JP2007282536A - 食感改良用組成物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品に所望の食感を容易に与えることができる安全な食感改良用組成物を提供する。
【解決手段】タンパク質を含む食品と植物抽出物とを、植物抽出物中のポリフェノールがタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる食感改良用組成物。この組成物を食品に混合することにより、食品の噛み応えや歯ざわりを改良することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、食品の硬さを増すための食感改良用組成物、及び食品の食感改良方法に関する。
食品の歯ごたえ、舌触りなどの食感に対する嗜好は、地域差、年齢差などにより大きく異なり、また時代により変遷する。また、近年、消費者のニーズが多様化していることもあり、多くの消費者を満足させるため様々な食感を有する食品の開発が求められている。
食品の食感を改良するために、食品に卵白などの動物性タンパク質やグルテンなどの植物性タンパク質を添加することが行われている。しかし、タンパク質を添加するだけでは、そのタンパク質の種類に限りがあり、またそのタンパク質素材の持つ物性から余りにかけ離れた食感を得ることは難しいため、似通った食感しか得られない。
また、かまぼこ、うどんなどの食品に塩類や有機酸を添加して、その固さを変化させる方法も行われているが、塩類や有機酸は食品添加物としては消費者に敬遠される。
また、酵素によりタンパク質間に架橋を形成させて食感を向上させる方法も多数報告されている。例えば、特許文献1は、ペプチドやタンパク質にペルオキシダーゼを作用させて架橋させる方法を開示している。また、特許文献2は、タンパク質をマルチ銅オキシダーゼにより架橋させて食感を向上させる方法を開示している。また、同公報には、マルチ銅オキシダーゼの反応を促進するメディエーターとして各種ポリフェノールを使用できることが記載されている。特許文献3は、タンパク質をトランスグルタミナーゼ及び酸化還元酵素処理により改質して喉越しや歯ごたえ等を改善する方法を開示している。
しかし、酵素を用いる方法は、酵素が高価であり、また酵素は不安定であるため操作が難しい。
また、特許文献4は、タンパク質に対してタンニンをタンニン酸として10〜60重量%含む組成物は、長時間の咀嚼後に噛みカスを残しチューイングガムベースとして使用できることを開示している。また、同公報には、このチューイング基材は、タンパク質に水を加えて加熱溶解させ、攪拌下に上記比率になるようにタンニンを加え、攪拌を続けて粘度を増大させることにより得られることが記載されている。しかし、この組成物は、香料や糖分などを添加してそれ自体を噛むためのものである。タンニンは非常に渋いため、このように多量のタンニンを含む組成物を食品に添加したものはそのままでは食用に供することができない。食するには、このタンニン含有組成物、又はそれを添加した食品を十分に水洗することが必要である。
また、特許文献5は、コラーゲン水性液をタンニン水溶液に滴下することにより、球状となったコラーゲンビーズ中にタンニンが浸透したビーズが得られ、このビーズは、着色料や調味料などを包含させて食品添加物として使用できることを開示している。しかし、このビーズは他の食品と混和するものではない。
その他タンパク質とタンニンなどのポリフェノールの複合体を利用する技術として、特許文献6は、ポリフェノールの溶液にタンパク質を混合して複合体を形成させ、酸性にしてタンパク質を沈殿させることでポリフェノールを高濃度に含む化合物を得る手法を開示している。これは主として抗酸化などの生理活性を持つポリフェノールを分離、調製することを目的とするもので、食感の向上などの物性変化を目指すものではない。
特開平11−75887号公報 特開平11−276162号公報 特開2000−60431号公報 特開昭63−7747号公報 特開平4−331238号公報 特開2002−68991号公報
本発明は、食品に所望の食感を容易に付与することができる安全な食感改良用組成物、及びその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、食品に所望の食感を容易に付与することができる安全な、食品製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は研究を重ね、タンパク質を含む食品と植物抽出物とを混合し、熟成させて得られる組成物を食品に添加することによりその食品の食感を改良できることを見出した。本発明は、この知見に基づき完成されたものであり、下記の食感改良用組成物などを提供する。
項1. タンパク質を含む食品と植物抽出物とを、植物抽出物中のポリフェノールがタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる食感改良用組成物。
項2. タンパク質を含む食品が、大豆、卵白、及び乳清からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品である項1に記載の組成物。
項3. 植物が、茶、シソ、赤キャベツ、及び赤大根からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物である項1又は2に記載の組成物。
項4. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する項1〜3のいずれかに記載の組成物。
項5. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う項1〜4のいずれかに記載の組成物。
項6. タンパク質を含む食品とポリフェノールとを、ポリフェノールがタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる食感改良用組成物。
項7. タンパク質を含む食品が、大豆、卵白、及び乳清からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品である項6に記載の組成物。
項8. ポリフェノールが、アントシアニン、及びフラバノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノールである項6又は7に記載の組成物。
項9. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する項6〜8のいずれかに記載の組成物。
項10. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う項6〜9のいずれかに記載の組成物。
項11. タンパク質を含む食品と植物抽出物とを、植物抽出物中のポリフェノール量がタンパク質に対して0.1〜1重量%になる比率で混合する工程と、この混合物を熟成させる工程とを含む食感改良用組成物の製造方法。
項12. タンパク質を含む食品が、小麦粉製品、乳製品、豆腐からなる群より選ばれる食品である項11に記載の方法。
項13. ポリフェノールが、アントシアニン、及びフラバノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノールである項11又は12に記載の組成物。
項14. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する項11〜13のいずれかに記載の組成物。
項15. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う項11〜14のいずれかに記載の組成物。
項16. タンパク質を含む食品とポリフェノールとを、ポリフェノール量がタンパク質に対して0.1〜1重量%になる比率で混合する工程と、この混合物を熟成させる工程とを含む食感改良用組成物の製造方法。
項17. タンパク質を含む食品が、小麦粉製品、乳製品、豆腐からなる群より選ばれる食品である項16に記載の方法。
項18. 植物が、茶、シソ、赤キャベツ、及び赤大根からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物である項16又は17に記載の組成物。
項19. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する項16〜18のいずれかに記載の組成物。
項20. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う項16〜19のいずれかに記載の組成物。
項21. 食品と項1〜10のいずれかに記載の組成物とを混合する工程を含む食感改良食品の製造方法。
項22. 植物が、茶、シソ、赤キャベツ、及び赤大根からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物である項21に記載の組成物。
項23. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する項21又は22に記載の組成物。
項24. 項1〜10のいずれかに記載の組成物を、食品中の最終濃度が0.5〜4重量%になるように混合する項21〜23のいずれかに記載の組成物。
本発明の食感改良用組成物は、タンパク質を含む食品や植物(又はポリフェノール)の種類、及びそれらの配合比率、さらには、被改良食品への添加量を調節することにより、被改良食品の噛み応えや歯ざわり等を向上させ、被改良食品に任意の硬さを与えることができる。
また、タンパク質を含む食品と植物植物抽出物(又はポリフェノール)という天然物を原料としているため、食品添加物として非常に安全性の高いものである。
さらに、本発明の食感改良用組成物が、食用キノコの抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる成分を含むときは、一層、被改良食品の歯ごたえ、歯ざわり等を向上させることができる。
(I)食感改良用組成物
本発明の第1の食感改良用組成物は、タンパク質を含む食品と植物抽出物とを、植物抽出物中のポリフェノール量がタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる組成物であって、食品の食感を改良するために用いるものである。
本発明の第2の食感改良用組成物は、タンパク質を含む食品とポリフェノールとを、ポリフェノールがタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる組成物であって、食品の食感を改良するために用いるものである。
上記のポリフェノール量の範囲であれば、十分に食感向上効果が得られる。また、上記ポリフェノール量の範囲であれば、ポリフェノールのために組成物が脆くなるということがない。また、植物又はそれに含まれるポリフェノールの渋み、苦味が少なく、それを添加した食品をそのまま食することができる。また、上記ポリフェノール量の範囲であれば、植物やポリフェノールの種類によって食感改良用組成物が黒ずんでそれを添加した食品の外観を損ねるという恐れがない。
タンパク質
タンパク質を含む食品の種類は特に限定されず、植物由来、又は動物由来のいずれのタンパク質であってもよい。タンパク質を含む植物性食品としては小麦、米、大豆、とうもろこし等が挙げられる。タンパク質を含む動物性食品としては、卵(全卵、卵白、卵黄);カゼインなどを含む牛乳、乳清;ゼラチンなどを含む食肉等が挙げられる。タンパク質は食品ごと用いてもよく、或いは精製若しくは部分精製したものを用いてもよい。さらに合成されたポリペプチドやタンパク質の部分分解物も使用できる。いずれにしても、分子量が通常1万程度以上のものを用いればよい。
中でも、食品素材として一般的である点で、大豆、卵白、乳清が好ましく、卵白がより好ましい。
植物抽出物
植物の種類は特に限定されない。例えば、種子植物、コケ、シダ、藻類などを使用できる。通常は、食品素材である野菜、果物、茶類、各種生薬類などを使用すればよい。
使用可能な植物として、例えば茶等のツバキ科植物、ブドウ等のブドウ科植物、コーヒー等のアカネ科植物、カカオ等のアオギリ科植物、ソバ等のタデ科植物、グーズベリー、クロフサスグリ、アカスグリ等のユキノシタ科植物、ブルーベリー、ホワートルベリー、ブラックハクルベリー、クランベリー、コケモモ等のツツジ科植物、赤米、ムラサキトウモロコシ等のイネ科植物、マルベリー等のクワ科植物、エルダーベリー、クロミノウグイスカグラ等のスイカズラ科植物、プラム、ヨーロッパブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、エゾイチゴ、セイヨウキイチゴ、オオナワシロイチゴ、オランダイチゴ、クロミキイチゴ、モレロチェリー、ソメイヨシノ、セイヨウミザクラ、甜茶、リンゴ等のバラ科植物、エンジュ、小豆、大豆、タマリンド、ミモザ、ペグアセンヤク等のマメ科植物、紫ヤマイモ等のヤマイモ科植物、カキ等のカキ科植物、ヨモギ、春菊等のキク科植物、バナナ等のバショウ科植物、ヤマカワラムラサキイモ等のヒルガオ科植物、ローゼル等のアオイ科植物、赤シソ等のシソ科植物、赤キャベツ等のアブラナ科植物等が挙げられる。中でも、茶等のツバキ科植物、赤シソ等のシソ科植物が好ましい。
また、これらの植物に応じて果実、果皮、花、葉、茎、樹皮、根、塊根、種子、種皮等の部位を任意に選べばよい。植物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリフェノールは、これらの植物より、公知の方法、例えば、熱水、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等から選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒により抽出することができる。
植物は、粉砕し、乾燥したものを使用すれば効率よく有効成分を抽出できる。
本発明では、植物から水、有機溶媒、又はこれらの混合物を用いて抽出された抽出物を用いる。有機溶媒としては、例えば食品添加物の製造に用いられているエタノールやヘキサンを使用することができる。中でも、食品添加物として許可されているエタノールが好ましい。適する抽出溶媒は、植物の種類によって異なるが、通常は、水、又は水とエタノールとの混合溶媒を用いればよい。
植物の抽出は、室温〜100℃程度、好ましくは30〜60℃程度で、8〜24時間程度行えばよい。
また、本発明では、植物抽出物から精製又は部分精製したポリフェノールや化学合成されたポリフェノールを用いてもよい。ポリフェノールの種類は、特に限定されず、例えば、フラボノイド類、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸等のモノマーポリフェノール;プロアントシアニンのような縮合型ポリマーポリフェノール;ガロタンニン、エラグタンニンのような加水分解型ポリマーポリフェノールなどが挙げられる。フラボノイド類としては、フラボン、アピゲニン、ルテオリンのようなフラボン;ケンフェロール、ケルセチンのようなフラバノール;ナリジン、ヘスペリジン、リキリチゲニンのようなフラバノン;アルビノン、タキシフォリンのようなフラバノール;ダイゼイン、ゲニスチンのようなイソフラボン;シアニジン系化合物、デルフィニジン系化合物、ペラルゴニジン系化合物のようなアントシアニン;カテキン、ロイコアントシアニンのようなフラバノール;カルタミン、フロレチンのようなカルコン;オーロン等が挙げられる。
中でも、モノマーポリフェノールが好ましく、フラボノイド類がより好ましく、アントシアニン、フラバノール(特にカテキン)がさらにより好ましい。
カテキンを多く含む植物体としては茶類等が挙げられ、アントシアニンを多く含む植物体としてはシソ、赤キャベツ、赤大根等が挙げられる。赤キャベツ、赤大根の抽出物は食品添加物として市販されており(キリヤ化学社)、このような市販品を用いることもできる。
抽出物は、ろ過、遠心分離などで固形分を取り除いた後、そのまま使用してもよく、又はスプレードライ、凍結乾燥、減圧乾燥、自然乾燥などの方法で濃縮、又は乾燥したものを使用してもよい。
その他の成分
本発明の組成物中には、その他に、食用キノコ(子実体、菌糸体等)の培養物の水又は/及び有機溶媒抽出物、又は食用キノコの培養生産物が含まれていてよい。食用キノコとしては、しいたけ、しめじ、えのきだけ、ひらたけ、エリンギ、マッシュルームなどが挙げられる。中でも、食習慣が長く、培養も容易である点でしいたけが好ましい。
食用キノコの培養物の抽出物としては、食用キノコをおがくず、ふすま、糠などの固体培地で培養した後に、培地ごと水や適切な緩衝液で抽出した成分が挙げられる。食用キノコは、その抽出物や菌体外生産物を利用するため、子実体は必ずしも形成されていなくてもよい。抽出時の温度は、酵素を失活させないために0〜15℃程度とすることが好ましい。抽出物はろ過、遠心分離などで固形分を取り除いた後、スプレードライ、凍結乾燥、減圧乾燥、自然乾燥などの方法で濃縮、又は乾燥したものを使用すればよい。
また、食用キノコの培養生産物(菌体外生産物)としては、食用キノコを液体培養した後の培養上清が挙げられる。この培養上清も固形分を取り除いた後、濃縮、又は乾燥して用いればよい。
また、食用キノコの培養物の抽出物と共に、又はこれに代えて、オキシダーゼ、パーオキシダーゼのような酸化酵素、化学酸化剤、高濃度の酸素を添加することもできる。酸化酵素は、例えば食用キノコなどから精製又は部分精製したものであってもよく、市販品であってもよい。例えば、西洋わさびのパーオキシダーゼや、糸状菌Arthromyces ramosus由来のパーオキシダーゼが市販されている。
使用比率
本発明の第1の食感改良用組成物において、タンパク質と植物抽出物との混合比率は、植物の種類によって異なるが、タンパク質に対して植物抽出物中のポリフェノールが0.05〜1重量%となる比率とする。特に、0.2〜0.4重量%となる比率が好ましい。また、本発明の第2の食感改良用組成物においてタンパク質とポリフェノールとの混合比率も同様である。
本発明において、ポリフェノール量は、フォリン・チオカルト試薬を用いて測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定した値である。
また本発明において、タンパク質量は、BCA法で測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定した値である。
食用キノコの培養物の抽出物、又は食用キノコの培養生産物の使用量は、タンパク質1gに対して酸化酵素活性として60〜500unit程度、好ましくは100〜200unit程度とすればよい。また、市販酸化酵素の使用量は、タンパク質1gに対して5000〜50000unit程度、好ましくは10000〜20000unit程度とすればよい。
本発明において、酸化酵素の活性は実施例に記載の方法で測定した値である。即ち、酸化酵素が例えばパーオキシダーゼ等であっても、その添加量はオキシダーゼ活性を指標に定める。
食用キノコの培養物の抽出物、若しくは食用キノコの培養生産物、又は酸化酵素を上記範囲で使用すれば、これらの使用によるゲル強化効果が得られ、また多すぎて組成物が脆くなることがない。
混合・熟成
次いで、得られる混合物を熟成する。熟成により、タンパク質に粘弾性が生じるようになる。熟成温度は、通常0〜50℃程度、好ましくは室温〜50℃程度、より好ましくは35〜45℃程度とすればよい。上記の熟成温度の範囲であれば、各成分が十分に反応して強度が向上し、かつタンパク質が熱凝固してしまうことがない。
熟成は通常1〜24時間程度行えばよく、好ましくは3〜5時間程度行えばよい。上記時間範囲であればタンパク質の粘弾性が十分になり、かつ腐敗することがない。
熟成中は、混合物を静置すればよく、可能であれば攪拌してもよい。
熟成後に得られる混合物は、その水分を適宜調整して使用すればよい。水分含量は、熟成中に蒸発させて調整することもできるし、熟成後に遠心分離やろ過などで溶媒を除去することにより調整することもできる。
(II)食感改良食品の製造方法
第1の食感改良食品の製造方法
本発明の第1の食感改良食品の製造方法は、食品と上記説明した本発明の食感改良用組成物とを混合する工程を含む方法である。
食品と食感改良用組成物とを混合するタイミングは特に限定されず、食品製造工程のどの段階で食感改良用組成物を添加してもよい。例えば、かまぼこを製造する場合、魚肉や澱粉などの原材料と食感改良用組成物とを混練した後、通常のかまぼこ製造方法に従って焼き上げることにより、歯ごたえ等が改良されたかまぼこが得られる。
従って、食品は、調理前の食品素材であってもよく、すでに調理された食品であってもよい。いずれにしても、摂取する時点で、歯ごたえや固い食感が求められるような固体状食品や半固体状食品となるようなものであればよい。
このような食品として、例えば、うどん、ラーメンのような麺類;かまぼこ、竹輪のような練り製品;豆腐やその加工品;だし巻き卵、プリン、茶碗蒸し、ゼリーのようなゲル状食品;パン、ケーキのような焼き製品;ソーセージのような肉加工食品;餃子、焼売のような加工食品;ヨーグルト、チーズのような乳製品など、及びこれらを製造するための原料食品が挙げられる。中でも、タンパク質を含む食品に本発明の食感改良用組成物を混合することにより、効果的に食感を向上させることができる。特に、従来より卵白、乳清などの添加による物性改質が一般的に行われてきたうどん、ラーメン、パン、ケーキのような小麦粉製品が好ましい。
食感改良用組成物の使用量は、対象となる食品の種類と、望ましい固さによって異なるが、概ね、摂取可能な完成食品中に最終濃度0.5〜4重量%程度となるように添加するのが好ましく、0.7〜1重量%程度となるように添加するのがより好ましい。上記範囲であれば、十分に食感を向上させることができ、かつ固くなりすぎることがない。食感改良用組成物の段階で物性強化されていれば、食品への添加量がこのように少なくても十分にその噛み応えや歯ざわりを向上させることができる。
第2の食感改良食品の製造方法
また、本発明の第2の食感改良食品の製造方法は、タンパク質を含む食品と、植物抽出物又はポリフェノールとを、ポリフェノール量がタンパク質に対して0.1〜1重量%程度になる比率で混合する工程と、この混合物を熟成する工程とを含む方法である。
植物抽出物の使用量は、対象食品中に含まれるタンパク質に対して、ポリフェノール含量にして0.3〜0.5重量%程度となる量が好ましい。また、植物抽出物に代えてポリフェノールを使用する場合の、ポリフェノール使用量も上記と同様である。
上記のポリフェノール量の範囲であれば、十分に食感向上効果が得られる。また、上記ポリフェノール量の範囲であれば、ポリフェノールのために組成物が脆くなるということがない。また、植物又はそれに含まれるポリフェノールの渋み、苦味が少なく、それを添加した食品をそのまま食することができる。また、上記ポリフェノール量の範囲であれば、植物やポリフェノールの種類によって食感改良用組成物が黒ずんでそれを添加した食品の外観を損ねるという恐れがない。
タンパク質を含む食品としては、食品は、調理前の食品素材であってもよく、すでに調理された食品であってもよい。いずれにしても、摂取する時点で、歯ごたえや固い食感が求められるような固体状食品や半固体状食品となるようなものであればよい。
このような食品として、例えば、うどん、ラーメンのような麺類;かまぼこ、竹輪のような練り製品;豆腐やその加工品;だし巻き卵、プリン、茶碗蒸し、ゼリーのようなゲル状食品;パン、ケーキのような焼き製品;ソーセージのような肉加工食品;餃子、焼売のような加工食品;ヨーグルト、チーズのような乳製品など、及びこれらを製造するための原料食品が挙げられる。中でも、食品中のタンパク質とポリフェノールとの熟成工程を加工工程に内包できる点で、うどん、ラーメン、パン、ケーキのような小麦粉製品や、ヨーグルト、チーズのような乳製品、豆腐などの製造原料食品に、ポリフェノール又は植物抽出物を添加するのが好ましい。これらの食品はその製造に発酵工程や熟成工程を含むため、別途熟成工程を行う必要がない。
さらに、植物抽出物又はポリフェノールに加えて、食用キノコの培養物の抽出物、若しくは食用キノコの培養生産物、又は酸化酵素を混合してもよい。食用キノコの培養物の抽出物、又は食用キノコの使用量は、タンパク質1gに対して酸化酵素活性として300〜1000unit程度とすればよい。また、市販酸化酵素の使用量は、タンパク質1gに対して30000〜100000unit程度とすればよい。例えば豆腐のようにタンパク質以外の成分の比率が高い食品では、酸化酵素の働きが低下するため、食用キノコの培養物の抽出物、若しくは食用キノコの培養生産物、又は酸化酵素の添加量を多めにすることが好ましい。
次いで、この混合物を熟成するが、熟成温度、時間は、本発明の食感改良用組成物について説明したと同様に、通常0〜50℃程度、好ましくは室温〜50℃程度、より好ましくは35〜45℃程度で、通常1〜24時間程度、好ましくは3〜5時間程度行えばよい。通常、その食品製造工程にもともと含まれる発酵や熟成時の温度、時間の範囲内において、十分に本発明方法における熟成が行われる。
得られた食品混合物を、必要に応じて、加熱加工すればよい。これにより、歯ごたえや舌触りなどの食感が改良された食品が得られる。
実施例
以下、本発明を実施例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<植物抽出物中のポリフェノール濃度の測定方法>
被験サンプル溶液200μlに、水3.2mlと、5倍に水希釈したフォリン・チオカルト試薬(和光純薬)200μlとを混合し、さらに10%Na2CO3溶液400μlを加えてから25℃で30分放置した後、760nmにおける吸光度を測定した。
また、ポリフェノールの標準試薬としてエピガロカテキンガレート(和光純薬)を用いて同様にして760nmにおける吸光度を測定して、検量線を作製し、この検量線にサンプルの吸光度を当てはめることによりポリフェノール濃度を算出した。
<酸化酵素活性測定法>
オキシダーゼ
被験サンプル50μlに0.1%ABTS((2,2-Azinobis(3-ethylbenzo-thiazoline-6-sulfonic acid))((Roche)/25mMクエン酸緩衝液pH3.2を250μl添加し、37℃で10分保持した後、405nmの吸光度測定した。1分間あたりに吸光度を1上昇させる酵素量を1unitと規定した。
<タンパク質濃度の測定方法>
PIERCE社のタンパク質測定用キット(BCAキット)を用いて以下のようにして被験試料中のタンパク質濃度を測定した。被験試料25μlに対してBCA混合液を0.25ml添加して反応を開始し、37℃、30分後の540nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定する。標準試料としては卵白アルブミン(SIGMA;A-2512)を用いて検量線を作成する。
実施例1(きのこ成分の調製)
しいたけの液体培養成分
おがくず0.5重量%、大豆ペプトン0.1重量%、酵母エキス0.05重量%を含む液体培地で27℃で約2月静置培養したしいたけ培養液をろ過、遠心分離などで菌糸、おがくずなどの固形分を取り除いた後、凍結乾燥で粉末を得た。
しいたけの固体培養成分
ふすま100重量部に対して、1重量部大豆ペプトン、0.5重量部酵母エキスを含む培養液60重量部を混合した固体培地に、しいたけを接種して27℃約2月培養した。培養後の固体培地に倍量程度の水を加え、撹拌しながら4℃で一晩保持し、十分にしいたけ成分を抽出したものをろ過、遠心分離などで固形分を取り除いた後、凍結乾燥で粉末を得た。
実施例2(植物抽出成分の調製)
シソヨウの低温抽出
シソの葉の乾燥粉末(生薬名シソヨウ)10gを800mlの水に懸濁し、室温で約24時間撹拌しながら抽出を行った。ろ過、遠心分離などで固形分を取り除いた後、凍結乾燥で粉末を得た。
シソヨウの熱水抽出
シソの葉の乾燥粉末(生薬名シソヨウ)10gを800mlの水に懸濁し、冷却管を装着したフラスコを用い、オイルバス上で100℃約8時間撹拌しながら抽出を行った。ろ過、遠心分離などで固形分を取り除いた後、凍結乾燥で粉末を得た。
実施例3(卵白ゲルの物性改良)
実施例2で調製した乾燥しそ葉(生薬名:シソヨウ)の抽出物を植物原料とし、食品に幅広く添加される卵白タンパク質の物性を改良した。
卵白溶液(太陽化学製の乾燥卵白を8重量%程度の水溶液にしたもの)に対して、実施例2で調製した、乾燥しそ葉(生薬名:シソヨウ)抽出物を0.1重量%添加した。また、実施例1で調製したしいたけ抽出物を0.1重量%添加したものも調製した。
卵白中のタンパク質(測定値約6.7重量%)に対してシソヨウ抽出物を(ポリフェノールとして約0.012重量%)、しいたけ抽出物を(酸化酵素活性として約1500unit)添加したことになる。
次いで、これらの混合物をそれぞれ45℃で、5時間静置することにより熟成させた。熟成品を80℃で2時間加熱して直径20mm、高さ10mmの加熱凝固ゲルを作成した。
一晩冷蔵して安定化させたゲルについて、室温に戻してから物性を評価した。ゲル物性については、テキソグラフ(日本食品開発(株))を用い、断面積0.5cm2の円筒プランジャーにより0.05mm/secで圧縮する破断変形測定を行った。本試験においては、同じ条件で6個ずつのゲルを作製しており、6回の測定により得られたゲル内部構造破断時の最大応力と変形率より、平均値と標準偏差を求めた。得られた平均値の比較による結果を以下の表1に示す。
Figure 2007282536
卵白ゲルの破断強度は、シソヨウ抽出物を添加することにより13%向上し、さらにしいたけ成分を添加したものでは44%の向上がみられた。変形率については強度と相関した変化を示した。
実施例4(卵白ゲルの物性改良におけるポリフェノールの至適濃度)
実施例2で調製した乾燥しそ葉(生薬名:シソヨウ)の抽出物を植物原料とし、実施例3に示した卵白に対するシソヨウ濃度の至適値を検討した。
卵白溶液(太陽化学製の乾燥卵白を8重量%程度の水溶液にしたもの)に対して、実施例2で調製した、乾燥しそ葉(生薬名:シソヨウ)抽出物を数段階に濃度を変えて添加した。
ここでは、卵白中のタンパク質に対して、シソヨウ抽出物をポリフェノール換算として約 0.03, 0.05, 0.2, 0.4, 1.0, 1.5, 8.0重量%程度の添加となるように、濃度段階を設定した。また、シソヨウを加えないものもコントロールとして用意した。
次いで、これらの混合物をそれぞれ45℃で、2時間静置することにより熟成させた。熟成品を80℃で2時間加熱して直径20mm、高さ10mmの加熱凝固ゲルを作成した。
一晩冷蔵して安定化させたゲルについて、室温に戻してから物性を評価した。ゲル物性については、テキソグラフ(日本食品開発(株))を用い、断面積0.5cm2の円筒プランジャーにより0.05mm/secで圧縮する破断変形測定を行った。本試験においては、同じ条件で6個ずつのゲルを作製しており、6回の測定により得られたゲル内部構造破断時の最大応力と変形率より、平均値と標準偏差を求めた。得られた平均値の比較による結果を以下の表2に示す。
Figure 2007282536
タンパク質に対するポリフェノールの比率が0.03重量%と低い時には、無添加の物に比べて5重量%程度しか強度は増加しなかったが、0.05重量%以上になると10%より高い強度が得られた。ただし、1重量%より高い比率の場合には強度が下がってきており、添加量に見合った効果が出るのは1重量%より低い比率であると考えられた。また、1重量%より濃い濃度になるとポリフェノールの褐変による着色が顕著になり、見栄えの悪いゲルになった。図1にシソヨウ無添加のものと、タンパク質に対してポリフェノールとして8重量%比率のゲルの比較画像を示す。
実施例5(改質卵白乾燥品の評価)
実施例3と同様にして、卵白溶液に対してシソヨウ抽出物を添加したもの、及びさらにしいたけ抽出物を添加したものを調製した。
これらの卵白混合物を45℃で5時間静置した後、反応液をスプレードライ、及び凍結乾燥にてそれぞれ乾燥粉末にした。この改質した乾燥卵白を8重量%の水溶液にして、80℃で2時間静置加熱して直径20mm、高さ10mmの加熱凝固ゲルを作成した。実施例3と同様にゲル物性測定した結果を以下に示す。
Figure 2007282536
改質後に乾燥した卵白についても、改質後に乾燥しないで溶液からすぐに熱凝固させた場合(実施例3)と同様に、しいたけやシソヨウを添加することにより、破断強度、変形率が向上している。このことから、本発明方法により、食感が改良された物性強化タンパク質は、乾燥処理後にもその性能が保持されていることが分る。
実施例6(シソヨウ以外の生薬の効果)
実施例2において、シソヨウに代えて後掲の表4に示す種々の生薬を用いた他は実施例2と同様にして抽出物を得た。また、実施例3において、シソヨウ抽出物に代えてこれらの生薬抽出物を用いた他は、実施例3と同様にして、改質卵白を調製し、さらに凝固ゲルを製造した。さらに、実施例3と同様にして、破断強度、及び変形率を測定した。
Figure 2007282536
卵白ゲルの強化の程度は、生薬の種類により差が見られるが、多くの生薬にゲル強度を向上させる作用があった。また、今回試験したほぼすべての生薬にしいたけ成分による卵白ゲル強化効果の促進がみられた。
実施例7(茶類の効果)
実施例2において、シソヨウに代えて後掲の表5に示す種々の茶類を用いた他は実施例2と同様にして抽出物を得た。また、実施例3において、シソヨウ抽出物に代えてこれらの茶抽出物を用いた他は、実施例3と同様にして、改質卵白を調製し、さらに凝固ゲルを製造した。さらに、実施例3と同様にして、破断強度、及び変形率を測定した。
Figure 2007282536
試験に用いたすべての日本茶、紅茶、中国茶に卵白ゲル強度を高める活性があり、その効果はしいたけ成分により促進された。中にはアールグレイのように茶単品での効果は弱いが、しいたけ成分を付加することで顕著に卵白ゲル強度の向上が促進されたものもあった。ここには示していないが、コーヒーにも同様の効果があることを確認している。
実施例8(改質卵白のラーメン物性改変効果)
実施例5で得たシソヨウ、しいたけと卵白とを混合し熟成させた凍結乾燥物(乾燥改質卵白)を、ラーメン製麺時の小麦粉に添加し、麺物性への効果を検討した。
準強力粉99重量部に対して乾燥改質卵白を1重量部、食塩1重量部、かんすい(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム各3重量%の混合液)35重量部を配合し、家庭用製麺器(こね工房IPM-500、泉精器製作所)にて5分間こねることで生地を作成した。約1時間室温で熟成した後生地を伸ばし、1mm刃幅のカッターを装着して麺帯を細断した。
得られたラーメンは物性を安定させるため1日冷蔵してから試験に用いた。物性測定時の麺の茹でのびを抑制するため、沸騰水で3分半湯がいた麺を即座に冷水にさらし、物性測定に用いた。
物性測定は、相対応力をテキソグラフを用いて測定した。テキソグラフによる測定には断面積2cm2のプランジャーを用い、茹でることで約2mm幅になった麺1本を挟み込んでから0.1mm/secで0.5mm幅まで圧縮し、その時の応力を測定した。測定は同条件で作製した試料5点以上で行って平均値と標準偏差値を求めた。動的粘弾性(貯蔵弾性率G')については、レオゾルG-5000((株)ユービーエム)を用いて測定した。動的粘弾性の測定は長さ2mmに切った麺一本をパラレルプレートに挟み、温度25℃周波数1ヘルツで、歪み率6〜35%の範囲の歪み依存性測定を行った。同一条件の試料3点について測定を行い、平均値と標準偏差値を求めた。
結果を図2及び表6に示す。
Figure 2007282536
図2から分かるように、弾力性の指標とされる貯蔵弾性率G'は、無処理卵白を添加した場合に比べて、改質卵白を添加した場合の方が向上している。
また、表6から分かるように、硬さそのものを示す応力も改質卵白を添加した場合の方が無処理卵白添加の場合に比べて高かった。
このように、改質卵白は、小麦粉に対して1重量%とかなり少ない添加比率ながらも、麺の硬さ、弾力などを向上させていることが示された。
実施例9 ポリフェノール比率の異なる改質卵白のラーメンに対する効果
ラーメンに添加する改質卵白について、卵白に対するシソヨウの濃度比率の至適値を検討した。
使用した改質卵白中のポリフェノール濃度を以下の表7に示す。
Figure 2007282536
今回用いた改質卵白は、実施例4と同様に、ポリフェノール濃度が上記濃度になるように、シソヨウを卵白溶液に配合したサンプルを調製し、45℃で2時間反応後、凍結乾燥したものである。
準強力粉99重量部に対して上記改質卵白をそれぞれ1重量部、食塩1重量部、かんすい(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム各3重量%の混合液)35重量部を配合し、その後実施例7と同様に製麺、湯がき等を行った試料について、テキソグラフを用いて応力測定を行った。テキソグラフによる測定には断面積2cm2のプランジャーを用い、茹でることで約2mm幅になった麺1本を挟み込んでから0.1mm/secで0.5mm幅まで圧縮し、その時の応力を測定した。測定は同条件で作製した試料5点以上で行って平均値と標準偏差値を求めた。
結果を図3、及び図4に示す。
図3の縦軸は、表7に示した改質卵白を添加した、それぞれのラーメンの応力(Pa)を示す。図3に示すように、組成物を入れていないブランクの麺に比べて、改質卵白を加えたものはすべて強度が増していた。シソヨウを添加していないただの卵白(A)を添加した麺に比べ、タンパク質に対するポリフェノール比率が0.4重量%(C)の卵白を添加した時の強度は高い値となっていたが、0.03重量%(B)と薄い物、1.5重量%(D)と濃い物については、ただの卵白を添加した麺よりも強度は向上していなかった。
また、ポリフェノール比率1.5重量%の卵白を添加した麺は、シソヨウの褐変により明らかに麺が黒ずんでしまった(図4)。
実施例10(豆腐製造におけるシソヨウ、しいたけ成分の効果)
豆乳(成分無調整豆乳、紀文フードケミファ製)100重量部に対してグルコノデルタラクトン0.4重量部、実施例2で調製したシソヨウ抽出物、実施例1で調製したしいたけ抽出物をそれぞれ0.1重量部添加した。紀文フードケミファ製の豆乳100重量部に約3.7重量部のタンパク質を含むため、みます。上記配合では、そのタンパク質1重量部に対してシソポリフェノールとして0.0032重量部(タンパク質に対して0.32重量%)程度、しいたけ酸化酵素活性は405unit程度の比率となる。この混合物を、直径20mm、高さ10mmの容器中で45℃で6時間熟成した。
その後80℃で2時間加熱してゲル強化したものにつき、1日以上冷蔵して物性を安定化してから実施例8と同様の条件で動的粘弾性を測定した。すなわち、動的粘弾性の測定は作製したゲルをパラレルプレートに挟み、温度25℃周波数0.5ヘルツで、歪み率2.6-14%の範囲の歪み依存性測定を行った。同一条件の試料3点について測定を行い、平均値と標準偏差値を求めた。測定した歪み依存性のうち、線形領域である4%歪みの部分での貯蔵弾性率G', 損失弾性率G''の比較を行った。
Figure 2007282536
貯蔵弾性率G'、損失弾性率G''ともにしいたけ成分添加のものに最も高い値がみられ、シソヨウ単品およびシソヨウ、しいたけ混合のものにも一定の効果がみられた。
実施例11(豆腐製造におけるシソヨウ濃度の効果)
豆乳(成分無調整豆乳、めいらく製)100重量部に対してグルコノデルタラクトン0.4重量部、実施例2で調製したシソヨウ抽出物をそれぞれ0, 0.02, 0.1, 1, 3重量部添加した。めいらく製の豆乳100重量部に約5重量部のタンパク質を含むため、上記配合では、そのタンパク質1重量部に対してシソポリフェノールとして0, 0.00048, 0.0024, 0.024, 0.072重量部(タンパク質に対して0, 0.048, 0.24, 2.4, 7.2 重量%)程度の比率となる。この混合物を、直径20mm、高さ10mmの容器中で45℃で6時間熟成した。その後80℃で2時間加熱してゲル強化したものにつき、一晩冷蔵して安定化させた豆腐ゲルについて、室温に戻してから物性を評価した。ゲル物性については、テキソグラフ(日本食品開発(株))を用い、断面積2cm2の円筒プランジャーにより0.05mm/secで圧縮する破断変形測定を行った。本試験においては、実施例3と同様に同じ条件で6個ずつのゲルを作製しており、6回の測定により得られたゲル内部構造破断時の最大応力と変形率より、平均値と標準偏差を求めた。得られた平均値の比較による結果を以下の表9に示す。
Figure 2007282536
シソヨウ抽出物を添加しないコントロールの豆腐に比べ、タンパク質に対するポリフェノール濃度が0.24重量%となるようシソヨウを添加した豆腐のみ強度、変形率が向上していた。2.4, 7.2重量%と濃度が高すぎる場合には豆腐は脆くて弱くなり、7.2重量%では測定時に多くの試料が破壊してしまい、1試料のみのデータとなった。また濃度の低い0.048重量%のものはあまり変化が無かった。
実施例12(各種きのこ成分の卵白ゲルに対する影響)
表10に記載の種々の白色不朽菌をおがくず培地で培養し、培養液を硫安沈殿後、透析して凍結乾燥した粉末成分を用いて、実施例3と同様にして改質卵白を製造した。すなわち、卵白溶液(太陽化学製の乾燥卵白を8重量%程度の水溶液にしたもの)に対して、上記で調製した各種きのこ抽出物を0.1重量%添加したものを調製した。
きのこの種類が変わると酸化酵素活性も変わるため、本実施例では酸化酵素活性で配合比率を規定せず、単純に重量比を統一した。
この混合物を45℃で5時間熟成させ、その後80℃で2時間加熱凝固させたゲルについて、実施例3と同様にして同じ条件で作製した6点のゲルについて破断強度、変形率を測定し、平均値、標準偏差値を求めた。
Figure 2007282536
プロテアーゼ活性を有することで知られるまいたけ以外、今回試した全ての種に卵白ゲルの強度を向上させる作用がみられた。本試験では特別にポリフェノール類を添加していないが、きのこ成分にはおがくず培地に由来する各種ポリフェノール類が混入していると考えられる。
高濃度のシソヨウ添加により、褐色化した卵白ゲルの観察像である。 各種ラーメンの貯蔵弾性率(G')の歪依存性を示す図である。 改質卵白中のポリフェノール添加量と、改質卵白を添加したラーメンの応力との関係を示す図である。 改質卵白中のポリフェノール添加量と、改質卵白を添加したラーメンの外観との関係を示す図である。

Claims (24)

  1. タンパク質を含む食品と植物抽出物とを、植物抽出物中のポリフェノールがタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる食感改良用組成物。
  2. タンパク質を含む食品が、大豆、卵白、及び乳清からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品である請求項1に記載の組成物。
  3. 植物が、茶、シソ、赤キャベツ、及び赤大根からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. タンパク質を含む食品とポリフェノールとを、ポリフェノールがタンパク質に対して0.05〜1重量%になる比率で混合し、熟成させることにより得られる食感改良用組成物。
  7. タンパク質を含む食品が、大豆、卵白、及び乳清からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品である請求項6に記載の組成物。
  8. ポリフェノールが、アントシアニン、及びフラバノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノールである請求項6又は7に記載の組成物。
  9. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する請求項6〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う請求項6〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. タンパク質を含む食品と植物抽出物とを、植物抽出物中のポリフェノール量がタンパク質に対して0.1〜1重量%になる比率で混合する工程と、この混合物を熟成させる工程とを含む食感改良用組成物の製造方法。
  12. タンパク質を含む食品が、小麦粉製品、乳製品、豆腐からなる群より選ばれる食品である請求項11に記載の方法。
  13. ポリフェノールが、アントシアニン、及びフラバノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノールである請求項11又は12に記載の組成物。
  14. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する請求項11〜13のいずれかに記載の組成物。
  15. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う請求項11〜14のいずれかに記載の組成物。
  16. タンパク質を含む食品とポリフェノールとを、ポリフェノール量がタンパク質に対して0.1〜1重量%になる比率で混合する工程と、この混合物を熟成させる工程とを含む食感改良用組成物の製造方法。
  17. タンパク質を含む食品が、小麦粉製品、乳製品、豆腐からなる群より選ばれる食品である請求項16に記載の方法。
  18. 植物が、茶、シソ、赤キャベツ、及び赤大根からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物である請求項16又は17に記載の組成物。
  19. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する請求項16〜18のいずれかに記載の組成物。
  20. 熟成を、0〜50℃の温度で1〜24時間行う請求項16〜19のいずれかに記載の組成物。
  21. 食品と請求項1〜10のいずれかに記載の組成物とを混合する工程を含む食感改良食品の製造方法。
  22. 植物が、茶、シソ、赤キャベツ、及び赤大根からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物である請求項21に記載の組成物。
  23. タンパク質を含む食品と植物抽出物と、さらに食用キノコの培養物の抽出物、食用キノコの培養生産物、酸化酵素、化学酸化剤、酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合する請求項21又は22に記載の組成物。
  24. 請求項1〜10のいずれかに記載の組成物を、食品中の最終濃度が0.5〜4重量%になるように混合する請求項21〜23のいずれかに記載の組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021023272A (ja) * 2019-08-09 2021-02-22 キユーピー株式会社 発酵乳

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