JP4767455B2 - ランキンサイクル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を加熱して蒸気を発生する蒸発器と、蒸発器から供給された蒸気を膨張させて一定の軸トルクを出力する膨張機と、膨張機が排出した蒸気を冷却して液体に戻す凝縮器とを備えたランキンサイクル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平4−47104号公報には、蒸発器で発生した蒸気で膨張機を作動させ、膨張機が排出した蒸気を凝縮器で液化して蒸発器に戻すランキンサイクル装置において、蒸発器で発生した蒸気のエネルギーの大きさに応じて膨張機の入口に設けたバルブを開閉し、膨張機に蒸気を供給するタイミングを制御することにより最大限の出力トルクを確保するものが記載されている。
【0003】
また特開昭58−48706号公報には、蒸発器で発生した蒸気で膨張機を作動させ、膨張機が排出した蒸気を凝縮器で液化して蒸発器に戻すランキンサイクル装置において、凝縮器への蒸気導入圧力が膨張機からの蒸気排出圧力よりも高いときに、凝縮器の入口側と膨張機の膨張完了直前位置とを接続するバイパス通路を開放し、膨張機の過膨張損失の低減を図るものが記載されている。
【0004】
また特開昭61−87990号公報には、ベーン型圧縮機において、ベーンを支持するロータの回転軸にベーン室に対する吸気および排気を制御する回転バルブを設け、この回転バルブの吸気タイミングおよび排気タイミングを可変としたものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、内燃機関の排気ガスとの間で熱交換を行う蒸発器で水を加熱して蒸気を発生させ、この蒸気で容積型の膨張機を作動させて軸出力を取り出し、膨張機から排出された蒸気を凝縮器で水に戻して再び蒸発器に供給するランキンサイクル装置において、蒸発器から膨張機に供給される蒸気の圧力および温度は膨張機の性能に応じた定格値として予め設定されており、また膨張機から凝縮器に排出される蒸気の温度は凝縮器の性能に応じた定格値として予め設定されている。しかしながら、蒸発器において発生する蒸気の圧力および温度は、蒸発器の過渡状態、内燃機関の運転状態、蒸発器に供給される水量等に応じて変動し、また凝縮器が最大の性能を発揮し得る蒸気の圧力および温度は、凝縮器の過渡状態、凝縮器の冷却状態(外気温、冷却ファンの回転数、走行風の強さ)等に応じて変動する。
【0006】
図21(A)において、縦軸および横軸はそれぞれ蒸気の圧力pおよび比容積vを示しており、膨張機の入口で定格値の圧力p1であった蒸気は膨張機の内部で予め設定した設定膨張比εだけ膨張し、膨張機の出口圧力が前記p1から定格値のp2へと変化するとき、膨張機および凝縮器は最大限の性能を発揮することができる。しかしながら、前述したように膨張機の入口圧力は種々の要因で変動し、かつ膨張機および凝縮器が最大限の性能を発揮し得る膨張機の出口圧力も種々の要因で変動する。従って、膨張機の出口圧力がそのとき膨張機および凝縮器が最大限の性能を発揮し得る圧力に一致しなくなり、膨張機および凝縮器が充分な性能を発揮できなくなる可能性がある。
【0007】
即ち、図21(B)に示すように、膨張比が設定膨張比εに一致していても膨張機の入口圧力が定格値p1よりも過大のp1′である場合には、膨張機の出口圧力が定格値p2よりも高くなり、未だ膨張機を駆動するエネルギーを残している蒸気を無駄に捨てることになって膨張機の性能を充分に発揮させることができなくなり、しかも凝縮器の負荷が増加して凝縮性能が低下してしまう問題がある。一方、図21(C)に示すように、膨張比が設定膨張比εに一致していても膨張機の入口圧力が定格値p1よりも過小のp1′である場合には、膨張機の出口圧力が定格値p2よりも低くなるため、蒸気が膨張機の内部で負の仕事をして出力が低下してしまう問題がある。
【0008】
かかる不具合は、膨張機の入口温度が定格値よりも高い場合や低い場合、膨張機内部に蒸気のリーク量が多い場合や少ない場合、あるいは膨張機および凝縮器が最大限の性能を発揮し得る膨張機の出口圧力が種々の要因で定格値p2から変動した場合にも同様に発生する。
【0009】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ランキンサイクル装置の膨張機および凝縮器の性能を最大限に発揮させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、液体を加熱して蒸気を発生する蒸発器と、蒸発器から供給された蒸気を膨張させて軸トルクを出力する膨張機と、膨張機が排出した蒸気を冷却して液体に戻す凝縮器とを備えたランキンサイクル装置において、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度は過熱蒸気領域にあり、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度は湿り蒸気領域にあり、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度の任意の関係に対し、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記任意の関係に応じた所定の膨張比に設定することにより、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を目標値に一致させることを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0011】
上記構成によれば、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度が任意の関係にあっても、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記任意の関係に応じた所定の膨張比に設定することで、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を制御することができる。従って、膨張機および凝縮器が最大の性能を発揮し得る圧力および温度を目標値として膨張比を設定すれば、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を前記目標値に一致させて膨張機および凝縮器の性能を最大限に発揮させることができる。しかも、膨張機が吸入する蒸気が液体を含まぬ過熱蒸気領域にあり、膨張機が排出する蒸気が液体を含む湿り蒸気領域にあるので、液体が膨張機の作動に与える影響を最小限に抑えながら、蒸気を液体に戻す凝縮器の負荷を軽減することができる。
【0012】
また請求項に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、膨張機は直列に接続された複数の膨張室を備え、各々の膨張室における蒸気の膨張比の積を前記設定膨張比としたことを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0013】
上記構成によれば、複数の膨張室を直列に接続して各膨張機が発生する軸トルクを統合して出力しながら、各々の膨張室における蒸気の膨張比の積を設定膨張比として凝縮器の凝縮効率を最大限に高めることができる。
【0014】
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、膨張機の複数の膨張室のうち、少なくとも最上流側の膨張室の蒸気は過熱蒸気領域にあり、少なくとも最下流側の膨張室の蒸気は湿り蒸気領域にあることを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0015】
上記構成によれば、複数の膨張室のうちの少なくとも最上流側の膨張室の蒸気は液体を含まぬ過熱蒸気領域にあり、複数の膨張室のうちの少なくとも最下流側の膨張室の蒸気は液体を含む湿り蒸気領域にあるので、液体が膨張機の作動に与える影響を最小限に抑えながら、蒸気を液体に戻す凝縮器の負荷を軽減することができる。
【0016】
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、排出位置における蒸気が過熱蒸気領域にある膨張室はシリンダ室で構成されることを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0017】
上記構成によれば、シリンダ室で構成された膨張室の排出位置において蒸気が過熱蒸気領域にあるので、蒸気に液体が混合するのを防止し、シリンダ室内に液体が滞留することにより発生する不具合を未然に回避することができる。
【0018】
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、排出位置における蒸気が湿り蒸気領域にある膨張室はベーン室で構成されることを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0019】
上記構成によれば、ベーン室で構成された膨張室の排出位置において蒸気が湿り蒸気領域にあるので、蒸気に液体を混合させて液体によるベーンの潤滑性向上およびシール性向上を図ることができる。
【0020】
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、膨張機の複数の膨張室のうち、少なくとも最上流側の膨張室の吸入位置を可変としたことを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0021】
上記構成によれば、複数の膨張室のうちの少なくとも最上流側の膨張室の吸入位置を可変とすることにより、膨張機が吸入する蒸気の圧力を変化させて膨張機全体の膨張比を設定膨張比から変化させることができる。これにより、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度が前記所定の関係から外れても、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記設定膨張比から変化させることで、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を前記目標値に一致させることができる。
【0022】
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、膨張機の複数の膨張室のうち、少なくとも最下流側の膨張室の排出位置を可変としたことを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0023】
上記構成によれば、複数の膨張室のうちの少なくとも最下流側の膨張室の排出位置を可変とすることにより、膨張機が排出する蒸気の圧力を変化させて膨張機全体の膨張比を設定膨張比から変化させることができる。これにより、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度が前記所定の関係から外れても、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記設定膨張比から変化させることで、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を前記目標値に一致させることができる。
【0024】
尚、実施例のシリンダ部材39は本発明の膨張室およびシリンダ室を構成し、実施例のベーン室54は本発明の膨張室を構成する。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1において、内燃機関1の廃熱回収装置2は、内燃機関1の廃熱、例えば排気ガスを熱源として、高圧状態の液体、例えば水から温度上昇を図られた高圧状態の蒸気、つまり高温高圧蒸気を発生する蒸発器3と、その高温高圧蒸気の膨張によって出力を発生する膨張機4と、その膨張機4から排出される、前記膨張後の温度および圧力が降下した蒸気、つまり降温降圧蒸気を液化する凝縮器5と、凝縮器5からの液体、例えば水を蒸発器3に加圧供給する供給ポンプ6とを有する。
【0026】
膨張機4は特殊な構造を有するもので、次のように構成される。
【0027】
図2〜図7において、ケーシング7は金属製第1、第2半体8,9より構成される。両半体8,9は、略楕円形の凹部10を有する主体11と、それら主体11と一体の円形フランジ12とよりなり、両円形フランジ12を金属ガスケット13を介し重ね合せることによって略楕円形のロータチャンバ14が形成される。また第1半体8の主体11外面は、シェル形部材15の深い鉢形をなす主体16により覆われており、その主体16と一体の円形フランジ17が第1半体8の円形フランジ12にガスケット18を介して重ね合せられ、3つの円形フランジ12,12,17は、それらの円周方向複数箇所においてボルト19によって締結される。これにより、シェル形部材15および第1半体8の両主体11,16間には中継チャンバ20が形成される。
【0028】
両半体8,9の主体11は、それらの外面に外方へ突出する中空軸受筒21,22を有し、それら中空軸受筒21,22に、ロータチャンバ14を貫通する中空の出力軸23の大径部24が軸受メタル(または樹脂製軸受)25を介して回転可能に支持される。これにより出力軸23の軸線Lは略楕円形をなすロータチャンバ14における長径と短径との交点を通る。また出力軸23の小径部26は、第2半体9の中空軸受筒22に存する孔部27から外部に突出して伝動軸28とスプライン結合29を介して連結される。小径部26および孔部27間は2つのシールリング30によりシールされる。
【0029】
ロータチャンバ14内に円形のロータ31が収容され、その中心の軸取付孔32と出力軸23の大径部24とが嵌合関係にあって、両者31,24間にはかみ合い結合部33が設けられている。これによりロータ31の回転軸線は出力軸23の軸線Lと合致するので、その回転軸線の符号として「L」を共用する。
【0030】
ロータ31に、その回転軸線Lを中心に軸取付孔32から放射状に延びる複数、この実施例では12個のスロット状空間34が円周上等間隔に形成されている。各空間34は、円周方向幅が狭く、且つロータ31の両端面35および外周面36に一連に開口するように、両端面35に直交する仮想平面内において略U字形をなす。
【0031】
各スロット状空間34内に、同一構造の第1〜第12ベーンピストンユニットU1〜U12が、次のように放射方向に往復動自在に装着される。略U字形の空間34において、その内周側を区画する部分37に段付孔38が形成され、その段付孔38に、セラミック(またはカーボン)よりなる段付形シリンダ部材39が嵌入される。シリンダ部材39の小径部a端面は出力軸23の大径部24外周面に当接し、その小径孔bが大径部24外周面に開口する通孔cに連通する。またシリンダ部材39の外側に、その部材39と同軸上に位置するようにガイド筒40が配置される。そのガイド筒40の外端部は、ロータ31の外周面36に存する空間34の開口部に係止され、また内端部は段付孔38の大径孔dに嵌入されてシリンダ部材39に当接する。またガイド筒40は、その外端部から内端部近傍まで相対向して延びる一対の長溝eを有し、両長溝eは空間34に面する。シリンダ部材39の大径シリンダ孔f内にセラミックよりなるピストン41が摺動自在に嵌合され、そのピストン41の先端部側は常時ガイド筒40内に位置する。
【0032】
図2および図8に示すように、ロータ31の回転軸線Lを含む仮想平面A内におけるロータチャンバ14の断面Bは、直径gを相互に対向させた一対の半円形断面部B1と、両半円形断面部B1の両直径gの一方の対向端相互および他方の対向端相互をそれぞれ結んで形成される四角形断面部B2とよりなり、略競技用トラック形をなす。図8において、実線示の部分が長径を含む最大断面を示し、一方、一部を2点鎖線で示した部分が短径を含む最小断面を示す。ロータ31は、図8に点線で示したように、ロータチャンバ14の短径を含む最小断面よりも若干小さな断面Dを有する。
【0033】
図2および図9〜図12に明示するように、ベーン42は略U字板形(馬蹄形)をなすベーン本体43と、そのベーン本体43に装着された略U字板形をなすシール部材44と、ベーンスプリング58とより構成される。
【0034】
ベーン本体43は、ロータチャンバ14の半円形断面部B1による内周面45に対応した半円弧状部46と、四角形断面部B2による対向内端面47に対応した一対の平行部48とを有する。各平行部48の端部側にコ字形の切欠き49と、それらの底面に開口する四角形の盲孔50と、各切欠き49よりも、さらに端部側に在って外方へ突出する短軸51とが設けられる。また半円弧状部46および両平行部48の外周部分に、外方に向って開口するU字溝52が一連に形成され、そのU字溝52の両端部は両切欠き49にそれぞれ連通する。さらに半円弧状部46の両平面部分にそれぞれ欠円形断面の一対の突条53が設けられている。両突条53は、それらによる仮想円柱の軸線L1が、両平行部48間の間隔を2等分し、且つ半円弧状部46を周方向に2等分する直線に一致するように配置されている。また両突条53の内端部は両平行部48間の空間に僅か突出している。
【0035】
シール部材44は、例えばPTFEより構成されたもので、ロータチャンバ14の半円形断面部B1による内周面45を摺動する半円弧状部55と、四角形断面部B2による対向内端面47を摺動する一対の平行部56とを有する。また半円弧状部55の内周面側に一対の弾性爪57が、内方へ反るように設けられている。
【0036】
ベーン本体43のU字溝52にシール部材44が装着され、また各盲孔50にベーンスプリング58が嵌め込まれ、さらに各短軸51にボールベアリング構造のローラ59が取付けられる。各ベーン42はロータ31の各スロット状空間34に摺動自在に収められており、その際、ベーン本体43の両突条53はガイド筒40内に、また両突条53の両側部分はガイド筒40の両長溝e内にそれぞれ位置し、これにより両突条53の内端面がピストン41の外端面と当接することができる。両ローラ59は第1、第2半体8,9の対向内端面47に形成された非円形の環状溝60にそれぞれ転動自在に係合される。これら環状溝60およびロータチャンバ14間の距離はそれらの全周に亘り一定である。またピストン41の前進運動をベーン42を介してローラ59と環状溝60との係合によりロータ31の回転運動に変換する。
【0037】
このローラ59と環状溝60との協働で、図5に明示するように、ベーン本体43の半円弧状部46における半円弧状先端面61はロータチャンバ14の内周面45から、また両平行部48はロータチャンバ14の対向内端面47からそれぞれ常時離間し、これによりフリクションロスの軽減が図られている。そして、2条一対で構成されている環状溝60により軌道を規制されるため、左右の軌道誤差によりローラ59を介してベーン42は軸方向に微小変位角の回転を生じ、ロータチャンバ14の内周面45との接触圧力を増大させる。このとき、略U字板形(馬蹄形)をなすベーン本体43では、方形(長方形)ベーンに比べてケーシング7との接触部の径方向長さが短いので、その変位量を大幅に小さくできる。また図2に明示するように、シール部材44において、その両平行部56は各ベーンスプリング58の弾発力によりロータチャンバ14の対向内端面47に密着し、特に両平行部56の端部とベーン42間を通しての環状溝60へのシール作用を行う。また半円弧状部55は、両弾性爪57がベーン本体43およびロータチャンバ14内の内周面45間で押圧されることによって、その内周面45に密着する。即ち、方形(長方形)ベーンに対し略U字板形のベーン42の方が変曲点を持たないので、密着が良好となる。方形ベーンは角部があり、シール性維持は困難となる。これによりベーン42およびロータチャンバ14間のシール性が良好となる。さらに熱膨張にともない、ベーン42とロータチャンバ14は変形する。このとき方形ベーンに対し略U字形のベーン42は、より均一に相似形を持って変形するため、ベーン42とロータチャンバ14とのクリアランスのバラツキが少なく、シール性も良好に維持可能となる。
【0038】
ベーン本体43とロータチャンバ14の内周面45との間のシール作用は、シール部材44自体のばね力と、シール部材44自体に作用する遠心力と、高圧側のロータチャンバ14からベーン本体43のU字溝52に浸入した蒸気がシール部材44を押し上げる蒸気圧とにより発生する。このように、前記シール作用は、ロータ31の回転数に応じてベーン本体43に作用する過度の遠心力の影響を受けないので、シール面圧はベーン本体43に加わる遠心力に依存せず、常に良好なシール性と低フリクション性とを両立させることができる。
【0039】
以上のように、ロータ31に放射状に支持した12枚のベーン42と、ロータチャンバ14の内周面45と、ロータ31の外周面36とによって、ロータ31の回転に伴って容積が変化する12個のベーン室54(図4参照)が区画される。
【0040】
図2および図3において、出力軸23の大径部24は第2半体9の軸受メタル25に支持された厚肉部分62と、その厚肉部分62から延びて第1半体8の軸受メタル25に支持された薄肉部分63とを有する。その薄肉部分63内にセラミック(または金属)よりなる中空軸64が、出力軸23と一体に回転し得るように嵌着される。その中空軸64の内側に固定軸65が配置され、その固定軸65は、ロータ31の軸線方向厚さ内に収まるように中空軸64に嵌合された大径中実部66と、出力軸23の厚肉部分62に存する孔部67に2つのシールリング68を介して嵌合された小径中実部69と、大径中実部66から延びて中空軸64内に嵌合された薄肉の中空部70とよりなる。その中空部70の端部外周面と第1半体8の中空軸受筒21内周面との間にシールリング71が介在される。
【0041】
固定軸65の左端に中空筒体72がシールリング73を介してネジ結合されており、この中空筒体72の左側に突出する軸部75はシェル形部材15の中心に設けた軸受部材76を貫通して外部に延出し、中空筒体72とシェル形部材15との摺動部がシールリング74によりシールされる。中空筒体72から右方向に延びる内管部77の先端は、そこから突出する短い中空接続管78と共に固定軸65の大径中実部66に存する段付孔hに嵌着される。中空筒体72の左側に突出する軸部75に圧入されて内管部77内を右方向に延びる高温高圧蒸気用導入管80は、その右端が中空接続管78内に嵌着される。中空筒体72の軸部75外周に従動ギヤ79が形成されており、モータ82の回転軸に設けた駆動ギヤ83が前記従動ギヤ79に噛合する。従って、モータ82を駆動すると駆動ギヤ83、従動ギヤ79および中空筒体72を介して固定軸65が回転し、出力軸23との間に位相差を発生させることができる。
【0042】
図2〜図4および図13に示すように、固定軸65の大径中実部66に、第1〜第12ベーンピストンユニットU1〜U12のシリンダ部材39に、中空軸64および出力軸23に一連に形成された複数、この実施例では12個の通孔cを介して高温高圧蒸気を供給し、またシリンダ部材39から膨張後の第1の降温降圧蒸気を通孔cを介して排出する回転バルブVが次のように設けられている。
【0043】
図13には膨張機4の各シリンダ部材39に所定のタイミングで蒸気を供給・排出する回転バルブVの構造が示される。大径中実部66内において、中空接続管78に連通する空間85から互に反対方向に延びる第1、第2孔部86,87が形成され、第1、第2孔部86,87は大径中実部66の外周面に開口する第1、第2凹部88,89の底面に開口する。第1、第2凹部88,89に、供給口90,91を有するカーボン製第1、第2シールブロック92,93が装着され、それらの外周面は中空軸64内周面に摺擦する。第1、第2孔部86,87内には同軸上に在る短い第1、第2供給管94,95が遊挿され、第1、第2供給管94,95の先端側外周面に嵌合した第1、第2シール筒96,97のテーパ外周面i,jが第1、第2シールブロック92,93の供給口90,91よりも内側に在ってそれに連なるテーパ孔k,m内周面に嵌合する。また大径中実部66に、第1、第2供給管94,95を囲繞する第1、第2環状凹部n,oと、それに隣接する第1、第2盲孔状凹部p,qとが第1、第2シールブロック92,93に臨むように形成され、第1、第2環状凹部n,oには一端側を第1、第2シール筒96,97外周面に嵌着した第1、第2ベローズ状弾性体98,99が、また第1、第2盲孔状凹部p,qには第1、第2コイルスプリング100,101がそれぞれ収められ、第1、第2ベローズ状弾性体98,99および第1、第2コイルスプリング100,101の弾発力で第1、第2シールブロック92,93を中空軸64内周面に押圧する。
【0044】
また大径中実部66において、第1コイルスプリング100および第2ベローズ状弾性体99間ならび第2コイルスプリング101および第1ベローズ状弾性体98間に、常時2つの通孔cに連通する第1、第2凹状排出部102,103と、それら排出部102,103から導入管80と平行に延びて固定軸65の中空部r内に開口する第1、第2排出孔104,105とが形成されている。
【0045】
これら第1シールブロック92と第2シールブロック93といったように、同種部材であって、「第1」の文字を付されたものと「第2」の文字を付されたものとは、固定軸65の軸線に関して点対称の関係にある。
【0046】
固定軸65の中空部r内および中空筒体72内は第1の降温降圧蒸気の通路sであり、その通路sは、中空筒体72の周壁を貫通する複数の通孔tを介して中継チャンバ20に連通する。
【0047】
図2、図5、図6および図7に示すように、第1半体8の主体11外周部において、ロータチャンバ14の短径の両端部近傍に、半径方向に並ぶ複数の導入孔106よりなる第1、第2導入孔列107,108が形成され、中継チャンバ20内の第1の降温降圧蒸気がそれら導入孔列107,108を経てロータチャンバ14内に導入される。また第2半体9の主体11外周部において、ロータチャンバ14の第2導入孔列108よりも上流側に、半径方向に並ぶ複数の導出孔109よりなる9列の第1導出孔列110a〜110iが形成され、また第1導入孔列107よりも上流側に、半径方向に並ぶ複数の導出孔109よりなる9列の第2導出孔列111a〜111iが形成される。各9列の第1導出孔列110a〜110iおよび第2導出孔列111a〜111iは所定の位相差をもって円周方向に整列しており、各列の5個の導出孔109が連通路116で連通する。
【0048】
下流側の5列の第1導出孔列110e〜110iを除く上流側の4列の第1導出孔列110a〜110dの4個の連通孔116には、それら連通孔116を個別に開閉し得る4個の第1電磁弁117a〜117dがそれぞれ設けられ、かつ下流側の5列の第2導出孔列111e〜111iを除く上流側の4列の第2導出孔列111a〜111dの5個の連通孔116には、それら連通孔116を個別に開閉し得る4個の第2電磁弁118a〜118dがそれぞれ設けられる。そして第1導出孔列110a〜110dおよび第2導出孔列111a〜111dの合計8個の連通路116にそれぞれ圧力センサ119が設けられる。
【0049】
出力軸23等は水により潤滑されるようになっており、その潤滑水路は次のように構成される。即ち、図2および図3に示すように第2半体9の中空軸受筒22に形成された給水孔112に給水管113が接続される。給水孔112は、第2半体9側の軸受メタル25が臨むハウジング114に、またそのハウジング114は出力軸23の厚肉部分62に形成された通水孔uに、さらにその通水孔uは中空軸64の外周面母線方向に延びる複数の通水溝v(図13も参照)に、さらにまた各通水溝vは第2半体8側の軸受メタル25が臨むハウジング115にそれぞれ連通する。また出力軸23の厚肉部分62内端面に、通水孔uと、中空軸64および固定軸65の大径中実部66間の摺動部分とを連通する環状凹部wが設けられている。
【0050】
これにより、各軸受メタル25および出力軸23間ならびに中空軸64および固定軸65間が水により潤滑され、また両軸受メタル25および出力軸23間の間隙からロータチャンバ14内に進入した水によって、ケーシング7と、シール部材44および各ローラ59との間の潤滑が行われる。
【0051】
図4において、ロータ31の回転軸線Lに関して点対称の関係にある第1および第7ベーンピストンユニットU1,U7は同様の動作を行う。これは、点対称の関係にある第2、第8ベーンピストンユニットU2,U8等についても同じである。
【0052】
例えば、図13も参照して、第1供給管94の軸線がロータチャンバ14の短径位置Eよりも図4において反時計方向側に僅かずれており、また第1ベーンピストンユニットU1が前記短径位置Eに在って、その大径シリンダ孔fには高温高圧蒸気は供給されておらず、したがってピストン41およびベーン42は後退位置に在るとする。
【0053】
この状態からロータ31を僅かに、図4反時計方向に回転させると、第1シールブロック92の供給口90と通孔cとが連通して導入管80からの高温高圧蒸気が小径孔bを通じて大径シリンダ孔fに導入される。これによりピストン41が前進し、その前進運動はベーン42がロータチャンバ14の長径位置F側へ摺動することによって、ベーン42を介して該ベーン42と一体のローラ59と環状溝60との係合によりロータ31の回転運動に変換される。通孔cが供給口90からずれると、高温高圧蒸気は大径シリンダ孔f内で膨張してピストン41をなおも前進させ、これによりロータ31の回転が続行される。この高温高圧蒸気の膨張は第1ベーンピストンユニットU1がロータチャンバ14の長径位置Fに至ると終了する。その後は、ロータ31の回転に伴い大径シリンダ孔f内の第1の降温降圧蒸気は、ベーン42によりピストン41が後退させられることによって、小径孔b、通孔c、第1凹状排出部102、第1排出孔104、通路s(図3参照)および各通孔tを経て中継チャンバ20に排出され、次いで図2および図5に示すように、第1導入孔列107を通じてロータチャンバ14内に導入され、相隣る両ベーン42間でさらに膨張してロータ31を回転させ、その後第2の降温降圧蒸気が第1導出孔列110a〜110fより外部に排出される。
【0054】
このように、高温高圧蒸気の膨張によりピストン41を作動させてベーン42を介しロータ31を回転させ、また高温高圧蒸気の圧力降下による降温降圧蒸気の膨張によりベーン42を介しロータ31を回転させることによって出力軸23より出力が得られる。
【0055】
図14および図15に示すように、容積型で軸トルクが一定の膨張機4はシリンダ部材39のシリンダ室からなる第1の膨張室と、ベーン室54からなる第2の膨張室とを備える。第1の膨張室に供給される蒸気の圧力および温度をそれぞれPevp,Tevpとし、第2の膨張室に供給される蒸気の圧力および温度をそれぞれPexp1,Texp1とし、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力および温度をそれぞれPexp2,Texp2としたとき、PevpおよびPexp1により決まる第1の膨張室の膨張比ε1と、Pexp1およびPexp2により決まる第2の膨張室の膨張比ε2との積ε1×ε2で与えられる膨張機4のトータルの膨張比が、予め設定された設定膨張比ε(本実施例では132)に一致する。図15のグラフの縦軸は蒸気の圧力Pであり、横軸はロータ31の位相θである。圧力PをPevpに調整された蒸気が第1の膨張室に供給され、そこで膨張して圧力PがPexp1に低下したとき、PevpおよびPexp1により決まる膨張比は前記ε1となる。圧力PがPexp1の蒸気が第2の膨張室に供給され、そこで膨張して圧力PがPexp2に低下したとき、PxvpおよびPexp2により決まる膨張比は前記ε2となる。
【0056】
蒸発器3が発生する蒸気、つまり第1の膨張室に供給される蒸気は、その圧力Pevpおよび温度Tevpが図16に実線で示す所定の関係を保つように制御される。即ち、第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpは蒸発器3の過渡状態、内燃機関1の運転状態、蒸発器3に供給される水量等に応じて変動するが、蒸気の圧力Pevpは膨張機4の回転数(軸トルク)により制御可能であり、蒸気の温度Tevpは蒸発器3に供給される水量により制御可能であり、本実施例における定格値は図16の実線上のa点(圧力Pevp=16MPa、温度Tevp=620℃)に設定される。このように第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpが決定されれば、それに応じて膨張機4の軸トルクも決定される。図16に破線で示すように、第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpが高いほど熱効率が高くなるが、温度Tevpが高くなると耐久性等に影響がでるため、本実施例では定格値を前記620℃に設定している。一方、第2の膨張室が排出する蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2にも、膨張機4および凝縮器5が最大の性能を発揮し得る定格値が設定されており、本実施例における定格値は圧力Pexp2が0.05MPa、温度Tevpが80℃である。しかしながら、最適の圧力Pexp2および温度Texp2は凝縮器5の過渡状態、凝縮器5の冷却状態(外気温、冷却ファンの回転数、走行風の強さ)等に応じて変化し、前記定格値と必ずしも一致しない。
【0057】
第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpを定格値(Pevp=16MPa、Tevp=620℃)に設定し、膨張機4の膨張比を設定膨張比εに設定すれば、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2は定格値(本実施例ではPexp2=0.05MPa、Texp2=80℃)に一致し、膨張機4および凝縮器5は最大の性能を発揮することができる。また第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpが定格値から外れていても、図16の実線上の何れかの位置にあり、かつ膨張比が設定膨張比ε=132に一致していれば、第2の膨張機室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2は定格値に一致する。従って、内燃機関1が暖機運転中であって第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpが定格値よりも低い場合(例えば、図16の実線上のb点)であっても、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2は定格値に一致する。これにより、内燃機関1の始動からランキンサイクル装置が作動可能になるまでの立ち上げ時間を短縮することができる。
【0058】
以上のように、第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpが所定の関係(図16の実線の関係)を持つように設定し、かつ膨張機4の膨張比を設定膨張比εに設定すれば、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpは常に定格値(本実施例ではPexp2=0.05MPa、Texp2=80℃)に一致するため、膨張機4および凝縮器5は最大の性能を発揮することができる。
【0059】
ところで、第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpおよび温度Tevpが、種々の変動要因によって図16の実線の関係から鎖線の関係に外れた場合、膨張機4の膨張機比が設定膨張機比εのままだと、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2が定格値から外れてしまい、膨張機4および凝縮器5が充分な性能を発揮できなくなる可能性がある。また第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2の最適値が種々の変動要因によって定格値から外れた場合、膨張機4の膨張機比が設定膨張比εのままだと、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2が定格値になって最適値から外れてしまい、膨張機4および凝縮器5が充分な性能を発揮できなくなる可能性がある。
【0060】
このような場合には、膨張機4の膨張比を設定膨張比εから変化させることにより、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2および温度Texp2を最適値に一致させることができる。膨張機4の膨張比は、第1の膨張室への吸入タイミングを変更することにより、あるいは第2の膨張室からの排出タイミングを変更することにより変化させることができる。
【0061】
具体的には、第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpが過大である場合には(図21(B)参照)、第1の膨張室に蒸気を供給するタイミングを遅らせて膨張比ε1を減少させれば良く、また第1の膨張室に供給される蒸気の圧力Pevpが過小である場合には(図21(C)参照)、第2の膨張室から蒸気を排出するタイミングを早めて膨張比ε2を減少させれば良い。
【0062】
第1の膨張室における蒸気の膨張比ε1は回転バルブVで蒸気の吸入タイミングを変更することにより可変である。即ち、モータ82で固定軸65を回転させ、その供給口90,91の位相を図13の遅角側に変化させて蒸発器3から膨張機4のシリンダ部材39に蒸気が供給されるタイミングを早めると、蒸気が導入される瞬間にピストン41が半径方向内側にあってシリンダ部材39の容積が減少しているため、シリンダ部材39に供給される蒸気量が減少して膨張機4の第1の膨張室(シリンダ部材39)による膨張比ε1が増加する。逆に、モータ82で固定軸65を回転させ、その供給口90,91の位相を図13の進角側に変化させて蒸発器3から膨張機4のシリンダ部材39に蒸気が供給されるタイミングを遅めると、蒸気が導入される瞬間にピストン41が半径方向外側にあってシリンダ部材39の容積が増加し、シリンダ部材39に供給される蒸気量が増加して膨張機4の第1の膨張室(シリンダ部材39)による膨張比ε1が減少する。このように、第1の膨張室に蒸気を導入するタイミングを変化させることにより、その膨張比ε1を変化させることができる。
【0063】
第1の膨張室から排出された蒸気は中継チャンバ20を経て第2の膨張室(ベーン室54)に供給されるため、第1の膨張室からの蒸気排出量は第2の膨張室への蒸気供給量に一致する。第2の膨張室から凝縮器5に蒸気が排出されるタイミングは8個の電磁弁117a〜117d,118a〜118dを選択的に開閉することにより制御される。例えば、図7においてベーン室54が最大の容積を持つ位置の若干手前位置において、前記ベーン室54を構成する一対のベーン42の回転方向進み側のベーン42が3列目の第1排出孔列110cを越えており、この位置が基準タイミングとなる。すなわち、定格時には上流側の2列の第1排出孔列110a,110bの電磁弁117a,117bが閉弁し、下流側の2列の第1排出孔列110c,110dの電磁弁117c,117dが開弁しており、従って回転方向進み側のベーン42が3列目の第1排出孔列110cを越えた瞬間に、その第1排出孔列110cから蒸気の排出が開始される。
【0064】
前記基準タイミングに対して排出タイミングを早めるには、上流側の2列目の第1排出孔列110bの電磁弁117bを開けば良く、更に排出タイミングを早めるには、前記2列目の第2排出孔列110bの電磁弁117bに加えて上流側の1列目の第1排出孔列110aの電磁弁117aを開けば良い。逆に、前記基準タイミングに対して排出タイミングを遅めるには、3列目の第1排出孔列110cの電磁弁117cを閉じれば良く、更に排出タイミングを遅めるには、前記3列目の第1排出孔列110cの電磁弁117cに加えて下流側の4列目の第1排出孔列110dの電磁弁117dを閉じれば良い。
【0065】
このようにして閉弁する電磁弁117a〜117dの数を上流側から順次増加させてゆくことにより、第2の膨張室から凝縮器5に蒸気が排出されるタイミングを段階的に遅らすことができ、これにより第2膨張室による膨張比ε2を増加させることができる。逆に、開弁する電磁弁117a〜117eの数を下流側から順次増加させてゆくことにより、第2の膨張室から凝縮器5に蒸気が排出されるタイミングを段階的に早めることができ、これにより第2膨張室による膨張比ε2を減少させることができる。
【0066】
尚、第2導出孔列111a〜111dの第2電磁弁118a〜118dの制御は、上述した第1導出孔列110a〜110dの電磁弁117a〜117dの制御と同一である。また前記電磁弁117a〜117d,118a〜118dの制御は、8列の導出孔列110a〜110d,111a〜111dにそれぞれ対応して設けられた8個の圧力センサ119の出力に基づいて、第2の膨張室から排出される蒸気の圧力Pexp2が、膨張機4および凝縮器5が最大の性能を発揮し得る最適値に一致するように行なわれる。
【0067】
さて、圧力、容積および温度により決定される蒸気の状態には、水および蒸気が混在する湿り蒸気領域と、水が存在せずに蒸気だけが存在する過熱蒸気領域とがある。第1の膨張室の入口から出口までの領域は過熱蒸気領域であり、蒸気に水が混在することはない。従って、第1の膨張室を構成するシリンダ部材39の内部に滞留した水がピストン41により圧縮されて水撃現象が発生することが確実に防止される。また第2の膨張室の入口から出口までの領域のうち少なくとも最下流部分は湿り蒸気領域であり、蒸気に水が混在している。従って、第2の膨張室を構成するベーン室54の内部に若干の水が滞留し、ベーン42およびロータチャンバ14間の潤滑性能およびシール性能が向上する。
【0068】
図17〜図19において、第1の膨張室に供給される蒸気の温度Tevpを450℃から650℃の範囲で変化させたとき、温度Tevpが高いほど膨張機4の内部の過熱蒸気領域が広くなって過熱蒸気領域から湿り蒸気領域に移行するタイミングが遅れ(図17参照)、エンタルピーの減少量が増加して膨張機4の出力が増加し(図18参照)、かつ第2の膨張室の出口の乾き度が増加して水の発生量が減少する(図19参照)。逆に、温度Tevpが低いほど膨張機4の内部の過熱蒸気領域が狭くなって過熱蒸気領域から湿り蒸気領域に移行するタイミングが早まり、エンタルピーの減少量が減少して膨張機4の出力が減少し、かつ第2の膨張室の出口の乾き度が減少して水の発生量が増加する。第1の膨張室と第2の膨張室との境界は過熱蒸気領域にあり、従ってシリンダ部材39よりなる第1の膨張室に水が滞留することを確実に抑制し、またベーン室54よりなる第2の膨張室に水が滞留することを確実に保証することができる。
【0069】
また検出した第1の膨張室の入口の温度Tevpが定格値よりも高い場合には、第2の膨張室の出口の圧力Pexp2が定格値よりも高くなるため、第1の膨張室の入口の吸入タイミングを遅らせて膨張比ε1を減少させるか、あるいは第2の膨張室の出口の排出タイミングを遅らせて膨張比ε2を増加させれば良い。逆に、検出した第1の膨張室の入口の温度Tevpが定格値よりも低い場合には、第2の膨張室の出口の圧力Pexp2が定格値よりも低くなるため、第1の膨張室の入口の吸入タイミングを早めて膨張比ε1を増加させるか、あるいは第2の膨張室の出口の排出タイミングを遅らせて膨張比ε2を減少させれば良い。
【0070】
また膨張機4の内部のリーク量が大きいとき(低速回転時)には、前述した第1の膨張室の入口の温度Tevpが定格値よりも高い場合と同様の可変膨張比制御を行えば良く、また逆に膨張機4の内部のリーク量が小さいとき(高速回転時)には、前述した第1の膨張室の入口の温度Tevpが定格値よりも低い場合と同様の可変膨張比制御を行えば良い。
【0071】
次に、図20に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0072】
第1実施例の膨張機4では、先ず第1の膨張室であるシリンダ部材39に高温高圧蒸気を供給した後に、それが降温降圧した第1の降温降圧蒸気を第2の膨張室であるベーン室54に供給している。それに対し、図20に示す第2実施例は、第1の膨張室からの第1の降温降圧蒸気を中継チャンバ20に排出する通孔tを電磁弁122で閉鎖できるようにし、更に切換弁120で第1の膨張室への高温高圧蒸気の供給を遮断して中継チャンバ20の蒸気導入口121に高温高圧蒸気を直接供給できるようにすることにより、第1の膨張室を不作動にして第2の膨張室だけを独立して作動させることができる。この場合、ベーン室54で構成される膨張室における蒸気の膨張比は、ベーン室54からの排気タイミングを電磁弁117a〜117d,118a〜118dで変化させることで制御される。
【0073】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0074】
例えば、実施例では第1の膨張室および第2の膨張室を直列に接続しているが、3段以上の膨張室を直列に接続することができる。この場合、最も上流の膨張室に供給される蒸気は過熱蒸気領域にあり、最も下流の膨張室から排出される蒸気は湿り蒸気領域にあることが必要である。
【0075】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度が任意の関係にあっても、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記任意の関係に応じた所定の膨張比に設定することで、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を制御することができる。従って、膨張機および凝縮器が最大の性能を発揮し得る圧力および温度を目標値として膨張比を設定すれば、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を前記目標値に一致させて膨張機および凝縮器の性能を最大限に発揮させることができる。しかも、膨張機が吸入する蒸気が液体を含まぬ過熱蒸気領域にあり、膨張機が排出する蒸気が液体を含む湿り蒸気領域にあるので、液体が膨張機の作動に与える影響を最小限に抑えながら、蒸気を液体に戻す凝縮器の負荷を軽減することができる。
【0076】
また請求項に記載された発明によれば、複数の膨張室を直列に接続して各膨張機が発生する軸トルクを統合して出力しながら、各々の膨張室における蒸気の膨張比の積を設定膨張比として凝縮器の凝縮効率を最大限に高めることができる。
【0077】
また請求項に記載された発明によれば、複数の膨張室のうちの少なくとも最上流側の膨張室の蒸気は液体を含まぬ過熱蒸気領域にあり、複数の膨張室のうちの少なくとも最下流側の膨張室の蒸気は液体を含む湿り蒸気領域にあるので、液体が膨張機の作動に与える影響を最小限に抑えながら、蒸気を液体に戻す凝縮器の負荷を軽減することができる。
【0078】
また請求項に記載された発明によれば、シリンダ室で構成された膨張室の排出位置において蒸気が過熱蒸気領域にあるので、蒸気に液体が混合するのを防止し、シリンダ室内に液体が滞留することにより発生する不具合を未然に回避することができる。
【0079】
また請求項に記載された発明によれば、ベーン室で構成された膨張室の排出位置において蒸気が湿り蒸気領域にあるので、蒸気に液体を混合させて液体によるベーンの潤滑性向上およびシール性向上を図ることができる。
【0080】
また請求項に記載された発明によれば、複数の膨張室のうちの少なくとも最上流側の膨張室の吸入位置を可変とすることにより、膨張機が吸入する蒸気の圧力を変化させて膨張機全体の膨張比を設定膨張比から変化させることができる。これにより、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度が前記所定の関係から外れても、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記設定膨張比から変化させることで、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を前記目標値に一致させることができる。
【0081】
また請求項に記載された発明によれば、複数の膨張室のうちの少なくとも最下流側の膨張室の排出位置を可変とすることにより、膨張機が排出する蒸気の圧力を変化させて膨張機全体の膨張比を設定膨張比から変化させることができる。これにより、膨張機が吸入する蒸気の圧力および温度が前記所定の関係から外れても、膨張機が吸入・排出する蒸気の膨張比を前記設定膨張比から変化させることで、膨張機が排出する蒸気の圧力および温度を前記目標値に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 内燃機関の廃熱回収装置の概略図
【図2】 図5の2−2線断面図に相当する膨張機の縦断面図
【図3】 図2の回転軸線周りの拡大断面図
【図4】 図2の4−4線断面図
【図5】 要部を拡大した図2の5−5線断面図
【図6】 図5の6−6線拡大断面図
【図7】 図5の要部拡大図
【図8】 図4の回転軸線周りの拡大図
【図9】 ベーン本体の正面図
【図10】 ベーン本体の側面図
【図11】 図9の11−11線断面図
【図12】 シール部材の正面図
【図13】 図4の回転軸線周りの拡大図
【図14】 膨張機の制御系の構成を示す図
【図15】 第1、第2の膨張室の圧力変化および膨張比を示すグラフ
【図16】 膨張機入口の温度および圧力の最適関係を示すグラフ
【図17】 ランキンサイクル装置のTS線図
【図18】 ランキンサイクル装置のHS線図
【図19】 膨張機出口の温度および乾き度の関係を示すグラフ
【図20】 本発明の第2実施例を示す図
【図21】 膨張機における蒸気の圧力および比容積の変化を示すグラフ
【符号の説明】
3 蒸発器
4 膨張機
5 凝縮器
Pevp 膨張機が吸入する蒸気の圧力
Tevp 膨張機が吸入する蒸気の温度
Pexp2 膨張機が吸入する蒸気の圧力
Texp2 膨張機が吸入する蒸気の温度
ε1 蒸気の膨張比
ε2 蒸気の膨張比
ε 設定膨張比

Claims (7)

  1. 液体を加熱して蒸気を発生する蒸発器(3)と、蒸発器(3)から供給された蒸気を膨張させて軸トルクを出力する膨張機(4)と、膨張機(4)が排出した蒸気を冷却して液体に戻す凝縮器(5)とを備えたランキンサイクル装置において、
    膨張機(4)が吸入する蒸気の圧力(Pevp)および温度(Tevp)は過熱蒸気領域にあり、膨張機(4)が排出する蒸気の圧力(Pexp2)および温度(Texp2)は湿り蒸気領域にあり、
    膨張機(4)が吸入する蒸気の圧力(Pevp)および温度(Tevp)の任意の関係に対して、
    膨張機(4)が吸入・排出する蒸気の膨張比(ε1,ε2)を前記任意の関係に応じた所定の膨張比(ε)に設定することにより、膨張機(4)が排出する蒸気の圧力(Pexp2)および温度(Texp2)を目標値に一致させることを特徴とするランキンサイクル装置
  2. 張機(4)は直列に接続された複数の膨張室(39,54)を備え、各々の膨張室(39,54)における蒸気の膨張比(ε1,ε2)の積を前記設定膨張比(ε)としたことを特徴とする、請求項1に記載のランキンサイクル装置。
  3. 張機(4)の複数の膨張室(39,54)のうち、少なくとも最上流側の膨張室(39)の蒸気は過熱蒸気領域にあり、少なくとも最下流側の膨張室(54)の蒸気は湿り蒸気領域にあることを特徴とする、請求項に記載のランキンサイクル装置。
  4. 出位置における蒸気が過熱蒸気領域にある膨張室(39)はシリンダ室で構成されることを特徴とする、請求項に記載のランキンサイクル装置。
  5. 出位置における蒸気が湿り蒸気領域にある膨張室(54)はベーン室で構成されることを特徴とする、請求項に記載のランキンサイクル装置。
  6. 張機(4)の複数の膨張室(39,54)のうち、少なくとも最上流側の膨張室(39)の吸入位置を可変としたことを特徴とする、請求項に記載のランキンサイクル装置。
  7. 張機(4)の複数の膨張室(39,54)のうち、少なくとも最下流側の膨張室(54)の排出位置を可変としたことを特徴とする、請求項に記載のランキンサイクル装置。
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