JP4769169B2 - 車両用エネルギー吸収部材 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用エネルギー吸収部材、例えば、車両のフロント部またはリヤ部におけるサイドメンバに組付けられて、車両衝突時の衝撃荷重(衝撃エネルギー)を吸収するための車両用エネルギー吸収部材に関する。
この種の車両用エネルギー吸収部材の一つとして、所定形状に成形された2枚の板材を、車両に取付けた状態で合わせ部が車両の前後方向に沿うように接合固着することにより、中空状部が形成されていて、この中空状部が車両の前後方向荷重により塑性変形して、衝撃エネルギーを吸収可能なものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。
特開2000−81069号公報
上記した特許文献1に記載されている車両用エネルギー吸収部材は、車両の衝突時に塑性変形する中空状部がシンプルな形状・構造で構成されているため、安価に製造することが可能であるものの、その縦断面形状が左右および上下にて対称的な形状であるため、車両の衝突時に生じる各板材の塑性変形が同調しやすい。このため、当該車両用エネルギー吸収部材が車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する(車両の前後方向にストロークする)際には、特定の変形領域にて衝撃吸収荷重が異常に高くなる或いは異常に低くなるおそれがあり、全ての変形領域(全ストローク)にて衝撃吸収荷重を高くし、全ての変形領域にて高い衝撃吸収荷重を安定して得ることは難しい。
本発明は、車両の衝突時に塑性変形する中空状部がシンプルな形状・構造でありながら、全ての変形領域にて高い衝撃吸収荷重を安定して得ることが可能な車両用エネルギー吸収部材を得るべくなされたものであり、所定形状に成形された複数の板材を、車両に取付けた状態で合わせ部が車両の前後方向に沿うように接合固着する(接合固着する手段には、スポット溶接を含む種々な溶接が含まれるとともに、ボルト・ナットを用いた締結も含まれる)ことにより、中空の角柱状部(中空状部)が形成されていて、この角柱状部が車両の前後方向荷重(この荷重には、斜め前方、或いは、斜め後方からの荷重も含まれる)により塑性変形して、車両衝突時の衝撃エネルギーを吸収可能であり、前記合わせ部の一つは前記角柱状部の車両左右方向または車両上下方向の中間部(左右または上下の両端以外の中央を含む部分)にて中空外方に向けて突出し車両の前後方向に延在するフランジ部で構成されていて、同フランジ部の一側にある前記板材には前記角柱状部の稜線を越えて周方向に延在するビードが形成され、同フランジ部の他側にある前記板材にはビードが形成されていない車両用エネルギー吸収部材において、前記フランジ部は平面視または側面視にて車両の前後方向に対し所定量傾斜して設けられていることに特徴がある。
本発明による車両用エネルギー吸収部材においては、所定形状に成形された複数の板材を、車両に取付けた状態で合わせ部が車両の前後方向に沿うように接合固着することにより、中空の角柱状部が形成されていて、前記合わせ部の一つは前記角柱状部の車両左右方向または車両上下方向の中間部にて中空外方に向けて突出し車両の前後方向に延在するフランジ部で構成されていて、同フランジ部の一側にある前記板材には前記角柱状部の稜線を越えて周方向に延在するビードが形成され、同フランジ部の他側にある前記板材にはビードが形成されていない。このため、車両の衝突時に塑性変形する中空の角柱状部はシンプルな形状・構造であり、安価に製造することが可能である。
また、本発明による車両用エネルギー吸収部材においては、フランジ部の一側にある板材にビードが形成されフランジ部の他側にある板材にビードが形成されていないため、中空の角柱状部を構成する各板材の塑性変形が同調しないようにすることが可能であるとともに、車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際に全ての変形領域(車両の前後方向に塑性変形する際の全ストローク)において衝撃吸収荷重を高くすることが可能なフランジ部と、車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際に特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を低くすることが可能なビードの相乗効果を得ることが可能であり、所期のエネルギー吸収性能を得ること(特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を異常に高くすることなく、全ての変形領域にて衝撃吸収荷重を高くし、全ての変形領域にて高い衝撃吸収荷重を安定して得ること)が可能である。
また、本発明の実施に際して、前記角柱状部は左右または上下の2枚の板材で構成されていて、各板材の合わせ部となる上下または左右の両端部には互いに接合固着される前記フランジ部が形成され、各板材の両フランジ部間が縦断面コ字状に形成されていることも可能である。また、前記フランジ部は平面視または側面視にて車両の前後方向に対し所定量(最大で10度程度、好ましくは、4〜7度程度)傾斜して設けられていることが好ましい。
また、本発明の実施に際して、前記フランジ部は、車両の前後方向にて所定の間隔で複数個のスポット溶接により接合固着されており、前記ビードは前記スポット溶接の箇所と車両の前後方向にて不一致となる箇所に設けられていることが好ましい。この場合には、ビードによる効果(車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際に、板材をタイミングよく塑性変形させて、特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を低くすること)がスポット溶接による接合固着によって阻害されるのを抑制することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記ビードは一条であり車両前後方向の中央より衝撃エネルギーの入力側に所定量変位して設けられていることが好ましい。この場合には、車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際に、一条のビードを起点として塑性変形が開始するため、ビードの設置効果(特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を低くすること)が衝撃エネルギー吸収作動の初期にタイミングよく得られる。また、当該車両用エネルギー吸収部材に設けるビードが一条であるため、ビードを多条に設ける場合に比して、シンプルであって安価に製造することが可能であるとともに、塑性変形の起点が単一であって塑性変形動作が安定して得られる。
また、本発明による車両用エネルギー吸収部材は、車体のサイドメンバと同サイドメンバの前方または後方に配置されるバンパ補強材間に介装されて車両に取付けられることが好ましく、この場合において、前記サイドメンバ側の端部には、前記角柱状部を構成する前記各板材の端部にそれぞれ接合固着されていて前記サイドメンバへの取付部を有するベースプレートが設けられていることも可能である。
この場合には、本発明による車両用エネルギー吸収部材とバンパ補強材を車両に取付ける前に、左右一対の車両用エネルギー吸収部材とバンパ補強材を一体としてサブアッシー化することが可能で、当該車両用エネルギー吸収部材の車両への組付性を向上させることが可能である。なお、車両用エネルギー吸収部材とバンパ補強材を一体とする際に、車両用エネルギー吸収部材の角柱状部を構成部材する各板材をバンパ補強材に直接に接合固着することも可能である。
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明による車両用エネルギー吸収部材10を概略的に示していて、この車両用エネルギー吸収部材10は、自動車20のフロント部21において車両衝突時の衝撃荷重(衝撃エネルギー)を吸収するように、車体のサイドメンバ22とこれの前方に配置されるバンパ補強材23間に介装されて車両に組付けられている。図2〜図4はバンパ補強材23の左右両端部に本発明による車両用エネルギー吸収部材10をそれぞれ組付けた状態のものを示していて、各車両用エネルギー吸収部材10は同じ構成で左右対称形状となるように配置(左方の車両用エネルギー吸収部材10に対して右方の車両用エネルギー吸収部材10が上下逆に配置)されている。
各車両用エネルギー吸収部材10は、図2〜図7に示したように、左右2枚の鋼板製の板材(サイドプレート)11,12によって構成された中空の角柱状部10Aと、この角柱状部10Aのサイドメンバ22側端部に接合固着された鋼板製のベースプレート13と、角柱状部10Aのバンパ補強材23側端部に接合固着された鋼板製のトッププレート14と、このトッププレート14に接合固着された3個のウエルドナット15によって構成されている。
中空の角柱状部10Aは、プレス機によりそれぞれ所定形状に成形された左右2枚のサイドプレート(素材は、例えば、板厚1.2mmの炭素鋼帯鋼である)11,12を、車両に取付けた状態で上下の合わせ部C1,C2が車両の前後方向に沿うように接合固着することにより、四角柱状(四角柱状以外の六角、八角等の多角柱状としても実施可能)に形成されている。各合わせ部C1,C2は、角柱状部10Aの車両左右方向の中間部(左右の両端以外の中央を含む部分)にて中空外方に向けて突出し車両の前後方向に延在するフランジ部11a・12a,11b・12bで構成されている。
車両内側のサイドプレート11は、車両の前後方向に長い短冊状のフランジ部11a,11bと、舌片状のフランジ部11c,11d,11eと、舌片状のフランジ部11f,11g,11hを有していて、両フランジ部11a,11b間が縦断面コ字状(図10の(a)の右側に示した断面図参照)に形成されている。また、サイドプレート11には、両フランジ部11a,11b間にて角柱状部10Aの二つの陵線L1,L2を越えて周方向に延在する凹状のビード(角柱状部10Aの中空内方に向けて膨出する半円筒状部)11iが形成されている。
車両外側のサイドプレート12は、車両の前後方向に長い短冊状のフランジ部12a,12bと、舌片状のフランジ部12c,12d,12eと、舌片状のフランジ部12f,12g,12hを有していて、両フランジ部12a,12b間が縦断面コ字状(図10の(a)の右側に示した断面図参照)に形成されている。また、サイドプレート12には、ビードが形成されていない。
サイドプレート11の各フランジ部11a,11bと、サイドプレート12の各フランジ部12a,12bは、車両に組付けられたときにバンパ補強材23側がサイドメンバ側22側に比して車両外側となるように、図2および図3に示したように、平面視にて車両の前後方向に対して所定量θ(最大で10度程度、好ましくは、4〜7度程度)傾斜して設けられている。また、サイドプレート11の各フランジ部11a,11bと、サイドプレート12の各フランジ部12a,12bは、車両の前後方向にて所定の間隔で3個のスポット溶接(図5〜図7中に×で示した)により接合固着されている。
サイドプレート11の各フランジ部11c,11d,11eと、サイドプレート12の各フランジ部12c,12d,12eは、ベースプレート13にスポット溶接(図5および図7中に×で示した)により接合固着されている。サイドプレート11の各フランジ部11f,11g,11hと、サイドプレート12の各フランジ部12f,12g,12hは、トッププレート14にスポット溶接(図6中に×で示した)により接合固着されている。
サイドプレート11のビード11iは、一条であって、角柱状部10Aの車両前後方向の中央より衝撃エネルギーの入力側に所定量変位する箇所に設けられていて、この設置箇所は、前記スポット溶接の箇所と車両の前後方向にて不一致となる箇所(前方の溶接箇所と中央の溶接箇所の間で、両溶接箇所に略同じ距離の箇所)である。
ベースプレート13(素材は、例えば、板厚1.2mmの炭素鋼帯鋼である)は、四角形状で打ち抜かれていて、サイドメンバ22への取付孔13aを4個有している。各取付孔13aは、取付ボルト(図示省略)の挿通孔であり、この取付ボルトが取付孔13aに挿通されサイドメンバ22に設けたウエルドナット(図示省略)に螺着されることにより、ベースプレート13とサイドメンバ22が結合固着される。
トッププレート14(素材は、例えば、板厚1.2mmの炭素鋼帯鋼である)は、五角形状(野球のホームベース形状)で打ち抜かれていて、3個の取付孔14aを有している。各取付孔14aは、取付ボルト(図示省略)の挿通孔であり、この取付ボルトがバンパ補強材23に設けたボルト挿通孔(図示省略)に挿通され各取付孔14aに対応して設けたウエルドナット15に螺着されることにより、トッププレート14とバンパ補強材23が結合固着される。
上記のように構成した本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10においては、所定形状に成形された2枚のサイドプレート11,12を、車両に取付けた状態で上下の合わせ部C1,C2が車両の前後方向に沿うように接合固着することにより、中空の角柱状部10Aが形成されていて、この角柱状部10Aが車両衝突時の車両前方(真正面前方のみならず、斜め前方も含まれる)からの衝撃荷重により塑性変形して、衝撃エネルギーを吸収する。
この場合における角柱状部10Aの塑性変形は、図8の(a)〜(e)に示した状態を経て進行する。図8の(a)では、ビード11iの塑性変形(潰れ)が開始し、図8の(b)では、ビード11iの塑性変形が進行するとともに、上下の合わせ部C1,C2と車両外側のサイドプレート12の塑性変形が進行する。また、図8の(c)では、ビード11iの塑性変形が進行するとともに、上下の合わせ部C1,C2と両サイドプレート11,12の塑性変形が進行する。また、図8の(d)では、ビード11iの塑性変形が終了するとともに、上下の合わせ部C1,C2と両サイドプレート11,12の塑性変形が進行する。また、図8の(e)では、ビード11iの塑性変形が終了した状態で、上下の合わせ部C1,C2と両サイドプレート11,12の塑性変形が進行する。なお、図8の(e)で示した状態は、角柱状部10Aの塑性変形量(ストローク)がSo(図11参照)であるときのものである。
また、本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10においては、角柱状部10Aにおける上下の合わせ部C1,C2が角柱状部10Aの左右方向の中間部にて中空外方に向けて突出し車両の前後方向に延在するフランジ部11a・12a,11b・12bで構成されていて、同フランジ部11a・12a,11b・12bの車両内側にあるサイドプレート11には角柱状部10Aの稜線L1,L2を越えて周方向に延在するビード11iが形成され、同フランジ部11a・12a,11b・12bの車両外側にあるサイドプレート12にはビードが形成されていない。このため、車両の衝突時に塑性変形する中空の角柱状部10Aはシンプルな形状・構造であり、安価に製造することが可能である。
また、本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10においては、上下の合わせ部C1,C2(フランジ部11a・12a,11b・12b)の車両内側にあるサイドプレート11にビード11iが形成され、上下の合わせ部C1,C2の車両外側にあるサイドプレート12にビードが形成されていない。このため、中空の角柱状部10Aを構成する各サイドプレート11,12の塑性変形が同調しないようにすることが可能である(図8参照)とともに、車両前方からの衝撃荷重を受けて塑性変形する際に、全ての変形領域(車両の前後方向に塑性変形する際の全ストローク)において衝撃吸収荷重を高くすることが可能なフランジ部11a,11b、12a,12bと、車両前方からの衝撃荷重を受けて塑性変形する際に、特定の変形領域(図8の(a)に示したようにビード11iが潰れ始めてから図8の(d)に示したようにビード11iが潰れ終えるまでの領域)にて衝撃吸収荷重を低くすることが可能なビード11iの相乗効果を得ることが可能である。
このため、図9の実線で概略的に示し図11の実線で詳細に示した特性線のように、所期のエネルギー吸収性能を得ること(特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を高くすることなく、全ての変形領域にて衝撃吸収荷重を高くし、全ての変形領域にて高い衝撃吸収荷重を安定して得ること)が可能である。なお、図9の破線で概略的に示した特性線は、車両内側にあるサイドプレート11が塑性変形することにより得られるものであり、図9の一点鎖線で概略的に示した特性線は、車両外側にあるサイドプレート12が塑性変形することにより得られるものである。
また、本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10においては、中空の角柱状部10Aが左右2枚のサイドプレート11,12で構成されていて、各サイドプレート11,12の合わせ部C1,C2となる上下両端部には互いに接合固着されるフランジ部11a・12a,11b・12bが形成され、各サイドプレート11,12の両フランジ部11a,11b、12a,12b間が縦断面コ字状に形成されている。また、サイドプレート11,12の両フランジ部11a,11b、12a,12bは平面視にて車両の前後方向に対し所定量θ傾斜して設けられている。このため、車両前方からの衝撃荷重の入力方向が真正面前方である場合(傾斜角がゼロである場合)は勿論のこと、入力の傾斜角が所定量θ以内である場合にも、サイドプレート11,12の両フランジ部11a,11b、12a,12bがビード11iの塑性変形を大きく阻害することはなく、所期の作動を得ることが可能である。
また、本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10においては、各サイドプレート11,12の合わせ部C1,C2となるフランジ部11a・12a,11b・12bが、車両の前後方向にて所定の間隔で3個のスポット溶接により接合固着されており、ビード11iは前記スポット溶接の箇所と車両の前後方向にて不一致となる箇所に設けられている。このため、ビード11iによる効果(車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際に、サイドプレート11をタイミングよく塑性変形させて、特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を低くすること)がスポット溶接による接合固着によって阻害されるのを抑制することが可能である。
また、本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10においては、ビード11iが一条であり車両前後方向の中央より衝撃エネルギーの入力側に所定量変位して設けられている。このため、車両前方からの衝撃荷重を受けて塑性変形する際に、図8に示したように、一条のビード11iを起点として塑性変形が開始し、ビード11iの設置効果(特定の変形領域にて衝撃吸収荷重を低くすること)が衝撃エネルギー吸収作動の初期にタイミングよく得られる。また、当該車両用エネルギー吸収部材10に設けるビード11iが一条であるため、ビードを多条に設ける場合に比して、シンプルであって安価に製造することが可能であるとともに、塑性変形の起点が単一であって塑性変形動作が安定して得られる。
また、本実施形態の車両用エネルギー吸収部材10は、車体のサイドメンバ22と同サイドメンバ22の前方に配置されるバンパ補強材23間に介装されて車両に取付けられている。また、サイドメンバ22側の端部には、中空の角柱状部10Aを構成する各サイドプレート11,12の端部にそれぞれ接合固着されていてサイドメンバ22への取付孔13aを有するベースプレート13が設けられている。
このため、車両用エネルギー吸収部材10とバンパ補強材23を車両に取付ける前に、左右一対の車両用エネルギー吸収部材10,10とバンパ補強材23を図2〜図4に示したように一体としてサブアッシー化することが可能で、当該車両用エネルギー吸収部材10の車両への組付性を向上させることが可能である。なお、車両用エネルギー吸収部材10,10とバンパ補強材23を一体とする際に、車両用エネルギー吸収部材10の角柱状部10Aを構成部材する各サイドプレート11,12をバンパ補強材23に直接に接合固着することも可能である。この場合には、トッププレート14とウエルドナット15が不要となる。
なお、図10と図11は、上記実施形態のフランジ部11a・12a,11b・12bとビード11iの作用効果を検証するためのものであり、図10の(a)に示した車両用エネルギー吸収部材10は上記実施形態にて記載したものと同等のものであり、図11の実線(a)に示した特性が得られる。図10の(b)に示した車両用エネルギー吸収部材110は上記実施形態のビード11iを無くしたものであり、図11の実線(b)に示した特性が得られる。図10の(c)に示した車両用エネルギー吸収部材210は上記実施形態のフランジ部11a・12a,11b・12bを無くしたものであり、図11の実線(c)に示した特性が得られる。図10の(d)に示した車両用エネルギー吸収部材310は上記実施形態のフランジ部11a・12a,11b・12bを無くし、上記実施形態のビード11iに相当するビードを角柱状部の全周に設けたものであり、図11の実線(d)に示した特性が得られる。
上記実施形態においては、サイドプレート11に凹状のビード11iを設けて実施したが、サイドプレート11に凸状のビードを設けて実施することも可能である。また、上記実施形態においては、サイドプレート11に設けるビード11iを一条として実施したが、サイドプレート11に設けるビードは二条以上であっても実施可能である。また、上記実施形態においては、合わせ部C1,C2の車両前後方向に対する傾斜角が所定量θである実施形態について説明したが、同傾斜角がゼロであることも可能である。
また、上記実施形態においては、中空の角柱状部10Aが左右2枚のサイドプレート11と12で構成されていて、合わせ部C1,C2が上下にある実施形態で説明したが、中空の角柱状部が上下2枚の板材(上記実施形態のサイドプレート11がアッパプレートとなり、上記実施形態のサイドプレート12がロアプレートとなる構成)で構成されていて、合わせ部が左右にある実施形態でも本発明は実施可能である。
また、上記実施形態においては、中空の角柱状部10Aが左右2枚のサイドプレート11と12で構成されていて、中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部11a・12a,11b・12bで構成される合わせ部C1,C2が上下二つである実施形態で説明したが、図12の(a)に示したように、中空の角柱状部30Aが左右2枚の板材31,32で構成されていて、中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部31a,32aで構成される合わせ部C3が一つである実施形態、図12の(b)に示したように、中空の角柱状部40Aが3枚の板材41,42,43で構成されていて、中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部41a,42aで構成される合わせ部C4が一つである実施形態、図12の(c)に示したように、中空の角柱状部50Aが3枚の板材51,52,53で構成されていて、中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部51a・52a,51b・53a,52b・53bで構成される合わせ部C5,C6,C7が三つである実施形態でも本発明を実施することが可能である。
なお、図12の(a)の場合では、中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部31a,32aで構成される合わせ部C3の左右何れか一方の板材31または32に角柱状部30Aの陵線を越えて周方向に延在するビード(図示省略)が形成され、他方の板材32または31にビードが形成されないようにして実施する。また、図12の(b)の場合では、中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部41a,42aで構成される合わせ部C4の左右何れか一方の板材41または42に角柱状部40Aの陵線を越えて周方向に延在するビード(図示省略)が形成され、他方の板材42または41にビードが形成されないようにして実施する。また、図12の(c)の場合では、上下の合わせ部C5,C7の右側にある板材52に角柱状部50Aの陵線を越えて周方向に延在するビード(図示省略)が形成され、上下の合わせ部C5,C7の左側にある両板材51,53にビードが形成されないようにして実施する。
また、上記実施形態においては、車両用エネルギー吸収部材10が、自動車20のフロント部21において、車体のサイドメンバ22と同サイドメンバ22の前方に配置されるバンパ補強材23間に介装されて車両に取付けられる実施形態について説明したが、車両用エネルギー吸収部材(10)が、自動車のリヤ部において、車体のサイドメンバと同サイドメンバの後方に配置されるバンパ補強材間に介装されて車両に取付けられる実施形態でも本発明を実施することが可能である。なお、上記した各実施形態において、バンパ補強材は必須部材ではなく、バンパ補強材が設けられない実施形態では、バンパとサイドメンバ間に車両用エネルギー吸収部材(10)が介装されて使用される。
また、上記実施形態においては、左右一対の車両用エネルギー吸収部材10,10が、図2および図3に示したように、略平行に配置されるようにして実施したが、左右一対の車両用エネルギー吸収部材が平面視にてハの字状に配置される(各車両用エネルギー吸収部材の車両前方側端部が各車両用エネルギー吸収部材の車両後方側端部に比して左右方向で近づくように配置される)、または逆ハの字状に配置される(各車両用エネルギー吸収部材の車両前方側端部が各車両用エネルギー吸収部材の車両後方側端部に比して左右方向で離れるように配置される)ようにして実施することも可能である。
本発明による車両用エネルギー吸収部材を自動車のフロント部において車体のサイドメンバとバンパ補強材間に介装した実施形態の概略的な側面図である。 図1に示した車両用エネルギー吸収部材とバンパ補強材を一体としてサブアッシー化した状態の平面図である。 図2に示したバンパ補強材の中間部を省略した拡大平面図である。 図3に示した車両用エネルギー吸収部材とバンパ補強材の背面図である。 図2〜図4に示した車両用エネルギー吸収部材のトッププレート側からみた拡大斜視図である。 図2〜図4に示した車両用エネルギー吸収部材のベースプレート側からみた拡大斜視図である。 図5に示した車両用エネルギー吸収部材を所定量回転してみた斜視図である。 図1〜図7に示した車両用エネルギー吸収部材が車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際の作動説明図である。 図1〜図7に示した車両用エネルギー吸収部材が車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際の特性線を概略的に示した荷重変化特性線図である。 図1〜図7に示した車両用エネルギー吸収部材を(a)に概略的に示すとともに、同車両用エネルギー吸収部材からビードを無くしたものを(b)に概略的に示し、同車両用エネルギー吸収部材から中空の角柱状部外に突出し車両の前後方向に延在するフランジ部で構成される合わせ部を無くしたものを(c),(d)に概略的に示した各車両用エネルギー吸収部材の斜視図である。 図10に示した各車両用エネルギー吸収部材が車両前後方向の衝撃荷重を受けて塑性変形する際の特性線を示した荷重変化特性線図である。 本発明による車両用エネルギー吸収部材における中空の角柱状部の他の実施形態を概略的に示す断面図である。
符号の説明
10…車両用エネルギー吸収部材、10A…中空の角柱状部、11…車両内側のサイドプレート、11a,11b…フランジ部、11i…ビード、12…車両外側のサイドプレート、12a,12b…フランジ部、13…ベースプレート、13a…取付孔、14…トッププレート、14a…取付孔、15…ウエルドナット、L1,L2…角柱状部の陵線、C1,C2…合わせ部、22…車体のサイドメンバ、23…バンパ補強材

Claims (5)

  1. 所定形状に成形された複数の板材を、車両に取付けた状態で合わせ部が車両の前後方向に沿うように接合固着することにより、中空の角柱状部が形成されていて、この角柱状部が車両の前後方向荷重により塑性変形して、車両衝突時の衝撃エネルギーを吸収可能であり、前記合わせ部の一つは前記角柱状部の車両左右方向または車両上下方向の中間部にて中空外方に向けて突出し車両の前後方向に延在するフランジ部で構成されていて、同フランジ部の一側にある前記板材には前記角柱状部の稜線を越えて周方向に延在するビードが形成され、同フランジ部の他側にある前記板材にはビードが形成されていない車両用エネルギー吸収部材において、前記フランジ部は平面視または側面視にて車両の前後方向に対し所定量傾斜して設けられていることを特徴とする車両用エネルギー吸収部材。
  2. 請求項1に記載の車両用エネルギー吸収部材において、前記フランジ部は、車両の前後方向にて所定の間隔で複数個のスポット溶接により接合固着されており、前記ビードは前記スポット溶接の箇所と車両の前後方向にて不一致となる箇所に設けられていることを特徴とする車両用エネルギー吸収部材。
  3. 請求項1または2に記載の車両用エネルギー吸収部材において、前記ビードは一条であり車両前後方向の中央より衝撃エネルギーの入力側に所定量変位して設けられていることを特徴とする車両用エネルギー吸収部材。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両用エネルギー吸収部材は、車体のサイドメンバと同サイドメンバの前方または後方に配置されるバンパ補強材間に介装されて車両に取付けられることを特徴とする車両用エネルギー吸収部材。
  5. 請求項に記載の車両用エネルギー吸収部材において、前記サイドメンバ側の端部には、前記角柱状部を構成する前記各板材の端部にそれぞれ接合固着されていて前記サイドメンバへの取付部を有するベースプレートが設けられていることを特徴とする車両用エネルギー吸収部材。
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