JP2003074301A - 回転流体機械 - Google Patents

回転流体機械

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JP2003074301A
JP2003074301A JP2001265251A JP2001265251A JP2003074301A JP 2003074301 A JP2003074301 A JP 2003074301A JP 2001265251 A JP2001265251 A JP 2001265251A JP 2001265251 A JP2001265251 A JP 2001265251A JP 2003074301 A JP2003074301 A JP 2003074301A
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vane
working medium
phase working
piston
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Yasushige Kimura
安成 木村
Tsuneo Endo
恒雄 遠藤
Tsutomu Takahashi
勤 高橋
Yuichiro Tajima
雄一郎 田島
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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    • F01BMACHINES OR ENGINES, IN GENERAL OR OF POSITIVE-DISPLACEMENT TYPE, e.g. STEAM ENGINES
    • F01B13/00Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion
    • F01B13/04Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion with more than one cylinder
    • F01B13/06Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion with more than one cylinder in star arrangement
    • F01B13/068Reciprocating-piston machines or engines with rotating cylinders in order to obtain the reciprocating-piston motion with more than one cylinder in star arrangement the connection of the pistons with an actuated or actuating element being at the inner ends of the cylinders
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C1/00Rotary-piston machines or engines
    • F01C1/30Rotary-piston machines or engines having the characteristics covered by two or more groups F01C1/02, F01C1/08, F01C1/22, F01C1/24 or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members
    • F01C1/34Rotary-piston machines or engines having the characteristics covered by two or more groups F01C1/02, F01C1/08, F01C1/22, F01C1/24 or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members having the movement defined in group F01C1/08 or F01C1/22 and relative reciprocation between the co-operating members
    • F01C1/344Rotary-piston machines or engines having the characteristics covered by two or more groups F01C1/02, F01C1/08, F01C1/22, F01C1/24 or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members having the movement defined in group F01C1/08 or F01C1/22 and relative reciprocation between the co-operating members with vanes reciprocating with respect to the inner member
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02GHOT GAS OR COMBUSTION-PRODUCT POSITIVE-DISPLACEMENT ENGINE PLANTS; USE OF WASTE HEAT OF COMBUSTION ENGINES; NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F02G5/00Profiting from waste heat of combustion engines, not otherwise provided for
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転流体機械のシリンダおよびピストン間の
シール性を確実に確保できるようにする。 【解決手段】 回転流体機械は、ロータチャンバ14
と、ロータ41と、ロータ41のベーン溝49に案内さ
れるベーン48と、シリンダ44に摺動自在に嵌合する
ピストン47とを備え、ピストン47の往復動により動
力変換装置を介して気相作動媒体の圧力エネルギーおよ
びロータ41の回転エネルギーを相互に変換するととも
に、ベーン48の回転により気相作動媒体の圧力エネル
ギーおよびロータ41の回転エネルギーを相互に変換す
る。ベーン48およびベーン溝49の摺動面を潤滑する
液相作動媒体の一部を、水通路W10およびオリフィス
44cを介してシリンダ44およびピストン47の摺動
面に供給することで、オイルやシール部材を用いること
なく前記摺動面のシールを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相作動媒体の圧
力エネルギーとロータの回転エネルギーとを相互に変換
する回転流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】特開2000−320543号公報に開
示された回転流体機械はベーンおよびピストンを複合し
たベーンピストンユニットを備えており、ロータに半径
方向に設けられたシリンダに摺動自在に嵌合するピスト
ンが、環状溝とローラとで構成された動力変換装置を介
して気相作動媒体の圧力エネルギーとロータの回転エネ
ルギーとを相互に変換し、かつロータに半径方向摺動自
在に支持されたベーンが気相作動媒体の圧力エネルギー
とロータの回転エネルギーとを相互に変換するようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる回転
流体機械のシリンダおよびピストンの摺動面は高温高圧
の気相作動媒体に晒されるため、内燃機関のようなピス
トンリングを用いたシールは事実上困難である。またシ
リンダおよびピストンの摺動面をオイルによってシール
しようとすると、作動媒体にオイルが混入することが避
けられないため、作動媒体からオイルを分離する特別の
フィルター装置が必要になる。そこでシリンダおよびピ
ストンの摺動面のクリアランスを厳しく管理してシール
性を高めることが考えられるが、高温高圧の気相作動媒
体を用いる回転流体機械は冷間時と熱間時とで温度差が
極めて大きいため、熱膨張によってクリアランスの管理
が難しくなる問題がある。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、回転流体機械のシリンダおよびピストン間のシール
性を確実に確保できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、ロータチャン
バと、ロータチャンバ内に回転自在に収容されたロータ
と、ロータに半径方向に移動自在に支持された複数のベ
ーンピストンユニットとを備え、ベーンピストンユニッ
トは、ロータに形成したベーン溝に案内されてロータチ
ャンバ内を摺動するベーンと、ロータに設けたシリンダ
に摺動自在に嵌合してベーンと協働するピストンとより
なり、ピストンの往復動により動力変換装置を介して気
相作動媒体の圧力エネルギーおよびロータの回転エネル
ギーを相互に変換するとともに、ベーンの回転により気
相作動媒体の圧力エネルギーおよびロータの回転エネル
ギーを相互に変換し、かつベーンおよびベーン溝の摺動
面を液相作動媒体で潤滑する回転流体機械において、ベ
ーンおよびベーン溝の摺動面を潤滑する液相作動媒体の
一部をシリンダおよびピストンの摺動面に供給してシー
ルを行うことを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0006】上記構成によれば、シリンダおよびピスト
ンの摺動面に液相作動媒体を供給するので、液相作動媒
体の粘性による抵抗で前記摺動面を効果的にシールして
気相作動媒体の吹き抜けを防止することができるだけで
なく、液相作動媒体が気相作動媒体に混入しても、オイ
ルが混入した場合にような不具合が発生する虞がない。
またベーンおよびベーン溝の摺動面を潤滑する液相作動
媒体の一部を兼用してバイパスさせることでシール用に
利用するので、シール用の液相作動媒体を供給する経路
を別途特別に設ける必要がなくなって構造の簡素化に寄
与することができる。
【0007】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、シリンダおよびピストンが常
時摺動状態で対向している摺動面に液相作動媒体を供給
することを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0008】上記構成によれば、シリンダおよびピスト
ンが常時摺動状態で対向している摺動面に液相作動媒体
を供給するので、液相作動媒体が前記摺動面から漏れる
のを最小限に抑えてシール性を高めることができる。
【0009】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1または請求項2の構成に加えて、シリンダおよ
びピストンの摺動面に供給する液相作動媒体を予め加温
することを特徴とする回転流体機械が提案される。
【0010】上記構成によれば、シリンダおよびピスト
ンの摺動面に供給する液相作動媒体を予め加温するの
で、ピストンを作動させるべくシリンダに供給される気
相作動媒体が液相作動媒体により冷却されるのを最小限
に抑え、回転流体機械を性能を高めることができる。
【0011】また請求項4に記載された発明によれば、
請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、ロー
タの回転に伴ってシリンダに気相作動媒体を供給・排出
する気相作動媒体供給口および気相作動媒体排出口を備
え、気相作動媒体排出口が閉じてから気相作動媒体供給
口が開くまでの期間に動力変換装置はピストンの移動を
略停止させることを特徴とする回転流体機械が提案され
る。
【0012】上記構成によれば、回転流体機械の冷間始
動時等にシリンダ内に供給された気相作動媒体が冷却さ
れて液化した場合に、気相作動媒体排出口が閉じてから
気相作動媒体供給口が開くまでの期間、つまりシリンダ
内に液化した液相作動媒体が閉じ込められる期間にピス
トンの移動が略停止するので、ウオータハンマー現象の
発生を確実に防止することができる。
【0013】尚、実施例の第2蒸気通路S2は本発明の
気相作動媒体供給口に対応し、実施例の切欠85aは本
発明の気相作動媒体排出口に対応し、実施例のローラ7
1および環状溝74は本発明の動力変換装置に対応し、
実施例の気相作動媒体および液相作動媒体はそれぞれ本
発明の蒸気および水に対応する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1〜図15は本発明の一実施例
を示すもので、図1は内燃機関の廃熱回収装置の概略
図、図2は図4の2−2線断面図に相当する膨張機の縦
断面図、図3は図2の軸線周りの拡大断面図、図4は図
2の4−4線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図
6は図2の6−6線断面図、図7は図5の7−7線断面
図、図8は図5の8−8線断面図、図9は図8の9−9
線断面図、図10は図3の10−10線断面図、図11
はロータの分解斜視図、図12はロータの潤滑水分配部
の分解斜視図、図13はロータチャンバおよびロータの
断面形状を示す模式図、図14ケーシングの環状溝の形
状を示す図、図15はロータチャンバの内周面の形状お
よび吸気・排気のタイミングを示す図である。
【0015】図1において、内燃機関1の廃熱回収装置
2は、内燃機関1の廃熱(例えば排気ガス)を熱源とし
て、高圧状態の液体(例えば水)を気化させた高温高圧
状態の蒸気を発生する蒸発器3と、その蒸気の膨張によ
って出力を発生する膨張機4と、その膨張機4において
圧力エネルギーを機械エネルギーに変換して温度および
圧力が降下した蒸気を液化する凝縮器5と、凝縮器5か
らの液体(例えば水)を加圧して再度蒸発器3に供給す
る供給ポンプ6とを有する。
【0016】図2および図3に示すように、膨張機4の
ケーシング11は金属製の第1、第2ケーシング半体1
2,13より構成される。第1、第2ケーシング半体1
2,13は、協働してロータチャンバ14を構成する本
体部12a,13aと、それら本体部12a,13aの
外周に一体に連なる円形フランジ12b,13bとより
なり、両円形フランジ12b,13bが金属ガスケット
15を介して結合される。第1ケーシング半体12の外
面は深い鉢形をなす中継チャンバ外壁16により覆われ
ており、その外周に一体に連なる円形フランジ16aが
第1ケーシング半体12の円形フランジ12bの左側面
に重ね合わされる。第2ケーシング半体13の外面は、
膨張機4の出力を外部に伝達するマグネットカップリン
グ(図示せず)を収納する排気チャンバ外壁17により
覆われており、その外周に一体に連なる円形フランジ1
7aが第2ケーシング半体13の円形フランジ13bの
右側面に重ね合わされる。そして前記4個の円形フラン
ジ12b,13b,16a,17aは、円周方向に配置
された複数本のボルト18…で共締めされる。中継チャ
ンバ外壁16および第1ケーシング半体12間に中継チ
ャンバ19が区画され、排気チャンバ外壁17および第
2ケーシング半体13間に排気チャンバ20が区画され
る。排気チャンバ外壁17には,膨張機4で仕事を終え
た降温降圧蒸気を凝縮器5に導く排出口(図示せず)が
設けられる。
【0017】両ケーシング半体12,13の本体部12
a,13aは左右外方へ突出する中空軸受筒12c,1
3cを有しており、それら中空軸受筒12c,13c
に、中空部21aを有する回転軸21が一対の軸受部材
22,23を介して回転可能に支持される。これによ
り、回転軸21の軸線Lは略楕円形をなすロータチャン
バ14における長径と短径との交点を通る。
【0018】第2ケーシング半体13の右端に螺合する
潤滑水導入部材24の内部にシールブロック25が収納
されてナット26で固定される。シールブロック25の
内部に回転軸21の右端の小径部21bが支持されてお
り、シールブロック25および小径部21b間に一対の
シール部材27,27が配置され、シールブロック25
および潤滑水導入部材24間に一対のシール部材28,
28が配置され、更に潤滑水導入部材24および第2ケ
ーシング半体13間にシール部材29が配置される。ま
た第2ケーシング半体13の中空軸受筒13cの外周に
形成された凹部にフィルター30が嵌合し、第2ケーシ
ング半体13に螺合するフィルターキャップ31により
抜け止めされる。フィルターキャップ31および第2ケ
ーシング半体13間に一対のシール部材32,33が設
けられる。
【0019】図4、図13および図14から明らかなよ
うに、疑似楕円状を成すロータチャンバ14の内部に、
円形を成すロータ41が回転自在に収納される。ロータ
41は回転軸21の外周に嵌合して一体に結合されてお
り、回転軸21の軸線Lに対してロータ41の軸線およ
びロータチャンバ14の軸線は一致している。軸線L方
向に見たロータチャンバ14の形状は4つの頂点を丸め
た菱形に類似した疑似楕円状であり、その長径DLと短
径DSとを備える。軸線L方向に見たロータ41の形状
は真円であり、ロータチャンバ14の短径DSよりも僅
かに小さい直径DRを備える。
【0020】軸線Lと直交する方向に見たロータチャン
バ14およびロータ41の断面形状は何れも陸上競技の
トラック状を成している。即ち、ロータチャンバ14の
断面形状は、距離dを存して平行に延びる一対の平坦面
14a,14aと、これら平坦面14a,14aの外周
を滑らかに接続する中心角180°の円弧面14bとか
ら構成され、同様にロータ41の断面形状は、距離dを
存して平行に延びる一対の平坦面41a,41aと、こ
れら平坦面41a,41aの外周を滑らかに接続する中
心角180°の円弧面41bとから構成される。従っ
て、ロータチャンバ14の平坦面14a,14aとロー
タ41の平坦面41a,41aとは相互に接触し、ロー
タチャンバ14内周面とロータ41外周面との間には三
日月形を成す一対の空間(図4参照)が形成される。
【0021】次に、図3〜図6および図11を参照して
ロータ41の構造を詳細に説明する。
【0022】ロータ41は回転軸21の外周に一体に形
成されたロータコア42と、ロータコア42の周囲を覆
うように固定されてロータ41の外郭を構成する12個
のロータセグメント43…とから構成される。ロータコ
ア42にセラミック(またはカーボン)製の12本のシ
リンダ44…が30°間隔で放射状に装着されてクリッ
プ45…で抜け止めされる。各々のシリンダ44の内端
には小径部44aが突設されており、小径部44aの基
端はCシール46を介してスリーブ84との間をシール
される。小径部44aの先端は中空のスリーブ84の外
周面に嵌合しており、シリンダボア44bは小径部44
aおよび回転軸21を貫通する12個の第3蒸気通路S
3…を介して該回転軸21の内部の第1、第2蒸気通路
S1;S2,S2に連通する。各々のシリンダ44の内
部にはセラミック製のピストン47が摺動自在に嵌合す
る。ピストン47が最も半径方向内側に移動するとシリ
ンダボア44bの内部に完全に退没し、最も半径方向外
側に移動すると全長の約半分がシリンダボア44bの外
部に突出する。
【0023】各々のロータセグメント43は30°の中
心角を有する中空の楔状部材であって、ロータチャンバ
14の一対の平坦面14a,14aに対向する面には軸
線Lを中心として円弧状に延びる2本のリセス43a,
43bが形成されており、このリセス43a,43bの
中央に潤滑水噴出口43c,43dが開口する。またロ
ータセグメント43の端面、つまり後述するベーン48
に対向する面には4個の潤滑水噴出口43e,43e;
43f,43fが開口する。
【0024】ロータ41の組み立ては次のようにして行
なわれる。予めシリンダ44…、クリップ45…および
Cシール46…組み付けたロータコア42の外周に12
個のロータセグメント43…を嵌合させ、隣接するロー
タセグメント43…間に形成された12個のベーン溝4
9…にベーン48…を嵌合させる。このとき、ベーン4
8…およびロータセグメント43…間に所定のクリアラ
ンスを形成すべく、ベーン48…の両面に所定厚さのシ
ムを介在させておく。この状態で、治具を用いてロータ
セグメント43…およびベーン48…をロータコア42
に向けて半径方向内向きに締めつけ、ロータコア42に
対してロータセグメント43…を精密に位置決めした
後、各々のロータセグメント43…を仮止めボルト50
…(図8参照)でロータコア42に仮り止めする。続い
て各々のロータセグメント43にロータコア42を貫通
する2個のノックピン孔51,51を共加工し、それら
ノックピン孔51,51に4本のノックピン52…を圧
入してロータコア42にロータセグメント43…を結合
する。
【0025】図8、図9および図12から明らかなよう
に、ロータセグメント43およびロータコア42を貫通
する貫通孔53が2個のノックピン孔51,51の間に
形成されており、この貫通孔53の両端にそれぞれ凹部
54,54が形成される。貫通孔53の内部には2本の
パイプ部材55,56がシール部材57〜60を介して
嵌合するとともに、各々の凹部54内にオリフィス形成
プレート61および潤滑水分配部材62が嵌合してナッ
ト63で固定される。オリフィス形成プレート61およ
び潤滑水分配部材62は、オリフィス形成プレート61
のノックピン孔61a,61aを貫通して潤滑水分配部
材62のノックピン孔62a,62aに嵌合する2本の
ノックピン64,64でロータセグメント43に対して
回り止めされ、かつ潤滑水分配部材62およびナット6
3間はOリング65によりシールされる。
【0026】一方のパイプ部材55の外端部に形成され
た小径部55aは貫通孔55bを介してパイプ部材55
の内部の第6水通路W6に連通し、かつ小径部55aは
潤滑水分配部材62の一側面に形成した放射状の分配溝
62bに連通する。潤滑水分配部材62の分配溝62b
は6つの方向に延びており、その先端がオリフィス形成
プレート61の6個のオリフィス61b,61b;61
c,61c;61d,61dに連通する。他方のパイプ
部材56の外端部に設けらられたオリフィス形成プレー
ト61、潤滑水分配部材62およびナット63の構造
は、前述したオリフィス形成プレート61、潤滑水分配
部材62およびナット63の構造と同一である。
【0027】そしてオリフィス形成プレート61の2個
のオリフィス61b,61bの下流側は、ロータセグメ
ント43の内部に形成した第7水通路W7,W7を介し
て、ベーン48に対向するように開口する前記2個の潤
滑水噴出口43e,43eに連通し、他の2個のオリフ
ィス61c,61cの下流側は、ロータセグメント43
の内部に形成した第8水通路W8,W8を介して、ベー
ン48に対向するように開口する前記2個の潤滑水噴出
口43f,43fに連通し、更に他の2個のオリフィス
61d,61dの下流側は、ロータセグメント43の内
部に形成した第9水通路W9,W9を介して、ロータチ
ャンバ14に対向するように開口する前記2個の潤滑水
噴出口43c,43dに連通する。
【0028】図5を併せて参照すると明らかなように、
シリンダ44の外周に一対のOリング66,66で区画
された環状溝67が形成されており、一方のパイプ部材
55の内部に形成した第6水通路W6は、そのパイプ部
材55を貫通する4個の貫通孔55c…およびロータコ
ア42の内部に形成した第10水通路W10を介して前
記環状溝67に連通する。そして環状溝67はオリフィ
ス44cを介してシリンダボア44bおよびピストン4
7の摺動面に連通する。シリンダ44のオリフィス44
cの位置は、ピストン47が上死点および下死点間を移
動するときに、そのピストン47の摺動面から外れない
位置に設定されている。
【0029】図3および図9から明らかなように、潤滑
水導入部材24に形成した第1水通路W1は、シールブ
ロック25に形成した第2水通路W2、回転軸21の小
径部21bに形成した第3水通路W3…、回転軸21の
中心に嵌合する水通路形成部材68の外周に形成した環
状溝68a、回転軸21に形成した第4水通路W4、ロ
ータコア42およびロータセグメント43に跨がるパイ
プ部材69およびロータセグメント43の半径方向内側
のノックピン52を迂回するように形成した第5水通路
W5,W5を介して、前記一方のパイプ部材55の小径
部55aに連通する。
【0030】図7、図9および図11に示すように、ロ
ータ41の隣接するロータセグメント43…間に放射方
向に延びる12個のベーン溝49…が形成されており、
これらベーン溝49…に板状のベーン48…がそれぞれ
摺動自在に嵌合する。各々のベーン48はロータチャン
バ14の平行面14a,14aに沿う平行面48a,4
8aと、ロータチャンバ14の円弧面14bに沿う円弧
面48bと、両平行面48a,48a間に位置する切欠
48cとを備えて概略U字状に形成されており、両平行
面48a,48aから突出する一対の支軸48d,48
dにローラベアリング構造のローラ71,71が回転自
在に支持される。
【0031】ベーン48の円弧面48bにはU字状に形
成された合成樹脂製のシール部材72が保持されてお
り、このシール部材72の先端はベーン48の円弧面4
8bから僅かに突出してロータチャンバ14の円弧面1
4bに摺接する。ベーン48の両側面には各々2個のリ
セス48e,48eが形成されており、これらリセス4
8e,48eは、ロータセグメント43の端面に開口す
る半径方向内側の2個の潤滑水噴出口43e,43eに
対向する。ベーン48の切欠48cの中央に半径方向内
向きに突設したピストン受け部材73が、ピストン47
の半径方向外端に当接する。
【0032】図4から明らかなように、第1、第2ケー
シング半体12,13により区画されるロータチャンバ
14の平坦面14a,14aには、4つの頂点を丸めた
菱形に類似した疑似楕円状の環状溝74,74が凹設さ
れており、両環状溝74,74に各々のベーン48の一
対のローラ71,71が転動自在に係合する。これら環
状溝74,74およびロータチャンバ14の円弧面14
b間の距離は全周に亘り一定である。従って、ロータ4
1が回転するとローラ71,71を環状溝74,74に
案内されたベーン48がベーン溝49内を半径方向に往
復動し、ベーン48の円弧面48bに装着したシール部
材72が一定量だけ圧縮された状態でロータチャンバ1
4の円弧面14bに沿って摺動する。これにより、ロー
タチャンバ14およびベーン48…が直接固体接触する
のを防止し、摺動抵抗の増加や摩耗の発生を防止しなが
ら、隣接するベーン48…間に区画されるベーン室75
…を確実にシールすることができる。
【0033】図2から明らかなように、ロータチャンバ
14の平坦面14a,14aには、前記環状溝74,7
4の外側を囲むように一対の円形シール溝76,76が
形成される。各々の円形シール溝76には2個のOリン
グ77,78を備えた一対のリングシール79が摺動自
在に嵌合しており、そのシール面は各々のロータセグメ
ント43に形成したリセス43a,43b(図4参照)
に対向している。一対のリングシール79,79は、そ
れぞれノックピン80,80で第1、第2ケーシング半
体12,13に対して回り止めされる。
【0034】図2、図3および図10から明らかなよう
に、中継チャンバ外壁16の中心に開口16bが形成さ
れており、軸線L上に配置された固定軸支持部材81の
ボス部81aが前記開口16bの内面に複数のボルト8
2…で固定され、かつナット83で第1ケーシング半体
12に固定される。回転軸21の中空部21aにはセラ
ミックで円筒状に形成したスリーブ84が固定されてお
り、このスリーブ84の内周面に固定軸支持部材81と
一体化された固定軸85の外周面が相対回転自在に嵌合
する。固定軸85の左端は第1ケーシング半体12との
間をシール部材86によりシールされ、固定軸85の右
端は回転軸21との間をシール部材87によりシールさ
れる。
【0035】軸線L上に配置された固定軸支持部材81
の内部に蒸気供給パイプ88が嵌合してナット89で固
定されており、この蒸気供給パイプ88の右端は固定軸
85の中心に圧入される。固定軸85の中心には蒸気供
給パイプ88に連なる第1蒸気通路S1が軸方向に形成
され、また固定軸85には一対の第2蒸気通路S2,S
2が180°の位相差をもって半径方向に貫通する。前
述したように、回転軸21に固定したロータ41に30
°間隔で保持された12個のシリンダ44…の小径部4
4a…およびスリーブ84を12本の第3蒸気通路S3
…が貫通しており、これら第3蒸気通路S3…の半径方
向内端部は、前記第2蒸気通路S2,S2の半径方向外
端部に連通可能に対向する。
【0036】固定軸85の外周面には一対の切欠85
a,85aが180°の位相差をもって形成されてお
り、これら切欠85a,85aは前記第3蒸気通路S3
…に連通可能である。切欠85a,85aと中継チャン
バ19とは、固定軸85に軸方向に形成した一対の第4
蒸気通路S4,S4と、固定軸支持部材81に軸方向に
形成した環状の第5蒸気通路S5と、固定軸支持部材8
1のボス部81a外周に開口する通孔81b…とを介し
て相互に連通する。
【0037】図2および図4に示すように、第1ケーシ
ング半体12および第2ケーシング半体13には、ロー
タチャンバ14の短径方向を基準にしてロータ41の回
転方向Rの進み側15°の位置に、放射方向に整列した
複数の吸気ポート90…が形成される。この吸気ポート
90…により、ロータチャンバ14の内部空間が中継チ
ャンバ19に連通する。また第2ケーシング半体13に
は、ロータチャンバ14の短径方向を基準にしてロータ
41の回転方向Rの遅れ側15°〜75°の位置に、複
数の排気ポート91…が形成される。この排気ポート9
1…により、ロータチャンバ14の内部空間が排気チャ
ンバ20に連通する。ベーン48…のシール部材72…
が排気ポート91…のエッジで傷付かないように、それ
ら排気ポート91…は第2ケーシング半体13の内部に
形成した浅い凹部13d,13dに開口する。
【0038】第2蒸気通路S2,S2および第3蒸気通
路S3…、並びに固定軸85の切欠85a,85aおよ
び第3蒸気通路S3…は、固定軸85および回転軸21
の相対回転により周期的に連通する回転バルブVを構成
する(図10参照)。
【0039】図2から明らかなように、第1、第2ケー
シング半体12,13の円形シール溝76,76に嵌合
するリングシール79,79の背面に圧力室92,92
が形成されており、第1、第2ケーシング半体12,1
3に形成された第11水通路W11は、パイプよりなる
第12水通路W12および第13水通路W13を介して
両圧力室92,92に連通し、両圧力室92,92に加
わった水圧でリングシール79,79はロータ41の側
面に向けて付勢される。
【0040】第11水通路W11は、パイプよりなる第
14水通路W14を介して環状のフィルター30の外周
面に連通し、フィルター30の内周面は第2ケーシング
半体13に形成した第15水通路W15を介して第2ケ
ーシング半体13に形成した第16水通路W16に連通
する。第16水通路W16に供給された水は固定軸85
およびスリーブ84の摺動面を潤滑する。またフィルタ
ー30の内周面から第17水通路W17を介して軸受部
材23の外周に供給された水は、軸受部材23を貫通す
るオリフィスを通して回転軸21の外周面を潤滑する。
一方、第11水通路W11からパイプよりなる第18水
通路W18を介して軸受部材22の外周に供給された水
は、軸受部材22を貫通するオリフィスを通して回転軸
21の外周面を潤滑した後に、固定軸85およびスリー
ブ84の摺動面を潤滑する。
【0041】次に、上記構成を備えた本実施例の作用に
ついて説明する。
【0042】先ず、膨張機4の作動について説明する。
図3において、蒸発器3からの高温高圧蒸気は蒸気供給
パイプ88、固定軸85の中心を通る第1蒸気通路S
1、固定軸85を半径方向に貫通する一対の第2蒸気通
路S2,S2とに供給される。図10において、ロータ
41および回転軸21と一体に矢印R方向に回転するス
リーブ84が固定軸85に対して所定の位相に達する
と、ロータチャンバ14の短径位置からロータ41の回
転方向Rの進み側に在る一対の第3蒸気通路S3,S3
が一対の第2蒸気通路S2,S2に連通し、第2蒸気通
路S2,S2の高温高圧蒸気が前記第3蒸気通路S3,
S3を経て一対のシリンダ44,44の内部に供給さ
れ、ピストン47,47を半径方向外側に押圧する。図
4において、これらピストン47,47に押圧されたベ
ーン48,48が半径方向外側に移動すると、ベーン4
8,48に設けた一対のローラ71,71と環状溝7
4,74との係合により、ピストン47,47の前進運
動がロータ41の回転運動に変換される。
【0043】ロータ41の回転に伴って第2蒸気通路S
2,S2と前記第3蒸気通路S3,S3との連通が遮断
された後も、シリンダ44,44内の高温高圧蒸気が更
に膨張を続けることによりピストン47,47をなおも
前進させ、これによりロータ41の回転が続行される。
ベーン48,48がロータチャンバ14の長径位置に達
すると、対応するシリンダ44,44に連なる第3蒸気
通路S3,S3が固定軸85の切欠85a,85aに連
通し、ローラ71,71を環状溝74,74に案内され
たベーン48,48に押圧されたピストン47,47が
半径方向内側に移動することにより、シリンダ44,4
4内の蒸気は第3蒸気通路S3,S3、切欠85a,8
5a、第4蒸気通路S4,S4、第5蒸気通路S5およ
び通孔81b…を通り、第1の降温降圧蒸気となって中
継チャンバ19に供給される。第1の降温降圧蒸気は、
蒸気供給パイプ88から供給された高温高圧蒸気がピス
トン47,47を駆動する仕事を終えて温度および圧力
が低下したものである。第1の降温降圧蒸気の持つ熱エ
ネルギーおよび圧力エネルギーは高温高圧蒸気に比べて
低下しているが、依然としてベーン48…を駆動するの
に充分な熱エネルギーおよび圧力エネルギーを有してい
る。
【0044】中継チャンバ19内の第1の降温降圧蒸気
は第1、第2ケーシング半体12,13の吸気ポート9
0…からロータチャンバ14内のベーン室75…に供給
され、そこで更に膨張することによりベーン48…を押
圧してロータ41を回転させる。そして仕事を終えて更
に温度および圧力が低下した第2の降温降圧蒸気は、第
2ケーシング半体13の排気ポート91…から排気チャ
ンバ20に排出され、そこから凝縮器5に供給される。
【0045】このように、高温高圧蒸気の膨張により1
2個のピストン47…を次々に作動させてローラ71,
71および環状溝74,74を介しロータ41を回転さ
せ、また高温高圧蒸気が降温降圧した第1の降温降圧蒸
気の膨張によりベーン48…を介しロータ41を回転さ
せることによって回転軸21より出力が得られる。
【0046】次に、前記膨張機4のベーン48…および
ピストン47…の水による潤滑について説明する。
【0047】潤滑用の水の供給は凝縮器5からの水を蒸
発器3に加圧供給する供給ポンプ6(図1参照)を利用
して行われるもので、供給ポンプ6が吐出する水の一部
が潤滑用としてケーシング11の第1水通路W1に供給
される。このように供給ポンプ6を膨張機4の各部の静
圧軸受けへの水の供給に利用することにより、特別のポ
ンプが不要になって部品点数が削減される。
【0048】図3および図8において、潤滑水導入部材
24の第1水通路W1に供給された水は、シールブロッ
ク25の第2水通路W2…、回転軸21の第3水通路W
3…、水通路形成部材68の環状溝68a、回転軸21
の第4水通路W4、パイプ部材69およびロータセグメ
ント43に形成した第5水通路W5,W5を経て一方の
パイプ部材55の小径部55aに流入し、また前記小径
部55aに流入した水は一方のパイプ部材55の貫通孔
55b、両パイプ部材55,56に形成した第6水通路
W6および他方のパイプ部材56に形成した貫通孔56
bを経て、該他方のパイプ部材56の小径部56aに流
入する。
【0049】各々のパイプ部材55,56の小径部55
a,56aから各々の潤滑水分配部材62の分配溝62
bを経てオリフィス形成プレート61の6個のオリフィ
ス61b,61b;61c,61c;61d,61dを
通過した水の一部は、ロータセグメント43の端面に開
口する4個の潤滑水噴出口43e,43e;43f,4
3fから噴出し、他の一部はロータセグメント43の側
面に形成した円弧状のリセス43a,43b内の潤滑水
噴出口43c,43dから噴出する。
【0050】而して、各々のロータセグメント43の端
面の潤滑水噴出口43e,43e;43f,43fから
ベーン溝49内に噴出した水は、ベーン溝49に摺動自
在に嵌合するベーン48との間に静圧軸受けを構成して
該ベーン48を浮動状態で支持し、ロータセグメント4
3の端面とベーン48との固体接触を防止して焼き付き
および摩耗の発生を防止する。このように、ベーン48
の摺動面を潤滑する水をロータ41の内部に放射状に設
けた水通路を介して供給することにより、水を遠心力で
加圧することができるだけでなく、ロータ41周辺の温
度を安定させて熱膨張による影響を少なくし、設定した
クリアランスを維持して蒸気のリークを最小限に抑える
ことができる。
【0051】またベーン48の両面に各2個ずつ形成さ
れたリセス48e,48eに水が保持されるため、この
リセス48e,48eが圧力溜まりとなって水のリーク
による圧力低下を抑制する。その結果、一対のロータセ
グメント43,43の端面に挟まれたベーン48が水に
よって浮動状態になり、摺動抵抗を皆無に近い状態まで
低減することが可能になる。またベーン48が往復運動
するとロータ41に対するベーン48の半径方向の相対
位置が変化するが、前記リセス48e,48eはロータ
セグメント43側でなくベーン48側に設けられてお
り、かつベーン48に最も荷重の掛かるローラ71,7
1の近傍に設けられているため、往復運動するベーン4
8を常に浮動状態に保持して摺動抵抗を効果的に低減す
ることが可能となる。
【0052】尚、ロータセグメント43に対するベーン
48の摺動面を潤滑した水は遠心力で半径方向外側に移
動し、ベーン48の円弧面48bに設けたシール部材7
2とロータチャンバ14の円弧面14bとの摺動部を潤
滑する。そして潤滑を終えた水は、ロータチャンバ14
から排気ポート91…を介して排出される。
【0053】図2において、第1ケーシング半体12お
よび第2ケーシング半体13の円形シール溝76,76
の底部の圧力室92,92に水を供給してリングシール
79,79をロータ41の側面に向けて付勢し、かつ各
々のロータセグメント43のリセス43a,43bの内
部に形成した潤滑水噴出口43c,43dから水を噴出
してロータチャンバ14の平坦面14a,14aとの摺
動面に静圧軸受けを構成することにより、円形シール溝
76,76の内部で浮動状態にあるリングシール79,
79でロータ41の平坦面41a,41aをシールする
ことができ、その結果ロータチャンバ14内の蒸気がロ
ータ41との隙間を通ってリークするのを防止すること
ができる。このとき、リングシール79,79とロータ
41とは潤滑水噴出口43c,43dから供給された水
膜で隔絶されて固体接触することがなく、またロータ4
1が傾いても、それに追従して円形シール溝76,76
内のリングシール79,79が傾くことにより、摩擦力
を最小限に抑えながら安定したシール性能を確保するこ
とができる。
【0054】尚、リングシール79,79とロータ41
との摺動部を潤滑した水は、遠心力でロータチャンバ1
4に供給され、そこから排気ポート91…を経てケーシ
ング11の外部に排出される。
【0055】更に、図5において、パイプ部材55の内
部の第6水通路W6からロータセグメント43の内部の
第10水通路W10およびシリンダ44の外周の環状溝
67を経てシリンダ44およびピストン47の摺動面に
供給された水は、その摺動面に形成される水膜の粘性に
よりシール機能を発揮し、シリンダ44に供給された高
温高圧蒸気がピストン47との摺動面を通ってリークす
るのを効果的に防止する。このとき、高温状態にある膨
張機4の内部を通ってシリンダ44およびピストン47
の摺動面に供給された水は加温されているため、その水
によってシリンダ44に供給された高温高圧蒸気が冷却
されて膨張機4の出力が低下するのを最小限に抑えるこ
とができる。
【0056】しかもシール用の媒体として蒸気と同一物
質である水を用いたことにより、蒸気に水が混入しても
何ら問題はない。仮に、シリンダ44およびピストン4
7の摺動面をオイルでシールした場合には、水あるいは
蒸気にオイルが混入するのが避けられないため、オイル
を分離する特別のフィルター装置が必要となってしま
う。またベーン48およびベーン溝49の摺動面を潤滑
する水の一部を兼用してバイパスさせることでシリンダ
44およびピストン47の摺動面をシールするので、そ
の水を前記摺動面に導く水通路を別途特別に設ける必要
をなくして構造を簡素化することができる。
【0057】図14(A)には本実施例の環状溝74の
形状が示され、図14(B)には従来例の環状溝74の
形状が示される。従来例の環状溝74は楕円形状である
のに対し、本実施例の環状溝74は4つの頂点を丸めた
菱形状とされる。その結果、従来例ではロータチャンバ
14の内周面93とロータ41の外周面94とのクリア
ランスが位相0°のP1点および位相180°のP2点
において最小値になり、その前後で最小値から漸増して
いる。一方、本実施例ではロータチャンバ14の内周面
93とロータの41の外周面94とのクリアランスがP
1点およびP2点を基準とする±16°の範囲において
一定の最小値に保持され、その前後で最小値から漸増し
ている。つまり、前記±16°の範囲においてロータチ
ャンバ14の内周面93および環状溝74は軸線Lを中
心とする部分円弧を構成している。
【0058】回転バルブVは、位相0°のP1点および
位相180°のP2点を基準とする−16°の位置で固
定軸85の切欠85aおよび第3蒸気通路S3の連通が
遮断して蒸気の排出が終了し、位相0°のP1点および
位相180°のP2点を基準とする+16°の位置で第
2蒸気通路S2および第3蒸気通路S3が連通して蒸気
の供給が開始される。従って、P1点およびP2点を基
準とする±16°の範囲においてシリンダ44の内部空
間が密閉されることになる。シリンダ44の内部空間が
密閉された状態でピストン47が移動した場合、シリン
ダ44内に圧縮性の蒸気が存在していれば問題がない
が、非圧縮性の水が存在していればウオータハンマー現
象が発生することになる。シリンダ44に供給されるの
は高温高圧蒸気であるが、膨張機4の冷間始動時等にシ
リンダ44に供給された高温高圧蒸気が冷却されて液化
すると、シリンダ44内に水が滞留してウオータハンマ
ー現象を起こす可能性がある。
【0059】しかしながら本実施例では、シリンダ44
の内部空間が密閉される領域、つまりP1点およびP2
点を基準とする±16°の範囲で環状溝74は軸線Lを
中心とする部分円弧を成しているため、ピストン47が
シリンダ44に対して移動しないようにしてウオータハ
ンマー現象の発生を確実に防止することができる。
【0060】図15(A)には本実施例の吸気・排気タ
イミングが示され、図15(B)には従来例の吸気・排
気タイミングが示される。尚、上記何れの場合にも、ロ
ータ41には12枚のベーン48が等間隔で支持されて
おり、従って隣接する一対のベーン48が成す中心角は
30°となる。図15(B)に示す従来例は、一対のベ
ーン48により区画されたベーン室75と排気ポート9
1…との連通が遮断されるときのベーン48の位相(排
気終了位相)が、P1点およびP2点を基準として−2
4°に設定され、ベーン室75が吸気ポート90…と連
通するときのベーン48の位相(吸気開始位相)が、P
1点およびP2点を基準として+4°に設定されてい
る。従って、ベーン室75と低圧の排気ポート91…と
の連通が遮断された瞬間に、ベーン室75は既に高圧の
吸気ポート90…に連通しているために蒸気が導入され
る。このとき、−24°の排気終了位相と+4°の吸気
開始位相が非対称であるため、ベーン室75を区画する
一対のベーン48のうち、回転方向Rの遅れ側のベーン
48の突出量が回転方向Rの進み側のベーン48の突出
量よりも大きくなり、回転方向Rの遅れ側のベーン48
により大きな蒸気圧が作用してロータ41の回転方向R
と逆方向のトルクが作用してしまう。その結果、始動時
にロータ41の逆回転現象が発生したり、運転中にトル
ク変動による振動が発生したりする可能性がある。
【0061】また図15(B)に示す従来例は、排気終
了位相と吸気開始位相との位相差が28°であってベー
ン間角度の30°よりも小さいため、ベーン室75が高
圧の吸気ポート90…および低圧の排気ポート91…に
同時に連通する期間が存在し、この期間に吸気ポート9
0…から排気ポート91…への蒸気の吹き抜けが僅かに
発生する。この蒸気の吹き抜けを回避するにはベーン室
75が高圧の吸気ポート91…および低圧の排気ポート
91…に同時に連通する期間を無くすことが必要であ
り、そのために例えば吸気開始位相を+4°から+6°
に増加させると、ベーン室75と低圧の排気ポート91
…との連通が遮断され、かつベーン室75が高圧の吸気
ポート90…に連通する瞬間にベーン室75の容積が一
時的に減少することになる。これは排気終了位相と吸気
開始位相とが前後非対称であることに起因している。こ
のようにして密閉されたベーン室75の容積が減少する
と、蒸気が液化した水や潤滑用の水が前記ベーン室75
に閉じ込められている場合に、ウオータハンマー現象が
発生して振動、騒音、耐久性の低下等の原因となる可能
性がある。
【0062】それに対して、図15(A)に示す本実施
例は、排気終了位相および吸気開始位相がそれぞれ−1
5°および+15°に設定されており、かつ位相が−1
6°〜+16°の区間でロータチャンバ14の内周面9
3およびロータ41外周面94間のクリアランスが一定
に設定されている。従って、高圧の吸気ポート90…導
からベーン室75に蒸気が供給されたとき、ベーン室7
5を区画する一対のベーン48のうち、回転方向Rの遅
れ側のベーン48の突出量および回転方向Rの進み側の
ベーン48の突出量が共に前記クリアランスと等しくな
り、ロータ41の回転方向Rと逆方向のトルクが作用す
るのを防止してロータ41の逆回転現象やトルク変動の
発生を回避することができる。しかもベーン室75と低
圧の排気ポート91…との連通が遮断され、かつベーン
室75が高圧の吸気ポート90…に連通する瞬間に、一
定のクリアランスを有するベーン室75は容積が変化し
ないため、ベーン室75に水が閉じ込められていてもウ
オータハンマー現象が発生する虞がなくなり、振動、騒
音、耐久性の低下等を確実に防止することができる。
【0063】ところで、蒸気の圧力エネルギーを機械エ
ネルギーに効率的に変換するには、吸気ポート90…か
らベーン室75に吸入された蒸気が排気ポート91…か
ら排出されるまでの膨張比を大きくすることが必要であ
り、そのためには吸気開始位相をできるだけ早めること
が望ましい。しかしながら、本実施例の吸気開始位相は
+15°であって従来例の吸気開始位相の+4°よりも
遅れているので、膨張比を大きく確保する上では不利で
ある。そこで、本実施例では吸気行程初期における蒸気
の吸入体積が小さくなるようなロータチャンバ14の内
周面93の形状(つまり環状溝74の形状)を採用し、
従来例と同等の膨張比を確保している。
【0064】以上説明した実施例以外にも、ピストン4
7…の前進運動をロータ41の回転運動に変換する動力
変換装置の構成として、ベーン48…を介さず、ピスト
ン47…の前進運動を直接ローラ71…で受け、環状溝
74,74との係合で回転運動に変換することもでき
る。またベーン48…もローラ71…と環状溝74,7
4との協働により、前述の如くロータチャンバ14の内
周面から略一定間隔で常時離間していればよく、ピスト
ン47…およびローラ71…が、またベーン48…およ
びローラ71…が、各々独立して環状溝74,74と協
働しても良い。
【0065】前記膨張機4を圧縮機として使用する場合
には、回転軸21によりロータ41を図4の反矢印R方
向に回転させて、外気をベーン48…により排気ポート
91…からロータチャンバ14内に吸い込んで圧縮し、
このようにして得られた低圧縮空気を吸気ポート90…
から中継チャンバ19、通孔81b…、第5蒸気通路S
5、第4蒸気通路S4,S4、固定軸85の切欠85
a,85aおよび第3蒸気通路S3…を経てシリンダ4
4…内に吸入し、そこでピストン47…により圧縮して
高圧縮空気とする。このようにして得られた高圧縮空気
は、シリンダ44…から第3蒸気通路S3…、第2蒸気
通路S2,S2、第1蒸気通路S1および蒸気供給パイ
プ88を経て排出される。尚、膨張機4を圧縮機として
使用する場合には、前記蒸気通路S1〜S5および蒸気
供給パイプ88は、それぞれ空気通路S1〜S5および
空気供給パイプ88と読み変えるものとする。
【0066】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0067】例えば、実施例では回転流体機械として膨
張機4を例示したが、本発明は圧縮機としても適用する
ことができる。
【0068】また実施例では気相作動媒体および液相作
動媒体として蒸気および水を用いているが、他の適宜の
作動媒体を用いることができる。
【0069】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、シリンダおよびピストンの摺動面に液相作動
媒体を供給するので、液相作動媒体の粘性による抵抗で
前記摺動面を効果的にシールして気相作動媒体の吹き抜
けを防止することができるだけでなく、液相作動媒体が
気相作動媒体に混入しても、オイルが混入した場合によ
うな不具合が発生する虞がない。またベーンおよびベー
ン溝の摺動面を潤滑する液相作動媒体の一部を兼用して
バイパスさせることでシール用に利用するので、シール
用の液相作動媒体を供給する経路を別途特別に設ける必
要がなくなって構造の簡素化に寄与することができる。
【0070】また請求項2に記載された発明によれば、
シリンダおよびピストンが常時摺動状態で対向している
摺動面に液相作動媒体を供給するので、液相作動媒体が
前記摺動面から漏れるのを最小限に抑えてシール性を高
めることができる。
【0071】また請求項3に記載された発明によれば、
シリンダおよびピストンの摺動面に供給する液相作動媒
体を予め加温するので、ピストンを作動させるべくシリ
ンダに供給される気相作動媒体が液相作動媒体により冷
却されるのを最小限に抑え、回転流体機械を性能を高め
ることができる。
【0072】また請求項4に記載された発明によれば、
回転流体機械の冷間始動時等にシリンダ内に供給された
気相作動媒体が冷却されて液化した場合に、気相作動媒
体排出口が閉じてから気相作動媒体供給口が開くまでの
期間、つまりシリンダ内に液化した液相作動媒体が閉じ
込められる期間にピストンの移動が略停止するので、ウ
オータハンマー現象の発生を確実に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の廃熱回収装置の概略図
【図2】図4の2−2線断面図に相当する膨張機の縦断
面図
【図3】図2の軸線周りの拡大断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】図5の7−7線断面図
【図8】図5の8−8線断面図
【図9】図8の9−9線断面図
【図10】図3の10−10線断面図
【図11】ロータの分解斜視図
【図12】ロータの潤滑水分配部の分解斜視図
【図13】ロータチャンバおよびロータの断面形状を示
す模式図
【図14】ケーシングの環状溝の形状を示す図
【図15】ロータチャンバの内周面の形状および吸気・
排気のタイミングを示す図
【符号の説明】
14 ロータチャンバ 41 ロータ 44 シリンダ 47 ピストン 48 ベーン 49 ベーン溝 85a 切欠(気相作動媒体排出口) S2 第2蒸気通路(気相作動媒体供給口)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 勤 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 田島 雄一郎 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータチャンバ(14)と、ロータチャ
    ンバ(14)内に回転自在に収容されたロータ(41)
    と、ロータ(41)に半径方向に移動自在に支持された
    複数のベーンピストンユニットとを備え、 ベーンピストンユニットは、ロータ(41)に形成した
    ベーン溝(49)に案内されてロータチャンバ(14)
    内を摺動するベーン(48)と、ロータ(41)に設け
    たシリンダ(44)に摺動自在に嵌合してベーン(4
    8)と協働するピストン(47)とよりなり、 ピストン(47)の往復動により動力変換装置を介して
    気相作動媒体の圧力エネルギーおよびロータ(41)の
    回転エネルギーを相互に変換するとともに、ベーン(4
    8)の回転により気相作動媒体の圧力エネルギーおよび
    ロータ(41)の回転エネルギーを相互に変換し、 かつベーン(48)およびベーン溝(49)の摺動面を
    液相作動媒体で潤滑する回転流体機械において、 ベーン(48)およびベーン溝(49)の摺動面を潤滑
    する液相作動媒体の一部をシリンダ(44)およびピス
    トン(47)の摺動面に供給してシールを行うことを特
    徴とする回転流体機械。
  2. 【請求項2】 シリンダ(44)およびピストン(4
    7)が常時摺動状態で対向している摺動面に液相作動媒
    体を供給することを特徴とする、請求項1に記載の回転
    流体機械。
  3. 【請求項3】 シリンダ(44)およびピストン(4
    7)の摺動面に供給する液相作動媒体を予め加温するこ
    とを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の回転
    流体機械。
  4. 【請求項4】 ロータ(41)の回転に伴ってシリンダ
    (44)に気相作動媒体を供給・排出する気相作動媒体
    供給口(S2)および気相作動媒体排出口(85a)を
    備え、気相作動媒体排出口(85a)が閉じてから気相
    作動媒体供給口(S2)が開くまでの期間に動力変換装
    置はピストン(47)の移動を略停止させることを特徴
    とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の回転
    流体機械。
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