JP4773872B2 - ガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、着色の程度が互いに異なる領域を含むガラス物品、より具体的には、着色の程度が互いに異なる領域を含む薄膜により被覆されたガラス板の製造方法に関する。
着色ガラスの製造方法として、ガラス中に金属微粒子を分散させる方法が知られており、分散させる金属微粒子の種類や分散量、あるいは、ガラスの組成などを選択することにより、様々な色調を示す着色ガラスを製造できる。
このような金属微粒子が分散した着色ガラスにおいて、着色の程度を低減させる技術が、非特許文献1に開示されている。非特許文献1では、銀のコロイド微粒子を含有するソーダライムガラスに対して電圧を印加して当該ガラス内に電界を誘起し、電界が誘起された部分の銀をイオン化してガラス中に溶解させることで、その着色の程度が低減できることが示されている。非特許文献1に開示された方法によれば、着色ガラスにおける所定の領域に電圧を印加することにより、着色の程度が互いに異なる2つあるいはそれ以上の領域を有するガラスを得ることができ、例えば、着色領域と非着色領域(消色領域)とがパターン化されたガラス物品を製造できる。
オリバー・ドパリら(Oliver Deparis et al.)、「ポーリング−アシステッド ブリーチング オブ メタル−ドープド ナノコンポジット グラス」("Poling-assisted bleaching of metal-doped nanocomposite glass")、アプライド フィジックス レターズ(Applied Physics Letters)、2004年、第85巻、第6号、p.872−874
非特許文献1の方法では、金属微粒子をイオン化することにより着色の程度を低減できるが、イオン化に必要な電圧の大きさは、微粒子を構成する金属がどの程度イオン化されやすいかに依存する。一方、着色ガラスとするための金属微粒子として、銀よりもイオン化されにくい、パラジウム、白金、金などからなる微粒子も使用されており、これらの微粒子をイオン化するためには、より大きな電圧の印加、即ちより大きなエネルギー、が要求され、上記文献1の方法ではイオン化が困難である。
そこで本発明は、着色の程度が互いに異なる領域を含むガラス物品の製造方法であって、上記文献1に開示の方法に比べて、金属微粒子による着色の程度の低減をより低いエネルギーで実現できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明のガラス物品の製造方法(第1の製造方法)は、第1領域および第2領域を含み、前記第1領域が金属微粒子により着色し、前記第2領域の着色が前記第1領域の着色よりも薄いガラス物品を、前記第2領域となるガラス物品の所定領域に電圧を印加することにより、当該所定領域に含まれる金属微粒子の少なくとも一部をイオン化して製造する、ガラス物品の製造方法である。ここで、電圧を印加するガラス物品が、ガラス板と前記ガラス板上に形成された薄膜とを含み、前記ガラス板の導電率が前記薄膜の導電率より大きく、前記薄膜が前記金属微粒子を含有している。本発明の第1の製造方法では、前記電圧を印加するための陽極および陰極の間に前記薄膜および前記ガラス板を配置しながら前記ガラス物品に前記電圧を印加して、前記所定領域において、前記薄膜中の金属微粒子の少なくとも一部をイオン化する。
本発明のガラス物品の製造方法(第2の製造方法)は、第1領域および第2領域を含み、前記第1領域が金属微粒子により着色し、前記第2領域の着色が前記第1領域の着色よりも薄いガラス物品を、前記第2領域となるガラス物品の所定領域に電圧を印加することにより、当該所定領域に含まれる金属微粒子の少なくとも一部をイオン化して製造する、ガラス物品の製造方法である。ここで、電圧を印加するガラス物品が、ガラス板と前記ガラス板上に形成された薄膜とを含み、前記ガラス板がアルカリ金属元素を含み、前記ガラス板におけるアルカリ金属元素の含有率が前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高く、前記薄膜が前記金属微粒子を含有している。本発明の第2の製造方法では、前記電圧を印加するための陽極および陰極の間に前記薄膜および前記ガラス板を配置しながら前記ガラス物品に前記電圧を印加して、前記所定領域において、前記薄膜中の金属微粒子の少なくとも一部をイオン化する。
本発明の製造方法によれば、金属微粒子を含む薄膜をガラス板上に形成したガラス物品とし、当該ガラス物品に電圧を印加することにより、電圧を印加した領域、即ち電界が誘起された領域、における薄膜中の金属微粒子をイオン化して、当該領域の着色の程度を低減できる。
第1の製造方法では、金属微粒子を含む薄膜の導電率よりもガラス板の導電率が大きいこと、が必要である。
第2の製造方法では、ガラス板がアルカリ金属元素を含み、かつ、ガラス板におけるアルカリ金属元素の含有率が薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率よりも高いこと、が必要である。ガラス中のアルカリ金属元素は、一般に、当該ガラスにおけるイオン伝導性を含む導電性を増大させる作用を有するため、上記ガラス板と上記薄膜とでは、ガラス板の導電率が薄膜に比べて大きくなる。
このように導電率が互いに異なる層からなる積層体に電圧を印加すると、導電率が相対的に小さい層、即ち薄膜、に電圧をより集中させることができ、金属微粒子を含有する層である薄膜に誘起される電界の強度を増大できる。即ち、本発明の製造方法では、非特許文献1に開示されているような金属微粒子を含むバルクのガラスに電圧を印加する方法に比べて、金属微粒子のイオン化による着色の程度の低減をより低いエネルギーで実現できる。
また、本発明の製造方法によれば、従来の方法では困難であった、パラジウム、白金、金などからなる微粒子をより容易にイオン化することができる。
第1の製造方法では、互いに異なる導電率を発現する組成を有するガラス板と薄膜とを積層したガラス物品とし、当該ガラス物品に電圧を印加すればよい。
具体的には、例えば、アルカリ金属元素を含むガラス板とし、かつ、ガラス板におけるアルカリ金属元素の含有率を、薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高くすればよい。上述したように、ガラス中のアルカリ金属元素は、一般に、当該ガラスにおけるイオン伝導性を含む導電性を増大させる作用を有するため、ガラス板の導電率を薄膜の導電率に比べて大きくできる。
また例えば、鉄(Fe)、ビスマス(Bi)、バナジウム(V)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)から選ばれる少なくとも1種の元素を含むガラス板とし、かつ、ガラス板における上記少なくとも1種の元素の含有率を、薄膜における上記少なくとも1種の元素の含有率より高くすればよい。上記少なくとも1種の元素は、当該ガラスにおける電子伝導性を含む導電性を増大させる作用を有するため、ガラス板の導電率を薄膜の導電率に比べて大きくできる。
第1の製造方法では、ガラス板および薄膜の組成は、ガラス板の導電率が薄膜の導電率よりも大きい限り、上記例に限定されない。
第2の製造方法では、ガラス板の組成は、ガラス板がアルカリ金属元素を含み、その含有率が、薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率よりも大きい限り特に限定されない。ガラス板が含むアルカリ金属元素としてはリチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)から選ばれる少なくとも1種が代表的であり、例えば、ガラス板が、建築用および車両用などの用途に一般的に用いられるソーダライムガラスであればよい。ソーダライムガラスは、少なくともNa2Oを成分として含む。
第2の製造方法では、薄膜の組成は、そのアルカリ金属元素の含有率がガラス板におけるアルカリ金属元素の含有率よりも小さい限り特に限定されない。薄膜の導電率をできるだけ小さくし、薄膜に誘起される電界の強度をより増大させる観点からは、薄膜がアルカリ金属元素を実質的に含まないことが好ましい。
以下、第1および第2の製造方法に共通の事項について説明する。
上述したように、本発明の製造方法では、導電率が相対的に小さい薄膜に金属微粒子を含有させることにより、当該薄膜に誘起される電界の強度を増大させて、金属微粒子を効率よくイオン化できる。このため、導電率が相対的に大きいガラス板が金属微粒子を実質的に含まなくてもよい。
ガラス板の形状、サイズなどは特に限定されず、例えば、建築用あるいは車両用などの用途に用いるガラス板と同様であればよい。
薄膜が含有する金属微粒子の種類は特に限定されず、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)および銀(Ag)から選ばれる少なくとも1種を含む微粒子であればよい。互いに異なる金属を含む2以上の種類の微粒子を薄膜が含有していてもよい。本発明の製造方法では、薄膜が、金、白金およびパラジウムなど、銀よりもイオン化されにくい金属微粒子を含有する場合においても、当該金属微粒子をより効率よくイオン化できる。即ち、薄膜が、金、白金およびパラジウムから選ばれる少なくとも1種を含む金属微粒子を含有していてもよく、上述した中で最もイオン化されにくく安定した金属である金を含む微粒子を含有していてもよい。薄膜は、よりイオン化されやすい金属を含む微粒子を含有していてもよく、例えば、銅(Cu)の微粒子を含有する薄膜であってもよい。
金属がイオン化される程度を示す指標として、当該金属の標準電極電位E0(25℃)を用いることができ、E0が大きいほどイオン化されにくい金属であるといえる。上記各金属のE0は、電気化学会編、電気化学便覧第5版(丸善)p91−95によれば、銀が0.799V、パラジウムが0.915V、白金が1.188V、金が1.52Vである。
金属微粒子は薄膜が着色する程度の粒径であればよく、平均粒径にして、通常、1nm〜30nm程度である。例えば、金属微粒子が金微粒子である場合、薄膜におけるマトリクスの屈折率およびガラス板自体の透過色調などにもよるが、薄膜とガラス板との積層体の透過色調を、赤、ピンク、紫、青など様々に変化させることができる。
薄膜における金属微粒子の含有率は薄膜が着色する程度であればよく、通常、1重量%〜30重量%程度であり、3重量%〜20重量%程度が好ましい。薄膜が複数の異なる金属微粒子を含有する場合、上記含有率は、各金属微粒子の含有率の合計値であればよい。
薄膜の厚さは、薄膜に誘起される電界の強度をより増大させるために、ガラス板の厚さに比べて十分に小さいことが好ましく、例えば、10nm〜1μm程度であればよく、30nm〜500nm程度が好ましい。
薄膜の厚さd1とガラス板の厚さd2との比d1/d2は、例えば、1×10-6〜1×10-2程度であればよく、5×10-6〜5×10-4程度が好ましい。
ガラス板上への薄膜の形成方法は特に限定されないが、薄膜が、ゾルゲル法により形成された膜であることが好ましい。
ゾルゲル法による薄膜の形成は、例えば、特開平10-316885号公報や特開平09-235141号公報に開示されている方法に従えばよく、一例として金の微粒子を含む薄膜は、ケイ素(Si)アルコキシドに代表される有機ケイ素化合物と、金の塩である塩化金酸とを含むコーティング溶液をガラス板上に塗布した後に、全体を熱処理して形成できる。この場合、薄膜は、SiO2のマトリクスに金微粒子が分散した構造を有する。
ゾルゲル法においてガラス板上に塗布するコーティング溶液は、形成する薄膜におけるマトリクスの屈折率調整を目的として、有機チタン(Ti)化合物、有機セリウム(Ce)化合物などの有機金属化合物を含んでいてもよく、これらの有機金属化合物は、熱処理により、TiO2あるいはCeO2などの無機酸化物として薄膜のマトリクス中にSiO2とともに含まれる。
ゾルゲル法では、上記コーティング溶液が硝酸銀などの銀の塩を含む場合、銀微粒子が分散した薄膜を形成でき、同様に、上記コーティング溶液が塩化パラジウムなどのパラジウムの塩を含む場合にはパラジウム微粒子が分散した薄膜を、上記コーティング溶液が塩化白金酸などの白金の塩を含む場合には白金微粒子が分散した薄膜を、それぞれ形成できる。
薄膜は、ガラス板との積層体であるガラス物品における着色膜であるともいえ、本発明の製造方法は、着色の程度が互いに異なる領域を含む薄膜により被覆されたガラス板の製造方法であるともいえる。
ガラス物品が含む薄膜およびガラス板の層数は、それぞれ特に限定されず、ガラス物品が2以上の薄膜および/または積層体を含んでいてもよい。本発明の製造方法では、薄膜における電圧が印加された領域の着色の程度を低減できるため、薄膜は必ずしも外部に露出していなくてもよく、例えば、一対のガラス板により薄膜が狭持されていてもよい。
本発明の製造方法では、薄膜の誘電率がガラス板の誘電率よりも小さいことが好ましく、この場合、薄膜に誘起される電界の強度をより増大できる。薄膜とガラス板との間における誘電率の相対的な関係は、薄膜および/またはガラス板の組成を制御することにより調整できる。
薄膜およびガラス板の積層体に電圧を印加する方法は特に限定されず、例えば、ガラスのポーリング方法を応用すればよい。例えば、図1に示すように、金属微粒子4を含む薄膜1とガラス板2との積層体3を、直流電源などの電圧印加機構8に接続した陽極5および陰極6により狭持し、電圧印加機構8により、陽極5および陰極6間に電圧を加えればよい。
積層体3に印加する電圧の大きさは、薄膜1における電圧が印加される領域(電圧印加領域9)の着色をどの程度低減させるか、即ち、電圧印加領域9における金属微粒子4をどの程度イオン化させるかに応じて任意に設定すればよい。陽極5および陰極6間に加える電圧を大きくすることにより、薄膜1に誘起される電界の強度を増大でき、金属微粒子4のイオン化、即ち、電圧印加領域9における着色の程度の低減を促進できる。
本発明の製造方法では、積層体3に印加する電圧の大きさ、および/または、電圧を印加する時間などを適切に設定することにより、図2に示すように、着色領域10と、電圧印加領域9に対応する非着色(消色)領域11とからなる薄膜1を形成でき、このような薄膜1により被覆されたガラス物品12を製造できる。
電圧を印加した領域(第2領域)は、当該領域に含まれていた金属微粒子がすべてイオン化して消失した非着色領域11であってもよいが、金属微粒子の一部が残存していてもよい。この場合、第2領域は、電圧を印加していない領域(第1領域)よりは、着色の程度が小さいものの、第1領域と同様、金属微粒子に由来する着色を有する。
電圧を印加する際には、図1に示すように、陽極5および陰極6が積層体3と接することが好ましい。積層体3に印加する電圧の向きは特に限定されないが、例えば、薄膜1が陽極5側であればよい。
陽極5および陰極6の構成は、積層体3に電圧を印加できる限り特に限定されない。例えば、陽極5および陰極6の少なくとも1つの電極の形状が、積層体3の表面に垂直な方向から見たときに、電圧印加領域9の形状と同一であればよい。
積層体3に電圧を印加する際に、積層体3を昇温してもよく、例えば、積層体3の温度を、ガラスの熱ポーリングを実施する際の温度程度(通常、100℃〜400℃程度である)とすればよい。積層体3を昇温することにより、電圧の印加による金属微粒子4のイオン化をより促進できる。
本発明の製造方法について、実施例を用いてより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(実施例)
最初に、有機ケイ素化合物としてエチルシリケート(コルコート社製「エチルシリケート40」)50gに、加水分解触媒として0.1N塩酸6gと、溶媒としてエチルセロソルブ44gとを加え、室温で2時間攪拌して溶液Aを得た。溶液Aは、SiO2換算でSiを20重量%含有する。
溶液Aの形成とは別に、チタンイソプロポキシド1モルに、アセチルアセトン2モルを攪拌しながら滴下して溶液Bを得た。溶液Bは、TiO2換算でTiを16.5重量%含有する。
溶液A、Bの形成とは別に、硝酸セリウム6水和物を、CeO2換算で23.2重量%となるようにエチルセロソルブに加えて溶液Cを得た。
溶液A〜Cの形成とは別に、塩化金酸4水和物を10重量%の濃度となるようにエチルセロソルブに溶解させて溶液Dを得た。
次に、2.25gの溶液A、0.12gの溶液B、および、0.18gの溶液Cを混合して混合溶液とし、この混合溶液にエチルセロソルブ5.5gをさらに加えた後に、2gの溶液Dを加えて全体を十分に攪拌し、コーティング溶液を得た。
次に、上記のように形成したコーティング溶液を、ガラス板として厚さ3.4mm、10cm角のソーダライムガラス上にスピンコートにより塗布した。コーティング溶液の塗布後、250℃で2時間熱処理し、さらに720℃で120秒焼成して、金コロイド微粒子を含む薄膜により被覆されたガラス板(サンプル1)を作製した。
薄膜の組成は、上記各溶液の混合比から、SiO275.7重量%、TiO23.3重量%、CeO25重量%、金コロイド微粒子を16重量%(金微粒子を含めて合計100重量%)であり、アルカリ金属元素を含まない。薄膜の厚さは108nmであり、薄膜、即ち、サンプル1全体の透過色調はピンクであった。
本実施例では、その組成から判断して、上記ガラス板の導電率は上記薄膜の導電率よりも大きくなる。
次に、図1に示すように、作製したサンプル1における薄膜の表面にステンレスからなる陽極(9.1mm×6.9mm、厚さ1.3mm)を圧着するとともに、ガラス板の表面にステンレスからなる陰極(9.1mm×6.5mm、厚さ2.5mm)を圧着して、サンプル1を陽極と陰極とにより狭持した。陽極および陰極は、サンプル1の表面に垂直な方向から見たときに、各々の電極の中心が一致するように配置した。
次に、陽極および陰極を電圧印加機構である高電圧直流電源に電気的に接続した後、サンプル1を電気炉に収容して280℃に昇温し、280℃に保持したまま電極間に最大1kVの電圧を印加した。電圧は、200Vずつ、5ステップで1kVまで上昇させ、各ステップにおいてそれぞれ10分間保持した。5番目のステップとして1kVの電圧を10分間印加した後、電圧の印加を止め、サンプル1を自然放冷により室温に戻した。その後、陽極および陰極をサンプル1から除去したところ、サンプル1の表面に垂直な方向から見たときに陽極および陰極が重複していた領域、即ち、電圧印加領域において薄膜が消色しており、当該領域におけるガラス板を含む透過色調は無色透明であった。これに対して、電圧を印加していない領域は、元の透過色調を保持しており、図2に示すような、着色領域と消色領域とからなるガラス物品を形成できた。
波長350nm〜950nmの光に対するサンプル1の電圧印加領域における吸収スペクトルを、電圧を印加する前後において評価したところ、図3に示すように、電圧の印加により、波長520nm近傍をピークとする吸収が消失したことがわかった。当該ピークは、金コロイド微粒子による吸収帯域に対応しており、電圧の印加により、薄膜中の金微粒子がイオン化したと推定される。なお、図3における横軸は波長(nm)であり、縦軸は吸光度(a.u.)である。
また、上記と同様に作製したサンプル1に対し、最大400Vの電圧を印加する試験を上記とは別に行ったところ、電圧印加領域において薄膜は消色しなかったものの、電圧を印加していない領域に比べて着色の程度が大きく低減していた。
(比較例)
比較例では、金微粒子が全体に分散したガラス板に対して、実施例と同様に電圧の印加を行い、その着色の程度の変化を評価した。
最初に、シリカガラス(イタルクオーツ社製、タイプI、厚さ1mm)の表面に、スパッタリングにより金薄膜(厚さ140nm)を形成した。次に、全体を850℃〜1200℃に昇温させ、金をシリカガラス中に拡散させて、金微粒子が全体に分散したシリカガラス(比較例であるサンプルA)を作製した。作製したシリカガラスの透過色調は、ピンクであった。
次に、作製したシリカガラスに対して、実施例と同様に陽極および陰極を配置した。続いて、陽極および陰極を高電圧電源に電気的に接続した後、サンプルAを電気炉に収容して280℃に昇温し、280℃に保持したまま電極間に3.1kVの電圧を15分間印加した。その後、電圧の印加を止め、サンプルAを自然放冷により室温に戻し、陽極および陰極を除去したところ、電圧印加領域における消色は観察されず、当該領域における透過色調は、電圧を印加していない領域とほぼ同一であった。
本発明によれば、着色の程度が互いに異なる領域を含むガラス物品の製造方法であって、金属微粒子による着色の程度の低減をより低いエネルギーで実現できる製造方法を提供できる。
本発明の製造方法により得たガラス物品は、例えば、自動車などの車両用ウィンドウ、建築物の窓、あるいは、鏡などの用途に用いることができる。
本発明のガラス物品の製造方法の一例を説明するための模式図である。 本発明のガラス物品の製造方法により製造したガラス物品の一例を示す模式図である。 実施例において評価した、電圧を印加する前後におけるサンプル1の電圧印加領域の吸収スペクトルの変化を示す図である。
符号の説明
1 薄膜
2 ガラス板
3 積層体
4 金属微粒子
5 陽極
6 陰極
8 電圧印加機構
9 電圧印加領域
10 着色領域
11 非着色(消色)領域
12 ガラス物品

Claims (8)

  1. 第1領域および第2領域を含み、前記第1領域が金属微粒子により着色し、前記第2領域の着色が前記第1領域の着色よりも薄いガラス物品を、前記第2領域となるガラス物品の所定領域に電圧を印加することにより、当該所定領域に含まれる金属微粒子の少なくとも一部をイオン化して製造する、ガラス物品の製造方法であって、
    電圧を印加するガラス物品が、ガラス板と前記ガラス板上に形成された薄膜とを含み、
    前記ガラス板の導電率が、前記薄膜の導電率より大きく、
    前記薄膜が前記金属微粒子を含有し、
    前記電圧を印加するための陽極および陰極の間に前記薄膜および前記ガラス板を配置しながら前記ガラス物品に前記電圧を印加して、前記所定領域において、前記薄膜中の金属微粒子の少なくとも一部をイオン化する、ガラス物品の製造方法。
  2. 前記ガラス板がアルカリ金属元素を含み、
    前記ガラス板におけるアルカリ金属元素の含有率が、前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高い、請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 第1領域および第2領域を含み、前記第1領域が金属微粒子により着色し、前記第2領域の着色が前記第1領域の着色よりも薄いガラス物品を、前記第2領域となるガラス物品の所定領域に電圧を印加することにより、当該所定領域に含まれる金属微粒子の少なくとも一部をイオン化して製造する、ガラス物品の製造方法であって、
    電圧を印加するガラス物品が、ガラス板と前記ガラス板上に形成された薄膜とを含み、
    前記ガラス板がアルカリ金属元素を含み、前記ガラス板におけるアルカリ金属元素の含有率が前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高く、前記薄膜が前記金属微粒子を含有し、
    前記電圧を印加するための陽極および陰極の間に前記薄膜および前記ガラス板を配置しながら前記ガラス物品に前記電圧を印加して、前記所定領域において、前記薄膜中の金属微粒子の少なくとも一部をイオン化する、ガラス物品の製造方法。
  4. 前記ガラス物品を昇温した状態で、前記ガラス物品に前記電圧を印加する、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス物品の製造方法。
  5. 前記金属微粒子が金を含む請求項1〜4のいずれかに記載のガラス物品の製造方法。
  6. 前記薄膜がアルカリ金属元素を実質的に含まない請求項1〜5のいずれかに記載のガラス物品の製造方法。
  7. 前記ガラス板が金属微粒子を実質的に含まない請求項1〜6のいずれかに記載のガラス物品の製造方法。
  8. 前記薄膜が、ゾルゲル法により形成された請求項1〜7のいずれかに記載のガラス物品の製造方法。
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