JP4766853B2 - 水栓 - Google Patents

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Description

本発明は、アルカリイオン生成器を備えた水栓であり、特に、給水源からの原水を例えばイオン交換や電気分解等によってアルカリ化する為の水処理装置に使用される水栓に関する。
従来、家庭用シンク等では給水・給湯用の水栓が使用されている。近年、水に対する意識の高まりから、これらの混合栓に浄水器やアルカリイオン生成器などを取り付けることが増えてきている。従来の混合水だけでなく浄水器などで浄化された浄水を吐出するようにしたものが提案されている(特許文献1〜3参照)。
一方、水栓用バルブには、湯または水の供給量の調節や止水、吐水を単独で行う単水栓や、一つのバルブを湯水の吐出量および温度の調節が可能で、弁体にアルミナラミックス等を用いたものが、近年急速に普及してきている(特許文献4、5参照)。
このような弁体として、特許文献4の実験例1(公報第3頁左上3行目参照)や特許文献5の実験例1(段落0019参照)には90〜96質量%のアルミナセラミックスを用いて弁体を構成することが提案されている。
特開平8−151668号公報 特開平4−140579号公報 特開平6−158693号公報 特開平2−256973号公報 特開平4−351379号公報
しかしながら、特許文献1〜3の浄水器やアルカリイオン生成器を備えた水栓に用いる弁体としては、具体的な特徴の記載は無く、弁体として単なるセラミックスであることのみの記載があるだけである。そこで、従来からある水栓の純度のアルミナセラミックスを使用しても以下のような不具合があった。
即ち、アルカリイオン生成器にて生成されたアルカリイオン水を、弁体内に挿通させていると、アルミナセラミックスの表面において、結晶の液相成分であるSiOやCaO、NaO等のガラス成分が選択的に浸食され、表面のボイドが大きくなり、増加するといった課題があった。また、ガラス成分が溶出した結果、摩耗体積や摺動抵抗の上昇し、また、ボイドに水中の異物や弁体バルブ同士の摩耗粉が堆積し、凝着が起こりやすいといった課題があった。
また、アルカリイオン成分自体のCa成分などの金属イオン成分を多く含む結果、弁体バルブの表面に、金属成分や炭酸カルシウムなどが付着し、互いの弁体を摺動させる際に、付着物上での摺動で摩擦抵抗が増加し、これにより弁体同士の微振動が起こり、異音の発生が生じるといった課題があった。
また、アルカリイオン水中で使用していると、ボイドや凝着が原因となって、水漏れ等が発生するなどの課題があった。
そこで、これらの課題を克服するものとして、耐食性の良い炭化珪素などの基体で製作することも考えられるが、近年、弁体バルブは安価に製作することが必要であることから、炭化珪素での製作は好ましくなかった。
本発明は、アルカリイオン生成器を通じてアルカリイオン水の水量を互いに摺動する2枚の弁体により制御するよう構成してなる水栓において、上記2枚の弁体は、アルミナが99重量%以上含有したアルミナセラミックスにより形成されており、平均ボイド径が0.1〜3.0μmの範囲で、ボイド占有率が2.0%以下であり、且つ10点平均粗さ(Rz)が0.5μm以下であることを特徴とする水栓を提供する。
上記弁体の摺動面のいずれか一方のみに、ダイヤモンド状炭素膜を被着してもよい。

本発明によれば、上記2枚の弁体はアルミナが99重量%以上のアルミナセラミックスによって形成したので、アルカリイオン水中の弱アルカリ性環境でもアルミナ結晶の表層のガラス成分が溶出し難く、ボイドが大きくなることや、ボイドが増加するといったことを防ぐことができる。また、ボイドへの金属成分の付着要因が減るため、異音や水漏れなどの不具合が減少できる。
また、上記アルミナセラミックスの平均ボイド径が0.1〜3.0μmの範囲で、且つ十点平均粗さ(Rz)が0.5μm以下としたために、弁体が摺動する際に流体がボイドの中に対流しにくく、ボイド近傍への付着物の低減が可能となる。また、リンキングを防ぐ為にも単純にボイド占有率を小さくするだけでなく、深さ方向の管理も同時に必要である。
また、ボイド占有率が2.0%以下とすることで、アルカリイオン水中のアルカリ成分である金属イオンボイドを核として成長する付着物が減少する。その結果、付着が原因となって、水漏れやスティックスリップ音等の異音が発生するなどの課題が解決できる。
さらに、上記弁体の摺動面のいずれか一方のみに、ダイヤモンド状炭素膜を被着したので、上記アルミナ基体との摺動抵抗を下げることが可能となり、摩耗量が減少すると共に摩耗粉も減少され、ボイドに入り込む付着物が減少し、異音や水漏れなどの課題が解決できる。また、耐食性の良い炭化珪素などの基体で製作する必要なく安価なアルミナ原料で製作することができる。
以下、本発明の実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係る水栓の一実施例を示す概略断面図である。また、図2は、本発明に係る弁体バルブの一実施例を示しており、(a)は可動弁体の上方面、(b)は固定弁体の下方面、(c)はそれぞれを重ねた情報面からの斜視図をそれぞれ示すものである。
本発明による水栓1は、水栓1本体上に固定された固定弁体2と、この固定弁体2錠に摺動可能に設けられた可動弁体3と、可動弁体3上部に接続された操作レバー4と、水栓1本体下方から本体内に挿入された給湯管路5、給水管路6、浄水器への給水管路7、浄水管路8の4本の管路と、水栓1本体上部に取り付けられた吐水パイプ9とを主な構成要素として備えて構成されている。そして、浄水器への給水管路7と浄水管路8の先にはアルカリイオン生成器(不図示)が連結されている。
水栓1本体内には、給湯管路5、給水管路6および浄水器給水管路7の各管路が本体上端に貫通するように設けられ、本体上端にはそれぞれ第1の開口5a、第2の開口6a、第3の開口7aが形成されている。また、水栓1内には、吐出パイプ9の湯水吐出管路10に接続され本体上端に貫通して第4の開口11aとなる湯水吐出流路11と、浄水管路8に接続されて吐出パイプ9の浄水吐出管路12に連通する浄水流路13がそれぞれ設けられている。
また、水栓1本体の上部には、湯水吐出流路11の出口である第5の開口15が設けられ、水栓1本体内の湯水吐出流路11と吐出パイプ9の湯水吐出管路10とが連通されている。
また下側には第6の開口16が設けられ、水栓1本体内の浄水流路13と吐出パイプ9の浄水吐出管路12とが連通されている。
そして、固定弁体2は、図2(b)に示すように、4つの貫通孔62が形成されており、これらの貫通孔62はそれぞれ弧状をなし、水栓1本体の上端に形成された第1〜4の開口5a、6a、7a、11aの各々に接続されている。
この固定弁体2上の上面側52には、図2(c)に示すように、固定弁体2よりもやや小径で、図2(b)に示すように、一面側53に長溝63が形成された可動弁体3が互いに摺動可能に載置されている。
そして、これらの固定弁体2と可動弁体3の互いの摺接面同士を密着させ、レバー4を動かして、可動弁体2を摺動させることにより、互いの弁体2、3に備える流体通路63、62の開閉を行い、供給流体の流量調整を行うと共に、流体吐出口33a、33bの開度調整を行うようになっている。
本発明の特徴とするところは、固定弁体2と可動弁体3の基体が、99%以上のアルミナによって形成したことを特徴とするものである。
上記2枚の弁体が、アルミナが99質量%のアルミナセラミックスで形成したので、アルカリイオン水中の弱アルカリ性環境でもアルミナの表層のSiOやCaO、NaOなどのガラス成分が溶出し難く、エッチングによってボイドが大きくなることや、ボイドが増加するといったことを防ぐことができる。また、ボイドへの金属成分の付着要因が減るため、異音や水漏れなどの不具合が減少できる。
そして、このアルミナセラミックスは、ヤング率が250〜400GPaで、かつビッカース硬度(Hv1.0)が12GPaより大きな値を有するため、固定可動弁体3との押圧力を大きくしても摺接面52を変形させることがなく、また、耐薬品性にも優れることから長期間に渡って使用可能な弁体バルブを提供することができる。さらに好ましくは99.5質量%以上のアルミナセラミックスを用いるのが良い。
アルミナセラミックスを製造するにあたっては、アルミナ99重量%以上に対し、焼結助剤としてSiO、MgO、CaOを合計で0.1重量%〜1重量%添加して、所望の形状に成形した後、大気雰囲気中や真空雰囲気中にて1500℃〜1700℃の温度で焼成し、焼結体を得る。なお、成形に関してはCIP成形やプレス成形などの公知な成形方法でよく、弁体2、3は量産性も問われることからプレス成形によるものが好ましい。次に得られた焼結体の厚みに関して研削を行い、所望の面粗さまで研磨加工を行う。
これらのアルミナは特に特別なものではなく、通常一般的な構造部材として用いられるアルミナセラミックスであれば良いが、さらに好ましくはボイド平均径が0.1〜3.0μmの範囲で、且つ十点平均粗さ(Rz)が0.5μm以下であることが良い。
本発明によれば、これらのSiO、MgO、CaO成分がエッチングされていないことが判る。これらの成分がエッチングされているのかどうかを確認するには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)により分析を行えば確認できる。例えば、アルバック・ファイ社製のADEPT1010を用いて、一次イオン種をO として取り込み元素を陽イオンに絞り、加速電圧3.0kV、電流150nAで分析すればよい。このようにSIMSで確認すれば、基体表面でSiOやCaO、NaOがエッチングされていれば、SiやCa、Naの検出成分が内部に行く程上昇し最終的に一定状態で推移することが判る。そして、SIMSでは予めAESやXPSで組成が判っているリファレンスを参考にすれば良い。
また、アルカリイオン水中のCa成分などの金属イオン成分を多く含む水を挿通しても、ボイドが大きくなることや、増加することがないので、吐水される水によって弁体2、3の表面に、金属成分やCaOなどが付着し難くなる。そして、互いの弁体2、3を摺動させる際に、付着物上での摺動で摩擦抵抗が増加し、これにより弁体2、3同士の微振動が起こり、異音の発生が生じることがない。
また、本発明に用いる弁体2、3の摺動面のボイド平均径が0.1〜3.0μmの範囲で、且つ十点平均粗さ(Rz)が0.5μm以下であることが好ましい。
ボイドが小さくて深い場合、ボイドの内部でアルカリイオン水が対流しボイド中のイオン成分の濃度がミクロ的に見た場合に高濃度となる。その為、ボイド近傍で付着物析出しやすくなる。一方、ボイドが充分大きくて深い場合は、流体の移動が容易でボイドへの対流は少ないため、水中成分の濃度が低く保たれ、析出はない。さらに、ボイドが浅い場合は、アルカリイオン水の移動速度が高くなりボイド近傍への付着物の析出はない。
このようなメカニズムがあるので、ボイドの大きさを決めるボイド占有率と深さを決める十点平均粗さ(Rz)を同時に管理することが必要である。特に近年、シール性の観点から、弁体のボイドを少なくする傾向があり、少なくした結果、僅かな深いボイドであった場合に付着物の析出となりやすいことがある。
ところで、0.1μmよりも小さいボイドは実質的にアルミナであれば、製作が困難で、
3.0μmより大きいと上述した金属成分や炭酸カルシウムなどの付着がしやすくなる。その為、0.1〜3.0μmの範囲とすることが良く、さらに好ましくは0.1〜1.5μmの範囲がさらに良い。
さらに、十点平均粗さ(Rz)が0.5μm以下であるのは、0.5μmよりも大きいと付着物が極端に多くなり、異音の発生やトルク上昇となってしまう。従って十点平均粗さ(Rz)は0.5μm以下の範囲であることが良く、好ましくは0.3μm以下であることがよい。
また、本発明の弁体2、3の摺動面の平均ボイド占有率が2.0%以下であることを特徴としている。ボイド占有率が2.0%よりも大きいと金属成分やCaOの付着が早くなり、異音の発生が早くなる。従って、平均ボイド占有率が2.0%以下であることが良く、さらに好ましくは1.0%以下であることが良い。
なお、これらのボイド占有率やボイドの平均径を測定するには、試料片を採取し、表面を鏡面加工後に、ニレコ社製の「LUZEX−FS」画像解析処理装置にて測定すればよい。条件の一例としては、倍率100倍、測定面積9.0×10μm、測定ポイント10箇所、測定総面積9.0×10μmの範囲を測定すればよい。
また、本発明は、固定弁体2の摺接面52には自己潤滑性に優れ且つ高硬度を有するダイヤモンド状硬質炭素膜を被着してもよく、ダイヤモンド状硬質炭素膜を被着している場合には、無潤滑状態にも関わらず可動弁体3を大きく摩耗させることなくレバー4の操作力を低減して滑らかに摺動させることが可能となる。
ところで、固定弁体2を樹脂で形成したものではダイヤモンド状硬質炭素膜を被着することができず、また、金属で形成したものではセラミック焼結体に比べ硬度が小さいことから、固定弁体2との押圧力により変形し、その表面に被着するダイヤモンド状硬質炭素膜を破損させてしまう恐れがある。
これに対し、アルミナセラミックスは高硬度を有することから固定弁体2との押圧力により変形することがないため、その表面に被着するダイヤモンド状硬質炭素膜を破損させることがなく、また高い加工精度が得られることから、可動弁体3の表面を滑らかな面に仕上げ、その表面に被着するダイヤモンド状硬質炭素膜の表面を可動弁体3の表面に倣った平滑かつ平坦な面とすることができる。さらに、価格的にも安価なものを得ることが可能となる。
そして、99質量%以上の純度のアルミナセラミックスとすることで、耐食性が損なわれず、さらにダイヤモンド状硬質炭素膜の成膜時に基体表面の液相がエッチングされ難い基体を提供することが可能となる。特に近年の研究によれば、ダイヤモンド状硬質炭素膜を成膜する際に、中間層を被着することがあるが、この中間層はPVDにより成膜することが多く、その際、アルミナ表面の液相部分のSiO、CaO、NaO等が選択的にエッチングされてしまう。その為、基体表面近傍で、液相成分が減少することもなく、基体表面の面状態が損なわれることがない。その結果、摺接面52の面状態は基体面自体の面状態と変わらない面状態を得ることが可能となる。
尚、基体とダイヤモンド状硬質炭素膜の密着力を向上させる為に、TiやSiなどの中間層をPVDで被着した後、ダイヤモンド状硬質炭素膜をCVDにて成膜することや、CやSiの混合層を基体にイオン注入した後、CVDにてダイヤモンド状硬質炭素膜を成膜しても良い。
ところで、中間層を被着する場合には、Ti膜及びSi膜の各厚みをそれぞれ0.15μm以上とするとともに、中間層全体の厚みを0.9μm以下とした後、ダイヤモンド状硬質炭素膜を0.8〜1.5μm被着すれば良い。
また、イオン注入した場合には、混合層の厚みが50〜200nmの範囲で形成した後、ダイヤモンド状硬質炭素膜を0.8〜1.5μm被着すれば良い。混合層は50nmよりも小さい厚みであれば、充分にイオン注入がされずに、ダイヤモンド状硬質炭素膜の密着性が得られない。また、応力緩和層としての機能が得られない。逆に200nmを超えると混合層による応力緩和が損なわれ、ダイヤモンド状硬質炭素膜の成膜が充分に行うことができないといった不具合が生じてしまう。従って、混合層の厚みが50〜200nmの範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは50〜150nmの範囲であることが良い。
また、注入原子26bが、炭素及びSi、Ti、Zr、Hfのいずれか1種以上の元素を含むことを特徴とするものであることが好ましい。
これらの元素を含むことにより、ダイヤモンド状硬質炭素膜の密着強度が損なわれず、イオン注入によって成膜された結果、表面の略球状突起を低減させることができ、操作トルクの変化の少ない水栓1を提供することができる。そして、その結果、異物の付着の低減ができ、操作時の異音を低減する効果が得られる。
さらに、本発明の弁体2、3は、各摺動面52、53の算術平均粗さが0.2μm以下であることが好ましい。
各弁体2、3の摺接面52、53は、水漏れ防止するためにその平面度を1μm以下とするとともに、表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下としてある。算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下とすれば、シール性を高めることが出来るとともに、ダイヤモンド状硬質炭素膜によって、摩擦係数を低減させることができるため、スティックスリップ現象や異音の発生を効果的に防止し、長期間にわたって滑らかに摺動させることができる。ここで算術平均粗さ(Ra)は、(株)小坂研究所製のSurfcorder SE−2300等の表面粗さ測定装置を用いて、JIS B0601に準拠して測定すればよい。
特に好ましくは、双方の弁体2、3の摺接面52、53を算術平均粗さ(Ra)で0.12μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下とし、かつその平面度を1μm以下とすることが良い。双方の弁体2、3の摺接面52、53における表面状態が0.2μmを超えて粗くなると、特にアルカリイオン生成器を組み付けたものは、弁体2、3間に大きな水圧が加わり、水漏れを生じ恐れがあるからである。ここで平面度は、ニコン社製のオプティカルフラット検査測定装置などを用いて、JIS B0621に準拠して測定すればよい。
ところで、上述するダイヤモンド状硬質炭素膜は、実質的に炭素からなり、若干の結晶質を含んでいても良いが基本的に非晶質構造をしたもので、規則的な結晶構造を持つダイヤモンド、立方晶窒化硼素(cBN)、六方晶窒化硼素(hBN)とは異なる組成のものである。
このダイヤモンド状硬質炭素膜をグラファイトやダイヤモンドの同定によく用いられるラマン分光分析装置を使って調べると、ダイヤモンドのピーク位置である1333cm−1と、グラファイトのピーク位置である1550cm−1の近傍にそれぞれピークを有するものである。なお、本発明の弁体バルブに用いるダイヤモンド状硬質炭素膜は、ピークがダイヤモンドあるいはグラファイトのいずれか一方に偏っていても良く、好ましくはダイヤモンドのピーク位置に偏っている方が良い。
このようなダイヤモンド状硬質炭素膜は、ビッカース硬度(Hv1.0)が20〜50GPaと非常に硬い硬度を有しているため、固定可動弁体3との摺動においても殆ど摩耗することがない。
さらに、ダイヤモンド状硬質炭素膜中に、ジルコニウム、タングステン、チタンのうち少なくとも一種以上の金属と珪素を含有させても構わない。このようにジルコニウム、タングステン、チタンのうち少なくとも一種以上の金属と珪素を含有させることにより、膜内部における残留応力を低減して結合力を高めることができる。その為、可動固定弁体2との密着力をより強固なものとすることができるとともに、ビッカース硬度(Hv1.0)で55GPa以上の高硬度を持った膜とすることができる。なお、ジルコニウム、タングステン、チタンのうち少なくとも一種以上の金属と珪素を含有させたダイヤモンド状硬質炭素膜は、これらの成分を含まないダイヤモンド状硬質炭素膜とは異なり、ラマン分光分析装置における測定では1480cm−1の近傍に一つのピークを有するものである。
なお、イオン注入を混合層として形成する場合、ダイヤモンド状硬質炭素膜を被着する手段としては、ダイヤモンド状硬質炭素膜20の成膜後にイオン注入法によりイオンを注入して混合層を形成する方法ではなく、基体表面に炭素原子と注入原子を注入して混合層を形成した後、CVD法やPVD法等の従来のダイヤモンド状硬質炭素膜20の成膜方法によってダイヤモンド状硬質炭素膜20を形成するか、あるいは、混合層形成の為のイオン注入と、ダイヤモンド状硬質炭素膜20を同時に形成する方法であれば良い。
そして、RF・高電圧パルス重畳方式プラズマイオン注入成膜(Plasma Based Ion Implantation and Deposition,PBIID)法にて用いて常温から200℃までの低温で混合層を成膜すればよい。
はじめにアルゴンガスでスパッタクリーニングを行い、次にCHやC6、トルエン等のCとHから構成される混合ガスによるソースガスを用いてイオン注入すればよい。
絶縁体の基体表面にイオン注入を行う方法としては、固定弁体2を、アルミニウム、銅、黄銅、ステンレス等の導通のある金属材料からなる固定弁体2を埋設可能な治具に保持・固定し、上記治具と基体とを同時に、共通のフィールドとして、パルスプラズマ発生するRFパルスとイオン注入を行う負の高電圧パルスを印加することで、絶縁の基体にイオン注入が可能となる。
ダイヤモンド状硬質炭素膜20の形成方法としてはイオンプレーティング法または真空蒸着法により行えば、高真空中でイオン注入も同時に行うことが可能となる。
また、ダイヤモンド状硬質炭素膜20を形成する為のソースガスはCHやC6、トルエン等のCとHから構成される混合ガスであればよい。
以上の本発明の実施形態では、一方の固定弁体2にはダイヤモンド状硬質炭素膜を被着弁体バルブ1について説明したが、一方の固定弁体2と他方の可動弁体3の材質を逆にして用いたものであっても同様の効果を得ることができることはいうまでもない。
以下、本発明の実施例を示す。
本発明の水栓1と比較するため、比較例として固定弁体2と可動弁体3にアルミナ純度が各種変更したものを用い、その表面にPVD法によってTi膜とSi膜をこの順序で積層した中間層23を介してCVD法によって、ダイヤモンド状硬質炭素膜を被着したものを準備した。
アルミナは、出発原料として、所望の各純度のアルミナ粉末を用いて、所望の割合となるように酸化マグネシウムを加え、イオン交換水、高純度アルミナボールを使用して湿式粉砕、混合を繰り返し、平均粒径1.5〜2.5μm以下のアルミナスラリーを製作する。これに7重量%の有機バインダーを加えてから、スラリーをスプレードライ法にて造粒、整粒する。得られた造粒体をゴム型に充填し、蓋をしてシールし、CIP法にて78.5MPaにて成形を行う。所望の形状に切削加工を施し、トップ温度1550〜1700℃の大気雰囲気にて焼成を行う。厚み研削を行い所望の形状の弁体を得た。そして、これらの弁体2、3を水栓1の中に組み込み摺動特性を調べた。
固定弁体2は外径32mm、厚み5mmの略円板状体とした。また、可動弁体3は外径25mm、厚み5mmの略円板状体とした。
そして、双方の弁体2、3の摺接面52、53に研磨加工を施して平坦度を1μm以下、表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下とした。
このようにして形成した双方の固定弁体2、30を、互いの摺接面52、53が接するようにケーシングによって軸力294Nの力で押さえつけながら給水栓にセットし、80℃の温水を0.74MPaの圧力で注入した状態のもとで、操作レバーを操作するのに必要なレバー押し付け力(トルク)をプッシュプルゲージで測定し、トルク上昇した摺動回数を測定した。ここで、トルク上昇とは、水栓のレバーを上下する際の荷重が10Nを超えたときをいう。
また、摺動させた際の異音の発生有無を調べた。ここで、異音とは、稼働中の水栓から30cm離れた位置で、正常な聴力を有する者が聞いて、キーキーと鳴くような不快音を確認した音とした。この時、15万回まで持たずに異音の発生したものを「×」、15万回以上でも異常のないものを「△」で示し、20万回でも異常のないものを「○」で表した。実験の結果を表1に示す。
Figure 0004766853
この結果、本発明の水栓を用いたものでは、15万回以上摺動させても異音やトルク上昇がなく、長期間にわたって滑らかな摺動特性を得ることができた。特に、ボイド占有率が2.0%以下、平均ボイド径が0.1〜3.0μmの範囲のものに関しては20万回以上でも異音の発生のないものを得ることができた。
本発明に係る水栓の一実施例を示す概略断面図である。 本発明に係る弁体バルブの一実施例を示しており、(a)は可動弁体の上方面、(b)は固定弁体の下方面、(c)はそれぞれを重ねた情報面からの斜視図をそれぞれ示すものである。
符号の説明
1…水栓
2…固定弁体
3…可動弁体
4…レバー
5…給湯管路
6…給水管路
7…浄水器への給水管路
8…浄水管路
9…吐水パイプ
10…湯水吐出管路
11…湯水吐出流路
12…浄水吐出管路
13…浄水流路
52、53…摺動面
62…貫通孔
63…長溝

Claims (2)

  1. アルカリイオン生成器を通じてアルカリイオン水の水量を互いに摺動する2枚の弁体により制御するよう構成してなる水栓において、
    上記2枚の弁体は、アルミナが99重量%以上含有したアルミナセラミックスにより形成されており、平均ボイド径が0.1〜3.0μmの範囲で、ボイド占有率が2.0%以下であり、且つ10点平均粗さ(Rz)が0.5μm以下であることを特徴とする水栓。
  2. 上記弁体の摺動面のいずれか一方のみに、ダイヤモンド状炭素膜を被着したことを特徴とする請求項1記載の水栓。
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