JP2004136331A - 摩擦攪拌接合装置及び接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合装置及び接合方法 Download PDF

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平野  聡
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稲垣 正寿
Tomio Odakura
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Abstract

【課題】摩擦攪拌接合において、被接合材へのツール挿入量を簡易に補正できるようにする。特に3次元接合に適したツール挿入量補正制御機構を提供する。
【解決手段】ピンとショルダーを有するツールを、ロボットアームのように工作機械のマシンヘッドに搭載し、ツールを回転させて被接合材に挿入し、被接合材と相対的に移動させることにより摩擦熱を発生させ塑性流動を起こさせて接合する摩擦攪拌接合装置において、接合時のツールおよび被接合材の相対的位置を補正する補正機構をマシンヘッドとツールの間に備えた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、径大のショルダーと軸線方向に突出する径小のピンとを備えたツールにより摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌接合装置及び接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
径大のショルダーの先端に径小のピンを備えたツールを回転させながら被接合材に挿入し、ツールと被接合材との間で発生する摩擦熱と塑性流動を利用して接合を行う方法は、摩擦攪拌接合(以下FSWという)と称されており、アルミニウムをはじめ各種金属材料の接合に適用されている。FSWは被接合材の融点以下の温度で固相接合できることが一つの特徴になっている。
【0003】
従来の一般的なFSW装置は、ツール駆動マシンのマシンヘッドにツールが搭載されており、電動モータ等を用いてマシンヘッドを上下に移動させることによりツールが被接合材に挿入される(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、被接合材に対するツールの挿入量を適正な値に保持するために、レーザ変位計を用いてツールと被接合材との間の距離を測定し、マシンヘッドの移動量を制御することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−226758号公報(第5−6頁,図4,図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
FSWでは、被接合材へのツールの挿入量すなわちツールの挿入深さが接合部の品質に大きな影響を与える。ツールが挿入されない部分は未接合部として残る。ツールの挿入量には被接合材の板厚によって異なるが適正な値がある。したがって、被接合材の板厚に応じてツールのピンの長さを決定し、接合中ずっと、ツールの挿入量が一定に保たれるようにすることが望ましい。被接合材へのツールの挿入量が少なすぎると、ショルダーが被接合材に接触しなくなり欠陥発生の原因になる。また、ツールの挿入量が多すぎて、ショルダーが被接合材の表面に食い込みすぎると、被接合材表面に凹みが生じ、やはり欠陥発生の原因になる。被接合材へのツールの挿入量の変動量は、おおよそ0.05mm 以内に抑えることが望ましい。
【0006】
さて、従来技術に記載したようにツールをマシンヘッドに搭載し、マシンヘッドを動かすことによりツールを被接合材へ挿入するものでは、直線接合或いは単純な2次元的な曲線接合にはツール挿入量の補正は比較的簡単に行える。しかし、曲面上にある接合線を接合する3次元接合では、ツール挿入量を補正することは容易ではない。
【0007】
本発明の目的は、曲面上にある接合線を接合する3次元接合の場合でも、ツール挿入量を容易に補正できるようにしたFSW装置及び接合方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のFSW装置は、被接合材とツールとの相対距離をツール回転軸方向に変更可能な補正機構を、ツールとマシンヘッドとの間に設けたものである。
【0009】
3次元接合では、ツールの被接合材への挿入量の補正方向は2次元接合のZ方向とは異なり、X方向やY方向の成分をもつ。したがって接合中に常に被接合材の法線方向と平行な補正方向を探し、かつ各軸を瞬時に移動する必要が伴う。3次元接合用FSW装置で被接合材へのツール挿入量の補正を行う場合、被接合材の法線方向の計算,補正量のX,Y,Z軸方向への分配,X,Y,Z各軸への移動という一連の動作を、接合中に行う必要がある。これには制御系の演算能力が大きく影響を及ぼす。一連の動作を完了するための時間は、直線接合用FSW装置や曲線接合用FSW装置の場合の少なくとも3倍程度は必要となり、制御精度が低下する問題を招く。これは、直線接合用FSW装置の場合はZ軸一軸のみを移動するが、曲線接合用FSW装置の場合はX,Y,Z軸の三軸を移動するためである。
【0010】
本発明によれば、マシンヘッドとツールの間に設けた補正機構により、ツールと被接合材間の相対距離をツールの回転軸方向に変更可能である。補正機構はツールをツール回転軸と平行な方向に移動するため、被接合材が3次元的な曲面であっても、装置本体の複数の駆動軸を用いて装置本体の姿勢を変更せず、補正機構のみにより簡便に補正が可能となる。このため、制御精度および制御の応答性が向上する。本発明は特に3次元接合装置に対し大きな効果を発揮することができる。
【0011】
本発明においては、ツールと被接合材間の相対距離を検出する距離検出機構を備え、この距離検出機構によりツールと被接合材間の相対距離を検出し、相対距離が予め指定された距離となるようにツールと被接合材間の相対距離を補正することが望ましい。マシンヘッド或いは前記補正機構に距離検出機構を装備することにより、ツールと被接合材間の相対距離を適確に知ることができるので、精度の高い制御が実現できる。
【0012】
ツールと被接合材間の相対距離を検出する距離検出機構は、ツールと被接合材との間の距離を計測できるものであれば何でも良い。レーザ変位計は好ましい計器の一つである。
【0013】
また、ツールと被接合材との間の相対距離を直接検出する距離検出機構に代えて、ツールの挿入深さと密接に関連する物理量を計測するようにしても良い。ツールに負荷する荷重,補正機構の駆動部材の負荷,補正機構の駆動部材に電動モータを用いた場合の電動モータ電流値,ツールを回転する主軸モータの電流値等は、ツールの挿入深さと密接な関係があり、これらの値を検出することによって間接的にツールと被接合材との間の相対距離を知ることができる。
【0014】
本発明では、ピンとショルダーを回転軸が同一の別部材で構成し、ピンの突出長さを独立して変更できる補正機構を具備することが望ましい。
【0015】
FSWでは、接合終端部でツールを引抜いた際、ピン形状に相当する穴が残存する。これはピンとショルダーが一体であるためである。ピンとショルダーが同軸の別部材で構成され、それぞれが別々の駆動機構により駆動されるようにすれば、終端部でショルダーの位置を変えずに、被接合材からピンを引抜き、次にショルダーを引抜くことが可能である。これにより、接合終端部に穴が残存するのを防止できる。
【0016】
前述のようにピンとショルダーを別部材で構成し、かつショルダーを駆動する第1の補正機構とピンを駆動する第2の補正機構を具備する場合には、例えば電動モータによりピン部を駆動し、電動モータの電流値が予め指定された電流値となるようにピンと被接合材間の相対距離を補正することが望ましい。更に、ピンの温度検出手段を装備しておき、この温度検出手段によりピン先端の温度を検出し、ピン先端温度が予め指定された温度となるようにピンと被接合材間の相対距離を補正することが望ましい。
【0017】
被接合材の板厚が一定でない場合には、ピンとショルダーが一体物であると、ピン長さに過不足が生じる。一般にFSWによる突合せ接合の場合、ピンの長さは被接合材の板厚よりもやや短くする。接合部位により板厚が変化する場合、例えば接合開始時よりも板厚が厚くなる場合を考えると、板厚に対してピン長さが短くなり、未接合部を生じる原因になる。ピン長さを適正な長さに変更することができれば、未接合部の発生を防止でき、健全な接合部を確保できる。
【0018】
接合中のピン長さの過不足に関して研究したところ、ピン長さが適切な場合と比較してピン長さが短い場合には、ピンを駆動する電動モータの電流値が小さくなることが明らかになった。従って、ピンを駆動する電動モータの電流値が予め指定した電流値となるように、ピンと被接合材間の相対距離を補正することで、未接合部の発生を防止でき、健全な接合部を確保できる。
【0019】
また、接合中のピン長さの過不足に関する研究において、ピン長さが適切な場合と比較してピン長さが短い場合には、ピン先端の温度も異なることが明らかになった。従って、ピン温度の検出手段を装備し、ピン先端の温度が予め指定した温度となるようにピンと被接合材間の相対距離を補正することで、未接合部の発生を防止でき、健全な接合部を確保できる。
【0020】
本発明によれば、ショルダーとピンが被接合材よりも硬い材質で作られたツールを備え、該ツールをマシンヘッドに搭載し、ツールを回転させながらマシンヘッドを下降させてピンを被接合材に挿入し、ツールと被接合材との摩擦熱による塑性流動現象を利用して被接合材の融点以下の温度で接合を行う摩擦攪拌接合方法において、前記マシンヘッドと前記ツールの間にツールと被接合材間の相対距離をツールの回転軸方向に変更可能な補正機構を設け、該補正機構により前記ツールの被接合材に対する挿入量を調整しながら接合を行うようにした摩擦攪拌接合方法が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本実施例では、コラム型の5軸マシニングセンタを改造して作製したコラム型のFSW装置について説明する。本FSW装置は図2に示すように直交3軸(X,Y,Z)とZ軸回りの回転C軸および先端部の手首A軸の5軸を具備する。
FSWは、被接合材に強引にツールを挿入して接合するため、装置はこの反力に耐えるために高い剛性が必要となる。接合荷重は被接合材の材質,板厚,回転ツールの形状,ツール回転数,接合速度など多くの因子により決まるが、板厚が大きい場合ほど荷重は高い。本装置は高荷重に対応した接合装置と位置付けられる。本装置はコラム50がY方向に、加工テーブル52がX方向にそれぞれ架台
51上を移動する。ツール把持具53はZ方向に移動する。さらにツール把持具53の下部にはマシンヘッド6が設けられている。ツール1は主軸モータ54により回転C軸の方向に回転する。ツール1とマシンヘッド6の間にはツールおよび被接合材の相対距離を補正する補正機構3が組み込まれている。
【0022】
図1は、マシンヘッド6と補正機構3とツール1をより詳細に記載したものである。回転するツール1はスピンドル2に固定され、さらにマシンヘッド8に取り付けられている。マシンヘッド6は図1に示すようにツール把持具53に取り付けられている。マシンヘッド6には、ツールの向きを矢印方向に変えるための機構としてサーボモータ8が取り付けられている。サーボモータ8は回転移動軸4を有している。マシンヘッド6とツール1の間には、ツール1および被接合材7の相対的位置を補正する補正機構3が取り付けられており、補正機構3は補正方向5にツール1を駆動する。補正機構3はツール1の回転軸と平行な方向にツールの位置を変更するため、ツール1および被接合材7の相対的位置を補正するに当たり、被接合材7が3次元的な曲面の場合でも、装置本体の複数の駆動軸を用いる必要がなく、補正機構3のみにより簡便に補正が可能となる。
【0023】
尚、補正機構3の駆動は、機械的駆動,油圧駆動,電動モータ等の電気駆動等いずれの手法でもよいが、高精度な位置決めとばらつきの小さい繰返し精度を有することが望ましい。
【0024】
また、補正機構の精度を十分に得るためには、その機構もさることながら如何なる手法で制御するかが重要である。
【0025】
ツールと被接合材との相対距離を常に±0.05mm 程度の精度で制御するためには、いくつかのフィードバック機構を用いるのがよい。すなわち、ある特定の物理量を検知し、フィードバックし、ツールと被接合材との相対距離を補正するものである。図3に距離検出手段としてレーザ変位計を装備した場合を示す。マシンヘッド(図示省略)に取り付けられた補正機構3の先端近傍に取り付けられたレーザ変位計35によりレーザ光36を接合部前方に照射し、ツール1と任意の曲面表面をもつ被接合材7との距離を測定する。測定した距離と設定された最適な距離を比較して、補正機構3はツール1を補正方向5に沿って補正する。ツールと被接合材との相対距離の補正は、補正機構3によるツール1の一方向の移動で簡単に実施できる。したがって測定した距離のデータログ,測定値と設定値の比較,補正量と補正方向の決定はパーソナルコンピューターレベルの簡単なコンピューターで実施できる。従来の方法によれば、例えば前述のようにX,Y,Z3軸の移動で装置本体の姿勢を補正して実施せねばならず、補正時間が多くかかる。発明者らの予備的な試験によれば、従来の方法で補正した場合、1回の補正に要する時間は約1sec であり、本発明の方法と比較して100倍以上の時間を必要とした。
【0026】
その他の制御方法としては、(i)マシンヘッド或いは補正機構に取り付けられたロードセルにより測定したツールが受ける荷重を検出し、予め指定された荷重となるようにツールおよび被接合材の相対距離を補正する方法、(ii)ツールおよび被接合材の相対距離を補正するために設けられたツール駆動部材の負荷を検出し、予め指定された負荷となるようにツールおよび被接合材の相対距離を補正する方法、(iii)ツールおよび被接合材の相対距離を補正するために設けられたツール用モータの電流値を検出し、予め指定された電流値となるようにツールおよび被接合材の相対距離を補正する方法、(iv)ツールを回転する主軸モータの電流値を検出し、予め指定された電流値となるようにツールおよび被接合材の相対距離を補正する方法などがある。
【0027】
これらのうち、ロードセルを用いた方法について図4を用いて説明する。接合中にツール1が受ける接合反力をロードセル37で検出する。ツール1と任意の曲面表面をもつ被接合材7との距離は、接合中の接合反力と比例関係を持つ。ロードセル37で測定した荷重が設定された最適な荷重となるように、補正機構3はツール1を補正方向5に沿って補正する。
【0028】
本装置構成により、接合中に直交3軸(X,Y,Z)とZ軸回りの回転C軸および先端部の手首A軸の5軸で決まる装置姿勢を変えずに、補正機構3のみによりツールおよび被接合材の相対距離を補正できる。
【0029】
(実施例2)
コラム型装置の場合は、ツールの立体的なパスライン範囲が小さく、比較的小型の被接合材もしくは曲率の大きい3次元形状の被接合材の接合に向いた高剛性装置である。しかし、被接合材が大型もしくは曲率が小さい場合、ツールの立体的なパスライン範囲を大きくする必要がある。汎用性を持たせるためにはロボットアームの使用が好ましい。本実施例は高剛性を保ち、かつ汎用性あるFSW装置について説明する。図5は3つの関節軸と2つの回転軸を具備した高剛性ロボット型装置である。3つの関節軸64a,64b,64cはいずれもボールネジ61a,61b,61cにサポートされており、高剛性化されている。ピン及びショルダーを有するツール71はスピンドル70に固定され、かつ主軸モータ
66で回転する。本FSW装置は、架台75,旋回テーブル74,支持台73,アーム65a,65b,軸受ユニット63a,63b,63c,サーボモータ
62a,62b,62cを具備する。マシンヘッド69とスピンドル70の間には、ツールおよび被接合材の相対距離を補正する補正機構72が組み込まれている。
【0030】
本装置構成により、接合中に装置が具備する5軸で決まる装置姿勢を変えずに、補正機構72のみによりツールおよび被接合材の相対距離を補正できる。
【0031】
(実施例3)
図6は3つの関節軸(A,B,C)と3つの回転軸(P,Q,R)を具備したロボット型装置であり、検討した3次元接合装置の中で最も汎用性に優れた装置である。しかし接合荷重に対する剛性は実施例1または実施例2の場合よりも低く、ロボット本体80の可搬力に依存する。ロボットアーム先端にはマシンヘッド86が搭載されている。ツール81は、スピンドル82および補正機構84を介してマシンヘッド86に取り付けられており、主軸モータ83により回転する。またツールおよび被接合材の相対距離を補正する補正機構84が組み込まれている。本装置構成により、接合中に装置が具備する6軸で決まる装置姿勢を変えずに、補正機構84のみによりツールおよび被接合材の相対距離を補正できる。
【0032】
(実施例4)
前述までの実施例は、ピンとショルダーが一体型の場合の補正機構およびそれの制御方法に関するものである。本実施例では、第1の補正機構に更に第2の補正機構を組み込み、板厚が変化する3次元形状の被接合材に対応できるようにしFSW装置に付いて説明する。本FSW装置は、ツールのショルダーとピンが別体の同軸構造となっており、第1の補正機構はショルダーと被接合材の相対距離を補正し、第2の補正機構はピンと被接合材の相対距離を補正する。図7を用いて説明する。ツールはショルダー40とピン41が同軸状の別体である。被接合材7は、接合部位により板厚が異なる3次元形状であり、ツールから受ける接合荷重により座屈しないように裏側から治具43で支えられている。ショルダー
40は接合部の健全性を保つために、被接合材7の表面との相対距離を常に一定に保たねばならない。これを第1の補正機構45で補正方向47に補正する。また被接合材7の板厚が部位により変化するため、接合中にピン41は出入りして長さを調整しなければならない。これを第2の補正機構46で補正方向48に補正する。ここで補正方向47および48は、ショルダー40とピン41が同軸状であるため同一方向である。今、ピン41がショルダー40から突出している長さをピン長さ(d)と呼ぶ。図8はピン長さ(d)とピン41を駆動するモータの電流値(I)の関係を示す。ピン長さ(d)が被接合材7の板厚より短い場合は、電流値(I)はピン長さ(d)とともに単調に増加するが、変化量は小さい。ところがピン長さ(d)が被接合材7の板厚と同等に達した瞬間、電流値(I)は急激に増加する。したがってピン41を駆動するモータの電流値(I)をモニタリングして、その時間変化量がある一定値を超える寸前までピン長さを常に長くするように制御すればよい。また図9はピン長さ(d)とピン41の先端温度(T)の関係を示す。ピン長さ(d)が被接合材7の板厚より短い場合は、先端温度(T)はピン長さ(d)とともに単調に増加するが、変化量は小さい。ところがピン長さ(d)が被接合材7の板厚と同等に達した瞬間、先端温度(T)は急激に増加する。したがってピン41の先端温度(T)をモニタリングして、その時間変化量がある一定値を超える寸前までピン長さを常に長くするように制御すればよい。いずれもモニタリングする値が急激に変化するのは、ピン41と治具43の接触によるものである。これによりピン長さは常に被接合材の板厚よりもやや短く制御できる。
【0033】
図10は板厚に応じて接合中のピン長さを制御したときのピン長さの変化を示した図である。横軸が接合方向距離、縦軸がピン長さ及び板厚である。図10にはピン長さと板厚の2つの曲線がプロットされているが、2つの曲線は重なっており、区別が付け難い。この様に、本発明の制御方法によれば、接合中のピンの長さは板厚にほぼ等しい長さに制御できることが確認できた。
【0034】
図12にピン長さを制御して接合した材料の断面写真を示す。図12より、材料下部まで厚み方向に完全に接合ができていることが確認できる。図11は比較のため、ピン長さを制御しないで接合した場合の材料の断面写真を示したものである。図11では、材料の下部(写真下部)に未接合部が認められる。これは、板厚よりもピンが短かったために生じたものである。
【0035】
以上のような第1の補正機構または第1および第2の補正機構は直交3軸および回転2軸の全5軸の装置本体の先端部に取り付ければよい。望ましくはロボットアームの先端に取り付けることにより,FSWの汎用性が広がる。一般にロボットアームは所定の位置に対してその動作精度は±0.1mm がほぼ限界である。したがってロボットアームで所定の位置近傍まで粗くもっていき、細部はその先端についている補正機構で±0.05mm の精度で保証すればよい。
【0036】
(実施例5)
補正機構について、図13を用いて具体的に説明する。マシンヘッド98には装置の姿勢を変えるための回転軸および軸周りの駆動を与えるサーボモータ91および駆動ギアが組み込まれている。マシンヘッド98の下部には、補正機構
92がある。またピン94およびショルダー93が同軸状の別体であるツール
90は、主軸97により駆動される。A−A′断面に示すように、補正機構92内には油圧シリンダー96が取り付けられており、ガイド95に沿ってショルダー93のみを図の上下方向に移動することができる。これらの機構により、装置全体の姿勢を変えずに、マシンヘッド先端部の局所的な補正機構により、ショルダーと被接合材の相対的な位置関係が補正可能となった。また本実施例では、ショルダーとピンが別体であり、ショルダーからのピンの突出量も調整できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、摩擦攪拌接合における被接合材へのツール挿入量の制御を高精度かつ簡易に行え、特に3次元接合装置のツール挿入量補正制御に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるFSW装置のツール近傍の概略図。
【図2】本発明の一実施例を示すFSW装置の概略図。
【図3】レーザ変位計を有するツール補正機構の概略図。
【図4】ロードセルを有するツール補正機構の概略図。
【図5】本発明の他の実施例を示すFSW装置の概略図。
【図6】本発明の更に他の実施例を示すFSW装置の概略図。
【図7】ピン突出長さを独立に変更できるようにしたツール補正機構の概略図。
【図8】ピン長さ(d)とピンを駆動するモータ電流値(I)の関係を示す図。
【図9】ピン長さ(d)とピン先端温度(T)の関係を示す図。
【図10】接合中のピン長さの変化を示す図。
【図11】ピン長さを制御しないで接合した材料の断面写真。
【図12】ピン長さを制御して接合した材料の断面写真。
【図13】ツール補正機構の詳細な構造を示す図。
【符号の説明】
1,71…ツール、2…スピンドル、3,72,84…補正機構、4…回転移動軸、5…補正方向、6…マシンヘッド、7…被接合材、11…ショルダー、
12…ピン、35…レーザ変位計、36…レーザ光、37…ロードセル、50…コラム、51…架台、52…加工テーブル、53…ツール把持具、54…主軸モータ。

Claims (19)

  1. 径大のショルダーと軸線方向に突出する径小のピンとを有するツールをツール駆動マシンのマシンヘッドに搭載してなる摩擦攪拌接合装置において、前記ツールの被接合材に対する相対距離を該ツールの回転軸方向に変更可能な補正機構を前記マシンヘッドと前記ツールとの間に備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  2. 請求項1において、前記回転軸方向に前記ツールとともに移動可能なスピンドルと、前記スピンドルを駆動するシリンダーを有する前記補正機構を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  3. ショルダーと前記ショルダーの軸線方向に突出するピンとを備えたツールをツール駆動マシンのマシンヘッドに搭載してなる摩擦攪拌接合装置において、前記ツールの被接合材に対する相対距離を検出する距離検出機構或いは被接合材への前記ツールの挿入深さと相関のある物理量を計測する物理量計測機構と、前記ツールの被接合材に対する相対距離を前記ツールの回転軸方向に変更可能な補正機構とを具備し、前記距離検出機構或いは前記物理量計測機構により検出された値が予め指定された値となるように前記補正機構により前記ツールと被接合材間の相対距離を補正することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  4. 請求項3において、前記距離検出機構としてレーザ変位計を備え、前記レーザ変位計によって測定した前記距離が予め指定した距離となるように前記補正機構により前記ツールと被接合材との相対距離が補正されることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  5. 請求項3において、前記物理量検出手段として前記ツールに負荷する荷重を検出するロードセルを備え、前記ロードセルによって検出された前記ツールが受ける反力が予め指定された値になるように前記補正機構により前記ツールと前記被接合材の相対距離が補正されることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  6. 請求項3において、前記補正機構は前記ツールの回転軸方向に前記ツールとともに移動可能なスピンドルと前記スピンドルを駆動する電動モータとを有し、前記電動モータの負荷が予め指定された負荷となるように前記ツールと被接合材間の相対距離を補正することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  7. 請求項3において、前記ツールが主軸モータによって回転され、前記主軸モータの電流値が予め指定された電流値となるように、前記補正機構により前記ツールと被接合材間の相対距離が補正されることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  8. 請求項1において、前記ツールのピンおよびショルダーは回転軸が同一で且つ相対位置を変更可能な別部材で構成され、前記ツール全体を移動する第1の補正機構と、前記ピンの突出長さを変更する第2の補正機構を具備することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  9. 請求項8において,前記第2の補正機構は電動モータにより前記ピンを駆動し、該電動モータの電流値が予め指定された電流値となるように前記ピンの突出長さを変更することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  10. 請求項8において、前記ピンの温度を検出するピン温度検出機構を装備し、該温度検出機構によりピン先端温度を検出し、該先端温度が予め指定された温度となるように第2の補正機構により前記ピンの突出長さを変更することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  11. 請求項1において、前記駆動マシンは前記ツールを移動させるための互いに直交する3軸方向の直線移動軸および回転移動する2軸の計5つの移動軸を具備することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  12. 請求項1において、前記駆動マシンは前記ツールを移動させるためのロボットアームを具備し、前記ロボットアームの先端と前記ツールとの間に前記補正機構を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  13. ショルダーとピンを有するツールをマシンヘッドに搭載し、前記ツールを回転させながら前記マシンヘッドを下降させて前記ピンを被接合材に挿入し、前記ツールと被接合材との摩擦熱による塑性流動現象を利用して接合を行う摩擦攪拌接合方法において、前記マシンヘッドと前記ツールの間に前記ツールと被接合材間の相対距離を前記ツールの回転軸方向に変更可能な補正機構を設け、該補正機構により前記ツールの被接合材に対する挿入量を調整しながら接合を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  14. 請求項13において、接合中の前記ツールと被接合材間の相対距離を検出し、この検出値が予め指定した値に近づくように前記補正機構により前記ツールの挿入量を制御することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  15. 請求項13において、前記相対距離をレーザ変位計により計測し、前記レーザ変位計により計測された距離が予め指定した距離に近づくように前記補正機構により前記ツールの挿入量を制御することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  16. 請求項13において、被接合材に対する前記ツールの挿入深さと関係がある物理量を計測し、前記物理量が予め指定した値になるように前記補正機構により前記ツールの挿入量を制御することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  17. 請求項16において、前記ツールに負荷する荷重を検出し、前記荷重が予め指定した荷重になるように前記補正機構により前記ツールの挿入量を制御することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  18. 請求項13において、前記ショルダーと前記ピンを回転軸が同一で相対位置が変更可能な別部材で形成し、前記ピンの突出長さを独立して変更できる補正機構を設け、接合中の前記ピンの挿入深さを検出して予め指定した深さになるように前記補正機構によりピン挿入深さを制御することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  19. 請求項18において、前記ピンの先端部分の温度を計測し、予め指定された温度になるように前記ピンの挿入深さを制御することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
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