<スロットマシン>
図1は本発明が適用可能な遊技台の例としてスロットマシン100を示した図である。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の絵柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施形態において、各絵柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の絵柄は、遊技者から見ると、絵柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの絵柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える絵柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
また、各々のリール110乃至112の背面には、絵柄表示窓113に表示される個々の絵柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の絵柄ごとに遮蔽されて個々の絵柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示せず)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部のあいだを、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検知結果に基づいてリール上の絵柄の回転方向の位置を判断し、目的とする絵柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、後述する内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。
メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。
スタートレバー135は、遊技者による遊技の開始操作を受け付けるレバーであり、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機として後述する入賞役の内部抽選が実行され、リール110乃至112が回転し、遊技が開始される。図4はスタートレバー135の周辺の構成図である。スタートレバー135は球状の操作部135aと、操作部135aに一端が接続された軸部135bとを備える。スタートレバー135は筒状の支持体103を介して前面扉102に取り付けられている。スタートレバー135は支持体103の軸103a回りに回動自在に支持されていると共に支持体103の内部に設けられた不図示のスプリングにより、常時図4に示す中立状態に付勢され、遊技者の操作により上下に可動する。軸部135bの他端には被検知部135cが取り付けられている。
支持体103に取り付けられたセンサユニット104内には被検知部135cを検知するスリット状の光センサであるスタートレバーセンサ320が設けられており、スタートレバー135が中立状態から上下に可動することで被検知部135cが移動し、この移動をスタートレバーセンサ320が検知することで開始操作が検知される。本発明はこのスタートレバー135に対する不正行為を防止するものであり、その詳細は後述する。
図1に戻り、ストップボタンユニット136に設けられたストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110乃至112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137乃至139を操作すると対応するいずれかのリール110乃至112が停止することになる。
精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155より受皿210に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿210は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿210は、本実施形態では発光可能な受皿を採用しており、以下受け皿ランプと呼ぶこともある。
音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ210は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。灰皿部200は、煙草の吸殻を入れるための容器であり、受け皿210の内側にネジ止めされている。リールパネル161は、絵柄表示窓113を有するパネルであり、タイトルパネル162は、そのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。演出装置600は、液晶表示装置を含み、各種の情報が表示される。
<制御部>
次に、図2及び図3を参照して、スロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、から構成されている。
<主制御部>
まず、図2を参照して、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック補正回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
また、CPU310には、後述するセンサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
また、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、メダル投入センサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、精算ボタンセンサ324、メダル払い出しセンサ326の状態を検知し、各センサを監視している。
メダル投入センサ320はメダル投入口134から投入されたメダルを検知するセンサである。スタートレバーセンサ321はスタートレバー135に対する開始操作を検知するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン137乃至139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知するためのセンサである。精算ボタンセンサ324は、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダル及びベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサ326は、払い出されるメダルを検知するためのセンサである。
CPU310には、さらに、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールに設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにHレベルになる。CPU310は、この信号を検知すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを駆動させるためのモータを制御するリールモータ駆動部330と、メダル払出装置30のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器341(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)が接続されている。
また、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基いて、一定の周期で循環的にインクリメントし、スタートレバーセンサ321が開始操作を検知するとそのカウント値をラッチし、CPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。本発実施形態における乱数発生回路317は、2つの乱数カウンタを備えている。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。主制御部300と副制御部400との情報通信は一方方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。
<副制御部>
次に、図3を参照して、スロットマシン100の副制御部400について説明する。副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。また、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、各リール110乃至112の絵柄を背面より照明するためのバックライト420、前面扉102の開閉を検知するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422が接続されている。
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、演出装置制御部500からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472等が接続されている。
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を店の係員等が確認できるようになっている。更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、受け皿ランプ210、払出口ストロボ171を制御する。タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、払い出し口の内側に設置されたストロボタイプのランプである。なお、CPU410は、演出装置制御部500への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。演出装置制御部500は、図1の演出装置600を制御する制御部である。
<遊技の基本的制御>
図5は、スロットマシン100における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。遊技の基本的制御は、MainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の遊技処理を実行する。以下、この遊技処理について説明する。電源投入が行われると、まず、S101で主制御部300を初期化する初期処理が実行される。S102では、遊技開始処理を行う。ここでは、メダル投入に関する処理と、スタートレバー135に対する開始操作の検知処理等を行う。
S103では、乱数発生回路317で発生させた乱数を取得する。S104では、S103で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、RAM313に設定されたその入賞役のフラグがONになる。入賞役としては、例えば、リプレイ(再遊技)、小役、ボーナス(BB、RB)等を挙げることができる。
なお、各入賞役には、メダルのベット数及び設定値(1〜6)ごと、に内部抽選の当選確率が設定されており、入賞役抽選テーブルはこれに従って構成され、抽選時に取得される乱数値の範囲(例えば、0〜16384)は予めいくつかの領域(各当選確率の大きさに相当する領域)に分割されており、各領域に各入賞役の当選やはずれが対応付けられている。そして、入賞役の内部抽選では、取得した乱数値がどの範囲に属するかで入賞役の内部当選の当否が決定する。この方式は他の抽選処理でも採用される。
S104では、内部抽選の後、リール停止制御テーブルを選択する処理を行う。これは、各リールの停止操作に対する制御を選択する処理である。ここで、リール110乃至112の停止制御について簡単に説明する。リールの停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御テーブルの中から内部抽選結果に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御テーブルに基づき行う。
リール停止制御テーブルは主制御部300のROM312に格納されている。リール停止制御テーブルは、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する絵柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する絵柄組合せが揃って表示されないように構成されている。例えば、小役の「ベル」に内部当選していない場合、「ベル」の絵柄組合せが表示されるタイミングでリール110乃至112の停止操作が行われたとしても、リール110乃至112は直ちに停止せずにベルの絵柄組合せが揃わないように制御される。逆に、「ベル」に内部当選している場合には、ベルの絵柄組合せが表示されるタイミングでリール110乃至112の停止操作が行われなかったとしても、一定の範囲でリール110乃至112は直ちに停止せずにベルの絵柄組合せが揃うように制御されることになる。
S105では、全リール110乃至112の回転を開始させる。その後、ストップボタン137乃至139の受け付けが可能となる。S106ではリールの停止制御を行う。ここでは、ストップボタン137乃至139に対する操作に応じて、リール110乃至112のうち、操作されたストップボタン137乃至139対応するいずれかのリールをS104で選択したリール停止制御テーブルに従って停止させる。全リール110乃至112が停止するとS107へ進む。
テーブルに従って停止させる。
S107では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役又はフラグ持越し中の入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、入賞した入賞役に対応するフラグがリセットされる。S108では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。S109では、遊技状態制御処理を実行する。この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナス入賞の場合に次回から対応するボーナスゲームを開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。以上により1ゲームの処理が終了し、その後S102へ戻って同様の処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<第1実施形態>
次に、スタートレバー135に対する不正行為の防止について説明する。図6(a)は本発明の第1実施形態に係る不正行為防止器具Aをスタートレバー135に取り付けた態様を示す斜視図、図6(b)は不正行為防止器具Aの断面図、図6(c)は不正行為防止器具Aの正面視図である。
不正行為防止器具Aは、スタートレバー135の操作部135aの周囲に設けられたカバー部材10と、カバー部材10を介して操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングを変動させる複数の突出部11と、を備える。本実施形態の場合、カバー部材10は可撓性を有する樹脂等から形成され、カップ状をなしている。カバー部材10はスタートレバー135の軸部135bが貫通する穴を有し、軸部135bが遊嵌にて挿通することでスタートレバー135の軸心回りに回転可能に軸部135bに取り付けられている。本実施形態の場合、操作部135aのみならず、スタートレバー135のうち、前面扉102から突出する部分全体がカバー部材10により覆われる。
突出部11は本実施形態の場合、カバー部材10と一体に設けられ、カバー部材10の内面から操作部135aへ向けて突出し、操作部135aの回りに軸部135bの半径方向と平行な方向に延在している。図6(c)に示すように複数の突出部11には相互に突出長さが異なるものものが含まれており、また、各突出部11の端面は突出部11の延在方向に直交する面から傾斜して形成されている。
次に、不正行為防止器具Aの作用について説明する。本実施形態の場合、スタートレバー135の操作部135aがカバー部材10に囲まれているので、スタートレバー135に対する開始操作はカバー部材10を介して行う必要がある。つまり、カバー部材10に外力を作用させることでこれが操作部135aに伝達し、スタートレバー135が回動して開始操作が検知される。
ここで、カバー部材10に外力を作用すると可撓性を有するカバー部材10の変形、又は、カバー部材10が軸部135bに遊嵌にて支持されていることによる、カバー部材10のスタートレバー135に対する相対的な変位により、突出部11が操作部135aに当接し、外力が操作部135aに作用する。この結果、スタートレバー135が回動する。この時、突出部11は相互に突出長さが異なるものものが含まれているので、操作部135aに当接する突出部11如何により、カバー部材10に対して同じ周期で開始操作を行ったとしても、操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングは変動することになる。
この結果、上述した不正行為の器具により開始操作を行おうとしても毎度同じ周期で開始操作が検知されなくなり、不正行為が防止される。また、カバー部材10はスタートレバー135の軸心回りに回転可能なので、同じ方向から外力を作用させて開始操作を行っても、カバー部材10の回転により毎度異なる突出部11が操作部135aに当接し、開始操作の作用タイミングを変動させることができる。特に、本実施形態では突出部11の端面を傾斜させているので、突出部11が操作部135aに当接した際、その傾斜によりカバー部材10に回転力を付勢することができ、開始操作毎にカバー部材10を回転させることができる。なお、不正行為防止器具Aはスタートレバー135の操作部135aを軸部135bから一旦取り外すことで装着でき、既存のスロットマシンにも後付けで適用できる。
<第2実施形態>
図7(a)は本発明の第2実施形態に係る不正行為防止器具Bをスタートレバー135に取り付けた態様を示す斜視図、図7(b)は不正行為防止器具Bの断面図である。不正行為防止器具Bはカバー部材20と、カバー部材20内に封入された粘性液21と、を備える。
カバー部材20は、操作部135aを囲包する囲包空間を形成するように構成され、柔軟性を有する樹脂等からなるカップ状のカップ部20aと、カップ部20aの開口端を封鎖すると共に軸部135bに取り付けられる取付板20bと、から構成される。本実施形態の場合、操作部135aのみならず、スタートレバー135のうち、前面扉102から突出する部分全体がカバー部材20により囲包される。
カップ部20aと取付板20bとは液密に固定される。また、取付板20bは軸部135bが挿通する穴を有し、この穴には軸部135bが液密に嵌合する。これにより、カバー部材20の内部は液密な囲包空間を形成する。粘性液21は例えばオイルやゼリー状の液体であり、カバー部材20内で流動可能なように充填されている。
次に、不正行為防止器具Bの作用について説明する。本実施形態の場合、スタートレバー135の操作部135aがカバー部材20に完全に囲包されているので、スタートレバー135に対する開始操作はカバー部材20、特にカップ部20aを介して行う必要がある。つまり、カバー部材20に外力を作用させることでこれが操作部135aに伝達し、スタートレバー135が回動して開始操作が検知される。
ここで、カップ部20aに外力を作用すると柔軟性を有するカップ部20aが撓んで操作部135aに接触し、外力が操作部135aに作用する。カバー部材20の内部には粘性液21が封入されているので、カップ部20aが撓むとカバー部材20内で粘性液21が流動し、カップ部20aの撓みにランダムな抵抗を与える。特に、図7(b)に示すように粘性液21に気泡21aが混入していると粘性液21の流動に伴う気泡21aの分布の変化により、カップ部20aの撓みにランダムな抵抗をより一層与える。従って、カップ部20に対して同じ周期で開始操作を行ったとしても、操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングは変動することになる。この結果、上述した不正行為の器具により開始操作を行おうとしても毎度同じ周期で開始操作が検知されなくなり、不正行為が防止される。
なお、不正行為防止器具Bはスタートレバー135の操作部135aを軸部135bから一旦取り外し、取付板20bを装着し、その後、操作部135aを軸部135bに取り付け、カップ部20aの取付板20bへの固定と粘性液の封入とを行なうことで装着でき、既存のスロットマシンにも後付けで適用できる。
また、本実施形態では、カバー部材20内に粘性液を封入したが、多数の細片を封入しても同様の効果を得られる。図7(c)はカバー部材20内にパルプ等の細片22を多数封入した例を示す図である。カップ部20aが撓むとカバー部材20内で細片22が移動してカバー部材20内での分布が変動し、カップ部20aの撓みにランダムな抵抗を与える。
<第3実施形態>
図8(a)は本発明の第3実施形態に係る不正行為防止器具Cをスタートレバー135に取り付けた態様を示す斜視図、図8(b)は不正行為防止器具Cの断面図、図8(c)は不正行為防止器具Cの正面視図(透視図)である。不正行為防止器具Cは、カバー部材30と、操作部135aの周囲を回転可能に操作部135aに取り付けられたリング状部材31と、を備える。
カバー部材30は、操作部135aを囲包する囲包空間を形成するように構成されたカップ状のカップ部30aと、カップ部30aの開口端を封鎖すると共に軸部135bに取り付けられる取付部30bと、から構成される。本実施形態の場合、操作部135aのみならず、スタートレバー135のうち、前面扉102から突出する部分全体がカバー部材30により囲包される。取付部30bは軸部135bが挿通する穴を有し、軸部135bが遊嵌にて挿通することで軸部135bに取り付けられている。
リング状部材31はU字状の2つの部材を嵌合することでリング状に形成されている。リング状部材31の断面が球状の操作部135aの外形に応じた弧状をなすことにより、脱落しないように操作部135aに取り付けられ、スタートレバー135の軸心回りに回転可能になっている。リング状部材31はその厚みが異なる部分を有し、本実施形態では複数の突起部31aを設けることにより、これが設けられていない箇所と厚みが異なるようにしている。突起部31aは軸部135bの半径方向と平行な方向に突起している。
次に、不正行為防止器具Cの作用について説明する。本実施形態の場合、スタートレバー135の操作部135aがカバー部材30に囲まれているので、スタートレバー135に対する開始操作はカバー部材30、特にカップ部30aを介して行う必要がある。つまり、カバー部材30に外力を作用させることでこれが操作部135aに伝達し、スタートレバー135が回動して開始操作が検知される。
ここで、カバー部材30に外力を作用すると、カバー部材30が軸部135bに遊嵌にて支持されていることによる、カバー部材30のスタートレバー135に対して相対的な変位し、カップ部30aの内面が操作部135aに装着されたリング状部材31と接触し、操作部135aに外力が伝達される。この結果、スタートレバー135が回動する。この時、リング状部材31の外周には突起部31aが設けられている箇所と設けられていない箇所とがあるので、カップ部30aの内面とリング状部材31の外周との接触部位如何により、カップ部30aのに対して同じ周期で開始操作を行ったとしても、操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングは変動することになる。
この結果、上述した不正行為の器具により開始操作を行おうとしても毎度同じ周期で開始操作が検知されなくなり、不正行為が防止される。また、リング状部材31は操作部135aの回りに回転可能なので、同じ方向から外力を作用させて開始操作を行っても、カップ部30aの内面とリング状部材31の外周との接触部位を異ならせることができ、開始操作の作用タイミングを変動させることができる。
なお、不正行為防止器具Cはスタートレバー135の操作部135aを軸部135bから一旦取り外し、取付部30bを装着すると共にリング状部材31を操作部135aに装着し、その後、操作部135aを軸部135bに取り付け、カップ部30aを取付部30bに固定することで装着でき、既存のスロットマシンにも後付けで適用できる。
<第4実施形態>
図9(a)及び(b)は本発明の第4実施形態に係る不正行為防止器具Dをスタートレバー135に取り付けた態様を示す斜視図であり、図9(a)はスタートレバー135が中立時、図9(b)はスタートレバー135に対して下方へ開始操作された時、の態様をそれぞれ示す。また、図10は図9(a)の線XXに沿う不正行為防止器具Dの断面図、図11は不正行為防止器具Dの分解斜視図である。更に、図12(a)及び(b)は不正行為防止器具Dの第2カバー部材41をスタートレバー135に取り付けた態様を示す斜視図であり、図12(a)はスタートレバー135が中立時、図12(b)はスタートレバー135に対して下方へ開始操作された時、の態様をそれぞれ示す。
不正行為防止器具Dは2重構造のカバー部材を構成する、第1カバー部材40と、第2カバー部材41と、を備える。第1カバー部材40は背面が開放した中空形状をなし、両側面にそれぞれ上下方向に延びるスライド部40aを備える。第1カバー部材40は、その両側部にそれぞれ配設される支持部材44a及び44bにより所定方向(ここでは上下方向)に移動可能なように支持される。支持部材44a及び44bはベース部材46上に立設され、その内側側面にスライド部40aを案内する案内溝40a’、40b’が上下方向に設けられている。第1カバー部材40は支持部材44a及び44b間に配設され、その両側部のスライド部40aが案内溝40a’、40b’を滑動することで上下方向に移動可能に支持部材44a及び44bに支持される。
案内溝40a’、40b’の下端は開放しており、一対のスプリング45が各スライド部40aの下端面とベース部材46の上面との間に装填されるようにして案内溝40a’、40b’内に収納される。スプリング45は第1カバー部材40を常時所定位置(ここでは図9(a)の位置)へ付勢する弾性部材として機能する。ベース部材46は部材46aと部材46bとを積層して形成され、不正行為防止器具Dをスロットマシン100に装着した際、その底面は前面扉102のスタートレバー135の下方の傾斜面に当接する。部材46aにはスタートレバー135の下方に位置する中央ランプ152(図1)の窪みに嵌めこまれる取付部46a’が設けられており、不正行為防止器具Dは前面扉102に安定して取り付けられる。
第2カバー部材41はU字上の2つの部材41a及び41aにより形成され、スタートレバー135の操作部135aを囲包する。本実施形態の場合、操作部135aのみならず、スタートレバー135のうち、前面扉102から突出する部分全体が第2カバー部材41により覆われる。部材41a及び41aは、その内面にリング状部材42を収納する収納区画41a、41bが形成されており、部材41a及び41aを組み立てて第2カバー部材41を形成すると、収納区画41a、41bにより正面視で長円状のリング状部材42の収納空間が形成される。リング状部材42は当該収納空間内において操作部135a回りに回転可能に収納される。
リング状部材42は操作部135aに遊嵌される部材であり、その外周面には複数の突起部42aが設けられており、厚みが部分的に異なるようにされている。突起部42aはリング状部材42の半径方向に放射状に延びており、相互に突出長さが異なる。リング状部材42の外周面にはまたリング状部材42の幅方向に延びる複数のラッチ溝42bが設けられている。このラッチ溝42bには、ラッチ爪43a、43bの端部が係合可能となっている。ラッチ爪43a、43bは板ばね等の弾性片であり、ラッチ爪43aは部材41aの内面に上端が支持され、ラッチ爪43bは部材41bの内面に下端が支持される。ラッチ溝42bとラッチ爪43a、43bは開始操作毎にリング状部材42を操作部135aの周囲で回転させる回転付勢機構を構成する。
第2カバー部材41は、その内部にスタートレバー135の操作部135aと軸部135bの一部とを、更に、リング状部材42を収納して図12(a)及び(b)に示すように組み立てられ、第1カバー部材40の背面側から第1カバー部材40内にぴったりと収納される。第2カバー部材41は第1カバー部材40と一体となって上下に移動する。
次に、不正行為防止器具Dの作用について説明する。本実施形態の場合、操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングの変動原理は不正行為防止器具Cの場合と同様であるが、不正行為防止器具Cのリング状部材31に相当するリング状部材42が開始操作毎に略確実に回転する点が主に異なる。以下、詳述する。
不正行為防止器具Dを装着することで、スタートレバー135の操作部135aが第1カバー部材40(及び第2カバー部材41)に囲まれているので、スタートレバー135に対する開始操作は第1カバー部材40を介して行う必要がある。本実施形態の場合、第1カバー部材40は上下方向にのみ移動し、かつ、第1カバー部材40はスプリング45により常時上方の位置へ、つまり、スタートレバー135が中立位置となるように付勢されているので、開始操作は第1カバー部材40を下方へ押し下げることになる。開始操作の方向を規定することで、不正行為による開始操作の方向も限定することができる。
第1カバー部材40を下方に押し下げるとこれと共に第2カバー部材41も下方に押し下げられ、第2カバー部材41の内面が操作部135aに遊嵌されたリング状部材42と接触し、操作部135aに外力が伝達される。この結果、スタートレバー135が回動する。この時、リング状部材42の外周には複数の突起部42aが設けられており、かつ、その突出長さが相互に異なることから、第2カバー部材41の内面に当接する突起部42a如何により、第1カバー部材40に対して同じ周期で開始操作を行ったとしても、操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングは変動することになる。
この際の第2カバー部材41及びリング状部材42の挙動を図12を参照して説明すると、図12(a)に示す開始操作前の状態で、第1カバー部材40が下方に押し下げるとこれに伴って第2カバー部材41もスタートレバー135に対して相対的に下方へ移動し、操作部135aに遊嵌されたリング状部材41の上方が第2カバー部材41の上部の内面に接触する。この結果、操作部135aに下向きの力が加わってスタートレバー135が回動し、開始操作が検知される。第2カバー部材41の上部の内面に接触する、リング状部材41の上方の突起部42aの突起長さがより長いものであれば、早期に両者が接触するのでスタートレバー135が回動するタイミングもより早くなる。逆に突起長さがより短いものであれば、第2カバー部材41の上部の内面に接触するまでに時間がかかるのでスタートレバー135が回動するタイミングがより遅くなる。こうして操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングは変動することになる。
ここで、図12(b)に示すように第2カバー部材41がスタートレバー135に対して相対的に下方へ移動すると、その移動の過程で部材41aに設けられたラッチ爪43aがリング状部材42の側部のラッチ溝42bに係合して下方へ付勢し、リング状部材42に正面視で反時計回りの回転力が付勢される。開始操作が終了して図12(a)に示すように第2カバー部材41が元の位置へ上昇すると、上昇の過程で部材41bに設けられたラッチ爪43bがリング状部材42の側部(ラッチ爪43aが係合するところと反対側)のラッチ溝42bに係合して上方へ付勢し、リング状部材42に正面視で反時計回りの回転力が付勢される。こうして開始操作毎にリング状部材42が操作部135aの回りに回転し、開始操作時にカバー部材41の上部の内面に接触する突起部42aが開始操作毎に異なるものとなり、より確実に操作部135aに作用する開始操作の作用タイミングを変動させることができる。なお、不正行為防止器具Dは既存のスロットマシンにも後付けで適用できる。