JP4773409B2 - 食感の改良された麺類の製造方法 - Google Patents
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Description
また、かまぼこ、うどんなどの食品では、それらの固さを変化させるために、塩類や有機酸が添加されている。しかし、これらの塩類や有機酸は食品添加物としては消費者に敬遠されるという問題がある。
例えば、特開平11−75887号公報(特許文献1)には、べルオキシダーゼを作用させて架橋させたペプチドやタンパク質が開示されている。
また、特開平11−276162号公報(特許文献2)には、マルチ銅オキシダーゼにより架橋させたタンパク質が開示され、マルチ銅オキシダーゼの反応を促進するメディエーターとして各種ポリフェノールが記載されている。
さらに、特開2000−60431号公報(特許文献3)には、トランスグルタミナーゼおよび酸化還元酵素処理により改質したタンパク質を用いて食品の喉越しや歯応えなどを改善する方法が開示されている。
しかし、酵素は高価であり、不安定であるため取扱いが難しいという問題がある。
特許第3671175号明細書(特許文献8)には、小麦粉または小麦粉調整物にポリフェノールを添加して麺類や餃子の皮などの食品の粘弾性を改良する方法が開示されている。
特開2005−245291号公報(特許文献9)には、酸性域で渋味または収斂味を呈する食品素材タンパク質およびポリフェノール類から選ばれる少なくとも1種の物質とキシログルカンを併含する渋味・収斂味を呈し難い加工食品が開示されている。
しかしながら、これらの先行技術は、麺類の食感の改良には不十分である。
また、本発明の麺類の製造方法は、卵白と緑茶抽出物という天然物を用いるので非常に安全性が高い。
(1)卵白とポリフェノール含有緑茶抽出物とを小麦粉に添加・混合した後、食塩と水または食塩水を加えて混練するか、または
(2)小麦粉に卵白を混合した原料粉にポリフェノール含有緑茶抽出物を溶解した水または食塩水を加えて混練すればよい。
これらの混合や混練は、特に限定されないが、通常用いられる公知の装置および方法により実施すればよい。
また、本発明では、製麺材料として市販されている小麦粉に卵白を混合した原料粉を用いてもよい。
原料の混合から混練までの工程を上記の(1)で実施する場合には卵白を、上記の(2)で実施する場合には原料粉を使用すればよい。
例えば、水、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどから選択される1種以上の溶媒または混合溶媒中に緑茶を浸漬することにより抽出することができる。本発明の方法においては、これらの抽出溶媒の中でも、水および食品添加物として許可されているエタノールが特に好ましい。
また、効率よく有効成分を抽出するために、緑茶を浸漬した溶媒を攪拌するのが好ましく、粉砕・乾燥した緑茶を使用してもよい。
緑茶は、茶葉を蒸気や高温の釜で蒸した後に製造した緑色の茶(不発酵茶)であり、せん(煎)茶、玉露、てん(碾)茶、番茶、蒸し製玉緑茶、釜炒り製玉緑茶、抹茶などに分類される。
本発明の方法においては、これらの緑茶の中でも、カテキン含有量の点で煎茶、抹茶が特に好ましい。
また、小麦粉100重量部に対するポリフェノールは、0.0001〜0.1重量部であるのが好ましく、0.001〜0.1重量部であるのが特に好ましい。
小麦粉100重量部に対する卵白およびポリフェノールの配合割合が上記の範囲であれば、麺類の風味や外観を損ねることなく、食感の改良効果が期待できる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲において、通常の製麺に用いられる添加物を用いてもよい。これらの添加物としては、例えば、かん粉(かん水)、色素およびエチルアルコールなどが挙げられる。
50%エタノール水溶液800ml中に煎茶の茶葉10gを入れ、回転数150rpmで20時間攪拌して煎茶抽出物を得た。得られた抽出物をろ過し、温度5℃、回転数9000rpmの条件で30分間遠心分離を行い、上澄み液を回収した。得られた上澄み液中のエタノールをエバポレーターで除去し、一晩凍結乾燥し、温度−80℃で冷凍保存して煎茶抽出物の粉末を得た。
煎茶抽出物1.0mgを50%エタノール水溶液8.0mlに溶解して被験サンプル溶液を得た。
得られた被験サンプル溶液200μlに、水3.2mlおよび5倍に水希釈したフォリン・チオカルト試薬(和光純薬工業株式会社製)200μlを混合し、さらに10%Na2CO3溶液400μlを加えて混合した。得られた混合溶液を25℃で30分放置した後、波長760nmにおける吸光度を測定した。
また、ポリフェノールの標準試薬としてエピガロカテキンガレート(和光純薬工業株式会社製)を用いて、上記と同様にして波長760nmにおける吸光度を測定し、検量線を作成した。得られた検量線に被験サンプルの吸光度を当てはめることにより、煎茶抽出物中のポリフェノール濃度を算出したところ、48.6%であった。
煎茶の代わりに抹茶を用いること以外は調製例1と同様にして、抹茶抽出物の粉末を得た。また、調製例1と同様にして抹茶抽出物中のポリフェノール濃度を算出したところ、
54.3%であった。
煎茶の代わりに紅茶を用いること以外は調製例1と同様にして、紅茶抽出物の粉末を得た。また、調製例1と同様にして紅茶抽出物中のポリフェノール濃度を算出したところ、
20.0%であった。
煎茶の代わりにしそ(葉)を用いること以外は調製例1と同様にして、しそ抽出物の粉末を得た。また、調製例1と同様にしてしそ抽出物中のポリフェノール濃度を算出したところ、24.6%であった。
乾燥卵白を8重量部の水溶液にした卵白溶液(太陽化学株式会社製)35mlに、調製例1〜4で得られた各抽出物の粉末をそれぞれ40mg添加・混合し、各混合物を温度45℃で5時間静置して熟成させた。得られた各熟成品を温度80℃で2時間加熱して、直径20mm、高さ10mmの加熱凝固ゲルを得た。得られた各ゲルを温度約5℃で一晩冷蔵して安定化させ、室温に戻した。
測定においては、各ゲルについて同条件で6個の測定用ゲルを作成し、これらを同条件で操作して、ゲル内部構造の破断時の最大応力と変形率を測定し、それらの平均を求めた。
また、抽出物を添加しない卵白のみのゲル(ブランク)についても上記と同様にして操作し、ゲル内部構造の破断時の最大応力と変形率を測定し、それらの平均を求めた。
得られた結果から、抽出物を添加しない卵白のみのゲルに対する抽出物を添加したゲルの相対破断強度(%)と相対変形率(%)を求めた。
得られた結果を、目視観察したゲルの色と共に表1に示す。
また、調製例3の紅茶の抽出物を添加したゲルは、抽出物を添加しない卵白のみのゲル(ブランク)に対して相対破断強度が15%以上向上するが、ゲルが橙褐色になることから、麺類の添加には適していないことがわかる。
小麦粉100重量部に対して、乾燥卵白(太陽化学株式会社製)1重量部、調製例1で得られた煎茶抽出物の粉末0.0012重量部、かん粉1重量部、色素0.4重量部、およびエチルアルコール1.5重量部を混合し、これに食塩1重量部および水38重量部からなる食塩水を加え、家庭用電動製麺器(株式会社泉精器製作所製、商品名:こね工房IPM−500)で5分間混練して麺の生地を作成した。約1時間室温で熟成した後、麺の生地を伸ばし、細断して厚さ1.9mm、幅1.5mmの中華麺560gを得た。
調製例1で得られた煎茶抽出物の粉末の代わりに、調製例2で得られた抹茶抽出物の粉末を用いること以外は実施例1と同様にして、中華麺560gを得た。
調製例1で得られた煎茶抽出物を用いないこと以外は実施例1と同様にして、中華麺560gを得た。
乾燥卵白を用いないこと以外は実施例1と同様にして、中華麺560gを得た。
調製例1で得られた煎茶抽出物の粉末の代わりに、調製例3で得られた紅茶抽出物の粉末を用いること以外は実施例1と同様にして、中華麺560gを得た。得られた麺の色は、他のものに比べて非常にくすんでいた。
調製例1で得られた煎茶抽出物の粉末の代わりに、調製例4で得られたしそ抽出物の粉末を用いること以外は実施例1と同様にして、中華麺560gを得た。
実施例1および2、比較例1〜4で得られた中華麺は、その物性を安定させるために約5℃で1日冷蔵してから試験に供した。
各中華麺20gを沸騰水10リットル中で2分30秒間茹でた後、それぞれの中華麺を4等分し、それらの硬さおよび弾力を4名のパネラーで官能評価した(湯のび前)。
また、各パネラーの中華麺をそれぞれ温度85℃のスープ100mlに入れ、5分後にそれらの硬さおよび弾力を同じ4名のパネラーで官能評価した(湯のび後)。
なお、硬さは「硬い」から「柔らかい」まで、弾力は「あり」から「なし」まで、それぞれ5〜1の5段階評価とし、パネラー4名の平均点を小数点第1位で四捨五入したものを評点とした。
得られた結果を、卵白および抽出物を添加しないブランクの結果と共に表2に示す。
また、比較例3の紅茶抽出物を添加した中華麺は、麺の目視観察において外観が赤〜橙褐色であったため、麺類の添加には適していないことがわかった。
Claims (4)
- 小麦粉100重量部に対して、卵白が0.01〜3重量部、ポリフェノールが0.0001〜0.1重量部になるように、卵白およびポリフェノール含有緑茶抽出物を小麦粉に添加・混合して混練し、次いで製麺することを特徴とする食感の改良された麺類の製造方法。
- (1)卵白とポリフェノール含有緑茶抽出物とを小麦粉に添加・混合した後、食塩と水または食塩水を加えて混練するか、または(2)小麦粉に卵白を混合した原料粉にポリフェノール含有緑茶抽出物を溶解した水または食塩水を加えて混練し、次いで製麺する請求項1に記載の食感の改良された麺類の製造方法。
- 前記緑茶抽出物中のポリフェノール含有量が10〜95%である請求項1または2に記載の食感の改良された麺類の製造方法。
- 前記麺類が中華麺である請求項1〜3のいずれか1つに記載の食感の改良された麺類の製造方法。
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