JP4772834B2 - 共押出ラミネート成形体 - Google Patents

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Description

本発明は共押出ラミネート成形体に関する。更に詳しくはメタロセン触媒を用いて重合され、特定の物性を有するエチレン系樹脂とプロピレン系樹脂とを二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)の基材上に共押出してなる共押出ラミネート成形体に関するものである。
プラスチックシート又はフィルムの分野では、単一成分では達成困難な性質を発現させるために、複数の成分をブレンドする方法、複数の成分を積層する方法及びこれらの組合せ等種々検討され、多くの提案がなされている。そのなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレンはコストと性能とのバランスに優れ、包装材料、自動車・家電製品の内外装材、建築資材等として注目されている。ポリエチレンは各種基材との接着性、低温ヒートシール性に優れている一方、ポリプロピレンはホットタック性、耐油性に優れている。これら両樹脂の特徴を活かすべくこれらのシートを積層することで基材との接着性、低温ヒートシール性とホットタック性、耐油性とに優れた積層シート、積層フィルムを得ることを目的とした検討がなされてきている(特許文献1、2参照)。
特開平7−314624号公報 特開平9−1751号公報
しかしながら、その積層体を共押出成形法で製造するには困難な面がある。その理由は、ポリプロピレンもポリエチレンも類似の化学構造をとっていながらも、この両者は全く異なった結晶構造をとるために、いずれも層間接着性が充分でなく、実用には問題がある。両層間の接着力を高めるために、これまではポリエチレン層を形成する樹脂成分として、その密度が0.910g/cm3以下の低密度ポリエチレンやエチレン・α−オレフィン共重合体、あるいは低結晶性のエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)が使用されてきた。しかしながらこれらの樹脂は低結晶性であるので、高温雰囲気中に置かれるとすぐに接着力が低下してしまう。特に熱履歴がかかる分野で使われる製品では、常温では一見強固に接着していたかのようにみえても、一旦温度を上げたのち、常温に戻して接着力を測定すると、接着力の大幅な低下が認められる。
本発明の目的は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)を基材とした、層間接着性に優れる共押出ラミネート成形体を提供することにある。
上記本発明の目的は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)の基材上に、下記の(A)樹脂層と(B)樹脂層とを前記ポリプロピレンフィルムと前記(A)樹脂層とが接するように、溶融共押出ラミネートしてなる共押出ラミネート成形体により容易に達成される。
(A)樹脂層;メタロセン触媒を用いて重合され、かつ、下記物性(A1)〜(A3)を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂。
(A1)190℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分である。
(A2)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の最大ピーク温度(TmA)が15〜85℃である。
(A3)該溶出曲線の最大ピークの高さ(H)と、その3分の1の高さにおける該ピークの幅(W)との比(H/W)が2以上である。
(B)樹脂層;メタロセン触媒を用いて重合され、かつ、下記物性(B1)〜(B5)を備えたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂。
(B1)230℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜50g/10分である。
(B2)示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(TPB)が110〜140℃である。
(B3)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、20重量%が抽出される温度(T20)と80重量%が抽出される温度(T80)の差(T80−T20)が4〜10℃である。
(B4)オルソジクロルベンゼンを溶媒として40℃において抽出した抽出量(W40)が2.0重量%以下である。
(B5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
[発明の効果]
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)を基材とした、層間接着性に優れるポリエチレンとポリプロピレンとの共押出ラミネート成形体が得られる。コストと性能とのバランスに優れた、包装材料、自動車・家電製品の内外装材、建築資材等として有用である。
I.(A)樹脂層
本発明の(A)樹脂層を構成する成分は、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、下記物性(A1)〜(A3)を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂である。さらに好ましくは物性(A4)及び/又は(A5)を有するものである。エチレン系樹脂は、該エチレン・α−オレフィン共重合体100重量%でもよいが、場合によっては、適宜に、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等を混合することもできる。以下、エチレン・α−オレフィン共重合体の製造法、及びそれが具備する各種の物性について順次に説明する。
(モノマー構成)本発明に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするものであり、エチレン含有量が50重量%超過である。好ましくは60重量%超過、より好ましくは70重量%超過である。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数4〜8の1−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が特に好ましい。
コモノマーとして用いられる上記α−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましい。具体例としては、エチレン・プロピレン・ブテン3元共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン3元共重合体等が挙げられる。なお、本発明でのエチレン含有量は、下記の13C−NMR法によって決定されるものである。
(1)装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
(2)濃度:300mg/2mL
(3)溶媒:オルソジクロロベンゼン。
(重合触媒及び重合法)本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いる重合により容易に製造することができる。メタロセン触媒とは、(1)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(2)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(3)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。
(1)メタロセン化合物は、例えば、特開昭58−19309、特開昭59−95292、特開昭59−23011、特開昭60−35006、特開昭60−35007、特開昭60−35008、特開昭60−35009、特開昭61−130314、特開平3−163088、EP公開420,436、米国特許5,055,438、国際公開WO92/07123等に開示されている。
更に具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物の混合物を使用することもできる。
メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられる。
(2)本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
(3)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。係るエチレン系重合体は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製「アフィニティー」、日本ポリケム社製「カーネル」等が挙げられる。
次に、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体が具備する各種の物性について説明する。
(A1)メルトフローレート(MFR)
エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは0.1〜50g/10分、好ましくは1〜40g/10分、より好ましくは5〜30g/10分である。MFRが上記範囲より低いと樹脂を溶融押出する際の押出負荷が高くなり、また成形時フィルム表面の肌荒れが発生するので好ましくない。MFRが上記範囲を超えるとフィルムの製膜安定性が低下するので好ましくない。MFRはエチレン系重合体の分子量の尺度として用いられ、重合に際して水素など分子量調整剤、β水素引き抜きの速度制御などにより適宜調整することが可能である。なお、MFRの測定はJIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行った。
(A2)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の最大ピーク温度(TmA
温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)とは、一度高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分(ポリマー)を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。その溶出分率と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布(分子量及び結晶性の分布)を測定することができる。TREFの測定方法及び装置等の詳細については、Journal of Applied Polymer Science、第26巻、第4217〜4231頁(1981年)に記載されている。本発明における具体的方法については、後述する。
TREFによって得られる溶出曲線の形はポリマーの分子量及び結晶性の分布によって異なる。例えば、ピークが1つの曲線、ピークが2つの曲線、ピークが3つの曲線等があり、さらにピークが2つの曲線には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が大きい(ピークの高さが高い)場合、溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が小さい(ピークの高さが低い)場合等がある。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記溶出曲線のピーク(溶出ピーク)は2つ以上あってもかまわないが、より好ましくは1つである。また、該ピークの溶出温度以外の温度において溶出するもの(いわゆる肩)が実質的に溶出曲線中に存在してもかまわない。本発明における溶出曲線の最大ピーク温度(TmA)とは、ピークが1つの場合、当該ピークの温度を意味し、ピークが複数存在する場合は最も大きいピークの温度を意味する。そして本発明で特徴とするところは、最大ピーク温度(TmA)が15〜85℃、好ましくは30〜70℃の範囲に存在することである。TmAが上記範囲より低いとべたつき成分が多くなり、また耐熱性が低下しすぎるので好ましくない。TmAが上記範囲を超えると結晶性が高くなりすぎ、(B)樹脂層との相関接着力が低下するので好ましくない。TmAはα−オレフィンコモノマーの量を制御することにより適宜調整することが可能である。
TREFの測定方法:カラム温度の降下速度は、試料に含まれる結晶性成分の各温度における結晶化に必要な速度に、また、カラム温度の上昇速度は、各温度における溶出成分の溶解が完了し得る速度に調整する必要があり、このようなカラム温度の冷却速度及び昇温速度は、予備実験をして決定する。測定条件は次の通り。
(1)装置 : 三菱化学社製 CFC T150A型、(2)検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)、(3)溶媒:オルソジクロルベンゼン、(4)流速:1.0mL/分、(5)測定濃度:30mg/10mL、(6)TREFカラム: 不活性担体(0.1mm径ガラスビーズ)、カラムサイズ 0.46mm径×15cm、(7)冷却速度:140℃から0℃まで160分で冷却した。(8)測定操作:140℃に加熱したカラムに試料溶液(溶媒:オルソジクロルベンゼン、試料濃度:30mg/10mL)4mLを注入した後、100℃/120分の速度で0℃まで冷却して、試料ポリマーを充填剤表面に吸着(析出)させた。この時点において充填剤表面に吸着せず、溶媒に溶解している成分を0℃以下可溶分として溶出量を赤外検出器で検出し、各ステップ昇温毎に得られた結果を該温度まで積算することで求めた。計算結果の作図はプリンターに出力した。出力した微分溶出曲線の作図は、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした。)0.1当たり76.5mmで行なった。次に、この微分溶出曲線のピーク高さ(mm)をHとし、その1/3高さの溶出曲線の幅(mm)をWとした。
(A3)TREFによって得られる溶出曲線の最大ピークの高さ(H)と、その3分の1の高さにおける該ピークの幅(W)との比(H/W)
前記溶出曲線の一例を図1に示す。図1に示すように、ピークの幅(W)は、溶出曲線上に高さ(1/3)Hの水平な直線を描き、該曲線とこの直線との交点のうち最大ピークから最も近い、水平軸上前後2点の間の距離を測定することによって得られる。本発明において、比(H/W)は2以上、好ましくは3以上であり、H/Wが2未満であると組成分布が広くなりすぎ材料強度が低下する。比(H/W)は使用する重合触媒を選ぶことにより適宜調整することが可能である。
(A4)融解ピーク温度(TPA
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(TPA)が50〜110℃であることが好ましく、より好ましくは60〜105℃である。TPA が上記範囲より低い場合は、剛性の低下ならびに好適な耐ブロッキング性が得られず不都合である。一方、上記より高いと低温ヒートシール性が損なわれる。TPAを調節するためにはα−オレフィンコモノマーの量を制御する方法がある。なお、融解ピーク温度は、セイコー社製示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル約5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで冷却し、続いて10℃/分の昇温スピードで融解させた時に得られる融解曲線から融解熱が最大となる温度を求めたものである。
(A5)82℃での溶出量(Y82
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF)によって溶出曲線を求めた時に、82℃での溶出量(Y82)が1重量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%未満である。Y82が上記範囲より高い場合は、高結晶性成分量が多くなり、結果として(B)樹脂層との相関接着強度が損なわれる。Y82を調節するためには適当な重合触媒を選択する必要がある。
(A6)融解ピーク温度(TPA)と82℃での溶出量(Y82)との関係
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、前記(A4)の通り、TPAが50〜110℃であり、また、(A5)の通り、Y82が1重量%未満のものであるが、更に好ましくは、両者が下記の関係式を満足することである。
82≦1.0×10-4×EXP(0.1015TPA
好ましくはY82≦0.5×10-4×EXP(0.0851TPA
を満たすことである。Y82が上記右辺値よりもが大きい場合は、(B)樹脂層との相関接着力が低下し、また透明性が低下するので好ましくない。
上記の通り、本発明の(A)樹脂層を構成する成分は、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、物性(A1)〜(A3)を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂である。好ましくは更に物性(A4)〜(A6)のいずれか1つ以上を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂である。エチレン系樹脂は、該エチレン・α−オレフィン共重合体100重量%でもよいが、場合によっては、適宜に、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等を混合することもできる。特に、MFRが1〜50g/10分の高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンを配合する時には、加工性(サージング現象、ネックイン)が改良されるので好ましい。その際の配合比率は、エチレン・α−オレフィン共重合体95〜50重量%に対して、高圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%であり、好ましくは、15〜30重量%である。高圧法低密度ポリエチレンが5重量%未満であると改良効果が上がらず、サージング現象を生じ、ネックインも大きくなり加工が困難になることがある。一方、高圧法低密度ポリエチレンが50重量%を超過すると、(B)樹脂層との接着性が悪化する。
II.(B)樹脂層
本発明の(B)樹脂層を構成する成分は、メタロセン触媒を用いて製造され、かつ、下記物性(B1)〜(B5)を備えたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂である。このプロピレン系樹脂は、通常それ自体100重量%で使用されるが、場合によっては、適宜に、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、オレフィン系ゴム成分等を混合することもできる。以下、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造法、及びそれが具備する各種の物性について順次に説明する。
(モノマー構成)本発明に使用されるプロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導される構成単位を主成分とするものであり、プロピレン含有量が50重量%超過である。好ましくは60重量%超過、より好ましくは70重量%超過である。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18の1−オレフィンである。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。また、α−オレフィンとしては1種または2種以上の組み合わせでもよい。かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン系共重合体の具体例として、プロピレン単位を88〜99.5重量%、好ましくは91〜99重量%、より好ましくは92〜98.5重量%、α−オレフィンの単位を0.5〜12重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1.5〜8重量%を含有している共重合体が挙げられる。プロピレン単位が少ない場合、フィルムの剛性の低下ならびに好適な耐ブロッキング性が得られず、多すぎる場合は低温ヒートシール性が損なわれる。ここでプロピレン単位及びα−オレフィン単位は13C−NMR法によって計測される値である。
(重合触媒及び重合法)本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、(A)樹脂層を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体と同様に、メタロセン触媒を用いて重合させることができる。触媒及び重合法は前記した範囲内外から適宜に選択できるが、プロピレン系樹脂の場合は、プロセスとしてスラリー法、気相流動床法、バルク法の態様が好ましい。
次に、本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が具備する各種の物性について説明する。
(B1)メルトフローレート(MFR)
本発明で用いるプロピレン系共重合体のMFRは、1〜50g/10分、好ましくは2〜20g/10分、より好ましくは4〜15g/10分である。MFRが上記範囲より低い場合、押出性が低下し好適な生産性が得られず、上記範囲より高い場合にはフィルムの強度が低下する。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法がとられる。なお、MFRの測定は、JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して行った。
(B2)融解ピーク温度(TPB
本発明で用いられるプロピレン系共重合体は、示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(TPB)が110〜140℃、好ましくは115〜135℃、更に好ましくは125〜135℃である。TPB が上記範囲より低い場合、剛性の低下ならびに好適な耐ブロッキング性が得られず、上記範囲より高い場合には低温ヒートシール性が損なわれる。TPB はα−オレフィン含量やその種類およびプロピレン構成単位のレジオ規則性などの影響を受けうる。α−オレフィンがエチレンの場合にはその含有量は1〜5重量%程度であり、α−オレフィンが1−ブテンの場合にはその含有量は3〜15重量%程度である。TPB の調節はα−オレフィンの共重合性、即ち分散度合いにより行うことができる。
(B3)20重量%が抽出される温度(T20)と80重量%が抽出される温度(T80)の差(T80−T20
本発明で用いられるプロピレン系共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線における20重量%が抽出される温度(T20)と80重量%が抽出される温度(T80)の差(T80−T20)が4〜10℃である。T80−T20は、好ましくは4.5〜9℃である。T80−T20の差が上記範囲より大きい場合は透明性が悪化し、低温ヒートシール性も悪化する。上記範囲未満のものを製造することは困難である。ポリマーのT80−T20は、ポリマー中へのコモノマーの挿入の均一性を表す尺度として用いている。これはメタロセン触媒を使用して重合したことに起因しており、チーグラーナッタ触媒ではこのようなポリマーを製造することは困難である。なお、TREFの測定方法は、エチレン・α−オレフィン共重合体について用いた方法と同様である。
(B4)オルソジクロルベンゼンによる40℃抽出量(W40
本発明で用いられるプロピレン系共重合体は、オルソジクロルベンゼンによる40℃抽出量(W40)が2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下である。上記範囲を超える場合は、ブロッキングやスリップ性が悪化する傾向であり、臭味に劣る。W40を調節する方法としてα−オレフィンの共重合量を制御する、また共重合性を制御する方法がある。なお、W40はTREF法による40℃での抽出量として求めた。
(B5)重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)
本発明で用いられるプロピレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.3、より好ましくは2.0〜3.0である。Mw/Mnが上記範囲を超えると透明性が低下するので好ましくなく、上記未満では押出負荷が上昇したり、ドローレゾナンスが発生しやすくなるなど、加工適性が悪化する。Mw/Mnを所定の範囲に調整する方法として適当なメタロセン触媒を選択する事があげられる。
本発明は、上記(A)樹脂と(B)樹脂を溶融共押出しすることにより積層体としたものである。溶融共押出は公知の方法に従って実施することができる。例えば、積層体の表面平滑性を向上するために、冷却固化過程において、フィルム乃至シート状に押し出された溶融樹脂を表面が平滑な回転する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法等を採用できる。また、表面の平滑性を考慮することなく一旦平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒状に押出し周囲から水流や気流によって冷却固化する方法等が採用できる。また、一般的な押出ラミネート加工により、基材上に溶融押出を行って積層を行い、同時に冷却するロール表面を平滑なものにする、という方法がある。
本発明の積層体は、(A)樹脂と(B)樹脂の2種類のみを溶融共押出して製造することができる。しかし、同積層体の一方の表面、又は両表面に他の固体状フィルム又はシートを基材層として配置することができる。他の層をC層とすると、A/B/C、B/A/Cの3層構造、C/A/B/C(Cのそれぞれは同じでも、異なっていてもよい)の4層構造等が例示できる。積層体を構成する層に用いるフィルムは、ドライラミネート法、押出ラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出法等により、C層に押出コーティング或いはC層と共押出することによって、ラミネートされた各種包装用積層体(フィルム)を得ることができる。特に押出ラミネート法が好ましい。
かかる基材層としては、紙、アルミニウム箔、セロファン、織布、不織布、高分子重合体のフィルム、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリー1−ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート等のフィルムを挙げることができる。更に上記フィルム1種類単独でも、2種類以上の複合使用でも良く、また、基材の種類によっては延伸加工を行ったものでも良い。特に一軸、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチエンテレフタレートフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなども用いられる。
この際、基材層には必要に応じて接着剤層を設けることもできる。ポリエチレンシート又はポリエチレンが最表面にある積層シートを基材層として使用する場合には、該基材層と本発明の(A)樹脂層が接するように共押出することが好ましい。同様にまた、ポリプロピレンシート又はポリプロピレンが最表面にある積層シートを基材層として使用する場合には、該基材層と本発明の(B)樹脂層が接するように共押出することが好ましい。このように配置することにより、基材層に特別な接着剤層を設けることなく、良好な接着性を達成することができる。但し直接内容物と接触するヒートシール層としてどちらかの層を選択する必要がある場合はこの限りではなく、基材に応じて接着剤などを施すことにより積層体を得ることが出来る。
上記の積層体は軟包装材料として用いることができる。包装の形態としては三方シール袋や四方シール袋、スティック包装袋の様な小袋包装の他、ポーションパック、トレイパック、パウチ包装、ひねり包装、クリップ包装、液体充填包装などがある。これら包装形態を用いて包装される内容物としては、粉末コーヒーや砂糖、薬の様な粉末、一般的なお菓子類、錠剤、電子部品などの様な固形物、洗剤やジュース、醤油などの液体ものなど多岐にわたる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、樹脂の諸物性は発明の実施の形態の項に記載した方法により、又積層体の評価は以下の方法によって行った。
(1)延展性
口径65mm、90mmの押出機に装着した幅600mm、ダイリップ開度0.7mmのフィードブロック式共押し出しTダイスから(A)樹脂、(B)樹脂を押し出す時の樹脂の温度が290℃になるように設定した押出ラミネート装置を用い、表面ミラー仕上げの冷却ロール温度25℃で引き取り加工速度が80m/分の場合に被覆厚みが(A)樹脂が10μm、(B)樹脂が10μm、合計20μmになるように押出量を調整して押出し幅500mm、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に、アンカーコート剤(東洋モートン社製チタボンドT−180:メタノール=1:9にブレンド)を施し、その上に(A)樹脂層が面する様に引き取り速度を20m/分から上昇させながら押出しラミネート加工を行い、安定して被覆加工ができる最高加工速度を延展性とした。
(2)ネックイン
上記押出ラミネート装置を用い、加工速度が150m/分、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上への(A)樹脂層の厚みが10μm、(B)樹脂層の厚みが10μm、合計20μmの被覆厚みの積層体を作成し、ダイス幅と得られた積層体中の樹脂組成物層の幅の差をネックインとした。 ネックインが小さい程有効製品幅が広くなり、押出ラミネート加工性が優れる。
(3)ヒートシール性
上記押出ラミネート装置を用いてネックイン測定用に作成した積層体を23℃で一日状態調整した後、(B)樹脂面を合わせて5mm×200mmのヒートシールバーを用い、130℃においてヒートシール圧力2kg/cm2、ヒートシール時間1秒のヒートシール条件でシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、テンシロン型試験機を用いて引っ張り速度500mm/分にて引き剥がし、その時の剥離強度をヒートシール強度とした。130℃ヒートシール強度が高いほどヒートシール性に優れる。
(4)ホットタック性
上記押出ラミネート装置を用いてネックイン測定用に作成した積層体を23℃で一日状態調整した後、2.5cm×200mmの大きさにサンプルを切り出し、2枚のサンプルの(B)樹脂面を合わせてホットタックテスター(THELLER社製)にて110℃、ヒートシール圧力4kg/cm2、ヒートシール時間1秒にてヒートシールを行い、ヒートシール直後にヒートシールバーを解放しながら200cm/分の剥離速度でヒートシール部分を剥離させ、その時の剥離強度で評価した。剥離強度が高いほどホットタック性に優れる。
(5)ヘイズ(HAZE)
上記押出ラミネート装置を用いてネックイン測定用に作成した積層体を23℃で一日状態調整した後、5cm×5cmの大きさにサンプルを切り出し、ヘイズメーター(日本電色社製ND−1100DP)にてヘイズを測定した。ヘイズ値が低いほど透明性に優れる。
[実施例1]
(A)樹脂層
エチレン−ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製カーネルKC574)100重量部(重合触媒:メタロセン触媒、190℃MFR=9g/10分、TREF溶出ピーク(TmA)=67℃、H/W=3.3、DSC融解ピーク温度(TPA)=102℃、TREF82℃溶出量(Y82)=0.27重量%)。
(B)樹脂層
プロピレン−エチレンランダム共重合体(日本ポリケム社製ウィンテックWFX4T)100重量部(重合触媒:メタロセン触媒、230℃MFR=7g/10分、DSC融解ピーク温度(TPB)=125℃、T80−T20=7.2℃、40℃オルソクロロベンゼン抽出量(W40)=0.6重量%、Mw/Mn=2.8)
上記(A)樹脂と(B)樹脂を用い、口径65mmと90mmの2つの押出機に装着した幅600mmのフィードブロック式共押し出しTダイを使用した。(A)樹脂を口径65mmの押出機に投入し、樹脂温度290℃で押出し、他方、(B)樹脂を口径90mmの押出機に投入し、樹脂温度290℃で押出した。(A)樹脂をアンカーコート(東洋モートン社製チタボンドT−180:メタノール=1:9にブレンド)を施した厚みが20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)側に面する様にして、(A)樹脂層を10μm、(B)樹脂層を10μm、速度150m/分で積層した。得られたフィルムの品質を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
(A)樹脂層
エチレン−ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製カーネルKS560)60重量部(重合触媒:メタロセン触媒、190℃MFR=16.5g/10分、TREF溶出ピーク(TmA)=49℃、H/W=2.1、DSC融解ピーク温度(TPA)=86℃、TREF82℃溶出量(Y82)=0.3)、高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製ノバテックLD LC604、190℃MFR=8g/10分、密度=0.918g/cm3)40重量部。
(B)樹脂層
プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン2重量%)100重量部(重合触媒:メタロセン触媒、230℃MFR=7g/10分、DSC融解ピーク温度(TPB)=135℃、T80−T20=4.5℃、40℃オルソクロロベンゼン抽出量(W40)=0.2重量%、Mw/Mn=2.8。)上記(A)樹脂と(B)樹脂を用い、実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
プロピレン−エチレンランダム共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPPFL25HA)100重量部(重合触媒:チーグラー触媒、190℃MFR=16g/10分、230℃MFR=22g/10分、TREF溶出ピーク(TmA)(TmB)=94℃、H/W=0.8、TREF82℃溶出量(Y82)=1.84重量%、DSC融解ピーク温度(TPA)(TPB)=142℃、T80−T20=35℃、40℃オルソクロロベンゼン抽出量(W40)=5.2重量%、Mw/Mn=3.9)。(A)樹脂層及び(B)樹脂層として、共に上記プロピレン−エチレンランダム共重合体を用い、実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
(A)樹脂層として高圧ラジカル重合で製造した低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製ノバテックLD LC701、190℃MFR=14g/10分、TmA=70℃、H/W=7.0、TPA=106℃、Y82=0.12)を用い、(B)樹脂層として実施例1記載のプロピレン−エチレンランダム共重合体を用い、後は実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
(A)樹脂層としてチーグラー触媒にて製造したエチレン−オクテン共重合体(出光石油化学工業社製モアテック0818D;190℃MFR=8g/10分、TmA=67℃、H/W=0.54、TPA=99℃、Y82=2.38)を用い、(B)樹脂層として実施例1記載のプロピレン−エチレンランダム共重合体を用い、後は実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
(A)樹脂層として実施例1記載のエチレン−ヘキセン共重合体を用い、(B)樹脂層としてチーグラー触媒にて製造したプロピレン−エチレンランダム共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP FX3、230℃MFR=8g/10分、TPB=138℃、T80−T20=19.9、W40=3.4重量%、Mw/Mn=3.7)を用い、後は実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表2に示す。
[比較例5]
(A)樹脂層として実施例1記載のエチレン−ヘキセン共重合体40重量%、及び実施例2記載の高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン60重量%のブレンド物を用い、(B)樹脂層として実施例1記載のプロピレン−エチレンランダム共重合体を用い、後は実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表2に示す。
[比較例6]
(A)樹脂層として実施例1記載のエチレン−ヘキセン共重合体を用い、(B)樹脂層としてプロピレン単独重合体100重量部(重合触媒:メタロセン触媒、230℃MFR=7g/10分、DSC融解ピーク温度(TPB)=151℃、T80−T20=4.8℃、40℃オルソクロロベンゼン抽出量(W40)=0.1重量%、Mw/Mn=2.8)を用い、後は実施例1と同様にして積層フィルムを得、品質を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004772834
Figure 0004772834
Figure 0004772834
TREF法による溶出曲線の一例を示す図である。
符号の説明
Hは最大ピーク高さ、Wは1/3Hとなる温度幅、トップpに対応する横軸の値は溶出最大ピーク温度(TmA)を示す。

Claims (6)

  1. 二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)の基材上に、下記の(A)樹脂層と(B)樹脂層とを前記ポリプロピレンフィルムと前記(A)樹脂層とが接するように、溶融共押出ラミネートしてなる共押出ラミネート成形体。
    (A)樹脂層;メタロセン触媒を用いて重合され、かつ、下記物性(A1)〜(A3)を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂。
    (A1)190℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分である。
    (A2)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の最大ピーク温度(TmA)が15〜85℃である。
    (A3)該溶出曲線の最大ピークの高さ(H)と、その3分の1の高さにおける該ピークの幅(W)との比(H/W)が2以上である。
    (B)樹脂層;メタロセン触媒を用いて重合され、かつ、下記物性(B1)〜(B5)を備えたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂。
    (B1)230℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜50g/10分である。
    (B2)示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(TPB)が110〜140℃である。
    (B3)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、20重量%が抽出される温度(T20)と80重量%が抽出される温度(T80)の差(T80−T20)が4〜10℃である。
    (B4)オルソジクロルベンゼンを溶媒として40℃において抽出した抽出量(W40)が2.0重量%以下である。
    (B5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
  2. エチレン系樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ、下記物性(A1)〜(A3)を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体95〜50重量%と高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン5〜50重量%からなることを特徴とする請求項1に記載の共押出ラミネート成形体。
    (A1)190℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分である。
    (A2)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の最大ピーク温度(TmA)が15〜85℃である。
    (A3)該溶出曲線の最大ピークの高さ(H)と、その3分の1の高さにおける該ピークの幅(W)との比(H/W)が2以上である。
  3. (A)樹脂層のエチレン・α−オレフィン共重合体が、さらに物性(A4)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の共押出ラミネート成形体。
    (A4)示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(TPA)が50〜110℃である。
  4. (A)樹脂層のエチレン・α−オレフィン共重合体が、さらに物性(A5)を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の共押出ラミネート成形体。
    (A5)温度上昇溶離分別(TREF)による82℃の溶出量(Y82)が1重量%未満である。
  5. (A)樹脂層のエチレン・α−オレフィン共重合体が、さらに物性(A6)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の共押出ラミネート成形体。
    (A6)示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(TPA)と温度上昇溶離分別(TREF)による82℃での溶出量(Y82)との関係が下記式を満足する。
    82≦1.0×10-4×EXP(0.1015TPA
  6. 二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)の基材上に、アンカーコートが施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の共押出ラミネート成形体。
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