JP4766763B2 - 電源装置及びそれを用いた機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部電源を利用する音響機器などの機器に用いるための電源装置及びそれを用いた機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、あらゆる家電製品に対して、消費者保護の立場より、PL法制定等安全面では特に製造者責任のウエイトが大きくなっている。特に火災等に関する事項は、第一優先で実施すべきものである。そのため、音響機器などの家電製品において種々の対策がなされており、それに利用する電源装置においてもその対策がなされている。
【0003】
図6及び図7は音響機器などに用いられる従来の電源装置の一例を示すものである。
図6及び図7において、電源装置101は、電源プリント配線基板102、パワ−トランスユニット103及びACインレット104から構成され、音響機器を構成する各種部品を収納するための、樹脂にて形成された例えば前キャビネットと後キャビネットをからなるキャビネット内において、各種部品の後方すなわち後キャビネット105内の後部に配置される。
【0004】
前記電源装置101は、前記電源プリント配線基板102上に前記パワ−トランスユニット103、ACインレット104の接続端子104a及びその他の電気部品(図示せず)がそれぞれ半田付けされて形成されており、前記接続端子104aが前記電源プリント配線基板102の裏面側に露出しているものである。そして、この電源装置101は、後キャビネット105内にこれと一体に形成されたガイドピン105aによって位置決めされ、締結ビス106によって後キャビネット105のビス受け部105bにビス締めされて固定される。前記電源装置101は、ACインレット104における一次活電部である接続端子104aの露出部から仮に発火して火炎Fが生じたとしても、前記接続端子104aの近傍に配置された前記ガイドピン105aなどの可燃部品が上昇する火炎Fに干渉しないように、前記電源プリント配線基板102の電気部品が取り付けられた面を下向きにして配置され、さらに、後キャビネット105自体が上昇する火炎Fに干渉しないように、前記電源装置101の上方に十分な間隙をもつようにキャビネットのサイズを大き目に形成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のような従来の構成においては、ACインレットを各種部品の後部に配置するとともに、外殻部品である後キャビネットを大きなサイズに形成するため、機器全体のサイズを大きくせざるを得ないものであり、さらに、外観デザイン、各種部品の配置構成などに制約を受けることがあり、必然的に形状が複雑になるとともにコストアップにもつながるという問題がある。
【0006】
また、可燃部品が火炎に干渉しないようにするためには、発火源となるACインレット全体を難燃グレードの高いUL規格94V−0相当の樹脂成形品又は金属材料からなる成形品などによって覆うことも考えられるが、この場合はコストが高くなり、また、前記と同様に各種部品の配置構成に制約を受けることがある。
【0007】
そこで、本発明は前記課題を解決しようとするものであって、機器の作動状況により仮に発火したとしても火炎の広がりを最小限に抑えて他の部品への延焼を防ぐことができ、しかも、各種部品の配置構成、外観デザインの自由度を向上させることができるとともに、コストも低く抑えることができる電源装置及びこれを用いた機器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の電源装置は、商用電源等の外部電源を入力して機器に必要な電源電圧を供給するために、プリント配線基板の一方の面に前記外部電源と接続するために構成される入力端子とこの入力端子と接続され前記プリント配線基板の所定の回路部に半田付けにより固定される接続端子を有する外部電源入力ブロックと、前記外部電源入力ブロックの接続端子を一次側端子として前記プリント配線基板上で接続され所定の電源電圧に変換する電源トランスとを取り付け、かつ前記接続端子が前記プリント配線基板の他方の面に露出されてなる電源装置において、前記プリント配線基板における前記外部電源入力ブロックを取り付けた面側に、難燃性の火炎遮蔽部材を、前記接続端子を有する外部電源入力ブロックの外周であってその後端まで形成された切欠部に嵌合させるとともに密着して保持させて、前記外部電源入力ブロックに近接した場所に装着したものである。
【0009】
前記構成によれば、プリント配線基板における外部電源入力ブロックを取り付けた面側に、難燃性の火炎遮蔽部材を接続端子を有する外部電源入力ブロックの外周に嵌合させるとともに密着して保持させて前記外部電源入力ブロックの周囲に装着したので、この電源装置を外部電源入力ブロックを取り付けたプリント配線基板の面が上向きになるように機器のキャビネットに取り付けることによって、機器の作動状況により仮に接続端子の露出部から発火したとしても、上昇する火炎がプリント配線基板を介して火炎遮蔽部材によって遮蔽されて、上昇する火炎の広がりを最小限に抑えて他の部品への延焼を防ぐことができ、また、接続端子周辺の燃焼を少なく抑えることができる。しかも、火炎遮蔽部材を外部電源入力ブロックに嵌合するとともにプリント配線基板上に密着するようにしたことから、火炎遮蔽部材の装着スペースが他の各種部品の配置構成、キャビネットのサイズに影響を与えることがなく、各種部品の配置構成、外観デザインなどの自由度を向上させることができる。さらに、火炎遮蔽部材をプリント配線基板上で外部電源入力ブロックの周囲に装着するようにしたので、外部電源入力ブロック全体などを覆う場合に比べると、コストを低く抑えることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記構成において、火炎遮蔽部材を難燃性UL規格94V−0相当の難燃性を有する樹脂組成物から形成したものである。
前記構成によれば、樹脂組成物の難燃性が発揮されてより確実に他の部品への延焼を防ぐことができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記構成において、火炎遮蔽部材を金属材料から形成したものである。
前記構成によれば、金属材料の難燃性が発揮されてより確実に他の部品への延焼を防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の機器は、前記電源装置を、外部電源入力ブロックを取り付けたプリント配線基板の面を上向きにしてキャビネットに取り付けたものである。
前記構成によれば、前記電源装置の特長が反映されて、機器の作動状況により仮に発火したとしても火炎の広がりを最小限に抑えて他の部品への延焼を防ぐことができ、しかも、各種部品の配置構成、外観デザインの自由度を向上させることができるとともに、コストも低く抑えることができる機器が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における電源装置の分解斜視図、図4は同装置の取付け状態を示す正面図、図5は図4の断面図を示す。
【0014】
図1、図4、図5において、電源装置1は、電源プリント配線基板2、パワートランスユニット(電源トランス)3、ACインレット(外部電源入力ブロック)4及び火炎遮蔽板(火炎遮蔽部材)7から構成され、例えば音響機器などの電気機器の電源装置として用いられるものである。
【0015】
前記電源装置1において、電源プリント配線基板2、ACインレット4及び火炎遮蔽板7はそれぞれ難燃性UL規格94V−0相当の難燃性を有する樹脂組成物の成形品から構成される。
【0016】
前記ACインレット4は、前記難燃性を有する樹脂組成物を所定形状のブロックに成形したものであって、その下部両側にその長手方向に沿って切欠部4bがそれぞれ形成され、それによって電源プリント配線基板2との間に所定の間隔を保つように構成されている。そして、このACインレット4には外部電源と接続するための入力端子(図示せず)とこれと接続した活電部である接続端子4aを備えている。
【0017】
前記ACインレット4は電源プリント配線基板2上に取り付けられてその接続端子4aが前記プリント配線基板2の所定の回路部に半田付けされ、その先端部が電源プリント配線基板2の裏面側で露出している。
【0018】
また、前記電源プリント配線基板2上には、パワートランスユニット3が取り付けられてその接続部が前記電源プリント配線基板2上に半田付けされ、前記所定の回路部を介して前記接続端子4aに接続される。
【0019】
なお、前記電源プリント配線基板2上には、ACインレット4の接続端子4a、パワートランスユニット3の接続部の他、その他の電気部品8及び接続用リード線9などがそれぞれ半田付けされる。
【0020】
前記火炎遮蔽板7は前記ACインレット4の形状に合わせて前記難燃性を有する樹脂組成物をU字状に成形したものであって、その対向部7a、7bとが連結部7cによって連結された形状を有していて、この対向部7a、7bを前記ACインレット4に形成した両切欠部4bに沿ってスライドさせてACインレット4の外周に嵌合可能なように形成されている。この火炎遮蔽板7の対向部7aと7bとの間隔L1はACインレット4の両切欠部4b間の間隔L2よりも若干小さい間隔に設定されてACインレット4に圧入されるように形成されており、その弾性によって火炎遮蔽板7がACインレット4に保持されるようになっている。これは電源装置1を前記音響機器に取り付けるときまでの仮保持のためである。また、前記連結部7cは所定の幅寸法L3に形成されている。
【0021】
さらに詳しく説明する。
図2は火炎遮蔽板7をACインレット4にセットする前の状態を示し、前記切欠部4bはACインレット4の前端40から後端41まで形成されているのではなく、前端40から後退した位置に前側面40aから側方に突出して形成されたリブ42の底部と前記基板2との間に火炎遮蔽板7が差し込まれる前記切欠部4bがACインレット4の後端41まで形成されている。
【0022】
なお、火炎遮蔽板7の対向部7a,7bの先端の内側には、作業性を考慮して開口が大きくなるようにテーパー43a,43bが形成されており、このテーパー43a,43bの基端から連結部7cにかけて、対向部7a,7bの内側には、両者間の間隔を狭くする凸部44a,44bが形成されており、凸部44a,44bの間隔が前記L1である。
【0023】
このように前記切欠部4bがACインレット4の前端40から後退した位置に形成したので、火炎遮蔽板7をセットする際の作業性が良好である。具体的には、ACインレット4に対して火炎遮蔽板7を図1に仮想線で示した位置から矢印45で示すように前記切欠部4bへ向かって水平方向から挿入しなくても、図3に示すように火炎遮蔽板7を斜め上方から挿入しても、リブ42の底部と基板2との間に火炎遮蔽板7を差し込める。
【0024】
前記構成を有する火炎遮蔽板7は電源プリント配線基板2上に取り付けた前記ACインレット4の両切欠部4bに沿わせるとともに電源プリント配線基板2上に密着して嵌合されて前記ACインレット4に保持されて、前記ACインレット4の周囲に装着される。これによって、機器の作動状況により仮に接続端子4aの露出部から発火したとしても、上昇する火炎が電源プリント配線基板2を介して火炎遮蔽板7によって遮蔽されるようになっている。
【0025】
前記火炎遮蔽板7が装着された電源装置1は、音響機器を構成する各種部品を収納するための樹脂成形品からなるキャビネットのうちの、後キャビネット5内の各種部品の後方に電源プリント配線基板2の部品取付け面を上向きにして取り付けられる。
【0026】
前記電源装置1を前記後キャビネット5に取り付けるに際しては、図4、図5に示すように、パワートランスユニット3をそれに形成されたアングル孔3aと後キャビネット5と一体に形成されたガイドピン5bとによって位置決めし、締結ビス6でビス受け部5dにビス締めし、また、ACインレット4を後キャビネット5と一体に形成されたガイドピン5aによって位置決めし、ACインレット4に形成された貫通孔4cを介してビス受け部5eにビス締めし、それによって電源装置1が後キャビネット5に固定される。このとき、火炎遮蔽部材7の連結部7cはビス締めされることによって、ACインレット4の前面部4dと後キャビネット5のリブ5cとの間で挟持される。したがって、前記連結部7cの幅寸法L3はACインレット4の前面部4dと後キャビネット5のリブ5cとの間の間隔と等しい寸法に設定される。
【0027】
前記構成によれば、ACインレット4の周囲に火炎遮蔽板7を装着するとともに、電源装置1を電源プリント配線基板2の部品取りつけ面を上向きにして音響機器に取り付けたので、前記音響機器の作動状況により仮に接続端子4aの露出部から発火したとしても、その火炎の上方への広がりが電源プリント配線基板を介して火炎遮蔽板7によって遮蔽され、火炎が電源プリント配線基板2の裏面側から電源プリント配線基板2の側面を経由して上方へ移動しようとするため、この火炎がキャビネット内の上方に配置された可燃部品と干渉することは極めて少なくなり、また、接続端子4a周辺の燃焼を少なく抑えることができる。したがって、可燃部品への延焼を最小限に留めることができる。また、電源プリント配線基板2及びACインレット4も火炎遮蔽板7と同様に難燃性の樹脂組成物から形成したので、可燃部品への延焼をより一層少なくすることができる。さらに、火炎の上昇を少なくすることができることから、キャビネットの難燃性については、例えば難燃性UL規格94V−2以上の難燃性グレード相当の難燃性を確保することができる。さらにまた、各種部品の配置構成、外観デザインなどの自由度が向上するとともに、コストも低く抑えることができる。
【0028】
前記実施の形態では、火炎遮蔽板7を難燃性UL規格94V−0相当の難燃性を有する樹脂組成物から形成したが、火炎遮蔽板7を金属材料例えば鋼材からなる板金などから形成してもよく、この場合も前記実施の形態と同等の効果を奏する。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の電源装置によれば、機器の作動状況により仮に発火したとしても火炎の広がりを最小限に抑えて他の部品への延焼を防ぐことができ、しかも、各種部品の配置構成、外観デザインの自由度を向上させることができるとともに、コストも低く抑えることができる。
【0030】
また、請求項2の発明によれば、より確実に他の部品への延焼を防ぐことができる。
さらに、請求項3の発明によれば、より確実に他の部品への延焼を防ぐことができる。
【0031】
さらに、本発明の機器によれば、前記電源装置の特長が反映されて、機器の作動状況により仮に発火したとしても火炎の広がりを最小限に抑えて他の部品への延焼を防ぐことができ、しかも、各種部品の配置構成、外観デザインの自由度を向上させることができるとともに、コストも低く抑えることができる機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電源装置の分解斜視図
【図2】同実施の形態の組み立て前の要部斜視図
【図3】同実施の形態の組み立て時の要部斜視図
【図4】同装置の取付け状態を示す正面図
【図5】図4の断面図
【図6】従来の電源装置の一例を示す正面図
【図7】図6の断面図
【符号の説明】
1 電源装置
2 電源プリント配線基板
3 パワートランスユニット
3a アングル孔
4 ACインレット
4a 接続端子
4b 切欠部
4c 貫通孔
4d 前面部
5 後キャビネット
5a ガイドピン
5b ガイドピン
5c リブ
5d ビス受け部
5e ビス受け部
6 締結ビス
7 火炎遮蔽板
7a、7b 対向部
7c 連結部
8 電気部品
9 接続リード線
L1、L2、L3 火炎遮蔽板の寸法
101 電源装置
102 電源プリント配線基板
103 パワートランスユニット
104 ACインレット
104a ガイドピン
105 後キャビネット
105a ガイドピン
105b ビス受け部
106 締結ビス
F 火炎
Claims (4)
- 商用電源等の外部電源を入力して機器に必要な電源電圧を供給するために、プリント配線基板の一方の面に前記外部電源と接続するために構成される入力端子とこの入力端子と接続され前記プリント配線基板の所定の回路部に半田付けにより固定される接続端子を有する外部電源入力ブロックと、前記外部電源入力ブロックの接続端子を一次側端子として前記プリント配線基板上で接続され所定の電源電圧に変換する電源トランスとを取り付け、かつ前記接続端子が前記プリント配線基板の他方の面に露出されてなる電源装置において、
前記プリント配線基板における前記外部電源入力ブロックを取り付けた面側に、難燃性の火炎遮蔽部材を、前記接続端子を有する外部電源入力ブロックの外周であってその後端まで形成された切欠部に嵌合させるとともに密着して保持させて、前記外部電源入力ブロックに近接した場所に装着したことを特徴とする電源装置。 - 前記火炎遮蔽部材を難燃性UL規格94V−0相当の難燃性を有する樹脂組成物から形成したことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
- 前記火炎遮蔽部材を金属材料から形成したことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電源装置を、外部電源入力ブロックを取り付けたプリント配線基板の面を上向きにしてキャビネットに取り付けたことを特徴とする機器。
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