JP4774133B2 - 自動車用ドア - Google Patents

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本発明は自動車用ドアに関するものである。
ドアパネル構造体の外装パネルに開設した開口から操作ハンドルの把手部を臨ませた自動車用ドアとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、ドアパネル構造体を構成するインナーパネルには操作ハンドルが回転自在に連結される。この操作ハンドルは、ドアを開閉操作する際の手掛けとなる把手部を備えており、操作ハンドル不使用時に把手部はアウターパネルの開口に嵌合した姿勢で保持される。
特許第3165570号公報
しかし、上述した従来例において、操作ハンドルの把手部とアウターパネルの開口との間には比較的大きな隙間が発生するために、見栄えが悪いという欠点がある。
また、インナーパネルと外装パネルとの相対位置関係は、製造誤差によりばらつくために、インナーパネル側に固定される操作ハンドルの把手部を外装パネル側の開口の中央に位置させることは難しく、開口と把手部との隙間の幅を全周にわたって等しくすることは難しい。把手部の周囲の隙間の幅が全周で等寸でないと、操作ハンドルの傾き等が強調され、一層見苦しくなる。
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、外装パネルの開口から操作ハンドルの把手部を臨ませるに際し、操作ハンドル周縁の隙間を全周でほぼ等しくすることにより見栄えを向上させることのできる自動車用ドアの提供を目的とする。また、本発明の他の目的は、上記ドアに使用可能な自動車用ドアハンドル装置の提供にある。
ドアパネル構造体1に固定される自動車用ドアのハンドル装置Aは操作ハンドル4をハンドルベース6に回転自在に連結して形成され、ドアパネル構造体1に自動車用ドアハンドル装置Aを固定した状態で、操作ハンドル4の把手部5はドアパネル構造体1の外装パネル2に開設された開口3から露出する。エスカッション7は、ハンドルベース6をドアパネル構造体1に固定した状態で外装パネル2外方からハンドルベース6に固定されて開口3と把手部5との隙間を閉塞する。
エスカッション7を装着することにより、把手部5と開口3との隙間を狭くすることが可能になり、見栄えが向上する。また、操作ハンドル4の連結基体であり、操作ハンドル4との相対位置を正確に管理可能なハンドルベース6にエスカッション7を固定することにより、ハンドルベース6を介して操作ハンドル4とエスカッション7との相対位置を正確に管理することができる。この結果、エスカッション7と把手部5との隙間を全周にわたって一定にすることが可能になり、見栄えが向上する。
さらに、エスカッション7を、外装パネル2の開口3から挿入して外装パネル2裏面に回り込む固定片8においてハンドルベース6にねじ止めするとともに、固定片8の開口3への挿入操作時に固定片8形成部の反対端をハンドルベース6に係止させてドアパネル構造体1に固定するように構成した場合には、枠部11にねじ受け等を形成する必要がなくなるために、枠部11の幅寸法を小さくすることができ、デザインの自由度が高まる。
本発明によれば、外装パネルの開口から操作ハンドルの把手部を臨ませるに際し、操作ハンドル周縁の隙間を全周でほぼ等しくすることができるために、見栄えを向上させることができる。
図1に示すように、自動車用ドアは、インナーパネル1aと外装パネル2とを袋状に接合するとともに、必要に応じてインナーパネル1aに図外のドアトリムを固定して形成されるドアパネル構造体1を有し、車体前方(図1における左側)に形成されるヒンジ1b周りに水平回転操作されて車体の開口を開閉する。
上記ドアパネル構造体1には、車体側に係止して閉扉状態を維持するラッチ装置14と、車体に搭載される施解錠制御部15の制御により施解錠動作する施錠部16とが配置される。閉扉状態からのドアの開放操作は、ラッチ装置14の係止解除を条件とし、施錠部16は、解錠状態においてのみラッチ装置14の係止解除状態への移行を許容する。
また、ドアパネル構造体1には、後述するハンドル装置Aを固定することにより、外装パネル2表面に枠部11が露出するエスカッション7と、エスカッション7の枠部11に形成されたハンドル嵌合開口11aに嵌合するようにして枠部11内に把手部5を露出させた操作ハンドル4とが配置される。操作ハンドル4は、ドア開放操作時に把手部5を枠部11から引き出すように回転操作されて上記ラッチ装置14を係止解除状態に移行させ、デザイン上の要求に合致させるために、ドアに対する開放操作が行われないときには、上記把手部5、枠部11、および外装パネル2は、ほぼ同一面に配置される。
さらに、図1(b)に示すように、操作ハンドル4は、ドアが車体前方のヒンジ1bを回転中心として回転するのに対し、車体後方を回転中心として回転操作されるように配置される。
上記エスカッション7には、ハーネス13aを経由して施解錠制御部15に接続される施解錠操作スイッチ13が搭載される。この施解錠操作スイッチ13を押下すると、上記施解錠制御部15はリクエスト信号を無線出力として出力し、利用者が所持する図外の携帯型ID発信器からの認証用ID信号の出力を促す。携帯型ID発信器から出力された認証用IDに対する認証成立を条件に施解錠制御部15は施錠部16を作動させて施解錠いずれかの状態に移行させる。
ハンドル装置Aの詳細を図2以下に示す。ハンドル装置Aは、上記操作ハンドル4をハンドルベース6に回転自在に連結したハンドル装置本体10と、このハンドル装置本体10に連結されるエスカッション7とを有する。
操作ハンドル4は、正面視において前後に長い長円形状を有する把手部5の後端から背面方向に連結用突部4aを突設して形成される(図4(b)参照)。以下、本明細書において、図1(a)に示す車体への取り付け方向を基準にして、車長前進方向を「前方」と定義し、車高方向を「上下」、開扉時のドア移動方向を「正面」、反対方を「背面」として説明する。
上記操作ハンドル4の連結用突部4a形成端の表面には、湾曲状に窪んだ湾曲凹面4bと、複数の小突起4cとが形成され、連結用突部4aの自由端には押圧突部4dが形成される。小突起4cと湾曲凹面4bとは、後述するように、把手部5の引き出し操作を行う際に利用者に当該箇所を押下することも促すために設けられる。また、連結用突部4aには、車体に衝撃が加えられた際の慣性力により操作ハンドル4にドアの開放操作方向の操作力が発生しないように、鉄等の比重の高い材料により形成されるカウンターウエイト17が固定される。
以上のように構成される操作ハンドル4は、連結用突部4aをハンドルベース6に立設されるハンドル支持壁6a、6a間に嵌合させて装着され、ハンドル支持壁6a間に架設される支軸18により回転自在に軸支される。支軸18は、上記湾曲凹面4bの形成領域より前方にずれた位置で、湾曲凹面4bへの押圧操作により操作ハンドル4に必要な回転トルクを付与することができる位置において操作ハンドル4を軸支する。ハンドル支持壁6aと操作ハンドル4の側壁との間には、がた付き防止のためにブッシュ19が介装される。
上記支軸18はハンドル支持壁6a間の間隔に比して長寸の有頭ピンであり、自由端部にスナップピン20を装着して抜け止めされる。図5(d)に示すように、支軸18の頭部18aは、円板の対向部を平行面で切り落とした小判形状に形成される。
また、上記支軸18のハンドル支持壁6aからの突出部を利用してトーションスプリング21が巻装される。図4に示すように、トーションスプリング21は、支軸18のハンドル支持壁6aからの上下の突出部に各々巻装され、一端がハンドルベース6に形成され、パネル補強を兼ねるバネ受け舌片6bに、他端が操作ハンドル4の連結用突部4aを上下に貫通するバネ受けピン22に係止される。
トーションスプリング21を巻装した状態で、操作ハンドル4は、図2において実線で示すように、把手部5がエスカッション7の表面、すなわち外装パネル2とほぼ同一面となるように外装パネル2に沿う初期回転位置側に付勢される。図2、図4(b)に示すように、操作ハンドル4の回転を可能にするために、ハンドルベース6には、バネ受けピン22が挿通する円弧孔6cが開設される。
図4に示すように、ハンドルベース6には、ハンドル支持壁6aから上記支軸18に沿って支軸規制脚23が立設される。支軸規制脚23は断面L字形状を有して支軸18先端に至り、図5(d)に示すように、傾斜規制フランジ24として機能する支軸18の頭部18aの平行面を支承して支軸18の傾きを規制する。また、支軸18のスナップピン20装着側の端部には、ストッパブッシュ25が装着される。図5(c)に示すように、このストッパブッシュ25は支軸規制脚23に当接してスナップピン20装着側端部の移動を規制する傾斜規制フランジ24として作用し、上記支軸18の頭部18aと協働して支軸18の傾きを規制する。
さらに、ハンドルベース6の裏面には、ラッチ連結レバー26が垂直回転自在に連結される。図2、図3(b)に示すように、ラッチ連結レバー26は、操作ハンドル4の押圧突部4dに正対する被押圧部26aを備え、図外のロッドにより上記ラッチ装置14に連結される。
したがってこの実施の形態において、把手部5の湾曲凹面4bをトーションスプリング21の付勢力に抗して押圧すると、操作ハンドル4は、図2において鎖線で示すように回転し、回転側先端がエスカッション7表面から突出した使用位置に移動する。操作ハンドル4の回転に伴って押圧突部4dはラッチ連結レバー26に接近し、把手部5との間に手を入れるために十分なスペースが把手部5のエスカッション7表面との間に形成される回転角度に達すると、被押圧部26aに当接する。
この状態からさらに把手部5を引き出すように操作ハンドル4を回転させると、ラッチ連結レバー26が回転し、ラッチ装置14に対する係止解除操作が行われる。
以上のように構成されるハンドル装置本体10は、図6に示すように、ハンドルベース6においてドアパネル構造体1のインナーパネル1aに固定される。インナーパネル1aにはハンドル取付孔1cが開設され、ハンドルベース6には、インナーパネル1aの内側壁面に沿う固定部9が形成される。この固定部9には、インナーパネル1a側のハンドル取付孔1cに合致する取付孔9aが開設され、固定部9は、取付孔9aとハンドル取付孔1cとを貫通する図外のボルト等を使用して固定される。
また、ハンドル装置本体10の固定強度、およびぐらつきを防止するために、ハンドルベース6には、上記固定部9の固定面にほぼ直交する第2固定面9’が設定される。この第2固定面9’は、図2に示すように、ドアパネル構造体1の後端面を形成するインナーパネル1aの立ち上がり壁に固定される。
したがってこの実施の形態において、ハンドル装置本体10は、ドアパネル構造体1のインナーパネル1aの室内側壁面への固定作業だけで取付作業が完了し、取付完了状態において、操作ハンドル4の把手部5は、図2、5に示すように、外装パネル2に開設された開口3に嵌合する位置に配置される。
一方、上記エスカッション7は、上記ハンドル装置本体10がドアパネル構造体1に固定された後、ドアパネル構造体1に装着されて外装パネル2の開口3から露出した操作ハンドル4の把手部5をハンドル嵌合開口11a内に収容し、該把手部5の周囲を全周にわたって囲む。枠部11表面を外装パネル2と同一面に配置するために、外装パネル2には、枠部11を嵌合するエンボス凹部2aが開口3周縁に形成される。
上述したように、枠部11には施解錠操作スイッチ13が固定される。図7(b)に示すように、施解錠操作スイッチ13は、スイッチユニット13bが搭載された基板13cをポッティング樹脂13dによりケーシング13e内に封入して形成され、エスカッション7の枠部11裏面に突設された取付ボス11bにネジ止めされる。
また、上記スイッチユニット13bには、弾性緩衝部材13fを介してスイッチキャップ13gが連結される。スイッチキャップ13gは、エスカッション7に開設されたボタン挿通孔7aからエスカッション表面に露出する。なお、図7(b)において13hは、弾性緩衝部材13fに係止して弾性緩衝部材13fを連結するためにスイッチキャップ13gから突設される連結脚を示す。
以上のように構成されるエスカッション7は、上述したハンドル装置本体10をインナーパネル1aに固定した後、外装パネル2外側から取り付けられる。図7、8に示すように、必要な固定強度を確保し、かつ、取付作業性を高めるために、エスカッション7には、固定片8、係止部12、第2係止部12’が形成される。
固定片8は枠部11の裏面から前方に突設され、ハンドルベース6の対応部に形成されるボルト挿通孔6dに対向する埋め込みナット8aを備える。
係止部12は、図7(b)に示すように、前方に開口3する溝形状を有し、ハンドルベース6には、この係止部12に係止可能な突起状の被係止部6eが形成される。また、図7(a)に示すように、第2係止部12’は、枠部11の上下部中央に形成される。図8に示すように、第2係止部12’は前方に突出する突起形状に形成され、ハンドルベース6の対応部には、第2被係止部6e’が形成される。
以上のように構成されるエスカッション7の装着は、以下の手順により行われる。まず、エスカッション7の固定操作に際し、図8(a)に示すように、操作ハンドル4の把手部5をやや引き上げ、この後、把手部5にハンドル嵌合開口11bをくぐらせて一旦エスカッション7を後方の準備位置に保持する。本実施の形態のように、エスカッション7がドアパネル構造体3の後端に装着され、ドアパネル構造体1の後端縁にエンボス凹部2aが開放されている場合には、図8(a)に示すように、エスカッション7は外装パネルに平行な準備姿勢を取ることができるが、エンボス凹部2a終端が開放されていない場合には、エスカッション7はやや傾斜した準備姿勢に保持される。
次いで、この状態からエスカッション7を前方に並進移動させると、図8(b)に示すように、係止部12が被係止部6eに、第2係止部12’が第2被係止部6e’に各々係止し、以後、エスカッション7の後方部分のハンドルベース6からの浮き上がりが規制される。さらに、固定片8は、図2に示すように、外装パネル2の背面に潜り込む状態となり、この後、室内側からボルト(図示せず)を締め付けて固定片8をハンドルベース6に固定し、組み付け作業が完了する。
図8(b)に示すように、エスカッション7を固定した状態で、施解錠操作スイッチ13のケーシング13eは、ハンドルベース6に突設された平板状のスイッチ支承部27に支承される。このスイッチ支承部27は、スイッチキャップ13gへの押下操作による施解錠操作スイッチ13の沈み込みを規制し、使用感を向上させる。
さらに、この実施の形態において、ハンドル装置Aにはシリンダ錠28が取り付けられる。上述したように、ドアに対する施解錠操作は、利用者が所持する携帯型ID発信器との交信により制御され、シリンダ錠28は、この電子的施解錠手段の故障時の非常用施解錠手段として利用される。
図2、3に示すように、シリンダ錠28は、シリンダケース28a内にプラグ28bを回転自在に挿入して形成され、アダプタ29を介してハンドルベース6に固定される。プラグ28bの終端には、施錠操作レバー30が連結され、図外のロッドを介して施錠部16に連結される。
本発明を示す図で、(a)は自動車の全体図、(b)はドアの開放状態を示す図である。 ハンドル装置を示す断面図である。 ハンドル装置を示す図で、(a)は正面図、(b)は裏面の要部を示すである。 ハンドル装置本体の分解図で、(a)は正面図、(b)はハンドルベースへの操作ハンドルの組み付けを示す断面図である。 操作ハンドルの連結部を示す図で、(a)は図3(a)の5A-5A線断面図、(b)はバネ受けピン装着部の断面図、(c)は図5(a)の5C-5C線断面図、(d)は図5(a)の5D方向矢視図である。 ハンドル装置本体のインナーパネルへ固定操作を示す図で、図7(a)の6A-6A線断面図である。 エスカッションを示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の7B-7B線断面図である。 エスカッションのハンドルベースへの取付工程を示す図で、(a)は作業開始状態を示す断面図、(b)はエスカッションを所定位置まで移動させた状態を示す断面図である。
符号の説明
1 ドアパネル構造体
3 開口
4 操作ハンドル
5 把手部
6 ハンドルベース
7 エスカッション
8 固定片
9 固定部
10 ハンドル装置本体
11 枠部
12 係止部
13 施解錠操作スイッチ
A ハンドル装置

Claims (3)

  1. ドアパネル構造体の外装パネルに開設した開口から該ドアパネル構造体への開放操作時の手掛けを提供する操作ハンドルの把手部を露出させた自動車用ドアであって、
    前記操作ハンドルは、ドアパネル構造体内方からドアパネル構造体に固定されるハンドルベースに回転自在に連結されるとともに、
    前記把手部の周縁は、外装パネルの外方から装着されてハンドルベースに固定され、前記開口と把手部との隙間を閉塞する枠部を備えたエスカッションにより全周にわたって包囲され
    前記エスカッションは、前記開口から挿入されて外装パネル裏面に回り込む固定片においてハンドルベースにねじ止めされるとともに、固定片の開口への挿入操作時に固定片形成部の反対端に形成された係止部をハンドルベースに係止させてドアパネル構造体に固定され、
    かつ、前記エスカッションの係止部は、操作ハンドルの回転姿勢において枠部に把手部の回転端を挿通させた操作ハンドルとの噛み合い位置から噛み合い解消位置側へのスライド操作に伴ってハンドルベースに係止する自動車用ドア。
  2. 自動車のドアパネル構造体への固定部を備えたハンドルベースに操作ハンドルを回転自在に連結したハンドル装置本体と、
    操作ハンドルの把手部の周縁を全周にわたって囲む枠部を備えて前記操作ハンドルの正面側からハンドルベースに固定されるエスカッションと、
    を有し、
    前記エスカッションは、枠部の周縁裏面から枠部外方に向けて突設されてハンドルベースにネジ止めされる固定片と、
    この固定片に対向する周縁部裏面から固定片に向けて突設され、枠部の固定片形成端側へのスライド操作によりハンドルベースに係止してハンドルベースからの浮き上がり方向の移動を規制する係止部を備え、
    かつ、前記エスカッションの係止部は、操作ハンドルの回転姿勢において枠部に把手部の回転端を挿通させた操作ハンドルとの噛み合い位置から噛み合い解消位置側へのスライド操作に伴ってハンドルベースに係止する自動車用ドアハンドル装置。
  3. 前記エスカッションには、ドアパネル構造体を施解錠操作する施解錠操作スイッチが固定される請求項2記載の自動車用ドアハンドル装置。
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