JP4770566B2 - 回転体支持構造及びアイドラプーリ支持構造並びに回転体支持ユニット - Google Patents

回転体支持構造及びアイドラプーリ支持構造並びに回転体支持ユニット Download PDF

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Description

本発明は、例えば自動車用エンジンの補機類を駆動するためのベルト駆動システム等に適用される各種プーリ等の回転体の支持構造に係る。また、この各種プーリのうちのアイドラプーリの支持構造や、更には、この回転体を支持するための支持ユニットにも係る。特に、本発明は、上記回転体を支持している部分の曲げ剛性を向上するための対策に関する。
一般に、自動車用エンジンには、オルタネータ、ウォータポンプ、エアコンディショナといった種々の補機が備えられている。これら補機は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクシャフトプーリと各補機に取り付けられた補機プーリとに亘って伝動ベルトが掛け渡されて成るベルト駆動システムによりエンジン出力が伝達されて駆動するようになっている。また、この種のベルト駆動システムには、伝動ベルトの張力を安定的に維持するためのオートテンショナや、伝動ベルトを各補機プーリに向けて案内するためのアイドラプーリが備えられている(例えば下記の特許文献1を参照)。
また、この種のベルト駆動システムに採用されるプーリ及び伝動ベルトとしては各種のものがあるが、伝動ベルトがプーリから滑落してしまうことを防止すべく、VプーリとVリブドベルトとが組み合わされたものが一般的である。
図10は、この種のベルト駆動システムにおけるアイドラプーリaの一般的な支持構造を示す断面図である。この図に示すように、アイドラプーリaはベアリング部a1を備えており、このベアリング部a1を介してチェーンカバー等の支持体bに回転自在に支持されている。
詳しくは、上記支持体bには略円筒形状のプーリ取り付けボスcが設けられており、このプーリ取り付けボスcの中心部に形成された取付孔c1の内面にはその全体に亘って雌ネジc2が形成されている。そして、アイドラプーリaのベアリング部a1の端面をプーリ取り付けボスcの先端面に当接させた状態で、このベアリング部a1のインナレースa2の中心孔a3からプーリ取り付けボスcの取付孔c1に亘ってボルトdを挿通する。このボルトdには、軸部のうちプーリ取り付けボスcの取付孔c1に挿入される部分の全体に亘って雄ネジd1が形成されており、この雄ネジd1が上記プーリ取り付けボスcの雌ネジc2にねじ込まれる。これにより、ベアリング部a1がプーリ取り付けボスcの先端面とボルトdの頭部d2との間で挟持されて、アイドラプーリaがベアリング部a1を介してプーリ取り付けボスcに支持されている。尚、図中のeはアイドラプーリaに巻き掛けられた伝動ベルトとしてのVリブドベルトである。
また、下記の特許文献2にはオートテンショナに備えられるアイドラプーリの支持構造が開示されている。具体的には、オートテンショナのアーム部に形成されたプーリ取り付けボスの外周面に段部を形成しておき、この段部にアイドラプーリのベアリング部端面を当接させた状態で、プーリ取り付けボスの取付孔にボルトを挿通し、ボス部の段部とボルトの頭部との間でベアリング部を挟持することでアイドラプーリをアーム部に回転自在に支持した構成が開示されている。
尚、上記ベルト駆動システムに備えられている各補機プーリの支持構造も上述したアイドラプーリの支持構造と略同様であって、補機の駆動軸の先端面とボルトの頭部との間で補機プーリが挟持された構成となっている。
特開2003−3858号公報 特開平3−163245号公報
ところで、このようなアイドラプーリa等の回転体にあっては、伝動ベルトeに所定の張力が付与されているために、その張力がアイドラプーリaの回転軸心に対して略直交する方向の力、つまり、回転軸に対する曲げモーメントとして作用することになる(図10における矢印A参照)。特に、エンジンの負荷変動時や、回転数変動時には一時的または局部的にベルト張力が高くなる状況となり、それに伴って上記曲げモーメントも大きくなる。この曲げモーメントによってアイドラプーリaの軸心(特に上記プーリ取り付けボスc)に曲がりが生じると、アイドラプーリaの外周面と伝動ベルトeの表面との間の接触力が伝動ベルトeの幅方向で不均一になり、その結果、アイドラプーリaに対して伝動ベルトeが偏向(伝動ベルトeの走行位置がベルト幅方向に移動)することになる。これにより、伝動ベルトeと各プーリとの間での摺動摩擦(例えばVリブドベルトで成る伝動ベルトeのリブの片側の側面がVプーリで成る補機プーリのV溝に接触した片面接触状態となってこの接触面間で滑りが生じる所謂スティックスリップ)に伴う異音(所謂ベルトの鳴き)が発生したり、それに伴って伝動ベルトeの寿命が短くなってしまう可能性がある。
このため、アイドラプーリaの支持構造としては上記曲げモーメントによる曲がりが生じないような高い剛性が必要になる。この曲げ剛性を高く得るための手段として、アイドラプーリaを支持している上記プーリ取り付けボスcの外径寸法を大きく設計し、アイドラプーリaに大きな曲げモーメントが作用した場合であっても、その曲げ荷重をプーリ取り付けボスcによって十分に受け止めることを可能にする構成が挙げられる。
しかしながら、この構成ではプーリ取り付けボスcの外径寸法を大きくしたことに伴い、プーリ支持構造部分の重量の増大及び製造コストの高騰を招いてしまうことになる。
このような課題は、アイドラプーリaの支持構造に限らず、ベルト駆動システムを構成している各補機プーリの支持構造においても同様に生じている。また、自動車用エンジンの補機を駆動するためのベルト駆動システムに限らず、その他の用途に適用されるベルト駆動システムにおいても同様の課題が生じている。
また、特に、上記アイドラプーリaの場合には以下の課題もある。アイドラプーリaのようにベアリング部a1を介してプーリ取り付けボスcに支持されるものにあっては、このベアリング部a1が上記ベルト張力に対して十分な剛性を有するように副列式の(軸心方向に複数(例えば2個)ボールを備えた)ものが採用されることが多いが、この場合、プーリ支持構造の軸心方向の長さが長くなってしまう。つまり、ベアリング部a1の軸心方向の長さが長くなる分だけベルト駆動システムがエンジン本体から離れる方向に張り出した位置に配設されることになってしまって、ベルト駆動システムを設置するために必要となるスペース(縦置きエンジンの場合にはエンジン前側のスペース)を大きく確保しておかねばならなくなる。
また、このベルト駆動システムの設置スペースを縮小化するために、図11に示すようにベアリング部a1のインナレースa2の中央部を凹陥させ、この凹陥部a4内部にプーリ取り付けボスcの先端部を挿入させ、これによってプーリ支持構造の軸心方向の長さを短くすることが考えられる。
ところが、この場合、上述した如く上記曲げ剛性を高く得るためにプーリ取り付けボスcの外径寸法が大きく設計されていると、上記凹陥部a4の内径寸法も大きくせねばならなくなり、その結果、ベアリング部a1の径寸法の大型化、ひいてはアイドラプーリaの外径寸法の大型化に繋がってしまって、このアイドラプーリaの配設スペースを大きく確保しておかねばならいといったレイアウト上の新たな課題を招いてしまうことになる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベルト駆動システムを構成するアイドラプーリや各補機プーリ等といった回転体の支持構造に対し、回転体を支持している部分(上記プーリ取り付けボス)の外径寸法の縮小化を可能にしながらもその曲げ剛性を十分に向上できる構成を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、回転体(例えばベルト駆動システム上のアイドラプーリ)を支持する回転体支持部(ボス部)に対して、外力の作用時に応力が集中する位置及びその周辺部に対して予め軸心方向の圧縮力を付与しておくことにより曲げ剛性を高めておき、この応力集中位置に作用する荷重の緩和を図るようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、雌ネジが形成された取付孔を有する回転体支持部の端面に、中心部に締結具挿通孔が形成された回転体のベアリング部を当接させた状態で、このベアリング部の締結具挿通孔から上記回転体支持部の取付孔に亘って締結具を挿通し、この締結具の外周面に形成されている雄ネジを上記雌ネジにねじ込んで締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で上記ベアリング部のインナレースを挟持することにより、上記回転体を回転体支持部に回転自在に支持させる回転体支持構造を前提とする。この回転体支持構造に対し、上記回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置よりも上記取付孔の深さ方向の奥側の領域のみにおいて、上記回転体支持部の取付孔の雌ネジに対して締結具の雄ネジをねじ込んだ構成としている。
この特定事項により、回転体支持部に対して回転体を支持させる際、先ず、回転体のベアリング部を回転体支持部の端面に当接させる。そして、このベアリング部の締結具挿通孔から回転体支持部の取付孔に亘って締結具を挿通し、この締結具の外周面に形成されている雄ネジを上記取付孔の雌ネジにねじ込んで締結具の頭部と回転体支持部の端面との間でベアリング部のインナレースを挟持する。このようにして上記回転体を回転体支持部に支持させた状態において、本解決手段にあっては、上記応力集中位置よりも取付孔の深さ方向の奥側の領域のみにおいて、上記回転体支持部の取付孔の雌ネジと締結具の雄ネジとの間で締結構造が成立している。このため、上記回転体支持部の外周面上における応力集中位置の周辺部には軸心方向の圧縮力が付与された状態となって、この応力集中位置及びその周辺部の曲げ剛性が高く確保されることになり、上記外力が応力集中位置に作用する荷重は緩和される。このため、回転体支持部や締結具を比較的小径に設計可能としながら上記荷重による曲がりを抑制することができる。
この回転体支持構造のより具体的な構成としては以下のものが挙げられる。つまり、締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で上記ベアリング部のインナレースを挟持した状態では、回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては、回転体支持部の取付孔に雌ネジが形成されていない構成及び締結具の外周面に雄ネジが形成されていない構成のうち少なくとも何れか一方を適用したものとしている。つまり、この応力集中位置を含みそれよりも取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては、回転体支持部の取付孔に雌ネジを形成せず且つ締結具の外周面に雄ネジを形成しない構成や、回転体支持部の取付孔には雌ネジを形成するものの締結具の外周面には雄ネジを形成しない構成や、締結具の外周面には雄ネジを形成するものの回転体支持部の取付孔には雌ネジを形成しない構成などが適用される。
このようにネジの形成領域を適切に設計するといった比較的簡易な設計変更によって回転体支持部における応力集中位置の周辺部に圧縮力を付与することができ、この応力集中位置及びその周辺部の曲げ剛性の向上を図ることができる構成が容易に実現できる。
本発明をベルト駆動システムのアイドラプーリの支持構造に適用する場合の構成としては以下のものが挙げられる。雌ネジが形成された取付孔を有するボス部の端面に、中心部にボルト挿通孔が形成され且つ伝動ベルトが掛けられるアイドラプーリのベアリング部を当接させた状態で、このベアリング部のボルト挿通孔から上記ボス部の取付孔に亘ってボルトを挿通し、このボルトの雄ネジを上記雌ネジにねじ込んでボルトの頭部とボス部の端面との間でアイドラプーリのベアリング部のインナレースを挟持することにより、上記アイドラプーリをボス部に対して回転自在に支持するアイドラプーリ支持構造を前提とする。このアイドラプーリ支持構造に対し、上記アイドラプーリに作用するベルト張力がボス部に対する曲げ荷重として作用する場合に、ボス部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置よりも上記取付孔の深さ方向の奥側の領域のみにおいて、上記ボス部の取付孔の雌ネジに対してボルトの雄ネジをねじ込んだ構成としている。
この特定事項によっても上述した解決手段の場合と同様の作用によって、上記ボス部の外周面上における応力集中位置の周辺部に軸心方向の圧縮力を付与させることができ、この応力集中位置及びその周辺部の曲げ剛性を高く確保することができる。このため、本解決手段のようなベルト駆動システムの場合には、アイドラプーリの外周面と伝動ベルトの表面との間の接触力が伝動ベルトの幅方向で不均一になってしまうことを回避でき、その結果、アイドラプーリに対して伝動ベルトが偏向(伝動ベルトの走行位置がベルト幅方向に移動)することが防止できる。これにより、伝動ベルトとベルト駆動システムの各プーリとの間での摺動摩擦に伴う異音(所謂ベルトの鳴き)が発生したり、それに伴って伝動ベルトの寿命が短くなってしまうといったことが回避できる。
このアイドラプーリ支持構造のより具体的な構成としては以下のものが挙げられる。つまり、ボルトの頭部とボス部の端面との間でアイドラプーリのベアリング部のインナレースを挟持した状態では、アイドラプーリに作用するベルト張力がボス部に対する曲げ荷重として作用する場合に、ボス部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては、ボス部の取付孔に雌ネジが形成されていない構成及びボルトの外周面に雄ネジが形成されていない構成のうち少なくとも何れか一方を適用したものとしている。つまり、この応力集中位置を含みそれよりも取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては、ボス部の取付孔に雌ネジを形成せず且つボルトの外周面に雄ネジを形成しない構成や、ボス部の取付孔には雌ネジを形成するもののボルトの外周面には雄ネジを形成しない構成や、ボルトの外周面には雄ネジを形成するもののボス部の取付孔には雌ネジを形成しない構成などが適用される。本解決手段によっても、ネジの形成領域を適切に設計するといった比較的簡易な設計変更によってボス部の外周面上における応力集中位置の周辺部に圧縮力を付与することができ、この応力集中位置及びその周辺部の曲げ剛性の向上を図ることができる。
また、アイドラプーリの具体的な形状及びそれに伴うボス部の端面との当接状態の構成として具体的には以下のものが挙げられる。先ず、アイドラプーリのベアリング部に軸方向に凹陥する凹陥部を形成する一方、ボス部の先端部分の外径寸法をこの凹陥部の内径寸法よりも小さく設定する。これにより、上記凹陥部の底面をボス部の端面に当接させた状態で、アイドラプーリのベアリング部のボルト挿通孔からボス部の取付孔に亘ってボルトを挿通して、ボルトの頭部とボス部の端面との間でアイドラプーリのベアリング部のインナレースを挟持した構成としている。
この特定事項によれば、アイドラプーリのベアリング部に形成された凹陥部の底面をボス部の端面を当接させた状態でアイドラプーリのベアリング部のインナレースとボス部とが一体的に締結されることになる。つまり、上記凹陥部にボス部の先端部分が入り込んだ状態となるため、このアイドラプーリ支持構造部分の軸心方向の長さを短くすることでき、このアイドラプーリ支持構造をコンパクトなスペースで実現できる。そして、上述した如く、ボス部の外周面上における応力集中位置及びその周辺部の曲げ剛性が高く得られる構成となっているため、ボス部の外径を小さく設定することが可能になり、その結果、凹陥部の内径寸法も小さく設計できるため、アイドラプーリの外径寸法の大型化を招くことなしに曲げ剛性の高いアイドラプーリ支持構造を得ることができる。
また、上述した回転体支持構造において回転体のベアリング部のインナレースを挟持することにより、この回転体を支持する回転体支持部及び締結具より成る回転体支持ユニットも本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上記締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で回転体のベアリング部のインナレースを挟持した状態では、上記回転体支持部は、回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては取付孔に雌ネジが形成されていない構成とされたものである。
また、この回転体支持ユニットとして、上記締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で回転体のベアリング部のインナレースを挟持した状態では、上記締結具は、回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては外周面に雄ネジが形成されていない構成とされたものも挙げられる。
本発明では、回転体(アイドラプーリ)を支持する回転体支持部(ボス部)に対して、外力の作用時に応力が集中する位置に対して予め軸心方向の圧縮力を付与しておくことにより、この応力集中位置及びその周辺における曲げ剛性を高く得るようにしている。このため、支持構造の小径化を図りながらも回転体の軸心に曲がりが生じることを抑制できる。特に、ベルト駆動システムのアイドラプーリの支持構造に適用した場合には、アイドラプーリの外周面と伝動ベルトの表面との間の接触力が伝動ベルトの幅方向で不均一になってしまうことを回避でき、その結果、アイドラプーリに対する伝動ベルトの偏向が防止できる。これにより、伝動ベルトとベルト駆動システムの各プーリとの間での摺動摩擦に伴う異音が発生したり、それに伴って伝動ベルトの寿命が短くなってしまうといったことが回避できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車用エンジンの補機類を駆動するためのベルト駆動システムにおける一つのアイドラプーリの支持構造に本発明を適用した場合について説明する。この支持構造の各実施形態について説明する前に、ベルト駆動システムの構成について説明する。
−ベルト駆動システムの説明−
図1は、本実施形態に係る自動車用エンジンの補機類を駆動させるためのベルト駆動システム1の概略構成を示す図である。この図1に示すように、このベルト駆動システム1は、エンジン本体の前面側(縦置き型エンジンにおける前面側)に取り付けられたチェーンカバー2の前側に配設されており、本実施形態において特徴とする支持構造によって支持されるアイドラプーリ(回転体)61は、このチェーンカバー2に支持されている。
このベルト駆動システム1は、エンジンに備えられた複数の補機を駆動するためのシステムとして構成されており、エンジン全体の小型化及び軽量化を図るべくサーペンタインベルトドライブシステムとして構成されている。
また、このベルト駆動システム1は、クランクシャフトの一端に回転一体に取り付けられたクランクシャフトプーリ3を備えていると共に、このクランクシャフトプーリ3から駆動力を受けるオルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43を備えており、これら各プーリ3,41〜43に亘って1本のVリブドベルト(伝動ベルト)5が掛け渡された構成となっている。即ち、エンジン(駆動源)の駆動に伴うクランクシャフトの回転駆動力が、クランクシャフトプーリ3からVリブドベルト5を介して、オルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43にそれぞれ伝達されて各補機を駆動する構成となっている。
また、上記Vリブドベルト5におけるエアコンプーリ43とクランクシャフトプーリ3との間のスパン、ウォータポンププーリ42とエアコンプーリ43との間のスパンにはそれぞれアイドラプーリ61,62が配設されていると共に、クランクシャフトプーリ3とオルタネータプーリ41との間のスパンにはオートテンショナ用アイドラプーリ63が配設されている。このオートテンショナ用アイドラプーリ63は、Vリブドベルト5に張力を付与するためのオートテンショナを構成するものである。これにより、このベルト駆動システム1の駆動時にはVリブドベルト5に所定の張力が付与され、Vリブドベルト5及び各補機の高寿命化が図られると共に、Vリブドベルト5の交換時にはその張力が開放可能とされて保守性が高められている。
そして、本実施形態では、クランクシャフトプーリ3が図1に矢印Bで示すようにエンジンの駆動に伴って図中の時計回り方向に回転する。つまり、クランクシャフトプーリ3の回転に伴ってVリブドベルト5が図中の矢印Cで示す方向に走行しながら、オルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43に駆動力をそれぞれ伝達するようになっている。
上記クランクシャフトプーリ3及び各補機プーリとしてのオルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43は、Vプーリにより構成されている。これらプーリ3,41,42,43は例えば鋳鉄製である。図2は、クランクシャフトプーリ3の外周囲部分を回転軸心に沿う方向で切断した断面図である。この図2に示すようにクランクシャフトプーリ3の外周面には、断面が凹凸状を成すように複数のV型溝部31,31,…及びV型山部32,32,…が回転軸心に沿う方向に交互に形成されている。本実施形態のものではV型溝部31が6箇所にV型山部32が5箇所にそれぞれ形成されている。
また、オルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43も、上記クランクシャフトプーリ3と同様に、その外周面に複数のV型溝部及びV型山部が回転軸心に沿う方向に交互に形成されている。更に、各アイドラプーリ61,62,63のうちウォータポンププーリ42とエアコンプーリ43との間のスパンに配設されているアイドラプーリ62の外周面にも同様のV型溝部及びV型山部が形成されている。
図3はVリブドベルト5を切断した斜視図である。この図3に示すように、Vリブドベルト5は、帯状を成しており、クランクシャフトプーリ3、オルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43に接触する内側面には、ベルト長手方向に延びる断面略台形状のリブ51,51,…及びV型溝52,52,…がベルト幅方向に交互に形成されている。本実施形態のものではリブ51が6箇所にV型溝52が5箇所にそれぞれ形成されている。
そして、各リブ51が各プーリ3,41〜43のV型溝部31に、各V型溝52が各プーリ3,41〜43のV型山部32にそれぞれ嵌合するように、Vリブドベルト5はプーリ3,41〜43に掛け渡されて、クランクシャフトの回転駆動力が、クランクシャフトプーリ3から各補機プーリ41〜43に伝達されるようになっている。
また、Vリブドベルト5において各アイドラプーリ61,63に接触する背面55は平坦面で形成されている。これらアイドラプーリ61,63においてVリブドベルト5の背面55が接触する外周面は、このVリブドベルト5の背面55の略全面が均一に接触するように平坦面(円弧面)で形成されている。
尚、上記Vリブドベルト5の構成は特に限定されるものではなく、自動車用エンジンに一般的に用いられるものが使用されている。その構成の一例としては、図3にも示すように、ゴム層53の内部に心線54,54,…を埋設した構成となっている。また、必要に応じて、ゴム層53の上面(背面55)にはカバー帆布が積層され、また、ゴム層53の内部には短繊維が埋設される。
−アイドラプーリの支持構造−
次に、本発明の特徴であるアイドラプーリ61の支持構造について複数の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係るアイドラプーリ61の支持構造を示す断面図(図1におけるIV−IV線に沿った断面図)である。この図に示すように、アイドラプーリ61はベアリング部64を備えており、このベアリング部64を介してチェーンカバー2に回転自在に支持されている。
詳しくは、上記チェーンカバー2には略円錐台形状のプーリ取り付けボス(回転体支持部)21が設けられており、このプーリ取り付けボス21の中心部に形成された取付孔22の内面の所定領域には雌ネジ23が形成されている。そして、アイドラプーリ61のベアリング部64の端面をプーリ取り付けボス21の先端面に当接させた状態で、このベアリング部64のインナレース64aのボルト挿通孔(締結具挿通孔)64bからプーリ取り付けボス21の取付孔22に亘ってボルト(締結具)7を挿通することにより、ベアリング部64がプーリ取り付けボス21の先端面とボルト7の頭部71との間で挟持されて、アイドラプーリ61がベアリング部64を介してプーリ取り付けボス21に支持された構成となっている。このような支持構造であるため、上記プーリ取り付けボス21とボルト7とにより本発明でいう回転体支持ユニットが構成されていることになる。尚、上記ベアリング部64のインナレース64aの中心部分は、軸方向に凹陥する凹陥部64cが形成されており、この凹陥部64cの内径寸法は上記プーリ取り付けボス21の先端部分の外径寸法よりも大径に形成されている。これにより、アイドラプーリ61の支持状態では、この凹陥部64cにプーリ取り付けボス21の先端部分が入り込んだ状態で、このプーリ取り付けボス21の先端面に凹陥部64cの底面が当接した状態となっている。
本実施形態の特徴の一つは、上記プーリ取り付けボス21の取付孔22の内面における雌ネジ23が形成されている領域にある。図4に示すように、プーリ取り付けボス21の中心部に形成された取付孔22には、内周面に雌ネジ23が形成された雌ネジ形成領域Dと、内周面に雌ネジが形成されず且つこの雌ネジ形成領域Dの内径寸法よりも大径に形成されたカウンタボア領域Eとを備えている。また、上記雌ネジ形成領域Dは取付孔22の深さ方向(軸心方向)の奥側に、カウンタボア領域Eは取付孔22の深さ方向(軸心方向)の手前側(取付孔22の開口側)にそれぞれ形成されている。
そして、この雌ネジ形成領域Dとカウンタボア領域Eとの境界点は、アイドラプーリ61に作用するVリブドベルト5の張力(実際には、アイドラプーリ61の軸心に直交する方向でのベルト張力の分力)Aがプーリ取り付けボス21に対する曲げ荷重として作用する場合のこの曲げ荷重のプーリ取り付けボス21外周面上における応力集中位置Fよりも取付孔22の深さ方向の奥側の位置に設定されている。言い換えると、カウンタボア領域Eの長さ寸法(取付孔22の深さ方向の長さ寸法)は、上記ボルト7の外径寸法よりも十分に長い距離としながらも、取付孔22の雌ネジ23とボルト7の雄ネジ72との噛み合い長さが十分なボルト締結力が得られるように確保し、且つ上記雌ネジ形成領域Dとカウンタボア領域Eとの境界点が上記応力集中位置Fよりも取付孔22の深さ方向の奥側に位置されるような長さに設定されている。
ここで、上記プーリ取り付けボス21の外周面上における応力集中位置Fについて説明する。プーリ取り付けボス21の外周面の形状としては、チェーンカバー2からエンジン前方側に張り出し且つエンジン前方側に向かい水平方向に対して比較的大きな傾斜角度を存して傾斜するテーパ部24と、このテーパ部24に連続して更にエンジン前方側に向かって略水平方向に延びる水平部25とを備えている。アイドラプーリ61に作用するVリブドベルト5の張力Aがプーリ取り付けボス21に対する曲げ荷重として作用した場合、その応力は、このテーパ部24と水平部25との境界部分Fに集中することになる。
そして、上述した如く、雌ネジ形成領域Dとカウンタボア領域Eとの境界点が、この応力集中位置Fよりも取付孔22の深さ方向の奥側の位置に設定されている。つまり、この取付孔22の内周面のうち雌ネジ23が形成されている領域は、上記応力集中位置Fよりも取付孔22の深さ方向の奥側の位置であって、この応力集中位置Fを含む取付孔22の開口側は雌ネジが形成されていないカウンタボアとして構成されている。
次に、アイドラプーリ61をプーリ取り付けボス21に取り付けるためのボルト7について説明する。図4に示すように、このボルト7は、プーリ取り付けボス21の先端面との間でアイドラプーリ61を挟持した状態において上記プーリ取り付けボス21の雌ネジ23の大部分と噛み合う(ねじ込みにより噛み合う)雄ネジ72が形成されている。この雄ネジ72の形成領域としては、ボルト7の軸部73の全体に亘って形成されていてもよいが、上記カウンタボア領域Eやベアリング部64のボルト挿通孔64bには雌ネジが形成されていないため、これらに対向する位置に雄ネジ72を形成しておく必要はない。従って、本実施形態のものでは、プーリ取り付けボス21の雌ネジ23に略対応する部分のみに雄ネジ72が形成されている。
以上の如く構成されたプーリ取り付けボス21及びボルト7を使用したアイドラプーリ61の取り付け作業について説明する。先ず、アイドラプーリ61のインナレース64aの中心部分に形成されている凹陥部64cの底面をプーリ取り付けボス21の先端面に当接させる。つまり、インナレース64aの凹陥部64cの内部にプーリ取り付けボス21の先端部分が入り込んだ状態で、これら両者を当接させる。そして、このインナレース64aのボルト挿通孔64bからプーリ取り付けボス21の取付孔22に亘ってボルト7の軸部73を挿通し、このボルト7の雄ネジ72をプーリ取り付けボス21の取付孔22に形成されている雌ネジ23にねじ込む。これにより、ベアリング部64のインナレース64aがプーリ取り付けボス21の先端面とボルト7の頭部71との間で挟持されて、アイドラプーリ61がベアリング部64を介してプーリ取り付けボス21に支持されることになる。
このようにしてアイドラプーリ61がプーリ取り付けボス21に支持された状態にあっては、図5(プーリ取り付けボス21の先端部分及びその周辺部分を拡大して示す断面図)に矢印で示すように、上記プーリ取り付けボス21の水平部25から応力集中位置Fに亘る領域更にはテーパ部24に僅かに入り込む領域(図5に破線のハッチングを付した領域)に軸心方向の圧縮力が付与された状態となる。このため、上記プーリ取り付けボス21における応力集中位置F及びその周辺部の曲げ剛性を高く確保することができる。この曲げ剛性を十分に高く得るためには、プーリ取り付けボス21の応力集中位置Fの周辺に付与される軸心方向の圧縮力を十分に高く得ておく必要があるため、上記アイドラプーリ61の取り付け作業においてボルト7をねじ込む際の締め付けトルクも十分に高く設定しておく必要がある。
以上のように、プーリ取り付けボス21における応力集中位置F及びその周辺部の曲げ剛性を高く確保することができるため、Vリブドベルト5の張力Aがプーリ取り付けボス21に対する曲げ荷重として作用した場合の変形(アイドラプーリ61の軸心の曲がり)が防止できて、アイドラプーリ61の外周面とVリブドベルト5の表面との間の接触力がVリブドベルト5の幅方向で不均一になってしまうことを回避できる。その結果、アイドラプーリ61に対してVリブドベルト5が偏向(Vリブドベルト5の走行位置がベルト幅方向に移動)することが防止できる。これにより、ベルト駆動システムを構成する各プーリ3,41,42,43とVリブドベルト5との間での摺動摩擦に伴う異音(所謂ベルトの鳴き)が発生したり、それに伴ってVリブドベルト5の寿命が短くなってしまうといったことが回避できる。
また、本実施形態では、インナレース64aの凹陥部64cの内部にプーリ取り付けボス21の先端部分が入り込んだ状態で、アイドラプーリ61がプーリ取り付けボス21に支持されているため、ベアリング部64が副列式のものであっても、アイドラプーリ支持構造部分の軸心方向の長さを十分に短くでき、このアイドラプーリ支持構造をコンパクトなスペースで実現できる。
−実験例−
次に、本発明の効果を確認するために行った実験及びその結果について説明する。本実験は、図6に示す従来のアイドラプーリ支持構造によるものと、図4に示した上記実施形態に係るアイドラプーリ支持構造によるものとを比較する実験であり、各支持構造によって支持されたアイドラプーリ61,aを備えたベルト駆動システムを駆動させた場合に、アイドラプーリ61,aに掛かる荷重(ベルト張力によって曲げモーメントとして作用する荷重)を増大させていった場合のアイドラプーリ軸心の傾き角度の変化を計測したものである。尚、図6に示す従来のアイドラプーリ支持構造として、図6(a)のものは比較的小径のボルト(本実施形態で採用しているボルトと略同径のボルト)を使用した支持構造のものであり、図6(b)のものは比較的大径のボルト(例えば図6(a)のものに対して1.3倍程度の外径を有するボルト)を使用した支持構造のものである。また、この図6では図10で示したものと同一の部材には同一の符号を付している。
これら支持構造による実験結果を図7に示す。この図7では、図6(a)に示した支持構造における実験結果を破線で、図6(b)に示した支持構造における実験結果を一点鎖線で、上記実施形態に係る支持構造における実験結果を実線でそれぞれ示している。
この図7から明らかなように、何れの支持構造においても、アイドラプーリに掛かる荷重が大きい程、アイドラプーリ軸心の傾き角度も大きくなっていくが、従来の支持構造において小径のボルトを採用したもの(図6(a)のもの)では、アイドラプーリに係る荷重が大きくなっていく際のアイドラプーリ軸心の傾き角度の増加割合が非常に大きくなっている。また、従来の支持構造において大径のボルトを採用したもの(図6(b)のもの)においても、アイドラプーリに係る荷重が大きくなっていく際のアイドラプーリ軸心の傾き角度の増加割合は比較的大きいものである。これに対し、本実施形態に係るアイドラプーリ支持構造によるものでは、従来のものに比べて、アイドラプーリに掛かる荷重が大きくなっていく際のアイドラプーリ軸心の傾き角度の増加割合は非常に小さい。つまり、図6(b)に示すものよりも小径のボルトを採用しながらもアイドラプーリ軸心の傾き角度を小さく抑えることができる。
以上の実験結果により、本発明に係るアイドラプーリ支持構造によれば、支持構造の構成部材の大型化を招くことなしに、アイドラプーリ61の外周面とVリブドベルト5の表面との間の接触力がVリブドベルト5の幅方向で不均一になってしまうことを回避でき、アイドラプーリ61に対してVリブドベルト5が偏向することが防止できて、ベルトの鳴きの抑制及びベルト寿命の延長化が図れることが確認されたことになる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、プーリ取り付けボス21の中心部に形成されている取付孔22の内面の形状が上述した第1実施形態のものと異なっている。その他の構成は第1実施形態のものと同様であるので、ここでは取付孔22の内面の形状について主に説明する。
図8は、本実施形態に係るアイドラプーリ61の支持構造を示す断面図であって、上記図4との同一部材については同一の符号を付している。
この図に示すように、本実施形態におけるプーリ取り付けボス21の中心部に形成された取付孔22は、内周面に雌ネジ23が形成された雌ネジ形成領域Dと、内周面に雌ネジが形成されていない雌ネジ非形成領域Gとを備えている。上述した第1実施形態では、雌ネジが形成されていない領域は雌ネジ形成領域Dの内径寸法よりも大径に形成されたカウンタボア領域Eであったが、本実施形態における雌ネジ非形成領域Gの内径寸法はボルト7の軸部73の外径寸法に略一致したものとなっている。
このような構成においても雌ネジ非形成領域Gにあっては、ボルト7の雄ネジ72はプーリ取り付けボス21の取付孔22の内周面にねじ込まれていない(雄ネジ72の山部が単に取付孔22の内周面に接触しているだけである)ので、上記プーリ取り付けボス21の水平部25から応力集中位置Fに亘る領域、更にはテーパ部24に僅かに入り込む領域(図5に破線のハッチングを付した領域と同一の領域)に軸心方向の圧縮力が付与された状態となり、プーリ取り付けボス21における応力集中位置F及びその周辺部の曲げ剛性を高く確保することができる。その結果、上述した第1実施形態の場合と同様に、アイドラプーリ61の外周面とVリブドベルト5の表面との間の接触力がVリブドベルト5の幅方向で不均一になってしまうことを回避でき、アイドラプーリ61に対してVリブドベルト5が偏向することが防止できる。これにより、ベルト駆動システムを構成する各プーリ3,41,42,43とVリブドベルト5との間での摺動摩擦に伴う異音が発生したり、それに伴ってVリブドベルト5の寿命が短くなってしまうといったことが回避できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、プーリ取り付けボス21の中心部に形成されている取付孔22の内面の形状及びボルト7の軸部73に形成されている雄ネジ72の形成領域が上述した第1実施形態のものと異なっている。その他の構成は第1実施形態のものと同様であるので、ここでは第1実施形態との相違点について主に説明する。
図9は、本実施形態に係るアイドラプーリ61の支持構造を示す断面図であって、上記図4との同一部材については同一の符号を付している。
この図に示すように、本実施形態におけるプーリ取り付けボス21の中心部に形成された取付孔22には、その内周面の略全体に亘って雌ネジ23が形成されている。つまり、本実施形態におけるプーリ取り付けボス21の取付孔22は、上述したカウンタボア領域Eや雌ネジ非形成領域Gを備えておらず、その全体が雌ネジ形成領域として形成されている。
一方、ボルト7では、軸部73の先端側において雄ネジ72が形成された雄ネジ形成領域(有効ネジ部としての領域)Hと、軸部73の頭部側において雄ネジが形成されていない雄ネジ非形成領域Iとを備えており、この雄ネジ形成領域Hと雄ネジ非形成領域Iとの境界点は、アイドラプーリ61に作用するVリブドベルト5の張力Aがプーリ取り付けボス21に対する曲げ荷重として作用する場合のこの曲げ荷重のプーリ取り付けボス21外周面上における上記応力集中位置Fよりも軸部73の軸方向先端側の位置に設定されている。
このような構成においても雄ネジ非形成領域Iにあっては、ボルト7はプーリ取り付けボス21の取付孔22の内周面に形成されている雌ネジ23にはねじ込まれていない(雌ネジ23の山部が単にボルト7の軸部73外周面に接触しているだけである)ので、上記プーリ取り付けボス21の水平部25から応力集中位置Fに亘る領域、更にはテーパ部24に僅かに入り込む領域(図5に破線のハッチングを付した領域と同一の領域)に軸心方向の圧縮力が付与された状態となり、プーリ取り付けボス21における応力集中位置F及びその周辺部の曲げ剛性を高く確保することができる。その結果、上述した第1実施形態や第2実施形態の場合と同様に、アイドラプーリ61の外周面とVリブドベルト5の表面との間の接触力がVリブドベルト5の幅方向で不均一になってしまうことを回避でき、アイドラプーリ61に対してVリブドベルト5が偏向することが防止できる。これにより、ベルト駆動システムを構成する各プーリ3,41,42,43とVリブドベルト5との間での摺動摩擦に伴う異音が発生したり、それに伴ってVリブドベルト5の寿命が短くなってしまうといったことが回避できる。
−その他の実施形態−
以上説明した各実施形態は自動車用エンジンの補機類を駆動させるためのベルト駆動システム1における一つのアイドラプーリ61の支持構造として本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、このベルト駆動システムに備えられた複数(本実施形態では2つ)のアイドラプーリ61,62の支持構造に適用してもよい。また、オートテンショナ用アイドラプーリ63の支持構造に適用することも可能である。更には、上記オルタネータプーリ41、ウォータポンププーリ42、エアコンプーリ43等の支持構造に適用することも可能である。
また、自動車用エンジンのベルト駆動システムに限らず、その他のベルト駆動システムにおけるプーリ支持構造としても本発明は適用可能である。
更には、上述した各実施形態におけるベルト駆動システムはVリブドベルト5を使用したものであったが、本発明はこれに限らず、平ベルトを使用したシステムにも適用可能である。また、ベルトが巻き掛けられるプーリに限らず、チェーンが巻き掛けられるスプロケットの支持構造としても本発明は適用可能である。例えば自動車用エンジンにおけるクランクシャフトの駆動力をカムシャフトに対してチェーン(タイミングチェーン)により動力伝達するためのスプロケット(クランクシャフトスプロケットやカムスプロケット)の支持構造として適用するものである。
実施形態に係るベルト駆動システムの概略構成を示す図である。 クランクシャフトプーリの外周囲部分を回転軸心に沿う方向で切断した断面図である。 Vリブドベルトを切断した斜視図である。 第1実施形態に係るアイドラプーリの支持構造を示すものであって、図1におけるIV−IV線に沿った断面図である。 プーリ取り付けボスの先端部分及びその周辺部分を拡大して示す断面図である。 実験例で使用する従来のアイドラプーリ支持構造を示す断面図であって、図6(a)は比較的小径のボルトを採用したアイドラプーリ支持構造を示し、図6(b)は比較的大径のボルトを採用したアイドラプーリ支持構造を示す図である。 実験例において、アイドラプーリに掛かる荷重を増大させていった場合のアイドラプーリ軸心の傾き角度の変化を計測した実験結果を示す図である。 第2実施形態に係るアイドラプーリの支持構造を示す断面図である。 第3実施形態に係るアイドラプーリの支持構造を示す断面図である。 従来例におけるアイドラプーリの支持構造の一例を示す断面図である。 従来例におけるアイドラプーリの支持構造の他の一例を示す断面図である。
符号の説明
21 プーリ取り付けボス(回転体支持部、ボス部)
22 取付孔
23 雌ネジ
5 Vリブドベルト(伝動ベルト)
61 アイドラプーリ(回転体)
64 ベアリング部
64b ボルト挿通孔(締結具挿通孔)
7 ボルト(締結具)
71 頭部
72 雄ネジ
A 外力
D 雌ネジ形成領域
E カウンタボア領域
F 応力集中位置

Claims (7)

  1. 雌ネジが形成された取付孔を有する回転体支持部の端面に、中心部に締結具挿通孔が形成された回転体のベアリング部を当接させた状態で、このベアリング部の締結具挿通孔から上記回転体支持部の取付孔に亘って締結具を挿通し、この締結具の外周面に形成されている雄ネジを上記雌ネジにねじ込んで締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で上記ベアリング部のインナレースを挟持することにより、上記回転体を回転体支持部に回転自在に支持させる回転体支持構造において、
    上記回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置よりも上記取付孔の深さ方向の奥側の領域のみにおいて、上記回転体支持部の取付孔の雌ネジに対して締結具の雄ネジがねじ込まれていることを特徴とする回転体支持構造。
  2. 上記請求項1記載の回転体支持構造において、
    締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で上記ベアリング部のインナレースを挟持した状態では、回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては、回転体支持部の取付孔に雌ネジが形成されていない構成及び締結具の外周面に雄ネジが形成されていない構成のうち少なくとも何れか一方が適用されていることを特徴とする回転体支持構造。
  3. 雌ネジが形成された取付孔を有するボス部の端面に、中心部にボルト挿通孔が形成され且つ伝動ベルトが掛けられるアイドラプーリのベアリング部を当接させた状態で、このベアリング部のボルト挿通孔から上記ボス部の取付孔に亘ってボルトを挿通し、このボルトの雄ネジを上記雌ネジにねじ込んでボルトの頭部とボス部の端面との間でアイドラプーリのベアリング部のインナレースを挟持することにより、上記アイドラプーリをボス部に対して回転自在に支持するアイドラプーリ支持構造において、
    上記アイドラプーリに作用するベルト張力がボス部に対する曲げ荷重として作用する場合に、ボス部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置よりも上記取付孔の深さ方向の奥側の領域のみにおいて、上記ボス部の取付孔の雌ネジに対してボルトの雄ネジがねじ込まれていることを特徴とするアイドラプーリ支持構造。
  4. 上記請求項3記載のアイドラプーリ支持構造において、
    ボルトの頭部とボス部の端面との間でアイドラプーリのベアリング部のインナレースを挟持した状態では、アイドラプーリに作用するベルト張力がボス部に対する曲げ荷重として作用する場合に、ボス部の外周面上における上記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては、ボス部の取付孔に雌ネジが形成されていない構成及びボルトの外周面に雄ネジが形成されていない構成のうち少なくとも何れか一方が適用されていることを特徴とするアイドラプーリ支持構造。
  5. 上記請求項3または4記載のアイドラプーリ支持構造において、
    アイドラプーリのベアリング部には軸方向に凹陥する凹陥部が形成されている一方、ボス部の先端部分の外径寸法は上記凹陥部の内径寸法よりも小さく設定されていて、この凹陥部の底面をボス部の端面に当接させた状態で、アイドラプーリのベアリング部のボルト挿通孔からボス部の取付孔に亘ってボルトを挿通して、ボルトの頭部とボス部の端面との間でアイドラプーリのベアリング部のインナレースを挟持した構成とされていることを特徴とするアイドラプーリ支持構造。
  6. 上記請求項1または2記載の回転体支持構造において回転体のベアリング部のインナレースを挟持することにより、この回転体を支持する回転体支持部及び締結具より成る回転体支持ユニットであって、
    上記締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で回転体のベアリング部のインナレースを挟持した状態では、上記回転体支持部は、回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における前記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては取付孔に雌ネジが形成されていないことを特徴とする回転体支持ユニット。
  7. 上記請求項1または2記載の回転体支持構造において回転体のベアリング部のインナレースを挟持することにより、この回転体を支持する回転体支持部及び締結具より成る回転体支持ユニットであって、
    上記締結具の頭部と回転体支持部の端面との間で回転体のベアリング部のインナレースを挟持した状態では、上記締結具は、回転体に作用する外力が回転体支持部に対する曲げ荷重として作用する場合に、回転体支持部の外周面上における前記曲げ荷重の応力集中位置及びその位置よりも上記取付孔の深さ方向の開口側の領域にあっては外周面に雄ネジが形成されていないことを特徴とする回転体支持ユニット。
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