以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、無線通信システムは、第1の端末100および第2の端末200を含んで構成されている。これらの端末100、200は、例えば、携帯電話、オーディオビジュアル機器、パーソナルコンピュータなどである。
第1の端末100は、送信部(送信装置)110および受信部(受信装置:誤り符号検出装置)120を含んで構成されている。なお、送信部110および受信部120は、例えば、LSIで実現するようにしてもよいし、1チップ化してもよい。
送信部110は、送信データT1を一時的に保存する送信データ保持部111と、所定のタイミングで送信データ保持部111から送信データT1を取り出して符号を割り当てるマッピング部112とを有する。ここで、所定のタイミングは、後述する再送制御信号D3がマッピング部112に入力されたタイミングを含む。マッピング部112は、再送制御信号D3の入力を受けたとき、送信データT1に対する符号を反転して再度割り当てる。
さらに、送信部110は、マッピング部112に割り当てられた符号に応じたパルスを出力するパルス変調器113と、パルス変調器113から出力されたパルスを増幅する増幅器114と、増幅されたパルスから希望波を取り出して送信アンテナ116へ出力するフィルタ115とを有する。本実施の形態においては、パルス変調器113は、OOK方式によりパルス変調を行うものとする。また、送信アンテナ116は、マッピング部112において再度割り当てられた反転符号に基づくパルス(第2のパルス信号列)および初回に割り当てられた符号に基づくパルス(第1のパルス信号列)を空中に放射する。
受信部120は、受信アンテナ(受信端)121に入力された電波の中から希望波を取り出すフィルタ122と、微弱な電波を低雑音増幅し感度を向上させる低雑音増幅器123と、低雑音増幅器123で得られたパルスから検波データD1を得るパルス検波器(パルス検波部)124と、検波データD1(受信データ)の保持先を第1のデータ保持部126または第2のデータ保持部127に切り替える切替スイッチ125とを有する。本実施の形態においては、第1のデータ保持部126には、初回に割り当てられた符号に基づく検波データから取り出された第1の受信データ(検波データ)R1が保持され、第2のデータ保持部127には、反転符号に基づく検波データから得られた第2の受信データR2が保持される。
さらに、受信部120は、第1のデータ保持部126と、第2のデータ保持部127と、第1のデータ保持部126および第2のデータ保持部127に保持された双方の受信データR1、R2の符号を比較(例えば、排他的論理和)する符号比較部128と、符号比較部128における比較結果情報D2から符号(ビット)誤りを検出する誤り検出部129と、誤り検出部129における検出結果から送信データT1を再送させるための再送制御信号D3を出力するデータ制御部130とを有する。再送制御信号D3の出力先は、第2の端末200の送信部110(送信データ保持部111、マッピング部112および切替スイッチ125)および第1の端末100の切替スイッチ125である。
図2は、パルス検波器124の構成例を示すブロックである。
図2において、パルス検波器124は、低雑音増幅器123からのパルス信号の包絡線(エンベロープ)を出力するエンベロープ検波器1241、包絡線をタイムスロット(パルス間隔)ごとに積分する積分器1242、および、積分器1242の出力である積分値と閾値電圧(閾値)V1とを比較して検波データD1を出力するコンパレータ1243を有する。なお、閾値電圧V1は、図示しない閾値保持器に保持されているものとする。
図1に戻って、第2の端末200は、送信部110、受信部120、送信アンテナ216および受信アンテナ221を有する。送信アンテナ216および受信アンテナ221は、それぞれ、送信アンテナ116および受信アンテナ121と同様の機能をもつ。また、第2端末200の送信部110および受信部120は、内部構成が記載されていないが、第1の端末100の送信部110および受信部120と同様に構成されている。
次に、第1の端末100の送信部110および第2の端末200の受信部120の動作について図1および図2を参照しながら説明する。
[第1の端末の送信部の動作]
まず、第1の端末100の送信部110の動作について説明する。まず、マッピング部112は、送信データ保持部111に保持された送信データT1に対して「0」または「1」のパルス符号を割り当て、パルス変調器113に出力する。
続いて、パルス変調器113は、OOK方式により、パルス符号を所定のパルス幅をもつパルスに変調する。このときのパルス幅は、タイムスロットよりも狭くなるように設定される。例えば、ビットレート(符号化速度)が1Gbpsの場合、タイムスロットは1nsecとなるが、パルス変調器113に変調されるパルス符号のパルス幅は、1nsecよりも小さくなるよう変調される。
また、本実施の形態においては、パルス変調はOOK方式が採用されるので、パルス変調器113は、「1」のパルス符号であれば1nsecよりも狭いパルス幅をもつパルスを出力し、他方、「0」のパルス符号であれば何も出力しない。
次に、増幅器114は、パルス変調器113により変調されたパルスを所定の電力レベルまで増幅し、フィルタ115に出力する。すると、増幅器114により増幅されたパルスがフィルタ115を通過した後、送信アンテナ116を通して空中に放射される。
次に、後述する再送制御信号D3が、第2の端末200から第1の端末100のアンテナ121を通して、送信データ保持部111およびマッピング部112に入力されると、マッピング部112は、送信データ保持部111から送信データT1を再度取り出す。
そして、マッピング部112は、その送信データT1に対して「0」または「1」のパルス符号を割り当て、パルス変調器113に出力する。このときのマッピング部112は、送信データT1に割り当てられたパルス符号を反転して再符号化する。例えば、元々の送信データT1に対して割り当てられるパルス符号が(10011)であれば、それが反転されたパルス符号は、(01100)となる。
そして、マッピング部112において再符号化されたパルス符号について、パルス変調器113、増幅器114、フィルタ115および送信アンテナ116が、上述した一連の処理を行う。これにより、再符号化されたパルスも、空中に放射される。
[第2の端末の受信部の動作]
次に、第2の端末200の受信部120の動作について説明する。まず、空中に放射されたパルスが、受信アンテナ221に受信された後、フィルタ122を通過して、低雑音増幅器123に入力される。
続いて、低雑音増幅器123は、フィルタ122を通過したパルスを所定の電力レベルまで増幅してパルス検波器124に出力する。
すると、パルス検波器124では、まず、エンベロープ検波器1241が、増幅されたパルスの包絡線を積分器1242に出力する。続いて、積分器1242が、包絡線をタイムスロットごとに積分する。そして、コンパレータ1243が、積分器1242の積分値(出力値)と、あらかじめ設定されている閾値電圧V1とを比較し、比較の結果に応じて、検波データに示された第1の受信データR1を切替スイッチ125に出力する。
例えば、積分値が閾値電圧V1よりも大きい場合、積分器1242は、そのタイムスロットに1のデータを出力し、他方、積分値がV1以下であれば、積分器1242は、そのタイムスロットに0のデータを出力する。
切替スイッチ125は、検波データD1に含まれる第1の受信データR1を第1のデータ保持部126へ順次出力して第1のデータ保持部126に保持させる。
次に、誤り検出部129は、第1のデータ保持部126から第1の受信データR1を取り出すとともに、符号比較部128から、双方の受信データR1、R2の各タイムスロットのビットの比較結果(排他的論理和)を示す比較結果情報D2を取得する。
符号比較部128は、第1の受信データR1と、後述する第2の受信データR2とを比較し、上述した比較結果情報D2を誤り検出部129に出力する。ただし、この時点では、第2の受信データR2が存在しないため、符号比較部128における比較結果D2は、処理エラー(例えば、各符号がすべて0)が示される。
誤り検出部129は、符号比較部128からの比較結果情報D2から、符号の誤りを検出してデータ制御部130に出力する。すると、データ制御部130は、誤り検出部129からの検出結果(例えば、エラー処理、符号誤り)を受け、第1の端末100に対し、送信データT1を再送させる再送制御信号D3を第1の端末100に出力する。さらに、データ制御部130は、再送制御信号D3を切替スイッチ125に出力し、切替スイッチ125は、保存先を第2のデータ保持部127に切り替える。
再送制御信号D3を受信アンテナ121を通して受信した第1の端末100は、上述したマッピング部112、パルス変調器113、増幅器114、フィルタ115および送信アンテナ116の一連の処理により、送信データT1に対する符号を反転したパルスを第2の端末200に再送する。
再送されたパルス(ビット反転したもの)は、第2の端末200の受信アンテナ221を通して受信される。そして、そのパルスについて、第2の端末200のフィルタ122、低雑音増幅器123およびパルス検波器124において上述した処理が行われる。これにより、第2の端末200のパルス検波器124において再送されたパルスに対する第2の受信データR2が切替スイッチ125に出力される。そして、切替スイッチ125が、第2の受信データR2を第2のデータ保持部127に保持させる。
次に、符号比較部128は、第1のデータ保持部126および第2のデータ保持部127から、それぞれ、第1の受信データR1および第2の受信データR2を取り出し、双方の受信データの各ビットを排他的論理和により比較する。そして、符号比較部128は、その結果を示す比較結果情報D2を誤り検出部129に出力する。
誤り検出部129は、上述した比較結果情報D2に示された排他的論理和から、符号の誤りを検出する。この検出例を図3を参照して説明する。
図3は、第1の端末100の送信部110および第2の端末200の受信部120の出力波形の一例を示す図である。ここでの出力波形は、説明を簡略化するため、伝搬路や信号処理回路などによる遅延時間を無視して示されている。
図3(a)に示すデータ信号列は、第1の端末100のマッピング部112で送信データT1に対して符号化されたパルス符号であり、(10011)の後に、(01100)のパルス符号が続いている。(01100)は、送信データT1に対して再符号化された組み合わせとして示されている。つまり、初回に符号化された(10011)がビット反転されて形成されている。
図3(b)に示す送信信号波形は、第1の端末100の送信アンテナ116を通して放射されたパルスを示したものである。この送信信号波形は、図3(a)に示した(10011)および(01100)のデータ信号列から得られている。
図3(c)に示す受信信号波形は、図3(b)に示した送信信号波形が第2の端末200の受信アンテナ221に受信されたときのパルスである。ここでは、遅延波も所定の時間遅れて示されている。
なお、図3(c)においては、例えば、第1の端末100と第2の端末200との位置関係が変わらず、しかも周囲の環境も変わらない場合を想定したので、遅延波が到来する時間を一定としている。
図3(d)に示す検波データD1は、第2の端末200のパルス検波器124から出力されたデータである。図3(d)においては、第1の受信データR1、およびその後に続く第2の受信データR2が検波データD1に含まれている。このときの第1の受信データR1は、例えば、5つのタイムスロットD11〜D15で形成され、第2の受信データR2も、例えば、5つのタイムスロットD111〜D151で形成されている。このうち、第1の受信データR1の第2タイムスロットD12は、本来「0」でなければならないが、遅延波の影響を受けて「1」と示されている。これは、次のような理由による。
すなわち、パルス検波器124のエンベロープ検波器1241において、遅延波の包絡線も加味して電力検波されてしまうためである。
同様の理由により、第2の受信データR2の第4タイムスロットD141も、遅延波の影響を受けて「1」と示されている。
図3(e)に示す比較結果情報D2は、第2の端末200の符号比較部128から符号誤り検出部129に出力される。図3(e)においては、比較結果情報D2として、第1の受信データR1と第2の受信データR2との排他的論理和が示されている。具体的には、(D11*D111)=1、(D12*D121)=0、(D13*D131)=1、(D14*D141)=0、(D15*D151)=1が示されている。
この場合、第2の受信データR2は、第1の受信データR1の符号を反転させて形成されたものとなるため、符号に誤りがなければ、第1の検波データR1と第2の検波データR2との排他的論理和は、すべて1になる。このため、排他的論理和が0を示している場合、符号誤り検出部129は、そのタイムスロットの誤りを検出する。図3(e)においては、第2タイムスロットおよび第4タイムスロットの排他的論理和が0(誤りを示す値)を示しているので、符号誤り検出部129は、それらのタイムスロットの符号の誤りを検出することが可能となる。しかも、遅延波がタイムスロットよりも広がって到来したとしても、各タイムスロットの排他的論理和から、符号の誤りが検出されるので、そのような場合であっても符号の誤りを正確に検出することができる。なお、このときのビット誤り数は2になる。
なお、実施の形態1においては、第1の端末100の送信部110は、再送制御信号D3の入力を受け、再符号化したパルスを第2の端末200に再送した場合について説明したが、再符号化されたパルスの再送は、再送制御信号D3の入力を受けることなく、初回に符号化されたパルスと同時に行うようにしてもよい。
また、第1の端末100と第2の端末200間の距離によって、受信アンテナ(受信端
)121に入力される電波の強度が異なるため、低雑音増幅器123の増幅度を制御し、パルス検波器124に入力される信号の強度を一定に保つようにしてもよい。
室内などの閉じられた空間では、必ず複数の遅延波が受信アンテナ121に入力されるが、このように復調データに影響を与える遅延波がひとつだけという条件は、アンテナビーム角度が狭い指向性アンテナを用いることで、作り出すことができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、1つの閾値電圧V1を用いて検波データを得る実施の形態1とは異なり、2つ異なる閾値電圧V1、V2(例えばV1<V2)を用いて検波データを得る点が、実施の形態1と異なる。以後、V1を第1の閾値電圧、V2を第2の閾値電圧という。
実施の形態2における第1の端末100および第2の端末200は、実施の形態1における受信部120に代えて、受信部120Aを有する。そこで、以下においては第1の端末100の受信部120Aの構成を中心に説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における受信部120Aの構成例を示すブロック図である。なお、実施の形態2において、実施の形態1と同一の部分はこれと同一の符号を付して重複説明を省略する。
図4に示す受信部120Aは、実施の形態1におけるパルス検波器124およびデータ制御部130に代えて、パルス検波器124Aおよびデータ制御部130Aを有する。
パルス検波器124Aは、2つの異なる閾値電圧V1、V2を用いて2つの検波データを得るように構成されている。具体的には、パルス検波器124Aは、実施の形態1におけるエンペロープ検波器1241、積分器1242およびコンパレータ1243(本実施の形態においては第1のコンパレータ1243という)のほかにも、閾値制御回路(閾値制御部)1244、第1の閾値保持器1245、第2の閾値保持器1246および第2のコンパレータ1247をさらに有する。
閾値制御回路1244は、第1の閾値電圧V1および第2の閾値電圧V2の各値を制御する。そして、閾値制御回路1244は、第1の閾値電圧V1を第1の閾値保持器1245に登録したり、第2の閾値電圧V2を第2の閾値保持器1246に登録したりする。
第2のコンパレータ1247は、積分器1242の積分値を取り出し、その積分値と第2の閾値保持器1246の第2の閾値電圧V2とを比較して第2の検波データD4を出力する。第2の検波データD4を得る方法は、第1のコンパレータ1243の場合と同様である。なお、本実施の形態においては、実施の形態1における検波データD1を第1の検波データD1という。
さらに、受信部120Aは、第2の検波データD4の保持先を第3のデータ保持部132または第4のデータ保持部133に切り替える切替スイッチ131を有する。本実施の形態においては、第3のデータ保持部132には、第2の検波データD4から得られた第3の受信データR3(送信データT1に対して符号化されたパルスに対応)が保持される。また、第4のデータ保持部133には、第2の検波データD4から得られた第4の受信データR4(送信データT1に対して再符号化されたパルスに対応)が保持される。
さらに、受信部120Aは、第3の保持部132と、第4の保持部133と、第3の保持部132および第4の保持部133に保持された双方の受信データR3、R4の符号を比較(例えば、排他的論理和)する第2の符号比較部134と、符号比較部134における比較結果情報D5から符号の誤りを検出する第2の誤り検出部135とを有する。
また、データ制御部130Aは、実施の形態1におけるデータ制御部130に代えて、第1の誤り検出部129および第2の誤り検出部135における各検出結果情報から送信データT1を再送させるための再送制御信号D3を出力する。再送制御信号D3の出力先は、例えば、第2の端末200の送信部110(送信データ保持部111、マッピング部112および切替スイッチ125)および第1の端末100の各切替スイッチ125、131である。
その他の送信部110を含む、第1の端末100および第2の端末200の構成は、実施の形態1と同様に構成されている。
次に、第2の誤り検出部135における符号誤りの検出例を図5を参照して説明する。
図5は、第1の端末100の送信部110および第2の端末200の受信部120Aの出力波形の一例を示す図である。なお、図5(a)に示したデータ信号列は、図3(a)に示したデータ信号列と同様であり、図5(b)に示した受信信号波形は、図3(c)に示した受信信号波形と同様である。
図5(c)に示す第2の検波データD4は、第2の端末200の第2のコンパレータ1247から出力される。図5(c)においては、上述した第3の受信データR3、およびその後に続く第4の受信データR4が示されている。このときの第3の受信データR3および第4の受信データR4には、いずれも、図3(d)の場合と異なり、遅延波の影響を受けることなく、「0」と示されている。これは、次のような理由による。すなわち、第1のコンパレータ1243においては、積分器1242の積分値がV1よりも大きいと判定されたとしても、V1<V2のため、第2のコンパレータ1247においては、積分器1242の積分値がV2以下と判定されたからである。
図5(d)に示す比較結果情報D5は、第2の端末200の第2の符号比較部134から第2の誤り検出部135に出力される。図5(d)においては、比較結果D5として、第3の受信データR3と第4の受信データR4との排他的論理和が示されているが、図3(e)の場合とは異なり、すべて「1」を示している。このため、第2の誤り検出部135は、タイムスロットの誤りを検出しない。このように、2つの閾値電圧を用いて検波データを生成することにより、遅延波により符号誤りを回避することが可能となる。
しかし、SN比が低い場合に、双方の閾値電圧V1、V2を高く設定しすぎると、符号ビットに存在するパルスによる雑音の影響により、パルスが存在するタイムスロットが0として出力され、符号誤りを行いやすくなってしまう。そこで、閾値電圧を最適な値に設定する必要があるので、以下にその点について説明する。
図6は、第2の端末200の受信部120Aにおける最適な閾値電圧の設定処理を示すフローチャートである。
ステップS101において、受信部120Aの閾値制御回路1244は、初期値設定を行う。初期値としては、例えば、各閾値電圧V1、V2の初期値(例えばV1<V2)および最大繰り返し回数nがある。ここでいう繰り返し回数は、各閾値電圧V1、V2の変更回数を意味する。
ステップS102において、受信部120Aは、復調処理を行う。具体的には、第1の誤り検出部129において、比較結果情報D2(図3(e)参照:初回のエラー処理は除く)に基づいて符号の誤りを検出し、第2の誤り検出部135において、比較結果情報D5(図5(d)参照:初回のエラー処理は除く)に基づいて符号の誤りを検出する。そして、データ制御部130Aは、双方の誤り検出部129、135から、各検出結果情報(各ビット誤り数を含む)を入力して、閾値制御回路1244に当該検出結果情報を出力する。なお、第1の誤り検出部129から入力されたビット誤り数を第1のビット誤り数といい、第2の誤り検出部135から入力されたビット誤り数を第2のビット誤り数という。
ステップS103において、閾値制御回路1244は、データ制御部130Aから入力された上記各検出結果から、第1のビット誤り数=0かつ第2のビット誤り数=0の条件を満たすかどうかを判定し、その結果、条件を満たせば(S103のYES)、処理を終了し、他方、条件を満たさなければ(S103のNO)、ステップS104に進む。なお、ステップS103において、繰り返し回数>nのときも、処理を終了する。
ステップS104において、閾値制御回路1244は、上記各検出結果から、第1のビット誤り数>第2のビット誤り数の条件を満たさなければ(S104のNO)、閾値制御回路1244は、V1=V1−ΔV(ΔVはあらかじめ設定された値)およびV2=V2−ΔVの条件を満たすように設定して(ステップS105)、ステップS107に進む。他方、第1のビット誤り数>第2のビット誤り数の条件を満たせば(S104のYES)、閾値制御回路1244は、V1=V1+ΔVおよびV2=V2+ΔVの条件を満たすように設定して(ステップS106)、ステップS107に進む。
ステップS107において、データ制御部130Aは、再送制御信号D3を出力して送信データT1を再送させる再送処理を行った後、ステップS102に戻り、再送されたデータ信号列について復調処理を行う。なお、ステップS107において、データ制御部130Aは、再送制御信号D3を2個の切替スイッチ125、131にも出力する。
このようにして、受信部120Aにおいて、各閾値電圧V1、V2を大きくしたり小さくしたりしながら、最適な各閾値電圧V1、V2の値が探し出される。例えば、ステップS103において、第1のビット誤り数=0かつ第2のビット誤り数=0の条件が満たされた場合、そのときの各閾値電圧V1、V2の平均値が最適な閾値電圧とすることが可能となる。
なお、実施の形態2においては、2つの異なる閾値電圧V1、V2を用いた場合について説明したが、3個以上の異なる閾値電圧を用いて適用してもよい。この場合、最適な閾値電圧を探し出しやすくなるという効果がある。
また、実施の形態2においては、第1の誤り検出部129および第2の誤り検出部135がそれぞれ符号の誤りを検出する場合について説明したが、1台の誤り検出部が各誤りを検出するようにしてもよい。この場合、コンパレータや切替スイッチなども一台で共有してもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3では、1ビットのタイムスロットにRZ(return to zero)符号を用いて符号化を行う実施の形態1、2とは異なり、1ビットのタイムスロットを2分割しビット反転した符号を挿入するマンチェスタ符号を用いて符号化を行う点が、実施の形態1、2と異なる。つまり、送信部110のマッピング部112(図1参照)において、送信データT1に対する符号化がマンチェスタ符号を用いて行われる。例えば、マッピング部112は、「0」の送信データであれば(10)の符号を割り当て、他方、「1」の送信データであれば(01)の符号を割り当てる。その他の送信部110の構成は、実施の形態1、2と同様である。
次に、実施の形態3における受信部の構成について説明する。実施の形態3における第1の端末100および第2の端末200は、実施の形態1における受信部120に代えて、受信部120Bを有する。そこで、以下においては受信部120Bを中心に説明する。
図7は、本発明の実施の形態3における受信部120Bの構成例を示すブロック図である。なお、実施の形態3において、実施の形態1、2と同一の部分はこれと同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
図7に示す受信部120Bは、第1の符号比較部(比較部)128Aと、第1の遅延回路(遅延部)136と、第1の復調部137とを有する。第1の遅延回路136は、第1のコンパレータ1243からの第1の検波データD6(図4の第1の検波データD1に相当)を所定の時間(例えば、タイムスロットT/2)遅延させて、第1の符号比較部128Aに出力する。
第1の符号比較部128Aは、第1の遅延回路136において遅延された第1の検波データD6の遅延波と、第1のコンパレータ1243からの第1の検波データD6とを比較(例えば、排他的論理和)し、その結果を示す比較結果情報D8を第1の誤り検出部129Aに出力する。
第1の復調部137は、第1の検波データD6から、第1の受信データR1を取り出して、第1の誤り検出部129Aに出力する。本実施の形態においては、第1の復調部137は、タイムスロットの前半部分(マンチェスタ符号の1分割目)のビット(極性)に基づいて、第1の検波データD6から第1の受信データR1を取り出すが、タイムスロットの後半部分(マンチェスタ符号の2分割目)のビット(「0」または「1」)に基づいて、第1の受信データR1を取り出してもよい。
さらに、受信部120Bは、第2の符号比較部(比較器)134Aと、第2の遅延回路139と、第2の復調部138とを有するが、これらは、第2のコンパレータ1247からの第2の検波データD7に基づいて処理を行う。すなわち、第2の遅延回路139は、第2のコンパレータ1247からの第2の検波データD7(図4の第2の検波データD4に相当)を所定の時間(例えば、タイムスロットT/2)遅延させて、第2の符号比較部134Aに出力する。第2の符号比較部134Aは、第2の遅延回路139において遅延された第2の検波データD7の遅延波と、第2のコンパレータ1247からの第2の検波データD7とを比較(例えば、排他的論理和)し、その結果を示す比較結果情報D9を第2の誤り検出部135Aに出力する。
第2の復調部138は、第2の検波データD7から、第3の受信データR3を取り出して、第2の誤り検出部135Aに出力する。このときも、第2の復調部138は、タイムスロットの前半部分(マンチェスタ符号の1分割目)のビットに基づいて、第2の検波データD7から第3の受信データR3を取り出す。なお、タイムスロットの後半部分(マンチェスタ符号の2分割目)のビットに基づいて、第2の復調部138は、第2の受信データR3を取り出してもよい。なお、上述した2つの遅延回路や復調部、誤り検出部、復調
部などは、1つにして共用して処理するようにしてもよい。
その他の受信部120Bを含む、第1の端末100および第2の端末200の構成は、実施の形態2と同様に構成されている。
次に、第1の誤り検出部129Aにおける符号誤りの検出例を図8を参照して説明する。
図8は、第1の端末100の送信部110および第2の端末200の受信部120Bの出力波形の一例を示す図である。
図8(a)に示すデータ信号列は、第1の端末100のマッピング部112で送信データT1に対しマンチェスタ符号を用いて符号化された(10011)のパルス符号である。タイムスロットTの中央で2分割され、2分割目のビットは、1分割目のビットが反転されて示されている。
図8(b)に示す送信信号波形は、第2の端末200の受信アンテナ221から受信されたパルスである。この送信信号波形にも、図3(c)の場合と同様に、所定の時間遅れて到来した遅延波が含まれている。
図8(c)に示す第1の検波データD6(実線)は、第2の端末200の第1のコンパレータ1243から出力されたデータである。この検波データD6から、後述する第1の受信データR1が得られる。図8(c)においては、第1の受信データR1の各タイムスロットD11〜D15には、図8(b)に示したパルスの有無に応じて「0」または「1」のビットが示されている。なお、第2タイムスロットD12の1分割目、第4タイムスロットD14の2分割目および第5タイムスロットD15の2分割目は、本来「0」となるにもかかわらず、遅延波による影響を受けて「1」と示されている。
なお、図8(c)に示した波線は、第1の遅延回路136においてT/2遅延された第1の検波データD6を示している。
図8(d)に示す比較結果情報D8は、第2の端末200の第1の符号比較部128Aから第1の誤り検出部129Aに出力される。図8(d)においては、比較結果情報D8として、第1の検波データD6(図8(c)の実線参照)とそれをT/2遅延させた遅延波(図8(c)の波線参照)との排他的論理和(0または1)が示されている。
この場合、図8(a)に示したデータ信号列は、タイムスロットの1分割目および2分割目のビットを反転させるマンチェスタ符号により示されるため、ビット誤りがなければ、上述した排他的論理和は、すべて1になる。このため、排他的論理和が0を示している場合、第1の誤り検出部129Aは、そのタイムスロットの符号誤りを検出する。図8(d)においては、第2タイムスロット、第4タイムスロットおよび第5タイムスロットの各1分割目の排他的論理和が0を示している。このため、第1の誤り検出部129Aは、それらのタイムスロットの符号誤りを検出する。
図8(e)に示す第1の受信データR1は、第1の復調部137において、図8(c)に示す第1の検波データD6(実線)から取り出されたものとして示されている。なお、第1の検波データD6の第1から第5のシンボルD11〜D15の前半部分のビット(図8(c)の判定点を示す矢印参照)を基に、第1の受信データR1が取り出される。このため、第1の受信データR1は、(11011)の符号で形成されている。
次に、第2の誤り検出部135Aにおける符号誤りの検出例を図9を参照して説明する。
図9は、第2の端末200の受信部120Bの出力波形の一例を示す図である。なお、このときのデータ信号列および送信信号波形は、図8(a)および図8(b)に示したと
おりである。
図9(a)に示す第2の検波データD7(実線)は、第2の端末200の第2のコンパレータ1247から出力されたデータである。この検波データD7から、後述する第3の受信データR3が得られる。図9(a)においては、第3の受信データR3の各タイムスロットD11〜D15には、図8(b)に示したパルスの有無に応じて「0」または「1」のビットが示されている。図9(a)においては、実施の形態2の場合と同様、V1<V2により、V2を基準に得られた検波データD7は、マルチパスなどの遅延波による影響を受けることなく、各シンボルD11〜D15にビットが示されている。
なお、図9(a)に示した波線は、第2の遅延回路139においてT/2遅延させた第2の検波データD7を示している。
図9(b)に示す比較結果情報D9は、第2の端末200の第2の符号比較部134Aから第2の誤り検出部135Aに出力される。図9(b)においては、比較結果情報D9として、第2の検波データD7(図9(a)の実線参照)とそれをT/2遅延させた遅延波(図9(a)の波線参照)との排他的論理和(0または1)が示されている。しかし、図8(c)の場合とは異なり、タイムスロットの前半部分は、すべて「1」を示している。このため、第2の誤り検出部135Aは、タイムスロットの符号誤りを検出しない。
図9(c)に示す第3の受信データR3は、第2の復調部138において、図9(a)に示した第2の検波データD7(実線)から取り出されたものとして示されている。このようにすると、実施の形態2の効果のほか、タイムスロット内でビット反転させたマンチェスタ符号を用いることにより、送信部110において送信データT1のビット反転符号を再送することなく、受信部120Bにおいてビットの誤りを検出することができる。
なお、実施の形態3においては、2つの異なる閾値電圧V1、V2により得られた2つの検波データに基づいて符号誤りを行う実施の形態2と同様の構成について説明したが、1つの閾値電圧V1により得られた検波データに基づいて符号誤りを行う実施の形態1と同様に構成してもよい。この場合も、マンチェスタ符号を採用することにより、送信部110において送信データT1のビット反転符号を再送することなく、受信部120Bにおいてビットの誤りを検出することができる。
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4における受信部の構成例を示すブロック図である。なお、本実施の形態の送信部は実施の形態1の送信部と同じ構成であるため説明を省略する。
図10において、受信部120Cは、実施の形態1に係る受信部120に対し、パルス検波器124、誤り検出部129、及びデータ制御部130に代え、パルス検波器2101、誤り検出部2103、及びデータ制御部2111を備え、符号決定部2102をさらに備えて構成される。
パルス検波器2101は、パルス検波器124に対して、コンパレータ1243に代え、ADコンバータ2104及び2値化部2105を備える。なお、パルス検波器124と共通する構成部分には、図2と同一の符号を付して説明を省略する。ADコンバータ2104は、積分器1242の積分値(出力値)をディジタル値に変換し、2値化部2105及び後述する符号決定部2102の切替スイッチ2106に出力する。2値化部2105は、ADコンバータ2104から入力されるディジタル値の最上位桁1ビットを切替スイッチ125に出力する。
誤り検出部2103は、第1のデータ保持部126からの第1の受信データ(検波データ)R1又は第2のデータ保持部127からの第2の受信データ(検波データ)R2を取り出し、R1又はR2に含まれるフレームチェックシーケンスを使って誤り検出を行なう。誤り検出部2103は、誤り有無の判定結果をデータ制御部2111に出力する。
データ制御部2111は、誤り検出部2103において誤りが無いと判定された場合、R1(又はR2の反転データ)を復号データD20として出力するよう判定部2110に指示する。一方、誤り検出部2103において誤りが有ると判定された場合、データ制御部2111は、第1の端末100に対し送信データを再送させるよう、再送制御信号D3を第1の端末100に通知する。さらに、データ制御部2111は、再送制御信号D3を切替スイッチ125及び後述する符号決定部2102の切替スイッチ2106に出力する。
符号決定部2102は、切替スイッチ2106、第1の相関器2107、第2の相関器2108、大小比較部2109、判定部2110、及びNOT素子2112を備えて構成される。
切替スイッチ2106は、データ制御部2111からの再送制御信号D3の有無に応じて、ADコンバータ2104の出力の保存先を第1の相関器2107又は第2の相関器2108に切り替える。具体的には、切替スイッチ2106は、データ制御部2111から再送制御信号D3が入力されると、ADコンバータ2104の出力の保存先を第2の相関器2108に切り替える。つまり、切替スイッチ2106は、再送データ受信時に、ADコンバータ2104の出力の保存先を第2の相関器2108に切り替える。なお、初回データ受信時には、切替スイッチ2106は、ADコンバータ2104の出力の保存先を第1の相関器2107に切り替える。
図11に、第1の相関器2107及び第2の相関器2108の詳細な構成を示す。第1の相関器2107は、遅延推定保持部2201−1、データ保持部2202−1、乗算器2203−1、及び加算器2204−1を備えて構成される。同様に、第2の相関器2108は、遅延推定保持部2201−2、データ保持部2202−2、乗算器2203−2、及び加算器2204−2を備えて構成される。
遅延推定保持部2201−1は、ADコンバータ2104から出力される遅延推定系列を保持し、乗算器2203−1へ出力する。ここで、遅延推定系列とは、遅延波の遅延時間及び遅延波の信号レベルを示すサンプル値であり、フレームに含まれるインパルス信号(遅延推定シンボル)の検波データとして取得される。換言すると、遅延推定系列は、遅延プロファイルに相当するものである。この遅延推定系列については、後述する。
データ保持部2202−1は、判定部2110から入力されるこれまでに決定されたデータ(以下「過去の復号データ」ともいう)を保持し、乗算器2203−1へ出力する。なお、新しいフレームが受信されると、データ保持部2202−1は、すべてゼロに初期化される。
乗算器2203−1は、遅延推定系列と過去のデータとの積を計算し、加算器2204−1へ出力する。加算器2204−1は、乗算器2203−1から入力される計算結果をすべて加算し、大小比較部2109へ出力する。
このようにして、第1の相関器2107は、遅延プロファイルと過去のデータとの相関演算を取得する。
第2の相関器2108の内部構成部分は、第1の相関器2107と同様である。ただし、データ保持部2202−2は、NOT素子2112から出力される過去のデータの反転データを保持する。したがって、第2の相関器2108は、遅延プロファイルと過去のデータの反転データとの相関演算を取得する。
大小比較部2109は、第1の相関器2107の出力と第2の相関器2108の出力との大小比較を行い、比較結果C1を判定部2110に出力する。なお、C1の定義の一例を図12に示す。図12に示す例では、第1の相関器2107の出力が第2の相関器2108の出力未満の場合、C1=0であり、第1の相関器2107の出力が第2の相関器2108の出力以上の場合、C1=1である。
判定部2110は、大小比較部2109からの比較結果C1と、符号比較部128からの符号比較結果C2とに基づいて、現在決めようとしているシンボルを判定し、復号データD20として出力する。
図13に判定部2110の構成例を示す。図13において、判定部2110は、NOT素子2501、切替スイッチ2502、データ値決定部2503、及び切替スイッチ2504を備えて構成される。
NOT素子2501は、第2のデータ保持部127から入力されるデータを反転し、切替スイッチ2502へ出力する。切替スイッチ2502は、データ制御部2111からの指示に従って、R1又はR2の反転データから一方を選んで切替スイッチ2504へ出力する。具体的には、切替スイッチ2502は、初回送信時にはR1を選択し、再送時にはR2の反転データを選択する。
データ値決定部2503は、符号比較部128からの比較結果C2に応じて、R1又はR2の反転データから一方を選んで切替スイッチ2504に出力する。具体的には、比較結果C2がR1≠R2を示す場合、データ値決定部2503は、R1を切替スイッチ2504に出力する。一方、比較結果C2がR1=R2を示す場合、データ値決定部2503は、大小比較部2109の比較結果C1に基づいて、R1かR2の反転データかどちらか一方を選択する。具体的には、データ値決定部2503は、比較結果C1が第1の相関値が第2の相関値未満を示す場合(C1=0)、R1を切替スイッチ2504に出力し、比較結果C1が第1の相関値が第2の相関値以上を示す場合(C1=1)、R2の反転データを切替スイッチ2504に出力する。
図14に、この場合のデータ値決定部2503の論理表を示す。切替スイッチ2504は、データ制御部2111からの指示に従って、切替スイッチ2502からの入力か、データ値決定部2503からの入力か、どちらか一方を選んで、復号データD20として出力する。
以下、上述のように構成された受信部120Cの動作について、主に符号決定部2102の動作を中心に説明する。
[受信動作]
初回送信時に受信データR1を受信すると、符号決定部2102の切替スイッチ2106は、ADコンバータ2104の出力に含まれる第1の受信データの遅延推定系列(遅延推定サンプル値)を第1の相関器2107へ順次出力して第1の相関器2107に保持させる。誤り検出部2103は、第1のデータ保持部126から第1の受信データR1を取り出し、R1に含まれるフレームチェックシーケンスを使って誤り検出を行ない、誤り検出結果をデータ制御部2111に出力する。
誤りが検出されなかった場合、データ制御部2111は、R1をそのまま復号データD20として出力するよう、判定部2110に指示する。
誤りが検出された場合、データ制御部2111は、第1の端末100に対し、送信データT1を再送させるよう、再送制御信号D3を第1の端末100に通知する。さらに、データ制御部2111は、再送制御信号D3を切替スイッチ125に出力し、切替スイッチ125は、2値化部2105の出力の保存先を第2のデータ保持部127に切り替える。また、切替スイッチ2106は、ADコンバータ2104の出力の保存先を第2の相関器2108に切り替える。実施の形態1と同様に、再送制御信号D3を受信アンテナ121を介して受信した第1の端末100は、上述したマッピング部112、パルス変調器113、増幅器114、フィルタ115および送信アンテナ116の一連の処理により、送信データT1に対する符号を反転したパルスを第2の端末200に再送する。
再送時に受信データR2を受信すると、符号決定部2102の切替スイッチ2106は、ADコンバータ2104の出力に含まれる第2の受信データの遅延推定系列(遅延推定サンプル値)を第2の相関器2108へ順次出力して第2の相関器2108に保持させる。誤り検出部2103は、第2のデータ保持部127から第2の受信データR2を取り出し、R2に含まれるフレームチェックシーケンスを使って誤り検出を行ない、誤り有無の判定結果をデータ制御部2111に出力する。
誤りが検出されなかった場合、データ制御部2111は、R2を反転させたデータを、復号データD20として出力するよう、判定部2110に指示する。
誤りが検出された場合、データ制御部2111は、後述の符号決定動作を実行するよう、判定部2110に指示する。
[符号決定動作]
以下、判定部2110の符号決定動作について図面を参照しながら説明する。図15は、初回送信時の送信データT1及び再送送信時の送信データT2の構成例を示す図である。
図15に示すように、送信データT1及びT2は、フレーム同期を取るための同期パターンと、同期パターンの信号が遅延推定シンボルに重畳しないためのガードシンボル(すべてゼロ)と、遅延推定シンボル(インパルス信号)と、データと、データの誤り検出を行なうためのフレームチェックシーケンスから構成される。同期パターン、ガードシンボル、及び遅延推定シンボルに関しては、T1とT2とは同じである。データに関しては、T1とT2とは互いに反転した関係になっている。フレームチェックシーケンスはデータの誤り検出を行なうためのものであるので、T1とT2とで当然異なっている。
なお、ガードシンボル長及び遅延推定シンボル長は、本実施の形態を適用する無線伝送路における直接波と遅延波との到達時間差が、ガードシンボル長及び遅延推定シンボル長の両方を越えないように決定されているものとする。
以下では、伝送路上で直接波の他に2つの遅延波が生じる場合を例に説明する。図16に、この場合のADコンバータ2104の出力波形の様子を示す。受信部120Cが遅延推定シンボルを受信すると、図16に示すように、ADコンバータ2104の出力には、直接波に対し遅延時間DT1だけ遅れたタイミングで第1の遅延波が現れ、さらに、直接波に対し遅延時間DT2だけ遅れたタイミングで第2の遅延波が現れる。したがって、遅延推定保持部2201−1、2201−2が、ADコンバータ2104の出力を順次取り込む事で、直接波が届いてから遅延波が届くまでの時間(シンボル時間精度)に該当する位置に、遅延波の信号レベルが保持されるようになる。このようにして、遅延推定保持部2201−1、2201−2に、遅延推定サンプル値が保持される。
一例として、図17に、遅延推定シンボル長が6シンボルの場合の遅延波の到来タイミングを示す。以下では、遅延波が、直接波から2シンボル遅れで届く成分(遅延波1)と、4シンボル遅れで届く成分(遅延波2)との2つの成分からなる場合を例に説明する。
図17Aに、ADコンバータ2104の出力信号のうち、初回送信時の遅延推定シンボルについての受信結果のみを示す。また、図17Bには、再送時の遅延推定シンボルについての受信結果のみを示す。本実施の形態では、初回送信時と再送時とで、無線伝送路の空間的な配置状況が変化しないものと仮定とする。よって、遅延波のレベル及び到着時間が変化しない。
同図中、縦軸は、遅延推定系列のシンボル時間単位ごとの受信レベルを表している。また、初回送信時の遅延推定系列{X1(1)、X1(2)、X1(3)、X1(4)、X1(5)}において、X1(1)は直接波の直後のシンボルの受信レベルを表し、X1(2)は直接波の2シンボル後の受信レベルを表している。なお、かっこ()内の数字は、直接波を基準(ゼロ)としたときの遅延波の遅れ時間をシンボル単位で表している。再送時の遅延推定系列{X2(1)、X2(2)、X2(3)、X2(4)、X2(5)}についても同様である。したがって、図17において「遅延波1」の受信レベルはX1(2)及びX2(2)で表され、「遅延波2」の受信レベルはX1(4)及びX2(4)で表される。ここで、遅延推定系列長が5シンボルになっているのは、遅延推定系列には直接波の信号(X1(0)、X2(0))が含まれないからである。本例では、遅延推定シンボル長が6シンボルであるから、直接波を差し引いた残りの5シンボルが遅延推定系列長となる。
図18Aにおいて、T1データ(DT1(i))は、初回送信時の送信データであり、R1データ(DR1(i))は、初回送信時の受信データである。また、図18Bにおいて、T2データ(DT2(i))は、再送時の送信データであり、R2データ(DR2(i))は、再送時の受信データである。かっこ()を付けた標記、例えばDT1(i)はDT1のかっこ{}内に示したシンボル値のうち、左からi番目のシンボル値を表すものとする。また、図18は、遅延推定系列長が5シンボルの場合の例であるため、iは1以上5以下の整数とする。
実施の形態1で1シンボル遅れの遅延波を仮定していたのと異なり、本実施の形態では、2シンボル遅れと4シンボル遅れの2成分からなる遅延波を仮定しているため、誤りの発生状況が異なる。つまり、初回受信時においては、送信データDT1(1)=1の遅延波の影響により、送信データDT1(3)=0が受信データDR1(3)=1に変化し、誤りが発生する。また、再送受信時においては、DT2(2)の遅延波の影響により、DT2(4)=0がDR2(4)=1に変化し、DT2(3)の遅延波の影響により、DT2(5)=0がDR2(5)=1に変化し、それぞれ誤りが発生する。図18の初回受信時の受信データDR1(i)及び再送受信時の受信データDR2(i)のうち、斜線による網がけされたシンボル位置で誤りが発生している。このとき、符号比較部128の出力C2は、1、2シンボル目ではHighレベルとなって誤りが起きていないことを示し、3〜5シンボル目がLowレベルとなって誤りが起きていることを示す。
第1の相関器2107の中のデータ保持部2202−1のメモリ長は、遅延推定系列長(遅延推定シンボル長さから1を引いた長さ)であり、データ保持部2202−1は、判定部2110から入力される復号データD20を最初にM1(1)に格納する。データ保持部2202−1は、シフトレジスタ構成を採り、シンボル時間ごとに、M1(1)からM1(2)へ、M1(2)からM1(3)へというように、保持データを順番にシフトする(かっこ()内の数字の昇順にシフトするものとする)。
第2の相関器2108の中のデータ保持部2202−2も同様に、シフトレジスタ構成を採る。ただし、第2の相関器2108の中のデータ保持部2202−2へは、判定部2110から復号データD20が直接入力されるのではなく、NOT素子2112により反転された復号データD20が入力される点が異なっている。
なお、データ保持部2202−1,2202−2の値は、フレームが受信された時点ですべて0に初期化され、M1={M1(1),M1(2),M1(3),M1(4),M1(5)}={0,0,0,0,0}、M2={M2(1),M2(2),M2(3),M2(4),M2(5)}={0,0,0,0,0}となる。ここでかっこ()内の値は、シンボル時間ではなく、シフトレジスタを構成している各レジスタの順番を表している。以下の説明では、M1、M2の各シフトレジスタ値を上記のように横書きで標記し、図19A、図19Bに、シフトレジスタ値M1(1)〜M1(5)、M2(1)〜M2(5)を縦に並べて図示する。
第1の相関器2107は、式(1)に基づいて、推定遅延保持部2201−1の遅延推定系列X1と、データ保持部2202−1の値M1との積和演算を行ない、得られた積和演算結果を大小比較部2109に出力する。
同様に、第2の相関器2108は、式(2)に基づいて、推定遅延保持部2201−2の遅延推定系列X2と、データ保持部2202−2の値M2との積和演算を行ない、得られた積和演算結果を大小比較部2109に出力する。
図20(a)、(b)に、式(1)及び式(2)より得られた積和演算結果の時間的変動の様子を示す。上述したように、初回送信時の1シンボル目のオンパルス信号(DT1(1)=1)に対する遅延波は、3シンボル目に到着する。一方、再送時の1シンボル目はオフパルス信号(DT2(1)=0)であるため、3シンボル目には遅延波は到着しない。したがって、3シンボル目で、初回受信時の受信データDR1(3)及び再送受信時のDR2(3)いずれもがオンパルス信号と判定された場合に、初回受信時の3シンボル目で受信データDR1(3)=1と判定されたのは、1シンボル目に送信されたオンパルス信号(DT1(1)=1)の遅延波1が到来したためである。一方、再送受信時の3シンボル目は遅延波の影響を受けず、再送受信時に3シンボル目で受信データDR2(3)=1と判定されたのは、3シンボル目の再送データDT2(3)=1そのものによる。
このとき、式(1)より算出される相関値は、図20(a)、(b)にも示されるように、式(2)より算出される相関値に比べ大きい値となる。すわなち、式(1)、(2)によって得られる積和演算結果は、過去のオンパルス信号の遅延波が現在のシンボル位置に及ぼす影響の大きさを示しているといえる。換言すると、積和演算結果が大きいほど、過去のオンパルス信号の遅延波の影響を受けて現在のシンボルをオンパルス信号と誤判定する可能性が強いといえる。
このように、オンオフキーイング変調方式では、過去のオンパルス信号の遅延波の影響により誤判定が生じやすいという点に着目し、本実施の形態では、遅延プロファイルを示す遅延推定系列と過去の復号データとの相関値と、遅延推定系列と過去の復号データの符号反転データとの相関値とに基づいて、判定部2110がデータ判定を行うようにした。以下、具体例を用いながら、判定部2110のデータ判定手順について説明する。
[データ判定手順]
(1)1シンボル目のデータ判定
1シンボル目では、第12107のデータ保持部2202−1の値M1、及び第2の相関器2108のデータ保持部2202−2の値M2は、すべて「0」に初期化される。本実施の形態では、適用される無線伝送路の直接波と遅延波との到達時間差が遅延推定シンボル長を越えないように、遅延推定シンボル長が決められていて、かつ遅延推定シンボルの2ビット目以降はすべて0であるから、1シンボル目に関しては、遅延波の影響に起因する誤りは生じない。このとき、符号比較出力C2は、誤りが無いことを示すHighとなるので、R1のそのままの値、すなわちDR1(1)=1が、復号データD20と判定される。
(2)2シンボル目のデータ判定
第1の相関器2107のデータ保持部2202−1には1シンボル目の復号データD20の値「1」が入力され、M1={0,0,0,0,0}がM1={1,0,0,0,0}に変化する。第2の相関器2108のデータ保持部2202−2には1シンボル目の復号データD20を反転させた値「0」が入力されるので、M2の値は変化しない。一般に2シンボル目からは、遅延波により誤りが生じる可能性があるものの、本実施の形態では最初の遅延波1が2シンボル遅れで到着するので、遅延波に起因する誤りはまだ生じない。このとき、符号比較出力C2は、誤りが無いことを示すHighとなるので、R1のそのままの値、すなわちDR1(2)=0が、復号データD20と判定される。
(3)3シンボル目のデータ判定
第1の相関器2107のデータ保持部2202−1には2シンボル目の復号データD20の値「0」が入力され、M1={1,0,0,0,0}がM1={0,1,0,0,0}に変化する。第2の相関器2108のデータ保持部2202−2には2シンボル目の復号データD20を反転させた値「1」が入力され、M2={0,0,0,0,0}がM2={1,0,0,0,0}に変化する。
3シンボル目では、図18Aにおいて斜線網がけで示したように、遅延波の影響により、送信データDT1(3)=0が受信データDR1(3)=1に変化し、誤りが生じている。このとき、符号比較部128の出力C2はLowとなるので、復号データD20は、R1そのままの値ではなく、大小比較部2109の比較結果C1に応じて、データ値判定が行なわれる。
このとき、第1の相関器2107の出力レベルは、式(1)よりX1(2)に等しく、第2の相関器2108の出力レベルは、式(2)より0となる。第1の相関器2107の出力レベルに比べ、第2の相関器2108の出力レベルのほうが小さいので、大小比較部2109の出力結果C1は1となる。したがって、判定部2110は、初回受信時の値DR1(3)よりも再送受信時の値DR2(3)の信頼性が高いとみなし、図14の論理表に示すように、DR2(3)=1を反転させた値「0」を3シンボル目の復号データD20と判定する。
(4)4シンボル目のデータ判定
第1の相関器2107のデータ保持部2202−1には3シンボル目の復号データD20の値「0」が入力され、M1={0,1,0,0,0}がM1={0,0,1,0,0}に変化する。第2の相関器2108のデータ保持部2202−2には3シンボル目の復号データD20を反転させた値「1」が入力され、M2={1,0,0,0,0}がM2={1,1,0,0,0}に変化する。
4シンボル目では、図18Bにおいて斜線網がけで示したように、遅延波の影響により、送信データDT2(4)=0が受信データDR2(4)=1に変化し、誤りが生じている。このとき、符号比較部128の出力C2はLowとなるので、復号データD20は、R1そのままの値でなく、大小比較部2109の比較結果C1に応じて、データ値判定が行なわれる。
このとき、第1の相関器2107の出力レベルは、式(1)より0に等しく、第2の相関器2108の出力レベルは、式(2)よりX2(2)となる。第1の相関器2107の出力レベルに比べ、第2の相関器2108の出力レベルのほうが大きいので、大小比較部2109の出力結果C1は0となる。したがって、判定部2110は、再送受信時の値DR2(4)よりも初回受信時の値DR1(4)の信頼性が高いとみなし、図14の論理表に示すように、DR1(4)=1を復号データD20と判定する。
(5)5シンボル目のデータ判定
第1の相関器2107のデータ保持部2202−1には4シンボル目の復号データD20の値「1」が入力され、M1={0,0,1,0,0}がM1={1,0,0,1,0}に変化する。第2の相関器2108のデータ保持部2202−2には4シンボル目の復号データD20を反転させた値「0」が入力され、M2={1,1,0,0,0}がM2={0,1,1,0,0}に変化する。
5シンボル目では、図18Bで再送受信時のR2データの斜線網がけで示したように、遅延波の影響により、送信データDT2(5)=0が受信データDR2(5)=1に変化し、誤りが生じている。このとき、符号比較部128の出力C2はLowとなるので、復号データD20は、R1そのままの値でなく、大小比較部2109の出力C1に応じて、データ値判定が行なわれる。
このとき第1の相関器2107の出力レベルは、式(1)より、X1(4)に等しく、第2の相関器2108の出力レベルは、式(2)よりX2(2)となる。第1の相関器2107の出力レベルに比べ、第2の相関器2108の出力レベルのほうが大きいので、大小比較部2109の出力結果C1は0となる。したがって、判定部2110は、図14の論理表に示すように、再送時の値DR2(5)よりも初回の値DR1(5)の信頼性が高いとみなし、判定部2110は、DR1(5)=1を復号データD20として出力する。
以上のように、本実施の形態によれば、オンオフキーイング変調方式では、過去のオンパルス信号の遅延波の影響により誤判定が生じやすい点に着目し、符号誤りが検出された場合に、過去の復号データD20と遅延プロファイルとの相関演算値と、過去の復号データD20の反転データと遅延プロファイルとの相関演算値との比較結果に応じて、符号誤りが検出された位置でのシンボルがオンパルス信号又はオフパルス信号のどちらの可能性が高いか判定するようにした。このように、本実施の形態では、過去のオンパルス信号の遅延波が判定位置に及ぼす影響を過去のオンパルス信号と遅延プロファイルとの相関値の大きさに基づいて判定し、遅延波により誤判定された検波データを排除して、符号誤り検出位置での符号を正しく復号することができる。
なお、図10では、C2が符号比較部128から出力されるとして説明したが、C2の値に応じて誤り検出の有無が分かるので、誤り検出部2103から誤り検出の有無に応じて、判定部2110が動作するようにしてもよい。
また、判定部2110は、切替スイッチ2502、2504を備える構成として説明したが、データ値決定部2503が、データ制御部2111の指示に応じて、復号データD20として、R1又はR2の反転データのどちらか一方を選択するようにしてもよい。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1から実施の形態3に基づいたARQ(Automatic Repeat reQuest)の方法の一例について詳しく説明する。
図21は、本実施の形態における1フレームのフレーム構成の一例を示している。図21において、1フレームは、制御情報シンボル301、チャネル推定シンボル302、及びデータシンボル303から構成される。制御情報シンボル301は、例えば、送信相手先(以降では、後述の第2の端末に相当する。)の情報、データ長、再送データである否かの情報、再送回数など、通信を成立させるために送信するデータ以外の情報シンボルである。チャネル推定シンボル302は、通信相手の端末が、フェージング、マルチパスにより変動する電波伝搬環境を推定するためのシンボルである。データシンボル303は、図21に示すように、データと誤りを検出するためのCRC(Cyclic Redundancy Check)とから形成される系列を誤り訂正符号化した符号化後のデータシンボルである。
図22は、本実施の形態における第1の端末400の構成の一例を示すブロック図である。通信相手からの送信信号を受信アンテナ417で受信し、受信装置419は、受信アンテナ417で受信した受信信号418を入力とし、復調し、受信データ420を出力する。
再送要求検出部421は、受信データ420を入力とし、通信相手が、再送要求を行っているか否かの情報を抽出し、再送要求情報422として出力する。
フレーム構成信号生成部423は、再送要求情報422を入力とし、再送を行うかどうか、の情報を含むフレーム構成に関する情報(以下「フレーム構成信号」ともいう)424を出力する。
付加情報生成部425は、フレーム構成信号424を入力とし、図21のデータシンボル303を除く付加情報シンボルの情報426を生成し、付加情報シンボルの情報426をマッピング部410に出力する。
符号化部402は、CRCを含むデータ401、フレーム構成信号424を入力とし、例えば、畳み込み符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号、ターボ符号などのいずれかの符号化を行い、符号化後のデータ403を出力する。
データ蓄積部404は、符号化後のデータ403を入力とし、データを蓄積し、必要な場合、蓄積データ405を出力する。
反転部406は、蓄積データ405を入力とし、ビットを反転、つまり、入力ビットが「0」の場合「1」とし、入力ビットが「1」の場合「0」とするというように、反転データ407を出力する。
データ選択部408は、符号化後のデータ403、蓄積データ405、反転データ407、及びフレーム構成信号424を入力とし、フレーム構成信号424に応じて、符号化後のデータ403、蓄積データ405、反転データ407のいずれかを選択し、選択データ409として出力する。なお、データ選択部408の動作については、後に詳述する。
マッピング部410は、選択データ409、付加情報シンボルの情報426、及びフレーム構成信号424を入力とし、図21のフレーム構成にしたがい、マッピング後の信号411を出力する。
パルス変調器412は、マッピング後の信号411を入力とし、パルス変調信号413を出力する。増幅器414は、パルス変調信号413を入力とし、増幅し、増幅されたパルス変調信号415を出力する。増幅された変調信号415は、送信アンテナ416から電波として出力される。
図23は、図22の第1の端末400の通信相手である第2の端末500の構成の一例を示すブロック図である。フィルタ503は、受信アンテナ501で受信した受信信号502を入力とし、帯域制限を行い、帯域制限後の受信信号504を対数尤度比演算部505、チャネル推定部507、及び制御情報検出部509に出力する。
チャネル推定部507は、帯域制限後の受信信号504を入力とし、図21のチャネル推定シンボル302を抽出し、チャネル推定を行い、得られたチャネル推定信号508を対数尤度比演算部505に出力する。
制御情報検出部509は、帯域制限後の受信信号504を入力とし、図21の制御情報シンボル301を抽出し、検波を行い(符号化されていた場合は復号も行い)、再送であるか否かの情報や再送回数の情報を、制御情報510として選択部513に出力する。
対数尤度比演算部505は、帯域制限後の受信信号504、及びチャネル推定信号508を入力とし、対数尤度比(LLR:Log Likelihood Ratio)を算出し(非特許文献1及び非特許文献2参照)、得られた対数尤度比506を乗算部511及び選択部513に出力する。対数尤度比506については、後に、図26を用いて説明する。
乗算部511は、対数尤度比506を入力とし、対数尤度比506に(−1)を乗算し、乗算後の値を対数尤度比512として選択部513に出力する。
選択部513は、対数尤度比506、512、及び制御情報510を入力とし、制御情報510に含まれる再送であるかどうかの情報、再送回数の情報をもとに、対数尤度比506、512のいずれか一方を選択し、対数尤度比514として出力する。選択動作については、図25、図26を用いて後述する。
加算部515は、選択された対数尤度比514、記憶されている対数尤度比518、及び制御情報510を入力とし、制御情報510に含まれる再送であるかどうかの情報に基づき、制御情報510が再送でないことを示す場合は、選択された対数尤度比514を対数尤度比516として復号部519に出力する。一方、制御情報510が再送であることを示す場合は、加算部515は、選択された対数尤度比514と、記憶されている対数尤度比518とを加算し、加算後の対数尤度比を対数尤度比516として復号部519に出力する。
復号部519は、対数尤度比516を入力とし、復号を行い、受信データ520を取得する。
フレームエラー判定部521は、受信データ520を入力とし、CRCチェックを行い、送信された1フレームのデータ(図21参照)に誤りがあるかどうかを判定し、判定結果をフレームエラー有無情報522として再送要求部523に出力する。
再送要求部523は、フレームエラー有無情報522を入力とし、通信相手(第1の端末400)に対し、再送要求するか否か判断し、判断結果を再送要求情報524としてデータ生成部526に出力する。
データ生成部526は、再送要求情報524とデータ525とを入力とし、送信データ527を生成し、送信データを送信装置528に出力する。
送信装置528は、送信データ527を入力とし、後述する図24に示すフレーム構成にしたがった変調信号529を生成し、変調信号529をアンテナ530を介して電波として出力する。
図24は、図23の第2の端末500が送信する変調信号の1フレームの構成の一例を示している。図24において、1フレームは、チャネル推定シンボル601、データシンボル602、及び再送要求情報シンボル603から構成される。チャネル推定シンボル601は、通信相手が、伝搬環境の変動を推定するためのシンボルであり、例えば、通信相手が既知である信号とする。データシンボル602は、情報データを送信するためのシンボルであり、再送要求情報シンボル603は、通信相手に再送要求の有無を通知するためのシンボルである。制御情報シンボル604は、例えば、送信相手先の情報、データ長、再送のデータであるのかどうかの情報、再送回数など、通信を成立させるために送信するデータ以外の情報シンボルである。
以下、上述のように構成された第1の端末400と第2の端末500の動作について図25を参照しながら説明する。図25は、第1の端末400及び第2の端末500のデータの流れの一例を示す図である。
図25(1):初めに、第1の端末400は図21のフレーム構成にしたがったフレーム#1の変調信号を送信する。このとき、送信データは、再送データではないので、データ選択部408において、符号化後のデータ403が選択データ409として選択される。
図25(2):第2の端末500は、フレーム#1の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生しなかったので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行わない。
図25(3):第1の端末400は、フレーム#2の変調信号を送信する。送信データは再送データではなく、図21のデータ系列304が送信される。
図25(4):第2の端末500は、フレーム#2の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図25(5):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#2で送信されたデータに相当するフレーム#2’を送信する。ここで、フレーム#2’の意味について説明する。図25(3)では、図21のデータ系列304が送信されている。そこで、フレーム#2’として、データ系列304のビット反転データである図21のデータ系列305が送信される。つまり、データ選択部408では、選択データ409として反転データ407が選択される。図21のデータ系列305は、図22の反転部406において反転データ407として生成される。
図25(6):第2の端末500は、フレーム#2’の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生しなかったので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行わない。
図25(7):第1の端末400は、フレーム#3の変調信号を送信する。送信データは再送データではなく、図21のデータ系列304が送信される。
図25(8):第2の端末500は、フレーム#3の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図25(9):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#3で送信されたデータに相当するフレーム#3’を送信する。ここで、フレーム#3’の意味について説明する。図25(7)では、図21のデータ系列304が送信されている。そこで、フレーム#3’として、データ系列304のビット反転データである図21のデータ系列305が送信される。つまり、データ選択部408では、選択データ409として反転データ407が選択される。図21のデータ系列305は、図22の反転部406において反転データ407として生成される。
図25(10):第2の端末500は、フレーム#3’の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図25(11):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#3で送信されたデータに相当するフレーム#3を送信する。つまり、第1の端末400は、図25(7)と同様のフレーム構成を送信する。したがって、データ選択部408では、選択データ409として符号化後のデータ403が選択される。
図25(12):第2の端末500は、フレーム#3の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図25(13):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#3で送信されたデータに相当するフレーム#3’を送信する。つまり、第1の端末400は、図25(9)と同様のフレーム構成を送信する。したがって、データ選択部408では、選択データ409として反転データ407が選択される
ここで、重要な点は、1回目の再送において、反転データを送信している点である。このように、本実施の形態では、1回目の再送において、反転データを送信することにより、受信側において、オリジナルデータに対する尤度と、オリジナルデータの符号反転データに対する対数尤度比を取得することができ、これら対数尤度比を用いて軟判定を行っている。この結果、遅延波による符号間干渉の影響を軽減することができるので、受信品質を向上させるという効果を得ることができる。なお、上述した説明では、2回目以降の再送では、反転データと初期送信時の送信データを交互に再送する例について説明したが、これに限ったものではない。ただし、遅延波の影響を軽減しつつ、受信品質を効率よく向上させるには、交互に送信する方が好適である。
以降では、軟判定を用いたときの受信品質の向上の効果について、図26を用いて補足説明する。
図26は、受信状態のイメージを、横軸時間、縦軸振幅として示している。図26Aは、初回送信時の受信信号波形を示す図である。初回送信時とは、図25(7)のように再送でないデータを送信する場合をいう。図26Aは、初回送信時のデータ系列が、時刻(i−1)で「0」、時刻iで「1」、時刻(i+1)で「1」、時刻(i+2)で「0」の場合の例である。
図26において、Ampは「1」の推定振幅レベル701の値を示す。このAmpの値は、受信装置419において、図21のチャネル推定シンボル302により推定される。また、同図において、0は「0」の推定振幅レベル702の値を示す。
また、同図において、信号703_aは、受信信号の波形を示している。ユークリッド距離704_aは、受信値と「0」の推定振幅レベル702とのユークリッド距離を示している。以下、時刻tにおける受信値と「0」の推定振幅レベル702とのユークリッド距離をE0(t)で表す。また、ユークリッド距離705_aは、受信値と「1」の推定振幅レベル701とのユークリッド距離を示している。時刻tにおける受信値と「1」の推定振幅レベル701とのユークリッド距離をE1(t)で表す。
このとき、時刻tにおける対数尤度比LLR
f(t)は式(3)のように表される。
ここで、σ
2はノイズの分散であり、受信装置419において既知の値である。
図26Bは、例として、図25(9)のように、1回目の再送時の受信信号波形を示している。1回目の再送時には、反転データが送信されることから、図26Bは、再送時のデータ系列が、時刻(i−1)で「1」、時刻iで「0」、時刻(i+1)で「0」、時刻(i+2)で「1」の場合の例である。
図26Bにおいて、信号703_bは、受信信号の波形を示している。ユークリッド距離704_bは、受信値と「0」の推定振幅レベル702とのユークリッド距離を示している。以下、時刻tにおける受信値と「0」の推定振幅レベル702とのユークリッド距離をEARQ,0(t)で表す。また、ユークリッド距離705_bは、受信値と「1」の推定振幅レベル701とのユークリッド距離を示している。時刻tにおける受信値と「1」の推定振幅レベル701とのユークリッド距離をEARQ,1(t)で表す。
このとき、時刻tにおける対数尤度比LLR
ARQ,1(t)は式(4)のようにあらわされる。
ここで、σ2はノイズの分散であり、受信装置419において既知の値である。
そして、初回受信時に得られる式(3)のLLRと1回目の再送受信時に得られる式(4)を利用し、式(5)を求める。
式(5)で、LLR
f(t)にLLR
ARQ,1(t)を加算(+)するのでなく、LLR
f(t)からLLR
ARQ,1(t)を減算(−)しているのは、1回目の再送時に、初回送信時の送信データに対する反転ビットを送信しているためである。つまり、式(5)を用いる上で重要なのは、LLR
f(t)とLLR
ARQ,1(t)とは、反転関係にある対数尤度比でなくてはならない点である。「反転関係にある対数尤度比」とは、データ#Aにおける対数尤度比をLLR
f(t)とした場合、LLR
ARQ,1(t)は、データ#Aの反転データを受信した際に求めた対数尤度比であることを意味する。このように、加算部515では、式(5)を用いて、復号部519で用いられる対数尤度比516が算出される。
上述したように、本実施の形態では、初回送信時に「0」が送信された場合、再送時には反転データとして「1」が送信されるので、再送受信時には「1」に近いことを示す対数尤度比が確実に大きくなると予想される。したがって、初回送信時に「0」が送信されたにもかかわらず、遅延波の影響により対数尤度比が「1」に近いことを示すような場合であっても、遅延波の影響により誤判定される可能性が高い対数尤度比(式(3))から、「1」に近いことを示す対数尤度比(式(4))を減算することで、減算後の対数尤度比(式(5))は、「1」に近いことを示す度合いが減ることになる。このように、初回受信時の対数尤度比(式(3))をそのまま用いて復号するのに比べ、再送受信時の対数尤度比を加味した対数尤度比(式(5))を用いることにより、遅延波の影響を受けて「1」と誤判定される状況を回避することができるようになる。
また、このようにすると、初回送信時又は再送時のどちらかでは必ず「1」が送信されるので、すべての時刻tにおいて信頼性が高い対数尤度比を得ることができるので、遅延波の影響を確実に軽減し、符号間干渉の影響を緩和して、受信品質を向上させることができる。
以下では、上述の動作を、図23及び図25のデータの流れに関連づけて説明する。
1.初回受信時の場合(図25(1)、(3)、(7))
初回受信時には、選択部513は、対数尤度比514として対数尤度比506を選択し、選択した対数尤度比514を加算部515に出力する。加算部515は、加算動作を行わず、対数尤度比514を対数尤度比516として復号部519に出力する。記憶部517は、この対数尤度比516を入力とし、記憶する。
2.1回目の再送受信時の場合(図25(5)、(9))
1回目の再送受信時には、選択部513は、対数尤度比514として乗算後の対数尤度比512を選択し、選択した対数尤度比514を加算部515に出力する。加算部515は、記憶部517に記憶されている対数尤度比515から対数尤度比514を加算し、対数尤度比516として復号部519に出力する。つまり、加算部515は、式(5)に基づいて対数尤度比を算出する。
3.2回目以降の再送受信時の場合(図25(11)、(13))
図25(11)のように2回目の再送時に、復号部519に入力される対数尤度比LLR
2は、式(6)のように表される。
ここで、LLR
ARQ,2は、2回目の再送時に求めた対数尤度比である。
同様に、図25(13)のように3回目の再送時に、復号部519に入力される対数尤度比LLR
3は、式(7)のように表される。
ここで、LLR
ARQ,3は、3回目の再送時に求めた対数尤度比である。
以上のように、本実施の形態では、特に、反転ビット送信を用いたARQ方式について説明を行った。第1の端末400は、オンオフキーキング変調された第1のパルス信号列と、自動再送要求時に、当該第1のパルス信号列を符号反転させた第2のパルス信号列を生成し、当該第1及び第2のパルス信号を送信し、第2の端末500は、オンオフキーイング変調された第1のパルス信号列と、当該第1のパルス信号列を符号反転させた第2のパルス信号列を受信し、受信した第1及び第2のパルス信号列の対数尤度比を算出し、第2のパルス信号列を受信した場合に、第1及び第2の対数尤度比に基づいて第1及び第2のパルス信号を復号するようにした。これにより、遅延波の影響により、第1のパルス信号列の対数尤度比のみを用いて復号した場合には、オフパルス信号をオンパルス信号と誤判定してしまうような状況においても、第1のパルス信号列の反転データである第2のパルス信号列の対数尤度比を加味して復号することにより、遅延波の影響を確実に軽減し、符号間干渉の影響を緩和して、受信品質を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、Stop-and-Wait方式の再送方法を例に説明したが、これに限ったものではなく、伝送誤りなどにより、相手に届かなかったフレームのみ選択的に再送する伝送方式、つまり、選択的再送方式においても同様に実施することができる。選択的再送方式の詳細については、非特許文献3に示されている。本実施の形態で重要な点は、再送時に、初回送信時にデータ系列のビット反転データ系列を送信することである。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5とハイブリッドARQとの併用方式について詳しく説明する。ハイブリッドARQ方式については、非特許文献4に示されている。
誤り訂正符号化が施される元のデータ系列をオリジナル系列とし、誤り訂正符号化を行った際に発生した冗長なデータ(パンクチャデータ)をパリティ系列とする。ハイブリッドARQ方式では、まず、オリジナル系列を送信し、通信相手から、再送の要求があった場合、再送データとして、パリティ系列含む系列を送信する。誤り訂正符号のパンクチャデータ(冗長なデータ)の生成方法については、例えば、非特許文献5に詳細が示されている。さらに、ハイブリッドARQ方式では、再送されるパリティ系列を含む系列を用いてオリジナル系列を復調し、この再送受信時に復調されたオリジナル系列と、初回受信時に復調されたオリジナル系列とに基づいて最終的なオリジナル系列を復調する。
本実施の形態に係る第1の端末400及び第2の端末500の構成は、図22及び図23と同様であるため説明を省略する。
以下、本実施の形態における第1の端末400と第2の端末500の動作について図27を参照しながら説明する。図27は、本実施の形態における第1の端末400及び第2の端末500のデータの流れの一例を示している。
図27(1):初めに、第1の端末400は図21のフレーム構成にしたがったフレーム#1の変調信号を送信する。このとき、送信データは、再送データではないので、データ選択部408において、符号化後のデータ403が選択データ409として選択される。なお、送信データは、上記で説明したオリジナル系列である。
図27(2):第2の端末500は、フレーム#1の信号を受信し、オリジナル系列を復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生しなかったので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行わない。
図27(3):第1の端末400は、フレーム#2の変調信号を送信する。送信データは再送データではなく、上記で説明したオリジナル系列である。つまり、このとき、図21のデータ系列304が送信されるものとする。
図27(4):第2の端末500は、フレーム#2の信号を受信し、復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図27(5):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#2で送信されたデータを符号化する際に発生したパンクチャデータ(冗長なデータ)を含むフレーム#2Pを送信する。
図27(6):第2の端末500は、フレーム#2Pの信号を受信し、フレーム#2を受信して得られたオリジナル系列の対数尤度比とフレーム#2Pを受信して得られたオリジナル系列の対数尤度比を用いてオリジナル系列を復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図27(7):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#2で送信されたデータに相当するフレーム#2’を送信する。ここで、フレーム#2’の意味について説明する。図27(4)では、図21のデータ系列304が送信されている。そこで、フレーム#2’として、データ系列304のビット反転データである図21のデータ系列305が送信される。つまり、データ選択部408では、選択データ409として反転データ407が選択される。図21のデータ系列305は、図22の反転部406において、生成される。また、記憶部404は、オリジナル系列およびパンクチャデータ(冗長なデータ)の双方を記憶しており、必要に応じて、オリジナル系列またはパンクチャデータ(冗長なデータ)のいずれかを出力する。
図27(8):第2の端末500は、フレーム#2を受信して得られたオリジナル系列の対数尤度比、フレーム#2Pを受信して得られたオリジナル系列の対数尤度比、および、フレーム#2’を受信して得られたオリジナル系列の判定符号系列の対数尤度比を用いてオリジナル系列を復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していたので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行う。
図27(9):第1の端末400は、第2の端末500から再送要求があったので、フレーム#2Pで送信されたデータに相当するフレーム#2P’を送信する。ここで、フレーム#2P’の意味について説明する。図27(5)では、フレーム#2Pが送信されている。そこで、フレーム#2P’として、フレーム#2Pのビット反転データが送信される。つまり、データ選択部408では、選択データ409として反転データ407が選択される。
図27(10):第2の端末500は、フレーム#2を受信して得られたオリジナル系列の対数尤度比、フレーム#2Pを受信して得られたオリジナル系列の対数尤度比、フレーム#2’を受信して得られたオリジナル系列の反転符号系列の対数尤度比、および、フレーム#2P’を受信して得られたオリジナル系列の反転符号系列の対数尤度比を用いてオリジナル系列を復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生していなかったので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行わない。
図27(11):第1の端末400は、フレーム#3の変調信号を送信する。なお、送信データは再送データではなく、オリジナル系列である。
図27(12):第2の端末500は、フレーム#3の信号を受信し、オリジナル系列を復調し、CRCチェックを行う。CRCチェックの結果、誤りが発生しなかったので、第2の端末500は、第1の端末400に対し再送要求を行わない。
図27(13):第1の端末400は、フレーム#4の変調信号を送信する。送信データは再送データではなく、オリジナル系列である。
以上のように、本実施の形態では、ハイブリッドARQと実施の形態4とを融合し、第1の端末400は、再送時に、パリティデータ(冗長なデータ)を送信したり、データ(オリジナル系列)のビット反転データを送信したり、パリティデータ(冗長なデータ)のビット反転データを送信したりし、第2の端末500は、オリジナル系列、オリジナル系列の反転データ、パリティ系列、又はパリティ系列の反転データから取得される各対数尤度比を組み合わせて、符号反転前の第1の対数尤度比と、符号反転後の第2の対数尤度比を算出し、この符号反転前と符号反転後の対数尤度比に基づいてオリジナル系列を復号するようにした。このように、再送時に、オリジナル系列やパリティ系列を単に再送するのでなく、符号反転させたオリジナル系列やパリティ系列を送信し、符号反転前と符号反転後に取得される対数尤度比に基づいてオリジナル系列を復号することにより、マルチパス耐性が強くなって、遅延波の影響を軽減し符号間干渉の影響を緩和して、受信品質を向上させることができ、通信相手に的確にデータを伝送することができる。
対数尤度比の組み合わせ方の一例としては、パリティ系列を用いてオリジナル系列の対数尤度比を算出し、当該対数尤度比を用いて、第1のパルス信号列として受信されるオリジナル系列の対数尤度比を補正して、符号反転前の第1の対数尤度比として算出するようにしたり、第1のパルス信号列として受信されるパリティ系列と、第2のパルス信号列として受信される当該パリティ系列の符号反転系列とを用いてオリジナル系列の対数尤度比を始めに算出し、当該対数尤度比を用いて、第1のパルス信号列として受信されるオリジナル系列の対数尤度比を補正して、符号反転前の第1の対数尤度比を算出するなどの組み合わせ方がある。
このように、初回受信時に得られるオリジナル系列の対数尤度比と、再送受信時に得られるオリジナル系列の符号反転系列の対数尤度比と、パリティ系列の対数尤度比と、パリティ系列の符号反転系列の対数尤度比とを、加算又は減算することで、遅延波の影響を確実に軽減し、符号間干渉の影響を緩和して、受信品質を向上させることができる。
なお、図27では、1回目の再送ではパリティデータ(冗長なデータ)、2回目の再送ではデータ(オリジナル系列)のビット反転データ、3回目の再送ではパリティデータ(冗長なデータ)のビット反転データを送信する場合を例に説明したが、順番については図27に示す順番に限られない。
(実施の形態7)
本実施の形態では、マンチェスタ符号を用いたときの軟判定方法、具体的には、対数尤度比の算出方法について詳しく説明する。
実施の形態3と同様に、本実施の形態では、送信データは、マンチェスタ符号により符号化される。例えば、送信データが「0」であれば(10)の符号が割り当てられ、送信データが「1」であれば(01)の符号が割り当てられる。
なお、本実施の形態に係る第1の端末400及び第2の端末500の構成は、図22及び図23と同様であるため説明を省略する。本実施の形態では、第1の端末400の符号化部402は、マンチェスタ符号を用いて符号化する。
図28は、本実施の形態におけるマンチェスタ符号を用いた場合の受信状態のイメージを、横軸時間、縦軸振幅として示している。図28Aは、送信系列が「0」のときの受信信号波形を示す図であり、図28Bは、送信系列が「1」のときの受信信号波形を示す図である。なお、以下では、マンチェスタ符号を用いて、送信系列が「0」のとき(10)を割り当て、送信系列が「1」のとき(01)を割り当てて送信する場合を例に説明する。
図28A、28Bにおいて、信号801は受信波形である。振幅802は推定振幅であり、振幅802の推定振幅値は、受信装置において、図21のチャネル推定シンボル302を検出することにより推定することができる。以下では、振幅802の推定振幅値をAmpとする。振幅803は推定振幅であり、その値は0である。
図28A、28Bにおいて、803_a及び803_bは、それぞれタイムスロットの前半部分の受信値と送信データが「0」の場合の推定振幅レベルとのユークリッド距離を示しており、その値をE0xと表す。また、804_a及び804_bは、タイムスロットの前半部分の受信値と送信データが「1」の場合の推定振幅レベルとのユークリッド距離を示しており、その値をE1xとする。同様に、805_a及び805_bは、タイムスロットの後半部分の受信値と送信データが「0」の場合の推定振幅レベルとのユークリッド距離を示しており、その値をE0yとする。また、806_a及び806_bは、タイムスロットの後半部分の受信値と送信データが「1」の場合の推定振幅レベルとのユークリッド距離を示しており、その値をE1yとする。
本実施の形態では、式(8)の対数尤度比LLRを用いて軟判定により復号結果を取得する。
ここで、σ
2はノイズの分散であり、受信装置419において既知の値である。
式(8)において、分子の第1項及び第2項の和(E1x 2+E1y 2)が大きく、かつ、分子の第3項及び第4項の和(E0x 2+E0y 2)が小さいほど、1ビットのタイムスロットの前半部分にオンパルス信号が割り当てられ、後半部分にオフパルス信号が割り当てられている可能性が高いと考えられる。反対に、式(8)において、分子の第1項及び第2項の和(E1x 2+E1y 2)が小さく、かつ、分子の第3項及び第4項の和(E0x 2+E0y 2)が大きいほど、1ビットのタイムスロットの前半部分にオフパルス信号が割り当てられ、後半部分にオンパルス信号が割り当てられている可能性が高いと考えられる。したがって、タイムスロットの前半及び後半部分の対数尤度比をともに用いて、式(8)により対数尤度比LLRを算出し、得られた対数尤度比を用いてマンチェスタ符号化前の送信データを復号することで、タイムスロットの前半又は後半部分のいずれか一方の対数尤度比を用いて復号する場合に比べ、信頼性が高い復号結果を取得することができる。
このように、本実施の形態では、マンチェスタ符号化を用いる場合に、初回送信時に送信される送信データの反転データを送信せずとも、1ビットのタイムスロット内で、オンパルス信号とオフパルス信号とが対になって送信される特徴を利用する。すわなち、本実施の形態では、式(8)に示すように、符号の前半と後半とで基準レベルを切り替えて(0又はAmp)、受信されたオンオフキーイング変調信号列と基準レベルとのユークリッド距離を用いて、オンパルス信号に近いことを示す第1の対数尤度比とオフパルス信号に近いことを示す第2の対数尤度比とを算出し、得られた第1及び第2の対数尤度比に基づいて符号を復号するようにした。
マルチパスの影響により、本来オフパルス信号である前半部分又は後半部分に遅延波が到着した場合においても、一般に、遅延波のレベルは障害物の影響により直接波のレベルに比べ小さいので、式(8)の対数尤度比LLRを用いることにより、遅延波の影響を軽減して復号することができる。このように、本実施の形態では、再送を伴わずとも、遅延波の影響を軽減することができるので、スループットの低下を抑圧しつつ、信頼性が高い復号結果を取得することができる。
特に、制御情報に対しデータ以上の受信品質を確保することは、通信を成立させるために重要となる。したがって、マンチェスタ符号化を制御情報に対してのみ施して伝送するようにしても良い。
なお、マンチェスタ符号化を用いる場合においても、初回送信時と再送時とで、1ビットのタイムスロット内のオン/オフパルス信号の割り当て方を反転し、上述した実施の形態5、6のARQ方法を用いることも可能である。この場合には、遅延波の影響をより確実に軽減することができる。
なお、上述した実施の形態においては、第1の端末と第2の端末との間の無線通信に用いられるパルスの誤り検出を行う場合について説明したが、例えば、光通信などの分野に用いられるパルスの誤り検出に適用してもよい。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、オンオフキーイング変調された第1のパルス信号列および当該第1のパルス信号列を符号反転させた第2のパルス信号列を受信する受信端と、前記受信端で受信された前記第1のパルス信号列および前記第2パルス信号列に基づいて、第1及び第2の検波データを出力するパルス検波部と、前記パルス検波部から出力された前記第1及び第2の検波データの各符号を比較する符号比較部と、前記符号比較部における比較結果に基づいて、前記各符号の誤りを検出する誤り検出部と、を含む構成を採る。
この構成によれば、符号誤りを検出することができる。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、前記符号比較部は、排他的論理和により前記各検波データの各符号を比較し、前記誤り検出部は、前記符号比較部における排他的論理和が0のときに、当該符号が誤りであると判定する、構成を採る。
この構成によれば、比較的簡易な処理により符号誤りを検出できる。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、前記コンパレータは、異なる値の閾値ごとに前記比較を行い、前記各閾値別の前記各検波データを出力し、前記符号比較部は、前記各閾値別の前記各検波データの各符号を比較し、前記誤り検出部は、前記各閾値別の前記比較結果から、前記各閾値別の前記各符号の誤りを検出する、構成を採る。
この構成によれば、異なる値の閾値ごとの符号比較結果に基づいて符号誤りを検出することができるので、オフパルス信号であるのにもかかわらず閾値が低すぎてオンパルス信号と誤判定されたり、オンパルス信号であるのにもかかわらず閾値が高すぎてオフパルス信号と誤判定されたりする状況を回避しやすくできる。これにより、符号誤り検出精度の劣化を抑圧することができる。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、前記誤り検出部における検出結果があらかじめ設定された条件を満たすまで前記閾値を可変させる制御を行う閾値制御部をさらに含む、構成を採る。
この構成によれば、受信電力が変動するような場合においても、硬判定により検波データを取得する際に用いる閾値を最適な値に設定することができるので、符号誤り検出精度の劣化を抑圧することができる。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、前記受信端で受信される遅延推定用シンボルの遅延プロファイルを取得する遅延プロファイル取得手段と、前記遅延プロファイルと過去の復号データの符号との相関演算を行い第1の相関値として取得し、前記遅延プロファイルと過去の復号データの反転符号との相関演算を行い第2の相関値として取得する相関部と、前記誤り検出部において前記符号誤りが検出された場合、前記第1及び第2の相関値の比較結果に応じて、当該符号誤りが検出された復号データの符号を決定する判定部と、をさらに具備する、構成を採る。
この構成によれば、遅延プロファイルと過去のオンパルス信号との相関値を比較することにより、第1のパルス信号列及び第2のパルス信号列がともにオンパルス信号と検波され符号誤りが検出された場合において、オンパルス信号が過去のオンパルス信号の遅延波によるものかどうか識別することができるので、遅延波により誤判定された検波データを排除して、符号誤り検出位置での符号を正しく復号することができる。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、前記判定部は、前記符号誤りが検出された場合に、前記第1の相関値が前記第2の相関値より小さい場合、前記第1の検波データの符号を復号データの符号とし、前記第1の相関値が前記第2の相関値より大きい場合、前記第2の検波データの反転符号を復号データの符号とする、構成を採る。
この構成によれば、遅延波により誤判定された検波データを排除して、符号誤り検出位置での符号を正しく復号することができる。
本発明の符号誤り検出装置の一つの態様は、オンオフキーイング変調され、かつ符号の中央で極性が反転するマンチェスタ符号により符号化されたパルス信号列を受信する受信端と、前記受信端に受信された前記パルス信号列に基づいて、前記マンチェスタ符号により符号の中央で極性が反転する検波データを出力するパルス検波部と、前記パルス検波部に出力された前記検波データを所定時間遅延させる遅延部と、前記パルス検波部に出力された前記検波データおよび前記遅延部に遅延された前記検波データの各極性を比較する極性比較器と、前記極性比較器における比較の結果から前記各符号の誤りを検出する誤り検出部と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、マンチェスタ符号により1ビットのタイムスロット内で極性が反転するオンパルス信号及びオフパルス信号に基づいて、データ再送に起因するスループットの低下を抑圧しつつ、符号誤りを検出することができる。
本発明の無線システムの一つの態様は、請求項1ないし請求項8に記載の符号誤り検出装置を組み込んだ受信装置と、前記受信装置に送信するパルス信号列をオンオフキーイング変調して送信する構成を採る。
この構成によれば、オンオフキーイング変調信号に対し比較的簡易な方法で符号誤りを検出することができ、符号誤り結果の有無に応じて再送を行って、通信相手に的確にデータを伝送することができる。
本発明の受信装置の一つの態様は、オンオフキーイング変調された第1のパルス信号列と、当該第1のパルス信号列の符号反転系列を第2のパルス信号列を受信する受信手段と、前記第1及び第2のパルス信号列の対数尤度比を算出し、第1及び第2の対数尤度比を取得する演算手段と、前記第2のパルス信号列を受信した場合に、前記第1及び第2の対数尤度比に基づいて前記第1及び第2のパルス信号を復号する復号手段と、具備する構成を採る。
この構成によれば、第1のパルス信号列が過去のオンパルス信号の遅延波の影響を受けるような場合においても、第1のパルス信号列の対数尤度比を第1のパルス信号列の符号反転系列である第2のパルス信号列の対数尤度比を用いて補正することができるので、遅延波の影響を軽減し、受信品質を向上させることができる。
本発明の受信装置の一つの態様は、前記復号手段は、前記第1の対数尤度比から前記第2の対数尤度比を減算した減算結果を対数尤度比に用いて復号する構成を採る。
この構成によれば、初回送信時にオフパルス信号が送信されたにもかかわらず、遅延波の影響により対数尤度比がオンパルス信号に近いことを示すような状態においても、再送時には反転データとしてオンパルス信号が送信され、対数尤度比はオンパルス信号に近い状態であることを示すので、減算後の対数尤度比は、オンパルス信号に近いことを示す度合いが減り、遅延波の影響によりオンパルス信号と誤判定される状況を回避することができる。
本発明の受信装置の一つの態様は、前記復号手段の復号結果に基づいて自動再送要求を行う再送要求判定手段、をさらに具備し、前記受信手段は、前記第2のパルス信号列を、前記第1のパルス信号列の再送信号として受信する構成を採る。
この構成によれば、再送時に初回送信時に送信された第1のパルス信号列の符号反転系列が再送されるようになるので、遅延波の影響を受けて、対数尤度比がオンパルス信号に近いことを示す度合いを減らし、受信品質を向上させることができる。
本発明の受信装置の一つの態様は、前記復号手段の復号結果に基づいてハイブリッド自動再送要求を行う再送要求判定手段、をさらに具備し、前記受信手段は、初回受信時に、オリジナル系列を前記第1のパルス信号として受信し、再送受信時に、オリジナル系列の符号反転系列を前記第2のパルス信号として受信し、さらに、オリジナル系列に対するパリティ系列を前記第1のパルス信号列として受信し、前記演算手段は、オリジナル系列及びオリジナル系列に対するパリティ系列の各対数尤度比に基づいて、前記第1の対数尤度比を算出する構成を採る。
この構成によれば、ハイブリッドARQによりオリジナル系列に対するパリティ系列が第1のパルス信号として送信された場合に、パリティ系列を用いて、第1のパルス信号として送信されたオリジナル系列の対数尤度比を補正して第1の対数尤度比として算出することができるので、第1の対数尤度比の信頼性を向上させることができる。
本発明の受信装置の一つの態様は、前記受信手段は、再送受信時に、オリジナル系列に対するパリティ系列の符号反転系列を前記第2のパルス信号列としてさらに受信し、前記演算手段は、オリジナル系列、オリジナル系列に対するパリティ系列、及びパリティ系列の符号反転系列の各対数尤度比に基づいて、前記第1の対数尤度比を算出する構成を採る。
この構成によれば、ハイブリッドARQによりパリティ系列の符号反転系列が第2のパルス信号として送信された場合に、第1のパルス信号として送信されたパリティ系列と第2のパルス信号として送信されたパリティ系列とを用いて、第1のパルス信号として送信されたオリジナル系列の対数尤度比を補正して第1の対数尤度比として算出することができるので、第1の対数尤度比の信頼性をより向上させることができる。
本発明の受信装置の一つの態様は、符号の前半と後半とで極性が反転するマンチェスタ符号により符号化されたオンオフキーイング変調信号列を受信する受信手段と、前記符号の前半と後半とで基準レベルを切り替えて、受信された前記オンオフキーイング変調信号列と前記基準レベルとの距離を算出することにより、オンパルス信号に近いことを示す第1の対数尤度比とオフパルス信号に近いことを示す第2の対数尤度比とを算出する演算手段と、前記第1及び第2の対数尤度比に基づいて前記符号を復号する復号手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、マルチパスの影響により、本来オフパルス信号である前半部分又は後半部分に遅延波が到着した場合においても、遅延波の影響を軽減して、復号することができる。
本発明の送信装置の一つの態様は、オンオフキーキング変調された第1のパルス信号列と、自動再送要求時に、当該第1のパルス信号列を符号反転させた第2のパルス信号列を送信する送信手段、を具備する構成を採る。
この構成によれば、受信側では、第1のパルス信号列が過去のオンパルス信号の遅延波の影響を受けるような場合においても、第1のパルス信号列の対数尤度比を第1のパルス信号列の符号反転系列である第2のパルス信号列の対数尤度比を用いて補正することができるので、遅延波の影響を軽減し、受信品質を向上させることができる。
本発明の送信装置の一つの態様は、前記送信手段は、前記第1のパルス信号列として、システマティックビットを送信し、自動再送要求時に、システマティックビットに対する前記第2のパルス信号列、パリティビットに対する前記第1又は第2のパルス信号列を送信する構成を採る。
この構成によれば、受信側では、オリジナル系列、オリジナル系列の反転データ、パリティ系列、又はパリティ系列の反転データから取得される各対数尤度比を組み合わせて、オリジナル系列の対数尤度比を補正することができるので、対数尤度比の信頼性を高め、受信品質を向上させることができる。