JP2003097204A - 回転流体機械 - Google Patents

回転流体機械

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JP2003097204A
JP2003097204A JP2001289390A JP2001289390A JP2003097204A JP 2003097204 A JP2003097204 A JP 2003097204A JP 2001289390 A JP2001289390 A JP 2001289390A JP 2001289390 A JP2001289390 A JP 2001289390A JP 2003097204 A JP2003097204 A JP 2003097204A
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rotor
water
vane
casing
chamber
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JP2001289390A
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Yuichiro Tajima
雄一郎 田島
Hiroyuki Niikura
裕之 新倉
Hiroshi Ichikawa
浩 市川
Kiyoshi Katahira
潔 片平
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転流体機械のロータの側面とケーシングと
の摺動面をシールするシール部材の半径方向内側に滞留
した液相作動媒体が、吸気行程にあるベーン室に流入す
るのを防止する。 【解決手段】 回転流体機械は、ロータチャンバと、ロ
ータと、ロータに出没自在に支持したベーン48と、シ
リンダ44に摺動自在に嵌合するピストン47と、ロー
タの側面をシールするリングシール79とを備える。ベ
ーン48を浮動状態で支持する高圧の水がケーシング1
1の環状溝74に滞留しても、その水はケーシング11
に形成した水排出通路11a,11bおよびリングシー
ル79に形成した水排出通路79cを介して排気行程の
低圧のベーン室に排出され、そこから排気ポート91に
排出されるため、前記水が吸気行程のベーン室に排出さ
れて蒸気を冷却することがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相作動媒体の圧
力エネルギーとロータの回転エネルギーとを相互に変換
する回転流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】特開2000−320543号公報に開
示された回転流体機械はベーンおよびピストンを複合し
たベーンピストンユニットを備えており、ロータに半径
方向に設けられたシリンダに摺動自在に嵌合するピスト
ンが、環状溝とローラとで構成された動力変換装置を介
して気相作動媒体の圧力エネルギーとロータの回転エネ
ルギーとを相互に変換し、かつロータに半径方向摺動自
在に支持されたベーンが気相作動媒体の圧力エネルギー
とロータの回転エネルギーとを相互に変換するようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる回転
流体機械のベーンはロータに放射状に形成したベーン溝
に摺動自在に支持されているが、その摺動面に高圧の液
相作動媒体を供給して静圧軸受けを構成することによ
り、ベーンを浮動状態にして摺動抵抗を大幅に減少させ
ることができる。しかしながら、前記ベーン用の静圧軸
受けを構成する液相作動媒体や、その他の静圧軸受けを
構成する液相作動媒体が動力変換装置のローラを収納す
る環状溝およびその内方に滞留した場合、その滞留した
液相作動媒体を環状溝から排出する手段が設けられてい
ないと、環状溝およびその内方に滞留した液相作動媒体
がロータの側面とケーシングとの摺動面をシールするシ
ール部材を通過して吸気行程にあるベーン室に漏れてし
まい、ベーン室内の気相作動媒体を冷却して回転流体機
械の性能を低下させる虞がある。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、回転流体機械のロータの側面とケーシングとの摺動
面をシールするシール部材の半径方向内側に滞留した液
相作動媒体が、吸気行程にあるベーン室に排出されるの
を防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、ケーシングに
形成したロータチャンバと、ロータチャンバ内に回転自
在に収容したロータと、ロータに放射状に形成した複数
のベーン溝と、各々のベーン溝に摺動自在に支持した複
数のベーンと、ケーシングに形成したシール溝に支持さ
れてロータの側面との間をシールする環状のシール部材
と、ロータ、ケーシングおよびベーンにより区画された
ベーン室と、ベーン室に気相作動媒体を供給・排出する
吸気ポートおよび排気ポートとを備えた回転流体機械で
あって、排気ポートの近傍に位置するシール部材の半径
方向内外を連通する液相作動媒体排出通路を備え、この
液相作動媒体排出通路を介してシール部材の半径方向内
側に滞留した液相作動媒体を排気ポートから排出するこ
とを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0006】上記構成によれば、ケーシングに形成した
シール溝に支持されてロータの側面との間をシールする
環状のシール部材のうち、排気ポートの近傍に位置する
部分を半径方向内外に連通する液相作動媒体排出通路を
設けたので、シール部材の半径方向内側に滞留した液相
作動媒体が吸気行程のベーン室に流入するのをシール部
材で阻止しながら、前記液相作動媒体を液相作動媒体排
出通路および排気行程のベーン室を経て排気ポートに確
実に排出することができる。
【0007】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、液相作動媒体排出通路の少な
くとも一部をケーシングの内表面に形成したことを特徴
とする回転流体機械。
【0008】上記構成によれば、液相作動媒体排出通路
の少なくとも一部をケーシングの内表面に形成したの
で、その液相作動媒体排出通路をケーシングの内部に特
別の通路として形成する場合に比べて加工が容易化され
る。
【0009】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1または請求項2の構成に加えて、液相作動媒体
排出通路の少なくとも一部をシール部材自体に形成した
ことを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0010】上記構成によれば、液相作動媒体排出通路
の少なくとも一部をシール部材自体に形成したので、シ
ール部材を迂回する液相作動媒体排出通路をケーシング
に形成する場合に比べて加工を容易化することができ
る。
【0011】また請求項4に記載された発明によれば、
請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、シー
ル部材の半径方向内側に滞留した液相作動媒体の圧力
は、シール部材の半径方向外側の圧力よりも高圧である
ことを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0012】上記構成によれば、シール部材の半径方向
内側の液相作動媒体の圧力がシール部材の半径方向外側
の圧力よりも高圧であるため、この圧力差で液相作動媒
体をを排気ポートに確実に排出することができる。
【0013】尚、実施例の水排出通路11a,11b;
79c…は本発明の液相作動媒体排出通路に対応し、実
施例の円形シール溝76は本発明のシール溝に対応し、
実施例のリングシール79は本発明のシール部材に対応
し、実施例の蒸気および水はそれぞれ本発明の気相作動
媒体および液相作動媒体に対応する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1〜図15は本発明の一実施例
を示すもので、図1は内燃機関の廃熱回収装置の概略
図、図2は図4の2−2線断面図に相当する膨張機の縦
断面図、図3は図2の軸線周りの拡大断面図、図4は図
2の4−4線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図
6は図2の6−6線断面図、図7は図5の7−7線断面
図、図8は図5の8−8線断面図、図9は図8の9−9
線断面図、図10は図3の10−10線断面図、図11
はロータの分解斜視図、図12はロータの潤滑水分配部
の分解斜視図、図13はロータチャンバおよびロータの
断面形状を示す模式図、図14はリングシールの正面
図、図15は図7の15部拡大図である。
【0015】図1において、内燃機関1の廃熱回収装置
2は、内燃機関1の廃熱(例えば排気ガス)を熱源とし
て、高圧状態の液体(例えば水)を気化させた高温高圧
状態の蒸気を発生する蒸発器3と、その蒸気の膨張によ
って出力を発生する膨張機4と、その膨張機4において
圧力エネルギーを機械エネルギーに変換して温度および
圧力が降下した蒸気を液化する凝縮器5と、凝縮器5か
らの液体(例えば水)を加圧して再度蒸発器3に供給す
る供給ポンプ6とを有する。
【0016】図2および図3に示すように、膨張機4の
ケーシング11は金属製の第1、第2ケーシング半体1
2,13より構成される。第1、第2ケーシング半体1
2,13は、協働してロータチャンバ14を構成する本
体部12a,13aと、それら本体部12a,13aの
外周に一体に連なる円形フランジ12b,13bとより
なり、両円形フランジ12b,13bが金属ガスケット
15を介して結合される。第1ケーシング半体12の外
面は深い鉢形をなす中継チャンバ外壁16により覆われ
ており、その外周に一体に連なる円形フランジ16aが
第1ケーシング半体12の円形フランジ12bの左側面
に重ね合わされる。第2ケーシング半体13の外面は、
膨張機4の出力を外部に伝達するマグネットカップリン
グ(図示せず)を収納する排気チャンバ外壁17により
覆われており、その外周に一体に連なる円形フランジ1
7aが第2ケーシング半体13の円形フランジ13bの
右側面に重ね合わされる。そして前記4個の円形フラン
ジ12b,13b,16a,17aは、円周方向に配置
された複数本のボルト18…で共締めされる。中継チャ
ンバ外壁16および第1ケーシング半体12間に中継チ
ャンバ19が区画され、排気チャンバ外壁17および第
2ケーシング半体13間に排気チャンバ20が区画され
る。排気チャンバ外壁17には,膨張機4で仕事を終え
た降温降圧蒸気を凝縮器5に導く排出口(図示せず)が
設けられる。
【0017】両ケーシング半体12,13の本体部12
a,13aは左右外方へ突出する中空軸受筒12c,1
3cを有しており、それら中空軸受筒12c,13c
に、中空部21aを有する回転軸21が一対の軸受部材
22,23を介して回転可能に支持される。これによ
り、回転軸21の軸線Lは略楕円形をなすロータチャン
バ14における長径と短径との交点を通る。
【0018】第2ケーシング半体13の右端に螺合する
潤滑水導入部材24の内部にシールブロック25が収納
されてナット26で固定される。シールブロック25の
内部に回転軸21の右端の小径部21bが支持されてお
り、シールブロック25および小径部21b間に一対の
シール部材27,27が配置され、シールブロック25
および潤滑水導入部材24間に一対のシール部材28,
28が配置され、更に潤滑水導入部材24および第2ケ
ーシング半体13間にシール部材29が配置される。ま
た第2ケーシング半体13の中空軸受筒13cの外周に
形成された凹部にフィルター30が嵌合し、第2ケーシ
ング半体13に螺合するフィルターキャップ31により
抜け止めされる。フィルターキャップ31および第2ケ
ーシング半体13間に一対のシール部材32,33が設
けられる。
【0019】図4および図13から明らかなように、疑
似楕円状を成すロータチャンバ14の内部に、円形を成
すロータ41が回転自在に収納される。ロータ41は回
転軸21の外周に嵌合して一体に結合されており、回転
軸21の軸線Lに対してロータ41の軸線およびロータ
チャンバ14の軸線は一致している。軸線L方向に見た
ロータチャンバ14の形状は4つの頂点を丸めた菱形に
類似した疑似楕円状であり、その長径DLと短径DSと
を備える。軸線L方向に見たロータ41の形状は真円で
あり、ロータチャンバ14の短径DSよりも僅かに小さ
い直径DRを備える。
【0020】軸線Lと直交する方向に見たロータチャン
バ14およびロータ41の断面形状は何れも陸上競技の
トラック状を成している。即ち、ロータチャンバ14の
断面形状は、距離dを存して平行に延びる一対の平坦面
14a,14aと、これら平坦面14a,14aの外周
を滑らかに接続する中心角180°の円弧面14bとか
ら構成され、同様にロータ41の断面形状は、距離dを
存して平行に延びる一対の平坦面41a,41aと、こ
れら平坦面41a,41aの外周を滑らかに接続する中
心角180°の円弧面41bとから構成される。従っ
て、ロータチャンバ14の平坦面14a,14aとロー
タ41の平坦面41a,41aとは相互に接触し、ロー
タチャンバ14内周面とロータ41外周面との間には三
日月形を成す一対の空間(図4参照)が形成される。
【0021】次に、図3〜図6および図11を参照して
ロータ41の構造を詳細に説明する。
【0022】ロータ41は回転軸21の外周に一体に形
成されたロータコア42と、ロータコア42の周囲を覆
うように固定されてロータ41の外郭を構成する12個
のロータセグメント43…とから構成される。ロータコ
ア42にセラミック(またはカーボン)製の12本のシ
リンダ44…が30°間隔で放射状に装着されてクリッ
プ45…で抜け止めされる。各々のシリンダ44の内端
には小径部44aが突設されており、小径部44aの基
端はCシール46を介してスリーブ84との間をシール
される。小径部44aの先端は中空のスリーブ84の外
周面に嵌合しており、シリンダボア44bは小径部44
aおよび回転軸21を貫通する12個の第3蒸気通路S
3…を介して該回転軸21の内部の第1、第2蒸気通路
S1;S2,S2に連通する。各々のシリンダ44の内
部にはセラミック製のピストン47が摺動自在に嵌合す
る。ピストン47が最も半径方向内側に移動するとシリ
ンダボア44bの内部に完全に退没し、最も半径方向外
側に移動すると全長の約半分がシリンダボア44bの外
部に突出する。
【0023】各々のロータセグメント43は30°の中
心角を有する中空の楔状部材であって、ロータチャンバ
14の一対の平坦面14a,14aに対向する面には軸
線Lを中心として円弧状に延びる2本のリセス43a,
43bが形成されており、このリセス43a,43bの
中央に潤滑水噴出口43c,43dが開口する。またロ
ータセグメント43の端面、つまり後述するベーン48
に対向する面には4個の潤滑水噴出口43e,43e;
43f,43fが開口する。
【0024】ロータ41の組み立ては次のようにして行
なわれる。予めシリンダ44…、クリップ45…および
Cシール46…組み付けたロータコア42の外周に12
個のロータセグメント43…を嵌合させ、隣接するロー
タセグメント43…間に形成された12個のベーン溝4
9…にベーン48…を嵌合させる。このとき、ベーン4
8…およびロータセグメント43…間に所定のクリアラ
ンスを形成すべく、ベーン48…の両面に所定厚さのシ
ムを介在させておく。この状態で、治具を用いてロータ
セグメント43…およびベーン48…をロータコア42
に向けて半径方向内向きに締めつけ、ロータコア42に
対してロータセグメント43…を精密に位置決めした
後、各々のロータセグメント43…を仮止めボルト50
…(図8参照)でロータコア42に仮り止めする。続い
て各々のロータセグメント43にロータコア42を貫通
する2個のノックピン孔51,51を共加工し、それら
ノックピン孔51,51に4本のノックピン52…を圧
入してロータコア42にロータセグメント43…を結合
する。
【0025】図8、図9および図12から明らかなよう
に、ロータセグメント43およびロータコア42を貫通
する貫通孔53が2個のノックピン孔51,51の間に
形成されており、この貫通孔53の両端にそれぞれ凹部
54,54が形成される。貫通孔53の内部には2本の
パイプ部材55,56がシール部材57〜60を介して
嵌合するとともに、各々の凹部54内にオリフィス形成
プレート61および潤滑水分配部材62が嵌合してナッ
ト63で固定される。オリフィス形成プレート61およ
び潤滑水分配部材62は、オリフィス形成プレート61
のノックピン孔61a,61aを貫通して潤滑水分配部
材62のノックピン孔62a,62aに嵌合する2本の
ノックピン64,64でロータセグメント43に対して
回り止めされ、かつ潤滑水分配部材62およびナット6
3間はOリング65によりシールされる。
【0026】一方のパイプ部材55の外端部に形成され
た小径部55aは貫通孔55bを介してパイプ部材55
の内部の第6水通路W6に連通し、かつ小径部55aは
潤滑水分配部材62の一側面に形成した放射状の分配溝
62bに連通する。潤滑水分配部材62の分配溝62b
は6つの方向に延びており、その先端がオリフィス形成
プレート61の6個のオリフィス61b,61b;61
c,61c;61d,61dに連通する。他方のパイプ
部材56の外端部に設けらられたオリフィス形成プレー
ト61、潤滑水分配部材62およびナット63の構造
は、前述したオリフィス形成プレート61、潤滑水分配
部材62およびナット63の構造と同一である。
【0027】そしてオリフィス形成プレート61の2個
のオリフィス61b,61bの下流側は、ロータセグメ
ント43の内部に形成した第7水通路W7,W7を介し
て、ベーン48に対向するように開口する前記2個の潤
滑水噴出口43e,43eに連通し、他の2個のオリフ
ィス61c,61cの下流側は、ロータセグメント43
の内部に形成した第8水通路W8,W8を介して、ベー
ン48に対向するように開口する前記2個の潤滑水噴出
口43f,43fに連通し、更に他の2個のオリフィス
61d,61dの下流側は、ロータセグメント43の内
部に形成した第9水通路W9,W9を介して、ロータチ
ャンバ14に対向するように開口する前記2個の潤滑水
噴出口43c,43dに連通する。
【0028】図5を併せて参照すると明らかなように、
シリンダ44の外周に一対のOリング66,66で区画
された環状溝67が形成されており、一方のパイプ部材
55の内部に形成した第6水通路W6は、そのパイプ部
材55を貫通する4個の貫通孔55c…およびロータコ
ア42の内部に形成した第10水通路W10を介して前
記環状溝67に連通する。そして環状溝67はオリフィ
ス44cを介してシリンダボア44bおよびピストン4
7の摺動面に連通する。シリンダ44のオリフィス44
cの位置は、ピストン47が上死点および下死点間を移
動するときに、そのピストン47の摺動面から外れない
位置に設定されている。
【0029】図3および図9から明らかなように、潤滑
水導入部材24に形成した第1水通路W1は、シールブ
ロック25に形成した第2水通路W2、回転軸21の小
径部21bに形成した第3水通路W3…、回転軸21の
中心に嵌合する水通路形成部材68の外周に形成した環
状溝68a、回転軸21に形成した第4水通路W4、ロ
ータコア42およびロータセグメント43に跨がるパイ
プ部材69およびロータセグメント43の半径方向内側
のノックピン52を迂回するように形成した第5水通路
W5,W5を介して、前記一方のパイプ部材55の小径
部55aに連通する。
【0030】図7、図9および図11に示すように、ロ
ータ41の隣接するロータセグメント43…間に放射方
向に延びる12個のベーン溝49…が形成されており、
これらベーン溝49…に板状のベーン48…がそれぞれ
摺動自在に嵌合する。各々のベーン48はロータチャン
バ14の平行面14a,14aに沿う平行面48a,4
8aと、ロータチャンバ14の円弧面14bに沿う円弧
面48bと、両平行面48a,48a間に位置する切欠
48cとを備えて概略U字状に形成されており、両平行
面48a,48aから突出する一対の支軸48d,48
dにローラベアリング構造のローラ71,71が回転自
在に支持される。
【0031】ベーン48の円弧面48bにはU字状に形
成された合成樹脂製のシール部材72が保持されてお
り、このシール部材72の先端はベーン48の円弧面4
8bから僅かに突出してロータチャンバ14の円弧面1
4bに摺接する。ベーン48の両側面には各々2個のリ
セス48e,48eが形成されており、これらリセス4
8e,48eは、ロータセグメント43の端面に開口す
る半径方向内側の2個の潤滑水噴出口43e,43eに
対向する。ベーン48の切欠48cの中央に半径方向内
向きに突設したピストン受け部材73が、ピストン47
の半径方向外端に当接する。
【0032】図4から明らかなように、第1、第2ケー
シング半体12,13により区画されるロータチャンバ
14の平坦面14a,14aには、4つの頂点を丸めた
菱形に類似した疑似楕円状の環状溝74,74が凹設さ
れており、両環状溝74,74に各々のベーン48の一
対のローラ71,71が転動自在に係合する。これら環
状溝74,74およびロータチャンバ14の円弧面14
b間の距離は全周に亘り一定である。従って、ロータ4
1が回転するとローラ71,71を環状溝74,74に
案内されたベーン48がベーン溝49内を半径方向に往
復動し、ベーン48の円弧面48bに装着したシール部
材72が一定量だけ圧縮された状態でロータチャンバ1
4の円弧面14bに沿って摺動する。これにより、ロー
タチャンバ14およびベーン48…が直接固体接触する
のを防止し、摺動抵抗の増加や摩耗の発生を防止しなが
ら、隣接するベーン48…間に区画されるベーン室75
…を確実にシールすることができる。
【0033】図2、図14および図15から明らかなよ
うに、ロータチャンバ14の平坦面14a,14aに
は、前記環状溝74,74の外側を囲むように一対の円
形シール溝76,76が形成される。各々の円形シール
溝76には2個のOリング77,78を備えた一対のリ
ングシール79が摺動自在に嵌合しており、そのシール
面は各々のロータセグメント43に形成したリセス43
a,43b(図4参照)に対向している。一対のリング
シール79,79は、それぞれノックピン80,80で
第1、第2ケーシング半体12,13に対して回り止め
される。
【0034】図14および図15から明らかなように、
リングシール79は金属製の本体部79aと、本体部7
9aのロータ41に対向する面に接着されたカーボン製
のライニング79bとを備えており、ライニング79b
に接する本体部79aの直径方向両側の側面に各々複数
個(実施例では11個)の溝を半径方向に形成すること
により、リングシール79を半径方向に貫通する合計2
2個の水排出通路79c…が形成される。各々11個の
水排出通路79c…は、ケーシング11の排気ポート9
1…に対向する位置に配置される。またリングシール7
9の水排出通路79c…が形成された部分の半径方向内
外に臨むケーシング11の内面に、それぞれ水排出通路
11a,11bが凹設される。従って、ローラ71が収
納される環状溝74は、ケーシング11の半径方向内側
の水排出通路11aと、リングシール79の水排出通路
79c…と、ケーシング11の半径方向外側の水排出通
路11bとを通して排気行程のベーン室75に連通す
る。
【0035】図2、図3および図10から明らかなよう
に、中継チャンバ外壁16の中心に開口16bが形成さ
れており、軸線L上に配置された固定軸支持部材81の
ボス部81aが前記開口16bの内面に複数のボルト8
2…で固定され、かつナット83で第1ケーシング半体
12に固定される。回転軸21の中空部21aにはセラ
ミックで円筒状に形成したスリーブ84が固定されてお
り、このスリーブ84の内周面に固定軸支持部材81と
一体化された固定軸85の外周面が相対回転自在に嵌合
する。固定軸85の左端は第1ケーシング半体12との
間をシール部材86によりシールされ、固定軸85の右
端は回転軸21との間をシール部材87によりシールさ
れる。
【0036】軸線L上に配置された固定軸支持部材81
の内部に蒸気供給パイプ88が嵌合してナット89で固
定されており、この蒸気供給パイプ88の右端は固定軸
85の中心に圧入される。固定軸85の中心には蒸気供
給パイプ88に連なる第1蒸気通路S1が軸方向に形成
され、また固定軸85には一対の第2蒸気通路S2,S
2が180°の位相差をもって半径方向に貫通する。前
述したように、回転軸21に固定したロータ41に30
°間隔で保持された12個のシリンダ44…の小径部4
4a…およびスリーブ84を12本の第3蒸気通路S3
…が貫通しており、これら第3蒸気通路S3…の半径方
向内端部は、前記第2蒸気通路S2,S2の半径方向外
端部に連通可能に対向する。
【0037】固定軸85の外周面には一対の切欠85
a,85aが180°の位相差をもって形成されてお
り、これら切欠85a,85aは前記第3蒸気通路S3
…に連通可能である。切欠85a,85aと中継チャン
バ19とは、固定軸85に軸方向に形成した一対の第4
蒸気通路S4,S4と、固定軸支持部材81に軸方向に
形成した環状の第5蒸気通路S5と、固定軸支持部材8
1のボス部81a外周に開口する通孔81b…とを介し
て相互に連通する。
【0038】図2および図4に示すように、第1ケーシ
ング半体12および第2ケーシング半体13には、ロー
タチャンバ14の短径方向を基準にしてロータ41の回
転方向Rの進み側15°の位置に、放射方向に整列した
複数の吸気ポート90…が形成される。この吸気ポート
90…により、ロータチャンバ14の内部空間が中継チ
ャンバ19に連通する。また第2ケーシング半体13に
は、ロータチャンバ14の短径方向を基準にしてロータ
41の回転方向Rの遅れ側15°〜75°の位置に、複
数の排気ポート91…が形成される。この排気ポート9
1…により、ロータチャンバ14の内部空間が排気チャ
ンバ20に連通する。ベーン48…のシール部材72…
が排気ポート91…のエッジで傷付かないように、それ
ら排気ポート91…は第2ケーシング半体13の内部に
形成した浅い凹部13d,13dに開口する。
【0039】第2蒸気通路S2,S2および第3蒸気通
路S3…、並びに固定軸85の切欠85a,85aおよ
び第3蒸気通路S3…は、固定軸85および回転軸21
の相対回転により周期的に連通する回転バルブVを構成
する(図10参照)。
【0040】図2から明らかなように、第1、第2ケー
シング半体12,13の円形シール溝76,76に嵌合
するリングシール79,79の背面に圧力室92,92
が形成されており、第1、第2ケーシング半体12,1
3に形成された第11水通路W11は、パイプよりなる
第12水通路W12および第13水通路W13を介して
両圧力室92,92に連通し、両圧力室92,92に加
わった水圧でリングシール79,79はロータ41の側
面に向けて付勢される。
【0041】第11水通路W11は、パイプよりなる第
14水通路W14を介して環状のフィルター30の外周
面に連通し、フィルター30の内周面は第2ケーシング
半体13に形成した第15水通路W15を介して第2ケ
ーシング半体13に形成した第16水通路W16に連通
する。第16水通路W16に供給された水は固定軸85
およびスリーブ84の摺動面を潤滑する。またフィルタ
ー30の内周面から第17水通路W17を介して軸受部
材23の外周に供給された水は、軸受部材23を貫通す
るオリフィスを通して回転軸21の外周面を潤滑する。
一方、第11水通路W11からパイプよりなる第18水
通路W18を介して軸受部材22の外周に供給された水
は、軸受部材22を貫通するオリフィスを通して回転軸
21の外周面を潤滑した後に、固定軸85およびスリー
ブ84の摺動面を潤滑する。
【0042】次に、上記構成を備えた本実施例の作用に
ついて説明する。
【0043】先ず、膨張機4の作動について説明する。
図3において、蒸発器3からの高温高圧蒸気は蒸気供給
パイプ88、固定軸85の中心を通る第1蒸気通路S
1、固定軸85を半径方向に貫通する一対の第2蒸気通
路S2,S2とに供給される。図10において、ロータ
41および回転軸21と一体に矢印R方向に回転するス
リーブ84が固定軸85に対して所定の位相に達する
と、ロータチャンバ14の短径位置からロータ41の回
転方向Rの進み側に在る一対の第3蒸気通路S3,S3
が一対の第2蒸気通路S2,S2に連通し、第2蒸気通
路S2,S2の高温高圧蒸気が前記第3蒸気通路S3,
S3を経て一対のシリンダ44,44の内部に供給さ
れ、ピストン47,47を半径方向外側に押圧する。図
4において、これらピストン47,47に押圧されたベ
ーン48,48が半径方向外側に移動すると、ベーン4
8,48に設けた一対のローラ71,71と環状溝7
4,74との係合により、ピストン47,47の前進運
動がロータ41の回転運動に変換される。
【0044】ロータ41の回転に伴って第2蒸気通路S
2,S2と前記第3蒸気通路S3,S3との連通が遮断
された後も、シリンダ44,44内の高温高圧蒸気が更
に膨張を続けることによりピストン47,47をなおも
前進させ、これによりロータ41の回転が続行される。
ベーン48,48がロータチャンバ14の長径位置に達
すると、対応するシリンダ44,44に連なる第3蒸気
通路S3,S3が固定軸85の切欠85a,85aに連
通し、ローラ71,71を環状溝74,74に案内され
たベーン48,48に押圧されたピストン47,47が
半径方向内側に移動することにより、シリンダ44,4
4内の蒸気は第3蒸気通路S3,S3、切欠85a,8
5a、第4蒸気通路S4,S4、第5蒸気通路S5およ
び通孔81b…を通り、第1の降温降圧蒸気となって中
継チャンバ19に供給される。第1の降温降圧蒸気は、
蒸気供給パイプ88から供給された高温高圧蒸気がピス
トン47,47を駆動する仕事を終えて温度および圧力
が低下したものである。第1の降温降圧蒸気の持つ熱エ
ネルギーおよび圧力エネルギーは高温高圧蒸気に比べて
低下しているが、依然としてベーン48…を駆動するの
に充分な熱エネルギーおよび圧力エネルギーを有してい
る。
【0045】中継チャンバ19内の第1の降温降圧蒸気
は第1、第2ケーシング半体12,13の吸気ポート9
0…からロータチャンバ14内のベーン室75…に供給
され、そこで更に膨張することによりベーン48…を押
圧してロータ41を回転させる。そして仕事を終えて更
に温度および圧力が低下した第2の降温降圧蒸気は、第
2ケーシング半体13の排気ポート91…から排気チャ
ンバ20に排出され、そこから凝縮器5に供給される。
【0046】このように、高温高圧蒸気の膨張により1
2個のピストン47…を次々に作動させてローラ71,
71および環状溝74,74を介しロータ41を回転さ
せ、また高温高圧蒸気が降温降圧した第1の降温降圧蒸
気の膨張によりベーン48…を介しロータ41を回転さ
せることによって回転軸21より出力が得られる。
【0047】次に、前記膨張機4のベーン48…および
ピストン47…の水による潤滑について説明する。
【0048】潤滑用の水の供給は凝縮器5からの水を蒸
発器3に加圧供給する供給ポンプ6(図1参照)を利用
して行われるもので、供給ポンプ6が吐出する水の一部
が潤滑用としてケーシング11の第1水通路W1に供給
される。このように供給ポンプ6を膨張機4の各部の静
圧軸受けへの水の供給に利用することにより、特別のポ
ンプが不要になって部品点数が削減される。
【0049】図3および図8において、潤滑水導入部材
24の第1水通路W1に供給された水は、シールブロッ
ク25の第2水通路W2…、回転軸21の第3水通路W
3…、水通路形成部材68の環状溝68a、回転軸21
の第4水通路W4、パイプ部材69およびロータセグメ
ント43に形成した第5水通路W5,W5を経て一方の
パイプ部材55の小径部55aに流入し、また前記小径
部55aに流入した水は一方のパイプ部材55の貫通孔
55b、両パイプ部材55,56に形成した第6水通路
W6および他方のパイプ部材56に形成した貫通孔56
bを経て、該他方のパイプ部材56の小径部56aに流
入する。
【0050】各々のパイプ部材55,56の小径部55
a,56aから各々の潤滑水分配部材62の分配溝62
bを経てオリフィス形成プレート61の6個のオリフィ
ス61b,61b;61c,61c;61d,61dを
通過した水の一部は、ロータセグメント43の端面に開
口する4個の潤滑水噴出口43e,43e;43f,4
3fから噴出し、他の一部はロータセグメント43の側
面に形成した円弧状のリセス43a,43b内の潤滑水
噴出口43c,43dから噴出する。
【0051】而して、各々のロータセグメント43の端
面の潤滑水噴出口43e,43e;43f,43fから
ベーン溝49内に噴出した水は、ベーン溝49に摺動自
在に嵌合するベーン48との間に静圧軸受けを構成して
該ベーン48を浮動状態で支持し、ロータセグメント4
3の端面とベーン48との固体接触を防止して焼き付き
および摩耗の発生を防止する。このように、ベーン48
の摺動面を潤滑する水をロータ41の内部に放射状に設
けた水通路を介して供給することにより、水を遠心力で
加圧することができるだけでなく、ロータ41周辺の温
度を安定させて熱膨張による影響を少なくし、設定した
クリアランスを維持して蒸気のリークを最小限に抑える
ことができる。
【0052】またベーン48の両面に各2個ずつ形成さ
れたリセス48e,48eに水が保持されるため、この
リセス48e,48eが圧力溜まりとなって水のリーク
による圧力低下を抑制する。その結果、一対のロータセ
グメント43,43の端面に挟まれたベーン48が水に
よって浮動状態になり、摺動抵抗を効果的に低減するこ
とが可能になる。またベーン48が往復運動するとロー
タ41に対するベーン48の半径方向の相対位置が変化
するが、前記リセス48e,48eはロータセグメント
43側でなくベーン48側に設けられており、かつベー
ン48に最も荷重の掛かるローラ71,71の近傍に設
けられているため、往復運動するベーン48を常に浮動
状態に保持して摺動抵抗を効果的に低減することが可能
となる。
【0053】図2および図8において、第1ケーシング
半体12および第2ケーシング半体13の円形シール溝
76,76の底部の圧力室92,92に水を供給してリ
ングシール79,79をロータ41の側面に向けて付勢
し、かつ各々のロータセグメント43のリセス43a,
43bの内部に形成した潤滑水噴出口43c,43dか
ら水を噴出してロータチャンバ14の平坦面14a,1
4aとの摺動面に静圧軸受けを構成することにより、円
形シール溝76,76の内部で浮動状態にあるリングシ
ール79,79でロータ41の平坦面41a,41aを
シールすることができ、その結果ロータチャンバ14内
の蒸気がロータ41との隙間を通ってリークするのを防
止することができる。このとき、リングシール79,7
9とロータ41とは潤滑水噴出口43c,43dから供
給された水膜で隔絶されて固体接触することがなく、ま
たロータ41が傾いても、それに追従して円形シール溝
76,76内のリングシール79,79が傾くことによ
り、摩擦力を最小限に抑えながら安定したシール性能を
確保することができる。
【0054】更に、図5において、パイプ部材55の内
部の第6水通路W6からロータセグメント43の内部の
第10水通路W10およびシリンダ44の外周の環状溝
67を経てシリンダ44およびピストン47の摺動面に
供給された水は、その摺動面に形成される水膜の粘性に
よりシール機能を発揮し、シリンダ44に供給された高
温高圧蒸気がピストン47との摺動面を通ってリークす
るのを効果的に防止する。このとき、高温状態にある膨
張機4の内部を通ってシリンダ44およびピストン47
の摺動面に供給された水は加温されているため、その水
によってシリンダ44に供給された高温高圧蒸気が冷却
されて膨張機4の出力が低下するのを最小限に抑えるこ
とができる。
【0055】また第1水通路W1と第11水通路W11
とは独立しており、各々の潤滑部において必要とする圧
力で水を供給している。具体的には、第1水通路W1か
ら供給される水は、前述したように主にベーン48…や
ロータ41を静圧軸受けで浮動状態に支持するものであ
るため、荷重変動に拮抗し得る高圧が必要とされる。そ
れに対して、第11水通路W11から供給される水は、
主に固定軸85まわりを水潤滑するとともに、第3蒸気
通路S3,S3から固定軸85の外周にリークする高温
高圧蒸気を封止して固定軸85、回転軸21、ロータ4
1等の熱膨張の影響を低減するものであるため、少なく
とも中継チャンバー19の圧力よりも高い圧力であれば
良い。
【0056】このように、高圧の水を供給する第1水通
路W1と、それよりも低圧の水を供給する第11水通路
W11との二つの水供給系統を設けたので、高圧の水を
供給する一つの水供給系統だけを設けた場合の不具合を
解消することができる。つまり固定軸85まわりに過剰
な圧力の水が供給されて中継チャンバー19への水の流
出量が増加したり、固定軸85、回転軸21、ロータ4
1等が過冷却されて蒸気温度が低下したりする不具合を
防止することができ、水の供給量を削減しながら膨張機
4の出力を増加させることができる。
【0057】しかもシール用の媒体として蒸気と同一物
質である水を用いたことにより、蒸気に水が混入しても
何ら問題はない。仮に、シリンダ44およびピストン4
7の摺動面をオイルでシールした場合には、水あるいは
蒸気にオイルが混入するのが避けられないため、オイル
を分離する特別のフィルター装置が必要となってしま
う。またベーン48およびベーン溝49の摺動面を潤滑
する水の一部を兼用してバイパスさせることでシリンダ
44およびピストン47の摺動面をシールするので、そ
の水を前記摺動面に導く水通路を別途特別に設ける必要
をなくして構造を簡素化することができる。
【0058】さて、ベーン溝49にベーン48を浮動状
態で支持する静圧軸受けの水の大部分はケーシング11
の内面に形成した環状溝74に流入するが、その環状溝
74に滞留して行き場の無くなった水が吸気行程のベー
ン室75に排出されると蒸気が冷却されて膨張機4の出
力が低下する虞がある。しかしながら本実施例では、環
状溝74に滞留した高圧の水と排気行程の低圧のベーン
室75との圧力差により、環状溝74の水がケーシング
11の半径方向内側の水排出通路11aと、リングシー
ル79の水排出通路79c…と、ケーシング11の半径
方向外側の水排出通路11bとを通して排気行程のベー
ン室75に排出され、更にベーン室75に開口する排気
ポート91…から排出される。これにより、環状溝74
の水が吸気行程のベーン室75に排出されるのを阻止
し、ベーン室75内の蒸気の冷却による膨張機4の出力
低下を防止することができる。
【0059】またリングシール79の半径方向内外に位
置する水排出通路11a,11bをケーシング11の内
表面に凹設したので、その水排出通路11a,11bを
ケーシング半体11の内部に穿設する場合に比べて加工
が容易になる。更に、リングシール79自体を半径方向
内外に貫通する水排出通路79c…を設けたので、リン
グシール79を迂回する水排出通路をケーシング11に
形成する場合に比べて加工が容易になる。
【0060】以上説明した実施例以外にも、ピストン4
7…の前進運動をロータ41の回転運動に変換する動力
変換装置の構成として、ベーン48…を介さず、ピスト
ン47…の前進運動を直接ローラ71…で受け、環状溝
74,74との係合で回転運動に変換することもでき
る。またベーン48…もローラ71…と環状溝74,7
4との協働により、前述の如くロータチャンバ14の内
周面から略一定間隔で常時離間していればよく、ピスト
ン47…およびローラ71…が、またベーン48…およ
びローラ71…が、各々独立して環状溝74,74と協
働しても良い。
【0061】前記膨張機4を圧縮機として使用する場合
には、回転軸21によりロータ41を図4の反矢印R方
向に回転させて、外気をベーン48…により排気ポート
91…からロータチャンバ14内に吸い込んで圧縮し、
このようにして得られた低圧縮空気を吸気ポート90…
から中継チャンバ19、通孔81b…、第5蒸気通路S
5、第4蒸気通路S4,S4、固定軸85の切欠85
a,85aおよび第3蒸気通路S3…を経てシリンダ4
4…内に吸入し、そこでピストン47…により圧縮して
高圧縮空気とする。このようにして得られた高圧縮空気
は、シリンダ44…から第3蒸気通路S3…、第2蒸気
通路S2,S2、第1蒸気通路S1および蒸気供給パイ
プ88を経て排出される。尚、膨張機4を圧縮機として
使用する場合には、前記蒸気通路S1〜S5および蒸気
供給パイプ88は、それぞれ空気通路S1〜S5および
空気供給パイプ88と読み変えるものとする。
【0062】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0063】例えば、実施例では回転流体機械として膨
張機4を例示したが、本発明は圧縮機としても適用する
ことができる。
【0064】また実施例では気相作動媒体および液相作
動媒体として蒸気および水を用いているが、他の適宜の
作動媒体を用いることができる。
【0065】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、ケーシングに形成したシール溝に支持されて
ロータの側面との間をシールする環状のシール部材のう
ち、排気ポートの近傍に位置する部分を半径方向内外に
連通する液相作動媒体排出通路を設けたので、シール部
材の半径方向内側に滞留した液相作動媒体が吸気行程の
ベーン室に流入するのをシール部材で阻止しながら、前
記液相作動媒体を液相作動媒体排出通路および排気行程
のベーン室を経て排気ポートに確実に排出することがで
きる。
【0066】また請求項2に記載された発明によれば、
液相作動媒体排出通路の少なくとも一部をケーシングの
内表面に形成したので、その液相作動媒体排出通路をケ
ーシングの内部に特別の通路として形成する場合に比べ
て加工が容易化される。
【0067】また請求項3に記載された発明によれば、
液相作動媒体排出通路の少なくとも一部をシール部材自
体に形成したので、シール部材を迂回する液相作動媒体
排出通路をケーシングに形成する場合に比べて加工を容
易化することができる。
【0068】また請求項4に記載された発明によれば、
シール部材の半径方向内側の液相作動媒体の圧力がシー
ル部材の半径方向外側の圧力よりも高圧であるため、こ
の圧力差で液相作動媒体をを排気ポートに確実に排出す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の廃熱回収装置の概略図
【図2】図4の2−2線断面図に相当する膨張機の縦断
面図
【図3】図2の軸線周りの拡大断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】図5の7−7線断面図
【図8】図5の8−8線断面図
【図9】図8の9−9線断面図
【図10】図3の10−10線断面図
【図11】ロータの分解斜視図
【図12】ロータの潤滑水分配部の分解斜視図
【図13】ロータチャンバおよびロータの断面形状を示
す模式図
【図14】リングシールの正面図
【図15】図7の15部拡大図
【符号の説明】
11 ケーシング 11a 水排出通路(液相作動媒体排出通路) 11b 水排出通路(液相作動媒体排出通路) 14 ロータチャンバ 41 ロータ 48 ベーン 49 ベーン溝 75 ベーン室 76 円形シール溝(シール溝) 79 リングシール(シール部材) 79c 水排出通路(液相作動媒体排出通路) 90 吸気ポート 91 排気ポート
フロントページの続き (72)発明者 市川 浩 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 片平 潔 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(11)に形成したロータチ
    ャンバ(14)と、ロータチャンバ(14)内に回転自
    在に収容したロータ(41)と、ロータ(41)に放射
    状に形成した複数のベーン溝(49)と、各々のベーン
    溝(49)に摺動自在に支持した複数のベーン(48)
    と、ケーシング(11)に形成したシール溝(76)に
    支持されてロータ(41)の側面との間をシールする環
    状のシール部材(79)と、ロータ(41)、ケーシン
    グ(11)およびベーン(48)により区画されたベー
    ン室(75)と、ベーン室(75)に気相作動媒体を供
    給・排出する吸気ポート(90)および排気ポート(9
    1)とを備えた回転流体機械であって、 排気ポート(91)の近傍に位置するシール部材(7
    9)の半径方向内外を連通する液相作動媒体排出通路
    (11a,11b;79c)を備え、この液相作動媒体
    排出通路(11a,11b;79c)を介してシール部
    材(79)の半径方向内側に滞留した液相作動媒体を排
    気ポート(91)から排出することを特徴とする回転流
    体機械。
  2. 【請求項2】 液相作動媒体排出通路(11a,11
    b;79c)の少なくとも一部をケーシング(11)の
    内表面に形成したことを特徴とする、請求項1に記載の
    回転流体機械。
  3. 【請求項3】 液相作動媒体排出通路(11a,11
    b;79c)の少なくとも一部をシール部材(79)自
    体に形成したことを特徴とする、請求項1または請求項
    2に記載の回転流体機械。
  4. 【請求項4】 シール部材(79)の半径方向内側に滞
    留した液相作動媒体の圧力は、シール部材(79)の半
    径方向外側の圧力よりも高圧であることを特徴とする、
    請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の回転流体機
    械。
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