JP4773652B2 - 微粉製造装置および微粉製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置本体の内部に、上向きの圧縮気体を吹き出すノズルと、前記圧縮気体によって処理対象である粉体を加速させる加速管と、加速した前記粉体を衝突させるべく、前記加速管に連通した粉砕室に設けた衝突板とを備えると共に、粉砕した微粉を排出すべく前記衝突板の上方に設けた分級手段と、前記分級手段で分級排出されなかった粉体を再び前記ノズルの側に戻すために、前記粉砕室及び前記加速管を取囲む状態に設けた戻り流路とを備え、さらに、前記戻り流路の下方に設けた粉体受面の下端部を、前記ノズルの外周部近傍であって、かつ、前記加速管の下端部近傍の位置まで延出させると共に、前記粉体受面の下方側から前記ノズルの外周部に向けて粉体流動用の気体を供給する流動気体供給孔を設けてある微粉製造装置、および、当該微粉製造装置を用いた微粉製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような微粉製造装置を用いて粉体を粉砕処理する際には、粉体の処理状況を把握することが重要である。即ち、微粉製造装置を安定な状態で運転するためには、装置の内部に投入する粉体の量を適量に維持する必要があるからである。
従来の微粉製造装置では、例えば、前記流動気体供給孔の近傍に圧力検出器を設けておき、流動気体供給孔から供給される流動気体の圧力変動をモニターするものがあった。前記戻り流路を落下してきた粉体は、流動気体によって再びノズルの側に吹き上げられる。しかし、仮に投入する粉体の量が多過ぎると、流動気体供給孔の近傍に堆積している粉体が押し固められ固着し易くなる。この結果、前記流動気体供給孔が閉塞気味となり、粉体の循環状態が停滞しがちになる。この状態のとき流動気体の供給側では圧力が上昇する。
このように、従来の微粉製造装置では、流動気体供給孔の近傍で流動気体の圧力をモニターし、特に、圧力が上昇した場合に、粉体の循環状態が悪化していると判断していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、流動気体供給孔の近傍で圧力を測定する場合には、粉体の循環状態を把握することはできても、微粉製造装置の内部に残存している粉体の総量を把握することは困難であった。例えば、粉体の循環状態が良好にみえても、粉体の閉塞が生じているという事態は十分に起こり得るからである。即ち、戻り流路が完全に閉塞していても、流動気体供給孔と加速管とが十分に連通しているような場合には、流動気体供給孔からの流動気体は抵抗なく加速管の側に流出することができる。このため、粉体の抵抗が減少した流動気体供給孔の近傍では、流動気体がスムーズに流動することができる。この場合には、未処理の粉体が多く残存している状態でありながら、流動気体供給孔の近傍の圧力が低下することで、あたかも粉体の残量が少なくなっているような状態として検出される。
【0004】
微粉製造装置の内部には処理する粉体を残存させないのが好ましい。歩留まりの観点からは、これは全ての粉体を処理する場合に共通する。そして、特に、処理対象である粉体が、例えば磁石用材料として用いられる希土類材料のように強い酸化性を有するものである場合には、このことは重要である。例えば、内部の清掃等に際して装置を開封すると、上記希土類材料は、進入した気体と激しく反応して発火する場合があるからである。
【0005】
このように、従来の微粉製造装置では、装置の内部に残存している粉体の量を正確に把握し、あるいは運転状態が健全であるか否かを的確に判断することについては未だ改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、装置の内部に残存している粉体の総量を正確に把握でき、さらには、装置の運転状態が健全であるか否かを判断し得る微粉製造装置および微粉製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔構成1〕
本発明の微粉製造装置は、請求項1に示すごとく、装置本体の内部に、上向きの圧縮気体を吹き出すノズルと、前記圧縮気体によって処理対象である粉体を加速させる加速管と、加速した前記粉体を衝突させるべく、前記加速管に連通した粉砕室に設けた衝突板とを備えると共に、粉砕した微粉を排出すべく前記衝突板の上方に設けた分級手段と、前記分級手段で分級排出されなかった粉体を再び前記ノズルの側に戻すために、前記粉砕室及び前記加速管を取囲む状態に設けた戻り流路とを備え、さらに、前記戻り流路の下方に設けた粉体受面の下端部を、前記ノズルの外周部近傍であって、かつ、前記加速管の下端部近傍の位置まで延出させると共に、前記粉体受面の下方側から前記ノズルの外周部に向けて粉体流動用の気体を供給する流動気体供給孔を設けてあり、前記粉体流動用の気体を前記流動気体供給孔に供給する流動気体貯留部を前記流動気体供給孔に連設してあり、前記装置本体の内部圧力を常圧よりも上げた状態で処理を行うプラス運転と、前記装置本体の内部圧力を常圧よりも下げた状態で処理を行うマイナス運転との間で切り換え可能に構成されている微粉製造装置であって、前記戻り流路に配置された第1圧力検出器と、前記流動気体貯留部に配置された第2圧力検出器と、前記プラス運転における粉砕処理状態を前記第1圧力検出器及び前記第2圧力検出器の検出結果に基づいて判定し、前記マイナス運転における粉砕処理状態を少なくとも前記第2圧力検出器の検出結果に基づいて判定する制御装置とを備えている点に特徴を有する。
〔作用効果〕
装置本体内部の粉体の総量は、粉体処理の進行程度に応じて常に変化する。例えば、処理された粉体が排出されることで前記総量は減少し、装置本体に新たに粉体が投入されると前記総量は増大する。
一方、前記分級手段から排出される気体の流量と、前記ノズル等から装置本体の内部に供給する気体の流量とは略一定であるから、装置本体の内部に存在する気体の総量は略一定である。しかし、粉体の総量が上記のごとく変化するから、装置本体の内部気圧は増減することとなる。
【0008】
装置本体の内部において、その気圧は、粉体の総量が増大するほど低くなり、粉体の総量が減少するほど高くなる。これは以下の理由による。つまり、粉体の総量が増大し、粉体受面に堆積する粉体の堆積高さが上昇すると、当該粉体の重量の影響で、前記ノズルの周囲に押し出される粉体の流量が増大する。これらの粉体は、ノズル及び流動気体供給孔から噴出する気体に対して抵抗となる。抵抗が増大すれば、装置本体の内部に供給される気体の総量が減少し、結果的に装置本体の気圧が低下するのである。
粉体の総量が減少する場合には、逆に、ノズルの周囲に向かって流動しようとする粉体が減少する。よって、気体の噴出に対する抵抗が減少し、装置本体の内部に供給される気体の総量が増大して、装置本体の内部気圧が上昇する。
そして、装置本体の内部において気圧の増減が最も敏感に現れるところが前記粉体の堆積部上面の近傍となる。当該上面の位置は頻繁に上下するからである。
【0009】
よって、本発明のごとく、粉体の堆積部上面が位置する戻り流路に圧力検出器を設けることで、装置本体の内部圧力の変化を最も正確かつ迅速に検知することができ、装置本体の内部に残存している粉体の総量を知ることができる。また、このように、残存している粉体の総量を知ることができれば、装置本体の内部に残存している粉体の量が最も少なくなったことを確認したうえで、装置の運転を停止することが容易となる。この結果、処理する粉体を変更する際等に、無駄となる粉体の量を低減することができ、微粉の製造効率を向上させることができる。特に、処理する粉体が希土類材料である場合には、装置を開放する際に残存する原料粉体の総量を少なくして発火等のトラブルが生じるのを確実に防止することができる。
ところで、この種の微粉製造装置では、戻り流路に圧力検出器を設けておくことで、装置の内部に残留している粉体の総量を知ることができるが、戻り流路に設けた圧力検出器のみでは、粉体の堆積高さを正確に把握できない場合がある。つまり、戻り流路の圧力検出器が圧力の増大を検出したとしても、当該増大は、必ずしも粉体の堆積高さの減少によるものとは限らない。例えば、粉体が十分に堆積している状態で、前記流動気体供給孔の上方で粉体が固着し、流動気体供給孔が閉塞して、ノズル周辺への粉体の流動が停止することがある。この場合、ノズルからの圧縮気体が抵抗なく装置本体の内部に供給されていると、装置内部の気圧は上昇する。そこで、本発明では、前記流動気体供給孔に流動気体貯留部を連設し、さらに、当該流動気体貯留部に第2の圧力検出器を備えてある。本構成のごとく流動気体貯留部の圧力を監視しておけば、上記のごとく、流動気体供給孔が閉塞したような場合に、流動気体貯留部の圧力上昇を検知して、前記閉塞が生じている事実を知ることができる。この結果、装置本体内部の圧力の増大は、粉体の減少によるものではなく、流動気体供給孔の閉塞によるものであることが判断できる。このように、双方の圧力検出器の検出結果を参照することで、当該装置の運転状態を正確に知ることができる。
さらに、本発明では、前記装置本体の内部圧力を常圧よりも上げた状態で処理を行うプラス運転と、前記装置本体の内部圧力を常圧よりも下げた状態で処理を行うマイナス運転との間で切り換え可能に構成されているので、非常に酸化・燃焼し易いためにプラス運転が有利な希土類材料と、より軽量で微小な粒子径にまで粉砕されることから、マイナス運転が有利なコピー機用のトナーとのいずれの粉砕処理にも適用できる。
また、本発明の微粉製造装置では、前記プラス運転における粉砕処理状態を前記第1圧力検出器及び前記第2圧力検出器の検出結果に基づいて判定し、前記マイナス運転における粉砕処理状態を少なくとも前記第2圧力検出器の検出結果に基づいて判定する制御装置とを備えているので、プラス運転及びマイナス運転のいずれで運転している場合も粉砕処理状況を正確に判定できる。
【0010】
〔構成2〕
本発明の微粉製造装置においては、請求項2に示すごとく、前記第1圧力検出器を、前記戻り流路のうち最も断面積の小さい部位に設けておくことができる。
〔作用効果〕
粉砕室の内部のうち圧力変動が最も敏感に生じる部分が戻り流路であることは上述の通りである。ただし、戻り流路の形状、特に、その断面形状は必ずしも一様ではない。よって、本構成のごとく、戻り流路のうち断面積の最も小さい位置に第1圧力検出器を設けることで、粉体総量の変動に伴う気圧変動を最も敏感に検知することができ、粉体の残量をより正確に把握することができることとなる。
【0011】
〔構成3〕
本発明の微粉製造装置においては、請求項3に示すごとく、前記戻り流路の内周面のうち少なくとも一部に垂直面を構成しておき、当該垂直面に前記第1圧力検出器を設けておくことができる。
〔作用効果〕
粉砕処理する粉体の種類によっては、戻り流路の壁面に付着し易いものが存在する。特に、粒径が小さい粉体や、比重が小さい粉体等は壁面に付着し易い。このような粉体を粉砕処理する場合に、第1圧力検出器の検知部に粉体が付着すると、その後、正確な圧力検出を行うことが困難となる。
そこで、本構成のごとく、前記戻り流路の内周面のうち少なくとも一部に垂直面を構成しておき、当該垂直面に前記第1圧力検出器を設けることで、上記粉体の付着を抑制し、粉体の種類に拘わらず装置本体内部の圧力変動を正確に検出することができる。
【0012】
〔構成4〕
本発明の微粉製造装置は、請求項4に示すごとく、前記粉砕室を、前記装置本体の内部に配置した粉砕室形成部材によって構成しておき、前記第1圧力検出器を、前記粉砕室形成部材の上縁部よりも下方に設けておくことができる。
〔作用効果〕
粉砕処理に際して、微粉製造装置の内部には所定量の粉体を投入する。この所定量とは、衝突板に衝突させた粉体が、粉砕室形成部材の外側に確実に排出され、装置本体の内部で粉体が安定的に循環し得る量である。そのためには、例えば、堆積した粉体の上面を前記上縁部よりも下方に位置させ、粉体が、粉砕室形成部材の内部に逆流しないようにすることが考えられる。
【0013】
そこで、本構成では、第1圧力検出器を粉砕室形成部材の上縁部よりも下方に設けた。これにより、仮に、粉体の上面高さが増して粉体が粉砕室の内部に逆流しそうになった場合には、実際に粉体の逆流が生じる前に、第1圧力検出器が粉体の内部に埋没することとなる。埋没した第1圧力検出器は、正確な圧力変動を検出できなくなる。その際の、圧力検出値の異常を検出することで、結果的に、粉体の貯留量が過大となったことを認識するのである。
【0016】
〔手段1〕
本発明の微粉製造方法は、請求項6に示すごとく、上記構成1から5の何れかに記載した微粉製造装置を用い、粉砕する粉体の種類に応じて前記装置本体の内部圧力を基準圧力に設定しつつ微粉を製造する方法であって、前記微粉製造装置を運転する際の、前記粉体の種類と前記基準圧力とに応じた、前記戻り流路の圧力と前記装置本体の内部に存在する粉体総量との相関関係を予め求めておき、
(1) 前記装置本体の内部を基準圧力に設定する工程、および、
(2) 前記戻り流路の圧力を測定する工程、
(3) 前記相関関係に基づいて前記装置本体内部の粉体総量を判定する工程、
(4) 当該判定に基づいて、前記装置本体内部への粉体の投入量を決定する工程を含む点に特徴を有する。
〔作用効果〕
上記構成1の項で記載したとおり、上記微粉製造装置は、装置本体の内部圧力の変化を正確かつ迅速に検知することができるものである。そして、本手段のごとく、特に、基準圧力下で装置を運転すると共に、前記内部圧力と粉体総量との相関関係を予め求めておくものであれば、圧力測定結果から装置本体内部に残存している粉体総量を極めて正確に知ることができる。この結果、更に投入する粉体の量や投入のタイミングを適切に決定することができ、装置の運転状態を最適に設定して品質に優れた製品粉体を効率よく得ることができる。
【0017】
〔手段2〕
本発明の微粉製造方法は、請求項7に示すごとく、前記粉体として希土類材料を用い、前記基準圧力を、前記装置本体の外部の圧力よりも高く設定する点に特徴を有する。
〔作用効果〕
希土類材料は、非常に酸化し易い材料であり、時には空気等と激しく反応して発火するおそれがある。そこで、本手段のごとく、前記粉体として希土類材料を用いる場合には、前記基準圧力を装置本体の外部の圧力よりも高く設定しておくことで、外部の空気が装置本体の内部に侵入するのを確実に防止することができる。この結果、希土類材料の粉砕処理を安全に行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
粉砕処理の対象となる粉体1には、例えば、コピー機のトナーのようにかさ密度の小さいものや、磁石等の材料として用いる希土類材料のようにかさ密度の大きいもの、さらには、ネオジウム鉄ボロン等のように鉄よりもネオジウムが先に割れ易いという特有の粉砕態様を有するもの等が存在する。
【0019】
本発明の微粉製造装置は、上記のごとく何れの粉体1に対しても適用可能であって、内部に残存している粉体の量を的確に把握でき、さらに、装置の運転状態が健全であるか否かを判断し得る微粉製造装置を提供するものである。
【0020】
(概要)
本発明の微粉製造装置を図1に示す。本発明の装置は、上記何れの粉体1であっても、例えば粒度分布の狭い製品粉体を得ようとするものである。
その装置本体2の内部には、上向きの圧縮気体3を吹き出すノズル4を有する。前記ノズル4の上方には、圧縮気体3によって粉体1を加速する加速管5を備えている。この加速管5の上方には、粉砕室6Aを形成してある。当該粉砕室6Aの内部には、加速した前記粉体1を衝突させる衝突板7を備えている。
【0021】
前記衝突板7の上方にはローター8を有する分級手段9を設けてある。当該分級手段9では、所定の粒径よりも小さい粉体1のみが分級排出される。前記分級手段9で排出されなかった粉体1は再び前記ノズル4の側に戻される。そのための戻り流路10が、前記粉砕室6A及び前記加速管5の周囲に設けてある。
【0022】
前記戻り流路10の下方には、循環してきた粉体1を一旦受け止めて堆積させ、前記ノズル4に再供給するための粉体受面11を形成してある。当該粉体受面11の下端部は、前記ノズル4の外周部近傍であって、かつ、前記加速管5の下端部近傍の位置まで延出させてある。さらに、前記粉体受面11の下端部近傍には、前記粉体受面11の下方側から前記ノズル4の外周部に向けて粉体流動用の流動気体12を供給する流動気体供給孔13を設けてある。
【0023】
このような微粉製造装置において、本構成の装置は、特に前記戻り流路10に圧力検出器14を備えてある点に特徴を有する。以下、本構成の微粉製造装置の各部につき説明する。
【0024】
(装置本体)
本実施形態に係る微粉製造装置の装置本体2は、図1に示すごとく、上方部分は略円筒形状であり、下方部分は略円錐形状を呈している。前記上方部分は、前記衝突板7に粉体1を衝突させて粉砕する粉砕室6A、および、粉砕が不十分な粉体1を再び前記ノズル4の位置まで循環させる戻り流路10が形成される。前記粉砕室6Aは、装置本体2の内部に配置した粉砕室形成部材6の内部空間により形成する。前記粉砕室形成部材6の上部および下部には、粉体1を流通させる開口を形成してある。
【0025】
装置本体2のうち上方部分には、装置本体2の内部に粉体1を投入する粉体投入口15を形成してある。
【0026】
前記下方部分には、前記戻り流路10が形成されると共に、前記ノズル4からの圧縮気体3によって粉体1を加速する加速管5が配置される。当該下方部分の内側に形成した円錐面は、戻り流路10を通過してきた粉体1を一旦堆積させる粉体受面11として機能する。
【0027】
(ノズル及び粉体受面)
前記粉体受面11の最下端部には、圧縮気体3を加速管5の内部に噴射するためのノズル4が上向きに設けてある。当該ノズル4からは、0.5〜20Nm3 /min程度の圧縮気体3が噴射される。当該ノズル4の外周面4aは下側ほど大径化する略円錐形状を呈している。この形状により、粉体受面11に沿って下降してきた循環気流16の方向を再度ノズル4の先端部に向ける際の角度変化を小さくして、前記循環気流16が再びノズル4の側に向くのを容易にしている。これにより、粉体1は、装置本体2の内部で円滑に循環されることとなる。
【0028】
前記ノズル4への粉体1の供給には粉体受面11が寄与する。つまり、前記ノズル4の周囲には、ノズル4の近傍まで円錐状の粉体受面11を延出させてあり、当該粉体受面11に堆積した粉体1が連続的に供給される。当該粉体受面11に堆積した粉体1の上方空間は循環気流16の通路をなしており、堆積した粉体1は循環気流16と共にノズル4からの圧縮気体3に連続的に投入される。
【0029】
本構成により、ノズル4の周囲全体から粉体1が供給されるため、圧縮気体3に対して粉体1が均一に混合される。よって、衝突板7の下面7aの何れの部位に対しても粉体1が均等に衝突することとなる。この結果、上方に噴射される粉体1が衝突板7の特定部位に集中して後続の粉体1の衝突が阻害される、という不都合を回避することができる。
【0030】
(加速管および衝突板)
前記ノズル4から圧縮気体3の内部に混入された粉体1は、加速管5の内部で加速され、加速管5の上方に連接して設けた粉砕室6Aに達した後、所定の速度で衝突板7に打ちつけられる。当該衝突板7は、前記粉砕室6Aの側壁に設けた複数の支持部材17により、前記圧縮気体3の噴射軸芯X1上に位置する状態で支持してある。前記下面7aに衝突した粉体1は当該衝突によって一回目の粉砕が行われる。
【0031】
当該下面7aに衝突した粉体1は当該下面7aで反発し、圧縮気体3の流れを受けて噴射軸芯X1に対して径方向Y1外方に飛散する。これにより、加速管5から次々と噴出される粉体1を、衝突板7の下面7aに確実に衝突させることができる。
また、前記下面7aに衝突した粉体1は、このあと粉砕室6Aの側壁6aに衝突して二回目の粉砕が行われる。これらの衝突により、粉体1は数十ミクロン程度の粒径まで粉砕される。
尚、粉砕室6Aの側壁6aには、粉体1の衝突による摩耗を防止するために耐摩耗性の材料からなるライナ18を設けてある。
【0032】
(流動気体供給孔)
前記ノズル4の外周部分と前記粉体受面11の下端部との間には、環状の流動気体供給孔13を設けてある。これは、粉体受面11に沿って流れてきた粉体1を再びノズル4の周囲に流動させる流動気体12を供給する部分である。流動気体12の流量はおよそ0.3〜6Nm3 /minである。
【0033】
前記粉体受面11の下方には、前記流動気体供給孔13に連接した環状の流動気体貯留部19を設けてある。当該流動気体貯留部19には、図外のコンプレッサー等から気体が供給される。当該気体は、流動気体貯留部19の内部で均等な圧力に調整され、前記流動気体供給孔13から流動気体12として噴出される。この流動気体12と前記循環気流16とが協同して、粉体受面11に堆積した粉体1をノズル4の先端部に向けて搬送する。
【0034】
(分級手段)
前記粉砕室6Aの上方には分級手段9を設けてある。本実施形態では、当該分級手段9のローター8は、水平方向に延出する回転軸心X2の周りに回転する。図2には、前記回転軸心X2に沿った方向から見たローター8の断面を示す。ローター8は、回転軸芯X2に対して径方向Y2に延出する平板状のブレード20を複数有している。この場合、ローター8の回転方向は左右何れでもよい。当該ローター8はおよそ22000rpmまでの回転が可能である。
【0035】
尚、前記ブレード20は、平板状のものに限定されるものではなく、曲面状のものであってもよい。また、前記ブレード20は、回転軸芯の径方向Y2に対して傾斜して設けてあっても良い。
【0036】
前記ローター8によって分級選別された粉体1は、分級手段9に連接して設けられた排出流路21を介して装置本体2の外部に取り出される。排出流路21の内部に吸引された粉体1は螺旋運動を行いつつ排出される。前記排出流路21の内径は、何れの部位においても略同じに構成してある。本構成であれば、ローター8に流入する気体の圧力が急変せず、所定の流速を維持したまま粉体1を排出することができる。この結果、排出流路21の内部に粉体1が付着する等の不都合を防止している。
【0037】
尚、ローター8の型式は上記のごとく水平型に限られるものではなく、垂直軸芯の周りに回転するいわゆる垂直型であってもよい。
【0038】
また、図3に示すごとく、ローター8の側部と装置本体2との間には、両者間の隙間をシールするためのリンシングガス供給口22を設けてある。当該リンシングガス供給口22から供給されるガス23は、略円環形状をなすローター8の側面8aのうち、その内径と外径との略中央位置に対して環状に噴出される。そして、ローター8の側面8aに吹きつけられたガス23の一部が粉砕室6Aの側に排出され、残りは、排出流路21の側に排出される。当該ガス23により、粉砕室6Aの内部で循環している粉砕途中の粉体1がローター8を介さずに排出流路21の側に漏洩するのを防止している。
【0039】
(圧力検出器)
前記戻り流路10であって前記粉砕室6Aの側方には圧力検出器14を備えてある。当該圧力検出器14は前記装置本体2の内部圧力を検出するものである。図1に示すごとく、本実施形態では、前記装置本体2の内面2aと前記粉砕室6Aの外面6bとで挟まれた戻り流路10に圧力検出器14を設けてある。
【0040】
このように、戻り流路10に圧力検出器14を設けることで、後述するごとく装置本体2の内部に存在している粉体1の総量を知ることができる。
粉砕室6Aの内部に残存する粉体1の総量は、粉体処理の進行程度に応じて常に変化する。つまり、処理された粉体1が排出されることで前記総量は減少するし、装置本体2の内部に新たに粉体1が投入されると総量は増大する。
一方、前記分級手段9から排出される気体量や、前記ノズル4等から装置本体2に供給する気体量はほぼ一定であるから、粉体1の総量の変化に応じて、粉砕室6Aの内部気圧は増減する。
【0041】
装置本体2の内部気圧は、粉体1の総量が増大するほど低くなり、粉体1の総量が減少するほど高くなる。この様子を図4に示した。
つまり、粉体1の総量が増大し、粉体1の堆積面が上昇すると、前記ノズル4の周囲に押し出される粉体1の流量が増大する。これらの粉体1は、ノズル4及び流動気体供給孔13から気体が噴出する際の抵抗となる。抵抗が増大すれば、装置本体2の内部に供給される気体の総量が減少し、結果的に装置本体2の気圧が低下するのである。
【0042】
逆に、粉体1の総量が減少する場合には、逆に、ノズル4の周囲に向かって流動しようとする粉体1が減少する。よって、気体の噴出抵抗が減少し、装置本体2の内部に供給される気体の総量が増大して、装置本体2内の気圧が上昇するのである。
【0043】
上記気圧と粉体総量との関係は、粉砕処理する粉体1の種類によって変化する。例えば、粉体1の密度や粒径等が変化すると、前記装置本体2の内部において当該粉体1を最適な状態で流動させるために流動気体の流量を変更する必要が生じる。このように流動気体の流量を変化させること等により、装置本体2の内部圧力も異なったものとなる。
【0044】
さらに、粉体1の特性によっても、装置本体2の内部圧力を変更する場合がある。例えば、粉体1が非常に酸化し易い材料である場合には、装置本体2の内部に外部から空気が侵入しないように、装置本体2の内部圧力を外部の圧力よりも高めておく必要がある。
【0045】
このように、装置本体2の適切な内部圧力は、適宜変動させる必要があるため、粉体1に応じて当該装置を最適に運転することができる基準圧力を設定しておくのがよい。
基準圧力を設定すれば、処理する粉体毎に、図4に示したような圧力と粉体総量との相関関係を予め求めておくことができる。当該相関関係を把握しつつ、装置本体2の内部圧力を測定することで、微粉製造装置の運転状況や装置本体2の内部に残存している粉体総量を知ることができる。
【0046】
そして、装置本体2の内部において気圧の増減が最も敏感に現れるところが、前記粉体1の堆積上面24の近傍となる。装置本体2の内部において、粉体1の堆積状態が最も顕著に変化する部分が前記堆積上面24の近傍だからである。よって、本発明のごとく、前記堆積上面24が位置する戻り流路10に圧力検出器14を設けることで、装置本体2に係る内部の状態変化を最も正確かつ迅速に検知することができ、未処理の粉体1の総量を知ることができるのである。
【0047】
前記戻り流路10の断面積に注目すると、図1から明らかなごとく、圧力検出器14を設けた位置においてその断面積が最小となっている。
粉砕室6Aの内部のうち圧力変動が最も敏感に生じる部分が戻り流路10であることは上述のとおりである。そして、さらに本構成のごとく、戻り流路10のうち断面積の最も小さい位置に圧力検出器14を設けることで、粉体総量の変動に伴う気圧変動をより敏感に検知することができる。この結果、粉体1の残量に係る測定精度を高めることができる。
【0048】
本実施形態では、圧力検出器14を設けた位置において、前記戻り流路10の内周面を垂直に構成してある。
本構成であれば、圧力検出器14の近傍に粉体1が堆積するのを防止することができる。よって、装置本体2の内部圧力を常に検出することができる。
【0049】
さらに、前記圧力検出器14は、前記粉砕室6Aを構成する粉砕室形成部材6の上縁部6cよりも下方となる位置に設けてある。
本構成であれば、粉体1を過剰に投入する不都合を回避することができる。本装置が円滑に運転されている状態においては、粉体1が戻り流路10から粉砕室6Aに逆流することはない。その反対に、粉体1の投入量が過剰となったり、戻り流路10が閉塞したような場合には、粉体1が戻り流路10から粉砕室6Aに逆流する事態が生じる。
【0050】
そこで、本構成のごとく、粉砕室形成部材6のやや下方位置に圧力検出器14を設けておけば、仮に、戻り流路10の内部で粉体1の堆積高さが異常に高くなった場合に、圧力検出器14が粉体1に埋設することとなる。この状態では、正常な圧力を検出することができなくなる。つまり、圧力検出器14が異常な値を検出したことで、粉体1の堆積高さが過剰になったことを知ることができる。
【0051】
(装置の運転態様)
本装置を用いる微粉製造は、主に以下の工程を経て行う。
即ち、
(1) 装置本体2の内部を基準圧力に設定する工程、および、
(2) 戻り流路の圧力を測定する工程、
(3) 装置本体2の内部圧力と粉体総量との相関関係に基づいて装置本体2に残存している粉体総量を判定する工程、
(4) 当該判定に基づいて、装置本体2の内部への粉体投入量を決定する工程を含んでいる。
ここで、(1)の基準圧力および(3)の相関関係は、前述のごとく予め求めておく。
【0052】
上記工程のうち、特に、(2)(3)については以下のようにして行う。
本装置においては、圧力検出器14の測定結果に基づいておおよそ以下の状況を判断することができる。
例えば、圧力検出器14の圧力が上昇した場合には、主に粉体1の残量が少なくなったと判断することができる。圧力の上昇は、前記ノズル4から供給される圧縮気体3への抵抗が減少することで生じる。つまり、ノズル4の周辺に向かって流動する粉体1の総量が減少したために、圧力が上昇したと推測することができる。
【0053】
その逆に、圧力検出器14の圧力が低下した場合には、主に粉体1の残量が多くなったと判断することができる。圧力の低下は、前記ノズル4から供給される圧縮気体3への抵抗が増大することで生じる。つまり、ノズル4の周辺に向かって流動する粉体1の総量が増大したために、圧力が低下したと推測することができる。
【0054】
この場合には粉体1の総量が減少するまで粉体投入口15からの粉体1の投入を減少させ或いは停止する。そして、循環している粉体1の総量が少なくなると、流動気体供給孔13の近傍に堆積する粉体1の量も減少するから、流動気体供給孔13からの流動気体12の噴出が容易となって流動気体貯留部19の圧力は低下する。その際には、粉体投入口15から新たな粉体1を投入する。
【0055】
(実施例)
本発明の微粉製造装置を用いて、希土類材料であるネオジ鉄を粉砕処理した場合の実施例を以下に示す。
前記装置本体2は、円筒部分の内径が約120mm、当該部分の高さが約85mm、円錐形状を呈する粉体受面11の鉛直方向に沿った高さが約70mmであった。
圧縮気体3及び流動気体12としては窒素ガスを用いた。ノズル4からは、600kPa、流量1m3/minの窒素ガスを供給した。ノズル4の内径は4mmであった。装置本体2の内部は、16kPaの圧力でいわゆるプラス運転を行った。ローター8の回転速度は12000回転/minとした。
当該装置の内部に2kgのネオジ鉄を投入し、約1時間粉砕処理を行った。この結果1.8kgの製品粉体を得ることができた。当該製品粉体の平均粒径D50は4μmであった。
当該ネオジ鉄は非常に酸化し易い材料であるため、運転に際して装置本体2の内部に空気が侵入しないように、装置本体2の内部圧力を外部の圧力よりも高く設定してある。例えば、この場合に安定的な内部圧力は、約14.5kPaであり、当該圧力は、およそ12〜16kPaの範囲をとり得ることがわかった。
【0056】
(効果)
以上のごとく、本発明の微粉製造装置では、前記戻り流路10の圧力を検出することで、装置本体2の内部に残存している粉体1の総量を知ることができる。
粉体1の残存量を知ることで、例えば、さらに粉体1を投入する時期や、装置の運転を停止する時期を正確に把握することが可能となる。
粉体1を最適なタイミングで投入することができれば、粉体1の総量を一定に維持することができ、その結果、当該装置の運転状態を常に一定にして、粉体1の粉砕程度を均一にすることができる。これにより、例えば、得られる製品粉体の粒径が一定範囲に収まる等、品質のばらつきが少ない製品粉体を得ることが可能となる。
また、運転の停止タイミングを正確に把握できる場合の具体的態様には、例えば、粉体1の残存量が最も少なくなった際に運転停止を行う場合が考えられる。この場合には、粉体1の歩留まりが良くなって、微粉の製造効率が向上する。そして、特に、処理する粉体が希土類材料である場合には、残存している粉体が発火する等のトラブルを確実に防止することができ、装置の運転に際して安全性を向上することができる。
【0057】
〔別実施の形態〕
〈1〉
上記実施形態では、戻り流路10に圧力検出器14を備える例を示したが、図5に示すごとく、前記流動気体貯留部19に第2の圧力検出器を設けることができる。以降においては、前記戻り流路10に設けた圧力検出器を第1検出器14aと称し、前記流動気体貯留部19に設けた圧力検出器を第2検出器14bと称する。
このように、第2検出器14bを設けるのは、粉砕処理状況をより正確に把握することにある。この点について以下に説明する。
【0058】
本発明の微粉製造装置は、上述のごとく各種の粉体1に適用可能である。本装置の運転態様は、粉砕対象によって大きく二つに分類することができる。一つは、装置本体2の内部圧力を常圧よりも上げた状態で粉砕処理する、所謂、「プラス運転」と称するものであり、もう一つは、装置本体2の内部圧力を常圧よりも下げた状態で粉砕処理する、所謂、「マイナス運転」と称するものである。
【0059】
前記プラス運転は、例えば、希土類材料を粉砕する場合に行う。希土類材料としては、ネオジ鉄系、サマリウムコバルト系、サマリウム鉄系磁性材料、及び、イットリウム、テリビウム、酸化セリウム等が挙げられる。前述のごとく、希土類材料は非常に酸化・燃焼し易い材料である。よって、装置本体2の内部に外気が進入して希土類材料が酸化等するのを防止するために、装置本体2の内部圧力を常圧よりも高めて、外気の進入を防止するのである。
【0060】
そのためには、図示は省略するが、本装置を、閉回路を成す微粉製造システムの一部に用いることができる。当該閉回路の内部は、コンプレッサー等の昇圧手段によって常圧よりも高い圧力に設定する。粉体1を粉砕・搬送する流体としては主に不活性ガスを用いる。当該不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス(N2)あるいはアルゴンガス(Ar)等を用いることができる。
【0061】
上記プラス運転を行うべき材料が存在する一方で、マイナス運転を行う方が都合の良い材料もある。例えば、コピー機用のトナーを粉砕処理する場合である。トナーは、比較的軽量で微小な粒径にまで粉砕される材料である。このような粉体1は、装置本体2の内面等に付着し易い特性を有する。よって、積極的に吸引しつつ分級することで、粉体1の付着量を低減させるのである。このようなマイナス運転は、本発明の微粉製造装置に減圧手段を付属させて行っても良いし、上記プラス運転を行い得る粉砕システムを用いて、流通経路の内部を減圧することによっても行うことができる。
【0062】
本別実施形態の微粉製造装置では、上記プラス運転及びマイナス運転の何れであっても、粉砕処理の状況を正確に知ることができる。
例えば、希土類材料を粉砕処理する場合の装置本体2内部に残存する粉体1の総量と同内部の圧力との関係は、先に示した図4で近似できる。このような圧力変動は、前記第1検出器14aによって検出する。図4から明らかなごとく、粉体1の総量が増大すると装置本体2の内部圧力は減少する。これは、前述のごとく、ノズル4から噴出する圧縮気体3に及ぼす抵抗が粉体1の増大に伴って大きくなるからである。
【0063】
装置が正常運転している場合には、粉体1の総量と圧力とは所定の範囲で均衡する。図4は、両者が動作点P1で釣り合っている場合を示す。しかし、この状態から圧力が増減し、許容範囲を逸脱すると、粉体1の円滑な循環状態が維持されなくなる。本別実施形態の装置では、そのような場合に何れの不都合が生じているかを判断する。
【0064】
前記第1検出器14aの検出圧力が低下した場合の判断は比較的容易である。圧力が低下するのは、殆どの場合、粉体1の総量が過剰になったことが原因だからである。
一方、第1検出器14aの検出圧力が上昇した場合には、主に二つの原因が考えられる。一つは、粉体1の総量の減少であり、もう一つは、粉体受面11での粉体1の閉塞である。何れの場合も、ノズル4の先端に達する粉体1の量が減少するから、装置本体2の内部に対する圧縮気体3の供給量が増大することに基づくものである。
【0065】
このうち何れが原因となっているかを、前記第2検出器14bで検出する。図6および図7には、粉体1の総量と流動気体貯留部19の圧力との関係を示す。ここでは、前記プラス運転を行う場合の関係を図6に示し、前記マイナス運転を行う場合の関係を図7に示してある。このように、双方の運転条件で圧力特性が異なるのは、ノズル4および流動気体供給孔13から供給する気体の圧力と装置本体2の内部圧力との差が双方の運転条件で異なるからである。
【0066】
プラス運転の場合には、装置本体2の内部圧力と、粉体1を流動させるのに必要な圧縮気体3の圧力との差が、マイナス運転の場合に比較して小さい。そして、プラス運転を行う材料としては、前記希土類材料のごとく比較的密度が大きな粉体1が多い。このような高密度の粉体1をノズル4の先端側に吹き上げるには、ある程度の流量の気体を供給する必要がある。よって、この場合に必要な流動気体12の圧力は、粉体1の堆積高さにそれ程影響されることはない。粉体1の堆積高さの大小に拘わらず、粉体1を吹き上げ得るだけの圧力を当初から要求されるからである。このような理由から、図6に示すごとく、プラス運転の場合には粉体1の総量に拘わらず圧力が一定となる領域が広範囲に出現する。
【0067】
一方、マイナス運転の場合にも、粉体1を流動させるために必要な圧力値が存在する。しかし、マイナス運転の場合には装置本体2の内部圧力が低い分、図7に示すごとく、両圧力の差が取り得る範囲がプラス運転に比べて広くなる。しかも、マイナス運転の場合には、密度が小さい粉体1を粉砕する場合も多いため、流動気体12の噴出圧力は広範囲なものとなる。
【0068】
図6から明らかなごとく、プラス運転を行っている場合には、第2検出器14bの検出圧力は粉体1の総量の増減に拘わらず略一定値をとる。そして、粉体1の総量がある量を超えた途端、例えば流動気体供給孔13の閉塞が生じて第2検出器14bの検出値が急上昇する。この点をP2で示す。この時、第1検出器14aの検出値は漸減するものの、ノズル4の先端部が閉塞するわけではないので、第1検出器14aの検出値が急変することはない。
このように、第1検出器14aの検出値が減少し、第2検出器14bの検出値が増大した場合には、粉体1の総量が過剰であると判断することができる。
【0069】
一方、第1検出器14aの検出値が上昇した場合にも、第2検出器14bの検出値を知ることで、運転状況を判断することができる。この場合は、主に、粉体1の総量が少なくなったか、流動気体供給孔13が閉塞し始めたかの何れかの事態が生じている。粉体1の総量が少なくなった場合には、流動気体12は流動気体供給孔13から円滑に噴出するので、第2検出器14bの検出値が上昇することはない。しかし、流動気体供給孔13が閉塞し始めた場合には、流動気体貯留部19の圧力が増大し、ある時点(P2点)で、第2検出器14bの検出値が急上昇する。よって、第1検出器14aの検出値が増大し、第2検出器14bの検出値も増大した場合には、例えば流動気体供給孔13が閉塞し始めていると判断することができる。
【0070】
尚、上記何れの場合でも、第2検出器14bに係る検出境界値を予め知っておくと運転状態の判断が容易となる。上記の場合、何れの圧力で検出値が安定するのかを知っておけば、当該値以上に上昇した時点で、運転状態に異常が発生したと判断できるからである。
ちなみに、第1の実施形態で用いた装置に第2検出器14bを設けた場合の前記検出境界値は約20kPaであった。
【0071】
マイナス運転の場合には、前記第2検出器14bの検出値は、例えば図7に示すごとく、粉体1の総量の増大に伴って略直線的に増加することが多い。特に軽量な粉体1を流動させる場合、粉体1の総量が少ないうちは極僅かの流量で十分であり、粉体1の総量の増加に応じて細かに気体量を増加させることができるからである。
このように、粉体1の総量と流動気体貯留部19の圧力とが略一対一に対応しているため、マイナス運転における運転状態の特定は比較的容易である。さらに、プラス運転の場合と同様に、異常運転となるときの第2検出器14bの検出値を予め知っておけば、異常運転状態に近付きつつあると判断することもできる。
【0072】
以上のごとく、本別実施形態の微粉製造装置であれば、プラス運転或いはマイナス運転の別に拘わらず、何れの運転態様に装置本体2の内部に残存している粉体1の総量を知ることができるばかりでなく、当該装置がどのような状態下で運転されているかを的確に判断することができる。
よって、上記第1の実施形態に係る装置で得られる効果、即ち、優れた品質の微粉をより効率的に製造することができると共に、粉体処理作業の安全性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微粉製造装置の構成を示す説明図
【図2】分級手段に用いるローターの断面図
【図3】分級手段の断面図
【図4】粉体の総量と戻り流路の圧力との関係を示す図
【図5】別実施形態に係る微粉製造装置の構成を示す説明図
【図6】プラス運転時の粉体の総量と流動気体貯留部の圧力との関係を示す図
【図7】マイナス運転時の粉体の総量と流動気体貯留部の圧力との関係を示す図
【符号の説明】
1 粉体
2 装置本体
3 圧縮気体
4 ノズル
5 加速管
6 粉砕室形成部材
6c 粉砕室形成部材の上縁部
6A 粉砕室
7 衝突板
9 分級手段
10 戻り流路
11 粉体受面
13 流動気体供給孔
14 圧力検出器
19 流動気体貯留部
Claims (6)
- 装置本体の内部に、上向きの圧縮気体を吹き出すノズルと、前記圧縮気体によって処理対象である粉体を加速させる加速管と、
加速した前記粉体を衝突させるべく、前記加速管に連通した粉砕室に設けた衝突板とを備えると共に、
粉砕した微粉を排出すべく前記衝突板の上方に設けた分級手段と、
前記分級手段で分級排出されなかった粉体を再び前記ノズルの側に戻すために、前記粉砕室及び前記加速管を取囲む状態に設けた戻り流路とを備え、
さらに、前記戻り流路の下方に設けた粉体受面の下端部を、前記ノズルの外周部近傍であって、かつ、前記加速管の下端部近傍の位置まで延出させると共に、前記粉体受面の下方側から前記ノズルの外周部に向けて粉体流動用の気体を供給する流動気体供給孔を設けてあり、
前記粉体流動用の気体を前記流動気体供給孔に供給する流動気体貯留部を前記流動気体供給孔に連設してあり、
前記装置本体の内部圧力を常圧よりも上げた状態で処理を行うプラス運転と、前記装置本体の内部圧力を常圧よりも下げた状態で処理を行うマイナス運転との間で切り換え可能に構成されている微粉製造装置であって、
前記戻り流路に配置された第1圧力検出器と、前記流動気体貯留部に配置された第2圧力検出器と、前記プラス運転における粉砕処理状態を前記第1圧力検出器及び前記第2圧力検出器の検出結果に基づいて判定し、前記マイナス運転における粉砕処理状態を少なくとも前記第2圧力検出器の検出結果に基づいて判定する制御装置とを備えている微粉製造装置。 - 前記第1圧力検出器を、前記戻り流路のうち最も断面積の小さい部位に設けてある請求項1に記載の微粉製造装置。
- 前記戻り流路の内周面のうち少なくとも一部が垂直面を構成しており、当該垂直面に前記第1圧力検出器を設けてある請求項1または2に記載の微粉製造装置。
- 前記粉砕室が、前記装置本体の内部に配置した粉砕室形成部材によって構成してあり、前記第1圧力検出器が、前記粉砕室形成部材の上縁部よりも下方に設けてある請求項2または3に記載の微粉製造装置。
- 請求項1から4の何れかに記載した微粉製造装置を用い、粉砕する粉体の種類に応じて前記装置本体の内部圧力を基準圧力に設定しつつ微粉を製造する方法であって、前記微粉製造装置を運転する際の、前記粉体の種類と前記基準圧力とに応じた、前記戻り流路の圧力と前記装置本体の内部に存在する粉体総量との相関関係を予め求めておき、
(1) 前記装置本体の内部を基準圧力に設定する工程、および、
(2) 前記戻り流路の圧力を測定する工程、
(3) 前記相関関係に基づいて前記装置本体内部の粉体総量を判定する工程、
(4) 当該判定に基づいて、前記装置本体内部への粉体の投入量を決定する工程を含む微粉製造方法。 - 前記粉体として希土類材料を用い、前記基準圧力を、前記装置本体の外部の圧力よりも高く設定する請求項5に記載の微粉製造方法。
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