際、従来よりも製膜時のパワー密度を高くすることもできるため、製膜速度を格段に高めることができるという、従来に無い、著しい効果も有る。
本発明の一態様である非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットとの2段タンデム型の光電変換装置の場合、非晶質シリコンと結晶質シリコンの光吸収係数等の関係で、非晶質光電変換ユニットの厚みは薄く、結晶質光電変換ユニットの厚みは厚い。通常、非晶質シリコン層は、300〜600nm程度であるのに対して、長波長光閉じ込め効果を必要とする結晶質シリコン層は2000〜4000nm程度の膜厚を有する。より厚みの大きい結晶質光電変換ユニットの製膜速度を格段に高めることができる本発明は、工業的な意味で、製造時間を格段に短縮できるという意味なども含めて、従来技術よりも、大量生産時の生産効率が著しく高い。
ここまでに、非晶質光電変換ユニット/結晶質光電変換ユニットの2段タンデム型光電変換装置が説明されたが、1つ以上の非晶質光電変換ユニットおよび/または1つ以上の結晶質光電変換ユニットをさらに含む多段タンデム型光電変換装置にも本発明が適用され得ることはいうまでもない。
また、前記の光電変換ユニットの中や、タンデム型の複数の光電変換ユニット同士の界面等には、光電変換効率を高める目的で、例えば、シリコンカーバイドや、シリコンゲルマニウムなどのシリコン系合金材料や、シリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶相を含むシリコン複合層などを、適宜、挿入可能である。
また光閉じ込めの観点から半導体光電変換ユニット5の下層である裏面電極層4が凹凸構造を持つ場合、半導体光電変換ユニット5を断面TEM(透過型電子顕微鏡)像で観察した時に、半導体光電変換ユニット下層の凹部を発生源として、前記半導体光電変換ユニット5内を基板に対し垂直方向へ伸びている白色部(低密度部分)が、基板に平行した方向1μmあたり平均1個以下であることが光電変換性能上好ましい。さらに望ましくはこの白色部が0個であると良い。図12は本発明の一実施形態における半導体光電変換ユニットのTEM像であり、この写真では基板に平行した方向2μmあたり2個の白色部が観察される。この白色部は、凹凸基板上に結晶が成長する時、成長した結晶同士がぶつかり合い発生した微小なクラックだと考えられ、このクラックが多数存在すると、開放電圧の低下など、光電変換性能の低下につながるため、クラックができるだけ発生しないような凹凸基板、半導体光電変換ユニット5の成長条件を選択することが必要である。
なお、前記の態様は、「前記裏面電極層(4)が凹凸構造を有しており、半導体光電変換ユニット(5)を断面TEM(透過型電子顕微鏡)像で観察した時に、裏面電極層(4)の凹部近傍を始点として、半導体光電変換ユニット(5)内を基板に対し垂直方向へ伸びている白色部(低密度部分)が、基板に平行した方向1μmあたり平均して1個以下見られることを特徴とする前記の集積型薄膜光電変換装置」に関する。
以上説明した内容は、前記に示した実施形態1,実施形態2,実施形態2Bでも、同様に、好ましい。
なお、本発明の明細書中では構成要件等を、「符号の説明」欄に記載の符号を入れた形で説明している部分も有るが、本発明は、単なる例示であるこれらの符号や図面等に拘束されるものではない。すなわち、本発明は、当分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的思想内で、以下説明する符号等に拘束されることなく多くの変形が、可能である。
上述のような本発明による実施形態に対応する具体的な例として、以下においていくつかの実施例が比較例と共に説明される。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
[実施形態1に関する実施例]
(実施例1)
本発明の実施例1においては、図1に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製された。まず、図1(a)において、透明ガラス基板1上に酸化錫の裏面透明導電層2を積層した。その裏面透明導電層2は、熱CVD法によって約800nmの厚さに堆積された。こうして堆積された裏面透明導電層2は、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有している。この表面テクスチャ構造は、後に堆積される裏面電極層4中の金属層表面に伝えられる。そして、その金属層表面における微細な表面凹凸は、光の乱反射を生じて、半導体光電変換ユニット5内の光吸収効率を高めるように作用し得る。
図1(b)において、裏面透明導電層2を覆うようにレーザ光吸収層3が積層され、その後QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB0を透明ガラス基板1側から照射することによって、レーザ光吸収層3を加工してレーザ光吸収層3を貫通する第1種接続孔D0を形成した。レーザ光吸収層3としては、非晶質シリコン(a−Si)層がプラズマCVD法によって200nmの厚さに堆積された。なお、レーザ光吸収層3は後の全てのレーザビーム加工を可能ならしめる厚さを有していればよく、この前提の下で適宜に選択された厚さを有し得る。
またここで使用されるレーザビームLB0は、裏面透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3を分割加工できればよい。例えばYAGレーザに関して、a−Siのレーザ光吸収層3は、第2高調波(波長532nm)の光をよく吸収し得る。他方、裏面透明導電層2は、YAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外ビームをよく吸収する。しかし、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の光に関しては、裏面透明導電層2はほぼ透明であって僅かに吸収するだけである。したがって、例えばYAGレーザの第2高調波であって12kW/cmのパワー密度と60μmの断面径を有するレーザビームLB0を照射することによって、裏面透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3のみを分割加工することができる。
このように、裏面透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3を分割加工するためのレーザビームとしては、裏面透明導電層2に対してほぼ透明で、かっ、レーザ光吸収層3に吸収されるものが好ましく、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の他に、例えば、これと同じ波長のレーザ光を射出するYVO(イットリウム・バナデート)レーザの第2高調波や、略同じ波長のレーザを射出し得るファイバレーザ等を用いることができる。
図1(c)において、分割されたレーザ光吸収層3および接続孔D0を覆うように裏面電極層4を堆積させた。裏面電極層4としては、スパッタリング法を用いて第一の透明電極層である厚さ90nmの酸化亜鉛層、金属層である厚さ200nmの銀層、および第二の透明電極層である厚さ90nmの酸化亜鉛層を順次積層させた。裏面電極層4に含まれる酸化亜鉛層は、レーザ光吸収層3および後に堆積される半導体光電変換ユニット5と銀層との密着強度向上および銀の反射率を高めるために好ましい。
図1(d)において、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外レーザビームLB1を透明ガラス基板1側から照射し、裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を加工して分割線溝D1を形成した。前述のように裏面透明導電層2はYAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外光を吸収して発熱し得るので、レーザビームLB1による裏面透明導電層2およびレーザ光吸収層3の発熱によって、それらの層および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
このように、裏面透明導電層裏面透明導電層2およびその他の層を分割加工するためのレーザビームLB1としては、裏面透明導電層2に吸収されるものが好ましく、YAGレーザの基本波(波長1064nm)の他に、例えば、これと同じ波長のレーザ光を射出するYVOレーザの基本波や、略同じ波長のレーザを射出し得るファイバレーザ等を用いることができる。下記の分割線溝D2、D3を形成するための、レーザビームLB2a、LB3aにおいても同様である。
図1(e)において、分割された裏面電極層4および分割線溝D1を覆うように、半導体光電変換ユニット5をプラズマCVD法により堆積した。その半導体光電変換ユニット5は、順次積層された厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約300nmのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層、および厚さ約15nmのp型a−SiC:H(Hを含むa−SiC)層を含んでいる。すなわち、本実施例1における半導体光電変換ユニット5は、その主面に平行な一組のnip接合からなる単一の光電変換ユニットを含んでいる。
図1(f)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2aを透明ガラス基板1側から照射して分割線溝D2を形成した。その波長532nmのレーザビームLB2aはレーザ光吸収層3および半導体光電変換ユニット5によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、それらの層および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
図1(g)において、分割された半導体光電変換ユニット5および分割線溝D2を覆うように、電子ビーム蒸着法によって酸化インジウムの受光面透明電極層6を約80nmの厚さに堆積した。
図1(h)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビ一ムLB3aを透明ガラス基板1から照射して分割線溝D3を形成した。波長532nmのレーザビームLB3aはレーザ光吸収層3および半導体光電変換ユニット5によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、それらの層とともに裏面電極層4および受光面透明電極層6をも比較的容易に同時に分割加工することができる。
本実施例1において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、環境温度25℃ において、ソーラーシミュレータを用いてAM1.5の光を100mW/cmの強度で照射して光電変換特性を測定したところ、短絡電流密度が16.21mA/cm、一セルあたりの開放端電圧が0.891V、曲線因子0.727、そして光電変換効率が10.5%であった。
(実施例2)
本発明の実施例2による集積型薄膜光電変換装置も図1に図解されている工程によって作製されたが、実施例1に比べて、下記事項(1)と(2)のみにおいて変更されていた。
(1)図1(a)の工程において、レーザ光吸収層3の厚さが200nmではなくて400nmの厚さに増大された。
(2)図1(e)の工程において、半導体光電変換ユニット5は、下段のnip接合からなる下段光電変換ユニットと上段のnip接合からなる上段光電変換ユニットを含むタンデム型に変更された。この下段光電変換ユニットとして、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換ユニット、そして厚さ約15nmのP型微結晶Si層が順次積層された。他方、上段光電変換ユニットは、実施例1における光電変換ユニットと同じ条件で形成された。
(実施例3)
本発明の実施例3においては、図2に対応する集積型薄膜光電変換装置が作製された。そして、本実施例3の集積型薄膜光電変換装置の作製では、実施例2に比べて、図1(g)の工程において受光面透明電極層6上にアルミニウムのグリッド金属電極配線7が蒸着法によって付加的に形成されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例3における半導体光電変換ユニット5も、実施例2の場合と同様のタンデム型である。
(実施例4)
本発明の実施例4においては、図1に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図1(d)の工程において、レーザビームLB1として、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いる代わりに、パワー密度60kW/cmのQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)を用いた点において実施例2と異なっていた。
実施例1の図1(b)の工程等においては、12kW/cmのパワー密度を有するYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB0により、裏面透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3のみを分割加工して第1種接続孔D0が形成された。これに対して、実施例4においては、60kW/cmのパワー密度を有するYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームを用いることで、裏面透明導電層2をも貫通する溝D1が形成された。このことから、裏面透明導電層2は、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の光に対してはほぼ透明で、吸収はわずかであるために、YAGレーザの第2高調波のパワー密度が12kw/cmの場合は裏面透明導電層2が加工されないのに対して、YAGレーザの第2高調波のパワー密度が60kW/cmと高い場合には、裏面透明導電層に吸収されるQスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いた場合と同様に、裏面透明導電層2が分割加工されることがわかる。
(実施例5)
本発明の実施例5においては、図1に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図1(c)の工程において、裏面電極層4の第二の透明導電層として、MOCVD法にて酸化亜鉛が90nmの厚さで堆積された点において実施例2と異なっていた。
[実施形態2Aに関する実施例]
(実施例6)
本発明の実施例6においては、図7に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、下記の点において実施例2と異なっていた。
実施例2における図1(d)の工程に代えて、図7(d1)のように裏面透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4に透光性基板1側から入射されるQスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4aによって分割線溝D4が形成された。さらに、図7(d2)のように分割線溝D4aの上から、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4をレーザビームLB4aよりもビーム径の大きいQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5aが照射され分割線溝D5形成された。
これらの工程により、第5種分割線溝D4および第6種分割線溝D5が形成され、図7(f)に示すように、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5が接続しており、第5種分割線溝D4は、第6種分割線溝D5よりも溝の幅が狭く、かつ、第6種分割線溝D5の内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
(実施例7)
本発明の実施例7においては、図8に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、下記の点において実施例2と異なっていた。
実施例2における図1(d)の工程に代えて、図8(d1)のようにレーザ光吸収層3、および裏面電極層4に透光性基板1側から入射されるQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nrn)のレーザビームLB5bによって分割線溝D5が形成された。さらに、図8(d2)のように分割線溝D5の上から、裏面透明導電層2をレーザビームLB5bよりもビーム径が小さいQスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4bが照射され分割線溝D4が形成された。
これらの工程により、第5種分割線溝D4および第6種分割線溝D5が形成され、図8(f)に示すように第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5が接続しており、第5種分割線溝D4は、第6種分割線溝D5よりも溝の幅が狭く、かつ、第6種分割線溝D5の内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
(実施例8)
本発明の実施例8においては、図9に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実旛例2に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
(1)実施例2における図1(a)の工程に代えて、図9(a1)のように透光性基板1上に裏面透明導電層2が堆積された後に、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4cにより分割線溝D4が形成され、その後、図9(a2)のようにレーザ光吸収層3が堆積された。
(2)実施例2における図1(d)の工程に代えて、図9(d)のように分割線溝D4の上から、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4にレーザビームLB4cよりもビーム径の大きいQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長533nm)のレーザビームLB5cが照射され分割線溝D5が形成された。
これらの工程により、第5種分割線溝D4および第6種分割線溝D5が形成され、図9(f)に示すように第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5が接続しており、第5種分割線溝D4は、第6種分割線溝D5よりも溝の幅が狭く、かつ、第6種分割線溝D5の内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
(実施例9)
本発明の実施例9においては、図10に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実施例2に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
(1)実施例2における図1(a)の工程に代えて、図10(a1)のように透光性基板1上に裏面透明導電層2が堆積された後に、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4dにより分割線溝D4が形成され、その後、図10(a2)のようにレーザ光吸収層3が堆積された。
(2)実施例2における図1(d)の工程に代えて、図10(d)のように分割線溝D4の上から、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4をレーザビームLB4dよりもビーム径の小さいQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5dが照射され分割線溝D5が形成された。
これらの工程により、図10(f)に示すように第5種分割線溝D6と、第6種分割線溝D5が接続しており、第6種分割線溝D5は、第4種分割線溝D4よりも溝の幅が狭く、かつ第4種分割線溝D4の内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
(実施例10)
本発明の実施例10においては、図8に図解されている工程によって、実施例7と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図8(d2)の工程において、レーザビームLB4bとして、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いる代わりに、パワー密度60kW/cmQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)を用いた点において実施例7と異なっていた。
(実施例11)
本発明の実施例11においては、実施例7と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図8(g)の工程において受光面透明電極層6上にアルミニウムのグリッド金属電極配線7が蒸着法によって付加的に形成された点において実施例7と異なっていた。
これによって、受光面透明電極層上にグリッド金属電極配線を含み、第4種分割線溝がグリッド金属電極配線を貫通している集積型薄膜光電変換装置が作製された。
(実施例12)
本発明の実施例12においては、図11に図解されている工程によって、実施例2と同様に半導体光電変換ユニット5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実施例2に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
(1)実施例2における図1(a)の工程に代えて、図11(a1)のように透光性基板1上に裏面透明導電層2が堆積された後に、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4eにより分割線溝D4が形成され、その後、図11(a2)のようにレーザ光吸収層3が堆積された。
(2)実施例2における図1(d)の工程に代えて、図11(d)のように第5種分割線溝D4の近傍において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5eが照射され第6種分割線溝D5が形成された。これらの工程により、図11(f)に示す集積型薄膜光電変換装置が作製された。
実施例2〜12において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。結果を表1に示す。
[実施形態2Bに関する実施例]
(実施例13)
本発明の実施例13においては、図3に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製された。まず、図3(a)において、透明ガラス基板1上に酸化錫の裏面透明導電層2を積層した。裏面透明導電層2は、熱CVD法によって約800nmの厚さに堆積された。こうして堆積された裏面透明導電層2は、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有している。この表面テクスチャ構造は、後に堆積される裏面電極層4中の金属層表面に伝えられる。そして、その金属層表面における微細な表面凹凸は、光の乱反射を生じて、半導体光電変換ユニット5内の光吸収効率を高めるように作用し得る。
その後、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外レーザビームLB4を透明ガラス基板1側から照射することによって、裏面透明導電層2を加工して分割線溝D4を形成した。
図3(b)において、分割された裏面透明導電層2および分割線溝D4を覆うようにレーザ光吸収層3を堆積させた。このレーザ光吸収層3は、プラズマCVD法により順次積層された厚さ約20nmのn型a−Si層、厚さ約400nmのi型a−Si層、及び厚さ約15nmのP型a−Si層を含んでいる。すなわち、本実施例におけるレーザ光吸収層3はpin接合からなるダイオードを含んでいる。なお、ここでレーザ光吸収層3は後の全てのレーザビーム加工を可能ならしめる厚さを有しており、かつpn接合またはpin接合を含み整流特性を示しておれば良く、この前提の下で適宜に選択された厚さを有し得る。
その後、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB0を透明ガラス基板1側から照射することによって、レーザ光吸収層3を加工して接続孔D0を形成した。ここで使用されるレ一ザビームLB0は、裏面透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3を分割加工できればよい。
図3(c)において、分割されたレーザ光吸収層3および接続孔D0を覆うように裏面電極層4を堆積させた。裏面電極層4としては、スパッタリング法を用いて第一の透明導電層である厚さ90nmの酸化亜鉛層、金属層である厚さ200nmの銀層、および第二の透明導電層である厚さ90nmの酸化亜鉛層を順次積層させた。裏面電極層4に含まれる酸化亜鉛層は、レーザ光吸収層3および後に堆積される半導体光電変換ユニット5と銀層との密着強度向上および銀の反射率を高めるために好ましい。
図3(d)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5を透明ガラス基板1側から照射し、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を加工して分割線溝D5を形成した。レーザビームLB5はレ一ザ光吸収層3で吸収され発熱し、それによりレーザ光吸収層3および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
図3(e)において、分割された裏面電極層4および分割線溝D5を覆うように、半導体光電変換ユニット5をプラズマCVD法により堆積した。その半導体光電変換ユニット5は、順次積層された厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、および厚さ約15nmのP型微結晶シリコンからなる下段光電変換ユニットと、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約300nmのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層、および厚さ約15nmのp型a−SiC:H(Hを含むa−SiC)層からなる上段光電変換ユニットとを含むタンデム型である。
図3(f)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2aを透明ガラス基板1側から照射して、分割線溝D2を形成した。前述のように
YAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2aはレーザ光吸収層3によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、及び半導体光電変換ユニット5を比較的容易に同時に分割加工することができる。
図3(g)において、分割された半導体光電変i換層5および分割線溝D2を覆うように、電子ビーム蒸着法によって酸化インジウムの受光面透明電極層6を約80nmの厚さに堆積した。
図3(h)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3aを透明ガラス基板1側から照射して、分割線溝D3を形成した。前述のようにYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3aはレーザ光吸収層3によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換ユニット5および受光面透明電極層6を比較的容易に同時に分割加工することができる。
本実施例13において、得られた集積型薄膜光電変換装置は図5に示されるものと同等である。すなわち、図3(a)〜(h)の工程により、図5に示されるように、複数の光電変換セル領域Aのそれぞれの光電変換機能領域Bにバイパスダイオード領域Cがバイパスダイオードとして並列接続されることになる。
(実施例14)
本発明の実施例14による集積型薄膜光電変換装置も、実施例13と同様に、図3に図解されている工程によって、バイパスダイオード領域を有する集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実施例13に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
(1)図3(b)においてレーザ光吸収層3の構成が、裏面透明導電層2側から順に、厚さ約15nmのP型a−Si層、厚さ約400nmのi型a−Si層、厚さ約20nmのn型a−Si層となるよう積層された。すなわち実施例13と比ベレーザ光吸収層の整流特性が逆向きとなっていた。
(2)図3(e)において半導体光電変換ユニット5の構成が、裏面電極層4側から順に、厚さ約15nmのP型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、厚さ約20nmのn型微結晶Si層の順から成る下段光電変換ユニットと、厚さ約15nmのp型a−SiC:H(Hを含むa−SiC)層、厚さ約300nmのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層、および厚さ約20nmのn型微結晶Si層の順から成る上段光電変換ユニットを含むタンデム型となっていた。すなわち実施例13と比べ半導体光電変換ユニット5の整流特性が逆向きとなっていた。
(実施例15)
本発明の実施例15による集積型薄膜光電変換装置も、実施例13と同様に、図3に図解されている工程によって、バイパスダイオード領域を有する集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実施例13に比べて、下記の点において異なっていた。
図3(b)においてレーザ光吸収層3の構成が、裏面透明導電層2側から順に、厚さ約400nmのn型a−Si層、約15nmのp型a−Si層、となるよう積層された。すなわち実施例13と比ベレーザ光吸収層3のi型層が無い構成となっていた。
(実施例16)
本発明の実施例16による集積型薄膜光電変換装置も図8に図解されている工程によって、実施例7に比べて、下記事項(1)と(2)のみにおいて変更されていた。
(1)図8(e)の工程において、半導体光電変換ユニット5の上段光電変換ユニットのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層の厚さが300nmではなくて200nmの厚さに変更された。
(2)図8(e)の工程において、半導体光電変換ユニット5は、下段のnip接合からなる下段光電変換ユニットと上段のnip接合からなる上段光電変換ユニットに加えて、これらの間に中段のnip接合からなる中段光電変換ユニットを含むトリプルタンデム型に変更された。この中段光電変換ユニットとして、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2.5μmのi型微結晶シリコン光電変換層、そして厚さ約15nmのP型微結晶Si層が順次積層された。
本実施例13〜15において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し
、実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
上述の種々の実施例との対比のための比較例1として、図6に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製された。
まず、図6(a)、(b)、(c)において、透明ガラス基板1上に透明酸化錫層2、厚さが200nmのレーザ光吸収層3、および裏面電極層4が、実施例1の場合と同じ条件で堆積された。
図6(d)において、実施例1の場合の図1(d)の工程と同じ条件下でレーザビームLB1xを照射して分割線溝D1xを形成した。
図6(e)において、実施例1の場合の図1(e)の工程と同じ条件下で、分割された裏面電極層4および分割線溝D1xを覆うように半導体光電変換ユニット5を堆積した。
図6(f)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2xを半導体光電変換ユニット5側から照射して分割線溝D2xを形成した。
図6(g)において、実施例1の場合の図1(g)の工程と同じ条件下で、分割された半導体光電変換ユニット5および分割線溝D2xを覆うように受光面透明電極層6を堆積した。
図6(h)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3xを受光面透明電極層6側から照射して分割線溝D3xを形成した。
(比較例)
比較例2として、比較例1と同様に、図6に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、比較例1に比べて、下記事項(1)と(2)のみにおいて変更されていた。
(1)図6(a)の工程において、レーザ光吸収層3の厚さが200nmではなくて400nmの厚さに増大された。
(2)図6(c)の工程において、半導体光電変換ユニット5は、下段のnip接合からなる下段光電変換ユニットと上段のnip接合からなる上段光電変換ユニットを含むタンデム型に変更された。この下段光電変換ユニットとして、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、そして厚さ約15nmのP型微結晶Si層が順次積層された。他方、上段光電変換ユニットは、比較例1における光電変換ユニットと同じ条件で形成された。
比較例1、2において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。結果を表1に示す。
[光電変換特性の対比]
表1から明らかなように、単一の光電変換ユニットを含んでいる、比較例1と実施例1を対比すると、本発明の積層型薄膜光電変換装置は、いずれの光電変換特性においても優れていることがわかる。また、P型層側から光が入射する=構造を有しているタンデム型の光電変換,ユニットを含む比較例2と実施例2〜13、15を対比すると
、これらの実施例の積層型薄膜光電変換装置は、比較例2の積層型薄膜光電変換装置に比して、光電変換効率に優れていることがわかる。また、一般には光電変換効率が小さくなるn型層側から光が入射する構造を有している実施例14の光電変換装置も、p型層側から光が入射する構造を有している比較例2の光電変換装置と同様の光電変換効率を示していることがわかる。
実施例2と実施例4を比較すると、いずれの光電変換特性においてもほぼ同等の特性であることから、透明導電層2に吸収されず透過するQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)でもパワー密度が十分高ければ、裏面透明導電層2を分離し、分割線溝D1を形成出来ることがわかる。
実施例2と実施例6〜12を比較すると、実施例6から実施例12の集積型薄膜光電変換装置は、実施例2の光電変換装置と比べて、曲線因子、光電変換効率において優れている。これは、実施例2においては、第2種分割線溝D1を1種類のレーザビーム(YAGレーザの基本波)により一度に形成するのに対して、実施例6〜 実施例12においては、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5とが別のレーザビームにより形成されるため、分割線溝D1周辺部の変質が軽減されたものと推測される。
実施例7と実施例10を比較すると、いずれの光電変換特性においてもほぼ同等の
特性であることから、透明導電層2に吸収されず透過するQスイッチYAGレーザの第
2高調波(波長532nm)でもパワー密度が十分高ければ、裏面透明導電層2を分離し、分割線溝D1を形成出来ることがわかる。
実施例14と、実施例13および15を比較すると、光電変換セルにp型層側から光が入射する構造を有している実施例13および15の集積型薄膜光電変換装置は、光電変換セルにn型層側から光が入射する構造を有している実施例14の集積型薄膜光電変換装置と比べて、各光電変換性能に優れていることがわかる。
[ホットスポット試験]
実施例12〜15において得られた集積型薄膜光電変換装置に対してホットスポット試験を行った。ホットスポット試験としてはモジュールのうち1つのセルに黒色のビニールテープを貼付けて遮光し、屋外において全天日射計測定で放射照度80〜100mW/cm(0.8〜1SUN)の時に、モジュールのガラス基板面への太陽光の入射角度が80度以上となるようにモジュールを設置して1分間放置した。このようなホットスポット試験は、遮光されるセルを替えながら1つのモジュールについて10回行われた。その後、ガラス基板面側から見て概ね黒色のセル面の外観が灰色または白色に変色した点の発生の有無が観察された。なお、ホットスポット試験時の気温は15〜30℃ であった。
このホットスポット試験を行った結果、実施例12の集積型薄膜光電変換装置においては、セル面の外観において灰色または白色に変色している点が見られた。これに対して、実施例12〜16の集積型薄膜光電変換装置においては、セル面の外観において灰色または白色に変色している点は見られなかった。
また、ホットスポット試験後の各集積型薄膜光電変換装置ついて、再度実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。ホットスポット試験前後での光電変換特性を表2に示す。
実施例12と実施例13を比較すると、実施例12の集積型薄膜光電変換装置は実施例13の集積型薄膜光電変換装置と半導体光電変換ユニット5の構成が等しく、ホットスポット試験前は、いずれの光電変換特性においてもほぼ同等の特性となっている。一方で、本発明の実施形態2Bにかかる実施例13の集積型薄膜光電変換装置は、バイパスダイオード機能を有するため、ホットスポット試験後においても、セル面の外観において灰色または白色に変色している点は見られず、さらに、高い光電変換特性を維持していることがわかる。また、実施例14、15の集積型薄膜光電変換装置においても、実施例13と同様のことがいえる。
以上に述べた集積型光電変換装置に、充填材(EVA)を重ねて、封止材を設けることで太陽電池モジュールにすることができる。
以上のように、本発明によれば、裏面電極層にダメージを与えることなくレーザビーム加工によって集積型薄膜光電変換装置を得ることができ、その光電変換特性を顕著に向上させることができる。また、本発明によれば、レーザビーム加工において基板側からのビーム照射のみが行なわれるので、これによっても加工精度と変換特性の改善された集積型薄膜光電変換装置を高い生産性と低いコストで得ることができる。また本発明によれば、レーザ光吸収層にダイオード機能を持たせることにより、ホットスポット現象に対して信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置を低コストで得ることができる。
1 透光性基板
2 裏面透明導電層
3 レーザ光吸収層
4 裏面電極層
5 半導体光電変換ユニット
6 受光面透明電極層
7 グリッド金属電極配線
LB0〜LB5 レーザビーム
D0 接続孔
D1〜D5 分割線溝
A 光電変換セル領域
B 光電変換機能領域
C ダイオード領域

Claims (22)

  1. 透光性基板(1)上に順次積層された裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)、半導体光電変換ユニット(5)、および受光面透明電極層(6)を含み、これらの層の各々は複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置であって、
    前記レーザ光吸収層(3)には、レーザ光吸収層(3)を貫通する複数の第1種接続孔(D0)が存在しており、
    第1種接続孔(D0)は、裏面電極層(4)で満たされ、それによって裏面電極層(4)と裏面透明導電層(2)は電気的に接続されており、
    前記裏面電極層(4)は、前記裏面透明導電層(2)、前記レーザ光吸収層(3)、および前記裏面電極層(4)を貫通する複数の第2種分割線溝(D1)によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されており、
    前記半導体光電変換ユニット(5)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、および前記半導体光電変換ユニット(5)を貫通しかつ前記第2種分割線溝(D1)に平行な複数の第3種分割線溝(D2)によって複数の短冊状光電変換領域に分割されており、
    前記第3種分割線溝(D2)は内部を前記受光面透明電極層(6)で満たされ、これにより前記裏面透明導電層(2)と前記受光面透明電極層(6)が電気的に接続されており、
    前記受光面透明電極層(6)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、前記半導体光電変換ユニット(5)、および前記受光面透明電極層(6)を貫通しかつ前記第2種分割線溝(D1)に平行な複数の第4種分割線溝(D3)によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されており、
    各種分割線溝および接続孔は、第1種接続孔(D0)、第2種分割線溝(D1)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、
    互いに隣接する前記光電変換セル間において、一方のセルの前記裏面電極領域は前記第1種接続孔(D0)、前記裏面透明導電層(2)、および前記第3種分割線溝(D2)を介して他方のセルの前記受光面透明電極領域に電気的に接続されており、
    これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されていることを特徴とする集積型薄膜光電変換装置。
  2. 透光性基板(1)上に順次積層された裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)、半導体光電変換ユニット(5)、および受光面透明電極層(6)を含み、これらの層の各々は複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置であって、
    前記裏面透明導電層(2)は、裏面透明導電層(2)を貫通する複数の第5種分割線溝(D4)によって複数の短冊状裏面透明導電領域に分割されており、
    前記レーザ光吸収層(3)には、レーザ光吸収層(3)を貫通する複数の第1種接続孔(D0)が存在しており、
    第1種接続孔(D0)は、裏面電極層(4)で満たされ、それによって裏面電極層(4)と裏面透明導電層(2)は電気的に接続されており、
    前記裏面電極層(4)は、前記レーザ光吸収層(3)、および前記裏面電極層(4)を貫通しかつ前記第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第6種分割線溝(D5)によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されており、
    前記半導体光電変換ユニット(5)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、および前記半導体光電変換ユニット(5)を貫通しかつ前記第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第3種分割線溝(D2)によって複数の短冊状光電変換領域に分割されており、
    前記第3種分割線溝(D2)は内部を前記受光面透明電極層(6)で満たされ、これにより前記裏面透明導電層(2)と前記受光面透明電極層(6)が電気的に接続されており、
    前記受光面透明電極層(6)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、前記半導体光電変換ユニット(5)、および前記受光面透明電極層(6)を貫通しかつ前記第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第4種分割線溝(D3)によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されており、
    各種分割線溝および接続孔は、第1種接続孔(D0)、第5種分割線溝(D4)、第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順、もしくは第1種接続孔(D0)、第6種分割線溝(D5)、第5種分割線溝(D4)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)の順に並んでおり、
    互いに隣接する前記光電変換セル間において、一方のセルの前記裏面電極領域は前記第1種接続孔(D0)、前記裏面透明導電層(2)、および前記第3種分割線溝(D2)を介して他方のセルの前記受光面透明電極領域に電気的に接続されており、
    これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されていることを特徴とする集積型薄膜光電変換装置。
  3. 前記レーザ光吸収層(3)は半導体のpn接合またはpin接合を含み、該レーザ光吸収層のpn接合またはpin接合と、前記半導体光電変換ユニット(5)のpin接合は、裏面電極層(4)を挟んで逆導電型層同士が対向するように形成されており、
    前記各種分割線溝および接続孔は、第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)、第1種接続孔(D0)、第5種分割線溝(D4)の順に並んでおり、各光電変換セル領域内に裏面透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)が接続されたダイオード領域が形成され、該ダイオード領域と、同一光電変換セル内の光電変換領域とが電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続されていることを特徴とする請求項2に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  4. 前記レーザ光吸収層(3)が非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、非晶質ゲルマニウム、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、および微結晶ゲルマニウムからなる群から選択される層を1以上含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  5. 前記第1種接続孔(D0)の基板に鉛直な方向から見た形状が、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形、1以上の溝形状、交差する複数の溝形状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  6. 前記第3種分割線溝(D2)に代えて第3種接続孔(D2)を備えて、当該第3種接続孔(D2)の基板に鉛直な方向から見た形状が、円、楕円、三角形、四角形、多角形、不定形、1以上の溝形状、交差する複数の溝形状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  7. 前記裏面電極層(4)は、透光性基板に近い側より、第一の透明導電層と、金属層と、第二の透明導電層とを含み、
    前記第一の透明導電層は、酸化亜鉛またはチタンを含み、
    前記金属層は銀を含み、
    前記第二の透明導電層は酸化亜鉛を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  8. 前記第5種分割線溝(D4)と前記第6種分割線溝(D5)とが接続しており、
    第6種分割線溝(D5)は第5種分割線溝(D4)よりも溝の幅が狭くかつ第5種分割線溝(D4)の内側に形成されているか、
    または、
    第5種分割線溝(D4)は第6種分割線溝(D5)よりも溝の幅が狭くかつ、第6種分割線溝(D5)の内側に形成されている
    ことを特徴とする、請求項2に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  9. 前記受光面透明電極層(6)上にグリッド金属電極配線(7)をさらに含み、前記第4種分割線溝(D3)は前記グリッド金属電極配線(7)をも貫通していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法であって、
    前記分割線溝および接続孔のすべてが前記透光性基板側からレーザビームを照射することによって形成されることを特徴とする、集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  11. 前記透光性基板(1)が、前記裏面透明導電層(2)よりも鉛直上方に位置した状態で、すべての分割線溝が形成されることを特徴とする、請求項10に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  12. 前記第2種分割線溝(D1)が、波長およびパワー密度の少なくともいずれか一方が異なる2種類のレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、請求項10または11に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  13. 前記第5種分割線溝(D4)が、前記第6種分割線溝(D5)を形成するレーザビームとは、波長およびパワー密度の少なくともいずれか一方が異なるレーザビームにより形成されることを特徴とする、請求項10または11に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  14. 前記裏面透明導電層(2)を貫通しない分割線溝が、裏面透明導電層(2)を透過するレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  15. 前記レーザ光吸収層(3)がシリコン系半導体を含み、かつ、前記裏面透明導電層(2)を透過するレーザビームがYAGレーザの第2高調波のビームであることを特徴とする、請求項14に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  16. 前記裏面透明導電層(2)を貫通する分割線溝が、裏面透明導電層(2)に吸収されるレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、請求項10〜15のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  17. 前記裏面透明導電層(6)は透明導電性酸化物を含み、前記第2種分割線溝はYAGレーザの基本波のビームを用いて形成されることを特徴とする請求項16に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  18. 前記裏面透明導電層(2)を貫通する分割線溝と、前記裏面透明導電層(2)を貫通しない分割線溝とが、同一波長のレーザビームを用いて形成され、前記裏面透明導電層(2)を貫通する分割線溝を形成するためのレーザビームは、前記裏面透明導電層(2)を貫通しない分割線溝を形成するためのレーザビームよりもパワー密度が高いことを特徴とする、請求項10〜15のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
  19. 前記半導体光電変換ユニット(5)が少なくとも1以上の結晶質シリコン系半導体光電変換ユニットを含み、その結晶質シリコン系半導体光電変換ユニットはその膜面に平行な(220)の優先結晶配向面を有しており、θ−2θ法によるX線回折測定において2θ=47.4°付近に現れる(220)回折ピークと2θ=28.5°付近に現れる(111)回折ピークの強度比が、(220)回折ピーク強度/(111)回折ピーク強度比=2.0以上である、請求項請求項1〜9のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  20. 前記裏面電極層(4)が凹凸構造を有しており、半導体光電変換ユニット(5)を断面TEM(透過型電子顕微鏡)像で観察した時に、裏面電極層(4)の凹部近傍を始点として、半導体光電変換ユニット(5)内を基板に対し垂直方向へ伸びている白色部(低密度部分)が、基板に平行した方向1μmあたり平均して1個以下見られることを特徴とする請求項1〜9,19のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  21. 前記受光面透明電極層(6)上に、さらに、充填材および封止材をさらに含む、請求項1〜9,19,20のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置。
  22. 前記封止材にガラスが含まれていることを特徴とする、請求項21に記載の集積型薄膜光電変換装置。
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