JP4769642B2 - グリセリルエーテルの精製方法 - Google Patents

グリセリルエーテルの精製方法 Download PDF

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Description

本発明はグリセリルエーテルの精製方法に関し、詳しくは、粗グリセリルエーテルから、充分に脱臭された精製グリセリルエーテルを効率的に得ることができる精製方法に関する。
グリセリルエーテルは、化粧品、香粧品、化成品、農薬、医薬品等の分野で有用な化合物である。グリセリルエーテルは、特にW/O型乳化特性を有する非イオン界面活性剤として極めて優れた性能を有しており、乳化剤、可溶化剤、潤滑剤等として化粧品基材等への幅広い応用がなされている。
グリセリルエーテルは、グリシジルエーテルを加水分解して開環することにより得ることができ、その加水分解法として種々の提案がなされている。例えば、グリシジルエーテルをカルボン酸と反応させてグリセロールモノエステルを生成させた後、酸触媒下で加水分解する方法(特許文献1)、グリシジルエーテルとカルボニル化合物とを反応させて1,3−ジオキソラン化合物を生成させた後、酸触媒下で加水分解する方法(特許文献2)、カルボン酸及びアルカリの共存下に加水分解する方法(特許文献3)、亜臨界状態下において無触媒で加水分解する方法(特許文献4)等が知られている。
一方、化粧品、香粧品等の分野で使用される界面活性剤は、製品調合時の調香を重視する観点から、臭い成分の含有量を極力低減させることが望まれている。そこで、粗グリセリルエーテルについても、水蒸気、窒素、不活性ガスと接触させ脱臭処理する方法(特許文献5)が知られている。しかしながら、グリセリルエーテルは高沸点であるため、臭い成分が低沸点でない場合には、グリセリルエーテルの熱安定性や化学安定性の問題から充分な精製ができない場合が多い。また、蒸留操作中に粗グリセリルエーテル中の高沸点不純物の熱分解が起こり、新たな臭い成分が生じることもある。
また、塔中間部が2つの蒸留部に区分された構造を有する蒸留塔を用いる蒸留方法(特許文献6)が提案されているが、具体的な化合物の精製方法は開示されていない。
特公平1−55263号公報 特公昭61−26997号公報 特開2002−114727号公報 特開2002−88000号公報 特開平6−80600号公報 特開2004−230251号公報
本発明は、充分に脱臭されたグリセリルエーテルを効率的に得ることができる精製方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、熱分解性の高沸点成分を含むグリセリルエーテルを精製するに際し、塔中央部が2つの蒸留部に区分された構造を有する蒸留塔を用いて低沸点成分、高沸点成分及び精製グリセリルエーテルを同時に分離することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、塔中央部が2つの蒸留部に区分された構造を有する蒸留塔を用いる精製方法であって、分割塔内の塔底液温が100〜300℃、分割塔内の塔底圧力が0.1〜20kPa、蒸留塔の段数が5〜50段で、下記一般式(1)で表されるグリセリルエーテル、及び不純物として該グリセリルエーテルと沸点の異なる低沸点成分と高沸点成分を含む粗グリセリルエーテルを、該塔中央部の区分された一方の蒸留部に供給して、低沸点成分を含む留分(a)、高沸点成分を含む留分(b)、及び精製グリセリルエーテルに分離し、区分された他方の蒸留部から精製グリセリルエーテルを抜き出す、グリセリルエーテルの精製方法を提供する。
Figure 0004769642
(式中、Rは置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは炭素数2〜4のオキシアルカンジイル基を示し、pは平均付加モル数を示し0〜20の数であり、pが2以上のときOAは同一でも異なっていてもよい。)
本発明方法によれば、高沸点成分が熱分解して発生する低沸点の臭い成分が精製品に混入しないため、充分に脱臭されたグリセリルエーテルを容易に得ることができる。
(グリセリルエーテル)
本発明方法において精製の対象となるのは、下記一般式(1)で表されるグリセリルエーテル(以下、単に「グリセリルエーテル」ということがある)を主成分として含む粗グリセリルエーテルである。グリセリルエーテルは、下記一般式(2)で表されるグリシジルエーテル(以下、単に「グリシジルエーテル」ということがある)を加水分解して得ることができる。
Figure 0004769642
(式中、Rは置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは炭素数2〜4のオキシアルカンジイル基を示し、pは平均付加モル数を示し0〜20の数であり、pが2以上のときOAは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0004769642
(式中、R、OA、及びpは、前記と同じである。)
一般式(1)において、Rで示される炭素数1〜20の炭化水素基としては、置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭化水素基が挙げられる。例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。かかる炭化水素基は、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されている場合の置換度及び置換位置は特に限定されない。
Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、イソデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、2−プロピル基、2−ブチル基、2−メチル−2−プロピル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−オクチル基、2−メチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクタデシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
また、Rの水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基の具体例としては、ナノフルオロヘキシル基、ヘキサフルオロヘキシル基、トリデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基等のパーフルオロアルキル基等が挙げられる。
OAで示される炭素数2〜4のオキシアルカンジイル基の具体例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基等が挙げられる。
グリセリルエーテルの原料であるグリシジルエーテルの具体例としては、n−ブチルグリシジルエーテル、2−メチル−プロピルグリシジルエーテル、n−ペンチルグリシジルエーテル、2−メチル−ブチルグリシジルエーテル、2−メチル−ペンチルグリシジルエーテル、n−ヘキシルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、n−オクチルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、イソデシルグリシジルエーテル、イソオクタデシルグリシジルエーテル、n−ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、グリセリルエーテルの具体例としては、上記の具体例で示されたグリシジルエーテルを加水分解して得られるグリセリルエーテルが挙げられる。
上記の一般式(1)で表されるグリセリルエーテルの中では、反応性及び反応選択性を向上させる観点から、Rは炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、OAはオキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基から選ばれる1種以上の基が好ましく、pは0〜5が好ましく、0がより好ましい。
(グリシジルエーテルの加水分解)
グリシジルエーテルの加水分解法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、(i)アルコールにエピハロヒドリンを付加させてアルキルグリシジルエーテルとし、これを酸触媒含有水溶液でエポキシ環を加水分解してアルキルグリセリルエーテルを得る方法、(ii)グリシジルエーテルをカルボン酸と反応させてグリセロールモノエステルを生成させた後、酸触媒下で加水分解する方法(特公平1−55263号参照)、(iii)カルボン酸及びアルカリの共存下にグリシジルエーテルを加水分解する方法(特開2002−114727号参照)、(iv)亜臨界状態下で無触媒で加水分解する方法(特開2002−88000号参照)等を挙げることができる。
上記の加水分解法の中では、高収率で、かつ含触媒排水の処理が不要な(iv)亜臨界状態下において無触媒で加水分解する方法(以下、「亜臨界法」ということがある)が特に好ましい。亜臨界法においては、亜臨界状態の水(亜臨界水)の存在下、具体的には、温度250〜350℃で飽和蒸気圧を超える圧力(4〜16.5MPa)の状態にある水の存在下で、無触媒でグリシジルエーテルの加水分解を行う。温度は、より好ましくは270〜330℃であり、圧力は、より好ましくは6〜13MPaである。
亜臨界水は誘電率が大きく減少しているため、常温の水に対しては不溶性であるグリシジルエーテルも、亜臨界水に対しては溶解しやすく、反応系が均一化するため、反応性が向上し、無触媒でも反応が進行して高収率でグリセリルエーテルを得ることができる。また、加水分解時に、炭化水素鎖等の主鎖の分解まで起きることの少ない安定性の高いグリシジルエーテル系では、亜臨界状態を超え超臨界状態(374℃以上、22MPa以上)で加水分解を行うこともできる。
亜臨界水とグリシジルエーテルの仕込み比(亜臨界水/グリシジルエーテル)は、20〜500モル倍が好ましく、40〜200モル倍がより好ましい。
亜臨界状態下での加水分解は無触媒で進行するが、原料グリシジルエーテルに混入する可能性のある微量の塩化物の影響を避けるため、アルカリを添加することもできる。用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。アルカリの添加量は、塩化物の塩素含有量に相当するモル量が好ましい。
また、亜臨界法においては必ずしも溶媒を必要としないが、原料グリシジルエーテルの性状、亜臨界水への溶解度に応じて、溶媒を用いることもできる。この場合、亜臨界状態下で反応性の低い溶媒を用いるのが好ましい。反応形態はバッチ式でも連続式でもよい。
本発明の精製方法は、塔中央部が2つの蒸留部に区分された構造を有する蒸留塔を用いる精製方法であって、下記一般式(1)で表されるグリセリルエーテル、及び不純物として該グリセリルエーテルと沸点の異なる低沸点成分と高沸点成分を含む粗グリセリルエーテル(以下、単に「粗グリセリルエーテル」という)を、該塔中央部の区分された一方の蒸留部に供給して、低沸点成分を含む留分(a)、高沸点成分を含む留分(b)、及び精製グリセリルエーテルに分離し、区分された他方の蒸留部から精製グリセリルエーテルを抜き出すことを特徴とする。
粗グリセリルエーテルとしては、グリシジルエーテルを前記の亜臨界法により加水分解して得られたものが好ましい。この粗グリセリルエーテルは、主成分としてグリセリルエーテルを80質量%以上、好ましくは95質量%以上含有し、その他に、不純物として未反応のグリシジルエーテル、低沸点成分、熱分解性の高沸点成分等を20質量%未満、好ましくは5質量%未満含有する。
ここで、低沸点成分とは、グリセリルエーテルよりも高い蒸気圧をもつ低沸点物を意味し、具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール等のアルデヒド、グリシジルエーテル等が挙げられる。また、高沸点成分とは、グリセリルエーテルよりも低い蒸気圧をもつ高沸点物を意味し、具体的には、1,3−ジアルキルグリセリルエーテル、グリセリルエーテルの2量体や逆付加体等が挙げられる。
(蒸留塔)
本発明においては、塔中央部が2つの蒸留部に区分された構造を有する蒸留塔(以下、「分割塔」ということがある)が用いられる。蒸留塔内の蒸留部の区分は、仕切り板や円筒管を蒸留塔の中央部(中段部)に設置することにより行うことができる。
図1は、内部仕切り板を用いて塔中央部を区分した蒸留塔の一例を示す図である。この蒸留塔(分割塔)1の塔中央部は、内部仕切り板2により、2つの蒸留部(A、A’)及び(B、B’)に区分されている。蒸留塔1の上部(C)及び下部(D)は、通常の蒸留塔の構造と同じである。
また、留分の抜き出し口の数や位置も特に限定されない。
分割塔としては多成分分離が可能なものであれば特に制限はないが、「カラムインカラム」(住重プラントエンジニアリング株式会社、登録商標)等の蒸留塔が好ましく用いられる。
蒸留塔1内の蒸留部(気液接触部;A、A'、B、B'、C、及びD)には、棚段、充填層のいずれも使用可能である。
棚段に用いるトレイとしては、バルブトレイ、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、リフトトレイ、フレキシトレイ、ナッターフロートバルブトレイ等が挙げられる。
充填層に用いられる充填物としては、ラシヒリング、ポールリング等のリング型充填物、ベルサドル、インターロックサドル等のサドル(馬の鞍の形)型充填物の他、マクマホンパッキング、キャノンパッキング、ディクソンパッキング、テラレット、スプレーパック、パナパック、インターパック、グッドローパッキング、ステッドマンパッキング、SFLOW(住重プラントエンジニアリング株式会社製)などがある。これらの中では、充填塔高さあたりの蒸留段数が多く、製品への熱負荷を下げる観点から、圧力損失の少ないSFLOW(住重プラントエンジニアリング株式会社製)等の規則充填物を用いることが好ましい。
蒸留原料(粗グリセリルエーテル)は、原料供給口3から蒸留塔1の中央部(中段部)に供給される。原料供給側の蒸留部(A、A’)には、原料供給口3の上下両側に棚段や充填層があってもよく、また上下どちらか一方にのみ棚段や充填層があってもよい。
蒸留塔1の塔頂には、低沸点成分を含む留分(a)の留出口4が設けられ、塔中段部には精製品留出口5が設けられ、塔底には高沸点成分を含む留分(b)の抜出口6が設けられている。塔中段部の精製品留出口5は、内部仕切り板2により区分された一方の蒸留部(原料供給側の蒸留部;A、A’)に隣接する他方の蒸留部(B、B’)に設けられる。
塔頂の留出口4からの低沸点成分を含む留分(a)は蒸気のまま塔外へ排出し、凝縮器7で冷却後、一部を留出液として取出し、一部を還流として塔頂に返してもよく、又は塔頂に設けた内部凝縮器(図示せず)で凝縮液すべてを内部で還流して、一部を留出液として取り出してもよい。
塔底の留出口6からの高沸点成分を含む留分(b)は、その一部が加熱器8により加熱されて塔底に循環され、一部は留出液として取出される。
加熱器8の形式は特に制限はなく、自然循環式(サーモサイホン型)、外部循環型、内挿型、溢流管束型(ケトル型)等を用いることができる。中でも、高沸点成分を含む留分(b)の熱履歴による劣化防止の観点から外部循環型とすることが好ましい。熱媒体としては、熱油や高圧水蒸気等を用いることができる。
本発明においては、分割塔を用いて蒸留操作を行う限り、蒸留方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。蒸留操作としては、回分式又は連続式いずれでもよく、加熱滞留時間の短い連続式蒸留がより好ましい。また蒸留の形式としては、例えば、精留、分子蒸留、水蒸気蒸留、共沸蒸留等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて行うことができる。
(分割塔を用いた蒸留精製)
分割塔を用いた蒸留においては、粗グリセリルエーテルを供給することにより、塔頂から低沸点成分を含む留分(a)を抜き出し、塔底から高沸点成分を含む留分(b)を抜き出し、塔中段部から精製グリセリルエーテルを含む留分をそれぞれ同時に抜き出す。
粗グリセリルエーテル中には、熱負荷がかかることにより臭気を発生する物質が存在し、また、グリセリルエーテル自体も熱負荷により臭気物質の発生を伴うため、蒸留操作はグリセリルエーテル及びその他の熱分解性物質の熱分解を抑えるために、なるべく熱負荷の低い条件下におくことが好ましい。
そこで、分割塔内の塔底液温は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜200℃、分割塔内の塔底圧力は、好ましくは0.1〜20kPa、より好ましくは0.1〜5kPaとして蒸留を行う。なお、分割塔内の液温は、高沸点成分の分離を妨げない範囲で低くすることが好ましい。また、分割塔内の底部から高圧水蒸気や不活性ガスを吹込む方法やフラッシュ蒸発させる方法なども採用可能である。
蒸留塔(器)の還流比及び理論段数は、原料中の各種成分の物性値から、蒸留シミュレーターにより算出した値を利用することができる。蒸留塔(器)の段数は、通常2〜50段、好ましくは4〜40段、より好ましくは5〜30段程度である。
粗グリセリルエーテル中の前記高沸点成分は、熱分解性の成分を含むため、蒸留時に、その熱分解性の高沸点成分が低沸点の臭い成分と比較的安定な成分に分解される。このため、高沸点成分を含む留分(b)は比較的安定であるが、低沸点成分を含む留分(a)には、グリセリルエーテルと、当初の粗グリセリルエーテル中に存在していた低沸点の臭い成分、及び蒸留時に高沸点成分の一部が熱分解して生成した低沸点の臭い成分が含まれている。
本発明における分割塔を用いると、粗グリセリルエーテル中に存在していた低沸点の臭い成分、及び蒸留時に高沸点成分の一部が熱分解して生成した低沸点の臭い成分の殆どは、低沸点成分を含む留分(a)として留出される。その結果、塔中段から留出する精製グリセリルエーテルとの混入が回避され、異臭の充分低減された精製グリセリルエーテルを得ることができる。
分離した精製グリセリルエーテルは、高温による臭いの劣化を抑制するために、速やかに冷却することが好ましく、冷却後の温度は50℃以下が好ましい。
本発明は、上記のように、高沸点成分除去と低沸点成分除去という2種類の分離操作を分割塔を用いて同時に行うことが特徴であるが、2つの蒸留塔を用いて、低沸点成分除去−高沸点成分除去の順に行うと、本発明の課題は達成できない。すなわち、第1塔目の蒸留塔において、低沸点成分を蒸留器頂部から排出し、蒸留器底部から抜き出したグリセリルエーテルと高沸点成分を含む留分を第2塔目の蒸留塔に供給し、第2塔目の蒸留塔底部から高沸点成分を排出し、第2塔目の蒸留塔頂部からグリセリルエーテルを抜き出しても、第2塔目の蒸留塔で高沸点成分の一部が熱分解して生成する低沸点の臭い成分は第2塔目の蒸留塔頂部から抜き出されてグリセリルエーテル中に混入するため、製品中の臭いを低減することができない。
かくして得られた精製グリセリルエーテルは、そのまま製品として使用することができるが、所望により、更に公知の精製操作、例えば洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による精製操作や、脱色操作等を行うこともできる。
精製グリセリルエーテル中のグリセリルエーテルの含有量としては、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上である。
製造例1(グリセリルエーテルの製造例)
連続管型反応装置を用いて粗グリセリルエーテルを合成した。原料油である2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ガスクロマトグラフィー純度99%以上)74.1g/min(83.3cc/min)及び280℃に加熱したイオン交換水716.7g/minを連続的に管型反応器に供給した。反応温度を280℃、反応圧力を背圧弁で8MPaに保持した。反応管内部の滞留時間は3min、原料油1モルに対する水のモル比は100倍となるように流量を設定した。反応終了品を脱水処理したものを粗グリセリルエーテルとし、蒸留原料として使用した。
実施例1
2−エチルヘキシルグリセリルエーテルを、図1に示す「カラムインカラム」精留塔(住重プラントエンジニアリング株式会社製、理論段数20段(図1中の各蒸留部A、A'、B、B'、C、及びDはそれぞれ5段)、規則充填物SFLOW700G)を用いて、原料供給口3から10kg/hで連続供給し、塔底液温180℃、塔底圧力0.67kPa、低沸点成分カット率5.0%(質量基準)、塔頂還流比31で精留した。塔頂からの低沸点成分を含む留分(a)の外部への抜出量0.5kg/h、塔中段からの精製品の抜出量9.0kg/h、塔底からの高沸点成分を含む留分(b)の外部への抜出量0.5kg/hで定常運転を行った。
最終的に得られた冷却した精製品を容量が110mlのガラス製広口規格ビンに50ml入れ、20〜40才代計7人のパネラーに臭いを嗅いでもらい、下記の表1に示す官能評価基準に従って採点を行い、その平均値の少数第一位を四捨五入して臭いスコアとした。
その結果、塔中段からの精製品の臭いスコアは2(ほとんど臭いを感じない)で、充分に脱臭されており、化粧品・香粧品に好適に利用できることが判った。結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004769642
比較例1
図2に示す2塔式蒸留装置10を用いて、粗グリセリルエーテルを精製した。
2−エチルヘキシルグリセリルエーテルを、スルザーラボパッキングDX(スルザーケムテック社製、実施例1のSFLOW700Gと分離性能は同等)が充填された、理論段数10段(図2中の蒸留部11、12はそれぞれ5段)の精留塔(塔径50mm)に7.5g/minで連続供給し、塔底液温150℃、塔底圧力1.2kPa、低沸点成分カット率4.3%(質量基準)、還流比10で連続供給した後、その缶出液を理論段数10段(図2中の蒸留部13、14はそれぞれ5段)の精留塔(塔径50mm)に7g/minで連続供給し、塔底液温132℃、塔底圧力0.3kPa、高沸点成分カット率6.2%(質量基準)で定常運転を行った。
冷却したサンプルを用いて実施例1と同様の官能評価を行った結果、臭いスコアは5(臭いを感じる)であり、化粧品・香粧品には利用できなかった。結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004769642
内部仕切り板を用いて塔中央部を区分した蒸留塔の一例を示す図である。 比較例1で用いた2塔式蒸留装置を示す図である。
符号の説明
1 蒸留塔(分割塔)
2 内部仕切り板
3 原料供給口
4 低沸点成分を含む留分の留出口
5 精製品留出口
6 高沸点成分を含む留分の抜出口
7 塔頂の凝縮器
8 塔底の加熱器
10 2塔式蒸留装置

Claims (5)

  1. 塔中央部が2つの蒸留部に区分された構造を有する蒸留塔を用いる精製方法であって、分割塔内の塔底液温が100〜300℃、分割塔内の塔底圧力が0.1〜20kPa、蒸留塔の段数が5〜50段で、下記一般式(1)で表されるグリセリルエーテル、及び不純物として該グリセリルエーテルと沸点の異なる低沸点成分と高沸点成分を含む粗グリセリルエーテルを、該塔中央部の区分された一方の蒸留部に供給して、低沸点成分を含む留分(a)、高沸点成分を含む留分(b)、及び精製グリセリルエーテルに分離し、区分された他方の蒸留部から精製グリセリルエーテルを抜き出す、グリセリルエーテルの精製方法。
    Figure 0004769642
    (式中、Rは置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは炭素数2〜4のオキシアルカンジイル基を示し、pは平均付加モル数を示し0〜20の数であり、pが2以上のときOAは同一でも異なっていてもよい。)
  2. グリセリルエーテルが、下記一般式(2)で表されるグリシジルエーテルを加水分解して得られるものである、請求項1に記載のグリセリルエーテルの精製方法。
    Figure 0004769642
    (式中、R、OA、及びpは、前記と同じである。)
  3. 粗グリセリルエーテルが、グリセリルエーテルを80質量%以上含有するものである、請求項1又は2に記載のグリセリルエーテルの精製方法。
  4. 蒸留が連続蒸留である請求項1〜3のいずれかに記載のグリセリルエーテルの精製方法。
  5. 蒸留塔が規則充填物を充填したものである、請求項1〜4のいずれかに記載のグリセリルエーテルの精製方法。
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