JP4770041B2 - 基板搬送用ハンドおよびカラーフィルター製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば液晶ディスプレイ用カラーフィルター、光学フィルター、プラズマディスプレイ用パネルの製造分野に好ましく使用されるものであり、詳しくは、ガラス基板などの板状ワークの表面に塗液を塗布した後、乾燥装置に搬送するまでの手段に使用される基板搬送用ハンドおよび基板搬送方法ならびにカラーフィルター製造装置および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記カラーフィルターの製造工程には、ガラス基板上に画素となる黒、赤、青、緑の各ペースト、レジスト液、最終的に塗膜面に平滑性を与えるオーバーコート剤などの塗液を塗布する工程がある。これらの工程では、塗布装置へのガラス基板搬入、搬出に、ガラス基板を基板搬送用ハンドで保持して水平、回転、昇降移動できる自動搬送装置を用いている。
【0003】
従来、低粘度の塗液を塗布した後の基板搬送用に適用されている基板搬送用ハンドとして、特開平10−146784号公報、特開平11−254374号公報などに記載されているように、基板の周縁部を支持または真空吸着して、基板製品部の裏面に基板保持部材を配置せずに基板を搬送するものがある。これらのハンドを用いれば、塗膜内の製品部に、真空吸着やハンドの基板支持部材に起因する乾燥むらなどの塗布欠点が生じることがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の基板搬送用ハンドを用いて、各辺の長さが550mm以上、厚みが1mm以下の大型基板を搬送した場合、たわみが大きくなり、4辺の周縁部をすべて把持して搬送しても5mm以上の基板たわみが発生し、搬送中に基板が割れることがある。また、0.05Pa・s以下の低粘度液体が塗布され基板では、たわみにより基板上に塗布された塗液が流動して膜厚むらを引き起こす。
【0005】
さらに、基板周縁部で吸着により基板を把持した場合、塗液によっては塗膜面の吸着跡が基板周縁部から基板面内の製品部まで拡がり、品質上の欠点となることがある。
【0006】
そこで、基板たわみの低減および吸着跡の防止のために、基板周縁部および基板面内を吸着せずに支持するだけの構成のハンドを用いて基板を搬送した場合、基板たわみの抑制および吸着跡の防止に効果はあるが、塗膜面に基板面内を支持する支持部材に起因する乾燥むらが発生して、品質上の欠点となる。
【0007】
この発明は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、各辺の長さ550mm以上、厚みが1mm以下の大型基板を、0.05Pa・s以下の低粘度液体を塗布した直後に搬送しても、吸着跡、乾燥むらなどの塗膜の欠点を引き起こすことなく、さらに、基板たわみを抑制して、搬送中の基板の割れ、塗液の流動による膜厚むらを防止できる基板搬送用ハンドおよび基板搬送方法ならびにこれらを用いたカラーフィルター製造装置および製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は以下の構成を採用することによって達成される。すなわち、(1)自動搬送装置に取り付けられて、上面である表面に塗液が塗布された板状基板を把持して真空乾燥機に移送する基板搬送用ハンドにおいて、昇降移動できるよう基板裏面を支持する面内支持部材と、該面内支持部材で支持される基板裏面から10mm以上離間して設けられた炭素繊維強化樹脂を用いた面内支持用アームを有することを特徴とする基板搬送用ハンド。
【0009】
(2)さらに、前記板状基板の周縁部を支持する周縁支持部材を有し、該周縁支持部材は前記板状基板の端面をガイドする基板ガイド部と、基板裏面を支持する基板受け部を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送用ハンド。
【0010】
(3)前記(1)または(2)に記載の基板搬送用ハンドを、塗布した基板を真空乾燥する真空乾燥装置に移送するまでの手段に用いたことを特徴とするカラーフィルター製造装置。
【0014】
上記発明にかかる基板搬送用ハンドによれば、塗布直後の基板に対して、基板面内に配されるアームと基板を10mm以上離間して搬送するので、塗膜面内にアーム跡等の乾燥むらを防止する。また、基板のたわみを抑制して搬送できるので、搬送中の塗液の流動による膜厚むらを防止する。
【0015】
さらに、上記発明に係るカラーフィルター製造装置によれば、この発明の基板搬送装置を用いて、製品面内に色むら、膜厚むらのない塗膜面を作成できるので、品質の高いカラーフィルターを製造できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明の基板搬送用ハンドを自動搬送装置に取り付けたときの一例を示す概略斜視図、図2は基板面内の基板支持部の拡大側面図、図3は基板周縁部での基板把持部の拡大側面図であり、図4は基板角部での基板把持部の拡大斜視図である。
【0018】
図1を用いて説明すると、基板搬送用ハンド10は、ベースプレート11と、ベースプレート11に接合されて基板100を把持する面内把持部20および周縁把持部30A、30Bから構成されて、自動搬送装置1のハンド取付部2に取り付けられている。
【0019】
面内把持部20は基板面内の裏面側に配された面内支持用アーム21と、基板100の裏面を支持する面内支持部材22からなり、面内支持用アーム21と基板100との距離Dを10mm以上確保する。
【0020】
距離Dを10mm未満にして、0.05Pa・s以下の低粘度塗液が塗布された基板を搬送した時、基板面内で温度むら、帯電むらが発生することにより、基板上で塗液の流動が起こり、塗膜面に面内支持用アーム21の形状を転写した乾燥むらが発生することがある。この乾燥むらは、通常、塗布後の基板をナトリウムランプの光を反射させると観察でき、0.01Pa・s以下の低粘度塗液では、ナトリウムランプ下だけでなく、室内用蛍光灯の光を透過させても目視で観察できることがあり、重大な品質低下に結びつく。
【0021】
そこで、面内支持用アーム21と基板100との距離Dを10mm以上確保することにより、基板面内の温度むら、帯電むらなどを防止して、面内支持用アーム21の形状を転写したような乾燥むらを防止する。
【0022】
図2を参照すると、面内支持部材22は、基板裏面を支持する支持ピン23と、該支持ピン23が取り付けられて面内支持用アーム21にボルト25によって接合された支持ピン保持部材24からなる。支持ピン23の材質は、基板裏面に傷を付けないように樹脂製が良く、より好ましくは耐摩耗性の良好なポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、ピークを用いる。また、支持ピン23の形状としては、いかなるものでも良いが、基板100と接触する面積をなるべく小さくし、さらに摩耗が少なくなるように基板100との接触部を曲面にするのが好ましい。
【0023】
なお、支持ピン保持部材24と支持ピン23との接合は、嵌合、ボルト接合などいかなるものでも良い。また、支持ピン保持部材24と支持ピン23を一体化した構成でも良い。
【0024】
次に、図1に戻ると、周縁把持部30A、30Bは、基板100の基板端辺100A、100Bに並行して、その近傍に配された周縁支持用アーム31A、31Bと、周縁支持用アーム31A、31Bに接合されて、基板周縁部の基板裏面側を支持する周縁支持部材32A、32Bからなる。
【0025】
図3、図4を参照すると、周縁支持部材32A、32Bは、支持母材33と、これに対向する基板端辺と平行に移動、案内できるガイド34から構成されている。支持母材33には、基板受け部35、基板ガイド部36、基板対面部37が備えられている。また、図4に示すように、基板角部ではL型ブラケット40を介して、基板支持部材32A、32Bが周縁支持用アーム31A、31Bに取り付けられている。
【0026】
ここで、基板受け部35が基板裏面を支持する位置は、基板端辺より20mm以内にすることが好ましい。これは、基板端辺より20mm以内を除く領域は製品部になる可能性が高く、この製品部に基板受け部による接触跡を発生させないためである。さらに、吸着を用いずに支持する構成であるから、塗膜面内に吸着跡が発生することはない。
【0027】
基板受け部35の形状はいかなるものでも良いが、基板と接触することによる摩耗を少なくするために先端を曲面にするのが好ましい。
【0028】
基板ガイド部36は上部に向かうほど対向する基板端辺と離反するように傾斜した形状になっており、基板受取時に基板の位置が多少ずれている場合でも、この傾斜に沿って、基板対面部37に囲われる部分に基板をガイドできる。また、基板対面部37は基板受け部35上に支持されている基板端辺と接触できるように配されており、基板を直進、上昇、回転して、基板に慣性が付加されたとき、所定の位置から基板がずれるのを防止する。基板端辺と基板対面部37との隙間は0.05mm〜2mmにするのが好ましい。
【0029】
支持母材33は、周縁支持用アーム32A、32B、もしくはL型ブラケット40に固定した板状のガイド34に沿って移動でき、所望の位置でボルト38により固定される。これによって、基板の支持位置を変えることができ、基板表面に形成するアライメントマークなどの文字部を避けることができる。
【0030】
支持母材33の材質としては、基板を傷つけないためにも樹脂製が好ましく、また基板および塗液との接触を考慮して、耐薬品性、耐摩耗性が良好なものを選定すれば良い。具体的な材質として、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂(”テフロン”)、ピークなどが好ましい。
【0031】
この実施形態では基板受け部35は、支持母材33の一部として構成されているが、交換、メンテナンスなどを考慮して、基板受け部35と支持母材33をボルト接合、嵌合などにより着脱可能にしても良い。
【0032】
再度、図1を用いて説明すると、面内支持用アーム21および周縁支持用アーム31A、31Bと、ベースプレート11との結合は、ボルト接合の他、嵌合などを用いて、位置決めガイド部材12および13A、13Bがベースプレート11に面内支持用アーム21、周縁支持用アーム31A、31Bに沿うように取り付けられている。これにより、面内支持用アーム21、周縁支持用アーム31A、31Bが所定の位置に位置決めされるとともに、基板搬送用ハンド10が高速で移動、回転しても各アーム21、31A、31Bの位置がずれないので、基板100を常に定まった位置で把持できるようになる。
【0033】
なお、ベースプレート11の形状、材質としては、曲げ剛性、ねじれ剛性が高く、かつ、軽量であるものが良く、アルミ合金、チタン合金などの板材、中空材、アングル材などが好ましい。
【0034】
一方、面内支持用アーム21および周縁支持用アーム31A、31Bの材質、形状としては、長手方向に曲げ剛性が高く、かつ、軽量であるものが良く、アルミ合金、チタン合金、炭素繊維強化樹脂などの板材、中空材、アングル材などを用いるのが好ましい。特に、基板の大型化に対応して、長手方向に700mm以上必要な場合、炭素繊維強化樹脂の中空材を用いれば、高剛性化と軽量化がともに容易に得られる。
【0035】
なお、図1に示す本実施形態では1列の面内把持部20と、2列の周縁把持部30A、30Bを備えた構成であるが、基板たわみを極力抑制するために2列以上の面内把持部を備えて、基板面内の支持位置を増やしても良い。さらに、基板周縁部を支持したくない場合は、2列以上の面内把持部を備えて、基板周縁部では基板端辺をガイドする手段のみ備えた構成にしても良い。
【0036】
なお、基板内の製品面取り形態の変更に合わせて、支持ピン23の配置は変更できるようにしておくのが好ましい。図5は、基板内の製品面取りを2面取りおよび9面取りにしたときの支持位置の具体例である。ここでは支持ピン23が斜線で示す製品部以外の部分に接触するようにしている。この支持位置の変更に対応できるように、面内支持用アーム21に面内支持部材22の取付部を所定位置に複数備えて、面内支持部材22を必要に応じて着脱できるようにしておく。これにより、生産中に面取り形態の変更があった場合、製品部以外を支持できるように面内支持部材22の位置を変更すれば、斜線で示す製品部に面内支持部材22の跡が発生するのを防止できる。
【0037】
また、搬送される基板サイズが複数ある場合は、周縁支持用アーム31A、31Bとベースプレート11との接合箇所を基板幅に合わせて複数備えるとともに、さらに、周縁支持部材32A、32Bの取付位置を基板長さに合わせて複数備えることが好ましい。これにより、基板サイズ変更時には、周縁支持用アーム31A、31Bの位置、および、周縁支持部材32A、32Bの配置を変更するだけで良く、ハンド自体を交換する必要がない。
【0038】
次に本発明の基板搬送用ハンドを用いた基板搬送方法を図1を用いて説明する。ここでは、例として基板上に塗液を塗布して、乾燥手段に搬送するまでの移載工程を取り上げる。
【0039】
まず、塗布工程を終了して、所定の膜厚で上面に塗液が塗布された基板100は塗布装置側基板載置台150のリフトピン151で持ち上げられる。この状態で自動搬送装置1を駆動して、基板搬送用ハンド10を基板100の下部の所定の位置まで直進移動させて、停止させる。次に基板搬送用ハンド10を上昇させることにより、基板100を基板搬送用ハンド10で把持する。
【0040】
基板の受取動作で、基板の位置が多少ずれている場合でも図3、図4に示す基板ガイド部36により基板100は、基板対面部37に囲われる部分に誘導される。
【0041】
次に、基板受取動作を終えた基板搬送用ハンド10は自動搬送装置1により回転、直進、昇降を組み合わせて、乾燥工程につながる乾燥装置側基板載置台160のリフピン161上に基板100を搬送する。基板が所定の位置に移動し、停止した後、基板搬送用ハンド10を下降して、リフトピン161に基板を受け渡す。基板100の受渡後は基板搬送用ハンド10は後退して、上記の一連の動作の原点位置に復帰する。
【0042】
なお、この基板搬送方法では、基板の吸着、吸着解除にかかる動作が不要であるため、基板搬送に要する時間を短縮できる。
【0043】
本発明の基板搬送用ハンドは表面に塗液を塗布した基板の搬送に好ましく、特に、乾燥むらが発生しやすい0.05Pa・s以下の低粘度塗液を塗布した基板の搬送に用いるのが好ましい。低粘度塗液を塗布した基板では、基板面内のわずかな温度むら、帯電むらなどが基板上の塗液の流動、蒸発速度むらを発生させて、塗膜面の膜厚むら、乾燥むらなどを引き起こす。本発明の基板搬送用ハンドでは、基板面内に配されるアームを10mm以上離間させることで、基板面内で温度むら、帯電むらなどを発生させないので、膜厚むら、乾燥むらを防止できる。
【0044】
さらに、基板周縁部の把持だけでは5mm以上のたわみが発生する大型基板(各辺の長さが550mm以上、厚みが1mm以下)の搬送に、本発明の基板搬送用ハンドを好適に用いることができる。これによって、基板周縁部以外に基板面内を支持して搬送することになるので、基板たわみが抑制されて、塗液流動による膜厚むらを防止できる。
【0045】
さらに、基板周縁部を吸着を用いずに支持して、端辺をガイドする構成を組み合わせれば、塗膜面内に吸着跡を発生させることなく、さらに、高速で搬送しても基板の位置ずれなどの問題を起こすことがない。
【0046】
本発明適用の具体例としては、カラーフィルターの製造工程でのブラックマトリックス用ペースト、レッド、グリーン、ブルーの各画素用ペースト、さらには、レジスト液、オーバーコート液を枚葉塗布した後の乾燥工程への搬送手段などがある。
【0047】
【実施例】
実施例1
サイズが960×1100mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板(コーニング社製1737)上に、RGB画素数が3072(長手方向)×738(幅方向)、対角の長さが15.1インチ(長手方向に307mm、幅方向に231mm)となる格子形状で、厚さが1μmとなるブラックマトリックス膜を9面作成した。図6は、基板上のブラックマトリックス(製品部)と、本実施例での基板支持位置の面内配置を示したものである。基板搬送用ハンドの基板支持部材は非製品部となる領域に配置し、また、基板周縁部では基板端辺から20mmの位置を支持した。
【0048】
なお、ブラックマトリックス膜は、チタン酸窒化物を遮光材、ポリアミック酸をバインダーとして用いたものであった。
【0049】
続いてウェット洗浄によって基板上のパーティクルを除去後、ポリアミック酸をバインダー、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンと3−メチル−3−メトキシブタノールの混合物を溶媒、ピグメントレッド177を顔料にして固形分濃度5%で混合し、さらに粘度を0.01Pa・sに調整したカラーフィルター用R色の塗液を、ダイコート装置で40μm全面塗布した。
【0050】
次に、本発明の基板搬送用ハンドを用いて、ダイコート装置のステージから基板を受け取り、真空乾燥機のホットプレートまで搬送した。
【0051】
さらに、真空乾燥を80℃で60秒実施した後、固形分濃度10%、粘度0.008Pa・sのレジスト液をダイコート装置で10μm塗布後、上記と同様に、乾燥機まで基板搬送用ハンドを用いて搬送して、90℃のホットプレートで10分乾燥後、露光・現像・剥離を行って、R画素部にのみ色塗膜を残した。
【0052】
同様の色塗膜の形成をG、B色についても、ダイコート装置でそれぞれの色塗膜を形成した。ここでG色の塗液には、R色の塗液で顔料をピグメントグリーン36にして固形分濃度5%で粘度を0.01Pa・sに調整したもの、B色の塗液には、R色の塗液で顔料をピグメントブルー15にして固形分濃度5%で粘度を0.01Pa・sに調整したもの、を用いた。
【0053】
R、G、Bの画素膜形成後に260度のホットプレートで30分加熱して、キュアを行った。
【0054】
さらに、アクリル系樹脂、カップリング剤、エポキシ化合物、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテートを固形分濃度10%、粘度が0.005Pa・sになるように混合したオーバーコート剤を画素用ペーストと同条件で、ダイコート装置で10μm塗布した後、上記と同様に基板搬送用ハンドを用いて、真空乾燥機まで搬送して、80℃で60秒真空乾燥を実施した。
【0055】
そして最後にITOをスパッタリングで付着させた。
【0056】
以上の工程によりカラーフィルターを連続して100枚作成した。
【0057】
用いた基板搬送用ハンドの構成は、図1と同じであり、960×1100(mm)の基板サイズに適合するように構成されており、面内支持用アーム21は、基板幅方向の中央部に1列配されて、基板〜面内支持用アームの距離を10mmとした。また、基板支持位置の面内配置は、図6に示すように、全部で10箇所として、基板面内、基板周縁部ともに非製品部となる領域を支持した。また、基板周縁部の支持位置については、基板端辺より10mmの位置とした。
【0058】
各部材は、ベースプレート11に、断面が120×10(mm)のアルミ合金製板材、周縁支持用アーム31A、31Bおよび、面内支持用アーム21に、断面が20×20×t2(mm)の角パイプ形状の炭素繊維強化樹脂を用いて、基板を支持する周縁支持部材32A、32Bおよび面内支持部材22にはピークを用いた。
【0059】
なお、自動搬送装置1には5軸多間接ロボット(三菱電機製、GTR−1000)を用いた。
【0060】
100枚のカラーフィルターをナトリウムランプ下で観察したところ、製品部には、基板搬送用ハンドに起因した乾燥むらとなる欠点は全くなく、良好な品質のカラーフィルターが得られた。
【0061】
実施例2
ブラックマトリックス膜が全面に形成された、960×1100mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板(コーニング社製1737)に、アクリル系樹脂、カップリング剤、エポキシ化合物、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテートを混合した3種類のオーバーコート剤((1)濃度:10%、粘度:0.01Pa・s、(2)濃度:15%、粘度:0.05Pa・s、(3)濃度:20%、粘度:0.07Pa・s)を塗布した後、基板搬送用ハンドにて真空乾燥機まで搬送して、80℃で60秒真空乾燥した。
【0062】
用いた基板搬送用ハンドは3種類で、(ア)面内把持部がないもの、(イ)面内把持部を1列配して、面内支持用アームと基板とを5mm離間させたもの、(ウ)面内把持部を1列配して、面内支持用アームと基板とを10mm離間させたもの、である。
【0063】
図7はこの基板搬送用ハンドを用いたときの基板支持位置の面内配置を示したものである。ここで、図7(1)に面内把持部がない場合(上記(ア))を、図7(2)に面内把持部がある場合(上記(イ)、(ウ))を示す。面内把持部がある基板搬送用ハンドでは、基板の長手方向に沿った中央線で3箇所支持する。また、基板周縁部では基板端辺から5mmの位置を支持する。
【0064】
真空乾燥後に、基板表面の乾燥むらをナトリウムランプ下で目視観察し、さらに、非接触膜厚計で基板周縁部10mmを除く部分の膜厚分布を測定した。乾燥むらおよび膜厚むらの評価結果を表1に示す。なお、膜厚分布に関しては、レンジで0.1μmを超えるものを膜厚むら有りと判定した。評価結果より、0.05Pa・s以下のオーバーコート剤に対して、基板と面内支持用アームとの距離を10mm以上確保して配置する(上記(ウ)の基板搬送用ハンド)ことにより、塗膜面にアーム形状の乾燥むら、および、面内の膜厚むらを防止し、良好な塗膜面を得ることができた。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の基板搬送用ハンドおよび基板搬送方法では、基板面内を支持して、かつ、基板面内では基板裏面から10mm以上離間してアームを配置するため、低粘度液体を塗布した直後の大型基板を搬送しても、吸着跡、乾燥むらなどの塗膜の欠点を引き起こすことなく、さらに、基板たわみを抑制して、搬送中の基板の割れ、塗液の流動による膜厚むらを防止できる。
【0067】
また、本発明のカラーフィルター製造装置および製造方法によれば、塗布むら、膜厚むらのない塗膜面を得ることができるので、良好な品質のカラーフィルターを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板搬送用ハンドを自動搬送装置に取り付けたときの概略斜視図である。
【図2】基板面内の基板支持部の拡大側面図である。
【図3】基板周縁部での基板把持部の拡大側面図である。
【図4】基板角部での基板把持部の拡大斜視図である。
【図5】基板内の製品面取りを2面取りおよび9面取りにしたときの基板支持位置の具体例を示した平面図である。
【図6】実施例1での製品部と基板支持位置の面内配置を示した平面図である。
【図7】実施例2での基板支持位置の面内配置を示した平面図である。
【符号の説明】
1:自動搬送装置
2:ハンド取付部
10:基板搬送用ハンド
11:ベースプレート
12、13A、13B:位置決めガイド部材
20:面内把持部
21:面内支持用アーム
22:面内支持部材
23:支持ピン
24:支持ピン保持部材
25:ボルト
30A、30B:周縁把持部
31A、31B:周縁支持用アーム
32A、32B:周縁支持部材
33:支持母材
34:ガイド
35:基板受け部
36:基板ガイド部
37:基板対面部
38:ボルト
40:L型ブラケット
100:基板
100A、100B:基板端辺
150:塗布装置側基板載置台
151:リフトピン
160:乾燥装置側基板載置台
161:リフトピン
D:面内支持用アームと基板との距離
Claims (3)
- 自動搬送装置に取り付けられて、上面である表面に塗液が塗布された板状基板を把持して真空乾燥機に移送する基板搬送用ハンドにおいて、昇降移動できるよう基板裏面を支持する面内支持部材と、該面内支持部材で支持される基板裏面から10mm以上離間して設けられた炭素繊維強化樹脂を用いた面内支持用アームを有することを特徴とする基板搬送用ハンド。
- さらに、前記板状基板の周縁部を支持する周縁支持部材を有し、該周縁支持部材は前記板状基板の端面をガイドする基板ガイド部と、基板裏面を支持する基板受け部を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送用ハンド。
- 請求項1または2に記載の基板搬送用ハンドを、塗布した基板を真空乾燥する真空乾燥装置に移送するまでの手段に用いたことを特徴とするカラーフィルター製造装置。
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---|---|---|---|
JP2001086857A JP4770041B2 (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 基板搬送用ハンドおよびカラーフィルター製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001086857A JP4770041B2 (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 基板搬送用ハンドおよびカラーフィルター製造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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