JP4765198B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に過充電時の高温環境下での安全性の高い非水電解質二次電池のための好適な添加剤とセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解質二次電池が、過充電時の高温環境下で安全性を保つ方法としては、大きく分けて組み込まれている安全装置を用いる方法と発電要素自体に耐過充電特性を付与する方法がある。さらに後者の発電要素自体に耐過充電特性を持たせる具体的な例として、セパレータの特性を改良する方法、電解液に耐過充電添加剤を添加する方法等が提案されている。
【0003】
従来、過充電時における安全性を向上させる構成として、非水電解質二次電池のセパレータに特有の機能であるセパレータのシャットダウン機能を利用した構成が広く用いられている。通常時、セパレータは正極、負極間の短絡防止の役割を担っているが、多孔質ポリオレフィン等を用いたセパレータは、外部短絡による過剰電流等により電池温度が著しく上昇した場合に多孔質セパレータが軟化することによって、実質的に無孔質となり電流を流させなくする、いわゆるシャットダウン機能を有している。
【0004】
シャットダウンが機能した後も電池温度が上昇した場合には、セパレータが溶融して大きく穴が開き、正極、負極間の短絡が生じるおそれがある(以下、この現象をメルトダウンと称す)。このメルトダウンが生じる温度が高いほど、電池の安全性は高いと言える。しかし、シャットダウン機能を強化するために、熱溶融性を高めるとメルトダウン温度が低くなり、安全性は逆に下がるという相反する特性を有しており、これらを両立するセパレータが要望されている。
【0005】
一方、耐過充電添加剤の果す役割には、様々なものがあるが、例えば、過充電時に添加剤が重合することにより電池の内部抵抗を高くし、電池を過充電から保護する方法(特許3061756号公報等)と、過充電時にガスを発生し、所定内圧で作動する内部電流遮断装置を確実に作動させる方法(特許3061759号公報等)および過充電酷使時に導電性ポリマーを生成して、電池内部に短絡を発生させ自動放電する方法(特開平10−321258号公報等)がある。
【0006】
さらに、耐過充電添加剤には、様々なものが提案されているが、その中でもフェニル基、アリル基、アルキルフェニル基またはアリール基を有するエーテル誘導体からなる添加剤が近年、注目されている(特許2983205号公報)。これらの添加剤は電池電圧が過充電状態の電圧に達すると、分解反応を開始してガスを発生するようになるとともに重合反応を開始して重合物が生成される。この重合物は抵抗体として作用するとともに、この重合物は電解液中で再溶解が起こりにくい物質であるため、過充電に対しては有効に作用する。
【0007】
近年の開発競争により、非水電解質二次電池には高容量化が強く要望されている。高容量化は、電極の活物質の改良により高性能化している面もあるが、起電反応に寄与しない部材の容積を減少させ、限られた電池容器内に充填される実質的な活物質の量を多くすることで、高容量化がなされている。このため、正負極の集電体やセパレータの厚みは薄くなる傾向にある。セパレータが薄くなると、短絡などに対する安全性は悪くなる方向であるが、実質的な活物質の量が多くなるため、安全性に対する要求は逆に大きくなる。
【0008】
したがって、厚みの薄いセパレータを使用した電池が過充電状態に陥り、発熱により高温状態になった場合には、過充電状態を電気的に回避させる方法を採用するよりも、過充電状態を解消する方法を採用するのが効果的である。具体的には、前述した方法の中で、セパレータのシャットダウンや添加剤の過充電時に添加剤が重合することにより電池の内部抵抗を高くし、電池を過充電から保護する方法、及び過充電時にガスを発生し、所定内圧で作動する内部電流遮断装置を確実に作動させる方法は、電池に印加される電流を制限、或いは遮断することで過充電状態が継続するのを回避している。これに対して、電池内部に短絡を発生させ放電する方法は電池内部で強制的に放電を行っており、電池内部の発電要素を過充電状態から脱却させる点から過充電状態を停止させる前述の方法に比べて好ましい。特に、角型電池などの所定内圧で作動する内部電流遮断装置が具備されていない電池では、ガス発生による過充電保護効果は得ることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、添加剤にフェニル基、アリル基、アルキルフェニル基またはアリール基を有するエーテル誘導体からなる添加剤を使用した場合、同じ添加剤でもその時々により、過充電時に添加剤が重合することにより電池の内部抵抗を高くし電池を過充電から保護する作用と、過充電時にガスを発生し、所定内圧で作動する内部電流遮断装置を確実に作動させる作用または過充電酷使時に導電性ポリマーを生成し、自動放電する作用の3つの方法が混在し、確実に内部短絡で安全性を確保することが難しいという課題があった。
【0010】
本発明は、前述の課題を解決し、添加剤と好適なセパレータを組み合わせて使用することにより、過充電時の高温環境下での安全性に優れた高容量非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の電池は、非水電解質にジフェニルエーテル、ビス(p−トリル)エーテル、および3−フェノキシトルエンからなる群から選択した少なくとも1種の耐過充電添加剤が混合されており、セパレータにおいて、セパレータが初期の状態で透気抵抗度が400秒/100ml以下であり、さらに、前記透気抵抗度の温度特性が、セパレータを機械延伸された長手方向(以下、MDと呼ぶ)に25kg/cmの引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、上記初期の状態での透気抵抗度より大きく、350から700秒/100mlであり、そして120℃の時、700から2100秒/100mlであることを特徴とする。ここで、透気抵抗度の定義であるが、日本工業規格(JIS P8117−1998以下JISと呼ぶ)に規定されている透気抵抗度を使う。つまり、23℃±1℃で面積642mmのセパレータを空気100mlが通過する時間(秒/100ml)で表す。この値はガーレー数とも呼ばれ、この値が小さいほうが、空気が良く通る、つまり透気抵抗度が小さいということになる。
【0012】
本発明は、耐過充電添加剤とこの特性パラメータを持つセパレータを組み合わせることにより、過充電時には、重合した導電性ポリマーによって、セパレータを貫通して内部短絡が確実に起こり、過充電状態を解消するものである。そのため、高容量で信頼性に優れた非水電解質二次電池を提供することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の非水電解質二次電池は、正極と負極と非水溶媒に電解質塩を溶解した非水電解質とセパレータを備えた非水電解質二次電池において、前記非水電解質に、ジフェニルエーテル、ビス(p−トリル)エーテル、および3−フェノキシトルエンからなる群から選択した少なくとも1種の耐過充電添加剤が混合されており、前記セパレータにおいて、JISで規定されている透気抵抗度が、セパレータが初期の状態で400秒/100ml以下であり、さらに、前記透気抵抗度の温度特性が、セパレータをMDに25kg/cmの引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、上記初期の状態での透気抵抗度より大きく、350から700秒/100mlであり、そして120℃の時、700から2100秒/100mlであることを特徴としたものである。
【0014】
これらのセパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、適度な機械的強度がある電子絶縁性の微多孔性薄膜が用いられる。材質としては、耐有機溶剤性と疎水性の観点とシャットダウン機能を持つ点から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂の単独またはこれらを積層したものや混合・複合したものなどの多孔質ポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0015】
本発明における正極は、従来公知の構成であるが、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガンスピネルなどのリチウム含有複合酸化物を活物質とし、導電剤と結着剤を混合した合剤が集電体に塗工されて作製されている。ここで、電池容量などの特性面と、過充電時の導電性ポリマーの生成状況から、コバルト酸リチウムが望ましい。
【0016】
本発明における負極は、活物質には天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素が主に、使われるが、その他に、アルミニウムやアルミニウムを主体とする種々の合金や、酸化スズなどを初めとする種々の金属酸化物、金属窒化物など従来公知のものがあり、正極と同様に、導電剤と結着剤を混合した合剤が集電体に塗工されて作製されている。ここで、正極と同様に、電池容量などの特性面と、過充電時の導電性ポリマーの生成量のバランスを取るためには、表面が改質された天然黒鉛や人造黒鉛が望ましい。
【0017】
非水電解質(以下電解液という)には、従来公知のものが使えるが、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート類やジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状カーボネート類の2種以上を混合したものが好ましい。
【0018】
また、電解質塩は、従来公知のリチウム塩が使えるが、LiPF6およびLiBF4が好ましい。
【0019】
本発明の電池における過充電時の高温環境下での本発明の耐過充電添加剤とセパレータによる内部短絡のメカニズムは、概ね次のようである。
【0020】
過充電時に、電池の電圧が最大動作電圧以上になると、耐過充電添加剤が、正極の表面で重合して成長し、抵抗値の高いポリマー層を形成するが、電圧が上昇するとともに導電性高分子となり、過充電状態が続くと、この導電性高分子はセパレータ細孔内部で成長し、ついには、貫通して負極に達し、内部短絡が起こる。この結果、本発明のセパレータを用いた電池では、過充電過程の比較的早い段階から正極と負極の充電深度が必要以上に過度な状態に到達せず、過充電時の危険性を抑制できる。
【0021】
この内部短絡が十分に機能しない場合、耐過充電添加剤の重合量と電解液不足による内部抵抗の増大による過充電抑止効果が、十分に機能した場合や、添加剤のガス発生により内部電流遮断装置が確実に作動した場合には、問題は無いが、セパレータが薄くてシャットダウン機能が十分に働かない場合や内部電流遮断装置が無い場合は、過充電状態が危険な状況にまで進行してしまう。
【0022】
この内部短絡メカニズムにおる好適な透気抵抗度は、過充電時の高温環境下のもので、常温での透気抵抗度とは関係が無い。また、この高温時の透気抵抗度の値は、通常用いられる常温での値より大きな値となっている。通常の使用状態で透気抵抗度が大きくなると、高率放電特性などに悪影響を与える。したがって、通常使用される常温から90℃までは、透気抵抗度は小さいままのほうが良く、400秒/100ml以下であるのが好ましい。
【0023】
さらに、この作用において、過充電時の高温環境下でセパレータの貫通孔が大きい場合、つまり透気抵抗度が小さい場合は、貫通孔内に導電性高分子が容易に進入するが、孔自体の体積も大きいため導電性高分子が貫通して負極に達するには、多量の導電性高分子の生成が必要となる。逆にセパレータの貫通孔が小さい場合は、つまり透気抵抗度が大きい場合は、導電性高分子がセパレータの表面にのみ生成し、貫通孔の内部には侵入しにくい。
【0024】
したがって、110℃付近の導電性高分子の生成領域では、常温よりわずかに大きい透気抵抗度を持ち、120℃付近の内部短絡が必要な領域では、貫通孔が小さくなることにより、貫通孔内の導電性高分子の量はほとんど変わらなくとも、導電性高分子が、孔内で搾り出されるように、貫通して負極に達するようにするのが好ましい。そのため、常温から最高使用温度では透気抵抗度が小さく、過充電により最高使用温度以上に高温になると、透気抵抗度が徐々に大きくなる多孔質ポリオレフィンが好ましい。
【0025】
この内部短絡時、導電性高分子が多量に貫通して負極に達した場合、短絡電流が多くなり、危険な状況になる。逆に、導電性高分子が貫通して負極に達した量が少ない場合は、短絡電流が充分流れないうちに、過充電状態がさらに進行してしまう。したがって、この際も好適な透気抵抗度が存在する。
【0026】
以上述べたように、それぞれの温度において好適な透気抵抗度が存在する。
【0027】
本発明者らは鋭意検討の結果、下記の特性をもつセパレータが、本発明の電池に好適であるということを見出した。
【0028】
本発明におけるセパレータは、透気抵抗度が、セパレータが初期の状態で400秒/100ml以下であり、さらに、前記透気抵抗度の温度特性が、セパレータをMDに25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、350から700秒/100mlであり、そして120℃の時、700から2100秒/100mlであるものである。
【0029】
特に、耐過充電添加剤が、ジフェニルエーテルである場合は、前記透気抵抗度がセパレータが初期の状態で400秒/100ml以下であり、さらに、前記透気抵抗度の温度特性が、セパレータをMDに25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、400から500秒/100mlであり、そして120℃の時、800から2000秒/100mlであることが、非常に優れた効果を示す。
【0030】
この加熱処理に関してさらに説明する。セパレータは、同じ高温環境温度でもその時のセパレータにかかる応力により熱収縮の状況が変わり、透気抵抗度も変化する。電池の過充電状態における昇温機構は複雑であり、極板群内のセパレータにかかる応力の状態を正確にシミュレーションするのは困難である。
【0031】
通常、渦巻き状に捲回された極板群を作製する場合に、セパレータは、ある程度の張力を加えられて巻き取られている。つまり、MDに引っ張り荷重がかけられた状態で、捲回された極板群内に配置されている。
【0032】
そこで、発明者らは、再現性の良い前処理方法の際のセパレータの状態として、セパレータをMDに25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態が好ましいことを見出した。
【0033】
この状態で、大気中15分間保持するのが前処理として好適である。
【0034】
ここで、15分という時間は、セパレータが、その温度での透気抵抗度の変化が無くなる、つまり飽和に達するのに十分な時間という意味であり、これ以上の時間でもかまわないし、透気抵抗度が飽和に達していれば、これ以下の時間でも良いが、再現性の良い前処理時間としては、15分が好適である。
【0035】
この作用において、耐過充電添加剤が添加されていないか、されていても0.1重量%未満の場合は、導電性高分子が十分成長しないうちに、過充電状態が危険な状態まで進行してしまう。
【0036】
また、耐過充電添加剤添加量が多い場合、例えば8重量%より大きい場合は、過充電状態の抑制効果は発揮できるが、通常の電池特性、特に高温保存時の特性が劣化するため不都合である。
【0037】
ここで、過充電状態の抑制効果と高温保存時の特性のバランスがとれている好ましい範囲は、2重量%から6重量%である。
【0038】
以上述べた電池においてセパレータの厚みは、19μm以上では、電池の高容量化や高率放電などの電池特性という点で不利になる上、内部短絡が確実に起こりにくくなるため18μm以下が好ましい。また、厚みが7μm以下になると、過充電時の高温環境下で内部短絡が確実に発生しても、電池が危険な状況になる。したがって、セパレータの厚さが8から18μmであることが好ましい。
【0039】
【実施例】
次に、実施例を用いて、本発明の具体例について説明する。
【0040】
まず、セパレータに関して、条件を変えて以下に述べる各種の特性を持つセパレータを製造した。
【0041】
<セパレータの製造>
本実施例では、セパレータとしてポリエチレン(PE)膜であるものを作製した。
【0042】
まず、以下に述べる方法で、PE膜を製造した。
(1)重量平均分子量9万の高密度ポリエチレン(密度0.967)3重量部と重量平均分子量28万の高密度ポリエチレン(密度0.954)30重量部と重量平均分子量40万の高密度ポリエチレン(密度0.950)7重量部と流動パラフィン60重部とを、二軸押出機内において250℃で溶融混練した。
(2)T型ダイから冷却ロール上に押出キャストすることにより高分子ゲルシートを作製した。厚みはこの時点で、1.8mmであった。
(3)高分子ゲルシートを同時二軸延伸機を用いて130℃で7×7倍に抽出前延伸をした。
(4)塩化メチレン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。さらに、テンターを用いて、125℃でMDに直角の幅手方向(以下、TDと呼ぶ)に2倍に延伸した後、同じ温度で、TDの延伸を10%緩和させつつ熱処理した。
【0043】
以上述べた工程で、厚さ16μmのPE膜を作製し、セパレータAとした。
【0044】
まず、このセパレータAの常温での透気抵抗度を測定した。23℃に調温された実験室内でJISに準拠したA型測定装置を用いて透気抵抗度を測定した。測定値は、150秒/100mlであった。
【0045】
次に、このセパレータAの透気抵抗度の温度特性を測定した。セパレータAを、MDに120mm、TDに50mmの長方形に切り取り、大気中110℃の温度にセットされた恒温槽内に、MDに200gの錘で、25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態でセットし、15分間保持した。その後、23℃に調温された実験室内でJISに準拠したA型測定装置を用いて透気抵抗度を測定した。測定値は、450秒/100mlであった。
【0046】
そして、セパレータAの別の部分を、110℃の時と同様にMDに120mm、TDに50mmの長方形に切り取り、さらに、大気中110℃の温度にセットされた恒温槽内に、MDに200gの錘で、25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態でセットし、15分間保持した。その後、110℃の時と同様に23℃に調温された実験室内でA型測定装置を用いて透気抵抗度を測定した。測定値は、1600秒/100mlであった。
【0047】
以下、セパレータAと同様の方法で、それぞれの工程での製造条件を変えることにより、(表1)に示すような各温度での透気抵抗度および厚さからなるセパレータAからPの16種のセパレータを作製した。
【0048】
【表1】
Figure 0004765198
【0049】
ここで、各セパレータの各工程において変更した製造条件は、以下の通りである。
(1)個々のポリエチレン(量平均分子量9万、28万及び40万の高密度ポリエチレン)は同一のものを使い、混合比のみ(表2)のように変更した。ポリエチレンの総量40重量部と流動パラフィン60重量部の混合割合も同一であり、二軸押出機内の溶融温度も250℃で統一した。
(2)同一条件で押出キャストした。厚みは、それぞれ(表2)の通りであった。
(3)延伸時の温度及び延伸倍率を(表2)のように変更した。
(4)抽出後延伸時の温度およびTD延伸倍率、熱処理時のTD緩和率を(表2)のように変更した。
【0050】
【表2】
Figure 0004765198
【0051】
<電池の作製>
本発明の電池の過充電時の温度変化を評価するため、以下に説明する円筒形電池を作製した。
【0052】
図1に本発明の実施例の円筒形電池の構造図(一部断面図)を示す。
【0053】
図1において、非水電解質二次電池1は、正極2と負極3とセパレータ4が、捲回されて、ケース5内に非水溶媒に電解質塩を溶解した電解液(図示せず)、とともに内蔵されており、封口板6で密閉されている。
【0054】
封口板には、一般の市販電池においては、安全弁やPTC素子などの安全素子が組み込まれているが、実施例の電池においては安全性試験のために、封口板6には一切の安全機構は組み込まれていない。
【0055】
正極2は、コバルト酸リチウム粉末85重量%に対し、導電剤の炭素粉末10重量%と結着剤のポリ弗化ビニリデン樹脂(PVdF樹脂)5重量%を混合し、これらを脱水NMPに分散させてスラリーを作製し、アルミ箔からなる正極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。
【0056】
負極3は、負極活物質として人造黒鉛粉末を用い、これの95重量%に対して、結着剤のPVdF樹脂を5重量%を混合し、これらを脱水NMPに分散させてスラリーを作製し、銅箔からなる負極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。
【0057】
セパレータ4には、前述の(表1)に示すセパレータAからPの16種のセパレータを使用した。これらのセパレータには、透気抵抗度の温度特性を測定するための加熱処理は行っていない。
【0058】
また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比1:1の混合溶媒にLiPF6を1モル/リットル溶解したものを使用した。電解液量は、約3.8mlである。
【0059】
なお、この作製した円筒形電池は直径18mm、高さ65mmである。本サイズで、通常市販されているものの設計容量は1800mAhであり、セパレータ4の厚みも、25から27μmのものが一般的である。本実施例の電池は、それよりも高容量の2000mAhを設計容量とした。このため、捲回した極板群が、ケースに確実に挿入するためには、設計上、セパレータ4の厚みは、25μm以下でなくてはならない。このような理由から、本検討では、20μm以下の厚さのセパレータを用いた。
【0060】
<実施例1>
セパレータAを、ジフェニルエーテルを2重量%添加した電解液3.8mlとともに電池に組み立てた。この電池を実施例1の電池とする。
【0061】
<比較例1>
実施例1と同様の方法でセパレータAを用い、耐過充電添加剤を一切添加していない電解液とともに電池に組み立てた。
【0062】
以下、前述の(表1)に示すセパレータAからPの16種のセパレータと、耐過充電添加剤およびその添加量を(表3)および(表4)のように組み合わせて、実施例2から28と比較例2から29の電池を組み立てた。
【0063】
<電池の評価>
これら作製した電池、計57個を以下に述べる方法で評価した。
【0064】
電池の設計容量は、2000mAである。以下の充放電試験はすべて20℃の恒温槽の中で行った。
【0065】
まず、1000mAの定電流で、4.2Vになるまで充電した後、1000mAの定電流で3.0Vになるまで放電する充放電サイクルを10サイクル繰り返した。11サイクル目では、1400mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で2時間充電した。その後、400mAの定電流で3.0Vになるまで放電した。この11サイクル目の放電容量を各電池の0.2C容量とした。
【0066】
次に、電池の高率放電特性を見るために、12サイクル目として、1400mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で2時間充電した。その後、2000mAの定電流で3.0Vになるまで放電した。この12サイクル目の放電容量を各電池の1C容量とした。同様に13サイクル目として、1400mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で2時間充電した。その後、4000mAの定電流で3.0Vになるまで放電した。この13サイクル目の放電容量を各電池の2C容量とした。ここで、高率放電時の容量維持率として、0.2C容量と1C容量の比(1C/0.2C)と0.2C容量と2C容量の比(2C/0.2C)を計算し、(表3)および(表4)に示した。
【0067】
最後に、各電池を4.2Vまで1000mAの定電流で充電し、さらに、2000mAの定電流で3時間の過充電試験を行い、この過程での電池の表面温度の測定を行い、電池の最高到達温度を評価した。これらの電池評価の結果も、(表3)および(表4)に示した。
【0068】
【表3】
Figure 0004765198
【0069】
【表4】
Figure 0004765198
【0070】
(表3)および(表4)からわかる通り、57個の全ての電池で、初期容量が設計容量を満足していた。
【0071】
容量維持率は、セパレータの常温での透気抵抗度が400秒/100ml以下のものを使用した電池では、良好であったが、セパレータNを使用した電池(比較例6、13、20、27)では、特に2C/0.2C容量維持率で悪化が見られ、常温での透気抵抗度は、400秒/100ml以下であることが必要なことがわかる。
【0072】
さらに、実施例の電池ではセパレータが薄くなっているのもかかわらず、異常昇温が抑えられた。すべての実施例の電池で、電圧がかかった状態で電流が流れており、セパレータ内で微小な内部短絡が起こっていた。それに対し、比較例の電池は、セパレータNを使用した電池(比較例6、13、20、27)を除いて、異常昇温が起こった。
【0073】
これは、微小な内部短絡による過充電時の異常昇温の防止には、常温時の透気抵抗度には関係が無く、高温時の透気抵抗度に関係しているからである。(表3)および(表4)から、過充電添加剤として、ジフェニルエーテル、ビス(p−トリル)エーテル、および3−フェノキシトルエンを用い、セパレータをMDに25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、350から700秒/100mlであり、そして120℃の時、700から2100秒/100mlであるセパレータを使用した実施例の電池が有効であることがわかる。
【0074】
さらに、(表3)から過充電添加剤がジフェニルエーテルである場合は、セパレータをMDに25kg/cm2の引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、400から500秒/100mlであり、そして120℃の時、800から2000秒/100mlである場合に、過充電時の電池の到達温度が比較的低く抑えられており、好適であることがわかる。
【0075】
また、セパレータHまたはセパレータIを使用した実施例の電池と、セパレータLまたはセパレータMを使用した比較例の電池の比較から、セパレータの厚みは8から18μmであることが好適である。
【0076】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明によれば、電池の高容量化のために薄いセパレータを用いたにもかかわらず、非水電解質二次電池の高温状況下での安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた円筒形電池の概略図(一部断面図)
【符号の説明】
1 非水電解質二次電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 ケース
6 封口板

Claims (3)

  1. 正極と負極と非水溶媒に電解質塩を溶解した非水電解質と多孔質ポリオレフィンからなるセパレータを備えた非水電解質二次電池において、
    前記非水電解質に、ジフェニルエーテル、ビス(p−トリル)エーテル、および3−フェノキシトルエンからなる群から選択した少なくとも1種の耐過充電添加剤が混合されており、前記セパレータにおいて、JIS P8117−1998で規定されている透気抵抗度が、セパレータが初期の状態で400秒/100ml以下であり、さらに、前記透気抵抗度の温度特性が、セパレータを機械延伸された長手方向に25kg/cmの引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、上記初期の状態での透気抵抗度より大きく、350から700秒/100mlであり、そして120℃の時、700から2100秒/100mlであることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記過充電添加剤は、ジフェニルエーテルであり、前記透気抵抗度がセパレータが初期の状態で400秒/100ml以下であり、さらに、前記透気抵抗度の温度特性が、セパレータを機械延伸された長手方向に25kg/cmの引っ張り荷重を与えた状態で大気中110℃または120℃の温度で15分間保持した直後に測定した前記透気抵抗度が、110℃の時、上記初期の状態での透気抵抗度より大きく、400から500秒/100mlであり、そして120℃の時、800から2000秒/100mlであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記セパレータの厚さが8から18μmである請求項1記載の非水電解質二次電池。
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