JP2001336492A - 回転式流体機械 - Google Patents

回転式流体機械

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JP2001336492A
JP2001336492A JP2001081924A JP2001081924A JP2001336492A JP 2001336492 A JP2001336492 A JP 2001336492A JP 2001081924 A JP2001081924 A JP 2001081924A JP 2001081924 A JP2001081924 A JP 2001081924A JP 2001336492 A JP2001336492 A JP 2001336492A
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vane
rotor
pressurized liquid
phase fluid
pressure
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Application number
JP2001081924A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Endo
恒雄 遠藤
Yasunobu Kawakami
泰伸 川上
Hiroyuki Horimura
弘幸 堀村
Kensuke Honma
健介 本間
Yasushige Kimura
安成 木村
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーン型の回転型流体機械のベーンを効率的
に潤滑して焼き付きや摩耗の発生を防止する。 【解決手段】 ロータ31に放射状に配置されて放射方
向に移動する板状のベーン42は、その両側面を一対の
サイドプレート40に挟まれて支持される。サイドプレ
ート40のベーン摺動面121には、ロータ31の中心
部から加圧液相流体通路W14,W15およびオリフィ
ス形成部材124を介して高圧の加圧液相流体が供給さ
れ、サイドプレート40のベーン摺動面121とベーン
42との間に加圧液相流体の液膜を形成して該ベーン4
2を浮動状態で支持する。ベーン42を介してロータ3
1を駆動する作動媒体である蒸気と同じ水でベーン42
を静圧支持するので、作動媒体に潤滑油が混入すること
により発生する悪影響を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧の気相作動媒
体の持つ圧力エネルギーを機械エネルギーに変換して出
力軸から取り出す回転式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭58−48706号公報には、蒸
発器で液相作動媒体を加熱して発生した高圧の気相作動
媒体を膨張機で膨張させて機械エネルギーを取り出し、
その結果発生した低圧の気相作動媒体を凝縮器で冷却し
て液相作動媒体に戻し、その液相作動媒体をポンプで蒸
発器に再度供給するランキンサイクル装置が記載されて
いる。上記従来のものは、その膨張機を構成する回転型
流体機械としてベーン型の膨張機を用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ベーン型の
膨張機では、ロータに放射状に設けたスロット状空間に
往復動自在に支持したベーンを、ロータチャンバに供給
された気相作動媒体で円周方向に押圧してロータを回転
駆動するため、スロット状空間とベーンとの摺動部にコ
ジリが発生して焼き付きや摩耗が発生するのを防止すべ
く、特別な潤滑手段が必要となる。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、ベーン型の回転型流体機械のベーンを浮動状態に支
持してロータとの固体接触を防止することにより、潤滑
効果を発揮させて焼き付きや摩耗の発生を防止すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、ロータチャン
バを有するケーシングと、そのロータチャンバ内に収容
されたロータと、前記ロータに、その回転軸線回りに放
射状に形成したスロット状空間に往復動自在に支持され
た複数のベーンとを備え、ロータチャンバ内に供給され
た高圧の気相作動媒体の膨張によりベーンを介しロータ
を回転させる回転式流体機械において、ロータおよびベ
ーン間に静圧軸受けを構成し、この静圧軸受けでベーン
を浮動状態で支持することを特徴とする回転式流体機械
が提案される。
【0006】上記構成によれば、ロータおよびベーン間
に構成した静圧軸受けでベーンを浮動状態で支持するの
で、ロータに対するベーンの固体接触を回避して潤滑効
果を発揮させ、摺動部における焼き付きや摩耗の発生を
防止することができる。
【0007】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、前記静圧軸受けは、ロータ側
からベーンの表面に加圧液相流体を噴出して該記ベーン
を浮動状態で支持することを特徴とする回転式流体機械
が提案される。
【0008】上記構成によれば、ロータ側からベーンの
表面に加圧液相流体を噴出して浮動状態で支持するの
で、ベーンと静圧軸受けとの間に加圧液相流体の液膜を
形成して確実に潤滑することができる。
【0009】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1または請求項2の構成に加えて、ベーンの表面
に加圧液相流体を保持するリセスを形成したことを特徴
とする回転式流体機械が提案される。
【0010】上記構成によれば、ベーンの表面に加圧液
相流体を保持するリセスを形成して圧力溜まりとして機
能させることにより、ベーンと静圧軸受けとの間に加圧
液相流体の液膜を保持してベーンがロータに固体接触す
るのを確実に防止することができる。
【0011】また請求項4に記載された発明によれば、
請求項2または請求項3の構成に加えて、前記加圧液相
流体が前記気相作動媒体と同じ流体であることを特徴と
する回転式流体機械が提案される。
【0012】上記構成によれば、ベーンを静圧支持する
加圧液相流体がロータを駆動する気相作動媒体と同じ流
体であるので、特別の潤滑油を必要とすることなく回転
式流体機械の各潤滑部を潤滑して焼き付きや摩耗の発生
を防止することができるだけでなく、作動媒体に潤滑油
が混入することにより発生する悪影響を回避することが
できる。
【0013】尚、実施例の蒸気および水は、それぞれ本
発明の高圧の気相作動媒体および加圧液相流体に対応す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】図1〜図19は本発明の一実施例を示すも
ので、図1は内燃機関の廃熱回収装置の概略図、図2は
図6の2−2線断面図に相当する膨張機の縦断面図、図
3は図5の3−3線断面図に相当する膨張機の縦断面
図、図4は図2の回転軸線周りの拡大断面図、図5は図
2の5−5線断面図、図6は図2の6−6線矢視図、図
7はロータチャンバおよびロータの断面形状を示す説明
図、図8は図6の8−8線矢視図、図9は図8の9方向
矢視図、図10は図8の10−10線断面図、図11は
図5の要部拡大図、図12は図6の12−12線矢視
図、図13は図12の13方向矢視図、図14は図13
の14−14線断面図、図15は図14の15−15線
断面図、図16は図11の16−16線断面図、図17
は図5の回転軸線周りの拡大図、図18はロータの位相
に対するスロット状空間の圧力PFおよびロータチャン
バの圧力PQの関係を示すグラフ、図19はロータの位
相に対するベーンに加わる荷重の関係を示すグラフであ
る。
【0016】図1において、内燃機関1の廃熱回収装置
2は、内燃機関1の廃熱、例えば排気ガスを熱源とし
て、高圧状態の作動媒体、例えば水から温度上昇を図ら
れた高圧状態の蒸気、つまり高温高圧蒸気を発生する蒸
発器3と、その高温高圧蒸気の膨張によって出力を発生
する膨張機4と、その膨張機4から排出される、前記膨
張後の、温度および圧力が降下した蒸気、つまり降温降
圧蒸気を液化する凝縮器5と、凝縮器5からの水を蒸発
器3および後述する静圧軸受けに加圧供給する供給ポン
プ6とを有する。
【0017】膨張機4は特殊な構造を有するもので、次
のように構成される。
【0018】図2〜図6において、ケーシング7は金属
製第1、第2半体8,9より構成される。両半体8,9
は、略楕円形の凹部10を有する主体11と、それら主
体11と一体の円形フランジ12とよりなり、両円形フ
ランジ12を金属ガスケット13を介し重ね合せること
によって略楕円形のロータチャンバ14が形成される。
また第1半体8の主体11外面は、シェル形部材15の
深い鉢形をなす主体16により覆われており、その主体
16と一体の円形フランジ17が第1半体8の円形フラ
ンジ12にガスケット18を介して重ね合せられ、3つ
の円形フランジ12,17は、それらの円周方向複数箇
所においてボルト19によって締結される。これによ
り、シェル形部材15および第1半体8の両主体11,
16間には中継チャンバ20が形成される。
【0019】両半体8,9の主体11は、それらの外面
に外方へ突出する中空軸受筒21,22を有し、それら
中空軸受筒21,22に、ロータチャンバ14を貫通す
る中空の出力軸23の大径部24が静圧軸受け25を介
して回転可能に支持される。これにより出力軸23の軸
線Lは略楕円形をなすロータチャンバ14における長径
と短径との交点を通る。また出力軸23の小径部26
は、第2半体9の中空軸受筒22に存する孔部27から
外部に突出して伝動軸28とスプライン結合29を介し
て連結される。小径部26および孔部27間は2つのシ
ールリング30によりシールされる。
【0020】ロータチャンバ14内に円形のロータ31
が収容され、その中心の軸取付孔32と出力軸23の大
径部24とが嵌合関係にあって、両者31,24間には
かみ合い結合部33が設けられている。これによりロー
タ31の回転軸線は出力軸23の軸線Lと合致するの
で、その回転軸線の符号として「L」を共用する。
【0021】ロータ31に、その回転軸線Lを中心に軸
取付孔32から放射状に延びる複数、この実施例では1
2個のスロット状空間34が円周上等間隔に形成されて
いる。各空間34は、円周方向幅が狭く、且つロータ3
1の両端面35および外周面36に一連に開口するよう
に、両端面35に直交する仮想平面内において略U字形
をなす。
【0022】図11および図16に最も良く示されるよ
うに、各スロット状空間34(図4参照)内に、同一構
造の第1〜第12ベーンピストンユニットU1〜U12
が、次のように放射方向に往復動自在に装着される。略
U字形のスロット状間34において、その内周側を区画
する部分37に段付孔38が形成され、その段付孔38
に、セラミック(またはカーボン)よりなる段付形シリ
ンダ部材39が嵌入される。シリンダ部材39の半径方
向内側に形成された小径部a端面は出力軸23の大径部
24外周面に当接し、前記小径部aの内部を半径方向に
貫通する小径孔bが大径部24外周面に開口する通孔c
に連通する(図4参照)。またシリンダ部材39の外側
に、その部材39と同軸上に位置するように面対称に形
成された一対のサイドプレート40が配置される。相互
に対向する一対のサイドプレート40はシリンダ部材3
9の半径方向外側に配置され、一対のサイドプレート4
0の軸線はシリンダ部材39の軸線に一致している。そ
してセラミック製のピストン41がシリンダ部材39お
よび相互に対向する一対のサイドプレート40によって
半径方向移動可能に案内されると共に、第1〜第12ベ
ーンピストンユニットU1〜U12が、対向する一対の
サイドプレート40間に形成された前記スロット状空間
34に半径方向移動可能に案内される。
【0023】図2および図7に示すように、ロータ31
の回転軸線Lを含む仮想平面A内におけるロータチャン
バ14の断面Bは、直径gを相互に対向させた一対の半
円形断面部B1と、両半円形断面部B1の両直径gの一
方の対向端相互および他方の対向端相互をそれぞれ結ん
で形成される四角形断面部B2とよりなり、略競技用ト
ラック形をなす。図7において、実線示の部分が長径を
含む最大断面を示し、一方、一部を2点鎖線で示した部
分が短径を含む最小断面を示す。ロータ31は、図7に
点線で示したように、ロータチャンバ14の短径を含む
最小断面よりも若干小さな断面Dを有する。
【0024】図2および図8〜図10に明示するよう
に、ベーン42は略U字板形(馬蹄形)をなすベーン本
体43と、そのベーン本体43に装着された略U字板形
をなすシール部材44(図2参照)とより構成される。
【0025】ベーン本体43は一定の厚さを有する板状
部材であり、ロータチャンバ14の半円形断面部B1に
よる内周面45に対応した半円弧状部46と、四角形断
面部B2による対向内端面47に対応した一対の平行部
48とを有する。一方の対向内端面47から半円弧状部
46を経て他方の対向内端面47に延び、ベーン本体4
3の外方に向かって開放するU字溝52に、例えばPT
FEより構成された前記シール部材44が嵌合して保持
される。各平行部48の端部側に在って左右外方へ突出
する一対の短軸51が設けられており、これら短軸51
にそれぞれボールベアリング構造のローラ59が取付け
られる。ベーン本体43の表裏には、各短軸51に隣接
するように、静圧軸受けに供給する加圧液相流体(実施
例では加圧された水)を保持する所定の面積を有する四
角形(実施例では四角形であるが形状は任意)の浅いリ
セス49が合計4個形成される。
【0026】図8における軸線L1は、シリンダ部材3
9およびピストン41の軸線であって、その軸線L1上
にピストン41の半径方向外端が当接する一対の板状の
突条53が設けられる。一対の板状の突条53の間から
軸線L1に沿ってベーン本体43の内部に延びる盲状の
加圧液相流体通路W1が形成されており、その先端から
直角に折れ曲がった加圧液相流体通路W2がベーン本体
43の一側面に開口する。
【0027】次に、図11〜図16を参照してサイドプ
レート40の構造を説明する。
【0028】サイドプレート40はベーン本体43に類
似したU字状の外形を持ち、ベーン本体43が摺接する
ベーン摺動面121を有する内側部材122と、この内
側部材122に積層されてロータ31に保持される外側
部材123と、ロータ31の半径方向外側において両部
材122,123間に支持されて外側部材123の外面
に突出するオリフィス形成部材124とを備える。また
ロータ31の半径方向内側に対応するサイドプレート4
0は、ベーン摺動面121に対してテーパーした傾斜面
125を持ち、この傾斜面125によりロータ31の半
径方向内側の狭い空間への装着を容易にしている。サイ
ドプレート40の内側部材122はベーン摺動面121
に連なる部分円筒状のピストンガイド部126を備えて
おり、シリンダ部材39から半径方向外側に移動したピ
ストン41は、一対のサイドプレート40のピストンガ
イド部126内に非接触で収納される(図11および図
16参照)。
【0029】内側部材122の外側部材123への合わ
せ面には、前記オリフィス形成部材124から放射状に
延びる合計8本の加圧液相流体通路W3,W4が刻設さ
れており、その内の6本の加圧液相流体通路W3の先端
は内側部材122のベーン摺動面121に加圧液相流体
吐出孔127として開口し、残りの2本の加圧液相流体
通路W4は内側部材122の外側面に加圧液相流体吐出
孔128として開口する(図12参照)。尚、オリフィ
ス形成部材124は前記8本の加圧液相流体通路W3,
W4に対してオリフィス機能を発揮するようになってい
る。
【0030】各ベーン42はロータ31の各スロット状
空間34に摺動自在に収められており、その際、ベーン
本体43の両側面は相対向する一対のサイドプレート4
0のベーン摺動面121に挟まれて半径方向に摺動す
る。このとき、ベーン42の一対の突条53の内端面が
ピストン41の外端面と当接することができる。ベーン
42に設けた両ローラ59は第1、第2半体8,9の対
向内端面47に形成された略楕円形の環状溝60にそれ
ぞれ転動自在に係合される。これら環状溝60およびロ
ータチャンバ14間の距離はそれらの全周に亘り一定で
ある。またピストン41の前進運動をベーン42を介し
てローラ59と環状溝60との係合によりロータ31の
回転運動に変換する。
【0031】このローラ59と環状溝60との協働で、
図6に明示するように、ベーン本体43の半円弧状部4
6における半円弧状先端面61はロータチャンバ14の
内周面45から、また両平行部48はロータチャンバ1
4の対向内端面47からそれぞれ常時離間し、これによ
りフリクションロスの軽減が図られている。そして、2
条一対で構成されている環状溝60により軌道を規制さ
れるため、左右の軌道誤差によりローラ59を介してベ
ーン42は軸方向に微小変位角の回転を生じ、ロータチ
ャンバ14の内周面45との接触圧力を増大させる。こ
のとき、略U字板形(馬蹄形)をなすベーン本体43で
は、方形(長方形)ベーンに比べてケーシング7との接
触部の径方向長さが短いので、その変位量を大幅に小さ
くできる。また図2に明示するように、ベーン本体43
に装着したシール部材44はロータチャンバ14の内周
面に密着してシール作用を行う。このとき、方形(長方
形)ベーンに対し略U字板形のベーン42の方が変曲点
を持たないので、密着が良好となる。
【0032】ところで、ベーン本体43とロータチャン
バ14の内周面との間のシール作用は、弾性材よりなる
シール部材44自体のばね力と、シール部材44自体に
作用する遠心力と、高圧側のロータチャンバ14からベ
ーン本体43のU字溝52に浸入した蒸気がシール部材
44を押し上げる蒸気圧とにより発生する。このよう
に、前記シール作用は、ロータ31の回転数に応じてベ
ーン本体43に作用する過度の遠心力の影響を受けない
ので、シール面圧はベーン本体43に加わる遠心力に依
存せず、常に良好なシール性と低フリクション性とを両
立させることができる。
【0033】図2および図4において、出力軸23の大
径部24は第2半体9の静圧軸受け25に支持された厚
肉部分62と、その厚肉部分62から延びて第1半体8
の静圧軸受け25に支持された薄肉部分63とを有す
る。その薄肉部分63内にセラミック(または金属)よ
りなる中空軸64が、出力軸23と一体に回転し得るよ
うに嵌着される。その中空軸64の内側に固定軸65が
配置され、その固定軸65は、ロータ31の軸線方向厚
さ内に収まるように中空軸64に嵌合された大径中実部
66と、出力軸23の厚肉部分62に存する孔部67に
2つのシールリング68を介して嵌合された小径中実部
69と、大径中実部66から延びて中空軸64内に嵌合
された薄肉の中空部70とよりなる。その中空部70の
端部外周面と第1半体8の中空軸受筒21内周面との間
にシールリング71が介在される。
【0034】シェル形部材15の主体16において、そ
の中心部内面に、出力軸23と同軸上に在る中空筒体7
2の端壁73がシールリング74を介して複数本のボル
ト50で取付けられる。その端壁73の外周部から内方
へ延びる短い外筒部75の内端側は第1半体8の中空軸
受筒21に連結筒76を介して連結される。端壁73
に、それを貫通するように小径で、且つ長い内管部77
が設けられ、その内管部77の内端側は、そこから突出
する短い中空接続管78と共に固定軸65の大径中実部
66に存する段付孔hに嵌着される。内管部77の外端
部分はシェル形部材15の孔部79から外方へ突出し、
その外端部分から内管部77内に挿通された第1の高温
高圧蒸気用導入管80の内端側が中空接続管78内に嵌
着される。内管部77の外端部分にはキャップ部材81
が螺着され、そのキャップ部材81によって、導入管8
0を保持するホルダ筒82のフランジ83が内管部77
の外端面にシールリング84を介して圧着される。
【0035】図2〜図4および図11に示すように、第
1〜第12ベーンピストンユニットU1〜U12のシリ
ンダ部材39に、中空軸64および出力軸23に一連に
形成された複数、この実施例では12個の通孔cを介し
て高温高圧蒸気を供給し、またシリンダ部材39から膨
張後の第1の降温降圧蒸気を通孔cを介して排出する回
転バルブVが、固定軸65の大径中実部66に次のよう
に設けられている。
【0036】図17には膨張機4の各シリンダ部材39
に所定のタイミングで蒸気を供給・排出する回転バルブ
Vの構造が示される。大径中実部66内において、中空
接続管78に連通する空間85から互に反対方向に延び
る第1、第2孔部86,87が形成され、第1、第2孔
部86,87は大径中実部66の外周面に開口する第
1、第2凹部88,89の底面に開口する。第1、第2
凹部88,89に、供給口90,91を有するカーボン
製の第1、第2シールブロック92,93が装着され、
それらの外周面は中空軸64内周面に摺擦する。第1、
第2孔部86,87内には同軸上に在る短い第1、第2
供給管94,95が遊挿され、第1、第2供給管94,
95の先端側外周面に嵌合した第1、第2シール筒9
6,97のテーパ外周面i,jが第1、第2シールブロ
ック92,93の供給口90,91よりも内側に在って
それに連なるテーパ孔k,m内周面に嵌合する。また大
径中実部66に、第1、第2供給管94,95を囲繞す
る第1、第2環状凹部n,oと、それに隣接する第1、
第2盲孔状凹部p,qとが第1、第2シールブロック9
2,93に臨むように形成され、第1、第2環状凹部
n,oには一端側を第1、第2シール筒96,97外周
面に嵌着した第1、第2ベローズ状弾性体98,99
が、また第1、第2盲孔状凹部p,qには第1、第2コ
イルスプリング100,101がそれぞれ収められ、第
1、第2ベローズ状弾性体98,99および第1、第2
コイルスプリング100,101の弾発力で第1、第2
シールブロック92,93を中空軸64内周面に押圧す
る。
【0037】また大径中実部66において、第1コイル
スプリング100および第2ベローズ状弾性体99間な
らび第2コイルスプリング101および第1ベローズ状
弾性体98間に、常時2つの通孔cに連通する第1、第
2凹状排出部102,103と、それら排出部102,
103から導入管80と平行に延びて固定軸65の中空
部r内に開口する第1、第2排出孔104,105とが
形成されている。
【0038】これら第1シールブロック92と第2シー
ルブロック93といったように、同種部材であって、
「第1」の文字を付されたものと「第2」の文字を付さ
れたものとは、固定軸65の軸線に関して点対称の関係
にある。
【0039】固定軸65の中空部r内および中空筒体7
2の外筒部75内は第1の降温降圧蒸気の通路sであ
り、その通路sは、外筒部75の周壁を貫通する複数の
通孔tを介して中継チャンバ20に連通する。
【0040】図2および図6に示すように、第1半体8
の主体11外周部において、ロータチャンバ14の短径
の両端部近傍に、半径方向に並ぶ複数の導入孔106よ
りなる第1、第2導入孔群107,108が形成され、
中継チャンバ20から第1の降温降圧蒸気がそれら導入
孔群107,108を経てロータチャンバ14内に導入
される。また第2半体9の主体11外周部において、ロ
ータチャンバ14の長径の一端部と第2導入孔群108
との間に、半径方向および周方向に並ぶ複数の導出孔1
09よりなる第1導出孔群110が形成され、また長径
の他端部と第1導入孔群107との間に、半径方向およ
び周方向に並ぶ複数の導出孔109よりなる第2導出孔
群111が形成される。これら第1、第2導出孔群11
0,111からは、相隣る両ベーン42間での膨張によ
り、さらに温度および圧力が降下した第2の降温降圧蒸
気が外部に排出される。
【0041】図5において、ロータ31の回転軸線Lに
関して点対称の関係にある第1および第7ベーンピスト
ンユニットU1,U7は同様の動作を行う。これは、点
対称の関係にある第2、第8ベーンピストンユニットU
2,U8等についても同じである。
【0042】例えば、図17も参照して、第1供給管9
4の軸線がロータチャンバ14の短径位置Eよりも図5
において反時計方向側に僅かずれており、また第1ベー
ンピストンユニットU1が前記短径位置Eに在って、そ
の大径シリンダ孔fには高温高圧蒸気は供給されておら
ず、したがってピストン41およびベーン42は後退位
置に在るとする。
【0043】この状態からロータ31を僅かに、図5反
時計方向に回転させると、第1シールブロック92の供
給口90と通孔cとが連通して導入管80からの高温高
圧蒸気が小径孔bを通じて大径シリンダ孔fに導入され
る。これによりピストン41が前進し、その前進運動は
ベーン42がロータチャンバ14の長径位置F側へ摺動
することによって、ベーン42を介して該ベーン42と
一体のローラ59と環状溝60との係合によりロータ3
1の回転運動に変換される。通孔cが供給口90からず
れると、高温高圧蒸気は大径シリンダ孔f内で膨張して
ピストン41をなおも前進させ、これによりロータ31
の回転が続行される。この高温高圧蒸気の膨張は第1ベ
ーンピストンユニットU1がロータチャンバ14の長径
位置Fに至ると終了する。その後は、ロータ31の回転
に伴い大径シリンダ孔f内の第1の降温降圧蒸気は、ベ
ーン42によりピストン41が後退させられることによ
って、小径孔b、通孔c、第1凹状排出部102、第1
排出孔104、通路s(図4参照)および各通孔tを経
て中継チャンバ20に排出され、次いで図2および図6
に示すように、第1導入孔群107を通じてロータチャ
ンバ14内に導入され、相隣る両ベーン42間でさらに
膨張してロータ31を回転させ、その後第2の降温降圧
蒸気が第1導出孔群110より外部に排出される。
【0044】このように、高温高圧蒸気の膨張によりピ
ストン41を作動させてベーン42を介しロータ31を
回転させ、また高温高圧蒸気の圧力降下による降温降圧
蒸気の膨張によりベーン42を介しロータ31を回転さ
せることによって出力軸23より出力が得られる。
【0045】尚、実施例以外にも、ピストン41の前進
運動をロータ31の回転運動に変換する構成として、ベ
ーン42を介さず、ピストン41の前進運動を直接ロー
ラ59で受け、環状溝60との係合で回転運動に変換す
ることもできる。またベーン42もローラ59と環状溝
60との協働により、前述の如くロータチャンバ14の
内周面45および対向内端面47から略一定間隔で常時
離間していればよく、ピストン41とローラ59、およ
びベーン42とローラ59との各々が格別に環状溝60
と協働しても良い。
【0046】前記膨張機4を圧縮機として使用する場合
には、出力軸23によりロータ31を図5時計方向に回
転させて、ベーン42により、流体としての外気を第
1、第2導出孔群110,111からロータチャンバ1
4内に吸込み、このようにして得られた低圧縮空気を第
1、第2導入孔群107,108から中継チャンバ2
0、各通孔t、通路s、第1、第2排出孔104,10
5、第1、第2凹状排出部102,103、通孔cを経
て大径シリンダ孔fに供給し、またベーン42によりピ
ストン41を作動させて低圧空気を高圧空気に変換し、
その高圧空気を通孔c、供給口90,91、および第
1、第2供給管94,95を経て導入管80に導入する
ものである。
【0047】次に、前記膨張機4の各摺動部の加圧液相
流体を媒体とする静圧軸受けによる潤滑について説明す
る。
【0048】図4に示すように第2半体9の中空軸受筒
22に形成された加圧液相流体供給孔129に加圧液相
流体供給管130が接続される。尚、加圧液相流体供給
管130への加圧液相流体の供給は、凝縮器5からの水
を蒸発器3に加圧供給する供給ポンプ6(図1参照)か
ら行なわれるもので、この供給ポンプ6を膨張機4の各
部の静圧軸受けへの加圧液相流体の供給に利用すること
により、特別の加圧液相流体供給用ポンプが不要になっ
て部品点数が削減される。
【0049】加圧液相流体供給孔129から供給された
高圧の加圧液相流体は、第2半体9側の静圧軸受け25
に形成した加圧液相流体通路W5を通り、静圧軸受け2
5の内周面と出力軸23の大径部24の外周面との摺動
部に達し、そこに形成された液膜によって出力軸23の
外周面を浮動状態で支持することにより、出力軸23と
静圧軸受け25との固体接触を防止して焼き付きや摩耗
が発生しないように潤滑する。加圧液相流体供給孔12
9は出力軸23の大径部24に軸方向に穿設した複数の
加圧液相流体通路W6を介して、出力軸23の大径部2
4の外周に形成した環状の加圧液相流体通路W7と、出
力軸23の大径部24の内周に形成した複数の加圧液相
流体通路W8と連通する。加圧液相流体通路W8を通過
した加圧液相流体は、固定軸65の大径中実部66の外
周面と中空軸64の内周面との摺動部、並びに固定軸6
5の小径中実部69の外周面と出力軸23の孔部67の
内周面との摺動部を潤滑する。
【0050】環状の加圧液相流体通路W7は、中空軸6
4の外周に形成した複数の加圧液相流体通路W9(図1
7参照)を介して、ロータ31を挟んで前記環状の加圧
液相流体通路W7の反対側に対称に形成された環状の加
圧液相流体通路W10に連通する。この環状の加圧液相
流体通路W10からの加圧液相流体は、出力軸23の大
径部24と中空軸64との間に形成された加圧液相流体
通路W11に供給され、第1半体8側の静圧軸受け25
に形成した加圧液相流体通路W12を通り、静圧軸受け
25の内周面と出力軸23の大径部24の外周面との摺
動部に達し、そこに形成された液膜によって出力軸23
の外周面を浮動状態で支持することにより、出力軸23
と静圧軸受け25との固体接触を防止して焼き付きや摩
耗が発生しないように潤滑する。また加圧液相流体通路
W11を出た加圧液相流体は、固定軸65の外周面と中
空軸64の内周面との摺動部を潤滑し、更に固定軸65
の左端外周面と第1半体8の中空軸受筒21の左端内周
面との摺動部を潤滑する。
【0051】尚、左右の静圧軸受け25と出力軸23と
の摺動部の潤滑を終えた加圧液相流体は、ロータ31と
第1、第2半体8,9との間に形成された左右の加圧液
相流体通路W13を通り、第1、第2導出口群110,
111(図6参照)からケーシング7の外部に排出され
る。
【0052】固定軸65の大径中実部66の外周面と中
空軸64の内周面との摺動部を潤滑した加圧液相流体
は、固定軸65の内部に収納した第1、第2シールブロ
ック92,93の外周を囲むように該固定軸65の外周
面にそれぞれ形成されたシール溝55,56(図4およ
び図17参照)に捕捉される。この加圧液相流体の圧力
は、シリンダ部材39から排出された蒸気よりも高圧で
あるため、前記蒸気の漏れをシール溝55,56内の加
圧液相流体でシールすることができる。シール溝55,
56は固定軸65の第1,第2凹状排出部102,10
3(図17参照)に連通しているため、前記加圧液相流
体は第1,第2凹状排出部102,103から第1、第
2排出孔104,105を経て中継チャンバ20に供給
され、そこから第1、第2導入口群107,108、ロ
ータチャンバ14および第1、第2導出口群110,1
11を経てケーシング7の外部に排出される。
【0053】前記加圧液相流体通路W13を通る加圧液
相流体の一部はベーン本体43が摺動するスロット状空
間34に流入し、そこからベーン本体43の一対の突状
53間に開口する加圧液相流体通路W1,W2に流入す
る。ベーン本体43の半径方向外端に開口する加圧液相
流体通路W2は、ベーン本体43がロータ31から最も
突出する所定角度範囲でロータチャンバ14に開口する
(図11参照)。図18に示すように、スロット状空間
34の圧力は一定値PFであり、この圧力PFは第1半
体8に設けられて中継チャンバ20に連通するオリフィ
ス54(図2参照)の開度により任意に設定可能であ
る。一方、ロータチャンバ14内の圧力PQはロータ3
1の回転に伴って変化するため、スロット状空間34の
圧力PFがロータチャンバ14内の圧力PQを上回る範
囲(PF>PQ)でベーン本体43の加圧液相流体通路
W2がロータチャンバ14に開口するように設定すれ
ば、スロット状空間34に溜まった加圧液相流体をベー
ン本体43の加圧液相流体通路W1,W2を通してロー
タチャンバ14に排出することができる。
【0054】図3および図11から明らかなように、出
力軸23の外周に形成した環状の加圧液相流体通路W7
から、ロータ21の内部を12本の加圧液相流体通路W
14が放射状に延びており、その外端は二股に分岐した
加圧液相流体通路W15となって各サイドプレート40
のオリフィス形成部材124に接続される。従って、加
圧液相流体供給管130(図4参照)から供給された加
圧液相流体は、ロータ21に設けた加圧液相流体通路W
14および加圧液相流体通路W15を遠心力で更に加圧
されながら半径方向外側に移動してサイドプレート40
のオリフィス形成部材124に供給され、そこからサイ
ドプレート40の加圧液相流体通路W3を経てベーン摺
動面121に開口する加圧液相流体吐出孔127から噴
出し、ベーン42のベーン摺動面121との間に静圧軸
受けを構成して該ベーン42を浮動状態で支持し、サイ
ドプレート40とベーン42との固体接触を防止して焼
き付きおよび摩耗の発生を防止する。このように、ベー
ン42のベーン摺動面121を潤滑する加圧液相流体を
ロータ31の内部に設けた加圧液相流体通路W14,W
15およびサイドプレート40の内部に設けた加圧液相
流体通路W3を介して供給することにより、加圧液相流
体を遠心力で加圧することができるだけでなく、ロータ
32周辺の温度を安定させて熱膨張による影響を少なく
し、設定したクリアランスを維持して蒸気のリークを最
小限に抑えることができる。
【0055】図19に示すように、各々のベーン42に
加わる円周方向の荷重(板状のベーン本体43に対して
直交する方向の荷重)には、ロータチャンバ14内のベ
ーン本体43の前後面に加わる蒸気圧の差圧による荷重
と、ベーン本体43に設けたローラ59が環状溝60か
ら受ける反力の前記円周方向の成分との合力になるが、
それらの荷重はロータ31の位相に応じて周期的に変化
する。従って、この偏荷重を受けたベーン42は、それ
を挟持する一対のサイドプレート40の間で傾くような
挙動を周期的に示すことになる。
【0056】このようにして前記偏荷重でベーン本体4
3が傾くと、各々のサイドプレート40に開口する6個
の加圧液相流体吐出孔127とベーン本体43との隙間
が変化するため、隙間が広がった部分の液膜が流失して
しまい、かつ隙間が狭まった部分に加圧液相流体が供給
され難くなるために摺動部に圧力が立たなくなり、ベー
ン本体43がサイドプレート40のベーン摺動面121
に直接接触して摩耗が発生する可能性がある。しかしな
がら、本実施例によれば、サイドプレート40に設けた
オリフィス形成部材124により6個の加圧液相流体吐
出孔127に連なる6本の加圧液相流体通路W3のそれ
ぞれに連通するオリフィス112が形成されるため、上
記不具合が解消される。
【0057】即ち、加圧液相流体吐出孔127とベーン
本体43との隙間が広がった場合、加圧液相流体の供給
圧力が一定であるので、定常状態でオリフィス112の
前後に発生する一定の差圧に対し、前記隙間からの流出
量の増大により加圧液相流体の流量が増大することによ
り、オリフィス効果でオリフィス112の前後の差圧が
増大して前記隙間の圧力が減少することとなり、その結
果、広がった隙間を狭めて元に戻す力が発生する。また
加圧液相流体吐出孔127とベーン本体43との隙間が
狭まった場合、前記隙間からの流出量が減少してオリフ
ィス112の前後の差圧が減少するため、その結果、前
記隙間の圧力が増大して狭まった隙間を広げて元に戻す
力が発生する。
【0058】このように、ベーン42に加わる荷重で加
圧液相流体吐出孔127とベーン本体43との隙間が変
化しても、その隙間の大きさの変化に応じて該隙間に供
給される加圧液相流体の圧力をオリフィス112が自動
的に調整するので、ベーン本体43およびサイドプレー
ト40間のクリアランスを所望の大きさに安定して維持
することができる。これにより、ベーン本体43および
サイドプレート40間に常時液膜を保持してベーン本体
43を浮動状態で支持し、ベーン本体43がサイドプレ
ート40のベーン摺動面121に固体接触して摩耗が発
生するのを確実に回避することができる。
【0059】またベーン本体43の両面に各2個ずつ形
成されたリセス49に加圧液相流体が保持されるため、
このリセス49が圧力溜まりとなって加圧液相流体のリ
ークによる圧力低下を抑制する。その結果、一対のサイ
ドプレート40のベーン摺動面121に挟まれたベーン
本体43が加圧液相流体によって浮動状態になり、摺動
抵抗を皆無に近い状態まで低減することが可能になる。
またベーン42が往復運動するとロータ21に対するベ
ーン42の半径方向の相対位置が変化するが、前記リセ
ス49はサイドプレート40側でなくベーン本体43側
に設けられており、かつベーン本体43に最も荷重の掛
かるローラ59の近傍に設けられているため、往復運動
するベーン42を常に浮動状態に保持して摺動抵抗を効
果的に低減することが可能となる。
【0060】尚、サイドプレート40に対するベーン4
2の摺動面を潤滑した加圧液相流体は遠心力で半径方向
外側に移動し、ベーン本体32の端部外周面に設けたシ
ール部材44とロータチャンバ14の内周面との摺動部
を潤滑する。そして潤滑を終えた加圧液相流体は、ロー
タチャンバ14から第1、第2導出口群110,111
(図6参照)を介して排出される。
【0061】図3から明らかなように、ケーシング7の
第1、第2半体8,9の内周面には軸線Lを中心とする
環状溝131,132が刻設されており、これら環状溝
131,132の内部に一対のシール部材133を備え
た環状のリングシール134,135が嵌合する。ベー
ン本体43の一対の平行部48に対向するリングシール
134,135の内側端には、ベーン本体43に設けた
加圧液相流体通路W4の加圧液相流体吐出孔128が対
向するように開口する。一方、第2半体9に設けた加圧
液相流体供給口137は、加圧液相流体通路W16,W
17,W18を介して環状溝131,132の外端の圧
力室136に連通する。リングシール134,135に
加圧液相流体を供給する加圧液相流体供給口137は、
膨張機4の各部に加圧液相流体を供給するための前記加
圧液相流体供給孔129(図4参照)とは独立した別系
統である。
【0062】而して、環状溝131,132の底部に形
成した付勢手段としての圧力室136に供給された加圧
液相流体でリングシール134,135をロータ31の
両端面35に向けて押し付け、かつリングシール13
4,135の内周面とベーン本体43の平行部48との
摺動面に、ベーン本体43の加圧液相流体吐出孔128
から加圧液相流体を供給して静圧軸受けを構成すること
により、環状溝131,132の内部で浮動状態にある
リングシール134,135でロータ31の両端面35
をシールすることができ、その結果ロータチャンバ14
内の蒸気がロータ31の両端面35からリークするのを
防止することができる。このとき、リングシール13
4,135とロータ31の両端面35とは加圧液相流体
吐出孔128から供給された加圧液相流体の液膜で隔絶
されて固体接触することがなく、またロータ31が傾い
ても、それに追従して環状溝131,132内でリング
シール134,135が傾くことにより、摩擦力を最小
限に抑えながら安定したシール性能を確保することがで
きる。
【0063】前記リングシール134,135は非接触
シールであるために摩擦力が極めて小さいだけでなく、
接触型のシールに比べて寿命は半永久的であり、しかも
ロータ31との間に液膜が介在するので焼き付きが発生
する虞もない。またリングシール134,135を設け
たことにより固定軸65の周囲のスロット状空間34は
閉じられた空間となるため、前記オリフィス54(図2
参照)でスロット状空間34の圧力を調整することによ
り、ロータチャンバ14内の蒸気がロータ31の両端面
35からリークするにを更に減少させることができる。
リングシール134,135とロータ31の両端面35
との摺動部を潤滑した加圧液相流体は、遠心力でロータ
チャンバ14に供給され、そこから第1、第2導出口群
110,111を経てケーシング7の外部に排出され
る。
【0064】尚、リングシール134,135を加圧液
相流体でロータ31に向けて付勢する代わりに、金属ば
ねやゴムの弾発力で付勢することも可能である。
【0065】以上説明した本実施例では、内燃機関1の
排気ガスの熱エネルギーで水を加熱して高温高圧蒸気を
発生する蒸発器3と、蒸発器3から供給された高温高圧
蒸気を一定トルクの軸出力に変換する膨張機4と、膨張
機4が排出した降温降圧蒸気を液化する凝縮器5と、凝
縮器5で液化された水を蒸発器3に供給する供給ポンプ
6とから構成されるランキンサイクルにおいて、その膨
張機4として容積型のものを採用している。この容積型
の膨張機4は、タービンのような非容積型の膨張機に比
べて、低速から高速までの広い回転数領域において高い
効率でエネルギー回収を行うことが可能であるばかり
か、内燃機関1の回転数の増減に伴う排気ガスの熱エネ
ルギーの変化(排気ガスの温度変化や流量変化)に対す
る追従性や応答性にも優れている。しかも膨張機4を、
シリンダ部材39およびピストン41から構成される第
1エネルギー変換手段と、ベーン42から構成される第
2エネルギー変換手段とを直列に接続して半径方向内外
に配置した二重膨張型としたので、膨張機4を小型軽量
化してスペース効率の向上を図りながらランキンサイク
ルによる熱エネルギーの回収効率を更に向上させること
ができる。
【0066】また膨張機4を作動させる作動媒体である
水を潤滑用の加圧液相流体に兼用しているので、特別の
潤滑油を必要とすることなく膨張機4の各潤滑部を静圧
軸受けにより潤滑して焼き付きや摩耗の発生を防止する
ことができる。しかも作動媒体である水に潤滑油が混入
することがないため、水と潤滑油との混合による悪影響
を回避することができる。更に、ロータ31を回転自在
に支持する出力軸23の支持と、スロット状空間34に
対するベーン42の支持と、ロータ31の両端面35に
対するリングシール134,135の支持とを静圧軸受
けにより行なうので、摺動部の固体接触を防止して焼き
付きおよび摩耗の発生を確実に防止することができる。
【0067】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0068】例えば、実施例では膨張機4を作動させる
作動媒体である水を静圧軸受け用の加圧液相流体に兼用
しているが、静圧軸受け用の加圧液相流体として膨張機
4の作動媒体と異なるオイル等を使用することができ、
これによりベーン42、ロータ31、ケーシング7、出
力軸23等の部材間の潤滑性やシール性を更に高めるこ
とができる。この場合、膨張機4の作動媒体に、この作
動媒体と異なるオイル等の静圧軸受け用の加圧液相流体
が混合する場合もあるが、作動媒体および加圧液相流体
を分離する分離装置を設ければ支障はない。尚、上述し
た実施例のように、膨張機4の作動媒体を静圧軸受け用
の加圧液相流体に兼用すれば、作動媒体および加圧液相
流体の分離装置は不要になる。
【0069】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、ロータおよびベーン間に構成した静圧軸受け
でベーンを浮動状態で支持するので、ロータに対するベ
ーンの固体接触を回避して潤滑効果を発揮させ、摺動部
における焼き付きや摩耗の発生を防止することができ
る。
【0070】また請求項2に記載された発明によれば、
ロータ側からベーンの表面に加圧液相流体を噴出して浮
動状態で支持するので、ベーンと静圧軸受けとの間に加
圧液相流体の液膜を形成して確実に潤滑することができ
る。
【0071】また請求項3に記載された発明によれば、
ベーンの表面に加圧液相流体を保持するリセスを形成し
て圧力溜まりとして機能させることにより、ベーンと静
圧軸受けとの間に加圧液相流体の液膜を保持してベーン
がロータに固体接触するのを確実に防止することができ
る。
【0072】また請求項4に記載された発明によれば、
ベーンを静圧支持する加圧液相流体がロータを駆動する
気相作動媒体と同じ流体であるので、特別の潤滑油を必
要とすることなく回転式流体機械の各潤滑部を潤滑して
焼き付きや摩耗の発生を防止することができるだけでな
く、作動媒体に潤滑油が混入することにより発生する悪
影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の廃熱回収装置の概略図
【図2】図6の2−2線断面図に相当する膨張機の縦断
面図
【図3】図5の3−3線断面図に相当する膨張機の縦断
面図
【図4】図2の回転軸線周りの拡大断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線矢視図
【図7】ロータチャンバおよびロータの断面形状を示す
説明図
【図8】図6の8−8線矢視図
【図9】図8の9方向矢視図
【図10】図8の10−10線断面図
【図11】図5の要部拡大図
【図12】図6の12−12線矢視図
【図13】図12の13方向矢視図
【図14】図13の14−14線断面図
【図15】図14の15−15線断面図
【図16】図11の16−16線断面図
【図17】図5の回転軸線周りの拡大図
【図18】ロータの位相に対するスロット状空間の圧力
PFおよびロータチャンバの圧力PQの関係を示すグラ
【図19】ロータの位相に対するベーンに加わる荷重の
関係を示すグラフ
【符号の説明】
7 ケーシング 14 ロータチャンバ 31 ロータ 34 スロット状空 2 ベーン 49 リセス L 軸線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀村 弘幸 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 本間 健介 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 木村 安成 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3H040 AA10 BB05 BB11 CC06 CC09 DD08 DD13 DD19 DD21 DD31 3H076 AA03 AA10 AA16 AA37 BB17 BB21 CC28 CC31 CC36 CC76

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータチャンバ(14)を有するケーシ
    ング(7)と、そのロータチャンバ(14)内に収容さ
    れたロータ(31)と、前記ロータ(31)に、その回
    転軸線(L)回りに放射状に形成したスロット状空間
    (34)に往復動自在に支持された複数のベーン(4
    2)とを備え、ロータチャンバ(14)内に供給された
    高圧の気相作動媒体の膨張によりベーン(42)を介し
    ロータ(31)を回転させる回転式流体機械において、 ロータ(31)およびベーン(42)間に静圧軸受けを
    構成し、この静圧軸受けでベーン(42)を浮動状態で
    支持することを特徴とする回転式流体機械。
  2. 【請求項2】 前記静圧軸受けは、ロータ(31)側か
    らベーン(42)の表面に加圧液相流体を噴出して該記
    ベーン(42)を浮動状態で支持することを特徴とす
    る、請求項1に記載の回転式流体機械。
  3. 【請求項3】 ベーン(42)の表面に加圧液相流体を
    保持するリセス(49)を形成したことを特徴とする、
    請求項1または請求項2に記載の回転式流体機械。
  4. 【請求項4】 前記加圧液相流体が前記気相作動媒体と
    同じ流体であることを特徴とする、請求項2または請求
    項3に記載の回転式流体機械。
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