JP4772663B2 - レチノイドの毒性を減少するための方法 - Google Patents

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Description

関連する出願との相互参照
本出願は、2003年1月17日に出願された仮特許出願番号60/440,779に基づき、そしてその優先権を主張するものである。
発明の背景
本発明は、レチノイド、そして更に特別にはレチノイドの毒性を減少する方法及び減少された毒性を有する改質されたレチノイドを指向する。
ビタミンAの主たる循環の形態である全トランスレチノールは、身体中でレチンアルデヒドに、そして最後に全トランスレチノイン酸(atRA)に転換される(Blomhoff et al.,1992,Annu.Rev.Nutr.12:37−57)。atRAは、細胞の分化及び増殖においてビタミンAの活性な形態として働き、一方、アルデヒドは、視覚サイクル中の活性な形態として働く(Palczewski and Saari,1997,Curr.Opin.Neurobiol.7:500−504)。atRAが、ビタミンAの生殖機能における活性な形態として働くことも更に信じられている(Clagett−Dame and DeLuca,2002,Annu.Rev.Nutr.22:347−381)。
atRAは、ビタミンAの機能的に活性な形態であることに加えて、更に多くの皮膚の症状の治療のために局所的及び経口的の両方で使用される薬物のファミリーの母体でもある(Ellis and Krach,2001,J.Am.Acad.Dermatol.45:S150−S157; Zouboulis,2001,Skin Pharmacol.14:303−315)。更に、それ及びそのいくつかの異性体は、例えば上皮腫瘍の化学予防剤と考えられ、そして更にある種の白血病に対する療法として使用することもできる(Fenaux and Degos,2000、Leukemia 14:1371−1377)。atRAは、一連のレチノイン酸受容体サブタイプ、α、β及びγに結合することによって機能し、更にプロモーターの使用及びスプライシングの差によって連続的に変化すると信じられている(Chambon,1996,FASEB J.10:940−954)。atRA及びその類似体は、核受容体(RAR)を経由して作用して、その作用の原因となる標的遺伝子を活性化又は抑制すると信じられている(Clagett−Dame and Plum,1997,Crit.Rev.Euk.Gene Exp.7:299−342; McCaffery and Drager,2000,Cytokine Growth Factor Rev.11:233−249)。atRAは、これが極めて強力で、そしてレチノイン酸受容体を容易に活性化するために、調節された量で形成される(Duester,2000,Eur.J.Biochem.267;4315−4324)。atRAは、更に急速に代謝され、従ってその寿命は比較的短い(Roberts and DeLuca,1967,Biochem.J.102:600−605)。
これが直ちに活性になるために、薬理学的な量の経口的に投与されたRA異性体は、非常に重大な副作用を有する(Armstrong et al.,1994,in The Retinoids,pp.545−572; DiGiovanna,2001,J.Am.Acad.Dermatol.45:S176−S182)。これらの中で、明らかな毒性は、体重の喪失、衰弱、眼の瘡蓋、及び骨の喪失となる。RAの主要な経口投与の形態である13−cisRA(イソトレチノイン)の薬理学的使用に伴う普通の副作用は、粘膜皮膚毒性及び高脂質血症を含む(Ellis and Krach,2001,J.Am.Acad.Dermatol.45:S150−S157)。なお更に重大な問題は、RA異性体が、妊娠中の哺乳動物に有意な催奇形性の活性を有することである(Collins and Mao,1999,Ann.Rev.Pharmacol.39:399−430; Nau,2001,J.Am.Acad.Dermatol.45:S183−S187)。これらの副作用は、療法における経口的レチノイドの使用に対して重大な制約を有する。局所的に適用されたレチノイドは、わずかな催奇形性の傾向があるが(Nau,1993,Skin Pharmacol.6:S35−S44; Buchan et al.,1994,J.Am.Acad.Dermatol.30:428−434; Chen et al.,1997,J.Clin.Pharmacol.37:279−284)、投与のこの経路に伴う、皮膚の刺激を含む他の毒性は、その使用を制約する(Orfanos et al.,1997,Drugs 53:358−388)。経口及び局所の両方の毒性の主たる理由は、レチノイドが投与後全てが直ちに有効となるためである。レチノイドがin vivoで更にゆっくりと、そして更に継続して有効となることができる方法は、レチノイドの有効性の山及び谷を回避し、これによって化合物の有効なin vivo水準を更に長期にわたって与え、そして更にしばしば物質の過剰な量の突然の有効性の結果としての毒性を回避又は実質的に減少する。
発明の概要
本発明は、全トランスレチノイン酸のような生物学的に活性なレチノイド化合物のin vivoの活性を調整及び調節するための方法を提供する。更に具体的には、本発明は、in vivoにおける生物学的活性の、好ましい、そして高度に好都合な型、即ち、細胞増殖、細胞分化及び形態形成に関連する更に緩やかな開始及び更に延長された期間の活性を示す、改質されたレチノイド化合物を提供する。このような好都合な特性の結果として、これらの化合物は、出発又は母体レチノイドと比較して、最小の又は少なくとも実質的に減少された毒性を示し、そして従って、異常な細胞増殖又は細胞分化によって特徴付けられる増殖性皮膚疾患、例えば皮膚炎、湿疹、角化上皮症、座瘡及び乾癬のような、レチノイド化合物が有効であることが示されている全ての疾病及び疾患の治療及び予防のための、医薬的に受容可能な賦形剤を含有する医薬組成物中に組込むことができる新規な治療剤である。これらは、更に皮膚癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、神経芽細胞腫、及び白血病のような腫瘍性疾病の治療、並びに皺、十分な皮膚の堅固さの欠如、十分な皮膚の水分補給の欠如、及び不十分な皮脂の分泌のような皮膚の症状の治療に対しても特に有用であるはずである。
構造的には、これらの好ましい生物学的性質を有する改質されたレチノイド化合物の鍵となる特徴は、これらが高度に立体的に妨害された化合物、好ましくはアルコールによってエステル化されていることである。接続されたアルコール上の置換基の各種の構造的要素−例えば、種類、大きさ、構造的複雑さ−にもよるが、これらの誘導体は、レチノイドの生物学的作用を、レチノイドを異なった速度でin vivoで加水分解することによって調整し、従ってレチノイドの“徐放出”を与え、これが身体中の生物学的な活性なレチノイドに対する更により大きい治療的領域となると考えられる。
このような化合物のin vivoの活性の型は、もちろん、更に誘導体の混合物(例えば、異なったレチノイドエステル誘導体の混合物)の使用、或いは1つ又はそれより多いレチノイド誘導体を、1つ又はそれより多い非誘導レチノイド化合物といっしょに含んでなる混合物の使用、或いはビタミンD化合物のような他の生物学的に活性な化合物との組合せによって調整される。
上記で確認したレチノイド誘導体の重要な構造的特徴が、レチノイド分子のカルボキシル基に接続した高度に立体的に妨害された基の存在であることを強調することは重要である。高度に立体的に妨害された基がこの位置に存在することは、得られた誘導体に、先に記述した好ましい徐放出の生物学的活性の型を与える。レチノイド分子の遊離のカルボキシル基における高度に立体的に妨害された基の導入が、得られた誘導体のin vivoの生物学的活性の型を顕著に調整するという事実は、以前には認識されていなかった。この特異的な改質の重要さの認識、及びその顕著な、そして高度に利益のある生物学的効果の証明が、本発明の基礎を形成する。
最初、3つの立体的に妨害されたatRAのアルコールエステル、即ち、t−ブチラートエステル(レチノイルt−ブチラート、本出願中ではt−ブチル−RAとも呼ばれる)、並びにピナコールエステル(レチノイルピナコール)及びコレステロールエステル(レチノイルコレステロール)が合成された。生物学的試験の結果は、エステルt−ブチラートが、atRAのように経口的に与えられた場合に、in vivoで活性であることを明らかにする。なお、t−ブチル−RAが大過剰で与えられた場合、比較的非毒性であることが証明され、そして更に、同等の催奇形性効果を生じるために、atRAと比較して10倍高い投与量のこの化合物が必要であった。ピナコールエステルは、ビタミンA欠損ラットの成長を支持するために、atRAと比較して、殆んどatRAと同様に活性であるように見受けられた。この化合物の毒性は試験されなかったが、しかしこれは、更にatRAの非常に非毒性の形態である可能性もある。コレステロールエステルは、ビタミンD欠損ラットの成長を支持することにおいて効果が少ないが、しかしこの活性においてベヒクルよりなお優れている。
殆んど全ての活性なリガンド特異的レチノイドは、遊離のカルボキシル基を有するために、これらを、立体的に妨害されたアルコールでエステル化することは、レチノイドの生物学的活性を減速し、これによって医薬的に受容可能な投与量におけるその毒性を顕著に減少し、そしてより大きい治療領域を得ることに使用することができる。従って本発明は、それによってレチノイドが、エステルが、身体内でレチノイドにゆっくりと加水分解されるものであるように、高度に立体的に妨害された化合物、好ましくはアルコールで誘導体化することによって、はるかに少ない毒性を与えることができる方法を提供する。これは、レチノイド誘導体、即ちレチノイドプロドラッグが、経口的レチノイドの使用に伴う典型的な副作用である骨の喪失、体重の喪失、衰弱、粘膜皮膚の刺激、高脂質血症及び催奇形性;又は局所的に適用されたレチノイドの使用に伴い起こることができる皮膚の刺激のはるかに少ない危険性を伴って投与されることを可能にするものである。
発明の詳細な説明
本発明は、遊離カルボキシル基を有するレチノイドの毒性を最小化又は減少する方法を指向し、カルボキシル基を、好ましくはアルコールである高度に立体的に妨害された化合物でエステル化する工程を含んでなる。得られたレチノイドエステルは、出発又は母体レチノイドよりはるかに少ない毒性を与える。この方法は、減少された毒性のレチノイドエステル類似体を提供し、これは、最小の副作用で、そしてはるかに大きい治療領域で、経口的に投与することができる。
レチノイン酸(RA)は、細胞増殖、及び細胞分化において基本的な役割を演じ、そして悪性の形質転換を防止する(Darmon,1991,Sem.Dev.Biol.2:219)。RA及び合成誘導体の効果は、核受容体の2つの群、erbA関連のステロイド/チロイド核受容体のスーパーファミリーに属するレチノイン酸受容体(RAR)及びこれも同じステロイド/チロイドホルモンのスーパーファミリーに属するレチノイドX受容体(RXR)によって仲介される。レチノイドは、ビタミンAの類似体である。RAR及びRXRを活性化し、そして遊離のカルボキシル基を有するいずれもの合成レチノイドは、本発明の方法によってエステル化して、これらをより少ない毒性にすることができる。本発明の説明において、用語“レチノイド”は、頭と尾の様式で接続した4つのイソプレノイド単位からなる化合物の群を指す。全てのレチノイドは、式的には五つの炭素−炭素二重結合及び非環式部分の末端に官能基を含有する単環式母体化合物から誘導することができる。用語ビタミンAは、質的にレチノールの生物学的活性を示すレチノイドに対する総称的記述語として使用されるべきである。この用語は、ビタミンA活性、ビタミンA欠損、ビタミンAアンタゴニスト、等のような誘導された用語において使用されるべきである。本発明の方法において有用なレチノイドの例は、9−cis−レチノイン酸、13−cis−レチノイン酸、9,13−ジ−cis−レチノイン酸、安息香酸末端レチノイド及び以下に例示する、TTNPB、TTAB、Am80、Am580、SR11251、SR11247、CD666、CD367、カルコン−4−カルボン酸、フラボン−4’−カルボン酸、等(Loeliger et al.,1980,Eur.J.Med.Chem−Dhim.Ther.15:9)、(Kagechika et al.,1989,J.Med.Chem.32:834)、(Dawson et al.,1995,J.Med.Chem.38:3368)のようなその複素環式類似体:
Figure 0004772663
並びに、TTNN、CD437、CD417又はアダパレン(Dawson et al.,1983,J.Med.Chem.26:1653)、(Dhar et al.,1999,J.Med.Chem.42:3602)のようなナフタレンカルボン酸末端のレチノイド及び多くの他のカルボン酸レチノイド(AGN 190299又はタザロテン(tazarotenic)酸及びR10−9359又はアシトレチン)を含む。
Figure 0004772663
本発明の方法において有用な更なる合成レチノイドは、以下に、並びにDawson等の“Synthetic Retinoids and their Usefullness In Biology and Medicine”,Vitamin A and Retinoids,M.A.Livrea(ed.),pp,161−196(2000)中に記載され、そして例示されている。更に、http://www.chem.qmul.ac.uk/iupac/misc/ret.html中に列挙されているレチノイド、並びにArch.Biochem.Biophys.,1983,224,728−731; Eur.J.Biochem.,1982,129,1−5; Biol.Chem.,1983,258,5329−5333; Pure Appl.Chem.,1983,55,721−726; Biochemical Nomenclature and Related Documents,2nd edition,Portland Press,1992,page 247−251も参照されたい。以下の列挙は、本明細書中で以下にその名称及び/又はコード番号と共に示される構造に関係する。
Figure 0004772663
Figure 0004772663
本発明の方法において有用な高度に立体的に妨害されたアルコールは、第二アルコール及び第三アルコール並びにこれらの混合物からなる群から選択されるアルコールを含んでなる。本発明の記載において、用語“第二アルコール”は、以下の式:
Figure 0004772663
を有するアルコールを指し、式中、同一又は別個であることができるR及びRは、直鎖又は分枝鎖である全ての異性体の形態の、1ないし20個の炭素原子、好ましくは1ないし10個の炭素原子を有することができるアルキル基及びアリールからなる群からそれぞれ独立に選択される。この記載中の用語“アリール”は、フェニル−、或いはアルキル−、ニトロ−又はハロ−で置換されたフェニル基を指す。
本発明の記載において、用語“第三アルコール”は、以下の式:
Figure 0004772663
を有するアルコールを指し、式中、同一又は別個であることができるR、R及びRは、直鎖又は分枝鎖である全ての異性体の形態の1ないし10個の炭素原子、好ましくは1ないし5個の炭素原子を有することができるアルキル基、及びアリール基からなる群からそれぞれ独立に選択される。好ましい第三アルコールは、t−ブチルアルコール、ピナコール及びコレステロールである。
合成
レチノイドエステル化合物の調製は、普通の一般的方法によって、即ちレチノイドのその対応する塩化物又は酸無水物への転換、それに続くアルコールとの反応によって達成することができる。方法は、収束性合成の概念の適用であり、これは、各種のエステルの調製のための有効に適用されている。
t−ブチルエステルの合成のための全体的方法は、スキーム1−5によって要約されている。
このように、エーテル中の全トランスレチノイン酸1に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、tert−ブタノール及び触媒量のジメチルアミノピリジンを加え、そして反応混合物を24時間室温で撹拌して、レチノイン酸のtert−ブチルエステルを得た(スキーム1)。全トランスレチノイン酸のtert−ブチルエステル2は、更に中間体の酸塩化物からも得られた。中間体の酸塩化物は、塩化オキサリル又は塩化チオニルの使用によって得ることができた。このように、レチノイン酸を、等モル量の塩化オキサリルと0℃で処理して、酸塩化物を得て、そしてin situで等モル量のピリジン及びt−ブチルアルコールと室温の暗所で4-5時間反応させる(スキーム2)。
エステルは、更に全トランスレチノイン酸のカルボニルジイミダゾールとの反応によって、反応性のイミダゾールを得て、これをt−ブチルアルコールと反応させて、対応するエステルを得ることもできる(スキーム3)。
Figure 0004772663
実施例1
(スキーム2)
全トランスレチノイン酸tert−ブチルエステル2の調製: 全トランスレチノイン酸(100mg、0.33mmol)の無水のエーテル中の溶液に、塩化オキサリル(42.3mg、0.333mmol)を0℃で加え、そしてこの温度で30分間撹拌し、そしてピリジン(28.7mg、0.363mmol)、2−メチル−2−プロパノール(26.8mg、0.363mmol)を加え、そして室温の暗所で撹拌し、この時間の後、反応は、TLCによって示されたように完結した。次いで反応混合物を水でクエンチし、そしてエーテル(3×10ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(3×5ml)、そして再び水(3×5ml)で抽出し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。濃厚な残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのSep−Pakカートリッジ(2g)にかけた。ヘキサン/酢酸エチル(9.7:0.3)で溶出して、レチノイン酸のブチルエステルを得た。最後の精製は、ヘキサン/イソプロパノール(90:10)の溶媒系を使用するHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)によって達成した。純粋な全トランスレチノイルブチラート2(98mg、82.6%)を、13mLのRで、濃厚な油状物として溶出した。
Figure 0004772663
実施例2
(スキーム1)
全トランスレチノイン酸(100mg、0.33mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(74.2mg、0.36mmol)、2−メチル−2−プロパノール(26.68mg、0.36mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.12mg、0.001mmol)の無水のエーテル(5ml)中の溶液を、室温の暗所(光から保護)で24時間アルゴン下で撹拌した。形成されたN,N−ジシクロヘキシル尿素を濾過し、そして濾液を水(3×10ml)、5%酢酸溶液(3×5ml)、そして再び水(3×5ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。固体の残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのSep−Pakカートリッジ(2g)にかけた。ヘキサン(10ml)で溶出して、少量の極性の小さい化合物を得た;更にヘキサン/酢酸エチル(9.7:0.3)で溶出して、レチノイン酸のブチルエステルを得た。最後の精製を、ヘキサン/イソプロパノール(90:10)溶媒系を使用するHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)によって達成した。純粋な全トランスレチノイルブチラート2(22mg、18.5%)を、R、13mLで濃厚な油状物として溶出した。
Figure 0004772663
実施例3
(スキーム3)
全トランスレチノイン酸(100mg、0.33mmol)、カルボニルジイミダゾール(58.3mg、0.36mmol)の無水のエーテル(5ml)中の溶液を、室温の暗所(光から保護)で2時間アルゴン下で撹拌した。次いで形成されたイミダゾールを2−メチル−2−プロパノール(26.68mg、0.36mmol)と反応させ、そして24時間室温の暗所で撹拌した。反応混合物を、水(3×10ml)、5%酢酸溶液(3×5ml)、そして再び水(3×5ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。固体の残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのSep−Pakカートリッジ(2g)にかけた。ヘキサン(10ml)で溶出して、少量の極性の小さい化合物を得た;更にヘキサン/酢酸エチル(9.7:0.3)で溶出して、レチノイン酸のブチルエステルを得た。最後の精製を、ヘキサン/イソプロパノール(90:10)溶媒系を使用するHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4Ml/分)によって達成した。純粋な全トランスレチノイルブチラート2(18mg、15.1%)を、R、13Mlで濃厚な油状物として溶出した。
Figure 0004772663
実施例4
(スキーム4)
Figure 0004772663
全トランスレチノイン酸コレステロールエステルの調製(スキーム4): 全トランスレチノイン酸(100mg、0.33mmol)の無水のエーテル(10Ml)中の溶液に、塩化オキサリル(42.3mg、0.33mmol)を0℃で加え、そしてこの温度で30分間撹拌し、そしてピリジン(28.7g、0.36mmol)及びコレステロール(140.36mg、0.36mmol)を加え、そして室温の暗所で16時間撹拌し、この時間の後、反応はTLCによって示されるように完結した。次いで反応混合物を水でクエンチし、そしてエーテル(3×10Ml)で抽出し、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥(NaSO)し、そして蒸発した。濃厚な残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのSep−Pakカートリッジ(2g)にかけた。ヘキサン/酢酸エチル(9.7:0.3)で溶出して、レチノイン酸のコレステロールエステルを得た。最後の精製を、ヘキサン/イソプロパノール(90:10)溶媒系を使用するHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silにより達成し、レチノイル酸コレステロールエステル(103mg、47%)を、14MlのRvで、濃厚な油状物として溶出した。
Figure 0004772663
実施例5
(スキーム5)
Figure 0004772663
全トランスレチノイン酸ピナコールエステルの調製: 全トランスレチノイン酸(100mg、0.33mmol)の無水のエーテル(10mL)中の溶液に、塩化オキサリル(42.3mg、0.33mmol)を0℃で加え、そしてこの温度で30分間撹拌し、そしてピリジン(28.7mg、0.36mmol)及びピナコール(42.89mg、0.36mmol)を加え、室温の暗所で16時間撹拌し、この時間後、反応はTLCによって示されるように完結した。次いで反応混合物を水でクエンチし、そしてエーテル(3×10mL)で抽出し、そして飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥(NaSO)し、そして蒸発した。濃厚な残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのSep−Pakカートリッジ(2g)にかけた。ヘキサン/酢酸エチル(9.5:0.5)で溶出して、レチノイン酸のピナコールエステルを得た。最後の精製を、ヘキサン/イソプロパノール(90:10)溶媒系を使用するHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)により達成した。純粋な全トランスレチノイル酸ピナコールエステル(103mg、47%)を、16mLのRvで、濃厚な油状物として溶出した。
Figure 0004772663
実施例6
a.実験
第1の試験は、エステル化された化合物を経口的に投与した場合、ビタミンA欠損ラットの正常な成長を回復することができるか否かを決定することであった。この研究のために、Sprague−Dawleyの離乳したラットを、Harlan(Indianapolis,IN)から入手した。これらに、以前に記載されている(Suda et al.,1970,J.Nutr.100:1049−1052)精製されたビタミンA欠損規定食を、ビタミンD、E及びKで補充して(White et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13459−13464)給餌した。動物が成長を停止し、そして体重を喪失し始めた時点で、これらに、Wesson油中に溶解した示された一日当りの投与量を投与した。対照には単独のWesson油を与えた(ベヒクルグループ)。5日間の研究期間にわたる体重の変化を、ANOVAによって分析し、全体のP値が0.05より小さい場合、4回の事後試験を使用する対の比較確率のマトリックスを続いて行った。事後比較試験は:Turkey HDS多重比較、Sheffe試験、Fisherの最小有意差試験及びBonferroni補正試験を含んでいた。結果は、2つより多い事後分析がP<0.05となる場合のみ有意であると考えた。
2つの実験の結果は、83pmol/日(29.8μg/日)で与えられたt−ブチル−RA誘導体が、等モル量のatRA(25μg/日)を給餌されたグループのそれと有意に変わらない5日間にわたる成長を支持したことを示した。他方、ビタミンAを投与されないラット(ベヒクル対照)は、図1に示すように体重を喪失し続けた(atRA及びt−ブチル−RAグループを比較してP<0.01)。化合物を166pmol/日で5日間与えた場合、(atRAを50μg/日又はt−ブチル−RAを59.5μg/日)、ビタミンA欠損ラットの成長反応は、更に同等であり、一方、ベヒクルで処置されたラットは、体重を喪失し続けた(図2)。図3は、これらの結果を棒グラフに要約し、これは、t−ブチル誘導体が、in vivoでatRAと同様に活性であることを例示する。
図4は、ピナコールエステル及びコレステロールエステルにより得られたデータを与える。これは、ピナコールエステルが、コレステロールエステルがそうであるように、ビタミンA欠損ラットにおける成長支持活性を有することを示し、そして両方の化合物は、ベヒクル対照の動物と比較して、有意に促進された成長を示した(P<0.05)。然しながら、atRAで支持された動物の成長は、コレステロールエステルで給餌されたグループより優れていたが(P<0.05)、ピナコールエステルは、有効性において2つの間の中間であり、そしてこれら2つの化合物のいずれもと有意に違っていなかった。従って、ピナコールエステルは、ビタミンA欠損ラットの成長を回復することにおいてatRAとほとんど同等であるが、一方、コレステロールエステルは、効果が少ない。
2つの独立した毒性試験をt−ブチル−RA誘導体で行った。図5は、1mmol/kg/日(300mg/kg/日)のatRAが、7日間にわたる重度の急性の体重喪失、並びに他の毒性の兆候(食欲の喪失、脱毛、下痢)を生じたことを示す。対照的に、同一モル量のt−ブチル−RA(357mg/kg/日)は、ラットが成長を続けることを可能にし、そして他の極度に明白な毒性を示さなかった。図6に示した別個の研究は、等モル濃度(1mmol/kg/日で5日間)で、t−ブチル−RAは、明白な毒性を示さず、一方、atRAは、重度の急性の体重喪失(P≦0.001)、及び更に前の研究に記載したような外面的毒性の兆候を生じた。atRAの毒性は、更に研究期間にわたる両方の実験において起こった精巣重量の減少によっても例示され、一方、t−ブチル誘導体は、このような兆候はなかった(図7、そしてデータは示されていない)。然しながら、atRA及びt−ブチル−RAグループ間の精巣重量の差は、かなり大きい生物学的変動性のために、統計的に有意ではなかった。
atRAの催奇形性活性は、その治療的潜在性において重大な欠点である。従って、本出願人等は、t−ブチル−RA誘導体が、atRAによって示される催奇形性活性を回避することができるか否かを決定した。研究の結果は、図8及び表1中に要約されている。胎齢12.3日の妊娠したラットに与えられたatRA(0.1mmol/kg又は30mg/kg)の一回投与は、尺骨の有意な短縮を生じ(図8)、そして4つの別個の同腹仔で検査された合計17匹中の13匹の胎児における骨格異常となった(表1)。油ベヒクルを投与された対照動物は、4つの別個の同腹仔で検査された18匹の胎児に対して異常を示さなかった。0.1mmol/kg(35.7mg/kg)で与えられたt−ブチルレチノイドも、更に4つの同腹仔で検査した12匹の胎児に異常を示さなかった。然しながら、10倍高い投与量のt−ブチル誘導体(1mmol/kg又は357mg/kg)を与えた場合、13匹の胎児中の10匹に異常が示された。この実験の結果は、atRAが、実際に催奇形性であり、そしてt−ブチル誘導体は、この傾向を共有するが、しかしatRAのそれより10倍高い投与量で与えられた場合のみであることを例示する。従って、t−ブチル−RA誘導体を使用した場合、atRAと比較した場合、大きい安全性の領域がある。
b.ビタミンA欠損ラットの成長を支持するt−ブチルエステル又はコレステロールエステル或いはピナコールエステルの生物学的活性。
離乳したオスのラットを、Harlan Companyから入手し、そして個別に吊下げ金網籠に入れ、そして前に記載したビタミンA欠損規定食(Suda et al.,1970,J.Nutr.100:1049−1052)を給餌した。概略70日の年齢で、動物は成長の横這いを示し始め、そして体重の喪失を示し始めた。この時点で、これらを、次の研究のために使用した:これらに、0.1mlのWesson油(ベヒクル)又はベヒクル中に溶解された示された投与量のatRA、或いはベヒクル中に溶解された示された投与量の誘導体の1つのいずれかを与えた。体重を毎日記録し、そして累積体重増加又は減少としてグラフに示すように研究期間にわたってプロットした。日量83pmol(25μg/日)のatRAは、体重を失い続けるベヒクル対照と比較して、ビタミンD欠損ラットの正常な成長を生じるために必要な殆んど最小量である(図1)。同一のモル投与量(83pmol又は29.75μg/日)のt−ブチル誘導体は、5日間の試験期間にわたるatRAのそれと変わらない成長反応を示したが、しかしベヒクル油のグループと有意に異なっていた(P<0.01)。投与量を50μg/日のatRA又は59.5μg/日のt−ブチル誘導体に増加した場合、予期したように、成長反応は同一であった。従って、t−ブチル−RAは、効力及び有効性においてatRAと同等であり、そしてビタミンA欠損ラットの成長に必要な量を十分に満足することができる。図3は、これらの結果の要約を与える。
図4は、ピナコールエステル及びコレステロールエステルにより得られたデータを与える。これらの結果は、ピナコールエステル及びコレステロールエステルの両方が、ビタミンA欠損ラットの成長を支持することが可能であり、ピナコールはatRAと殆んど同等であり、そしてコレステロールエステルは、それより少ないが、しかしそれにもかかわらず、ベヒクル対照に対して明白にはるかに改良されていることを明白に示している。これらの結果は、これらの2つのエステル化された形態は、成長を支持するatRAを与えることを例示する。本出願人等は、ピナコールエステルは、殆んどatRAと同様に活性であり、そしてコレステロールエステルは、恐らく3分の1ほど活性であると推定する。
c.atRAに対するt−ブチル−RA誘導体の毒性の評価。
本出願人は、次に、atRA誘導体と比較したt−ブチル誘導体の急性の毒性を、2つの独立した方法で試験した。これらの実験において、体重が概略250−300グラムの正常なオスのラットを使用した。これらを籠に個別に入れ、そしてPurina研究用固形飼料、並びに水を自由に与えた。図5に示した第1の研究において、t−ブチル誘導体及びatRA誘導体間の比較は、1mmol/kg/日(357mg/kg/日)で投与した場合、t−ブチル−RAが体重喪失を起こさなかったことを例示する。これは、極端に大きい投与量であり、そしてビタミンA欠損ラットの生理学的成長反応を支持するために必要なt−ブチル誘導体の量の、少なくとも3,600倍である。他方、等モル量(300mg/kg/日)のatRAは、有意な体重減少(P<0.001)及びビタミンA毒性の兆候を生じた。実験を繰返した場合、本出願人等は、300mg/kgのatRAが、t−ブチル−RA及びベヒクルグループと比較して、重度の体重喪失を起こすことを再び見出した(図6、P≦0.001)。他方、ベヒクル対照及び1mmol/kg/日で与えられたt−ブチル誘導体は、正常な成長となった。もう1つの毒性の兆候は、図7に例示したような精巣重量である。ベヒクル及びt−ブチル誘導体の精巣重量は、同様であり、このエステルが顕性の毒性を起こさないことを証明し、一方、精巣の重量の抑制が、1mmol/kg/日(300mg/kg/日)で与えたatRAで観察された。
d.atRAに対するt−ブチル−RAの催奇形性活性。
この実験において、19匹のメスのラットをSprague Dawleyから入手し、そして籠中に個別に入れ、そしてプリナ固形飼料、並びに水を自由に与えた。概略2週間の動物施設に対する順化後、メスを6:00から午後9:00間同一規定食で飼育した正常なオスと共に置いた。翌朝、メスを、受精を示す膣栓について検査した。次いで、膣垢を精子について検査し、そして陽性であることが示された場合、妊娠したラットを研究に配置した。12.3日の胎児日に、朝の9:00ないし10:00間に、ラットは、経口的に油中の大量瞬時投与量として与えられる、次の処置を受けた。4匹のラットのグループは、ベヒクルを投与され;4匹は0.1mmol/kg(30mg/kg)の油ベヒクル中のatRAを投与され;もう1つのグループは、等モル量(35.7mg/kg)のt−ブチル−RAを投与され;そして最後のグループは、10倍高い投与量(357mg/kg)のt−ブチル−RAを投与された。胎児を、18.5日目に帝王切開によって取出し、そして秤量し、並びに口蓋裂について検査した。全ての胎児は、概略正常な体重を有し、そしていずれのグループでも口蓋裂は観察されなかった。胎児を95%エタノール中に固定し、そしてサブセットを、骨格異常を決定するための染色のために、それぞれの同腹仔から無作為に選択した。0.1mmol/kgの投与量で観察された唯一の異常は、atRAで処置されたグループの顕著に短縮された尺骨であった(図8)。この研究の結果は、t−ブチル−RAが、atRAより催奇形性でないことを示す。t−ブチル−RA誘導体は、非常に高い(1mmol/kg)、即ち、同様な百分率の骨格異常が観察されたatRA(0.1mmol/kg)の10倍の投与量で与えられた場合、催奇形性である。従って、本出願人等は、t−ブチル誘導体が、atRAより概略10倍催奇形性ではないと推定する。
Figure 0004772663
化合物
本発明は、更に異常な細胞増殖又は細胞分化によって特徴付けられる増殖性皮膚疾患(例えば、皮膚炎、湿疹、角化上皮症、座瘡及び乾癬)のようなレチノイド化合物が有効であることが示されている、全ての疾病及び疾患の治療及び予防に有用である化合物も提供し、そしてこれらは、皮膚癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、神経芽細胞腫、及び白血病のような腫瘍性疾病、並びに皺、十分な皮膚の堅固さの欠如、十分な皮膚の水分補給の欠如、及び不十分な皮脂の分泌のような皮膚の症状の治療に対しても特に有用さを提供するはずである。
これらの改質されたレチノイド化合物は、投与後、時間をかけて、in vivoで母体レチノイド又はレチノイドの類似体に加水分解可能であり、そして結果として、活性なレチノイド又はレチノイドの類似体のin vivoにおける有効性を調節し、これによって更にそのin vivoの活性型を調整する。用語“活性型”は、atRA又はatRAの類似体のようなレチノイド化合物の時間をかけた生物学的反応を指す。個別の改質された化合物、又はこのような化合物の混合物を、所望する反応の時間的過程を“微調整”するために投与することができる。
本明細書中で使用される場合、用語“レチノイド”又は“レチノイド化合物”は、頭と尾の様式で結合した4つのイソプレノイド単位からなる化合物の群である化合物を包含する。全てのレチノイドは、式的には5つの炭素−炭素二重結合及び非環式部分の末端に官能基を含有する単環式母体化合物から誘導することができる。用語ビタミンAは、質的にレチノールの生物学的活性を示すレチノイドに対する総称的記述語として使用されるべきである。この用語は、ビタミンA活性、ビタミンA欠損、ビタミンAアンタゴニスト、等のような派生した用語において使用されるべきである。このようなレチノイドの例は、先に記載され、そして本明細書中に例示されている。本明細書中で使用される場合、用語“改質されたレチノイド”又は“改質されたレチノイド化合物”は、このようなレチノイド中に存在する1つ又はそれより多いカルボキシル官能基が、高度に立体的に妨害された化合物、好ましくはアルコールによる誘導体化によってエステルを形成するために改質された、いずれものレチノイドを包含する。“高度に立体的に妨害された化合物”は、所望する官能基、例えばアルコール又はアミノを含有する炭素原子に直接隣接する有意な大きさの基を有し、そしてカルボキシル機能及び元の母体レチノイドを再生するように、in vivoで加水分解することができる、カルボキシルを改質する基を与える化合物を包含する。
構造的には、好ましいin vivoの生理活性型を有する改質されたレチノイド化合物は、レチノイドのエステル誘導体であり、そして以下の式:
Figure 0004772663
によって表すことができ、式中、Rはレチノイルであり、そしてRは、以下の式:
Figure 0004772663
[式中、同一又は別個であることができるR及びRは、全ての異性体の形態の、1ないし20個の炭素原子、好ましくは1ないし10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、及びアリールからなる群からそれぞれ独立に選択される]
を有する第1の構造、及び以下の式:
Figure 0004772663
[式中、同一又は別個であることができるR、R及びRは、全ての異性体の形態の、1ないし10個の炭素原子、好ましくは1ないし5個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、及びアリール基からなる群からそれぞれ独立に選択される]
を有する第2の構造からなる群から選択される高度に立体的に妨害された官能基である。
用語“レチノイル”は、レチノイドのカルボキシル官能基(−COOH)が、そのヒドロキシル(−OH)基を失ったレチノイドを指す。従って、レチノイルは、以下の式:
Figure 0004772663
によって表すことができる。従って、上記の式中のRは、いずれものレチノイドのレチノイルであることができ、そして好ましくは、
Figure 0004772663
Figure 0004772663
からなる群から選択されるレチノイドのレチノイルである。好ましいレチノイルは、全トランスレチノイン酸(atRA)のレチノイルである。
いずれもの高度に立体的に妨害された基又は化合物を、それがin vivoで母体レチノイドに加水分解し、そしてレチノイドの毒性を減少する限りにおいて、置換基Rとして使用することができる。
好ましい高度に立体的に妨害された官能基は、以下の式:
Figure 0004772663
を有する第三ブチル(t−ブチル)、並びに以下の式:
Figure 0004772663
を有するピナコール、及び以下の式:
Figure 0004772663
を有するコレステロールのような第二及び第三アルコールから誘導された構造を含んでなる。
atRAの3つの立体的に妨害されたアルコールのエステル、即ち、以下の式:
Figure 0004772663
を有するt−ブチラートエステル(レチノイルt−ブチラート、本明細書中で更にt−ブチル−RAとも呼ばれる)、並びに以下の式:
Figure 0004772663
を有するピナコールエステル(レチノイルピナコール)及び以下の式:
Figure 0004772663
を有するコレステロールエステル(レチノイルコレステロール)を、本明細書中で先に記載したように合成した。
上記の改質されたレチノイド化合物は、これを必要とする患者に、個別に、改質されたレチノイド化合物の組合せで、又は他の活性な医薬剤との組合せで、医薬的に受容可能な賦形剤を伴って医薬組成物中で投与することができる。公知であるように、改質されたレチノイド化合物は、先に記述した疾病及び疾患を治療及び/又は予防するために医薬的に有効な量で医薬組成物中に存在することができる。例えば、局所製剤において、改質されたレチノイド化合物は、約0.01mg/gmないし約100mg/組成物gmの量で存在することができる。然しながら、改質されたレチノイド化合物は、局所的、経皮的、経口的又は非経口的に投与することができ、そして典型的な経口投与量は、約5mg/日ないし約5g/日である。組成物中のそれぞれの化合物の比率は、対処する特定の疾病の状態及び所望される活性の程度に依存する。全ての場合において、化合物の有効な量を使用しなければならない。実際上、より高い投与量は、疾病状態の治療的処置が所望する結果である場合に使用され、一方、より低い投与量が予防的目的のために一般的に使用され、いずれもの与えられた事例において投与される具体的な投与量は、投与される具体的な化合物、治療される疾病、患者の症状、及び当業者にとって公知であるような薬物の活性又は患者の反応を調整することができる他の関係する医学的事実によって調節されるものであることは理解されることである。一般的に、当技術において公知であるように、単一の日量又は分割された日量のいずれかを使用することができる。
治療及び/又は予防の目的のために、本発明の化合物は、無害な溶媒中の溶液として、或いは適した油、溶媒若しくは担体中の乳液、懸濁液又は分散物として、或いはクリーム、ローション、軟膏、局所貼布、固体担体といっしょに丸薬、錠剤又はカプセルとして、当技術において既知の慣用的な方法によって医薬的適用のために処方することができる。いずれものこのような製剤は、更に安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤又は乳化剤或いは味覚改質剤のような他の医薬的に受容可能な、そして非毒性の賦形剤を含有することもできる。化合物は、経口的、局所的、非経口的又は経皮的に投与することができる。化合物は、適した滅菌溶液の注射又は静脈注入によって、或いは液体又は固体投与の形態で消化管を経由して、或いはクリーム、軟膏、貼布、又は経皮適用のために適した同様なベヒクルの形態で、好都合に投与することができる。
先に記述した治療及び予防的使用において使用するための組成物は、活性成分としての有効な量の1つ又はそれより多い上記の式で定義したとおりの改質されたレチノイド化合物、及び適した担体を含んでなる。本発明による経口製剤において使用するためのこのような化合物の有効な量は、組成物のgm当り約0.01mgないし約100mgである。然しながら、活性成分は、局所的、経皮的、経口的又は非経口的に投与することができ、そして典型的な経口投与量は、約5mg/日ないし約5g/日である。
本発明の製剤は、活性成分を、その医薬的に受容可能な担体及び所望により他の治療成分と共に含んでなる。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、そしてその受容者にとって有害ではないと言う意味において“受容可能”でなければならない。
経口投与のために適した本発明の製剤は、それぞれ所定の量の活性成分を含有するカプセル、サッシェ、錠剤又はロザンジのような別々の単位の形態;粉末又は顆粒の形態;水性液体又は非水性液体中の溶液若しくは懸濁液の形態;或いは水中油乳剤又は油中水乳剤の形態であることができる。
直腸投与のための製剤は、活性成分及びココアバターのような担体を組込んだ座薬の形態、又は浣腸の形態であることができる。
非経口投与のために適した製剤は、都合よくは、活性成分の滅菌油性又は水性の製剤を含んでなり、これは、好ましくは受容者の血液と等張である。
局所投与のために適した製剤は、リニメント剤、ローション、塗布具のような液体又は半液体製剤、クリーム、軟膏若しくはペーストのような水中油又は油中水乳剤;或いは滴剤のような溶液又は懸濁液;或いは噴霧剤を含む。
噴霧缶、粉末の吸入、自己噴射或いはネブライザー又はアトマイザーにより投与される噴霧製剤も更に使用することができる。製剤は、投与される場合、好ましくは10ないし100μgの範囲の粒子の大きさを有する。
製剤は、都合よくは投与量単位の形態で与えることができ、そして薬学の技術において公知の方法のいずれかによって調製することができる。“投与量単位”によって、単一性、即ち、活性成分そのまま、或いはその固体又は液体の医薬的希釈剤若しくは担体との混合物のいずれかを含んでなる物理的及び化学的に安定な単位投与量として患者に投与することが可能な単一の投与量を意味する。
図1は、油ベヒクル、或いは83pmol/日の全トランスレチノイン酸(atRA)又はt−ブチル−レチノイン酸(t−ブチル−RA)のいずれかを5日間与えられた、ビタミンA欠損ラットの成長を例示するグラフである。 図2は、油ベヒクル、或いは166pmol/日の全トランスレチノイン酸(atRA)又はt−ブチル−レチノイン酸(t−ブチル−RA)のいずれかを5日間与えられた、ビタミンA欠損ラットの成長を例示するグラフである。 図3は、図1及び図2に例示された体重データを要約する棒グラフである。 図4は、油ベヒクル、或いは83pmol/日の全トランスレチノイン酸(atRA)、atRAのピナコールエステル、又はatRAのコレステロールエステルのいずれかを5日間与えられた、ビタミンA欠損ラットの成長を例示するグラフである。 図5は、全トランスレチノイン酸(atRA)に対するt−ブチル−レチノイン酸(t−ブチル−RA)の毒性を例示するグラフである。 図6は、全トランスレチノイン酸(atRA)に対するt−ブチル−レチノイン酸(t−ブチル−RA);及び油ベヒクルの毒性の、第2の独立した研究の結果を例示する図5と同様なグラフである。 図7は、図5及び図6のデータを得るために使用されたラットの精巣重量の減少によって例示された全トランスレチノイン酸(atRA)の毒性を示す棒グラフである。 図8は、0.1mmol/kgで全トランスレチノイン酸(atRA)によって示された催奇形性活性を、t−ブチル−レチノイン酸(t−ブチル−RA)の毒性の欠如と比較して例示する棒グラフである。

Claims (3)

  1. カルボキシル基を有し、好ましいin vivo治療活性を有するレチノイドを選択すること;ここでレチノイドが:全トランスレチノイン酸;9−cis−レチノイン酸;11−cis−レチノイン酸;13−cis−レチノイン酸;および9,13−ジ−cis−レチノイン酸;からなる群より選択され;
    レチノイドのカルボキシル基と反応させた場合、そのin vivo毒性を減少することによってレチノイドのin vivo活性プロフィールを改質するであろうエステル誘導体を提供するであろう高度に立体的に妨害されたアルコールを選択すること;ここで前記高度に立体的に妨害されたアルコールが以下の式:
    Figure 0004772663
    [式中、同一又は別個であることができるR、R及びRは、全ての異性体の形態の、1ないし10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、及びアリール基からなる群からそれぞれ独立に選択され、ここで置換基R、R及びRの種類、大きさ、構造的複雑さはレチノイドを異なった速度でin vivoで加水分解することによりレチノイドの徐放出をin vivoで与える]
    を有する第三アルコールを含む;
    前記高度に立体的に妨害されたアルコールでカルボキシル基を誘導化することによりレチノイドを改質し、前記エステル誘導体を得ること;そして
    前記エステル誘導体を経口投与または局所投与のために製剤化すること
    を含む、レチノイドの毒性を減少するための方法。
  2. アルコールがt−ブチルアルコールである、請求項1に記載の方法。
  3. エステル誘導体が、以下の式:
    Figure 0004772663
    を有する、請求項1に記載の方法。
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