JP4768418B2 - 摩擦撹拌接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の被接合部材を接合する接合方法に関する。
被接合物を構成する複数の被接合部材を接合する従来技術として、摩擦撹拌接合方法がある。この方法は、回転する接合ツールを被接合物に押付けたときに発生する摩擦熱によって、複数の被接合部材の重ね合わせ部分を流動化させるとともに撹拌して、複数の被接合部材を接合する方法である。摩擦撹拌接合のうち、第1の従来技術として摩擦撹拌スポット接合があり(特許文献1参照)、第2の従来技術として摩擦撹拌連続接合がある(特許文献2参照)。
第1の従来技術では、高い接合強度を得るためには、大径の接合ツールが用いられることになる。この場合、接合ツールが被接合物に与える入熱量が大きくなり、接合すべき複数の被接合部材が流動化する流動領域が増大して、被接合物の接合強度が向上する。
第2従来技術では、回転させながら接合ツールをその軸線と直交する方向に移動させることで、流動領域が増大して被接合物の接合強度が向上する。
特許第3471338号明細書 特許第2712838号明細書
第1の従来技術において、接合強度を局所的に向上するためにツール径を太くすると、被接合物の接合可能領域が狭い場合には、スポット接合を行うことが困難となる。また接合部分の周囲の空間が狭い場合には、他の部材などに干渉してしまう。したがって、接合可能な適用箇所が制限されてしまう。また大径の接合ツールでは、被接合物に没入させるに費やす没入時間が長くなり、作業性が低いという問題がある。
第2の従来技術では、第1の従来技術と同様の問題が生じる。また第2の従来技術では、接合ツールをその軸線と直交する方向に移動させる必要があるので、接合装置に要求される剛性が高くなる。これによって接合装置が大形化してしまい、接合可能な適用箇所が制限されるという問題がある。
このほかに複数の被接合部材を接合する方法として、抵抗スポット接合がある。抵抗スポット接合は、被接合物に電流を流したときに被接合物に発生するジュール熱を利用して、複数の被接合部材を接合する方法である。抵抗スポット接合方法を用いると、被接合物に設定される第1接合部分をスポット接合したあとで、第1接合部分に近接する第2接合部分を接合しようとした場合、電流が第1接合部分を流れる分流現象が生じ、接合不良が発生してしまう。したがって第1接合部分と第2接合部分とを十分に離反させなければならず、被接合物の接合強度を局所的に高くすることができない。
したがって本発明の目的は、被接合物の接合強度を局所的に向上するとともに、接合可能な適用範囲を広げることができる接合方法を提供することである。
本発明は、被接合物のうちで予め設定される第1接合部分の近傍に、円柱状の接合ツールを移動させる第1移動工程と、
接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第1接合部分に没入させて、被接合物を構成する複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第1摩擦撹拌工程と、
接合ツールを被接合物の第1接合部分から退出させ、被接合物のうちで、第1接合部分に近接する位置に設定される第2接合部分の近傍に、接合ツールを移動させる第2移動工程と、
接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第2接合部分に没入させて、複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第2摩擦撹拌工程とを含み、
第1摩擦撹拌工程と、第2摩擦撹拌工程とで、接合条件を異ならせ、
第2摩擦撹拌工程では、第1摩擦撹拌工程に比べて、接合ツールを被接合物に没入させる没入時間を短くすることを特徴とする摩擦撹拌接合方法である
また本発明は、第1摩擦撹拌工程によって被接合物の温度が上昇する高温部分の一部に第2接合部分が設定されることを特徴とする。
また本発明は、各摩擦撹拌工程によって被接合物の金属結晶組織が均一化される接合領域がそれぞれ略円環状となるように、第1接合部分の中心と第2接合部分の中心との間の距離である打点間隔Pが設定されることを特徴とする。
また本発明は、略円柱状に形成されるショルダ部と、ショルダ部に対して同軸に形成されてショルダ部から軸線方向一方に突出し、ショルダ部よりも外径が小さい略円柱状に形成されるピン部とが形成される接合ツールを用い、
第1摩擦撹拌工程によって形成される第1接合領域の外径半径w1と、ショルダ部の半径Srとを加算した値(w1+Sr)よりも大きくなるように、前記打点間隔Pが設定されることを特徴とする。
また本発明は、接合後の被接合物に力が与えられる方向に対して直交するように、第1接合部分と第2接合部分との並ぶ方向が設定されることを特徴とする。
また本発明は、各摩擦撹拌工程では、接合ツールが被接合物に没入する没入量が予め定める値に達すると、被接合物からの接合ツールの退出を開始することを特徴とする。
また本発明は、第2移動工程において、第1接合部分から退出させた接合ツールを、被接合物表面に近接した位置を通過させて、第2接合部分の近傍に移動させることを特徴とする。
また本発明は、前記摩擦撹拌接合方法を摩擦撹拌接合装置に行わせる制御装置であって、接合すべき被接合物と各接合部分に関連する関連情報に基づいて、接合ツールの移動経路を決定することを特徴とする制御装置である。
また本発明は、ロボットアームの先端部に連結される基体と、
基体に、予め定める基準軸線まわりに回転可能でかつ基準軸線に沿って直線に変位可能に支持されるツール保持部と、
ツール保持部を基準軸線まわりに回転駆動する回転駆動手段と、
ツール保持部を基準軸線に沿う方向に直進駆動する直進駆動手段と、
回転駆動手段と、直進駆動手段と、ロボットアームに設けられる複数のアーム駆動手段とを制御するコントローラと、
基体に固定され、ツール保持部に対して対向する位置に配置される受け台と、
ツール保持部に着脱可能に設けられる円柱状の接合ツールとを含み、
受け台と接合ツールとで被接合物を挟持して、当該被接合物に設定される複数の接合部分を順番にスポット接合し、
前記コントローラは、被接合物のうちで予め設定される第1接合部分の近傍に、円柱状の接合ツールを移動させ、接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第1接合部分に没入させて、被接合物を構成する複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第1摩擦撹拌を行い、
接合ツールを被接合物の第1接合部分から退出させ、被接合物のうちで、第1接合部分に近接する位置に設定される第2接合部分の近傍に、接合ツールを移動させ、接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第2接合部分に没入させて、複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第2摩擦撹拌を行い、
第1摩擦撹拌と、第2摩擦撹拌とで、接合条件を異ならせ、
第2摩擦撹拌では、第1摩擦撹拌に比べて、接合ツールを被接合物に没入させる没入時間を短くするように各駆動手段を制御することを特徴とする摩擦撹拌接合装置である
請求項1記載の本発明に従えば、第1移動工程において接合ツールを被接合物の第1接合部分の近傍に移動させた後、第1摩擦撹拌工程において第1接合部分を摩擦撹拌接合する。次に、第2移動工程において接合ツールを被接合物の第2接合部分の近傍に移動させた後、第2摩擦撹拌工程において第2接合部分を摩擦撹拌接合する。
本発明によれば、各接合部分で摩擦撹拌接合することによって、抵抗スポット接合に比べて、第1接合部分と第2接合部分との間隔を狭めることができ、被接合物の接合強度を局所的に高めることができる。また、複数回の没入を繰返すことで、大径の接合ツールを用いずとも、大径の接合ツールによって被接合物に生じる流動領域とほぼ同じ体積の流動領域を形成することができる。これによって大径の接合ツールを用いて摩擦撹拌接合した場合と同等の接合強度を得ることができる。また小径の接合ツールを用いることで、被接合物の接合可能部分が狭い場合、接合部分の周囲の空間が狭い場合などであっても、接合部分を接合することができ、摩擦撹拌適用可能な範囲を広げることができる。
また大径の接合ツールを被接合物に没入する場合に比べて、各摩擦撹拌工程でそれぞれ発生する入熱量を低くすることができるので、被接合物に生じる熱ひずみを小さくすることができ、接合品質を向上することができる。また摩擦撹拌連続接合を行う場合に比べて、接合装置が必要とする剛性を低くすることができ、接合装置を小形化することができる。また接合装置を小形化することで、摩擦撹拌適用可能な範囲を広げることができる。
また第1摩擦撹拌工程と、第2摩擦撹拌工程とで接合条件を異ならせることによって、第1摩擦撹拌工程と、第2摩擦撹拌工程とにおける接合部分の温度の違いに応じた摩擦撹拌接合を行うことができる。このように本発明によれば、接合部分の温度変化に応じた摩擦撹拌接合を行うことができる。
また第2摩擦撹拌工程で、接合ツールを被接合物に没入させる没入時間を低下させる。第2摩擦撹拌工程では、第1摩擦撹拌工程に比べて、接合ツールおよび第2接合部分の温度が上昇している。本発明によれば、第2摩擦撹拌工程で、接合ツールの没入時間を短縮することで、接合後の第2接合部分の板厚を予め定める値に保つことができ、接合ツールが被接合物を貫通することを防ぐことができる。また接合ツールの没入時間を短縮することで、短時間に第2摩擦撹拌工程を終了することができ、作業効率を向上することができる
請求項記載の本発明に従えば、第1摩擦撹拌工程によって、被接合物のうちで常温に比べて温度が上昇する高温部分が生じる。次に、第2摩擦撹拌工程では、第1摩擦撹拌工程によって生じた高温部分の一部を第2接合部分として、その第2接合部分に接合ツールを没入する。
本発明によれば、第2接合部分は、第1摩擦撹拌工程で既に温度上昇した状態であるので、第1摩擦撹拌工程に比べて接合ツールを被接合物に没入させやすくすることができる。これによって接合ツールの摩耗を少なくして、ツール寿命を延ばすことができる。
請求項記載の本発明に従えば、各摩擦撹拌工程によって形成される接合領域がそれぞれ略円環状となるように打点間隔Pが設定される。接合領域が略円環状に対して乱れた形状となると接合強度が低下してしまうが、本発明によれば、上述したように各接合領域がそれぞれ略円環状となるように打点間隔Pが設定されるので、接合領域の変形に起因する接合強度の低下を抑えることができ、被接合物の接合強度を向上することができる。
請求項記載の本発明に従えば、第1接合領域の外径半径w1と、ショルダ部の半径Srとを加算した値(w1+Sr)よりも大きくなるように、前記打点間隔Pが設定される。この場合、第2摩擦撹拌工程では、第1摩擦撹拌接合工程で生じた第1接合領域に対して半径方向に離れた位置にショルダ部が位置する。言い換えると第1接合領域の軸線方向にショルダ部が並ぶことが防がれる。これによって、第2摩擦撹拌工程におけるショルダ部の回転によって、第1接合領域が変形することが防がれる。
本発明によれば、第1接合領域の変形が防がれるので、各摩擦撹拌工程で形成される接合領域をそれぞれ略円環状となるように形成することができ、接合領域の変形に起因する接合強度の低下を抑えることができる。したがって被接合物の接合強度を向上することができる。
また請求項記載の本発明に従えば、接合後の被接合物に力が与えられる方向に対して直交する方向に各接合部分が並べられる。これによって接合後の被接合物に力が与えられる方向の接合強度を向上することができ、複数の被接合部材が互いに離反することをより確実に防ぐことができる。たとえば接合後の接合物に引張力が与えられる引張方向が決定している場合、その引張方向に直交する方向に並べて、第1接合部分および第2接合部分を設定する。これによって接合後の被接合物が引張力によって離反することをより確実に防ぐことができる。
また請求項記載の本発明に従えば、各摩擦撹拌工程では、接合ツールの位置を調べ、被接合物における接合ツールの没入量が予め定める値に達すると、接合ツールを被接合物から退出させる。これによって被接合物に形成される接合跡の形状を所定形状に保つことができる。具体的には、各接合部分における板厚、いわゆる残母板厚を一定に保つことができ、接合品質を向上することができる。特に、第2摩擦撹拌工程では、第1摩擦撹拌工程における第2接合部分の温度上昇によって、第2接合部分の接合跡の形状を所定形状に保つことが困難となるが、本発明のように接合ツールの没入量が予め定める値に達すると接合ツールを被接合物から退出させることによって、第2接合部分の接合跡の形状も所定形状に保つことができ、接合品質を向上することができる。
このように本発明によれば、複数の摩擦撹拌工程を連続して行った場合における接合部分の温度バラツキが生じたとしても、接合ツールの没入量を制御することで、各接合部分の接合跡を予め定める形状に保つことができ、接合品質を向上することができる。
また請求項記載の本発明に従えば、第2移動工程において、接合ツールを被接合物表面に近接した位置を通過させて、第2接合部分の近傍に移動させる。この場合、第2摩擦撹拌工程を開始してから、接合ツールが被接合物に没入するまでの時間を短縮させることができ、接合動作に費やす接合時間を短縮することができる。
また請求項記載の本発明に従えば、制御装置は、接合すべき被接合物と各接合部分に関連する関連情報に基づいて、接合ツールの移動経路を決定する。制御装置は、決定した移動経路を接合ツールが移動するように接合装置を制御して、上述する第1移動工程、第1摩擦撹拌工程、第2移動工程および第2摩擦撹拌接合工程を順番に行う。これによって作業者などは、関連情報を入力するだけでよい。したがって本発明によれば、第1接合部分、第2接合部分および接合ツールの移動経路などの詳細を制御装置に教示する教示作業を行う必要がなく、利便性を向上することができる。
請求項記載の本発明に従えば、接合ツールを被接合物の第1接合部分の近傍に移動させた後、第1摩擦撹拌において第1接合部分を摩擦撹拌接合する。次に、接合ツールを被接合物の第2接合部分の近傍に移動させた後、第2摩擦撹拌において第2接合部分を摩擦撹拌接合する。
本発明によれば、各接合部分で摩擦撹拌接合することによって、抵抗スポット接合に比べて、第1接合部分と第2接合部分との間隔を狭めることができ、被接合物の接合強度を局所的に高めることができる。また、複数回の没入を繰返すことで、大径の接合ツールを用いずとも、大径の接合ツールによって被接合物に生じる流動領域とほぼ同じ体積の流動領域を形成することができる。これによって大径の接合ツールを用いて摩擦撹拌接合した場合と同等の接合強度を得ることができる。また小径の接合ツールを用いることで、被接合物の接合可能部分が狭い場合、接合部分の周囲の空間が狭い場合などであっても、接合部分を接合することができ、摩擦撹拌適用可能な範囲を広げることができる。
また大径の接合ツールを被接合物に没入する場合に比べて、各摩擦撹拌でそれぞれ発生する入熱量を低くすることができるので、被接合物に生じる熱ひずみを小さくすることができ、接合品質を向上することができる。また摩擦撹拌連続接合を行う場合に比べて、接合装置が必要とする剛性を低くすることができ、接合装置を小形化することができる。また接合装置を小形化することで、摩擦撹拌適用可能な範囲を広げることができる。
また第1摩擦撹拌と、第2摩擦撹拌とで接合条件を異ならせることによって、第1摩擦撹拌と、第2摩擦撹拌とにおける接合部分の温度の違いに応じた摩擦撹拌接合を行うことができる。このように本発明によれば、接合部分の温度変化に応じた摩擦撹拌接合を行うことができる。
また第2摩擦撹拌で、接合ツールを被接合物に没入させる没入時間を低下させる。第2摩擦撹拌では、第1摩擦撹拌に比べて、接合ツールおよび第2接合部分の温度が上昇している。本発明によれば、第2摩擦撹拌で、接合ツールの没入時間を短縮することで、接合後の第2接合部分の板厚を予め定める値に保つことができ、接合ツールが被接合物を貫通することを防ぐことができる。また接合ツールの没入時間を短縮することで、短時間に第2摩擦撹拌を終了することができ、作業効率を向上することができる
図1は、本発明の第1実施形態である摩擦撹拌接合装置51を含む接合設備50を示す斜視図である。本発明の第1実施形態である摩擦撹拌接合装置51(以下、単に接合装置51と称する)は、被接合物27を構成する複数の被接合部材25,26を摩擦撹拌接合(Friction Stir Welding:略称FSW)する。接合装置51は、ロボットなどの移動手段によって搬送されて、被接合物27に複数点在して設定される接合部分23,24で、各被接合部材25,26をそれぞれスポット接合する。本実施の形態では、被接合物27は、アルミニウム合金からなる2つの被接合部材25,26が重ねられて構成され、接合後の被接合物27は、自動車ボディや鉄道車両構体などの外板の一部を構成する。
接合装置51は、略円柱状の接合ツール20を着脱可能に保持し、接合ツール20を用いて摩擦撹拌接合を行う。接合装置51は、接合ツール20をその軸線まわりに回転させながら、接合ツール20を軸線方向に沿って移動させて、被接合物27に設定される接合部分23,24に押付ける。接合ツール20の先端部が回転しながら被接合物27に摺接することで、接合ツール20と被接合物27との間で摩擦熱が生じ、摩擦熱によって各被接合部材25,26の境界部分がそれぞれ流動化して撹拌される。流動化した各被接合部材25,26が互いに混ぜ合わされた接合領域が固まることで、接合領域で各被接合部材25,26を接合することができる。
図1に示すように、接合設備50は、接合装置51と、接合装置51を変位自在に保持する多関節ロボット52と、接合装置51および多関節ロボット52を制御するコントローラ53と、接合装置51および多関節ロボット52に動力を供給するための電源供給装置54と、2つの被接合部材25,26を重ね合わせた状態で保持する保持装置55とを含んで構成される。接合装置51は、多関節ロボット52によって移動されることで、被接合物27に設定される複数の接合部分23,4を順番にスポット接合することができる。
図2は、接合装置1の構成を示すブロック図である。接合装置51は、ツール保持部57と、回転駆動手段58と、直進駆動手段59と、受け台60と、基体61とを含んで構成される。接合装置51の基体61には、予め定める基準軸線L1が設定される。
ツール保持部57は、基準軸線L1まわりに回転可能でかつ基準軸線L1に沿って直線変位可能に基体61に支持され、接合ツール20を着脱可能に構成される。ツール保持部57は、接合ツール20の軸線と前記基準軸線L1とを一致させて、接合ツール20を保持する。以下、接合ツール20の軸線を接合装置51の基準軸線L1と同じ参照符号を付する。
回転駆動手段58は、ツール保持部57を基準軸線L1まわりに回転駆動する。直進駆動手段59は、ツール保持部57を基準軸線L1に沿う方向である軸線方向Xに直進駆動する。具体的には、各駆動手段58,59は、サーボモータをそれぞれ含んで実現される。各サーボモータは、動力伝達機構を介して、動力をツール保持部57に伝える。これによってツール保持部57は、各駆動手段58,59によって、回転駆動または直線駆動される。
各駆動手段58,59は、各サーボモータの出力トルクおよび回転速度が予め定める値となるように、コントローラ53によって制御される。本実施の形態では、各駆動手段58,59は、各サーボモータに流れる電流を検出する電流検出手段と、サーボモータの出力軸の回転速度を検出する速度検出手段とがそれぞれ設けられる。各検出手段は、検出結果をコントローラ53に与える。
ここで、回転駆動手段58に設けられる速度検出手段は、接合ツール20の回転速度を検出するツール回転速度検出手段となる。また直進駆動手段59に設けられる速度検出手段は、接合ツール20の没入量を検出するためのツール位置検出手段となる。また直進駆動手段59に設けられる電流検出手段は、接合ツール20が被接合物27を加圧する加圧力を検出するツール加圧力検出手段となる。
受け台60は、基体61に固定され、ツール保持部57に対して対向する位置に配置される。受け台60は、摩擦撹拌接合にあたって、接合ツール20と反対側から被接合物27を支持する。本実施の形態では、受け台60は、接合ツール20と同様の直径を有する円柱状に形成され、基準軸線L1に同軸に配置される。
基体61は、多関節ロボット52のロボットアームの先端部56に連結され、ツール保持部57、各駆動手段58,59および受け台60を直接または間接的に支持する。基体61は、ロボット52によって任意の位置および姿勢に変位駆動される。本実施の形態では、基体61は、C字状に形成される。受け台60は、基体61のうちで周方向一端部62に設けられる。ツール保持部57は、基体61のうちで周方向他端部63に設けられる。
ツール保持部57と受け台60とは、軸線方向Xに間隔をあけて並んで配置される。ツール保持部57と受け台60との間に、被接合物27が配置された状態で、ツール保持部57が受け台60に向けて軸線方向Xに移動することで、ツール保持部57に保持される接合ツール20と、受け台60とによって被接合物27を挟持することができる。以下、軸線方向Xのうちで、ツール保持部57が受け台60に近接する方向を前進方向X1と称し、ツール保持部57が受け台60から離反する方向を後進方向X2と称する。
コントローラ53は、ロボットアームに設けられる複数のアーム駆動手段をそれぞれ制御する。またコントローラ53は、回転駆動手段58および直進駆動手段59に設けられる各検出手段の検出結果に基づいて、回転駆動手段58および直進駆動手段59をフィードバック制御する。コントローラ53が接合装置51の各駆動手段58,59を制御することによって、目的とする回転速度および加圧力で、接合ツール20を被接合物27に没入させることができる。
コントローラ53は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される演算処理回路64と、インターフェースとなる入出力回路65と、RAM(Random Access
Memory)およびROM(Read Only Memory)を含んで実現される記憶回路66とを有する。記憶回路66には、接合装置51の動作条件と、基体61の移動経路を示す移動情報と、接合動作手順とがそれぞれ記憶される。接合動作手順は、動作プログラムとして記憶回路に記憶され、演算処理回路64が動作プログラムを実行することによって、接合装置51の接合動作を制御することができる。
たとえば動作条件は、接合ツール20の回転速度、加圧力および没入時間を含み、被接合物27の材質および形状などの接合状態に応じて予め最適な値が記憶される。動作条件は、予め実験または理論式などによって求められ、作業者などから前もって入力される。また移動情報は、被接合物27に設定される接合部分23,24の位置、基体61の移動経路上に設定される教示位置などである。移動情報は、作業者によるロボット52のティーチング動作などによって予め入力される。動作条件および移動情報は、接合動作を行う前に予め記憶回路66に記憶される。
コントローラ53の演算処理回路64は、記憶回路66から動作条件および移動情報を読出し、動作プログラムを実行することによって、予め定める接合手順に従って、接合装置51の各駆動手段58,59およびロボット52のアーム駆動手段を制御することができる。演算処理回路64は、入出力回路65を介して接合装置51およびロボットアーム52から与えられる情報を受取るとともに、入出力回路65を介して接合装置51およびロボット52に演算結果を与える。また本実施の形態では、接合ツール20の没入時間をカウントするためのタイマ回路67を有する。
コントローラ53は、接合ツール20の回転速度が予め定める設定速度になるように回転駆動手段58をフィードバック制御する。したがって接合ツール20が被接合物27に没入して、接合ツール20の回転速度が低下した場合には、回転駆動手段58のサーボモータに与える電流を増加させる。またコントローラ53は、接合ツール20の回転速度の低下、あるいは回転駆動手段58に与える電流の増加を判断して、接合ツール20の先端部が被接合物27に没入した時点を判断することができる。
接合ツール20は、略円柱状に形成されるショルダ部21と、ショルダ部21に対して同軸に形成されてショルダ部21から軸線方向一方に突出し、ショルダ部21よりも外径が小さい略円柱状に形成されるピン部22とを有する。接合ツール20は、ピン部22が受け台60に臨むようにツール保持部57に取り付けられる。これによって接合ツール20は、ショルダ部21よりも先にピン部22が、被接合物63に没入する。
図3は、コントローラ53による接合動作を示すフローチャートである。また図4は、接合動作を示す断面図であり、図4(1)〜図4(6)の順番に接合動作が行われる。本実施の形態では、接合装置51は、接合ツール20を第1接合部分23に没入させた後、第1接合部分23に近接した第2接合部分24に接合ツール20を没入させる。
本実施形態では、ステップa0で、ツール保持部57に接合ツール20が保持されるなどして接合準備が完了して、動作条件および位置情報を記憶した状態で、コントローラ53は、作業者などによって接合開始命令が与えられると、ステップa1に進み、接合動作を開始する。
ステップa1では、コントローラ53は、アーム駆動手段に動作指令を与え、基体61を予め定める第1待機位置に移動させる。基体61が第1待機位置に移動すると、接合ツール20は、被接合物27に設定される第1接合部分23の近傍の第1準備位置に配置され、受け台60は、接合ツール20と反対側から被接合物27に当接する。接合ツール20は、第1準備位置に配置された場合、第1接合部分23に対して軸線方向Xに間隔をあけて配置される。このように基体61を第1待機位置に移動させると、ステップa2に進む。
ステップa2では、コントローラ53は、回転駆動手段58を制御して、ツール保持部57を回転させる。これによってツール保持部57とともに接合ツール20が軸線L1まわりに回転し、予め定める回転速度に達すると、ステップa3に進む。ステップa3では、コントローラ53は、直進駆動手段59を制御して、ツール保持部57を被接合物27に向かって前進方向X1に移動させる。これによって接合ツール20は、軸線L1まわりに回転しながら被接合物27に向かう。接合ツール20の直進を開始するとステップa4に進む。
ステップa4において、図4(1)に示すように、接合ツール20は、ピン部22から被接合物27の第1接合部分23に没入する。接合ツール20は、前進方向X1にさらに移動することで、図4(2)に示すように、ショルダ部21が被接合物27の第1接合部分23に没入する。軸線L1まわりに回転した状態で、接合ツール20が被接合物27に没入するので、ショルダ部21およびピン部22と、被接合物27との間で摩擦熱が生じる。この摩擦熱によって、軟化した各被接合部材25,26が接合ツール20に引きずられて、軸線L1まわりに塑性流動して撹拌される。これによって第1接合部分23に、各被接合部材25,26が流動化した流動化領域28が形成される。
ステップa4において、コントローラ53は、ピン部22が被接合物27に没入したことを判断してから、タイマ回路67による計測を開始して、予め定められる没入時間が経過すると、ステップa5に進む。またステップa4において、没入時間が経過していないと判断すると、接合ツール20の軸線方向Xの進行を継続する。
ステップa5では、コントローラ53は、直進駆動手段59を制御して、ツール保持部57を被接合物27から離反する後進方向X2に移動させる。これによって図4(3)に示すように、接合ツール20は、軸線L1まわりに回転しながら被接合物27から退出する。コントローラ53は、後進方向X2の移動を開始してから予め定める退出時間が経過すると、接合ツール20が被接合物27から退出したことを判断し、ステップa6に進む。
ステップa6では、コントローラ53は、第2接合部分24の接合が完了したかどうかを判断し、第2接合部分24の接合が完了していないと判断すると、ステップa7に進む。ステップa7では、コントローラ53は、アーム駆動手段に動作指令を与え、基体61を第2待機位置に移動させる。基体61が第2待機位置に移動すると、接合ツール20は、被接合物27に設定される第2接合部分24の近傍の第2準備位置に配置され、受け台60は、接合ツール20と反対側から被接合物27に当接する。接合ツール20は、第2準備位置に配置された場合、第2接合部分24に対して軸線方向Xに間隔をあけて配置される。このように基体61を第2待機位置に移動させると、ステップa3に戻る。そして図4(4)〜図4(6)に示すように、ステップa3〜ステップa6を順に進む。これによって第2接合部分24に、各被接合部材25,26が流動化した流動化領域29が形成される。
ステップa6において、コントローラ53は、第2接合部分24の接合が完了したことを判断すると、ステップa8に進む。ステップa8では、コントローラ53は、回転駆動手段58を制御して、ツール保持部57の回転を停止してステップa9に進む。ステップa9では、コントローラ53は接合動作を終了する。
このように本実施の形態では、第1接合部分23の近傍の第1準備位置に接合ツール20を移動させる第1移動工程と、接合ツール20を第1接合部分23に没入させて、摩擦撹拌接合する第1摩擦撹拌工程と、接合ツール20を被接合物27の第1接合部分23から退出させて、第2接合部分24の近傍の第2準備位置に接合ツール20を移動させる第2移動工程と、接合ツール20を被接合物27の第2接合部分24に没入させて、摩擦撹拌接合する第2摩擦撹拌工程とを含む。本実施の形態によれば、実験の結果、1つの接合部分23だけを接合した場合に比べて、接合後の被接合物27の接合強度を約1.6倍〜1.8倍に向上させることができる。
図5は、被接合物27の接合跡123,124を示す平面図である。図5(1)は接合跡123,124を示す写真であり、図5(2)は接合跡123,124を模式的に示す図である。本実施の形態では、被接合物27に設定される第1接合部分23と第2接合部分24とでそれぞれ摩擦撹拌スポット接合する。これによって第1接合部分23と第2接合部分24とを、極めて近接した位置に配置可能であり、第1接合部分23の接合跡123と、第2接合部分24の接合跡124とを重ならせることができる。
したがって抵抗スポット接合を用いて、2つの接合部分23,24で被接合物27を接合する場合に比べて、第1接合部分23の中心と第2接合部分24の中心との間隔である打点間隔Pを狭めることができ、被接合物27の接合強度を局所的に高めることができる。ここで打点間隔Pは、第1摩擦撹拌工程での基準軸線L1と、第2摩擦撹拌工程での基準軸線L1との間の距離と一致する。
また本実施の形態では、第2接合部分24は、被接合物27のうちで第1摩擦撹拌工程によって温度が上昇する高温部分32の一部に設定される。言い換えると、第2接合部分24は、接合ツール20が第2接合部分24に没入するときに、常温よりも高い温度となる高温部分32の一部に設定される。
たとえば第1摩擦撹拌工程を終えた状態で、被接合物27の温度が常温に比べて上昇する高温領域を規定するような、第1接合部分23を中心とする半径を昇温半径R1とする。この場合、打点間隔Pは、昇温半径R1よりも小さく設定される。
これによって第2接合部分24に接合ツール20を没入させる場合、第1摩擦撹拌工程によって、既に第2接合部分24が予熱されているので、接合ツール20を第2接合部分24に没入させやすくすることができる。したがって接合ツール20が被接合物27から受ける抵抗力を減らして、接合ツール20の寿命を延ばすことができる。
本実施の形態では、第2接合部分24は、第1摩擦撹拌工程によって温度が常温に比べて約100〜150℃以上に上昇する部分に設定される。これによって第1摩擦撹拌工程による第2接合部分24の予熱効果を十分に得ることができる。また本実施形態では、打点間隔Pが、ショルダ部21の直径よりも短い距離に設定される。これによって高温部分32の一部に第2接合部分24を確実に設定することができる。
図6は、被接合物27の接合跡123,124を示す断面図である。図6(1)は接合跡123,124を示す写真であり、図6(2)は接合跡123,124を模式的に示す図である。第1接合部分23の接合跡を第1接合跡123と称し、第2接合部分24の接合跡を第2接合跡124と称すると、各接合跡123,124には、摩擦撹拌工程において接合ツール20によって軸線まわりに塑性流動した流動化領域28,29が形成される。
各流動化領域28,29のうちで、摩擦撹拌工程においてピン部22に隣接する領域が接合領域30,31となる。接合領域30,31は、流動化領域28,29のうちで、半径方向内周側部分に形成され、摩擦撹拌工程において2つの被接合部材25,26が互いに混ぜ合わされた領域である。また接合領域30,31の金属結晶組織は、緻密な再結晶組織からなり、被接合物27の接合強度に与える影響が大きい。
各流動化領域28,29のそれぞれの接合領域30,31は、本実施形態では円環状に形成され、軸線を含んで軸線に平行な切断面線の形状が周方向にわたってほぼ一様に形成される。言い換えると、接合領域30,31の周方向の断面形状が一様な略円環形状に形成されるように、打点間隔Pの距離が設定される。
打点間隔Pは、ショルダ部21の半径Srよりも小さくすると、第2摩擦撹拌工程において、ピン部22が第1接合跡123に引込まれる現象が生じ、第2摩擦撹拌工程を安定して行うことができない。したがって本実施の形態では、打点間隔Pは、少なくともショルダ部21の半径Srを超える寸法に設定される。
また図6(2)に示すように、本実施の形態では、打点間隔Pは、第1接合部分23に形成される第1接合領域30の外径半径w1と、ショルダ部21の半径Srとを加算した値(w1+Sr)よりも大きく設定される(P>(w1+Sr))。この場合、第2摩擦撹拌工程では、第1接合領域30に対して、半径方向に予め定める余分距離Fだけ離れた位置にショルダ部21が位置する。言い換えると第2摩擦撹拌工程では、第1接合領域30の軸線方向にショルダ部21が位置することが防がれる。
このように打点間隔Pを設定することで、第2摩擦撹拌工程においてショルダ部21が回転しても、略円環状形状の第1接合領域30が不所望に変形することが防がれる。本実施の形態では、第1接合領域30の外径半径w1は、2.8mmに設定され、ショルダ部21の半径Srが5.0mmに設定されるので、打点間隔Pは、7.8mmを超えて設定されることが好ましい。具体的には本実施形態では、打点間隔Pは、8mmに設定される。
たとえば2つの被接合部材25,26を接合するにあたって、ショルダ部の直径が10mm、ピン部の直径が3.5mmの接合ツール20を用いる。接合条件として、接合ツール20の回転数を2000rpmとし、没入時間を2.5秒とする。また接合状態として、接合ツール側の第1被接合部材25の板厚が2.0mm、受け台60側の第2被接合部材26の板厚が2.0mmの被接合物27を接合した場合、打点間隔Pを7mmとすることで、約5500Nの接合強度が得られる。また同一条件で、1つの接合部分23のみを接合した場合の接合強度は、約3000Nとなる。したがって2つの接合部分23,24を接合した場合には、1つの接合部分23を接合した場合に比べて、接合強度を約1.8倍に向上させることができる。
図7〜図12は、打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。図7(1)〜図12(1)は、被接合物27の接合跡を示す断面図であり、図7(2)〜図12(2)は、被接合物27の接合跡を示す平面図である。図7から図12に進むにつれて、打点間隔Pが徐々に大きくなる。
図7および図8に示すように、打点間隔Pが小さすぎると、第2摩擦撹拌工程の影響によって、第1接合領域30が略円環状とは異なる形状に変形してしまう。これに対して、図10〜図12に示すように、打点間隔Pを大きくすることで、各接合領域30,31を略円環状に形成することができる。
図13は、打点間隔Pを変化させた場合における引張せん断強度を示すグラフである。図13において、黒三角記号を結ぶ実線の折れ線74、白三角記号77は、総板厚が2.1mmの被接合物27を試験片として用いた場合を示す。また黒四角記号を結ぶ破線の折れ線75、白四角記号78は、総板厚が2.2mmの被接合物27を試験片として用いた場合を示す。また黒丸記号を結ぶ2点鎖線の折れ線76、白丸記号79は、総板厚が4mmの被接合物27を試験片として用いた場合を示す。黒記号は、2つの接合部分23,24を接合した場合を示し、白記号は、1つの接合部分23だけを接合した場合の強度を示す。ここで総板厚とは、2つの被接合部材25,26のうちの各板厚を加算した値である。
図13に示すように、総板厚が厚くなるほど、接合強度を向上することができる。また2つの接合部分23,24を接合した場合は、被接合物の総板厚にかかわらずに、1つの接合部分23を接合する場合に比べて、接合強度を約1.4倍〜1.8倍に向上することができる。また被接合物27の総板厚にかかわらず、打点間隔Pが小さい場合に比べて、予め定める値以上に打点間隔Pを大きくすることで、接合強度をさらに向上することができる。
打点間隔Pが小さすぎると、図7、図8に示すように第1接合領域30が変形することによって、接合強度が低下してしまう。本実施の形態では、第1接合領域30が略円環形状に形成されるように打点間隔Pを広く設定することによって、第1接合領域30の変形に起因する接合強度の低下を防ぐことができる。
上述したように本実施の形態によれば、打点間隔Pは、前記昇温半径R1以下、好ましくはショルダ直径(2・Sr)以下であって、ショルダ半径Srを超える範囲に設定される。これによって第2摩擦撹拌工程について、常温よりも高温の第2接合部分24に接合ツール20を円滑に没入させることができる。さらに打点間隔Pが、第1接合領域30の外径半径w1と、ショルダ部21の半径Srとを加算した値(w1+Sr)よりも大きく設定される。これによって第1接合領域30の変形を防いで、接合強度をさらに向上することができる。
図14は、本実施形態における被接合物27の接合跡123,124を示す平面図であり、図15は、比較例における被接合物127の接合跡223を示す平面図である。本実施形態では、各接合部分23,24において接合ツール20をそれぞれ没入することで、1つの接合部分23にのみ、接合ツール20を没入する場合に比べて、各接合部分23,4の周囲に形成される流動化領域28,29を大きくすることができる。
また図15に示すように第1接合部分23にだけ接合ツール20を没入させて、本実施の形態と同様の大きさの流動化領域30を形成するためには、本実施の形態に比べて大径の接合ツールを用いる必要がある。これに対して、本実施の形態では、小径の接合ツール20を用いて、大径の接合ツールを用いる場合に生じる流動化領域30と同様の大きさの流動化領域28,29を得ることができる。言い換えると、小径の接合ツール20を用いて被接合物27の接合強度を向上することができる。
図15に示すように大径の接合ツールを用いた場合には、接合部分の温度が過剰に上昇するとともに、温度上昇部分が集中してしまう。これによって被接合物27に熱ひずみ31が生じる場合がある。
これに対して図14に示すように、本実施の形態では、小径の接合ツール20を用いることで、接合ツール20から被接合物27に与えられる入熱量を小さくすることができる。また被接合物27において温度上昇部分を分散することができる。これによって熱ひずみの発生を抑えることができ、接合品質を向上することができる。特に、本実施の形態によれば、複数の被接合部材25,26のうち、接合ツール側となる上板の変形を低減させることができる。
また接合可能な領域が狭いところであっても、摩擦撹拌接合によるスポット接合が可能となる。また本実施の形態では、要求される強度ごとに直径の異なる接合ツールを準備する必要がなく、少ない種類の接合ツール20で被接合物27に要求される接合強度を与えることができる。したがって不所望に接合ツール20が増加する事を防ぐことで、接合ツール20の管理費および設備費を低減することができる。また第1摩擦撹拌接合工程で第2接合部分を予熱して軟らかくすることができるので、接合ツール20の摩耗を低減することができ、接合ツール20の寿命を延ばすことができる。
図16は、接合部分の周囲の空間が狭い状態を示す断面図である。車両のボディなどにおけるスポット接合を行う場合、他の部材によって接合部分の周囲の空間が狭い場合がある。本実施の形態では、小径の接合ツール20を用いることができるので、接合部分の周囲空間が狭い場合であっても、被接合物27に接合ツール20と受け台60とを到達させることができる。これによって局所的な接合強度を向上することができるとともに、スポット接合可能な部位を増やすことができ、接合作業を容易に行うことができる。
以上のように本実施の形態では、大径の接合ツールを用いることなく、接合強度を向上することができるので、大径の接合ツールでは接合不可能な接合部分であっても、摩擦撹拌接合することができる。これによって摩擦撹拌接合可能な適合箇所を増やすことができる。また摩擦撹拌連続接合を行う接合装置に比べて、接合装置に要求される剛性を軽減でき、接合装置の小形化を達成することができる。また接合装置を小形化することによって、接合可能な適合箇所をさらに増やすことができるとともに、接合工程上の制約を減らすことができる。
図17は、各接合部分23,24の並ぶ方向を示す平面図である。図17(1)は、基準軸線L1に垂直な平面、言い換えると被接合物27の板厚方向に垂直な平面において、各接合部分23,24の並ぶ方向が、接合後の被接合物27に引っ張り力が与えられる引張方向に平行な平行状態を示す。図17(2)は、各接合部分23,24の並ぶ方向が、引張方向に垂直な垂直状態を示す。図17(3)は、各接合部分23,24の並ぶ方向が引張方向に対して45度傾く傾斜状態を示す。
各接合部分23,24が並ぶ方向は、引張方向に対して平行な状態から垂直な状態に向かうにつれて、その接合強度が向上する。したがって図17(1)に示す平行状態よりも、図17(3)に示す傾斜状態のほうが接合強度を向上させることができ、図17(3)に示す傾斜状態よりも図17(2)に示す垂直状態のほうが接合強度を向上することができる。したがって接合後の被接合物27に与えられる外力の方向が予め決定されている場合、その外力の方向に対して直交する方向に、各接合部分23,24を並べることによって、接合強度をさらに向上することができる。
また本実施の形態では、近接して並ぶ2つの接合部分23,24に接合ツール20が没入される実施例について説明したが、被接合物27に2つ以上近接した位置に設定される接合部分について接合ツール20が順次没入される場合も含む。この場合、以前に接合ツール20が没入した接合部分を第1接合部分23とし、次に接合ツールが没入すべき接合部分を第2接合部分24として、第1接合部分23と第2接合部分24との位置関係を決定することで、上述する効果を達成することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、接合ツール20を被接合物27に没入させる回数を増やすことで、被接合物27のうちで局所的部分の接合強度を向上することができる。これによって複数の接合箇所が設定される被接合物27において、複数の接合箇所のうちで、他の接合個所に比べて高い接合強度が要求される高強度接合箇所が存在する場合、その高強度接合箇所の強度を残余の接合個所に比べて高くすることができ、接合後の被接合物の全体的な強度を向上することができる。
図18は、本発明の第2実施形態の接合動作を示すフローチャートである。本発明の第2実施形態では、第1実施形態の接合装置51と同様の接合装置51が用いられ、第1実施形態の接合手順に比べて、接合方法が部分的に異なる。具体的には、コントローラ53の動作プログラムおよび接合条件が、第1実施形態と異なる。接合装置51およびコントローラ53について、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、同様の参照符号を付する。
第2実施形態では、接合部分23,24毎の接合ツール20の没入にあたって、接合条件を変更する。具体的には、接合部分23,24ごとに接合ツール20が被接合物27に与える加圧力を変更する。このような加圧力を変更するために必要な接合条件は実験または理論的に予め求められる。そして摩擦撹拌接合が行なわれる前に、接合部分23,24毎の接合条件が記憶回路66に記憶される。また本実施形態では、2以上のN個の接合部分を順番に接合する場合について示す。
本実施形態では、ステップb0で、ツール保持部57に接合ツール20が保持されるなどして接合準備が完了して、動作条件および位置情報を記憶した状態で、コントローラ53は、作業者などによって接合開始命令が与えられると、ステップb1に進み、接合動作を開始する。
コントローラ53は、上述したステップa1〜ステップa5と同様の手順として、ステップb1〜ステップb5を順に進み、ステップb5を終えると、ステップb6に進む。ステップb6では、予め設定されるN個の接合部分での摩擦撹拌が完了したか否かを判断する。N個の接合部分での摩擦撹拌が完了しているとステップb9に進み、そうでないとステップb7に進む。
たとえば第1〜第3接合部分での摩擦撹拌を行うことが設定されている場合、ステップb6において、第1接合部分の摩擦撹拌を終えた状態と、第1および第2接合部分の摩擦撹拌を終えた状態とのいずれかではステップb7に進み、第1〜第3接合部分の摩擦撹拌をすべて終えた状態ではステップb9に進む。
ステップb7では、コントローラ53は、アーム駆動手段に動作指令を与え、基体61を次に摩擦撹拌すべき接合部分に対応した待機位置に移動させる。基体61が次の待機位置に移動すると、接合ツール20は、被接合物27に設定される次の接合部分に対応する準備位置に配置され、受け台60は、接合ツール20と反対側から被接合物27に当接する。このように基体61を待機位置に移動させると、ステップb8に進む。
ステップb8では、記憶回路66から接合条件を読出して、次に接合すべき接合部分に応じた接合条件を設定する。具体的には、摩擦撹拌接合すべき接合部分について、以前の摩擦撹拌工程で既に与えられている熱量を考慮して、接合条件を変更する。本実施の形態では、接合ツール20が被接合物27に与える加圧力が小さくなるように、接合条件を更新する。接合条件の更新が完了すると、ステップb3に戻る。そしてステップb3〜ステップb6の手順を順に行う。
ステップb6において、予め設定されるN個の接合部分での摩擦撹拌が完了したことを判断すると、ステップb9に進む。ステップb9では、コントローラ53は、回転駆動手段58を制御して、ツール保持部57の回転を停止してステップb10に進む。ステップb10では、コントローラ53は接合動作を終了する。
このように本実施の形態では、接合部分毎の摩擦撹拌工程について、接合条件を異ならせる。具体的には、第1接合部分に比べて、第1接合部分以外の接合部分の加圧力を低下させる。これによって接合部分ごとの温度の違いに応じた接合条件で接後部分をそれぞれ摩擦撹拌接合することができ、接合品質をさらに向上することができる。ここで、各接合部分の打点間隔Pおよび各接合部分の並ぶ方向などは、第1実施形態と同様に設定される。これによって第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
図19は、2つの接合部分23,24を接合した場合における、接合ツール20が被接合物27に与える加圧力と、残母板厚との関係を示すグラフである。残母板厚とは、接合部分23,24の接合跡123,124において、最も板厚が小さくなる部分のそれぞれの寸法である。第1接合部分23における加圧力と残母板厚との関係を丸記号80で示し、第2接合部分24における加圧力と残母板厚との関係を三角記号81で示す。
第2接合部分24は、第1接合部分23を摩擦撹拌したときに与えられる予熱によって既に加熱されているので、第1接合部分23に比べて軟化した状態で接合ツール20が没入する。したがって第1接合部分23と第2接合部分24とで同じ加圧力で接合ツール20を没入させると、第2接合部分24の残母板厚は、第1接合部分23の残母板厚よりも小さくなる。各接合部分23,24の残母板厚を同じにするためには、第1接合部分23よりも第2接合部分24のほうが、被接合物27に与える接合ツール20の加圧力を小さくする必要がある。
たとえば図19では、各接合部分23,24の残母板厚を0.4mmに形成するためには、第1接合部分23における接合ツール20の加圧力を約520kgf(5200N)とし、第2接合部分24における接合ツール20の加圧力を約340kgf(3400N)とする必要がある。これによって上述したように各接合部分23,24における残母板厚のばらつきを抑えることができる。
本実施の形態では、上述したように、第2接合部分24における接合ツール20の加圧力を、第1接合部分23における接合ツール20の加圧力よりも小さくする。具体的には、ステップb8において、接合部分23,24の温度に応じて、接合ツール20の加圧力を変更する。コントローラ53は、変更した加圧力に基づいて、直線駆動手段59のサーボモータに与える電流を設定する。これによって、第1接合部分23に比べて、第2接合部分24に没入する接合ツール20の加圧力を小さくすることができ、各接合部分23,24の残母板厚を一様にすることができる。また加圧力を小さくすることによって、接合ツール20の寿命を延ばすとともに、エネルギー効率を向上することができる。
図20は、接合ツール20における温度と加圧力との時間経過を示すグラフである。ここで、接合ツール20の温度は、ショルダ部先端部から基端部に向けて約4mm上方の部分を放射温度計によって計測した計測結果である。したがって、グラフに示す温度値は、ピン部先端の温度値に比べて時間遅れが生じている。
本実施の形態では、残母板厚が0.4mmとなるように設定される。この場合、図19に示すように、接合ツール20は、第1接合部分23に没入する第1没入期間W10では、第1接合部分23に与える加圧力が520kgf(5200N)となるように調整され、第2接合部分24に没入する第2没入期間W12では、第2接合部分24に与える加圧力が340kgf(3400N)となるように調整される。
また接合ツール20の温度は、約17℃の状態から第1没入期間W10が開始すると温度が上昇する。第1没入期間W10を終了した時点では約107℃となる。第2没入期間W11を開始した時点で約107℃となる。第2没入期間W11を終了した時点では約147℃となる。したがって、第2接合部分24に接合ツール20が没入される時点では、第1接合部分23のみに接合ツール20を没入した場合に比べて、ツール温度は、約100℃(=107−17)高くなる。またツール温度の最高温度は、第1接合部分23のみに接合ツール20を没入する場合に比べて、約40℃(=147−107)高くなる。
図21は、本発明の第3実施形態の接合動作を示すフローチャートであり、図22は、第3実施形態の接合動作を説明するための図面である。本発明の第3実施形態では、第1実施形態の接合装置51と同様の接合装置51が用いられる。また第3実施形態の接合装置51は、接合ツール20を冷却する冷却手段を有する。本実施の形態では、冷却手段は、接合ツール20に常温または常温以下の温度の空気を噴射する空気噴射手段68によって実現される。空気噴射手段68は、コントローラ53からの指令によって接合ツール20に空気噴射を開始するとともに、接合ツール20への空気噴射を停止する。
第3実施形態では、第2実施形態の接合手順に比べて、接合方法が部分的に異なる。具体的には、第2実施形態における接合手順を行う。また図22(1)に示すように第1接合部分23への接合ツール20の没入を行う。次に、図22(2)に示すように、接合ツール20が第1接合部分23から退出すると、空気噴射手段68によって接合ツール20を冷却する。次に、図22(3)に示すように、接合ツール20の冷却を停止して、第2接合部分24への接合ツール20の没入を行う。
本実施の形態では、コントローラ20は、第2実施形態に類似した動作を行い、同様の動作については、説明を省略する。コントローラ20は、ステップc0で、ツール保持部57に接合ツール20が保持されるなどして接合準備が完了して、動作条件および位置情報を記憶した状態で、コントローラ53は、作業者などによって接合開始命令が与えられると、ステップc1に進み、接合動作を開始する。
コントローラ53は、上述したステップb1〜ステップb6と同様の手順として、ステップc1〜ステップc6の手順を順に行う。ステップc6では、予め設定されるN個の接合部分での摩擦撹拌が完了したか否かを判断する。N個の接合部分での摩擦撹拌が完了しているとステップc9に進み、そうでないとステップc7に進む。
ステップc7では、コントローラ53は、空気噴射手段68に指令を与え、接合部分から退出した接合ツール20に対して、接合ツール20の温度よりも低い温度の空気を噴射させ、ステップc8に進む。
ステップc8では、コントローラ53は、アーム駆動手段に動作指令を与え、基体61を次に摩擦撹拌すべき接合部分に対応した待機位置に移動させる。基体61が次の待機位置に移動すると、接合ツール20は、被接合物27に設定される次の接合部分に対応する準備位置に配置され、受け台60は、接合ツール20と反対側から被接合物27に当接する。このように基体61を待機位置に移動させると、ステップc9に進む。ステップc9では、コントローラ53は、空気噴射手段68に指令を与え、空気の噴射を停止させて、ステップc10に進む。本実施の形態では、ステップc9を終えた状態で、接合ツール20の温度を常温まで低下させる。
ステップc10では、記憶回路66から接合条件を読出して、接合ツール20の接合条件について、次に接合すべき接合部分に応じた接合条件に変更する。具体的には、摩擦撹拌接合すべき接合部分について、以前の摩擦撹拌工程で既に与えられている熱量を考慮して、接合条件を更新する。接合条件の更新が完了すると、ステップc3に戻る。そしてステップc3〜ステップc6の手順を順に行う。
ステップc6において、予め設定されるN個の接合部分での摩擦撹拌が完了したことを判断すると、ステップc11に進む。ステップc11では、コントローラ53は、回転駆動手段58を制御して、ツール保持部57の回転を停止してステップc12に進む。ステップc12では、コントローラ53は接合動作を終了する。
図23は、接合ツール20の冷却の有無による接合強度の違いを示すグラフである。図23において、三角記号を結ぶ2つの折れ線90,91は、被接合物27の総板厚が、3.2mmである場合を示す。また丸記号を結ぶ2つの折れ線92,93は、被接合物27の総板厚が2.1mmである場合を示す。また黒記号を実線で結ぶ折れ線90,92は、接合ツール20を冷却した場合を示し、白記号を破線で結ぶ折れ線91,93は、接合ツール20を冷却していない場合を示す。
総板厚の変化および打点間隔Pの変化にかかわらず、接合ツール20を冷却することによって、接合ツール20の強度を回復することができ、接合ツールの摩耗を抑えることができるとともに、接合ツール20から被接合物27に与えられる加圧力の低下を防ぐことができる。これによって図23に示すように、接合強度を向上することができ、冷却しない場合に比べて、被接合物27の接合強度を一割程度向上することができる。なお、第3実施形態では、ステップc10で接合条件を変更したが、接合条件を変更しなくても、接合ツールの冷却に起因した接合強度の向上効果を図ることができる。
以上のように第2および第3実施形態では、接合ツール20の加圧力を変化させることによって接合条件を変更したが、加圧力以外の接合条件を変更してもよい。第2および第3の実施形態の変形例として、接合部分23,24ごとに接合ツール20の没入時間を変更してもよい。具体的には、第2接合部分24に接合ツール20を没入する場合に、第1接合部分23に接合ツール20を没入する場合に比べて、接合ツール20を被接合物27に没入させる没入時間を短くする。これによって第2接合部分24が予熱されていても、第1接合部分23と同様の残母板厚にすることができ、接合品質を向上することができる。また没入時間を短くすることで、接合動作に費やす接合時間を短縮することができる。またさらに他の変形例として、接合ツール20の回転速度を変更してもよい。
このように第2接合部分24に接合ツール20を没入する場合に、第1接合部分23に接合ツール20が与える第1入熱量よりも、小さい入熱量を第2接合部分24で与えることで、第2接合部分24の残母板厚が第1接合部分23の残母板厚に比べて小さくなることを防ぐことができる。またたとえば加圧力、没入時間および回転数の組合せの接合条件を変更してもよく、さらに他の接合条件を変更してもよい。またデータベースとして接合条件を予め記憶回路66に記憶させておき、被接合物27の材料および各被接合部材25,26の板厚の組合せによって、接合時に接合条件を選択可能としてもよい。また打点間隔Pについても、複数種類用意し、接合箇所に併せて選択可能としてもよい。表1は、記憶回路66に記憶される接合条件の一例を示す表である。
Figure 0004768418
図24は、本発明の第4実施形態の接合動作を示すフローチャートである。本発明の第4実施形態では、第1実施形態の接合装置51と同様の接合装置51が用いられ、第1実施形態の接合手順に比べて、接合方法が部分的に異なる。具体的には、コントローラ53の動作プログラムが、第1実施形態と異なる。接合装置51およびコントローラ53について、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、同様の参照符号を付する。
第4実施形態では、接合部分毎に接合ツール20を没入させるにあたって、接合部分23,24における接合ツール20の没入量を検出し、没入量が予め定める値に達すると、接合ツール20を退出させる。
具体的には、コントローラ53は、ピン部22が接合部分23,24に当接したことを判断してからの接合ツール20の移動量を没入量として検出する。コントローラ53は、回転駆動手段58に設けられる電流検出手段の電流値の変化に基づいて、ピン部22が接合部分23,24に当接したことを判断する。また直進駆動手段59に設けられるツール回転速度検出手段によって接合ツール20の被接合物27に対する没入量を検出することができる。
本実施形態では、ステップd0で、ツール保持部57に接合ツール20が保持されるなどして接合準備が完了して、動作条件および位置情報を記憶した状態で、コントローラ53は、作業者などによって接合開始命令が与えられると、ステップd1に進み、接合動作を開始する。
コントローラ53は、上述したステップa1〜a3と同様の手順を行って、ステップd1〜ステップd3を順に進み、ステップd3を終えると、ステップd4に進む。ステップd4では、コントローラ53は、接合ツール20の没入量を検出し、その没入量が予め定める所定値に達しているか否かを判断する。そして予め定められる設定値に達すると、ステップd5に進む。またステップd4において、没入量が設定値に達していないと判断すると、接合ツール20の軸線方向Xの進行を継続する。
ステップd5では、コントローラ53は、直進駆動手段59を制御して、ツール保持部57を被接合物27から離反する後進方向X2に移動させ、ステップd6に進む。ステップd6では、予め設定されるN個の接合部分での摩擦撹拌が完了したか否かを判断する。N個の接合部分での摩擦撹拌が完了しているとステップd8に進み、そうでないとステップd7に進む。
ステップd7では、コントローラ53は、アーム駆動手段に動作指令を与え、基体61を次に摩擦撹拌すべき接合部分に対応した待機位置に移動させる。基体61が次の待機位置に移動すると、接合ツール20は、被接合物27に設定される次の接合部分に対応する準備位置に配置され、受け台60は、接合ツール20と反対側から被接合物27に当接する。このように基体61を待機位置に移動させると、ステップd3に戻る。
またステップd6において、予め設定されるN個の接合部分での摩擦撹拌が完了したことを判断すると、ステップd8に進む。ステップd8では、コントローラ53は、回転駆動手段58を制御して、ツール保持部57の回転を停止してステップd9に進む。ステップd9では、コントローラ53は接合動作を終了する。
このように本実施の形態では、接合ツール20が予め定める没入量に達すると、接合ツール20を接合部分23,24から退出させる。これによって接合部分23,24ごとの温度の違いに応じた没入時間で接合部分23,24をそれぞれ摩擦撹拌接合することができる。これによって、残母板厚を一定に保ち接合品質を向上することができる。また最初の接合部分の没入に比べて最初以外の没入時間を短縮させることができ、接合動作に費やす接合時間を短縮することができる。
ここで、各接合部分23,24の打点間隔Pおよび各接合部分23,24の並ぶ方向などは、第1実施形態と同様に設定される。これによって第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また接合動作に費やす接合時間を短縮することができる。また第4実施形態の変形例として、第2および第3実施形態と組み合わせてもよい。たとえば接合部分ごとに接合条件を変化させてもよい。これによってさらに残母板厚の調整を容易にすることができる。接合品質を向上することができる。また一方の没入部分から他方の没入部分に移動する間に、接合ツールを冷却してもよい。これによってさらに接合強度を向上することができる。
図25は、本発明における第1の位置教示方法を説明するための断面図であり、摩擦撹拌接合にあたって、図25(1)〜図25(8)の順で、接合ツール20が移動する。接合ツール20のピン部先端部表面の一点をピン部基準点100とする。受け台60の先端部表面の一点を受け部基準点101とする。接合部分23,24の表面のうち、受け台60側の一点を代表点とする。ここでピン部基準点100と、受け部基準点101とは、基準軸線L1上に配置され、互いに対向する。
コントローラ53は、摩擦撹拌接合が行なわれる前に、接合ツール20の移動に必要な教示位置が、作業者によるロボットアームのティーチング操作によって、各教示位置Q1,Q22が入力される。本実施の形態では、図25(1)および図25(5)に示すように、受け部基準点101が、第1接合部分23の代表点に当接する第1教示位置Q1と、受け部基準点101が、第2接合部分24の代表点に当接する第2教示位置Q2とがそれぞれ入力される。
コントローラ53は、各教示位置Q1,Q2が入力されると、各教示位置Q1,Q2に基づいて、接合ツール20の移動経路上の各移動位置C1〜C4を計算する。各移動位置C1〜C4は、接合ツール20の動きを最小限にするように設定される。具体的には、コントローラ53は、図25(4)、(5)に示すように各教示位置Q1,Q2に対して、後進方向X2に予め定める第1間隔H1離れた位置をツール移動位置C1,C3として計算する。
第1間隔H1は、接合部分の板厚H11と、余裕距離H12とを加算した距離(H11+H12)であって、可及的に短い距離に設定される。ここで余裕距離H12とは、被接合物27の形状誤差、被接合物27の接合後の変形、アームおよび直進駆動手段59の移動精度、アームの撓みなどが生じたとしても、接合ツール20のピン部22と接合部分23,24とが接触しない距離に設定される。ツール移動位置C1,C2に接合ツール20の基準点100が配置された場合、接合ツール20は、接合部分23,24に対して後進方向X2に間隔をあけた位置に配置される。
またコントローラ53は、図25(4)、(5)に示すように各教示位置Q1,Q2に対して、前進方向X1に予め定める第2間隔H2離れた位置を受け台移動位置C2,C4として計算する。第2間隔H2は、被接合物27の形状誤差、被接合物27の接合後の変形、アームの撓みなどが生じたとしても、受け台60と接合部分23,24とが接触しない距離であって、可及的に短い距離に設定される。受け台移動位置C2,C4に受け台60の基準点101が配置された場合、受け台60は、接合部分23,24に対して前進方向X1に間隔をあけた位置に配置される。このようにコントローラ53は、教示位置Q1,Q2に対して、接合ツール20および受け台60の移動に必要な移動位置C1〜C4を計算する。
摩擦撹拌接合が行なわれる場合、コントローラ53は、基体61を移動させることによって、被接合物27の両側に間隔をあけてそれぞれ接合ツール20と受け台60とを配置する。次に、図25(1)に示すように、受け台60の基準点101を第1教示位置Q1に移動させて、受け台60と被接合物27の受け台側表面とを当接させる。
次に、図25(2)、(3)に示すように、コントローラ53は、ツール保持部27を移動させて、接合ツール20を第1接合部分23に没入させる。次に、第1接合部分23から退出する所定の条件が成立すると、接合ツール20を第1接合部分23から退出させる。次に、基体61およびツール保持部27を移動させて、図25(4)に示すように、接合ツール20の基準点100を第1接合部分23に対する第1ツール移動位置C1に移動させるとともに、受け台60の基準点101を第1接合部分23に対する第1受け台移動位置C2に移動させる。
次に、図25(5)に示すように、コントローラ53は、基体61を被接合物27と平行に移動させることによって、接合ツール20を被接合物表面に近接した位置を通過させる。こうして接合ツール20の基準点100を第2接合部分24に対する第2ツール移動位置C3に移動させるとともに、受け台60の基準点101を第2接合部分24に対する第2受け台移動位置C4に移動させる。移動が終了すると、受け台60の基準点101を第2教示位置Q2に移動させて、受け台60と被接合物27の受け台側表面とを当接させる。
次に、図25(6)、(7)に示すように、コントローラ53は、ツール保持部27を移動させて、接合ツール20を第2接合部分24に没入させる。次に、第2接合部分24から退出する所定の条件が成立すると、接合ツール20を第2接合部分24から退出させる。基体61およびツール保持部27を移動させて、図25(8)に示すように、接合ツール20の基準点100を第2接合部分24に対する第2ツール移動位置C3に移動させるとともに、受け台60の基準点101を第2接合部分24に対する第2受け台移動位置C4に移動させる。継続して、複数の接合部分に接合ツール20を没入させる場合には、同様にして教示位置または計算位置に、接合ツール20および受け台60を移動させて、摩擦撹拌接合動作を継続する。また摩擦撹拌動作を終了する場合には、基体61を予め定める位置に移動させる。
このようにしてコントローラ53は、入力された教示位置から、移動位置C1〜C4および移動経路を計算することによって、作業者が各移動位置C1〜C4を計算および入力する手間を省くことができる。これによって作業者は、実際に接合ツールが各接合部分に当接する位置を教示するだけでよく、接合ツール20の移動情報の入力作業を短縮することができる。
また第1間隔H1、第2間隔H2が適切な値に設定されることで、接合ツール20および受け台60が被接合物27に当接することを防いで、第1接合部分23から第2接合部分24へ最短距離で移動させることができ、移動時間を短縮することができる。これによって接合動作に費やす時間を短縮することができ、作業効率を向上することができる。ここで、被接合物27の板厚H11、第1間隔H1、第2間隔H2は、パラメータとしてコントローラ53の記憶回路66に予め入力されることが好ましい。本実施の形態では、第1間隔H1は、H11+1mm以上H11+20mm以下に設定される。また第2間隔H2は、1mm以上20mm以下に設定される。ここでH11は、接合部分の板厚を示す。
また本実施の形態では、受け台60が各接合部分23,24に当接する位置を教示点Q1,Q2として設定したが、各接合部分23,24に関連する関連情報が予め与えられておけばよい。たとえば受け台60に限らずに接合ツール20が接合部分23,24に当接する位置が教示位置Q1,Q2として設定されていてもよい。これによっても、コントローラ53が移動位置および移動経路を計算することができる。
図26は、本発明における第2の位置教示方法を説明するための斜視図である。第1の位置教示方法では、コントローラ53は、各接合部分23,24に関する位置情報が作業者によって各教示位置Q1,Q2として入力された。これに対して、第2の位置教示方法では、コントローラ53は、1つの接合部分に関する位置Q10と、1つの接合部分と他の接合部分との位置関係とを示す位置関係情報とが与えられることによって、他の接合部分の位置C11,C12を計算する。コントローラ53は、他の接合部分の位置C11,C12を計算した後は、第1の位置教示方法と同様にして、接合ツール20および受け台60の移動経路を求める。
図26に示すように、本実施の形態では、コントローラ53は、作業者によるロボットアームのティーチング操作などによって、第1接合部分23の位置Q11が与えられる。具体的には、受け台60または接合ツール20が第1接合部分23に当接した位置を第1接合部分23の教示位置Q11として記憶する。また接合部分の位置関係情報として、打点数Nと、打点間隔Pと、配列情報とが入力される。ここで配列情報は、接合部分が並ぶ方向を表わす情報である。本実施の形態では、ティーチング操作によって与えられる方向指定教示点の位置Q12が、配列情報として与えられる。
コントローラ53は、1つの接合部分を表わす教示位置Q11と、方向指定教示点の位置Q12とを結ぶ仮想直線上に、接合部分が並ぶと判断する。次に、コントローラ53は、教示位置Q11を始点として、前記仮想直線に沿って打点間隔Pで離れたN個の位置を各接合部分の位置C11として計算する。コントローラ53は、このようにして各接合部分の位置を求めると、第1の教示方法と同様にして、接合ツール20および受け台60の移動経路を求めるための移動位置を計算する。
本実施の形態によれば、接合部分に関連する関連情報に基づいて、複数の接合部分23,24を計算することで、作業者の教示作業をさらに簡単化することができる。特に本発明では、複数の接合部分23,24の打点間隔Pを数ミリ単位で決定する必要が多い。本実施の形態の教示方法を適用することによって、各接合部分23,24が近接した位置に配置される場合であっても、教示作業を極めて容易に行うことができる。また本実施の形態では、方向指定教示点の位置が設定されたが、接合部分の位置関係を導出可能な情報が与えられればよく、方向指定位置教示点の位置以外の情報が与えられてもよい。たとえば接合部分が並ぶ方向が直接入力されてもよい。また第1の教示方法および第2の教示方法を用いた、コントローラ53による接合ツール20の移動経路の計算は、上述した各実施形態の接合方法のいずれにも適用することができる。
上述した各実施の形態は、発明の例示に過ぎず、発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば本実施の形態では、被接合物27は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成るとしたが、他の金属であっても同様の効果を得ることができる。また本実施の形態では、接合装置が6軸多関節ロボットに保持されるとしたが、専用の移動手段に保持されていてもよい。また各接合部分は、上述したように2つ以上であってもよい。また各接合部分23,24は、一直線上に並ばなくてもよく、予め定める領域内に配置されてもよい。また本実施の形態では、コントローラ53の制御によって、接合装置51が接合動作を行うとしたが、作業者がコントローラ53の制御に相当する指令を接合装置51に与えてもよい。
本発明の第1実施形態である摩擦撹拌接合装置51を含む接合設備50を示す斜視図である。 接合装置21の構成を示すブロック図である。 コントローラ53による接合動作を示すフローチャートである。 接合動作を示す断面図である。 被接合物27の接合跡123,124を示す平面図である。 被接合物27の接合跡123,124を示す断面図である。 打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。 打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。 打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。 打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。 打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。 打点間隔Pを変化させた場合における被接合物27の接合跡123,124を示す簡略図である。 打点間隔Pを変化させた場合における引張せん断強度を示すグラフである。 本実施形態における被接合物27の接合跡を示す平面図である。 比較例における被接合物27の接合跡を示す平面図である。 接合部分の周囲の空間が狭い状態を示す断面図である。 各接合部分23,24の並ぶ方向を示す平面図である。 本発明の第2実施形態の接合動作を示すフローチャートである。 2つの接合部分23,24を接合した場合における、接合ツール20が被接合物27に与える加圧力と、残母板厚との関係を示すグラフである。 接合ツール20における温度と加圧力との時間経過を示すグラフである。
本発明の第3実施形態の接合動作を示すフローチャートである。 第3実施形態の接合動作を説明するための図面である。 接合ツール20の冷却の有無による接合強度の違いを示すグラフである。 本発明の第4実施形態の接合動作を示すフローチャートである。 本発明における第1の位置教示方法を説明するための断面図である。 本発明における第2の位置教示方法を説明するための斜視図である。
符号の説明
20 接合ツール
21 ショルダ部
22 ピン部
23 第1接合部分
24 第2接合部分
25,26 被接合部材
27 被接合物
28,29 流動化領域
30,31 接合領域
32 高温部分
50 摩擦撹拌接合設備
51 摩擦撹拌接合装置
52 ロボット
60 受け台
61 基体

Claims (9)

  1. 被接合物のうちで予め設定される第1接合部分の近傍に、円柱状の接合ツールを移動させる第1移動工程と、
    接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第1接合部分に没入させて、被接合物を構成する複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第1摩擦撹拌工程と、
    接合ツールを被接合物の第1接合部分から退出させ、被接合物のうちで、第1接合部分に近接する位置に設定される第2接合部分の近傍に、接合ツールを移動させる第2移動工程と、
    接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第2接合部分に没入させて、複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第2摩擦撹拌工程とを含み、
    第1摩擦撹拌工程と、第2摩擦撹拌工程とで、接合条件を異ならせ、
    第2摩擦撹拌工程では、第1摩擦撹拌工程に比べて、接合ツールを被接合物に没入させる没入時間を短くすることを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  2. 第1摩擦撹拌工程によって被接合物の温度が上昇する高温部分の一部に第2接合部分が設定されることを特徴とする請求項記載の摩擦撹拌接合方法。
  3. 各摩擦撹拌工程によって被接合物の金属結晶組織が均一化される接合領域がそれぞれ略円環状となるように、第1接合部分の中心と第2接合部分の中心との間の距離である打点間隔Pが設定されることを特徴とする請求項記載の摩擦撹拌接合方法。
  4. 略円柱状に形成されるショルダ部と、ショルダ部に対して同軸に形成されてショルダ部から軸線方向一方に突出し、ショルダ部よりも外径が小さい略円柱状に形成されるピン部とが形成される接合ツールを用い、
    第1摩擦撹拌工程によって形成される第1接合領域の外径半径w1と、ショルダ部の半径Srとを加算した値(w1+Sr)よりも大きくなるように、前記打点間隔Pが設定されることを特徴とする請求項記載の摩擦撹拌接合方法。
  5. 接合後の被接合物に力が与えられる方向に対して直交するように、第1接合部分と第2接合部分との並ぶ方向が設定されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の摩擦撹拌接合方法。
  6. 各摩擦撹拌工程では、接合ツールが被接合物に没入する没入量が予め定める値に達すると、被接合物からの接合ツールの退出を開始することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の摩擦撹拌接合方法。
  7. 第2移動工程において、第1接合部分から退出させた接合ツールを、被接合物表面に近接した位置を通過させて、第2接合部分の近傍に移動させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の摩擦撹拌接合方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1つの摩擦撹拌接合方法を摩擦撹拌接合装置に行わせる制御装置であって、接合すべき被接合物と各接合部分に関連する関連情報に基づいて、接合ツールの移動経路を決定することを特徴とする制御装置。
  9. ロボットアームの先端部に連結される基体と、
    基体に、予め定める基準軸線まわりに回転可能でかつ基準軸線に沿って直線に変位可能に支持されるツール保持部と、
    ツール保持部を基準軸線まわりに回転駆動する回転駆動手段と、
    ツール保持部を基準軸線に沿う方向に直進駆動する直進駆動手段と、
    回転駆動手段と、直進駆動手段と、ロボットアームに設けられる複数のアーム駆動手段とを制御するコントローラと、
    基体に固定され、ツール保持部に対して対向する位置に配置される受け台と、
    ツール保持部に着脱可能に設けられる円柱状の接合ツールとを含み、
    受け台と接合ツールとで被接合物を挟持して、当該被接合物に設定される複数の接合部分を順番にスポット接合し、
    前記コントローラは、被接合物のうちで予め設定される第1接合部分の近傍に、円柱状の接合ツールを移動させ、接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第1接合部分に没入させて、被接合物を構成する複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第1摩擦撹拌を行い、
    接合ツールを被接合物の第1接合部分から退出させ、被接合物のうちで、第1接合部分に近接する位置に設定される第2接合部分の近傍に、接合ツールを移動させ、接合ツールを軸線まわりに回転させながら、接合ツールを軸線に沿って被接合物の第2接合部分に没入させて、複数の被接合部材を互いに摩擦撹拌接合する第2摩擦撹拌を行い、
    第1摩擦撹拌と、第2摩擦撹拌とで、接合条件を異ならせ、
    第2摩擦撹拌では、第1摩擦撹拌に比べて、接合ツールを被接合物に没入させる没入時間を短くするように各駆動手段を制御することを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
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