JP4764760B2 - カーボンナノチューブ担持体およびそれを含む捕捉材 - Google Patents

カーボンナノチューブ担持体およびそれを含む捕捉材 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ担持体に関し、さらに詳細には、親水性ポリウレタンにカーボンナノチューブが担持されたことを特徴とするカーボンナノチューブ担持体に関する。また本発明は、カーボンナノチューブ担持体を含み、微量成分、特に多環芳香族化合物および/または重金属系物質のような微量の有害物質の除去に適する捕捉材に関する。
多環芳香族化合物や重金属系物質の中には、環境に微量に存在することによって、ヒトの健康に大きな悪影響を及ぼす物質がある。特にテトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン(以下、ダイオキシンという)および類似物質は、食物連鎖によって微量でも人体に取り込まれると、催奇性や発ガン性などのために、その健康への影響が大きい。したがって、このような微量の有害物質を環境から有効に分離・除去する方法は、重要な課題になっている。
重金属やダイオキシン類のような有害物質の吸着・除去に、ゼオライトや活性炭を用いることは、よく知られている。しかしながら、ゼオライトは、吸着させたい物質の電荷により、その吸着性に大きな差があることや、その細孔がナノレベルであるために分子が比較的大きい化合物の吸着・除去に適さないことが知られている。また活性炭は、選択性を有していないために、有害物質以外の成分、たとえばビタミン類のような栄養物質や有用物質も吸着してしまい、有害物質と有用物質が共存する条件での使用には適さない。
特許文献1には、連続気泡のポリウレタンフォームによって吸着層を有するダイオキシンおよびその類縁化合物の除去用の保護具が開示され、具体的にはマスクとしての用途が記載されている。また、活性炭やイオン交換繊維などとの併用も記載されている。しかしながら、このような保護具は、空気中に浮遊するダイオキシンや類似物質の除去に限定され、水や土壌の浄化には適さないし、微量物質の吸着の際の選択性がない。
特許文献2には、セルロースエステルのような生分解性の樹脂発泡体にカーボンナノチューブを担持させて、土壌中に蓄積され、または焼却灰などに含まれるダイオキシン、六価クロムなどの除去に用いることが開示され、使用できる樹脂として、ポリウレタンも例示されている。しかしながら、一般のポリウレタンフォームにカーボンナノチューブを担持させても、発泡体を形成するのと同時に多量のカーボンナノチューブを添加するには、充填剤を充填するのと同様の技術を用いるために、量的に限界がある。
特許文献3には、フィルター基体にカーボンナノチューブを含む吸着材とダイオキシン分解触媒を担持させたフィルターを用いて、ダイオキシン類を含む焼却炉の排ガスなどからダイオキシン類を除去することが開示されている。また、特許文献3には、担持体としてセラミックス、金属、ガラス、不織布が例示されているが、ポリウレタンは開示されていない。
特開2000−300687号公報 特開2003−192817号公報 特開2004−148304号公報
本発明の課題は、カーボンナノチューブの微量物質捕捉能を生かして、柔軟で取扱いやすく、多環芳香族化合物や重金属系物質のような、環境に存在してヒトの健康に悪影響を及ぼす微量物質の捕捉・除去に適したカーボンナノチューブ担持体、およびそれを含む捕捉材を提供することである。本発明のもう一つの課題は、そのようなカーボンナノチューブ担持体を製造する方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、上記捕捉材を再生する方法、および再生して得られた捕捉材を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、親水性ポリウレタンにカーボンナノチューブを担持させることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、親水性ポリウレタンにカーボンナノチューブが分散担持されていることを特徴とするカーボンナノチューブ担持体に関し、また親水性ポリオールの分子末端がイソシアナト基含有基で閉塞されているプレポリマーを、カーボンナノチューブの存在下に水と反応させる、カーボンナノチューブ担持体の製造方法に関する。
さらに、本発明は、上記のカーボンナノチューブ担持体を含む、カーボンナノチューブに捕捉可能な物質の捕捉材;カーボンナノチューブに捕捉された物質を、液体で洗浄して除去することによる、捕捉材の再生方法;ならびにそのようにして再生された捕捉材に関する。
本発明のカーボンナノチューブ担持体は、高濃度のカーボンナノチューブを分散担持して容易に製造することができ、長いポットライフを有し、水などの溶媒に対してカーボンナノチューブが流出しにくく、該担持体に安定に担持されている。また、多孔質体にカーボンナノチューブを分散させているので、少量のカーボンナノチューブを用いても、微量物質を有効に捕捉できる。したがって、本発明の担持体は、そのままか、または粉砕、打抜き、切欠き加工等により表面積を増すことにより、微量物質の捕捉材として、より有用となる。さらに、捕捉された微量物質を容易に洗浄して、捕捉材を再生することができる。
本発明で用いられるカーボンナノチューブは、中空の微細な針状結晶であり、直径は通常0.4〜50nm、好ましくは10〜50nmであり;長さは通常0.1〜200μm、好ましくは70〜130μmである。カーボンナノチューブは、その構造が単層でも多層でもよく、またコイル状のものでもよい。特に、吸着性を高めるには、カーボンナノチューブの表面積が広いほどよいので、単層の場合は、直径が小さいほうが好ましい。また、長さに関しては、そのアスペクト比が3,000以上になる長さであることが、末端カルボキシル基が立体障害になることがないので好ましい。
本発明に用いられる親水性ポリウレタンは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する高分子ポリオールと、少なくとも2個のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物との反応によって得られる架橋体であり、ポリオールの種類、平均水酸基数などにより、多数の種類がある。親水性ポリウレタンを得るための高分子ポリオールないしそれをイソシアナト基含有基で閉塞して得られるプレポリマーもまた、親水性であることが求められる。したがって、ポリオールとしては、オキシエチレン単位やヒドロキシエチルアクリル酸単位のような親水性単位を含むものが用いられる。ポリウレタンは、軟質、半硬質、硬質など各種あるが、用途が広く、作業性が優れていることから、軟質が好ましい。
親水性で軟質のポリウレタンを形成するために、本発明に用いられるポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが好ましく、1種でも2種以上の併用でも差し支えないが、分子中に平均2.0〜3.5の水酸基を有するものが好ましく、イソシアネート化合物2個のイソシアナト基を有するもののみを用い、またポリオールとの反応などの際に、シアヌレート体、ビウレット体、またはアロファネート体を形成しない条件で反応が行われる場合は、ポリオール1分子あたりの水酸基の数が平均2.0を越えることが好ましい。すなわち、得られるポリウレタンに網状構造を与えるために、少なくとも一部のポリオールとして、分子中に分岐単位を有する分岐鎖状ポリオールを用いる。
親水性のポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、およびポリオールのオキシエチレン単位が10重量%以上の、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の共重合体が例示され、部分的に他の構成単位、たとえばオキシトリメチレン単位やオキシテトラメチレン単位を含む共重合体であってもよい。オキシエチレン単位は、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上で、親水性が顕著となる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも差し支えない。直鎖状ポリエーテルポリオールは、出発物質としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールのような二価アルコールを用い、エチレンオキシドおよび必要に応じてプロピレンオキシドのような環状オキシド化合物を開環重合させて、合成することができる。分岐鎖状ポリエーテルポリオールは、出発物質としてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、グルコース、スクロースのような三価以上の多価アルコールを用い、上記と同様の環状オキシド化合物を開環重合させて合成することにより、上記の多価アルコールに由来する分岐単位を分子中に含ませることができる。また、別法として、まず二官能性のポリオールを合成し、ついで三価以上の多価アルコールと反応させて、分子中に分岐を導入することもできる。ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、通常、800〜4,000、好ましくは900〜3,500である。
本発明で用いられるイソシアネート化合物は、分子中に少なくとも2個のイソシアナト基を含み、該イソシアナト基がポリオールの水酸基と反応してポリウレタンの網状構造を形成する成分である。イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、上記二者の混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、上記二者の混合物、m−キシレンジイソシアネート、テトラメチルm−キシレンジイソシアネートのような芳香族イソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂肪族または脂環式イソシアネート化合物;それらのイソシアヌレート体、アロファネート体、ビウレット体などが例示され、トリレンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
イソシアネート化合物の配合量は、プレポリマーの末端がイソシアナト基含有基で閉塞され、水との反応でカーボンナノチューブの良好な担持体となるポリウレタンが形成され、その可撓性や硬度に経時変化がないことから、ポリオールの水酸基に対するイソシアナト基の数が1.5〜3.5個が好ましく、2.0〜3.0個がさらに好ましい。
本発明においては、カーボンナノチューブの配合を容易にするために、ポリオールの水酸基をイソシアネート化合物で閉塞したプレポリマーとして用いることが好ましい。必要に応じて、このようなプレポリマーに、別途、ポリオールを併用してもよい。また、後述の界面活性剤として配合される水酸基含有界面活性剤が、併用されるポリオールの一部または全部を構成してもよい。
また、必要に応じて、ポリオールとのイソシアネート化合物の反応によるプレポリマーの合成、および/またはプレポリマーからポリウレタンの形成を促進して、より低い温度および/またはより短時間に反応を完了させるために、触媒を配合することもできる。このような触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルテトラメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン、N−エチルモルホリンのようなアミン類;オクタン酸スズ、ナフテン酸スズ、オクタン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛のような金属有機酸塩;ジブチルスズジオクトアート、ジブチルスズジラウラートのような有機スズ化合物;アセチルアセトナト鉄のような金属キレート化合物などが例示される。また、これらの触媒のほかに、ジイソシアネート化合物の二量化、三量化を促進する触媒、たとえばピリジンのような第三級アミンを配合することもできる。
プレポリマーと水との反応によるポリウレタンの形成をより均一に行うために、反応の際に界面活性剤を用い、乳化状態で反応を行ってもよい。界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル塩型、ポリマー型のような両性界面活性剤;ならびにオキシエチレン・オキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルのようなノニオン型界面活性剤が好ましく用いられ、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、カーボンナノチューブの凝集体から個々のカーボンナノチューブをプレポリマーに分散させる効果が優れていることから、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸型、2−メタクリロイルオキシホスホリルコリンとn−ブチルメタクリラートの共重合体などのポリマー型のような両性界面活性剤が好ましい。均質で良好な発泡体を得るためには、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体;およびポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルのようなノニオン型界面活性剤、および/またはポリシロキサン・ポリオキシアルキレングラフト共重合体のような整泡剤の存在下で発泡させることが好ましい。これらの界面活性剤のうち、オキシエチレン・オキシプロピレンブロック共重合体のように、分子中に複数個の水酸基を有するものは、プレポリマーのイソシアナト基と反応して、ポリウレタンの一部を構成する。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのように、分子中に1個の水酸基を有するものは、プレポリマーのイソシアナト基と反応して、ポリウレタンの側鎖を構成する。
その他、必要に応じて、充填剤、着色剤、安定剤などを配合してもよい。
本発明のカーボンナノチューブ担持体は、限定されるものではないが、典型的には、次のようにして製造される。すなわち、撹拌機および加熱・冷却装置を備えた反応槽を、窒素のような不活性気体の雰囲気にして、ポリオールを仕込み、たとえばポリエチレングリコール(平均分子量1,000)の場合は、温度45±5℃で撹拌しつつ、必要に応じてトリメチロールプロパンのような多官能性化合物を加えて昇温し、液温50〜60℃でイソシアネート化合物を添加する。110±5℃で2時間反応させた後、50℃以下に冷却してフィルタを通すことにより、プレポリマーを合成する。反応は、無触媒でも進行するが、必要に応じて触媒を添加してもよい。
一方、水にカーボンナノチューブを分散させ、必要に応じて触媒、界面活性剤および/または整泡剤を配合した混合物を調製する。上記プレポリマーと水または上記混合物を、室温で激しく混合してエマルション状態で反応させ、架橋と発泡を進行させて、ポリウレタンを得る。
カーボンナノチューブを担持させるには、過剰の水を使用し、かつ水溶性の添加剤を多量に用いて、比較的低い温度で発泡体を形成させるので、カーボンナノチューブの熱分解を防止できることから、この方法が好ましい。
上記のようなプレポリマー法によらず、親水性ポリオール、水、カーボンナノチューブならびに必要に応じて触媒、整泡剤および/または界面活性剤を配合して分散させたプレミックスに、イソシアネート化合物を室温で激しく混合して反応させ、架橋と発泡を進行させて、同様にポリウレタンを得ることもできる。しかし、このようなワンショット法では、水の添加量が限定されるので、水中に分散させるカーボンナノチューブの量も制約される。
カーボンナノチューブの担持量は、形成される親水性ポリウレタン100重量部あたり、通常0.01〜50重量部であり、好ましくは0.5〜2.0重量部である。
得られたポリウレタンは、条件に応じて、非発泡(ソリッド)でも、独立気泡の発泡体でも、連続気泡の発泡体でもよい。処理効果からは連続気泡の発泡体が好ましいが、ポリウレタン自体に透過性があるので、用い方により、独立気泡の発泡体でも非発泡でも用いることができる。
担持されたカーボンナノチューブに捕捉された有害物質は、担持体とともに、再び環境に排出されない方法で分解ないし処分してもよい。また、担持体を液体、たとえばアセトニトリルのような極性溶媒の水溶液で洗浄して捕捉物質を液体に移行させることにより、担持体を再生し、ふたたび有害物質の捕捉に用いてもよい。あるいは、n−ヘキサンのような無極性溶媒を、界面活性剤の存在下に水で乳化して、洗浄液に用いてもよい。洗浄は、たとえば担持体を上記洗浄液に浸漬して高速で振盪し、担持体を取り出して液を搾る方法で、カーボンナノチューブの損失や失効を伴うことなく行うことができる。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例において、部は重量部、配合比などは重量比(重量%など)を示す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1
平均分子量1,000のポリエチレングリコール100部を反応槽に仕込み、50℃に加温して液状にし、ついで65℃まで昇温して、トリメチロールプロパン4.7部および水酸化カリウム1.0部を加えて攪拌し、トリメチロールプロパンを融解させ、脱水反応によって末端反応性の中間体を得た。40℃まで冷却して水酸化カリウムを中和することにより、分子中に三官能性単位と3個の水酸基を有し、分岐点のトリメチロールプロパン単位以外はオキシエチレン単位からなるポリエーテルポリオールを得た。これに、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの80:20の混合物54部を加えて、110℃で2時間反応させることにより、分子末端がイソシアナト基で閉塞されたプレポリマーP−1を、淡黄色液状物として得た。NCO基含量は8.5%、25℃における粘度は27.5Pa・sであった。その平均分子量は、1,800であった。
実施例および比較例に、上記のプレポリマーP−1のほかに下記の材料を用いた。
P−2:グリセリン−ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3,000;
C−1:外径20nm、壁厚2nm、長さ1.0μm、純度>95%の多層カーボンナノチューブ粉末;
C−2:ヤシ殻活性炭粉末(商品名:太閤活性炭、三村化学株式会社製);
E−1:3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホン酸ナトリウム;
E−2:両末端に水酸基を有するポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロック共重合体、ポリオキシプロピレン部分の平均分子量1,750、オキシエチレン単位含量20%。
実施例1
C−1 2部およびE−1 2部を水100部に加えて攪拌し、カーボンナノチューブと界面活性剤が分散した水性懸濁液を調製した。これを激しく攪拌しながら、先に合成したプレポリマーP−1 100部とE−2 1部を20℃で混合し、乳化状態で反応させて、カーボンナノチューブを担持したウレタンフォームを得た。フォームは水を含んでいるので、室温で1日自然放置して、水分を揮散させた。得られたウレタンフォームは、セル数50/25mm、密度85kg/m3の連続気泡で、ポリウレタンにカーボンナノチューブが良好に分散していた。このフォームを水に浸漬したところ、自重に対して18倍の吸水があり、親水性であった。
比較例1
カーボンナノチューブを担持させない以外は実施例1と同様にして、親水性ウレタンフォームを得た。これをカーボンナノチューブの捕集効果と対比するブランクとして用いた。
比較例2
界面活性剤を用いず、C−1を単に水に加えてプレポリマーP−1と混合した以外は実施例1と同様にして、C−1の分散が不十分なカーボンナノチューブ担持ウレタンフォームを得た。
比較例3
C−1の代わりにC−2を用いる以外は比較例2と同様にして、活性炭担持ウレタンフォームを得た。
比較例4
水4.3部に、E−1 0.86部分散させ、さらにC−1 0.86部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンとN,N−ジメチルシクロヘキシルメチルアミンの重量比3:1の混合アミン1.0部、ポリシロキサン・ポリオキシプロピレングラフト共重合体である整泡剤1.0部およびオクタン酸スズ0.2部を配合して撹拌し、発泡剤混液を調製した。P−2 100部に、上記発泡剤混液を添加し、ついで、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの80:20の混合物54部を加えて、プロペラ撹拌機を用いて20℃で混合液を撹拌して開口容器に移し、硬化と発泡の反応により、ワンショット法によってカーボンナノチューブを担持したウレタンフォームを得た。
なお、同様の方法により、ウレタンフォームに対して実施例1と同程度のカーボンナノチューブを担持させることを試みたが、発泡剤として用いる水の量が多いと良好な発泡体が得られず、カーボンナノチューブを均等に分散させることができなかった。
評価方法
除去対象物質として、下記の物質を用い、本発明による実施例1のカーボンナノチューブ担持体0.2gを試験片として用いて捕集実験を行い、比較例1のウレタンフォームおよび比較例2〜4の担持体から作製した同様の試料0.2gと比較した。
臭化エチジウム(水溶性、プラス電荷、発ガン性)
アクリジンオレンジ(水溶性、プラス電荷、発ガン性)
エオシンイエロー(水溶性、マイナス電荷、発ガン性)
捕集実験
(1)臭化エチジウムの捕集
20μMの臭化エチジウム水溶液50mlに試験片を投入し、シェーカーVR-36(タイテック社製)を用いて200rpmで振盪した。表1に示す時間ごとに液を採取して、480nmの吸光度を分光光度計U-550ST(日本分光社製)で測定し、未処理の臭化エチジウム水溶液の吸光度を100%とする吸着率で整理した。その結果は、表1に示すとおりであった。
Figure 0004764760
ついで、30分捕集に用いた実施例1の試験片を、アセトニトリル50%水溶液50ml中に浸漬し、シェーカーVR-36(タイテック社製)により、200回/minで30分間振盪した。試験片を取り出し、水を搾り出した。このように洗浄した試験片を用いて、上記と同様の捕集実験を行った。その結果、上記と同様の結果が得られ、洗浄によるカーボンナノチューブの損失や失効は認められなかった。
(2)アクリジンオレンジの捕集
臭化エチジウム水溶液の代わりに20μmのアクリジンオレンジ水溶液を使用して、同様の捕集実験を行った。表2に示す時間ごとに液を採取して、その490nmの吸光度を測定し、未処理のアクリジンオレンジ水溶液の吸光度を100%とする吸着率で整理した。その結果は表2に示すとおりであった。
Figure 0004764760
(3)エオシンイエローの捕集
臭化エチジウム水溶液の代わりに20μMのエオシンイエロー水溶液を使用して、同様の捕集実験を行った。表3に示す時間ごとに液を採取して、その520nmの吸光度を測定し、未処理のエオシンと水溶液の吸光度を100%とする吸着率で整理した。結果は、表3に示すとおりであった。
Figure 0004764760
表1〜3から明らかなように、本発明のカーボンナノチューブを担持した親水性ポリウレタンフォームは、比較例1(ブランク)、比較例2(非分散カーボンナノチューブ)、比較例3(非分散活性炭)および比較例4(非親水性ポリウレタンに担持させたカーボンナノチューブ)に比べて、吸着実験に供したそれぞれの有害物質に対して優れた吸着能を示し、捕捉材として極めて有効である。
本発明のカーボンナノチューブ担持体を含む捕捉材は、容易に製造することができ、多環芳香族化合物や重金属系物質のような、環境に微量に存在することによって、発ガン性、催奇性など、ヒトの健康に大きな悪影響を及ぼす物質の除去に、極めて有効である。除去対象物質としては、臭化エチジウムやアクリジンオレンジのようなプラス電荷を有するもの、エオシンイエローやダイオキシン類のようなマイナス電荷を有するものの両方に適用できる。

Claims (7)

  1. プレポリマーと水とを、整泡剤及びカーボンナノチューブの存在下で反応させる工程を有するカーボンナノチューブ担持体の製造方法であって、
    前記工程において、前記カーボンナノチューブはさらに両性界面活性剤の存在下で分散しており、
    前記プレポリマーが、イソシアネート化合物とポリオールとの反応により得られ、分子末端がイソシアナト基で閉塞されており、
    前記ポリオールが、オキシエチレン単位を含むポリエーテルポリオールであり、
    前記オキシエチレン単位が、前記ポリオール中10重量%以上であり、
    前記整泡剤が、分子中に複数個の水酸基を有するノニオン型界面活性剤であり、
    前記カーボンナノチューブ担持体が、
    前記反応によって得られたポリウレタンに前記カーボンナノチューブを分散担持してなるカーボンナノチューブ担持体の製造方法。
  2. 前記ポリウレタンが発泡体である請求項1記載のカーボンナノチューブ担持体の製造方法。
  3. 前記カーボンナノチューブ担持体が、ポリウレタン100重量部に、カーボンナノチューブ0.01〜50重量が分散担持されている請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ担持体の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ担持体の製造方法によって得られるカーボンナノチューブ担持体。
  5. 請求項4記載のカーボンナノチューブ担持体を含む吸着剤。
  6. 前記吸着剤が吸着した物質を、前記吸着剤を液体で洗浄して除去することによる、請求項5記載の吸着剤の再生方法。
  7. 請求項6記載の吸着剤の再生方法によって再生された吸着剤。
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