JP2003097210A - 回転流体機械 - Google Patents

回転流体機械

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JP2003097210A
JP2003097210A JP2001289386A JP2001289386A JP2003097210A JP 2003097210 A JP2003097210 A JP 2003097210A JP 2001289386 A JP2001289386 A JP 2001289386A JP 2001289386 A JP2001289386 A JP 2001289386A JP 2003097210 A JP2003097210 A JP 2003097210A
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rotor
fixed shaft
rotary
fixed
sleeve
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JP2001289386A
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Hiroshi Ichikawa
浩 市川
Hiroyuki Niikura
裕之 新倉
Tsutomu Takahashi
勤 高橋
Yuichiro Tajima
雄一郎 田島
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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    • F01BMACHINES OR ENGINES, IN GENERAL OR OF POSITIVE-DISPLACEMENT TYPE, e.g. STEAM ENGINES
    • F01B13/00Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion
    • F01B13/04Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion with more than one cylinder
    • F01B13/06Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion with more than one cylinder in star arrangement
    • F01B13/068Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion with more than one cylinder in star arrangement the connection of the pistons with an actuated or actuating element being at the inner ends of the cylinders
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C1/00Rotary-piston machines or engines
    • F01C1/30Rotary-piston machines or engines having the characteristics covered by two or more groups F01C1/02, F01C1/08, F01C1/22, F01C1/24 or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members
    • F01C1/34Rotary-piston machines or engines having the characteristics covered by two or more groups F01C1/02, F01C1/08, F01C1/22, F01C1/24 or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members having the movement defined in group F01C1/08 or F01C1/22 and relative reciprocation between the co-operating members
    • F01C1/344Rotary-piston machines or engines having the characteristics covered by two or more groups F01C1/02, F01C1/08, F01C1/22, F01C1/24 or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members having the movement defined in group F01C1/08 or F01C1/22 and relative reciprocation between the co-operating members with vanes reciprocating with respect to the inner member
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02GHOT GAS OR COMBUSTION-PRODUCT POSITIVE-DISPLACEMENT ENGINE PLANTS; USE OF WASTE HEAT OF COMBUSTION ENGINES; NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F02G5/00Profiting from waste heat of combustion engines, not otherwise provided for
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転流体機械の回転バルブから固定軸および
回転軸の摺動面にリークした気相作動媒体を捕集するポ
ートに、前記摺動面を潤滑する液相作動媒体が流入する
のを最小限に抑える。 【解決手段】 回転流体機械の固定軸を覆う固定スリー
ブ86は、気相作動媒体を供給する通路S2と気相作動
媒体を排出する切欠86aとを備えており、それらの軸
方向外側には通路S2からリークした気相作動媒体を捕
集して再利用するための2列のポート88d,87dが
形成される。固定スリーブ86の外周に螺旋溝88bを
形成し、固定スリーブ86の外周に嵌合する回転スリー
ブとの相対回転により螺旋溝88bにねじポンプ作用を
発揮させることで、固定スリーブ86および回転スリー
ブの摺動面を潤滑する高圧の液相作動媒体がポート88
d,87dに流入するのを阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相作動媒体の圧
力エネルギーとロータの回転エネルギーとを相互に変換
する回転流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】特開2000−320543号公報に開
示された回転流体機械はベーンおよびピストンを複合し
たベーンピストンユニットを備えており、ロータに半径
方向に設けられたシリンダに摺動自在に嵌合するピスト
ンが、環状溝とローラとで構成された動力変換装置を介
して気相作動媒体の圧力エネルギーとロータの回転エネ
ルギーとを相互に変換し、かつロータに半径方向摺動自
在に支持されたベーンが気相作動媒体の圧力エネルギー
とロータの回転エネルギーとを相互に変換するようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる回転
流体機械では、ケーシングに固定した固定軸の外周にロ
ータと一体に回転する中空の回転軸を嵌合させて回転自
在に支持することで、固定軸の外周面および回転軸の内
周面間に高温の気相作動媒体を供給・排出するための回
転バルブを構成している。
【0004】回転バルブを通過する気相作動媒体が、ケ
ーシングに固定した固定軸の外周とロータに固定した回
転軸の内周とのクリアランスを通ってリークすると、回
転流体機械の性能低下の原因となるため、リークした気
相作動媒体を回転バルブを囲むように形成したポートに
捕集することで、その気相作動媒体を再利用することが
考えられる。しかしながら、固定軸および回転軸の摺動
面に高圧の液相作動媒体を供給して静圧軸受けを構成す
るものでは、その液相作動媒体がポートに流入してしま
い、静圧軸受けの性能低下や液相作動媒体の消費量増加
が発生するだけでなく、ポートに捕集した気相作動媒体
に液相作動媒体が混合してしまい、気相作動媒体の温度
が低下して再利用可能な圧力エネルギーが減少してしま
う問題がある。
【0005】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、回転流体機械の回転バルブから固定軸および回転軸
の摺動面にリークした気相作動媒体を捕集するポート
に、前記摺動面を潤滑する液相作動媒体や前記摺動面に
発生する摩耗粉が流入するのを最小限に抑えることを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、ケーシング内
に回転自在に収容したロータと、ロータと一体に回転す
る中空の回転軸と、ケーシングに固定した固定軸と、固
定軸および回転軸の摺動面に形成されて高温の気相作動
媒体の供給・排出を制御する回転バルブと、固定軸に回
転バルブを囲むように形成されて前記摺動面にリークし
た気相作動媒体を捕集するポートとを備え、固定軸およ
び回転軸の摺動面に液相作動媒体を供給して静圧軸受け
を構成する回転流体機械であって、固定軸および回転軸
の少なくとも一方の表面に、液相作動媒体のポートへの
流入を阻止する螺旋溝を形成したことを特徴とする回転
流体機械が提案される。
【0007】上記構成によれば、固定軸および回転軸の
少なくとも一方の表面に螺旋溝を形成したので、固定軸
および回転軸の摺動面に静圧軸受けを構成する液相作動
媒体がポートに流入するのを、固定軸および回転軸の相
対回転による螺旋溝のねじポンプ作用により発生する動
圧で対向させて阻止することができる。これにより、静
圧軸受けの機能を効果的に発揮させて回転軸の潤滑性お
よび調芯性を高めることができるだけでなく、静圧軸受
けにおける液相作動媒体の消費量を削減することがで
き、しかも回転バルブからリークしてポートに捕集され
た気相作動媒体がポートに流入する液相作動媒体で冷却
されて回転流体機械の性能が低下するのを防止すること
ができる。
【0008】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、ポートの内側における固定軸
および回転軸の少なくとも一方の表面に、回転バルブに
おいて発生した摩耗粉を捕集する摩耗粉捕集溝を形成し
たことを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0009】上記構成によれば、ポートの内側における
固定軸および回転軸の少なくとも一方の表面に摩耗粉捕
集溝を形成したので、回転バルブの摺動面の摩耗により
発生した摩耗粉を摩耗粉捕集溝に捕集し、前記摺動面に
おけるフリクションの増加や焼き付きの発生を防止する
ことができる。
【0010】尚、実施例のポート孔88d…およびポー
ト溝87d,87dは本発明のポートに対応し、実施例
の蒸気および水はそれぞれ本発明の気相作動媒体および
液相作動媒体に対応する。
【0011】
【発明の実施の形態】図1〜図21は本発明の一実施例
を示すもので、図1は内燃機関の廃熱回収装置の概略
図、図2は図4の2−2線断面図に相当する膨張機の縦
断面図、図3は図2の軸線周りの拡大断面図、図4は図
2の4−4線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図
6は図2の6−6線断面図、図7は図5の7−7線断面
図、図8は図5の8−8線断面図、図9は図8の9−9
線断面図、図10は図3の10−10線断面図、図11
はロータの分解斜視図、図12はロータの潤滑水分配部
の分解斜視図、図13はロータチャンバおよびロータの
断面形状を示す模式図、図14は回転バルブおよび固定
軸支持ばねを示す、図3の要部拡大図、図15は固定軸
の外周面を示す、図2の要部拡大図、図16は図14の
16−16線断面図、図17は第1固定軸の要部拡大
図、図18はノズル部材の拡大図、図19は図14の1
9−19線断面図、図20は固定スリーブを焼き嵌めし
た場合の作用を説明する図、図21は固定軸および回転
軸の熱膨張の関係を示すグラフである。
【0012】図1において、内燃機関1の廃熱回収装置
2は、内燃機関1の廃熱(例えば排気ガス)を熱源とし
て、高圧状態の液体(例えば水)を気化させた高温高圧
状態の蒸気を発生する蒸発器3と、その蒸気の膨張によ
って出力を発生する膨張機4と、その膨張機4において
圧力エネルギーを機械エネルギーに変換して温度および
圧力が降下した蒸気を液化する凝縮器5と、凝縮器5か
らの液体(例えば水)を加圧して再度蒸発器3に供給す
る供給ポンプ6とを有する。
【0013】図2および図3に示すように、膨張機4の
ケーシング11は金属製の第1、第2ケーシング半体1
2,13より構成される。第1、第2ケーシング半体1
2,13は、協働してロータチャンバ14を構成する本
体部12a,13aと、それら本体部12a,13aの
外周に一体に連なる円形フランジ12b,13bとより
なり、両円形フランジ12b,13bが金属ガスケット
15を介して結合される。第1ケーシング半体12の外
面は深い鉢形をなす中継チャンバ外壁16により覆われ
ており、その外周に一体に連なる円形フランジ16aが
第1ケーシング半体12の円形フランジ12bの左側面
に重ね合わされる。第2ケーシング半体13の外面は、
膨張機4の出力を外部に伝達するマグネットカップリン
グ(図示せず)を収納する排気チャンバ外壁17により
覆われており、その外周に一体に連なる円形フランジ1
7aが第2ケーシング半体13の円形フランジ13bの
右側面に重ね合わされる。そして前記4個の円形フラン
ジ12b,13b,16a,17aは、円周方向に配置
された複数本のボルト18…で共締めされる。中継チャ
ンバ外壁16および第1ケーシング半体12間に中継チ
ャンバ19が区画され、排気チャンバ外壁17および第
2ケーシング半体13間に排気チャンバ20が区画され
る。排気チャンバ外壁17には,膨張機4で仕事を終え
た降温降圧蒸気を凝縮器5に導く排出口(図示せず)が
設けられる。
【0014】両ケーシング半体12,13の本体部12
a,13aは左右外方へ突出する中空軸受筒12c,1
3cを有しており、それら中空軸受筒12c,13c
に、中空部21aを有する外側スリーブ21が一対の軸
受部材22,23を介して回転可能に支持される。これ
により、外側スリーブ21の軸線Lは略楕円形をなすロ
ータチャンバ14における長径と短径との交点を通る。
尚、金属製の外側スリーブ21は後述するセラミック製
の内側スリーブ85と協働して回転軸113を構成す
る。
【0015】第2ケーシング半体13の右端に螺合する
潤滑水導入部材24の内部にシールブロック25が収納
されてナット26で固定される。シールブロック25の
内部に外側スリーブ21の右端の小径部21bが支持さ
れており、シールブロック25および小径部21b間に
一対のシール部材27,27が配置され、シールブロッ
ク25および潤滑水導入部材24間に一対のシール部材
28,28が配置され、更に潤滑水導入部材24および
第2ケーシング半体13間にシール部材29が配置され
る。また第2ケーシング半体13の中空軸受筒13cの
外周に形成された凹部にフィルター30が嵌合し、第2
ケーシング半体13に螺合するフィルターキャップ31
により抜け止めされる。フィルターキャップ31および
第2ケーシング半体13間に一対のシール部材32,3
3が設けられる。
【0016】図4および図13から明らかなように、疑
似楕円状を成すロータチャンバ14の内部に、円形を成
すロータ41が回転自在に収納される。ロータ41は外
側スリーブ21の外周に嵌合して一体に結合されてお
り、外側スリーブ21の軸線Lに対してロータ41の軸
線およびロータチャンバ14の軸線は一致している。軸
線L方向に見たロータチャンバ14の形状は4つの頂点
を丸めた菱形に類似した疑似楕円状であり、その長径D
Lと短径DSとを備える。軸線L方向に見たロータ41
の形状は真円であり、ロータチャンバ14の短径DSよ
りも僅かに小さい直径DRを備える。
【0017】軸線Lと直交する方向に見たロータチャン
バ14およびロータ41の断面形状は何れも陸上競技の
トラック状を成している。即ち、ロータチャンバ14の
断面形状は、距離dを存して平行に延びる一対の平坦面
14a,14aと、これら平坦面14a,14aの外周
を滑らかに接続する中心角180°の円弧面14bとか
ら構成され、同様にロータ41の断面形状は、距離dを
存して平行に延びる一対の平坦面41a,41aと、こ
れら平坦面41a,41aの外周を滑らかに接続する中
心角180°の円弧面41bとから構成される。従っ
て、ロータチャンバ14の平坦面14a,14aとロー
タ41の平坦面41a,41aとは相互に接触し、ロー
タチャンバ14内周面とロータ41外周面との間には三
日月形を成す一対の空間(図4参照)が形成される。
【0018】次に、図3〜図6および図11を参照して
ロータ41の構造を詳細に説明する。
【0019】ロータ41は外側スリーブ21の外周に一
体に形成されたロータコア42と、ロータコア42の周
囲を覆うように固定されてロータ41の外郭を構成する
12個のロータセグメント43…とから構成される。ロ
ータコア42にセラミック(またはカーボン)製の12
本のシリンダ44…が30°間隔で放射状に装着されて
クリップ45…で抜け止めされる。各々のシリンダ44
の内端には小径部44aが突設されており、小径部44
aの基端はCシール46を介して内側スリーブ85との
間をシールされる。小径部44aの先端は中空の内側ス
リーブ85の外周面に嵌合しており、シリンダボア44
bは小径部44aおよび回転軸113を貫通する12個
の第3蒸気通路S3…を介して固定軸102の内部の第
1、第2蒸気通路S1;S2,S2に連通する。各々の
シリンダ44の内部にはセラミック製のピストン47が
摺動自在に嵌合する。ピストン47が最も半径方向内側
に移動するとシリンダボア44bの内部に完全に退没
し、最も半径方向外側に移動すると全長の約半分がシリ
ンダボア44bの外部に突出する。
【0020】各々のロータセグメント43は30°の中
心角を有する中空の楔状部材であって、ロータチャンバ
14の一対の平坦面14a,14aに対向する面には軸
線Lを中心として円弧状に延びる2本のリセス43a,
43bが形成されており、このリセス43a,43bの
中央に潤滑水噴出口43c,43dが開口する。またロ
ータセグメント43の端面、つまり後述するベーン48
に対向する面には4個の潤滑水噴出口43e,43e;
43f,43fが開口する。
【0021】ロータ41の組み立ては次のようにして行
なわれる。予めシリンダ44…、クリップ45…および
Cシール46…組み付けたロータコア42の外周に12
個のロータセグメント43…を嵌合させ、隣接するロー
タセグメント43…間に形成された12個のベーン溝4
9…にベーン48…を嵌合させる。このとき、ベーン4
8…およびロータセグメント43…間に所定のクリアラ
ンスを形成すべく、ベーン48…の両面に所定厚さのシ
ムを介在させておく。この状態で、治具を用いてロータ
セグメント43…およびベーン48…をロータコア42
に向けて半径方向内向きに締めつけ、ロータコア42に
対してロータセグメント43…を精密に位置決めした
後、各々のロータセグメント43…を仮止めボルト50
…(図8参照)でロータコア42に仮り止めする。続い
て各々のロータセグメント43にロータコア42を貫通
する2個のノックピン孔51,51を共加工し、それら
ノックピン孔51,51に4本のノックピン52…を圧
入してロータコア42にロータセグメント43…を結合
する。
【0022】図8、図9および図12から明らかなよう
に、ロータセグメント43およびロータコア42を貫通
する貫通孔53が2個のノックピン孔51,51の間に
形成されており、この貫通孔53の両端にそれぞれ凹部
54,54が形成される。貫通孔53の内部には2本の
パイプ部材55,56がシール部材57〜60を介して
嵌合するとともに、各々の凹部54内にオリフィス形成
プレート61および潤滑水分配部材62が嵌合してナッ
ト63で固定される。オリフィス形成プレート61およ
び潤滑水分配部材62は、オリフィス形成プレート61
のノックピン孔61a,61aを貫通して潤滑水分配部
材62のノックピン孔62a,62aに嵌合する2本の
ノックピン64,64でロータセグメント43に対して
回り止めされ、かつ潤滑水分配部材62およびナット6
3間はOリング65によりシールされる。
【0023】一方のパイプ部材55の外端部に形成され
た小径部55aは貫通孔55bを介してパイプ部材55
の内部の第6水通路W6に連通し、かつ小径部55aは
潤滑水分配部材62の一側面に形成した放射状の分配溝
62bに連通する。潤滑水分配部材62の分配溝62b
は6つの方向に延びており、その先端がオリフィス形成
プレート61の6個のオリフィス61b,61b;61
c,61c;61d,61dに連通する。他方のパイプ
部材56の外端部に設けらられたオリフィス形成プレー
ト61、潤滑水分配部材62およびナット63の構造
は、前述したオリフィス形成プレート61、潤滑水分配
部材62およびナット63の構造と同一である。
【0024】そしてオリフィス形成プレート61の2個
のオリフィス61b,61bの下流側は、ロータセグメ
ント43の内部に形成した第7水通路W7,W7を介し
て、ベーン48に対向するように開口する前記2個の潤
滑水噴出口43e,43eに連通し、他の2個のオリフ
ィス61c,61cの下流側は、ロータセグメント43
の内部に形成した第8水通路W8,W8を介して、ベー
ン48に対向するように開口する前記2個の潤滑水噴出
口43f,43fに連通し、更に他の2個のオリフィス
61d,61dの下流側は、ロータセグメント43の内
部に形成した第9水通路W9,W9を介して、ロータチ
ャンバ14に対向するように開口する前記2個の潤滑水
噴出口43c,43dに連通する。
【0025】図5を併せて参照すると明らかなように、
シリンダ44の外周に一対のOリング66,66で区画
された環状溝67が形成されており、一方のパイプ部材
55の内部に形成した第6水通路W6は、そのパイプ部
材55を貫通する4個の貫通孔55c…およびロータコ
ア42の内部に形成した第10水通路W10を介して前
記環状溝67に連通する。そして環状溝67はオリフィ
ス44cを介してシリンダボア44bおよびピストン4
7の摺動面に連通する。シリンダ44のオリフィス44
cの位置は、ピストン47が上死点および下死点間を移
動するときに、そのピストン47の摺動面から外れない
位置に設定されている。
【0026】図3および図9から明らかなように、潤滑
水導入部材24に形成した第1水通路W1は、シールブ
ロック25に形成した第2水通路W2、外側スリーブ2
1の小径部21bに形成した第3水通路W3…、外側ス
リーブ21の中心に嵌合する水通路形成部材68の外周
に形成した環状溝68a、外側スリーブ21に形成した
第4水通路W4、ロータコア42およびロータセグメン
ト43に跨がるパイプ部材69およびロータセグメント
43の半径方向内側のノックピン52を迂回するように
形成した第5水通路W5,W5を介して、前記一方のパ
イプ部材55の小径部55aに連通する。
【0027】図7、図9および図11に示すように、ロ
ータ41の隣接するロータセグメント43…間に放射方
向に延びる12個のベーン溝49…が形成されており、
これらベーン溝49…に板状のベーン48…がそれぞれ
摺動自在に嵌合する。各々のベーン48はロータチャン
バ14の平行面14a,14aに沿う平行面48a,4
8aと、ロータチャンバ14の円弧面14bに沿う円弧
面48bと、両平行面48a,48a間に位置する切欠
48cとを備えて概略U字状に形成されており、両平行
面48a,48aから突出する一対の支軸48d,48
dにローラベアリング構造のローラ71,71が回転自
在に支持される。
【0028】ベーン48の円弧面48bにはU字状に形
成された合成樹脂製のシール部材72が保持されてお
り、このシール部材72の先端はベーン48の円弧面4
8bから僅かに突出してロータチャンバ14の円弧面1
4bに摺接する。ベーン48の両側面には各々2個のリ
セス48e,48eが形成されており、これらリセス4
8e,48eは、ロータセグメント43の端面に開口す
る半径方向内側の2個の潤滑水噴出口43e,43eに
対向する。ベーン48の切欠48cの中央に半径方向内
向きに突設したピストン受け部材73が、ピストン47
の半径方向外端に当接する。
【0029】図4から明らかなように、第1、第2ケー
シング半体12,13により区画されるロータチャンバ
14の平坦面14a,14aには、4つの頂点を丸めた
菱形に類似した疑似楕円状の環状溝74,74が凹設さ
れており、両環状溝74,74に各々のベーン48の一
対のローラ71,71が転動自在に係合する。これら環
状溝74,74およびロータチャンバ14の円弧面14
b間の距離は全周に亘り一定である。従って、ロータ4
1が回転するとローラ71,71を環状溝74,74に
案内されたベーン48がベーン溝49内を半径方向に往
復動し、ベーン48の円弧面48bに装着したシール部
材72が一定量だけ圧縮された状態でロータチャンバ1
4の円弧面14bに沿って摺動する。これにより、ロー
タチャンバ14およびベーン48…が直接固体接触する
のを防止し、摺動抵抗の増加や摩耗の発生を防止しなが
ら、隣接するベーン48…間に区画されるベーン室75
…を確実にシールすることができる。
【0030】図2から明らかなように、ロータチャンバ
14の平坦面14a,14aには、前記環状溝74,7
4の外側を囲むように一対の円形シール溝76,76が
形成される。各々の円形シール溝76には2個のOリン
グ77,78を備えた一対のリングシール79が摺動自
在に嵌合しており、そのシール面は各々のロータセグメ
ント43に形成したリセス43a,43b(図4参照)
に対向している。一対のリングシール79,79は、そ
れぞれノックピン80,80で第1、第2ケーシング半
体12,13に対して回り止めされる。
【0031】図2、図3、図10および図14から明ら
かなように、中継チャンバ外壁16の中心に開口16b
が形成されており、軸線L上に配置されたばね支持部材
81のボス部81aおよび固定スリーブ支持部材82の
ボス部82aが前記開口16bの内面に複数のボルト8
3…で共締めされ、かつ固定スリーブ支持部材82はナ
ット84で第1ケーシング半体12に固定される。金属
製の外側スリーブ21の中空部21aにはセラミックよ
うな熱膨張率が小さい材料で円筒状に形成した内側スリ
ーブ85が焼き嵌めにより固定されており、この内側ス
リーブ85の内周面に固定スリーブ86が相対回転自在
に嵌合する。固定スリーブ86はセラミックのような熱
膨張率が小さい材料で構成された内側スリーブ87と、
その外周に焼き嵌めにより一体化された金属製の外側ス
リーブ88とから成るもので、その左端は半径方向の相
対移動を許容するオルダム継ぎ手89を介して固定スリ
ーブ支持部材82に支持される。オルダム継ぎ手89に
近い位置で、固定スリーブ86は第1ケーシング半体1
2との間をシール部材90によりシールされる。
【0032】中空の固定スリーブ86の内部には蒸気供
給パイプ91、第1固定軸92、第2固定軸93、第3
固定軸94および固定軸支持ばね95が配置される。軸
線L上に配置された蒸気供給パイプ91は、ばね支持部
材81のボス部81aを貫通してナット97で固定され
る。第1固定軸92は右端が閉塞されたパイプ状の部材
であって、その左端開口部に蒸気供給パイプ91の右端
が嵌合する。固定スリーブ86の内側スリーブ87は半
径方向内側に突出する厚肉部87aを有しており、この
厚肉部87aの内周と第1固定軸92の外周との間に、
中央部が閉塞されたパイプ状の部材である第2固定軸9
3が挟持され、内側スリーブ87の厚肉部87aと第2
固定軸93との間にシール部材98,99が配置され
る。第2固定軸93の右端のねじ部が、右端が閉塞され
たパイプ状の部材である第3固定軸94の内周面に螺合
し、第3固定軸94の右端に設けられた2個のシール部
材100,101が、それぞれ固定スリーブ86の内側
スリーブ87の内周面および回転軸113の外側スリー
ブ21の内周面に当接する。
【0033】上記固定スリーブ86、第1固定軸92、
第2固定軸93および第3固定軸94は本発明の固定軸
102を構成する。
【0034】図14および図19に最も良く示されるよ
うに、蒸気供給パイプ91の外周に配置される固定軸支
持ばね95は、ばね支持部材81のボス部81aから右
側に延びる多重円筒支持部を構成する円筒ばね部81b
と、第2固定軸93の中央部から左側に延びる同じく多
重円筒支持部を構成する円筒ばね部93aとを接続す
る。即ち、固定軸支持ばね95は軸線Lを中心として同
心に配置された7個の円筒ばね103a,103b,1
03c;104a,104b,104c;105からな
り、ばね支持部材81の円筒ばね部81bの外周に隙間
を存して嵌合する3個の円筒ばね103a,103b,
103cが端部において交互に溶接されるとともに、第
2固定軸93の円筒ばね部93aの外周に隙間を存して
嵌合する3個の円筒ばね104a,104b,104c
が端部において交互に溶接され、更に最外周の円筒ばね
105の両端がその内側の円筒ばね103c,104c
に溶接される。
【0035】図10および図14から明らかなように、
第1固定軸92および内側スリーブ87に挟まれた第2
固定軸93に2個のカラー106,106が嵌合すると
ともに、内側スリーブ87の厚肉部87aに2個のノズ
ル部材107,107が嵌合する。第1固定軸92の中
心には蒸気供給パイプ91に連なる第1蒸気通路S1が
軸方向に形成され、また第1固定軸92、第2固定軸9
3および固定スリーブ86には、前記カラー106,1
06およびノズル部材107,107の内部を通る2本
の第2蒸気通路S2,S2が180°の位相差をもって
半径方向に貫通する。前述したように、回転軸113に
固定したロータ41に30°間隔で保持された12個の
シリンダ44…の小径部44a…および回転軸113の
内側スリーブ85を12本の第3蒸気通路S3…が貫通
しており、これらの第3蒸気通路S3…の半径方向内端
部は、前記第2蒸気通路S2,S2の半径方向外端部に
連通可能に対向する。
【0036】固定スリーブ86の厚肉部87aの外周面
には一対の切欠86a,86aが180°の位相差をも
って形成されており、これら切欠86a,86aは前記
第3蒸気通路S3…に連通可能である。切欠86a,8
6aと中継チャンバ19とは、固定スリーブ86に軸方
向に形成した4本の第4蒸気通路S4…と、固定スリー
ブ86および固定スリーブ支持部材82の内部に形成し
た第5蒸気通路S5と、固定スリーブ支持部材82のボ
ス部82a外周に開口する通孔82b…とを介して相互
に連通する。
【0037】図2および図4に示すように、第1ケーシ
ング半体12および第2ケーシング半体13には、ロー
タチャンバ14の短径方向を基準にしてロータ41の回
転方向Rの進み側15°の位置に、放射方向に整列した
複数の吸気ポート108…が形成される。この吸気ポー
ト108…により、ロータチャンバ14の内部空間が中
継チャンバ19に連通する。また第2ケーシング半体1
3には、ロータチャンバ14の短径方向を基準にしてロ
ータ41の回転方向Rの遅れ側15°〜75°の位置
に、複数の排気ポート109…が形成される。この排気
ポート109…により、ロータチャンバ14の内部空間
が排気チャンバ20に連通する。ベーン48…のシール
部材72…が排気ポート109…のエッジで傷付かない
ように、それら排気ポート109…は第2ケーシング半
体13の内部に形成した浅い凹部13d,13dに開口
する。
【0038】第2蒸気通路S2,S2および第3蒸気通
路S3…、並びに固定スリーブ86の切欠86a,86
aおよび第3蒸気通路S3…は、固定軸102および回
転軸113の相対回転により周期的に連通する回転バル
ブVを構成する(図10参照)。
【0039】図17から明らかなように、第1固定軸9
2の左端外周部には複数の切欠92a…が形成されてお
り、これらの切欠92a…間に形成された凸部92b…
が固定軸支持ばね95の円筒ばね93aに当接する。内
部を高温高圧蒸気が通過する第1固定軸92が温度上昇
しても、その凸部92b…のみを円筒ばね93aに当接
させることで、固定軸支持ばね95に伝達される熱を最
小限に抑えることができる。
【0040】図18から明らかなように、内側スリーブ
87に嵌合するノズル部材107の外周に環状溝107
aが形成されており、更にその端部に複数の切欠107
b…が形成されている。これにより、内部を高温高圧蒸
気が通過するノズル部材107の熱が内側スリーブ87
に伝達されるのを最小限に抑えることができる。
【0041】図14〜図16から明らかなように、外側
スリーブ88の回転バルブVを挟む2個所において環状
に配置された複数個(実施例では12個)ポート孔88
d…が形成され、内側スリーブ87には前記ポート孔8
8d…に連通する2個のポート溝87d,87dが環状
に形成される。ポート孔88d…およびポート溝87
d,87dは、内側スリーブ87および外側スリーブ8
8の結合面に軸線L方向に形成された2本の通路87
b,87bと、内側スリーブ87に形成した環状溝87
cと、外側スリーブ88に形成した通孔88aとを介し
て中継チャンバ19に連通する。外側スリーブ88の外
周面の2列のポート孔88d…の軸方向外側に、複数に
分割されて螺旋状に延びる螺旋溝88b…が形成され
る。2列のポート孔88d…の両側において、螺旋溝8
8b…の傾斜方向は相互に逆方向になる。また外側スリ
ーブ88の外周面の2列のポート孔88d…の軸方向内
側は、2本の摩耗粉補集溝88c,88cが形成され
る。
【0042】図2から明らかなように、第1、第2ケー
シング半体12,13の円形シール溝76,76に嵌合
するリングシール79,79の背面に圧力室110,1
10が形成されており、第1、第2ケーシング半体1
2,13に形成された第11水通路W11は、パイプよ
りなる第12水通路W12および第13水通路W13を
介して両圧力室110,110に連通し、両圧力室11
0,110に加わった水圧でリングシール79,79は
ロータ41の側面に向けて付勢される。
【0043】第11水通路W11は、パイプよりなる第
14水通路W14を介して環状のフィルター30の外周
面に連通し、フィルター30の内周面は第2ケーシング
半体13に形成した第15水通路W15を介して第2ケ
ーシング半体13に形成した第16水通路W16に連通
する。第16水通路W16に供給された水は固定軸10
2の外側スリーブ88および回転軸113の内側スリー
ブ85の摺動面を潤滑する。またフィルター30の内周
面から第17水通路W17を介して軸受部材23の外周
に供給された水は、軸受部材23を貫通するオリフィス
を通して回転軸113の外側スリーブ21の外周面を潤
滑するとともに、静圧軸受けを構成して浮動状態で支持
することで摩擦力を低減して焼き付きを防止する。一
方、第11水通路W11からパイプよりなる第18水通
路W18を介して軸受部材22の外周に供給された水
は、軸受部材22を貫通するオリフィスを通して回転軸
113の外側スリーブ21の外周面を潤滑するととも
に、固定軸102の外側スリーブ88および回転軸11
3の内側スリーブ85の摺動面を潤滑する。
【0044】次に、上記構成を備えた本実施例の作用に
ついて説明する。
【0045】先ず、膨張機4の作動について説明する。
図3において、蒸発器3からの高温高圧蒸気は蒸気供給
パイプ91、固定軸102の中心を通る第1蒸気通路S
1、固定軸102を半径方向に貫通する一対の第2蒸気
通路S2,S2に供給される。図10において、ロータ
41および外側スリーブ21と一体に矢印R方向に回転
する内側スリーブ85が固定軸102に対して所定の位
相に達すると、ロータチャンバ14の短径位置からロー
タ41の回転方向Rの進み側に在る一対の第3蒸気通路
S3,S3が一対の第2蒸気通路S2,S2に連通し、
第2蒸気通路S2,S2の高温高圧蒸気が前記第3蒸気
通路S3,S3を経て一対のシリンダ44,44の内部
に供給され、ピストン47,47を半径方向外側に押圧
する。図4において、これらピストン47,47に押圧
されたベーン48,48が半径方向外側に移動すると、
ベーン48,48に設けた一対のローラ71,71と環
状溝74,74との係合により、ピストン47,47の
前進運動がロータ41の回転運動に変換される。
【0046】ロータ41の回転に伴って第2蒸気通路S
2,S2と前記第3蒸気通路S3,S3との連通が遮断
された後も、シリンダ44,44内の高温高圧蒸気が更
に膨張を続けることによりピストン47,47をなおも
前進させ、これによりロータ41の回転が続行される。
ベーン48,48がロータチャンバ14の長径位置に達
すると、対応するシリンダ44,44に連なる第3蒸気
通路S3,S3が固定スリーブ86の外周面に形成した
一対の切欠86a,86aに連通し、ローラ71,71
を環状溝74,74に案内されたベーン48,48に押
圧されたピストン47,47が半径方向内側に移動する
ことにより、シリンダ44,44内の蒸気は第3蒸気通
路S3,S3、切欠86a,86a、第4蒸気通路S
4,S4、第5蒸気通路S5および通孔82b…を通
り、第1の降温降圧蒸気となって中継チャンバ19に供
給される。第1の降温降圧蒸気は、蒸気供給パイプ91
から供給された高温高圧蒸気がピストン47,47を駆
動する仕事を終えて温度および圧力が低下したものであ
る。第1の降温降圧蒸気の持つ熱エネルギーおよび圧力
エネルギーは高温高圧蒸気に比べて低下しているが、依
然としてベーン48…を駆動するのに充分な熱エネルギ
ーおよび圧力エネルギーを有している。
【0047】中継チャンバ19内の第1の降温降圧蒸気
は第1、第2ケーシング半体12,13の吸気ポート1
08…からロータチャンバ14内のベーン室75…に供
給され、そこで更に膨張することによりベーン48…を
押圧してロータ41を回転させる。そして仕事を終えて
更に温度および圧力が低下した第2の降温降圧蒸気は、
第2ケーシング半体13の排気ポート109…から排気
チャンバ20に排出され、そこから凝縮器5に供給され
る。
【0048】このように、高温高圧蒸気の膨張により1
2個のピストン47…を次々に作動させてローラ71,
71および環状溝74,74を介しロータ41を回転さ
せ、また高温高圧蒸気が降温降圧した第1の降温降圧蒸
気の膨張によりベーン48…を介しロータ41を回転さ
せることによって回転軸113より出力が得られる。
【0049】次に、前記膨張機4のベーン48…および
ピストン47…の水による潤滑について説明する。
【0050】潤滑用の水の供給は凝縮器5からの水を蒸
発器3に加圧供給する供給ポンプ6(図1参照)を利用
して行われるもので、供給ポンプ6が吐出する水の一部
が潤滑用としてケーシング11の第1水通路W1に供給
される。このように供給ポンプ6を膨張機4の各部の静
圧軸受けへの水の供給に利用することにより、特別のポ
ンプが不要になって部品点数が削減される。
【0051】図3および図8において、潤滑水導入部材
24の第1水通路W1に供給された水は、シールブロッ
ク25の第2水通路W2…、外側スリーブ21の第3水
通路W3…、水通路形成部材68の環状溝68a、外側
スリーブ21の第4水通路W4、パイプ部材69および
ロータセグメント43に形成した第5水通路W5,W5
を経て一方のパイプ部材55の小径部55aに流入し、
また前記小径部55aに流入した水は一方のパイプ部材
55の貫通孔55b、両パイプ部材55,56に形成し
た第6水通路W6および他方のパイプ部材56に形成し
た貫通孔56bを経て、該他方のパイプ部材56の小径
部56aに流入する。
【0052】各々のパイプ部材55,56の小径部55
a,56aから各々の潤滑水分配部材62の分配溝62
bを経てオリフィス形成プレート61の6個のオリフィ
ス61b,61b;61c,61c;61d,61dを
通過した水の一部は、ロータセグメント43の端面に開
口する4個の潤滑水噴出口43e,43e;43f,4
3fから噴出し、他の一部はロータセグメント43の側
面に形成した円弧状のリセス43a,43b内の潤滑水
噴出口43c,43dから噴出する。
【0053】而して、各々のロータセグメント43の端
面の潤滑水噴出口43e,43e;43f,43fから
ベーン溝49内に噴出した水は、ベーン溝49に摺動自
在に嵌合するベーン48との間に静圧軸受けを構成して
該ベーン48を浮動状態で支持し、ロータセグメント4
3の端面とベーン48との固体接触を防止して焼き付き
および摩耗の発生を防止する。このように、ベーン48
の摺動面を潤滑する水をロータ41の内部に放射状に設
けた水通路を介して供給することにより、水を遠心力で
加圧することができるだけでなく、ロータ41周辺の温
度を安定させて熱膨張による影響を少なくし、設定した
クリアランスを維持して蒸気のリークを最小限に抑える
ことができる。
【0054】またベーン48の両面に各2個ずつ形成さ
れたリセス48e,48eに水が保持されるため、この
リセス48e,48eが圧力溜まりとなって水のリーク
による圧力低下を抑制する。その結果、一対のロータセ
グメント43,43の端面に挟まれたベーン48が水に
よって浮動状態になり、摺動抵抗を効果的に低減するこ
とが可能になる。またベーン48が往復運動するとロー
タ41に対するベーン48の半径方向の相対位置が変化
するが、前記リセス48e,48eはロータセグメント
43側でなくベーン48側に設けられており、かつベー
ン48に最も荷重の掛かるローラ71,71の近傍に設
けられているため、往復運動するベーン48を常に浮動
状態に保持して摺動抵抗を効果的に低減することが可能
となる。
【0055】尚、ロータセグメント43に対するベーン
48の摺動面を潤滑した水は遠心力で半径方向外側に移
動し、ベーン48の円弧面48bに設けたシール部材7
2とロータチャンバ14の円弧面14bとの摺動部を潤
滑する。そして潤滑を終えた水は、ロータチャンバ14
から排気ポート109…を介して排出される。
【0056】図2において、第1ケーシング半体12お
よび第2ケーシング半体13の円形シール溝76,76
の底部の圧力室110,110に水を供給してリングシ
ール79,79をロータ41の側面に向けて付勢し、か
つ各々のロータセグメント43のリセス43a,43b
の内部に形成した潤滑水噴出口43c,43dから水を
噴出してロータチャンバ14の平坦面14a,14aと
の摺動面に静圧軸受けを構成することにより、円形シー
ル溝76,76の内部で浮動状態にあるリングシール7
9,79でロータ41の平坦面41a,41aをシール
することができ、その結果ロータチャンバ14内の蒸気
がロータ41との隙間を通ってリークするのを防止する
ことができる。このとき、リングシール79,79とロ
ータ41とは潤滑水噴出口43c,43dから供給され
た水膜で隔絶されて固体接触することがなく、またロー
タ41が傾いても、それに追従して円形シール溝76,
76内のリングシール79,79が傾くダンパー効果に
より、摩擦力を最小限に抑えながら安定したシール性能
を確保することができる。
【0057】尚、リングシール79,79とロータ41
との摺動部を潤滑した水は、遠心力でロータチャンバ1
4に供給され、そこから排気ポート109…を経てケー
シング11の外部に排出される。
【0058】更に、図5において、パイプ部材55の内
部の第6水通路W6からロータセグメント43の内部の
第10水通路W10およびシリンダ44の外周の環状溝
67を経てシリンダ44およびピストン47の摺動面に
供給された水は、その摺動面に形成される水膜の粘性に
よりシール機能を発揮し、シリンダ44に供給された高
温高圧蒸気がピストン47との摺動面を通ってリークす
るのを効果的に防止する。このとき、高温状態にある膨
張機4の内部を通ってシリンダ44およびピストン47
の摺動面に供給された水は加温されているため、その水
によってシリンダ44に供給された高温高圧蒸気が冷却
されて膨張機4の出力が低下するのを最小限に抑えるこ
とができる。
【0059】しかもシール用の媒体として蒸気と同一物
質である水を用いたことにより、蒸気に水が混入しても
何ら問題はない。仮に、シリンダ44およびピストン4
7の摺動面をオイルでシールした場合には、水あるいは
蒸気にオイルが混入するのが避けられないため、オイル
を分離する特別のフィルター装置が必要となってしま
う。またベーン48およびベーン溝49の摺動面を潤滑
する水の一部を兼用してバイパスさせることでシリンダ
44およびピストン47の摺動面をシールするので、そ
の水を前記摺動面に導く水通路を別途特別に設ける必要
をなくして構造を簡素化することができる。
【0060】ところで、回転バルブVにおける蒸気のシ
ール性を確保するには、回転軸113および固定軸10
2の摺動面のクリアランスを精密に管理する必要があ
る。膨張機4の冷間時に回転バルブVの近傍において、
高温の蒸気が通過する固定軸102が先行して熱膨張
し、回転軸113が遅れて熱膨張するため、その熱膨張
量の差によって固定軸102の外周面が摩耗する。この
とき、固定軸102がケーシング11に強固に固定され
ていると、ロータ41の回転振れによって固定軸102
の外周面が不均一に接触して偏摩耗するために、回転バ
ルブVにおける蒸気のシール性の低下、摺動抵抗の増
加、ロータ41の回転挙動の悪化等の不具合が発生する
問題がある。
【0061】しかしながら、本実施例によれば、固定軸
102が固定軸支持ばね95でケーシング11に対して
フローティング支持されているので、ロータ41の回転
振れが回転軸113を介して固定軸102に伝達された
ときに、固定軸支持ばね95のダンパー効果で発揮され
る追従作用による調芯作用でロータ41の回転振れを抑
制し、固定軸102および回転軸113の摺動部におけ
る摩擦抵抗の増加や異常摩耗の発生を効果的に回避する
ことができる。このように、固定軸支持ばね95の作用
で固定軸102の外周面が均一に摩耗すれば、膨張機4
の熱間時に固定軸102の前記均一に摩耗した部分のク
リアランスが均一に狭まり、回転バルブVのシール性が
確保される。尚、固定軸102の左端はオルダム継ぎ手
89を介して回転不能かつ半径方向移動可能に支持され
ているため、固定軸支持ばね95のダンパー効果で発揮
される追従作用による固定軸102の調芯作用を支障な
く発揮させることができる。
【0062】また蒸気の熱による固定軸102の熱膨張
量を小さく抑えれば、回転バルブVの近傍における固定
軸102の外周面の摩耗を更に減少させることができ
る。そのために、本実施例では熱膨張率が小さいセラミ
ック等で形成した内側スリーブ87の外周に金属製の外
側スリーブ88を焼き嵌めして固定スリーブ86を構成
している。
【0063】即ち、図20(A)に示すように、常温時
において内側スリーブ87の外径Doは外側スリーブ8
8の内径Diよりも大きくなっており、図20(B)に
示すように、金属製の外側スリーブ88を加熱して熱膨
張させることにより、その内径Di′を内側スリーブ8
7の外径Doよりも大きくした状態で、内側スリーブ8
7の外周に外側スリーブ88を嵌合させる。この状態か
ら外側スリーブ88を冷却して収縮させると、図20
(C)に示すように、外側スリーブ88の内周面が内側
スリーブ87の外周面に密着して焼き嵌めが完了する。
焼き嵌めが完了した状態では、本来ならば内径がDiま
で減少するはずの外側スリーブ88(鎖線参照)は、内
側スリーブ87に阻止されて内径が前記Diよりも大き
い内径D″までしか収縮できず(Di<Di″<
D′)、外側スリーブ88に引張方向の内部応力が作用
した状態となる。
【0064】従って、図20(D)に示すように、外側
スリーブ88および内側スリーブ87が蒸気により加熱
されたとき、その外側スリーブ88の熱膨張は前記引張
方向の内部応力によりキャンセルされ、外側スリーブ8
8の外径は実質的に増加しない。実際には、外側スリー
ブ88の外径は、熱膨張率が小さいセラミック等で形成
した内側スリーブ87の僅かな熱膨張量に支配され、そ
の内側スリーブ87に押し広げられて僅かながら増加す
る。このようにして、回転軸113の内側スリーブ85
に対して摺動する延び易い金属製のカラーである外側ス
リーブ88を有する固定スリーブ86の熱膨張による外
径の変化を焼き嵌めにより抑制することができるので、
固定スリーブ86の外周面の摩耗を最小限に抑えて回転
バルブVからの蒸気のリークを防止することができる。
【0065】尚、固定スリーブ86の外側スリーブ88
を金属製としたことにより、セラミック製のスリーブに
施すことが困難な低摩擦材のコーティングを外側スリー
ブ88に施すことを可能にし、回転軸113側の焼き嵌
め構造と相俟って内側スリーブ85との間の摩擦抵抗を
一層低減するとともに、クリアランスの増大を抑制して
蒸気のリークを低減することができる。
【0066】上述した固定軸102の固定スリーブ86
と同様に、回転軸113もセラミック製の内側スリーブ
85の外周に金属製の外側スリーブ21を焼き嵌めによ
り一体化して構成されており、外側スリーブ21には引
張方向の内部応力が作用した状態となる。
【0067】次に、上記焼き嵌めによる効果を図21に
基づいて説明する。
【0068】図21(D)は、回転軸113および固定
軸102を共に金属製とした従来例に対応するももであ
り、冷間時に固定軸102の内部を通して高温の蒸気を
回転バルブVに供給すると、先ず固定軸102側が大き
く熱膨張して回転軸113の内周面に接触し、a点およ
びb点間で摺動面の摩耗が発生する。尚、この摩耗は組
立て後の膨張機4の最初の運転時にのみ発生するもので
ある。時間が経過して固定軸102および回転軸113
の温度が共に充分に上昇した熱間時になると、回転軸1
13の膨張量が固定軸102の膨張量よりも大きくな
り、両者間のクリアランスが次第に拡大する。このよう
に、従来のものは固定軸102および回転軸113が共
に熱膨張することで、摺動面の摩耗と熱間時のクリアラ
ンスの増加とが発生してしまう。
【0069】一方、図21(A)は、回転軸113およ
び固定軸102の両方に焼き嵌めを採用した本実施例の
特性を示すもので、冷間時から熱間時にかけて回転軸1
13および固定軸102の半径は殆ど変化せず、両者の
摺動面のクリアランスは常に略一定に保持される。
【0070】図21(B)は、回転軸113側だけに焼
き嵌めを採用した場合の特性を示すもので、蒸気の供給
開始に伴って固定軸102側が熱膨張し、殆ど熱膨張し
ない回転軸113の内周面に接触して固定軸102の外
周面に摩耗が発生する。この摩耗は組立て後の膨張機4
の最初の運転時にのみ発生するものであり、一旦摩耗に
よる擦り合わせが完了すると、次回からの運転では両者
の摺動面のクリアランスは常に略一定に保持される。
【0071】図21(C)は、固定軸102側だけに焼
き嵌めを採用した場合の特性を示すもので、蒸気の供給
開始に伴って回転軸113側が熱膨張し、殆ど熱膨張し
ない回転軸113との間のクリアランスが次第に増加す
るが、固定軸102および回転軸113の接触が回避さ
れるために摩耗は発生せず、両者間の摺動抵抗を最小限
に抑えることができる。
【0072】以上のように、回転軸113および固定軸
102の両方に焼き嵌めを採用した場合に最大の効果が
発揮されるが、回転軸113および固定軸102の一方
だけに焼き嵌めを採用した場合にも、所定の効果を得る
ことができる。
【0073】上述のようにして回転バルブVからの蒸気
のリーク防止を図っても、若干の蒸気が回転軸113お
よび固定軸102の摺動面にリークするのは避けられな
い。そのリークした蒸気は固定スリーブ86の外周面に
環状に形成したポート孔88d…およびポート溝87
d,87dに捕捉され、そこから内側スリーブ87およ
び外側スリーブ88の結合面に形成された2本の通路8
7b,87bと、内側スリーブ87に形成した環状溝8
7cと、外側スリーブ88に形成した通孔88aとを介
して中継チャンバ19に供給される。中継チャンバ19
に供給された蒸気は、ピストン47…の駆動を終えた第
1の降温降圧蒸気と合流してベーン48…の駆動に供さ
れる。このように、回転バルブVからリークした蒸気を
ポート孔88d…およびポート溝87d,87dに捕捉
して再利用することにより、膨張機4全体としてのエネ
ルギー効率の向上に寄与することができる。
【0074】また固定スリーブ86の金属製の外側スリ
ーブ88が回転軸113のセラミック製の内側スリーブ
85との摺動により摩耗したとき、その摩耗粉は外側ス
リーブ88の外周面に形成した摩耗粉補集溝88c,8
8cに補集され、固定スリーブ86および回転軸113
の内側スリーブ85の摺動面に堆積することが防止され
る。これにより、前記摺動面における摩擦抵抗の増加や
焼き付きの発生を回避することができる。
【0075】また第16水通路W16から供給されて固
定スリーブ86および回転軸113の内側スリーブ85
の摺動面を潤滑した水と、軸受部材22,23を貫通す
るオリフィスを通して回転軸113の外周面を潤滑する
とともに固定スリーブ86および回転軸113の内側ス
リーブ85の摺動面を潤滑した水とが、固定スリーブ8
6の外周に形成したポート孔88d…およびポート溝8
7d,87dを経て中継チャンバー19に流入すると、
中継チャンバー19内の第1の降温降圧蒸気が冷やされ
てしまい、膨張機4の出力が低下する虞がある。
【0076】しかしながら、本実施例によれば、固定ス
リーブ86および回転軸113の内側スリーブ85の摺
動面を潤滑する水が固定スリーブ86の両端側から中央
のポート孔88d…およびポート溝87d,87dに向
かって流れるとき、外側スリーブ88の外周に形成した
螺旋溝88b…の作用で潤滑水をポート孔88d…およ
びポート溝87d,87dから離反するように押し戻す
圧力を発生させることができる。即ち、回転軸113の
内側スリーブ85と固定スリーブ86との相対回転によ
り、螺旋溝88b…に保持された潤滑水がねじポンプの
作用で加圧され、ポート孔88d…およびポート溝87
d,87dから離反するように押し戻されるのである。
【0077】尚、螺旋溝88b…を短く分断せずにポー
ト孔88d…およびポート溝87d,87dに連通させ
ると、高圧の潤滑水が螺旋溝88b…の内部を素通りし
て低圧のポート孔88d…およびポート溝87d,87
dに流入する虞があるが、螺旋溝88b…を短く分断し
たことにより上記問題が解消される。
【0078】また第1水通路W1と第11水通路W11
とは独立しており、各々の潤滑部において必要とする圧
力で水を供給している。具体的には、第1水通路W1か
ら供給される水は、前述したように主にベーン48…や
ロータ41を静圧軸受けで浮動状態に支持するものであ
るため、荷重変動に拮抗し得る高圧が必要とされる。そ
れに対して、第11水通路W11から供給される水は、
主に固定軸102まわりと軸受け部材22,23とを水
潤滑するとともに静圧軸受けを構成し、第3蒸気通路S
3,S3から固定軸102の外周にリークする高温高圧
蒸気を封止して固定軸102、回転軸113、ロータ4
1等の熱膨張の影響を低減するものであるため、少なく
とも中継チャンバー19の圧力よりも高い圧力であれば
良い。
【0079】このように、高圧の水を供給する第1水通
路W1と、それよりも低圧の水を供給する第11水通路
W11との二つの水供給系統を設けたので、高圧の水を
供給する一つの水供給系統だけを設けた場合の不具合を
解消することができる。つまり固定軸102まわりに過
剰な圧力の水が供給されて中継チャンバー19への水の
流出量が増加したり、固定軸102、回転軸113、ロ
ータ41等が過冷却されて蒸気温度が低下したりする不
具合を防止することができ、水の供給量を削減しながら
膨張機4の出力を増加させることができる。
【0080】以上説明した実施例以外にも、ピストン4
7…の前進運動をロータ41の回転運動に変換する動力
変換装置の構成として、ベーン48…を介さず、ピスト
ン47…の前進運動を直接ローラ71…で受け、環状溝
74,74との係合で回転運動に変換することもでき
る。またベーン48…もローラ71…と環状溝74,7
4との協働により、前述の如くロータチャンバ14の内
周面から略一定間隔で常時離間していればよく、ピスト
ン47…およびローラ71…が、またベーン48…およ
びローラ71…が、各々独立して環状溝74,74と協
働しても良い。
【0081】前記膨張機4を圧縮機として使用する場合
には、回転軸113によりロータ41を図4の反矢印R
方向に回転させて、外気をベーン48…により排気ポー
ト109…からロータチャンバ14内に吸い込んで圧縮
し、このようにして得られた低圧縮空気を吸気ポート1
08…から中継チャンバ19、通孔82b…、第5蒸気
通路S5、第4蒸気通路S4,S4、固定軸102の切
欠86a,86aおよび第3蒸気通路S3…を経てシリ
ンダ44…内に吸入し、そこでピストン47…により圧
縮して高圧縮空気とする。このようにして得られた高圧
縮空気は、シリンダ44…から第3蒸気通路S3…、第
2蒸気通路S2,S2、第1蒸気通路S1および蒸気供
給パイプ91を経て排出される。尚、膨張機4を圧縮機
として使用する場合には、前記蒸気通路S1〜S5およ
び蒸気供給パイプ91は、それぞれ空気通路S1〜S5
および空気供給パイプ91と読み変えるものとする。
【0082】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0083】例えば、実施例では回転流体機械として膨
張機4を例示したが、本発明は圧縮機としても適用する
ことができる。
【0084】また実施例では気相作動媒体および液相作
動媒体として蒸気および水を用いているが、他の適宜の
作動媒体を用いることができる。
【0085】また実施例ではポート孔88d…およびポ
ート溝87d,87dを固定軸102側に設けている
が、それらを回転軸113側に設けても良い。
【0086】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、固定軸および回転軸の少なくとも一方の表面
に螺旋溝を形成したので、固定軸および回転軸の摺動面
に静圧軸受けを構成する液相作動媒体がポートに流入す
るのを、固定軸および回転軸の相対回転による螺旋溝の
ねじポンプ作用により発生する動圧で対向させて阻止す
ることができる。これにより、静圧軸受けの機能を効果
的に発揮させて回転軸の潤滑性および調芯性を高めるこ
とができるだけでなく、静圧軸受けにおける液相作動媒
体の消費量を削減することができ、しかも回転バルブか
らリークしてポートに捕集された気相作動媒体がポート
に流入する液相作動媒体で冷却されて回転流体機械の性
能が低下するのを防止することができる。
【0087】また請求項2に記載された発明によれば、
ポートの内側における固定軸および回転軸の少なくとも
一方の表面に摩耗粉捕集溝を形成したので、回転バルブ
の摺動面の摩耗により発生した摩耗粉を摩耗粉捕集溝に
捕集し、前記摺動面におけるフリクションの増加や焼き
付きの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の廃熱回収装置の概略図
【図2】図4の2−2線断面図に相当する膨張機の縦断
面図
【図3】図2の軸線周りの拡大断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】図5の7−7線断面図
【図8】図5の8−8線断面図
【図9】図8の9−9線断面図
【図10】図3の10−10線断面図
【図11】ロータの分解斜視図
【図12】ロータの潤滑水分配部の分解斜視図
【図13】ロータチャンバおよびロータの断面形状を示
す模式図
【図14】回転バルブおよび固定軸支持ばねを示す、図
3の要部拡大図
【図15】固定軸の外周面を示す、図2の要部拡大図
【図16】図14の16−16線断面図
【図17】第1固定軸の要部拡大図
【図18】ノズル部材の拡大図
【図19】図14の19−19線断面図
【図20】固定スリーブを焼き嵌めした場合の作用を説
明する図
【図21】固定軸および回転軸の熱膨張の関係を示すグ
ラフ
【符号の説明】
11 ケーシング 41 ロータ 87d ポート溝(ポート) 88b 螺旋溝 88c 摩耗粉捕集溝 88d ポート孔(ポート) 102 固定軸 113 回転軸 V 回転バルブ
フロントページの続き (72)発明者 高橋 勤 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 田島 雄一郎 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G081 BA06 BB00 BC07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(11)内に回転自在に収容
    したロータ(41)と、ロータ(41)と一体に回転す
    る中空の回転軸(113)と、ケーシング(11)に固
    定した固定軸(102)と、固定軸(102)および回
    転軸(113)の摺動面に形成されて高温の気相作動媒
    体の供給・排出を制御する回転バルブ(V)と、固定軸
    (102)に回転バルブ(V)を囲むように形成されて
    前記摺動面にリークした気相作動媒体を捕集するポート
    (87d,88d)とを備え、 固定軸(102)および回転軸(113)の摺動面に液
    相作動媒体を供給して静圧軸受けを構成する回転流体機
    械であって、 固定軸(102)および回転軸(113)の少なくとも
    一方の表面に、液相作動媒体のポート(87d,88
    d)への流入を阻止する螺旋溝(88b)を形成したこ
    とを特徴とする回転流体機械。
  2. 【請求項2】 ポート(87d,88d)の内側におけ
    る固定軸(102)および回転軸(41)の少なくとも
    一方の表面に、回転バルブ(V)において発生した摩耗
    粉を捕集する摩耗粉捕集溝(88c)を形成したことを
    特徴とする、請求項1に記載の回転流体機械。
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