JP4770078B2 - 育苗施設 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、育苗施設に関するものである。
【0002】
【従来技術】
苗箱搬送コンベヤで送られてきた苗箱を複数段に積み重ねてコンベヤの上方で保持する苗箱積重ね装置と、前記苗箱積重ね装置により積重ねて保持されている苗箱を下手側に送り出す段積み苗箱送り出し装置と、により構成されている。そして、苗箱積重ね装置の左右のリフト爪により、苗箱搬送コンベヤで送られてくる苗箱を所定位置で停止させ持ち上げ積重ねていく構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
従来装置では、苗箱積重ね装置の左右のリフト爪がリフトチエンに取り付けられていて、上方に移動しながら苗箱を積重ねる構成であるため、リフト爪の取り付け位置をチエンのピッチ単位でしか変更できなく、しかも、数年使用し変形した苗箱には取り付け間隔を変更して対応できないという不具合が発生したり、また、段積みした苗箱を苗箱送り出し装置で送り出す時に、苗箱の搬送上手側中間部が垂れ下がっているものでは、垂れ下がり部下端がリフト爪に引っ掛かり、送り出しできないという不具合も発生していた。
【0004】
そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。また、播種作業の能率の向上及び搬送制御の簡素化を図ろうとするものである。
【0005】
【問題を解決するための手段】
請求項1の発明は、水稲用の播種作業では、搬送コンベヤで搬送中の苗箱(C)に、床土供給装置(36)による床土詰込作業、水稲用の繰出型播種装置(40)による播種作業、覆土供給装置(41)による覆土作業が順次行われ、野菜用の播種作業では、搬送コンベヤで搬送中の苗箱(C)に、床土供給装置(36)による床土詰込作業、野菜用の点播型播種装置(39)による播種作業、覆土供給装置(41)による覆土作業が順次行われる構成とし、搬送コンベアを始端側の床土コンベヤ(35a)と終端側の播種・覆土コンベヤ(35b)で構成し、水稲用の播種作業では、床土コンベヤ(35a)の速度を播種・覆土コンベヤ(35b)の速度よりも速く設定し、野菜用の播種作業では、床土コンベヤ(35a)の速度を播種・覆土コンベヤ(35b)の速度よりも遅く設定する構成とし、搬送コンベヤで送られてきた苗箱を複数段に積み重ねてコンベヤの上方で保持する苗箱積重ね装置(13)を設け、前記苗箱積重ね装置(13)により積重ねて保持されている苗箱(C)を下手側に送り出す段積み苗箱送り出し装置(30)を設け、前記苗箱積重ね装置(13)の苗箱(C)を持ち上げる左右のリフト爪(13d)には、搬送上手側ほど斜め下方に傾斜している案内具(31)を設け、苗箱送り出し装置(30)で送り出された複数段の苗箱(C)を一対の苗箱チャック(40)が取り上げて移動して段積みする段積みロボット(4)を設けたことを特徴とする育苗施設とする。
【0006】
請求項2の発明は、苗箱チャック(40)の両端部には、外側に広がるガイド面(34a)を備えて苗箱(C)の四隅部を規制する苗箱規制ガイド(34)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の育苗施設とする。
【0007】
請求項3の発明は、案内具(31)を屈曲自在に構成し、リフト爪(13d)の苗箱搬送コンベヤ(12)の搬送面への移動に関連して前記案内具(31)の搬送上手側端部が作動部材(32)に当たることにより、案内具(31)の搬送上手側端部を斜め下方に傾斜させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の育苗施設とする。
【0008】
請求項4の発明は、一時停止後の再起動時には、先ず段積みロボット(4)のロボットアーム(4a)を段積み苗箱が搬送されても支障のない所定の位置まで移動し、以下、段積み苗箱送り出し装置(30)、苗箱積重ね装置(13)を順次作動させる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の育苗施設とする。
【0009】
【発明の効果】
請求項1の発明は、水稲用の播種作業では、播種・覆土作業時に先行の苗箱に後続の苗箱が追いついて接続状態となり、覆土作業のロスを防止できる。また、野菜用の播種作業では、播種・覆土コンベヤ35b上の苗箱相互間にすき間が生じ、床土コンベヤ35aを低速連続搬送とすることができる。また、苗箱積重ね装置13の左右のリフト爪13dが苗箱搬送コンベヤ12の搬送面に沿った苗箱受入れ位置に移動すると、リフト爪13dに設けられている斜め下方に傾斜している案内具31の先端部が苗箱の搬送面より下方に位置して、搬送されてくる苗箱の下端部を案内しながら円滑にリフト爪13dに載替える。よって、苗箱の左右中間部が垂れ下がっていても、苗箱積重ね装置13の左右のリフト爪13d,…に設けられている案内具31の先端部が斜め下方に屈曲し、その先端部が苗箱の搬送面よりも下方に位置しているので、苗箱を屈曲面で案内しながら円滑にリフト爪13d,…に載替え、苗箱の積重ねを円滑にすることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、一対の苗箱チャック40を互いに接近させて苗箱Cを挟む際に、苗箱規制ガイド34が苗箱C側に移動すると、ガイド面34aによりずれた苗箱Cを内側に案内し、ずれを修正することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明の効果に加えて、苗箱積重ね装置13の左右のリフト爪13dが苗箱搬送コンベヤ12の搬送面に沿った苗箱受入れ位置に移動すると、作動部材32により屈曲自在の案内具31の先端部が斜め下方に屈曲し、搬送されてくる苗箱はその先端部が屈曲面に案内されながら円滑にリフト爪13dに載替えられる。よって、苗箱が変形したり、その左右中間部が垂れ下がっていても、苗箱積重ね装置13の左右のリフト爪13d,…に設けられている案内具31の先端部が斜め下方に屈曲し上下の受入れ空間を広くしているので、苗箱先端部が屈曲面に案内されながら円滑にリフト爪13d,…に載替えられ、苗箱の積重ねを円滑にすることができる。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項の発明の効果に加えて、苗箱自動段積み装置内の苗箱を取り除くような作業をすることなく、作業を再開できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示すこの発明の実施例の形態について説明する。
図1は本発明の実施の一例を示す斜視図、図2はその平面図である。この苗植段積み装置1は、苗箱供給コンベヤ2と、苗箱搬出コンベヤ3とが互いに隣接して平行に配置されていて、この苗箱搬出コンベヤ3は2枚の苗箱をその長手方向を左右横向きとして搬送できる幅を有するように構成されている。苗箱供給コンベヤ2の取上げ位置A1,A2,A3に供給された苗箱C,C,…を、苗箱搬出コンベヤ3の第1段積み位置B1,B2,B3,第2段積み位置B1’,B2’,B3’に段積みする段積みロボット4が設けられている。
【0012】
苗箱供給コンベヤ2は、1枚の苗箱の長手方向を左右方向にして搬送できる幅を有するローラコンベヤで構成されていて、前記取上げ位置A1,A2,A3で夫れ夫れの苗箱C,C,…を停止させる第1・第2・第3苗箱ストッパ5,6,7が設けられている。第1苗箱ストッパ5は固定状態で設けられているが、第2・第3苗箱ストッパ6,7は苗箱供給コンベヤ2の搬送面よりも下方に引っ込み可能に構成されている。
【0013】
苗箱搬出コンベヤ3は、パレット供給装置8により供給される苗箱段積み用のパレットPを一対のベルト3a,3a上に載せて搬送するように構成されている。パレットPは、長手方向を左右方向にした苗箱を横方向に2列、縦方向に3列、合計6枚並べる広さを有している。このパレットPの各苗箱C,C,…の並べ位置が前記第1段積み位置B1,B2,B3、第2段積み位置B1’,B2’,B3’と合致するパレット停止位置でパレットPを停止させるように第1パレットストッパ9が設けられており、この第1パレットストッパ9は苗箱搬出コンベヤ3の搬送面よりも下方に引っ込み可能に構成されている。また、苗箱搬出コンベヤ3の終端部には、パレットPを停止させる第2パレットストッパ10が固定状態で設けられている。
【0014】
段積みロボット4は、中間部で折り曲げ可能なロボットアーム4aの先端部に、二段重ねにした苗箱C,Cの長手方向両端部を挟持し保持することのできる3組の苗箱チャック4b,4b,4bが設けられている。ロボットアーム4a全体を上下に回動したり、あるいは、ロボットアーム4aの折り曲げ角度を変更することにより、各苗箱チャック4b,4b,4bを前記取上げ位置と段積み位置との間を移動させると共に、移動位置を上下に調節できる構成である。
【0015】
苗箱供給コンベヤ2の始端部における苗箱搬出コンベヤ3の反対側には、播種機(図示省略)等が設置されており、この播種機の下方に苗箱搬送コンベヤ12が配置されていて、苗箱搬送コンベヤ12の終端部が苗箱供給コンベヤ2の終端部に直交するように接続されている。苗箱搬送コンベヤ12の始端部で苗箱は長手方向が搬送方向に沿った状態で載置搬送され、搬送される途中で、床土供給装置(図示省略)により床土が苗箱Cに供給され、以下順次鎮圧・均平装置(図示省略)による床土の鎮圧均平作業、灌水装置(図示省略)による灌水作業、播種装置(図示省略)による播種作業、覆土供給装置(図示省略)による覆土作業がなされ、苗箱搬送コンベヤ12の終端部に搬送される構成である。
【0016】
苗箱搬送コンベヤ12の途中から終端までの部分は、早送りコンベヤ12aに構成されていて、途中までは苗箱を隙間なく連続状態で搬送し、早送りコンベヤ12aでは各苗箱C,C,…の間に隙間ができるように搬送できる構成である。そして、早送りコンベヤ12aの中途部に、1枚づつ搬送されてくる苗箱を2段に積み重ねる苗箱積重ね装置13が設けられている。なお、苗箱積重ね装置13の搬送手前側に、苗箱内の床土表面をならすブラシ装置14が設けられている。
【0017】
前記苗箱積重ね装置13は、図3及び図4に示すように構成されている。苗箱搬送コンベヤ12の苗箱搬送路を挟んで左右両側前後に回転自在に設けられている上・下スプロケット13a,…、13b,…、上・下スプロケット13a,13bに巻き掛けているリフトチエン13c,…、リフトチエン13c,…に所定間隔毎に設けているリフト爪13d,13d,…により構成されている。
【0018】
そして、左右のリフト爪13d,…には、例えば、屈曲自在の搬送方向に沿った案内具31が後記の段積み苗箱送り出し装置30の送り出し爪30d,30dに衝突しない位置に夫れ夫れ設けられている。この案内具31の搬送上手側端部を、リフト爪13d,13dに支持されつつ苗箱Cの下手側端部よりも搬送上手側に少し突出させ、また、苗箱搬送コンベヤ12のフレームの左右両側部に作動ピン32,32を夫れ夫れ設けている。
【0019】
しかして、左右のリフト爪13d,…が搬送面に沿った苗箱受入れ位置に移動すると、作動ピン32,32により案内具31の端部が斜め下方に屈曲し、搬送されてくる苗箱先端部が屈曲面に案内されながら円滑にリフト爪13d,…に載替えられ、苗箱の段積みを円滑に行なうことができる。なお、前記案内具31に代えて、単に剛性板体の搬送下手側端部を斜め下方に屈折する構成としてもよい。
【0020】
従来の苗箱積重ね装置のリフト爪13d,…はリフトチエン13c,13cに取り付けているため、リフト爪13d,…の取り付け位置をチエンのピッチ単位でしか変更できなく、しかも、数年使用し変形した苗箱には取り付け間隔が対応できないという不具合が発生することがあった。また、苗箱の段積み押出し時に、苗箱の搬送上手側中間部が垂れ下がっているものでは、垂れ下がり部下端がリフト爪に引っ掛かり、押出できないという不具合も発生していた。
【0021】
しかし、前記のように構成したので、苗箱が変形したり、垂れ下がったりしていても、案内具31の端部が斜め下方に屈曲していて、搬送される苗箱先端部が屈曲面に案内されながら円滑にリフト爪13d,…に載替えられ、苗箱の段積みを円滑に行なうことができる。
【0022】
苗箱搬送コンベヤ12により苗箱Cが搬送されストッパにより所定位置に停止されると、苗箱検出センサである第1フォトセンサPH1が苗箱Cの到着を検出して制御部に入力し、制御部からの指令により持ち上げモータ(図示省略)が所定時間回転し、リフトチエン13c,…を1ピッチ上方に回動し、左右のリフト爪13d,13dが苗箱の左右縁部に係合して苗箱を持ち上げて停止する構成である。
【0023】
しかして、1枚目の苗箱が所定位置にくると、リフト爪13d,13dが苗箱の底部を支持して1ピッチ上昇して苗箱を持ち上げ、次いで、2枚目の苗箱が所定位置にくると、次ぎのリフト爪13d,13dが2枚目の苗箱を支持して1ピッチ上昇させ、リフト爪13d,13dで支持した状態で苗箱を積み重ねていく。
【0024】
このようにして2段に段積みされた苗箱C,Cは、図5に示すように、段積み苗箱送り出し装置30により苗箱搬送コンベヤ12の終端側に送り出される。この段積み苗箱送り出し装置30は、苗箱搬送コンベヤ12の上方における搬送方向前後に設けられている前・後送り出しスプロケット30a,30b、前・後送り出しスプロケット30a,30bに巻き掛けられている送り出しチエン30c、送り出しチエン30cに取り付けられている送り出し爪30d,30dにより構成されている。
【0025】
しかして、前・後送り出しスプロケット30a,30bを駆動する送り出しモータ(図示省略)は制御部(図示省略)からの指令により、回転あるいは停止(減速回転)しながら回転駆動され、送り出しチエン30cが矢印方向に回転しながら送り出し爪30dにより段積み苗箱C,Cを下手側に送り出す構成である。
【0026】
また、図6に示すように、苗箱の検出・停止センサである第1フォトセンサPH1より所定距離下手側位置に、加速位置検出センサPH9を設け、苗箱停止位置から加速位置検出センサPH9までの間は、図6(1)(A)に示すように、段積み苗箱送り出し装置30により所定の比較的遅い一定の速度で送り出し、次いで、加速位置検出センサPH9が苗箱先端の到達を検出すると、図6(1)(B)に示すように、所定高速まで加速しながら送り出し、次いで、図6(1)(C)に示すように、所定高速値を維持し連続して押し出すように構成してもよい。なお、図6(2)は送り出し速度を示すグラフである。
【0027】
段積み苗箱送り出し装置30により苗箱を停止位置から押し出すにあたり、停止位置から一定速度で所定の高速まで加速する構成であると、加速時間を長くすると、苗箱を円滑に押し出すことができるが能率が低下し、また、短くすると苗箱送り出し開始時に高速となり、苗箱の土に偏りが生じるという不具合が生じる。しかし、前記のようにすることにより、このような不具合を解消することができる。
【0028】
また、図7に示すように、段積み苗箱送り出し装置30の送り出し爪30d,30dに、衝撃吸収装置33を設け、苗箱送り出し開始時の衝撃を吸収するもようし構成してもよい。即ち、送り出し爪30d,30dの押出し部には、例えば、スプリング33aを介して押出し板33bを取り付ける。このように構成することにより、苗箱の送り出し開始時の衝撃を吸収し、床土の偏りを防止しながら能率的に段積み苗箱を送り出すことができる。
【0029】
また、苗箱搬送コンベヤ12の終端部には、搬送されてくる苗箱を受けとめて停止させる苗箱ストッパ16と、この苗箱ストッパ16により停止された苗箱を苗箱供給コンベヤ2上に押し出す押出しシリンダ17とが設けられている。
この苗箱段積み装置1には、苗箱の有無を検出する第1〜第8フォトセンサPH1〜PH8が8個適所に設けられていて、その検出結果に基づき各部の作動を制御する。以下、苗箱の段積み作動を説明する。
【0030】
苗箱搬送コンベヤ12により搬送されて、1枚目の苗箱が苗箱積重ね装置13まで搬送されて第1フォトセンサPH1がONになると、苗箱積重ね装置13のリフト爪が作動して当該苗箱を持ち上げ、2枚目の苗箱が苗箱積重ね装置の下方まで搬送されて第1フォトセンサPH1が再度ONすると、次のリフト爪が2枚目の苗箱を持ち上げ2枚の苗箱を積み重ねる。苗箱積重ね装置13は前記の作動を繰り返して、苗箱を二段あるいは三段に積み重ねていく。
【0031】
苗箱積重ね装置13によって二段重ねにされた苗箱は、苗箱搬送コンベヤ12の終端部で苗箱ストッパ16に受け止められて停止する。苗箱が苗箱搬送コンベヤ12の終端部に到達し、第2フォトセンサPH2がONすると、押出しシリンダ17が突出作動して苗箱を苗箱供給コンベヤ2上に押し出し、その後押出しシリンダ17は引っ込む。
【0032】
押出しシリンダ17によって苗箱供給コンベヤ2上に押し出された2段重ねの苗箱は、第1・第2・第3取上げ位置A1,A2,A3に向けて搬送される。初期状態では、第2苗箱ストッパ6及び第3苗箱ストッパ7は搬送面よりも下方に引っ込んだ状態になっており、1回目の苗箱は終端側の第第1取上げ位置A1まで搬送され、第1苗箱ストッパ5により停止される。これにより第3フォトセンサPH3がONすると、第2苗箱ストッパ6が苗箱供給コンベヤ2の搬送面よりも上方に突出する。このため、2回目の苗箱は第2取上げ位置A2まで搬送され、第2苗箱ストッパ6により停止される。これにより第4フォトセンサPH4がONすると、第3苗箱ストッパ7が苗箱供給コンベヤ2の搬送面よりも上方に突出する。このため、3回目の苗箱は第3取上げ位置A3まで搬送され、第3苗箱ストッパ7により停止される。これにより、第5フォトセンサPH5がONになる。
【0033】
前記のようにして、第1・第2・第3取上げ位置A1,A2,A3に2段重ねの苗箱が供給され、第3・第4・第5フォトセンサPH3,PH4,PH5がONになると、段積みロボット4が所定の作動を行い、各取上げ位置の苗箱を後述する苗箱搬出コンベヤ3の適正位置に載替えていく。具体的には、3組の苗箱チャック4b,4b,4bが開いた状態で取上げ位置に移動し、そこで苗箱チャック4b,4b,4bが閉じて苗箱を挟持し、次いで苗箱を挟持した苗箱チャック4b,4b,4bが苗箱搬出コンベヤ3上の適正位置まで移動し、そこで苗箱チャック4b,4b,4bが開いて苗箱を解放するように作動する。
【0034】
苗箱チャック4b,4b,4bを苗箱供給コンベヤ2の取上げ位置から苗箱搬出コンベヤ3上の適正位置へ移動させるためにロボットアーム4aが作動した時点において、第3・第4・第5フォトセンサPH3,PH4,PH5のいずれかがONし苗箱有りを検出した場合には、「異常」として苗箱段積み装置全体を停止させる。
【0035】
第3・第4・第5フォトセンサPH3,PH4,PH5のいずれもがOFFの場合は、「正常」であると判断し、第2苗箱ストッパ6及び第3苗箱ストッパ7を苗箱供給コンベヤ2の搬送面よりも下方に引っ込ませる。これにより苗箱供給コンベヤ2は初期状態となり、前記と同様に、第1・第2・第3取上げ位置A1,A2,A3に二段重ねの苗箱が夫れ夫れ供給される。
【0036】
パレット供給装置8は、第6フォトセンサPH6がOFFになるとき、苗箱搬出コンベヤ3にパレットPを供給する。このパレットPがパレット停止位置まで移動すると、苗箱搬出コンベヤ3の搬送面よりも上方に突出した状態にある第1パレットストッパ9により受け止められて停止する。これにより、第6フォトセンサPH6、第7フォトセンサPH7がONになり、苗箱搬出コンベヤ3が停止し、段積みロボット4がパレットPに苗箱の段積みを開始する。段積みロボット4による苗箱の段積みは、次のようにして実行される。
【0037】
1組目の苗箱は苗箱供給コンベヤ2から遠い側の第2段積み位置B1,B2,B3に苗箱を載置する。2組目の苗箱は1組目の苗箱の上に載置される。以下同様にして、所定段数になるまで苗箱を段積みする。そして、第2段積み位置B1,B2,B3に苗箱が所定段数積重ねられると、次いで、苗箱供給コンベヤ2から近い側の第1段積み位置B1’,B2’,B3’に苗箱を段積みする。
【0038】
しかして、第1・第2段積み位置B1,B2,B3、B1’,B2’,B3’に苗箱が所定段数ずつ段積みされた時点で、第8フォトセンサPH8がOFFである場合は、第1パレットストッパ9が下降すると共に、苗箱搬出コンベヤ3が作動する。この時点で、第8フォトセンサPH8がONの場合には、そのままの状態を保持する。苗箱搬出コンベヤ3の終端部まで搬送されたパレットPは、第2パレットストッパ10によって受け止められて停止する。
【0039】
次に、図8に基づき、段積みロボット4における3組の苗箱チャック4b,4b,4bで苗箱を挟む際に苗箱の段積み状態をきちんと揃える苗箱規制装置について説明する。
中間部折り曲げ可能なロボットアーム4aの先端部に、二段重ねにした苗箱C,Cの長手方向両端部を挟持し保持することのできる3組の苗箱チャック4b,4b,4bが設けられている。この苗箱チャック4bは一対の前・後苗箱チャック40,40により構成されていて、例えば、挟持シリンダにより構成されている挟持駆動手段21を伸縮することにより、前・後苗箱チャック40,40を苗箱の長手方向に互いに接近させたり、あるいは、離間させて、苗箱Cの短辺部の中央凹部C1,C1を挟んだり、解放したりする構成である。
【0040】
また、ロボットアーム4aの先端フレーム部41には、前・後苗箱チャック40,40で挟む苗箱Cの四隅部に対向して苗箱規制装置22,22,…を設け、規制シリンダにより構成されている規制駆動手段23,23,…を伸縮することにより、苗箱規制装置22,22,…を苗箱の長手方向に互いに接近させたり、あるいは、離間させて、苗箱Cの四隅部を互いに内側に移動し、二段の苗箱C,Cを揃えきちんと重なった状態に修正するものである。
【0041】
従って、苗箱を苗箱チャック4b,4bにより掴むにあたり、初めに、苗箱規制装置22,22,…で二段の苗箱C,Cをきちんと積み重なった状態に修正し、次いで、苗箱チャック4b,4bで苗箱C,Cを掴むことにより、掴み損ないを少なくして能率的に苗箱の段積みをすることができる。
【0042】
また、図9に示すように、前・後苗箱チャック40,40の左右両端部に苗箱規制ガイド34,34を設けて、前・後苗箱チャック40,40により苗箱を挟持する際に、苗箱規制ガイド34,34により苗箱Cの四隅部を挟み込み、上下の苗箱のずれを修正する構成としてもよい。
【0043】
一対の前・後苗箱チャック40,40を、例えば、挟持シリンダにより構成されている挟持駆動手段21を伸縮する構成とし、前・後苗箱チャック40,40の左右両端部に苗箱規制ガイド34,34を設ける。この苗箱規制ガイド34,34には、中央に向かうほど外側に広がるガイド面34aを構成している。
【0044】
しかして、前・後苗箱チャック40,40を互いに接近させたり、あるいは、離間させて、苗箱Cの短辺部の中央凹部C1,C1を挟んだり、解放したりする際に、苗箱規制ガイド34,34が中央側に接近移動すると、左右のガイド面34aによりずれた苗箱を内側に案内し、ずれを修正することができる。
【0045】
また、苗箱自動段積み装置の作業中に、トラブル等の理由で、手動停止や自動停止させることがある。このような一時停止後の再起動時には、後工程から順次起動するように構成するとよい。即ち、再起動時には、初めに、ロボットアーム4aを段積み苗箱が搬送されても支障のない所定の再起動開始位置まで移動させ、次いで、苗箱搬出コンベヤ3を作動し、以下順次、苗箱供給コンベヤ2、苗箱送り出し装置30、苗箱積重ね装置13、苗箱搬送コンベヤ12の早送りコンベヤ12a、播種機(図示省略)を作動させる。このように構成することにより、苗箱自動段積み装置内の苗箱を取り除くような作業をすることなく、作業を再開できる。
【0046】
次に、図10に基づき播種装置の他の実施例について説明する。
この実施例は、水稲用と野菜用の兼用の播種装置において、水稲用の播種時には、床土コンベヤ35aを播種・覆土コンベヤ35bよりも速く搬送するように設定し、野菜用の播種時には、床土コンベヤ35aを播種・覆土コンベヤ35bよりも遅く搬送するように設定し、播種作業の能率の向上及び搬送制御の簡素化を図ろうとするものである。
【0047】
移送上手側の搬送コンベヤ35の始端部に載せられた苗箱Cには、水稲用の播種作業では、搬送中に床土供給装置36による床土詰込作業、鎮圧・均平装置37による鎮圧・均平作業、第1灌水装置38による灌水作業、水稲用の繰出型播種装置40による播種作業、覆土供給装置41による覆土作業が順次なされ、播種作業が終了する。また、野菜用の播種作業にあっては、床土供給装置36による床土詰込作業、野菜用の点播型播種装置39による播種作業、覆土供給装置41による覆土作業、第2灌水装置42による灌水作業が順次なされ作業が終了する。
【0048】
搬送コンベヤ35は、始端側の床土コンベヤ35aと終端側の播種・覆土コンベヤ35bとで構成されていて、これらのコンベヤは駆動モータの回転数を調節し搬送速度を調節できる構成としている。そして、野菜水稲切替スイッチ(図示省略)の切替操作に関連して、夫れ夫れの駆動用モータの回転数が制御部の指令により調節設定される。即ち、水稲用播種への切替時には、例えば、床土コンベヤ35aの速度(906cm/分)を播種・覆土コンベヤ35bの速度(87cm/分)よりも速く搬送するようにモータの回転数が設定され、また、野菜用播種への切替時には、例えば、床土コンベヤ35aの速度(188cm/分)を播種・覆土コンベヤ35bの速度(262cm/分)よりも遅く設定される構成である。
【0049】
従って、野菜水稲切替スイッチ(図示省略)の水稲用播種への切替時には、床土コンベヤ35aが播種・覆土コンベヤ35bよりも速く搬送し、播種・覆土作業時に先行の苗箱に後続の苗箱が追いついて接続状態となり、覆土作業のロスを防止できる。また、野菜用播種への切替時には、床土コンベヤ35aが播種・覆土コンベヤ35bよりも遅く搬送し、播種・覆土コンベヤ35b上の苗箱相互間にすき間が生じ、野菜用の点播型播種装置39の播種ノズルが間欠作動しながら播種作業をする時に、床土コンベヤ35aを低速連続搬送とすることができて、間欠駆動に代えることができる。
【0050】
次に、図11〜図15に基づき搬送コンベヤ35への苗箱供給装置について説明する。
この苗箱供給装置は、積重ね状態の苗箱を苗箱ストックコンベヤ46から播種機44への苗箱供給コンベヤ45上に1個ずつ苗箱を落下供給するものである。
【0051】
播種コンベヤ43の上方に播種機44を設け、播種コンベヤ43の始端部に苗箱供給コンベヤ45を臨ませ、苗箱供給コンベヤ45は播種コンベヤ43よりも速く送る構成としている。
苗箱ストックコンベヤ46の終端部に苗箱挿入装置47を臨ませている。苗箱挿入装置47は、苗箱ストックコンベヤ46の終端部に送られてきた苗箱Cを受け止めるストッパ47aと、苗箱Cを苗箱受取供給装置48に挿入する押込み板47bと、挿入シリンダ47cから構成されている。
【0052】
苗箱受取供給装置48は、図13に示すように、苗箱挿入装置47から挿入されてくる段積み苗箱を受け取る苗箱受取部48a(この苗箱受取部48aは、苗箱の底面部を受ける底面受部48bと、苗箱の左右側面を受け止めガイドする側面受部48cで構成されている。)と、苗箱受けシリンダ48dから構成されている。苗箱落下供給装置49は、苗箱落下経路部50を挟んで両側に設けられた上下2組の上・下苗箱落下供給シリンダ49a,49bと、シリンダに伸縮自在のピストンロッド49c,…に設けられている側面視L型の受止板49d,…とから構成されている。
【0053】
しかして、苗箱受取供給装置48から開放された苗箱は、一旦上苗箱落下供給用シリンダ49a,49aの受止板49d,49dに受け止め保持される。そして、2組のシリンダが関連的な進入・退避作動を繰り返すことにより、下側の苗箱から順次1個ずつ苗箱供給コンベヤ45上に落下供給される。
【0054】
そして、図14に示すように、苗箱挿入装置47と苗箱受取供給装置48との間の苗箱挿入経路51には、苗箱の左右側面を案内する挿入ガイド板51,51が設けられている。この挿入ガイド板52,52は、図15に示すように、基部52aに対して先端ガイド部52bをヒンジ53により回動自在に連結し、バネ54によりL字型に屈折するように付勢している。
【0055】
しかして、苗箱の押出し時には、苗箱Cが押し出されると、図15(1)に示すように、先端ガイド部52b,52bがバネ54に抗して左右外側に回動し、基部ガイド52a,52aに沿う状態となり、苗箱Cをガイドしながら押出す。また、苗箱Cの押出しが終了すると、図15(2)に示すように、先端ガイド部52bはバネ54によりL字型に屈折回動し、苗箱受取供給装置48が段積み苗箱を落下供給する際の移動防止用のガイドとなり、苗箱の供給を円滑にすることができる。苗箱挿入装置47から挿入する段積み苗箱が少なくなると、挿入される苗箱の移動量が大きくなり、段積み苗箱が傾くことがあるが、この傾きを屈折状態の先端ガイド部52bが受け、苗箱の傾倒落下を防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体の斜視図である。
【図2】 全体の平面図である。
【図3】 要部の正面図、側面図である。
【図4】 要部の側面図である。
【図5】 要部の側面図である。
【図6】 要部の側面図、グラフである。
【図7】 要部の側面図である。
【図8】 要部の側面図、正面図、平面図である。
【図9】 要部の平面図である。
【図10】 全体の側面図である。
【図11】 要部の側面図である。
【図12】 要部の平面図である。
【図13】 要部の正面図である。
【図14】 要部の平面図である。
【図15】 要部の平面図である。
【符号の説明】
1 苗箱段積み装置
2 苗箱供給コンベヤ
3 苗箱搬出コンベヤ
4 段積みロボット
4a ロボットアーム
4b 苗箱チャック
12 苗箱搬出コンベヤ
13 苗箱積重ね装置
30 段積み苗箱送り出し装置
30c 送り出しチエン(送り出し無端帯)
30d 送り出し爪
31 案内具
32 作動ピン
Claims (4)
- 水稲用の播種作業では、搬送コンベヤで搬送中の苗箱(C)に、床土供給装置(36)による床土詰込作業、水稲用の繰出型播種装置(40)による播種作業、覆土供給装置(41)による覆土作業が順次行われ、野菜用の播種作業では、搬送コンベヤで搬送中の苗箱(C)に、床土供給装置(36)による床土詰込作業、野菜用の点播型播種装置(39)による播種作業、覆土供給装置(41)による覆土作業が順次行われる構成とし、搬送コンベアを始端側の床土コンベヤ(35a)と終端側の播種・覆土コンベヤ(35b)で構成し、水稲用の播種作業では、床土コンベヤ(35a)の速度を播種・覆土コンベヤ(35b)の速度よりも速く設定し、野菜用の播種作業では、床土コンベヤ(35a)の速度を播種・覆土コンベヤ(35b)の速度よりも遅く設定する構成とし、搬送コンベヤで送られてきた苗箱を複数段に積み重ねてコンベヤの上方で保持する苗箱積重ね装置(13)を設け、前記苗箱積重ね装置(13)により積重ねて保持されている苗箱(C)を下手側に送り出す段積み苗箱送り出し装置(30)を設け、前記苗箱積重ね装置(13)の苗箱(C)を持ち上げる左右のリフト爪(13d)には、搬送上手側ほど斜め下方に傾斜している案内具(31)を設け、苗箱送り出し装置(30)で送り出された複数段の苗箱(C)を一対の苗箱チャック(40)が取り上げて移動して段積みする段積みロボット(4)を設けたことを特徴とする育苗施設。
- 苗箱チャック(40)の両端部には、外側に広がるガイド面(34a)を備えて苗箱(C)の四隅部を規制する苗箱規制ガイド(34)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の育苗施設。
- 案内具(31)を屈曲自在に構成し、リフト爪(13d)の苗箱搬送コンベヤ(12)の搬送面への移動に関連して前記案内具(31)の搬送上手側端部が作動部材(32)に当たることにより、案内具(31)の搬送上手側端部を斜め下方に傾斜させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の育苗施設。
- 一時停止後の再起動時には、先ず段積みロボット(4)のロボットアーム(4a)を段積み苗箱が搬送されても支障のない所定の位置まで移動し、以下、段積み苗箱送り出し装置(30)、苗箱積重ね装置(13)を順次作動させる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の育苗施設。
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