JP2006064002A - 自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造 - Google Patents

Abstract

【課題】 主軸側のドライブスプロケットとオイルポンプ側のドリブンスプロケット間にチェーンを掛け渡してオイルポンプを駆動する自動変速機において、簡単な構造で、静粛性を確保する。
【解決手段】 変速機ケース１２における切替え装置収納部３０の開口に取り付けられる収納部カバー４０の端面４２から一体に、ドリブンスプロケット５５に近い位置に、突起状にチェーンガイド４３を設けてある。チェーンガイド４３は、たるみ側のチェーン６０Ｒが引張り側のチェーン６０Ｔに近づく経路を通過させる。これにより、ドライブスプロケット４７とドリブンスプロケット５５の軸間距離の精度を向上させなくても、チェーン６０の振れが抑えられ、静粛性の向上を得ることができる。
【選択図】 図２

Description

本発明は、車両等の自動変速機において、オイルポンプを主軸から離間して配置し、主軸側からの駆動力をチェーンを介して伝達してオイルポンプを駆動するようにしたオイルポンプの駆動構造に関する。

従来より、自動変速機の各部に潤滑油や作動油を供給するオイルポンプとして、トルクコンバータに連なる主軸から離間した位置に配置され、主軸上でエンジンの駆動力により回転するドライブスプロケットとオイルポンプのドリブンスプロケットの間に掛け渡されたチェーンを介して駆動されるオイルポンプがある。
このようなオイルポンプの取付構造では、ドライブスプロケットは変速機ケースに支持された主軸上で、前後進切替え装置とトルクコンバータの間に位置して、トルクコンバータのインペラを内部に支持するコンバータケースから延びる中空軸部と噛み合う。

一方、変速機ケースのオイルポンプ取付面は、ドライブスプロケットから軸方向にオイルポンプの長さ分だけ後退した位置に設定されており、背面をオイルポンプ取付面に当接させて固定したオイルポンプの前端に設けたドリブンスプロケットが、軸方向でドライブスプロケットと整合するようになっている。これにより、ドライブスプロケットとドリブンスプロケット間に掛け渡されたチェーンが外れたりすることなく駆動力を伝達する。

ここで、オイルポンプのドリブンスプロケットの回転軸とドライブスプロケットを支持する主軸との軸間距離の精度は静粛性確保の上で重要である。
しかし、オイルポンプ取付面はドライブスプロケットが位置する主軸を支持する変速機ケースと同一のケース上に形成されてはいるが、主軸から離間し、しかもドライブスプロケットとは軸方向にも相当距離ずれているので、当該オイルポンプ取付面に固定されたオイルポンプのドリブンスプロケットの回転軸とドライブスプロケットを支持する主軸との軸間距離の誤差は大きくならざるを得ず、しかもオイルポンプがその背面側のみの片持ち支持であるため、駆動時のチェーンの引張り力を受けて誤差が増大する傾向があり、静粛性の確保が難しい。

この対策として、例えば特開２００３−３０１９２９号公報には、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットをいずれも同一のケース、例えば変速機ケースと対向するコンバータハウジングに支持させるようにして、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットの軸間距離の精度を向上させようとする技術が提案されている。
特開２００３−３０１９２９号公報

上記特開２００３−３０１９２９号の方法では、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットとをコンバータハウジング上の支持部に組み付けた後、コンバータハウジングを変速機ケースに取り付けるのと同時に、変速機ケース側に取り付けられているオイルポンプの軸にドリブンスプロケットを嵌め合わせなければならない。しかしながら、このためには、変速機ケースに取り付けられたオイルポンプの位置精度が高いことが前提となるにもかかわらず、その点の解決については触れられていない。したがって、依然としてチェーンのたるみ過ぎやこれによるドリブンスプロケットとの噛み合い不良の発生は解決されたものとなっていない。
また、コンバータハウジングを変速機ケースに取り付ける前に、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットをコンバータハウジングから脱落させないための保持機構も必要になり、構造が複雑となる。

本発明は、上記従来の問題点に鑑み、簡単な構造で、チェーンのたるみとこれによるドリブンスプロケットとの噛み合い不良の発生を防止できるようにした自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造を提供することを目的とする。

このため本発明は、主軸から離間した位置にオイルポンプが設けられ、主軸側に設けられたドライブスプロケットとオイルポンプのドリブンスプロケット間にチェーンを掛け渡して、ドライブスプロケットからドリブンスプロケットへ回転を伝達することによりオイルポンプを駆動する自動変速機のオイルポンプの駆動構造において、チェーンのたるみ側をそのたるみ量を低減する経路に案内するチェーンガイドを設けたものとした。

本発明によれば、チェーンガイドによりたるみ側のチェーンがたるみ量を低減する経路をとるものとなるので、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットの軸間距離の精度を向上させなくても、チェーンの振れが抑えられ、静粛性の向上を得ることができるとともにチェーンとドリブンスプロケットとの噛み合い不良の発生を防止できる。

次に、本発明の実施の形態について説明する。
図１は実施の形態を示す自動変速機の部分縦断面図、図２はチェーン掛け渡し部分の正面図である。
まず図１に示すように、コンバータハウジング１１および変速機ケース１２にまたがって主軸１３が配置されている。主軸１３にそって、コンバータハウジング１１内にはトルクコンバータ１５が収納され、変速機ケース１２内には前後進切替え装置３１を収納する切替え装置収納部３０がコンバータハウジング１１に対向して開口している。
トルクコンバータ１５のインペラ１７を支持するコンバータケース１６は、その前部において図示しないエンジンのクランクシャフトに連結され、後部には変速機ケース１２側へ延びる中空軸部２０を備えている。

切替え装置収納部３０の開口部には収納部カバー４０が設けられ、収納部カバー４０はその中心部の基部４１に圧入された中空円筒状の軸支持筒４５を備えている。軸支持筒４５は内側に主軸１３を貫通させて支持するとともに、軸支持筒４５の外周はコンバータケース１６から延びる中空軸部２０を支持している。軸支持筒４５はさらにトルクコンバータ１５内に延びて、その前端はステータ支持部１８とスプライン結合している。
収納部カバー４０の基部４１に隣接してそのコンバータハウジング１１側には、ドライブスプロケット４７が配置されている。ドライブスプロケット４７はその内周が中空軸部２０の先端に支持されるとともにスプライン結合されて、これによりコンバータケース１６と一体に回転可能となっている。

図２に示すように、変速機ケース１２の下部には、切替え装置収納部３０に隣接してオイルポンプ５０が配置されている。オイルポンプ５０が配置された変速機ケース１２の下部端面には、図示省略のオイルパンが取り付けられる。
変速機ケース１２は、図１に示すように、収納部カバー４０が取り付けられる切替え装置収納部３０の開口部よりも後方へオフセットしたオイルポンプ取付面３３を備え、オイルポンプ５０はこのオイルポンプ取付面３３にボルト３５により取り付け固定される。
なお、図１は展開図であるため、オイルポンプ５０、オイルパン３７は図中上部に示されている。

オイルポンプ５０は、ドリブンスプロケット５５を支持するため、本体部５１から前方へ延びる円筒状のスプロケット支持部５２を有する。ドリブンスプロケット５５は、外周縁に歯５６を備えるディスク５７と、ディスク５７の中心からスプロケット支持部５２内へ延びるボス５８を有する。ボス５８は貫通するスプライン穴を有し、オイルポンプ５０の回転軸５３とスプライン結合している。スプロケット支持部５２の内周面とボス５８の間にベアリング５９が設けられ、これにより、ドリブンスプロケット５５はスプロケット支持部５２に支持されてオイルポンプの回転軸５３と一体に回転する。
ドリブンスプロケット５５のディスク５７は、ボス５８近傍の中央部と歯５６を備える外周縁部とがオフセットして、歯５６とベアリング５９とが軸方向において重なっている。

オイルポンプ５０が変速機ケース１２のオイルポンプ取付面３３に固定された状態で、オイルポンプ５０側のドリブンスプロケット５５の歯５６と中空軸部２０に支持されたドライブスプロケット４７の歯４８とは軸方向において整合している。ドライブスプロケット４７とドリブンスプロケット５５間にはチェーン６０が掛け渡され、ドライブスプロケット４７の回転がドリブンスプロケット５５に伝達されてオイルポンプ５０が駆動される。

収納部カバー４０の外周縁にそった端面、すなわちコンバータハウジング１１に面した端面４２には、オイルポンプ駆動時のチェーンのたるみ側（６０Ｒ）に関連させて、図３に断面を示すように、肉盛りによる突起状のチェーンガイド４３が設けられている。
図２に示されるように、オイルポンプ５０のドリブンスプロケット５５は主軸１３上のドライブスプロケット４７より左下方に位置しており、図中右下側のチェーン（６０Ｒ）がたるみ側となっている。
すなわち、チェーンガイド４３は収納部カバー４０上でドリブンスプロケット５５に近い位置に設けられ、たるみ側のチェーン６０Ｒに滑り接触して、たるみ側のチェーン６０Ｒが引張り側のチェーン６０Ｔに近づいた経路を通過するように強制している。これにより、引張り側とたるみ側の２つのチェーンの経路からなる経路面、すなわち図２の紙面内におけるたるみ側のチェーン６０Ｒの振れが低減する。

本実施の形態は以上のように構成され、チェーンのたるみ側（６０Ｒ）をそのたるみ量を低減する経路に案内するチェーンガイド４３を設けたので、ドライブスプロケット４７とドリブンスプロケット５５の軸間距離の精度を向上させなくても、チェーン６０の振れが抑えられ、静粛性の向上を得ることができるとともにチェーン６０とドリブンスプロケット５５との噛み合い不良の発生を防止できる。

とくに、チェーンガイド４３は、たるみ側のチェーン６０Ｒ近傍の変速機ケース１２側、すなわち変速機ケースの切替え装置収納部３０の開口に取り付けられる収納部カバー４０から一体に突起状に形成して設けているので、極めて簡単な構造で実現される。

また、チェーンガイド４３はドリブンスプロケット５５に近い側に設けられているので、とくにドリブンスプロケット５５へのたるみ側のチェーン６０Ｒの噛み合いが確実となる。
そしてさらに、チェーンガイド４３はたるみ側のチェーン６０Ｒが引張り側のチェーン６０Ｔに近づく経路を通過するように案内するので、チェーン６０のドリブンスプロケット５５との噛み合い角度（噛み合い長さ）が増大する結果、チェーンとドリブンスプロケットの各噛み合い部分の負荷が軽減し、耐久性が向上する。

本発明の実施の形態を示す自動変速機の部分縦断面図である。 チェーン掛け渡し部分の正面図である。 図２におけるＡ−Ａ部断面図である。

符号の説明

１１ コンバータハウジング
１２ 変速機ケース
１３ 主軸
１５ トルクコンバータ
１６ コンバータケース
２０ 中空軸部
３０ 切替え装置収納部
３１ 前後進切替え装置
３３ オイルポンプ取付面
３５ ボルト
３７ オイルパン
４０ 収納部カバー
４１ 基部
４２ 端面
４３ チェーンガイド
４５ 軸支持筒
４７ ドライブスプロケット
４８、５６ 歯
５０ オイルポンプ
５１ 本体部
５２ スプロケット支持部
５３ 回転軸
５５ ドリブンスプロケット
５７ ディスク
５８ ボス
５９ ベアリング
６０ チェーン
６０Ｔ 引張り側のチェーン
６０Ｒ たるみ側のチェーン

Claims (5)

1. 自動変速機の主軸から離間した位置にオイルポンプが設けられ、主軸側に設けられたドライブスプロケットとオイルポンプのドリブンスプロケット間にチェーンを掛け渡して、ドライブスプロケットからドリブンスプロケットへ回転を伝達することによりオイルポンプを駆動するオイルポンプの駆動構造において、
   前記チェーンのたるみ側をそのたるみ量を低減する経路に案内するチェーンガイドを設けたことを特徴とする自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造。
2. 前記チェーンガイドは、前記たるみ側のチェーン近傍の変速機ケース側に設けられていることを特徴とする請求項１記載の自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造。
3. 自動変速機の変速機ケースが、前後進切替え装置を収納する切替え装置収納部と該切替え装置収納部の開口に取り付けられる収納部カバーを有し、
   前記チェーンガイドは前記収納部カバーから一体に突起状に形成して設けられていることを特徴とする請求項２記載の自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造。
4. 前記チェーンガイドは前記ドリブンスプロケットに近い側に設けられていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１に記載の自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造。
5. 前記チェーンガイドは、前記たるみ側のチェーンが引張り側のチェーンに近づく経路を通過するように案内するものであることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１に記載の自動変速機におけるオイルポンプの駆動構造。

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