JP2009242268A - ナタマメを乳酸菌によって発酵させた原料を用いた茶、食品および口腔衛生品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナタマメを原料として微生物で発酵してなる新規な嗜好性飲料素材及び口腔衛生用素材を提供する。
【解決手段】ナタマメは、古来から健康を調整する植物として言い伝えられ煎じてナタマメ茶のように飲用することが行われていた。しかし味に特徴が少なく茶としての積極的な特徴はすくなかった。そこで、微生物による、具体的には、麹菌(アスペルギルス属菌)や乳酸菌(ラクトバチルス属菌、ロイコノストック属菌、ペディオコッカス属菌など)を用いて発酵することによって、従来にはなかった特徴を持ったナタマメ茶を開発に至った。
【選択図】なし
【解決手段】ナタマメは、古来から健康を調整する植物として言い伝えられ煎じてナタマメ茶のように飲用することが行われていた。しかし味に特徴が少なく茶としての積極的な特徴はすくなかった。そこで、微生物による、具体的には、麹菌(アスペルギルス属菌)や乳酸菌(ラクトバチルス属菌、ロイコノストック属菌、ペディオコッカス属菌など)を用いて発酵することによって、従来にはなかった特徴を持ったナタマメ茶を開発に至った。
【選択図】なし
Description
本発明は、嗜好食品、健康食品あるいは美容食品として供される新規な茶、および歯磨き粉や歯磨きペーストあるいはうがい剤など口腔衛生品に関する。
茶は、広義にはその葉、花、果実、樹皮、根などを乾燥したものの煎じ液が飲用できる植物の総称を指し(「お茶の科学」裳華房
山西貞著)、例えば、葉を利用する茶樹、杜仲、ドクダミや、果実を利用する麦類などが挙げられる。最も代表的なものは茶樹であり、その葉を乾燥処理したいわゆる「茶」は世界中で広く飲まれている嗜好飲料である。茶樹は、植物学的にはツバキ科ツバキ属の木本性常緑樹であり、アッサム種(紅茶用)、中国種(中国茶用、緑茶用)に大別される。茶の飲用法は、茶葉を乾燥させ、そままいる緑茶、その後、半発酵させて用いる烏龍茶、そして十分に発酵させて用いる紅茶がある。
山西貞著)、例えば、葉を利用する茶樹、杜仲、ドクダミや、果実を利用する麦類などが挙げられる。最も代表的なものは茶樹であり、その葉を乾燥処理したいわゆる「茶」は世界中で広く飲まれている嗜好飲料である。茶樹は、植物学的にはツバキ科ツバキ属の木本性常緑樹であり、アッサム種(紅茶用)、中国種(中国茶用、緑茶用)に大別される。茶の飲用法は、茶葉を乾燥させ、そままいる緑茶、その後、半発酵させて用いる烏龍茶、そして十分に発酵させて用いる紅茶がある。
紅茶の発酵は、微生物による発酵ではなく、茶葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素の働きによって酸化発酵してつくられ、緑茶は始めに加熱処理して酵素活性を失活させ発酵させないものである。
通常、茶の製造で用いる発酵とは醸造工業における微生物による発酵ではない。茶葉の自己消化とでも言う方がより近い表現である。微生物の働きによる発酵を積極的に利用した茶もある。たとえば、後発酵茶である漬物茶(ミエン、碁石茶)や黒茶(プアール茶:糸状菌<例えば、アスペルギルス属或いはペニシリウム属菌>)は微生物が関与する発酵茶である。これらの茶は同種の茶樹から作ることができる。
一方、茶葉以外の成分を合わせて茶として飲用することもある。例えば、麦茶、鳩麦茶、ほうじ茶、などがある。麦の種子を焙煎して、そのまま茶と同様に湯で抽出して飲むものや、さらに茶葉とブレンドして飲む方法も一般に用いられている。
大豆茶や黒豆茶も知られている。大豆あるいは黒豆を十分に煎って、その後、粉砕して作ることができる。焙煎した大豆の粉末を水に入れて、強火で沸騰させる。沸騰したら中火にして10分〜15分で火を切り、大豆茶ができあがる。さらに類似したものとしてコーヒーもある。豆を焙煎して、湯を通す、もしくは沸騰させれば、コーヒーとなる。このように種々の豆は、焙煎した後、湯を通したり、沸騰させて、独特の飲料となる。
ナタマメ属は、豆科であり、ナタマメ属には、11の種が知られている。下記にそれらの学名と日本名のあるものは和名を示した。Canavalia gladiolata Sauer,Canavalia
piperi Killip et MacBride,Canavalia virosa (Roxb.) Wight et Arn.,Canavalia
plagiosperma Piper,Canavalia regale Dunn.,Canavalia gladiata
(Jacq.) DC. f. alba (Makino) Ohashi(シロナタマメ),Canavalia cathartica Thouars(タカナタマメ),Canavalia
ensiformis (L.) DC.(タチナタマメ),Canavalia maritima (Aubl.) Thouars(ナガミハマナタマメ),Canavalia
gladiata (Jacq.) DC.,Canavalia lineata (Thunb.) DC.(ハマナタマメ)
piperi Killip et MacBride,Canavalia virosa (Roxb.) Wight et Arn.,Canavalia
plagiosperma Piper,Canavalia regale Dunn.,Canavalia gladiata
(Jacq.) DC. f. alba (Makino) Ohashi(シロナタマメ),Canavalia cathartica Thouars(タカナタマメ),Canavalia
ensiformis (L.) DC.(タチナタマメ),Canavalia maritima (Aubl.) Thouars(ナガミハマナタマメ),Canavalia
gladiata (Jacq.) DC.,Canavalia lineata (Thunb.) DC.(ハマナタマメ)
熱帯アフリカ原産の豆で、夏に花をつけ、秋に実を成らせる。長さ30cmにもなる刀のような形のサヤをつけることから刀豆(ナタマメ,sward bean,剣の豆)と呼ばれている。「ジャックと豆の木」のモデルは、このナタマメだと言われている。主に東南アジアで食用にされている。
通常は、サヤがまだ若いうちに輪切りにし、野菜として使う。福神漬けにもナタマメの輪切りが使われている。また、花も食用にする。酢漬けにして瓶詰めにしたのが売られている。
通常は、サヤがまだ若いうちに輪切りにし、野菜として使う。福神漬けにもナタマメの輪切りが使われている。また、花も食用にする。酢漬けにして瓶詰めにしたのが売られている。
豆類ではよくあることだが熟した豆は有毒で、化膿の薬として薬効があると、江戸時代の「和漢三才図会」にも紹介されている。成熟した豆も食用にするが、ナタマメにはコンカナバリンAをはじめとする数種の毒があるため、ただ煮ただけでは食べられない。豆を食べるには何度もゆでこぼすと良い。漢方では、胃腸をあたため、気を下し、腎を補うといわれている。滋養強壮や咳止めの薬として用いられる。
ナタマメを一つの成分としたお茶は、既に作られている(特許文献1)。焙じたナタマメに加えて,ハトムギ,キトサン,麦こうせん,還元麦芽糖水飴,卵殻カルシウム,人参末,アラビアゴム,および蔗糖脂肪酸エステルとの混合粉末とからなることを特徴とする茶である。
あるいは、ナタマメのほかの植物、コイックス属、ガルデニア属、プランタゴ属,マロティウス属の各植物を配合して、これらを粉砕し、炒って成ることを特徴とする、ナタマメを主成分とする茶も知られている(特許文献2)。また、ガンマ−アミノ酪酸(γ-aminobutyric acid)を含むイネ科植物に由来するイネ科植物の緑葉健康茶とナタマメ茶等を混合した茶も知られている(特許文献3)
今般、発明者らは、ナタマメを微生物によって発酵させて用いる、茶など飲料に用いる素材あるいはまた歯磨きなど口腔衛生に用いる素材に係る発明を完成させるに至った。
本発明は、ナタマメを原料として微生物で発酵してなる新規な嗜好性飲料素材および口腔衛生用素材を提供することを課題とする。
本発明者らは、ナタマメに種々の微生物を接種し、発酵させることにより各種のナタマメ発酵素材について鋭意検討を重ねた。その結果、ナタマメを原料に乳酸菌あるいは麹菌を接種して発酵させることにより、色沢、形状、水色、香り、味等の点で従来にない新規な嗜好性飲料であるナタマメ発酵茶を提供できることを見いだし、本発明を完成した。本発明で得られた発酵ナタマメ素材の用途は、お茶ばかりでなく歯磨きやうがい剤のような口腔衛生品としても用いることができる。
即ち、本発明は、ナタマメを原料に微生物を接種して、あるいは麹米などすでに微生物の生育したものを加えて発酵を進行させることを特徴とするナタマメ発酵素材の製造法である。本発明において、ナタマメ発酵素材に加えて種々の茶原料と併用することは、味や香りにより変化を与えるので嗜好によっては特に制限はない。たとえば、通常の紅茶或いは緑茶の原料として使用される木本性常緑樹であるツバキ科植物の葉や茎、中国原産の落葉性植物である杜仲科杜仲の樹皮や、ギムネマ茶、マタタビ茶、アシタバ茶、オリ−ブ茶、ドクダミ茶等の原料である各種の草木、麦茶、はと麦茶、そばの実茶などの各種の穀類も発酵時の混合、あるいは発酵後の混合、焙煎後の混合を行い最終的に嗜好性の高い茶素材および口腔衛生用素材を作ることができる。
本発明の微生物を接種する対象としてのナタマメとしては、生であってもよいし、蒸煮したもの、煮たものなどいろいろな処理を対象とすることもできる。より好ましくは、十分に水さらしをした後、蒸煮し、放冷したものに各種微生物を接種することで、より優良なナタマメ発酵素材を得ることができる。
本発明によれば、従来使用されていなかった乳酸菌などによる微生物で発酵させたナタマメを原料として用いることによって、従来にない嗜好性の範囲を拡大したお茶類飲料あるいは歯磨きなど口腔衛生用製品およびその製造法が提供される。
本発明で用いるナタマメは、007で述べたカナバリア(Canavalia)属の豆ならどれでも用いることができる。好ましくは、シロナタマメやタチナタマメを用いることによって、より嗜好性の高い素材を作ることができる。
本発明で用いる微生物は、乳酸菌としては、種々の種類の乳酸菌を用いることができる。すなわち、テトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属乳酸菌、ラクトバシラス(Lactobacillus)属乳酸菌、ラクトコッカス(Lactococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌、ロイコノストック(Leuconostoc)属乳酸菌、ストレプトコッカス(Streptococcus)属乳酸菌、エノコッカス(Oenococcus) 属乳酸菌、ビセラ(Weissella)属乳酸菌、カルノバクテリウム(Carnobacterium) 属乳酸菌、バゴコッカス(Vagococcus) 属乳酸菌、アトポビウム(Atopobium) 属乳酸菌などを用いることができる。
本発明の方法により、ナタマメは、微生物による発酵工程を経て、乾燥、焙煎され、さらに粉砕されて、発酵ナタマメ茶となる。あるいは、乾燥を経ることなく、歯磨きなど口腔内衛生品の素材となる。
次に本発明の実施例について説明する。本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1:麹菌(アスペルギルス・オリゼ)による発酵によるナタマメ茶の製造
ナタマメを洗浄し、一晩水に浸漬し十分に膨潤した後、蒸気釜において摂氏121度で30分間蒸煮した。フードカッターで厚さ5mmから8mmにスライスし、これに種麹(アスペルギルス・オリゼの分生子)を振りかけて麹菌を接種した。37度、湿度90%で通気しながら麹菌を成長させた。途中で切り返しを行いながら44時間培養し、ナタマメ麹を作った。次にナタマメ麹、すなわちアスペルギルス・オリゼによるナタマメ発酵物を乾燥させ、さらに焙煎を行い、堅くなったナタマメ麹を粉砕した。粉砕物を湯で抽出することによって発酵ナタマメ茶とした。ほのかな甘みと香ばしさを持った茶となった。この発酵ナタマメは、このように単体で茶として使用することができるとともに、従来の茶葉と混合して湯で抽出して、カフェインを含んだ発酵ナタマメ茶として飲用することもできる。
ナタマメを洗浄し、一晩水に浸漬し十分に膨潤した後、蒸気釜において摂氏121度で30分間蒸煮した。フードカッターで厚さ5mmから8mmにスライスし、これに種麹(アスペルギルス・オリゼの分生子)を振りかけて麹菌を接種した。37度、湿度90%で通気しながら麹菌を成長させた。途中で切り返しを行いながら44時間培養し、ナタマメ麹を作った。次にナタマメ麹、すなわちアスペルギルス・オリゼによるナタマメ発酵物を乾燥させ、さらに焙煎を行い、堅くなったナタマメ麹を粉砕した。粉砕物を湯で抽出することによって発酵ナタマメ茶とした。ほのかな甘みと香ばしさを持った茶となった。この発酵ナタマメは、このように単体で茶として使用することができるとともに、従来の茶葉と混合して湯で抽出して、カフェインを含んだ発酵ナタマメ茶として飲用することもできる。
実施例2:麹菌(アスペルギルス・オリゼ)による発酵によるナタマメ歯磨き粉素材の製造
実施例1の製造物であるナタマメ麹を粉になるまで細かく粉砕する。この粉に、歯磨き粉用素材を作成した。歯磨き粉の原料は、通常用いられるものでよい。すなわち、清浄剤としてリン酸水素カルシウム、潤滑剤としてソルビット、発泡剤としてアルキルグルコシド、溶剤としてポリエチレングリコール、粘結剤としてヒドロキシエチルセルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、香味剤としてハーブミント、サッカリンナトリウム、安定化剤として酸化チタン、防腐剤としてパラベン、清浄助剤としてヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを用いた。これらの原料を撹拌し、そこへ発酵ナタマメ粉を投入し、真空ニーダーでさらに撹拌した。さらに脱気して、濾過した後、チューブに充填した。
実施例1の製造物であるナタマメ麹を粉になるまで細かく粉砕する。この粉に、歯磨き粉用素材を作成した。歯磨き粉の原料は、通常用いられるものでよい。すなわち、清浄剤としてリン酸水素カルシウム、潤滑剤としてソルビット、発泡剤としてアルキルグルコシド、溶剤としてポリエチレングリコール、粘結剤としてヒドロキシエチルセルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、香味剤としてハーブミント、サッカリンナトリウム、安定化剤として酸化チタン、防腐剤としてパラベン、清浄助剤としてヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを用いた。これらの原料を撹拌し、そこへ発酵ナタマメ粉を投入し、真空ニーダーでさらに撹拌した。さらに脱気して、濾過した後、チューブに充填した。
実施例3:ナタマメ蒸煮物と米麹と合わせた発酵ナタマメ茶の製造
次に示すのは、麹菌を蒸し米に植菌した清酒用や味噌用の米麹を用いて、蒸煮したナタマメとともに発酵を進める方法である。酒造藏で製造した米麹を用いる。米麹は冷凍保存が可能であり、冬季に製造した米麹を冷凍して夏期に用いることもできる。
次に示すのは、麹菌を蒸し米に植菌した清酒用や味噌用の米麹を用いて、蒸煮したナタマメとともに発酵を進める方法である。酒造藏で製造した米麹を用いる。米麹は冷凍保存が可能であり、冬季に製造した米麹を冷凍して夏期に用いることもできる。
ナタマメを洗浄し、1晩浸漬し、蒸煮し、スライスしたナタマメと吟醸酒用米麹、精製水、および乳酸を加えて、20℃で発酵させて、5日間保温した。
発酵の結果、変化が見られた。豆は、柔らかくなってきた。豆の皮は、厚く膨潤しており、一方で豆の中身は、白さを保っている。清酒用の麹を使っており、酵母は添加していないが、少しアルコール発酵が起こっているようにも見える。発酵工程は乳酸でpHを下げているので、腐敗は起こしていない。さらに1週間を観察したが、麹米は溶けが進んだが、ナタマメは、変化が少なかった。
発酵の結果、変化が見られた。豆は、柔らかくなってきた。豆の皮は、厚く膨潤しており、一方で豆の中身は、白さを保っている。清酒用の麹を使っており、酵母は添加していないが、少しアルコール発酵が起こっているようにも見える。発酵工程は乳酸でpHを下げているので、腐敗は起こしていない。さらに1週間を観察したが、麹米は溶けが進んだが、ナタマメは、変化が少なかった。
発酵終了後、水分を切り、乾燥させ、さらに焙煎した。この際、焙煎の温度が高すぎると焦げやすいので注意を要する。これは、米とナタマメのデンプンが、米麹のアミラーゼによってグルコースへと分解が進んでいるためで、加熱によって褐変し易くなっているためである。ある程度の焦げは、香ばしさを増す効果もある。焙煎した発酵ナタマメを粉砕してティーバックに入れた。これを湯で抽出して茶として飲用した。あるいは、これに加えて従来の茶葉を入れて、より香りの強い発酵ナタマメ茶として飲用した。
実施例4:乳酸菌による発酵
豆を水洗いし、蒸す前に一晩の水で浸漬した。さらに洗って、1気圧121℃、30分間蒸煮した。この操作で、原料豆の殺菌も同時に行っていることになる。スライサーで4mm程度の厚さにスライスした。
乳酸菌については、いろいろの種類が知られているが、乳酸桿菌と球菌を用いて試験を行った。使用した乳酸菌は5株で、それらの学名と由来は、表1に示した。
豆を水洗いし、蒸す前に一晩の水で浸漬した。さらに洗って、1気圧121℃、30分間蒸煮した。この操作で、原料豆の殺菌も同時に行っていることになる。スライサーで4mm程度の厚さにスライスした。
乳酸菌については、いろいろの種類が知られているが、乳酸桿菌と球菌を用いて試験を行った。使用した乳酸菌は5株で、それらの学名と由来は、表1に示した。
これらの乳酸菌を良く用いられる微生物用培地であるMRS培地に植菌して生育を調べた。2株は、生育が悪かったので、よく生育した3株の乳酸菌を用いて培養試験を行った。微生物の名前及び由来を図1に示した。
発酵試験の試験区は、2種類を設けた。1)乳酸菌だけで発酵させる。2)乳酸菌に加えて米麹を入れて発酵させる。この区では、乳酸菌の力だけでなく米麹の黄コウジカビのデンプン分解酵素やタンパク質分解酵素の働きが期待できる。
発酵は、予め乳酸菌をMRS培地で活性化させた後、遠心分離で培地成分を除き、乳酸菌をグルコース1%の生理食塩水に溶かして、蒸煮し、スライスした豆へ加えて、水が、全体に浸るまで加えた。米麹を入れた区でも同様に行った。
対照区は、試薬の乳酸を0.1%濃度で加えた区、および、乳酸も加えない区を設けた。発酵は、37℃もしくは、30℃で前者は、4日後者は、5日行った。発酵後の発酵液の組成を分析した。試験に用いた乳酸菌株のMRS培地での生育の程度を図2に示した。
対照区は、試薬の乳酸を0.1%濃度で加えた区、および、乳酸も加えない区を設けた。発酵は、37℃もしくは、30℃で前者は、4日後者は、5日行った。発酵後の発酵液の組成を分析した。試験に用いた乳酸菌株のMRS培地での生育の程度を図2に示した。
上記の分析結果から、次のようなことが判る。
1)
乳酸菌添加によってpHは、4.0前後まで下がっている。このpHは、大腸菌やサルモネラ菌など有害菌の生育を抑えることのできる酸度であり、発酵中の安全性を保つことができる。酸性になることによって、ナタマメには乳酸が、入り込んで漬け物状態になるとともに安全性は確保され、さらに乳酸菌の作る香り(強くはないが)が、入り込んでいる。
1)
乳酸菌添加によってpHは、4.0前後まで下がっている。このpHは、大腸菌やサルモネラ菌など有害菌の生育を抑えることのできる酸度であり、発酵中の安全性を保つことができる。酸性になることによって、ナタマメには乳酸が、入り込んで漬け物状態になるとともに安全性は確保され、さらに乳酸菌の作る香り(強くはないが)が、入り込んでいる。
2)
図3は、発酵試験 使用乳酸菌の種類と発酵液成分の変化を示したもので、その中で一番下とその上の行は、酸を入れていない区である。pHは、5.6〜5.9であり、有害菌の生育を抑制するには、不十分な酸度である。一方、これらの対照区だけにアミノ酸・ペプチドが、わずかであるが検出された。他の区では検出されなかったことから、酸性にならない場合は、タンパク質などが溶出してきているものと考えられた。
図3は、発酵試験 使用乳酸菌の種類と発酵液成分の変化を示したもので、その中で一番下とその上の行は、酸を入れていない区である。pHは、5.6〜5.9であり、有害菌の生育を抑制するには、不十分な酸度である。一方、これらの対照区だけにアミノ酸・ペプチドが、わずかであるが検出された。他の区では検出されなかったことから、酸性にならない場合は、タンパク質などが溶出してきているものと考えられた。
3) 米麹を入れた区では、グルコース濃度が2%前後まで上がっている。米とナタマメのデンプンが、黄麹菌のデンプン分解酵素によって、分解されグルコースが生じている。生じたグルコースは、乳酸菌によっても消費され、より多くの乳酸の蓄積があったと予想される。
発酵ナタマメの乾燥、およびロースト、焙煎。発酵させたナタマメは、発酵液の中にある。発酵液を除いて、ナタマメの水を切り、乾燥させた。乾燥は、濾紙の上にナタマメを広げて、125℃で3時間半乾燥させた。
ロースターには種々の種類がある。用いたのは、温度コントロールのみであったが、本特許は、ロースターの種類によって限定されるものではない。乾燥の程度は、焦げの程度と関係するので、加減が難しい。乾燥のために濾布の上へのナタマメの広げ方が、より均一にかつ迅速に乾き、ロースとされ焦げが少なかった。
一方、乳酸菌のみの発酵ナタマメでは、焦げが少なく、麹と乳酸菌のものは、焦げが多かった。これは、麹での発酵では、米麹の分解物であるブドウ糖が多くなるので、加熱すると焦げが出やすい。コーヒー豆の焙煎でも、焙煎の程度によって、「浅煎り」、「中煎り」、「深煎り」などがあるので、焙煎の程度は、商品の性質は変えることが可能である。
これらの結果から、ナタマメを発酵させるには、乳酸菌と米麹を両方を用いると良好な結果が、得られることが分かった。ナタマメは、タンパク質含量が、大豆などと比べて少ないために、タンパク質の分解によって期待されるアミノ酸の効果は、得られていない。香ばしい香りの発酵ナタマメ茶を飲用した。
これらの結果から、ナタマメを発酵させるには、乳酸菌と米麹を両方を用いると良好な結果が、得られることが分かった。ナタマメは、タンパク質含量が、大豆などと比べて少ないために、タンパク質の分解によって期待されるアミノ酸の効果は、得られていない。香ばしい香りの発酵ナタマメ茶を飲用した。
実施例5 乾燥した発酵ナタマメへの茶葉の混合
発酵ナタマメを麦茶のように単体で、そのまま湯で抽出して飲用することも可能であるが、従来の茶葉も加えて、立ち上る香りや、カフェインを補強したお茶も利用範囲は広い。そこで発酵ナタマメと茶葉を混ぜた発酵ナタマメ茶を試作してその嗜好性を調べた。
発酵ナタマメを麦茶のように単体で、そのまま湯で抽出して飲用することも可能であるが、従来の茶葉も加えて、立ち上る香りや、カフェインを補強したお茶も利用範囲は広い。そこで発酵ナタマメと茶葉を混ぜた発酵ナタマメ茶を試作してその嗜好性を調べた。
乾燥、焙煎した発酵ナタマメを粉砕して細かくした。通常のティーバックに合わせて全量2gとした。茶葉部分は、1.3g、ナタマメ部分は、0.7として、両者の比を65:35とした。ティーバックは、一つ一つ別々に茶葉と発酵ナタマメを計り込んだ。これは、茶葉の重さに対して、発酵ナタマメの比重が重いので、まとめて混合すると、上の方に軽い茶葉が集まりやすく、小規模では均一に混合するのが難しいためである。
試飲を次のように行った。図4に発酵ナタマメ茶 試験区を示した。ティーバック1個を湯飲みにカップに入れて、150mlの熱湯を注ぎ、1分間蒸らし飲用した。サンプルAからEまでを外観や香り、味を試飲した。サンプルAは、茶葉のみである。これに発酵ナタマメを添加して、それぞれサンプルB〜Eとしている。
Aは、茶葉のみである。色は、充分濃いが、飲んでみると味は薄い感じがした。Aに比較すると発酵ナタマメを加えた試験区は、いずれも味にふくらみが感じられた。サンプルBとDは、乳酸発酵のみのナタマメ。CとEは、加えて麹が入っている。麹の有無によって味の幅が、違っていた。麹が入るとより太い味となった。色も濃かった。いずれの区でも湯飲みの底に沈殿するものがある。茶葉のみのサンプルAでもある。ナタマメ添加区では、沈殿物の感じが少し異なった。
乳酸菌で発酵しているので、ナタマメに乳酸が入っており、茶にしてもすっぱ味が、加わる。感度の高い方は、それを感じる。感じ方によっては、酸味によって、すっきりした感じを出している。発酵しているので、酸味のほかにも味は加わっている。味は好みであり、酸の嫌いな方は、ネガティブに感ずることもあるかもしれない。
味は、好みであるのでどちらが良いとは一概には言えない。いずれに試験区においても、それぞれの特徴を感ずる味になっていた。発酵によって味と香りがより複雑になって、独特の特徴を付与されたナタマメ茶ができた。
発酵ナタマメ茶の特徴。本発明の発酵ナタマメ茶の性質は、その製造方法から下記のような特徴があり、従来のナタマメ茶には無かった味と香りの特徴を付けていることになる。
前処理が、数ステップある。品質に影響する工程は、
(1) 浸漬:浸漬によって、アクが抜ける。
(2)蒸煮:蒸煮によって、豆はクッキングされることになる。
(3)発酵:乳酸菌の発酵によって、乳酸が生成され、pHが下がり腐敗しにくくなる、とともに発酵風味と味が加わる。
(4)焙煎:焙煎の程度によって、焦げ臭の強弱ができる。
(5)粉砕:粉砕の荒さによって、ナタマメの表面積が変わり、香りと味の抽出率が変わってくる。
このように多数の変化要因が、発生している。これらによって、本発明の特徴付けが行われている。
前処理が、数ステップある。品質に影響する工程は、
(1) 浸漬:浸漬によって、アクが抜ける。
(2)蒸煮:蒸煮によって、豆はクッキングされることになる。
(3)発酵:乳酸菌の発酵によって、乳酸が生成され、pHが下がり腐敗しにくくなる、とともに発酵風味と味が加わる。
(4)焙煎:焙煎の程度によって、焦げ臭の強弱ができる。
(5)粉砕:粉砕の荒さによって、ナタマメの表面積が変わり、香りと味の抽出率が変わってくる。
このように多数の変化要因が、発生している。これらによって、本発明の特徴付けが行われている。
Claims (5)
- ナタマメ(なた豆、刀豆、鉈豆、Canavalia属)を乳酸菌(ラクトバチルス(Lactobacillus)属菌やペディオコッカス(Pediococcus)属菌、ロイコノストック(Leuconostocc)属菌など)で発酵させて得られる素材およびその加工品としての食素材および歯磨きなど口腔衛生品用の素材。
- ナタマメを麹菌(アスペルギルス属菌)によって発酵させて得られる素材およびその加工品としての食素材および歯磨きなど口腔衛生品用の素材。
- ナタマメを乳酸菌あわせて麹菌によって発酵させて得られる素材およびその加工品としての食素材および歯磨きなど口腔衛生品用の素材。
- 請求項1、2もしくは3の原料を用いて、それらを乾燥後、焙煎して得られるナタマメ茶およびその製造方法
- 請求項1、2もしくは3の原料を用いた歯磨きやうがい剤等の口腔衛生品および製造方法
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JP (1) | JP2009242268A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021102589A (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-15 | サムライ金沢株式会社 | カワラケツメイ属に属する植物の発酵物ならびに前記を含有する化粧料および皮膚外用剤 |
KR20210115946A (ko) * | 2020-03-17 | 2021-09-27 | 윤미순 | 작두콩 효소의 제조방법 및 이에 의하여 제조된 작두콩 효소 |
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2008
- 2008-03-29 JP JP2008088949A patent/JP2009242268A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021102589A (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-15 | サムライ金沢株式会社 | カワラケツメイ属に属する植物の発酵物ならびに前記を含有する化粧料および皮膚外用剤 |
KR20210115946A (ko) * | 2020-03-17 | 2021-09-27 | 윤미순 | 작두콩 효소의 제조방법 및 이에 의하여 제조된 작두콩 효소 |
KR102427534B1 (ko) | 2020-03-17 | 2022-08-02 | 윤미순 | 작두콩 효소의 제조방법 및 이에 의하여 제조된 작두콩 효소 |
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